(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140931
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】両面研磨装置の上定盤平坦度測定器
(51)【国際特許分類】
B24B 49/00 20120101AFI20241003BHJP
B24B 37/08 20120101ALI20241003BHJP
G01B 5/28 20060101ALI20241003BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B24B49/00
B24B37/08
G01B5/28 101
H01L21/304 621A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052307
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】ノリタケ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 誠
【テーマコード(参考)】
2F062
3C034
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
2F062AA55
2F062BB08
2F062CC27
2F062EE01
2F062EE66
2F062FF17
2F062GG18
2F062GG29
3C034AA07
3C034BB91
3C034BB96
3C034CA07
3C034CA11
3C034CB14
3C034DD10
3C158AA18
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3C158DA18
3C158EA01
3C158EB01
3C158EB26
5F057AA01
5F057AA19
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5F057BB03
5F057BB07
5F057BB08
5F057BB09
5F057CA19
5F057DA02
5F057FA17
5F057GB01
5F057GB16
(57)【要約】
【課題】両面研磨装置の上定盤の平坦度を、上定盤を両面研磨装置から取り外すことなく容易に測定可能とする両面研磨機の上定盤平坦度測定器を提供する。
【解決手段】ダイヤルゲージ支持装置46の一端部が第1掛止装置50を介して上定盤16の外周縁に掛け止められ、ダイヤルゲージ支持装置46の他端部が第2掛止装置56及び第3掛止装置58を介して上定盤16の外周縁に掛け止められた状態で、ダイヤルゲージ支持装置46に固定された第1ダイヤルゲージ42及び第2ダイヤルゲージ44を用いて、上定盤16の平坦度が測定される。上定盤16の下側から上定盤16の下面に向かって上定盤平坦度測定器40を押し当てる必要がないので、作業者が重量物である上定盤16の下に入ることがなく安全な作業となる。また、上定盤16を両面研磨装置12から取り外すことなく、上定盤16の平坦度を容易に測定することが可能となる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下定盤と、前記下定盤に所定の間隔を隔てて対向するように設けられた上定盤とを備える両面研磨装置において、前記上定盤の平坦度を測定する両面研磨装置の上定盤平坦度測定器であって、
前記上定盤の直径に沿って、前記上定盤の回転中心の一方側に所定の間隔を隔てた位置に複数個の第1ダイヤルゲージを支持し、前記上定盤の回転中心の他方側に所定の間隔を隔てた位置に複数個の第2ダイヤルゲージを支持するダイヤルゲージ支持装置と、
前記ダイヤルゲージ支持装置の一端部を前記上定盤の外周縁に掛け止める第1掛止装置と、
前記ダイヤルゲージ支持装置の他端部の前記一対の形状測定用ダイヤルゲージが設けられている部分を前記上定盤の外周縁にそれぞれ掛け止める第2掛止装置及び第3掛止装置と、を備える
ことを特徴とする両面研磨装置の上定盤平坦度測定器。
【請求項2】
前記ダイヤルゲージ支持装置の一端部に設けられた一つの第1基準面調整用ダイヤルゲージと、
前記ダイヤルゲージ支持装置の他端部に前記上定盤の周方向に離隔した位置に設けられた一対の第2基準面調整用ダイヤルゲージ及び第3基準面調整用ダイヤルゲージと、を更に備え、
前記第1掛止装置は、前記ダイヤルゲージ支持装置の一端部と前記上定盤との間隔を調整する第1調整ねじを有するものであり、
前記第2掛止装置及び第3掛止装置は、前記ダイヤルゲージ支持装置の他端部の前記一対の形状測定用ダイヤルゲージが設けられている部分と前記上定盤との間の間隔をそれぞれ調整する第2調整ねじ及び第3調整ねじをそれぞれ有するものである
ことを特徴とする請求項1の両面研磨装置の上定盤平坦度測定器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板等のワークの両面を鏡面研磨するために用いられる両面研磨装置の下定盤の平坦性を計測する上定盤スパンゲージに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ワークが、たとえばシリコン、炭化珪素、砒化ガリウム、InP(リン化インジウム)等の単結晶ウェハのような半導体基板のような被研磨部材は、その両面を高い平坦性(平坦度)で鏡面研磨されることが望まれている。
【0003】
たとえば、特許文献1に記載されているように、両面研磨装置は、下定盤と、その下定盤に所定の間隔を隔てて対向するように設けられた上定盤とを備えている。高い平坦性で被研磨部材を研磨するためには、下定盤及び上定盤又はそれらの研磨面に貼り付けられた研磨パッドの平坦度を測定して、管理する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、引用文献1に記載のような平面研磨装置の上定盤又はそれらの研磨面に貼り付けられた研磨パッドの平坦度を測定する場合は、上定盤を高い位置につり上げて下定盤と上定盤との間の空間を大きく広げ、上定盤を露出させる。この場合、上定盤の下側から上定盤の下面に平坦度測定器を押し当てるので、作業者が重量物である上定盤の下に入ることになって危険な作業となる。また、上定盤に貼り付けられた軟質な研磨パッドの上から平坦度を測定する場合には、平坦度測定器の押し上げ力を一定にすることが困難であって実質的に測定できないので、上定盤を両面研磨装置から取り外して平面研磨装置の外側で反転させた上定盤の平坦度を測定するため、上定盤の平坦度測定に手間がかかるという問題があった。
【0006】
本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、両面研磨装置の上定盤の平坦度を、上定盤を両面研磨装置から取り外すことなく容易に測定可能とする両面研磨機の上定盤平坦度測定器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の要旨とするところは、下定盤と、その下定盤に所定の間隔を隔てて対向するように設けられた上定盤とを備える両面研磨装置において、前記上定盤の平坦度を測定する両面研磨装置の上定盤平坦度測定器であって、(b)前記上定盤の直径に沿って、前記上定盤の回転中心の一方側に所定の間隔を隔てた位置に複数個の第1ダイヤルゲージを支持し、前記上定盤の回転中心の他方側に所定の間隔を隔てた位置に複数個の第2ダイヤルゲージを支持するダイヤルゲージ支持装置と、(c)前記ダイヤルゲージ支持装置の一端部を前記上定盤の外周縁に掛け止める第1掛止装置と、(d)前記ダイヤルゲージ支持装置の他端部の前記一対の形状測定用ダイヤルゲージが設けられている部分を前記上定盤の外周縁にそれぞれ掛け止める第2掛止装置及び第3掛止装置と、を備えることにある。
【発明の効果】
【0008】
本発明の両面研磨装置の上定盤平坦度測定器によれば、第1掛止装置により、前記ダイヤルゲージ支持装置の一端部が前記上定盤の外周縁に掛け止められ、第2掛止装置及び第3掛止装置により、前記ダイヤルゲージ支持装置の他端部の前記一対の形状測定用ダイヤルゲージが設けられている部分が前記上定盤の外周縁にそれぞれ掛け止められる。このように、ダイヤルゲージ支持装置の一端部が第1掛止装置を介して上定盤の外周縁に掛け止められ、ダイヤルゲージ支持装置の他端部が第2掛止装置及び第3掛止装置を介して上定盤の外周縁に掛け止められた状態で、ダイヤルゲージ支持装置に固定された複数個の第1ダイヤルゲージ及び複数個の第2ダイヤルゲージを用いて、上定盤の平坦度が測定される。これにより、上定盤の下側から上定盤の下面に向かって上定盤平坦度測定器を上方へ押し当てる必要がないので、作業者が重量物である上定盤の下に入ることがなく安全な作業となる。また、上定盤を両面研磨装置から取り外すことなく、上定盤の平坦度を容易に測定することが可能となる。
【0009】
好適には、前記ダイヤルゲージ支持装置の一端部に設けられた基準面調整用ダイヤルゲージと、前記ダイヤルゲージ支持装置の他端部に前記上定盤の周方向に離隔した位置に設けられた一対の形状測定用ダイヤルゲージと、を更に備え、前記第1掛止装置は、前記ダイヤルゲージ支持装置の一端部と前記上定盤との間隔を調整する第1調整ねじを有するものであり、前記第2掛止装置及び第3掛止装置は、前記ダイヤルゲージ支持装置の他端部の前記一対の形状測定用ダイヤルゲージが設けられている部分と前記上定盤との間の間隔をそれぞれ調整する第2調整ねじ及び第3調整ねじをそれぞれ有するものである。これにより、上定盤に掛け止められた状態で、基準面調整用ダイヤルゲージ、一対の形状測定用ダイヤルゲージが、ダイヤルゲージ支持装置及び上定盤を相互に平行となるようにそれぞれ操作されることにより、第1掛止装置、第2掛止装置及び第3掛止装置を介して上定盤に吊り下げられたダイヤルゲージ支持装置を上定盤と平行となるように設定することができ、上定盤の平坦度を容易に測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図4の上定盤平坦度測定器が適用される両面研磨装置の基本構成を概念的に示す模式図である。
【
図2】
図1の両面研磨装置に設けられているキャリヤを示す図である。
【
図3】
図1の両面研磨装置の上定盤の平坦度を測定するに際して、上定盤が上方へ持ち上げられた状態を説明する図である。
【
図4】本発明の一実施例の上定盤平坦度測定器を説明する正面図である。
【
図5】
図4の上定盤平坦度測定器を説明する底面図である。
【
図6】
図5の第1掛止装置、第2掛止装置、第3掛止装置の構成を説明する正面図である。
【
図7】
図6の第1掛止装置、第2掛止装置、第3掛止装置の構成を説明する底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一適用例を図面と共に詳細に説明する。
【実施例0012】
図1は、本発明の一例である上定盤平坦度測定器40が適用される両面研磨装置12の要部を観念的に示している。
図1において、両面研磨装置12には、垂直な回転中心線C1まわりに回転可能に支持された、下定盤14及び上定盤16が、所定の間隔を隔てて対向した状態で設けられている。下定盤14の上面にはシート状の研磨パッド14aが取り付けられ、上定盤16の下面にはシート状の研磨パッド16aが取り付けられている。下定盤14の上面に取り付けられた研磨パッド14a、及び上定盤16の下面に取り付けられた研磨パッド16aは、被研磨部材28の両面を研磨する平坦化研磨加工面として機能している。
【0013】
下定盤14の下方には、定盤駆動装置18が設けられている。定盤駆動装置18は、下定盤14を回転中心線C1まわりに回転駆動する一方で、上定盤駆動用円筒体20を介して上定盤16を回転中心線C1まわりに下定盤14と逆方向に回転駆動する。上定盤駆動用円筒体20は、下定盤14から突設されて上定盤16の中央穴16bに相対回転不能に嵌合されている。上定盤駆動用円筒体20には、キャリヤ22の外周歯と噛み合うサンギヤ24が形成されている。
【0014】
下定盤14の外周には、内周歯26aが形成された環状の部材であるリングギヤ26が下定盤14と同心に固設されている。
【0015】
キャリヤ22は、下定盤14の研磨パッド14aと上定盤16の研磨パッド16aとの間に介在させられている。キャリヤ22は、たとえば
図2に示すように円形の板材であって、半導体基板のような被研磨部材28を嵌め入れる透孔30と、外周歯22aとを備えている。また、キャリヤ22の外周歯22aは、サンギヤ24とリングギヤ26の内周歯26aとに噛み合わされている。これにより、キャリヤ22がサンギヤ24の回転に伴って下定盤14上を自転しつつ公転させられる過程で、キャリヤ22の透孔30に嵌め入れられた被研磨部材28の両面が研磨される。被研磨部材28は、キャリヤ22の厚みよりも大きい厚みを有している。
【0016】
図3は、上定盤16の下面の平坦度の測定に際して、上定盤16が図示しない吊り下げ装置によって上方へ持ち上げられた状態を示している。このように下定盤14と上定盤16との間が開かれた状態で、上定盤16の下面の平坦度を測定する上定盤平坦度測定器40が用いられる。
【0017】
図4は、上定盤平坦度測定器40の正面図を示し、
図5は、上定盤平坦度測定器40の平面図を示している。
図5の上定盤平坦度測定器40は、複数個、本実施例では3個の第1ダイヤルゲージ42、及び複数個、本実施例では3個の第2ダイヤルゲージ44が取り外されて示されている。
【0018】
上定盤平坦度測定器40は、上定盤16の下面に上定盤16の上面の回転中
心線C1と上定盤平坦度測定器40或いはダイヤルゲージ支持装置46の中心とが同心となるように載置したとき、上定盤16の径方向において回転中心線C1の一方の側に3個の第1ダイヤルゲージ42と回転中心線C1の他方の側に3個の第2ダイヤルゲージ44とが、それら第1ダイヤルゲージ42の接触子42a及び第2ダイヤルゲージ44の接触子44aが一方向にすなわち上定盤16に装着時には上定盤16の下面に互いに平行に向かうように固定された長手状のダイヤルゲージ支持装置46と、ダイヤルゲージ支持装置46の一端部のうち第1基準面調整用ダイヤルゲージ48が設けられている部分を上定盤16の外周縁に掛け止める第1掛止装置50と、ダイヤルゲージ支持装置46の他端部のうち一対の第2基準面調整用ダイヤルゲージ52及び第3基準面調整用ダイヤルゲージ54が設けられている周方向に離隔した2箇所の部分を上定盤16の外周縁にそれぞれ掛け止める一対の第2掛止装置56及び第3掛止装置58と、を備える
【0019】
ダイヤルゲージ支持装置46は、上定盤16の下面の回転中心線C1を通る第1直線L1に沿って一定の間隔を隔てた等間隔の位置に3個の第1ダイヤルゲージ42が固定された第1ダイヤルゲージ固定部60と、第1直線L1に直線状に連なる第2直線L2に沿って所定の間隔を隔てた等間隔の位置に3個の第2ダイヤルゲージ44が固定された第2ダイヤルゲージ固定部62と、第1ダイヤルゲージ固定部60と第2ダイヤルゲージ固定部62との互いに接近した端部間に連結して、それら第1ダイヤルゲージ固定部60と第2ダイヤルゲージ固定部62と相互に一体的に連結する長手状の連結部64と、第1ダイヤルゲージ固定部60の両端部のうち第2ダイヤルゲージ固定部62から離れた端部に設けられた第1基準面調整用ダイヤルゲージ48と、第2ダイヤルゲージ固定部62の両端部のうち第1ダイヤルゲージ固定部60から離れた端部に上定盤16の周方向に離隔した2箇所に設けられた一対の第2基準面調整用ダイヤルゲージ52及び第3基準面調整用ダイヤルゲージ54と、を備えている。
【0020】
第1直線L1および第2直線L2は、下定盤14の上面の回転中心線C1を通る共通の直径上に位置している。第1ダイヤルゲージ固定部60は、上定盤16の回転中心線C1に向かって緩やかの幅寸法が増加する第1ダイヤルゲージ固定部本体66を有している。第1ダイヤルゲージ固定部本体66は、長手状の連結部64の一端部に第1連結ねじ68により締結されることで、第1ダイヤルゲージ固定部本体66が、連結部64に一体的に連結されている。第1ダイヤルゲージ固定部本体66には、3個の第1ダイヤルゲージ42が固定された第1ダイヤルゲージ固定部材70が重ねられた状態で第1ねじ72により固定されている。
【0021】
第1ダイヤルゲージ固定部材70には、3個の第1ダイヤルゲージ42を差し通した状態で押しねじ74により固定するゲージ固定穴74が、第1直線L1に沿って複数設けられている。ゲージ固定穴74は、第1ダイヤルゲージ42の配置間隔よりも短い等間隔で、第1ダイヤルゲージ42の個数よりも多い数で複数個形成されている。
【0022】
第2ダイヤルゲージ固定部62は、上定盤16の回転中心線C1から離れるほど幅寸法が増加する扇状に形成された第2ダイヤルゲージ固定部本体76を、有している。第2ダイヤルゲージ固定部本体76は、第1ダイヤルゲージ固定部60側の端部が連結部64の他端部に第2連結ねじ78により締結されることで、第2ダイヤルゲージ固定部本体76が連結部64に一体的に連結されている。第2ダイヤルゲージ固定部本体76には、3個の第2ダイヤルゲージ44が固定された第2ダイヤルゲージ固定部材80が重ねられた状態で第2ねじ82により固定されている。
【0023】
第2ダイヤルゲージ固定部材80には、第1ダイヤルゲージ固定部材70と同様に3個の第2ダイヤルゲージ44を差し通した状態で押しねじ84により固定するゲージ固定穴86が、第1直線L1に沿って複数設けられている。ゲージ固定穴86は、第2ダイヤルゲージ44の配置間隔よりも短い等間隔で、第2ダイヤルゲージ44の個数よりも多い数で複数個形成されている。
【0024】
連結部64は、第1連結ねじ68及び第2連結ねじ78によって、両端部が第1ダイヤルゲージ固定部本体66及び第2ダイヤルゲージ固定部本体76に連結された直線状の連結部材88と、7本の締結ねじ90により連結部材88の側面に固定された補強板92とを備えている。補強板92は、回転中心線C1に平行な方向で連結部材88に固定されている。
【0025】
第1掛止装置50、第2掛止装置56及び第3掛止装置58は、同様に構成れているので、第1掛止装置50に代表させて説明する。第1掛止装置50は、
図6に示すように、マイクロメータ94が立設され、マイクロメータ94の接触子(ねじ)94aを介して上定盤16の上面に掛け止められるブロック状の上アーム96と、第1ダイヤルゲージ固定部本体66の下面に掛け止められる板状の下アーム98と、上アーム96の一端と下アーム98の一端とを連結するアーム連結柱100と、を備え、全体としてコの字状或いはフック状に形成されている。
【0026】
板状の下アーム98の、上アーム96に設けられたマイクロメータ94に対応する位置には、U字状切欠102が形成されている。U字状切欠102は、ダイヤルゲージ支持装置46を上定盤16に吊り下げたときに第1基準面調整用ダイヤルゲージ48を嵌め入れるためものであり、第1基準面調整用ダイヤルゲージ48の接触子48aとマイクロメータ94の接触子94aとを同心位置とする。第2掛止装置56では、第2基準面調整用ダイヤルゲージ52の接触子52aとマイクロメータ94の接触子94aとが同心位置とされ、第3掛止装置58では、第3基準面調整用ダイヤルゲージ54の接触子54aとマイクロメータ94の接触子94aとが同心位置とされる。
【0027】
第1掛止装置50のマイクロメータ94は、ダイヤルゲージ支持装置46の一端部と上定盤16との間隔を調整する第1調整ねじとして機能し、第2掛止装置56のマイクロメータ94及び第3掛止装置58のマイクロメータ94は、ダイヤルゲージ支持装置46の他端部と上定盤16との間隔を調整する第2調整ねじ及び第3調整ねじとして機能している。
【0028】
第1ダイヤルゲージ固定部本体66の外周側端部には、1本の基準面創生支柱110が立設され、第2ダイヤルゲージ固定部本体76の外周側端部のうち、周方向に離隔した2箇所には、2本の基準面創生支柱110が立設されている。それら基準面創生支柱110は、たとえば5mm程度の径と、2.5mm程度のRを有する先端部とを有している。このような形状を有する3本の基準面創生支柱110は、御影石定盤上に接触することで、基準面を創生する。また、3本の基準面創生支柱110は、上定盤16の表面の研磨パッド14aに当接した場合には、研磨パッド14aにめり込むことが可能である。
【0029】
以上のように構成された上定盤平坦度測定器40は、例えば、御影石製の平坦度の高い基準定盤上において、第1ダイヤルゲージ固定部60と第2ダイヤルゲージ固定部62に立設され、先端部がR形状である同じ高さの3本の基準面創生支柱110により支持された状態で、ダイヤルゲージ支持装置46の第1ダイヤルゲージ固定部60及び第2ダイヤルゲージ固定部62を基準定盤と平行とした上で、各第1ダイヤルゲージ42及び各第2ダイヤルゲージ44の表示と第1基準面調整用ダイヤルゲージ48、第2基準面調整用ダイヤルゲージ52、第3基準面調整用ダイヤルゲージ54の表示を、たとえば零に予め設定し、次いで、第1掛止装置50、第2掛止装置56及び第3掛止装置58により、上定盤16の下面の回転中心線C1とダイヤルゲージ支持装置46の中心とが同心となるようにダイヤルゲージ支持装置46を上定盤16に吊り下げた状態でマイクロメータ94を操作することで、第1基準面調整用ダイヤルゲージ48、第2基準面調整用ダイヤルゲージ52、第3基準面調整用ダイヤルゲージ54の表示を零としたとき、各第1ダイヤルゲージ42及び各第2ダイヤルゲージ44の表示を読み取ることにより、上定盤16の平坦度を測定する。このとき、先端がR形状である3本の基準面創生支柱110は、硬い御影石定盤には食い込まないが、上定盤16の表面にある軟質の研磨パッドには食い込むことが可能であるため、第1基準面調整用ダイヤルゲージ48を零に調整することが容易である。
【0030】
上述のように、本実施例の両面研磨装置12の上定盤平坦度測定器40によれば、第1掛止装置50より、ダイヤルゲージ支持装置46の一端部が上定盤16の外周縁に掛け止められ、第2掛止装置56及び第3掛止装置58により、ダイヤルゲージ支持装置46の他端部の一対の第2基準面調整用ダイヤルゲージ52及び第3基準面調整用ダイヤルゲージ54が設けられている部分が上定盤16の外周縁にそれぞれ掛け止められる。このように、ダイヤルゲージ支持装置46の一端部が第1掛止装置50を介して上定盤16の外周縁に掛け止められ、ダイヤルゲージ支持装置46の他端部が第2掛止装置56及び第3掛止装置58を介して上定盤16の外周縁に掛け止められた状態で、ダイヤルゲージ支持装置46に固定された複数個の第1ダイヤルゲージ42及び複数個の第2ダイヤルゲージ44を用いて、上定盤16の平坦度が測定される。これにより、上定盤16の下側から上定盤16の下面に向かって上定盤平坦度測定器40を上方へ押し当てる必要がないので、作業者が重量物である上定盤16の下に入ることがなく安全な作業となる。また、上定盤16を両面研磨装置12から取り外すことなく、上定盤16の平坦度を容易に測定することが可能となる。
【0031】
本実施例の両面研磨装置12の上定盤平坦度測定器40によれば、ダイヤルゲージ支持装置46の一端部に設けられた第1基準面調整用ダイヤルゲージ48と、ダイヤルゲージ支持装置46の他端部に上定盤16の周方向に離隔した位置に設けられた一対の第2基準面調整用ダイヤルゲージ52及び第3基準面調整用ダイヤルゲージ54とが、備えられ、第1掛止装置50は、ダイヤルゲージ支持装置46の一端部と上定盤16との間隔を調整するマイクロメータ(第1調整ねじ)94を有するものであり、第2掛止装置56及び第3掛止装置58は、ダイヤルゲージ支持装置46の他端部の一対の第2基準面調整用ダイヤルゲージ52及び第3基準面調整用ダイヤルゲージ54が設けられている部分と上定盤16との間の間隔をそれぞれ調整するマイクロメータ(第2調整ねじ及び第3調整ねじ)94をそれぞれ有するものである。これにより、上定盤16に掛け止められた状態で、第1基準面調整用ダイヤルゲージ48、一対の第2基準面調整用ダイヤルゲージ52及び第3基準面調整用ダイヤルゲージ54が、ダイヤルゲージ支持装置46及び上定盤16を相互に平行となるように表示するように、第1掛止装置50、第2掛止装置56、第3掛止装置58のマイクロメータ(第1調整ねじ、第2調整ねじ及び第3調整ねじ)94がそれぞれ操作されることにより、第1掛止装置50、第2掛止装置56及び第3掛止装置58を介して上定盤16に吊り下げられたダイヤルゲージ支持装置46を上定盤16と平行となるように設定することができ、上定盤16の平坦度を容易に測定することが可能となる。
【0032】
以上、本発明の一実施例を説明したが、本発明は他の態様においても適用される。
【0033】
たとえば、前述の実施例の上定盤平坦度測定器40は、第1ダイヤルゲージ42及び各第2ダイヤルゲージ44をそれぞれ3個ずつ備えたものであったが、4個以上の第1ダイヤルゲージ42及び各第2ダイヤルゲージ44をそれぞれ備えたものであってもよい。
【0034】
また、上定盤平坦度測定器40に設けられた第1ダイヤルゲージ42及び各第2ダイヤルゲージ44は、機械式のものであってもよいし、電子式のものであってもよい。
【0035】
また、前述の実施例の上定盤平坦度測定器40の第1ダイヤルゲージ固定部60は、第1ダイヤルゲージ固定部本体66とそれに固定された第1ダイヤルゲージ固定部材70とから構成されていたが、それら第1ダイヤルゲージ固定部本体66及び第1ダイヤルゲージ固定部材70は、一体の部材から構成されていてもよい。同様に、第2ダイヤルゲージ固定部62は、第2ダイヤルゲージ固定部本体76とそれに固定された第2ダイヤルゲージ固定部材80とから構成されていたが、それら第2ダイヤルゲージ固定部本体76及び第2ダイヤルゲージ固定部材80は、一体の部材から構成されていてもよい。
【0036】
その他一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて用いられるものである。