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特開2024-140933樹脂パッケージモジュール及び樹脂パッケージモジュールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140933
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】樹脂パッケージモジュール及び樹脂パッケージモジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20241003BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20241003BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20241003BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H05K3/34 501D
H05K3/28 B
H01L23/12 F
H01L21/92 603F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052309
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 雄幸
【テーマコード(参考)】
5E314
5E319
【Fターム(参考)】
5E314AA32
5E314BB02
5E314BB11
5E314CC01
5E314EE01
5E314FF05
5E314FF06
5E314GG22
5E319AA03
5E319AA07
5E319AB06
5E319AC02
5E319BB05
5E319CC33
5E319GG05
(57)【要約】
【課題】はんだフラッシュの発生を確実に抑制できる樹脂パッケージモジュールを提供すること。
【解決手段】基板に接続可能なパッドと、はんだを介してパッドに実装される電子部品と、パッドを電子部品とともに被覆するように樹脂でパッケージした樹脂層と、を有し、パッドは、パッドの表裏面を貫通して設けられ、はんだが流入可能な貫通孔を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に接続可能なパッドと、
はんだを介して前記パッドに実装される電子部品と、
前記パッドと前記電子部品を被覆するように樹脂でパッケージした樹脂層と、
を有し、
前記パッドは、当該パッドの表裏面を貫通して設けられ、前記はんだが流入可能な貫通孔を有する、
樹脂パッケージモジュール。
【請求項2】
前記貫通孔は、前記パッドの全面に亘り、複数所定間隔を空けて形成されている、
請求項1記載の樹脂パッケージモジュール。
【請求項3】
前記パッドを表面に有し、前記表面を前記電子部品とともに前記樹脂層により被覆された前記基板を有する、
請求項1記載の樹脂パッケージモジュール。
【請求項4】
貫通孔が形成されたパッドに、前記貫通孔を中空にした状態ではんだを介して電子部品の端子を接続して実装し、
次いで、前記パッド及び前記パッドに実装された前記電子部品を樹脂で上方から被覆して樹脂層を形成することにより一体化してなる樹脂パッケージモジュールを形成する、
樹脂パッケージモジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂パッケージされた樹脂パッケージモジュール及び樹脂パッケージモジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント基板においてICチップ、コンデンサ等の電子部品をはんだ実装し、この実装部分を樹脂で封止したパッケージモジュールが知られている。
【0003】
図1Aに示すように、パッケージモジュール1は、一般的には、基板2のパッド2aに電子部品3の電極3aをはんだ材4により接合し、樹脂5で被覆することにより形成される。
【0004】
このようなパッケージモジュール1は、マザーボード等にリフローで実装する際に、はんだフラッシュFが生じることが知られている(図1B参照)。
【0005】
はんだフラッシュFは、リフロー時に再度はんだ材4の溶融温度まで加熱した際に、図1Bに示すように、はんだ材4が再溶融して体積膨張することによって、樹脂5と電子部品3の界面或いは樹脂5と基板2の界面を剥離しながら流れ込む現象である。この現象により電極3a、3a間がショートするため、樹脂パッケージモジュール1が正常に機能しなくなる恐れがある。
【0006】
したがって、パッケージモジュール1において、はんだフラッシュ現象への対策は重要であり、種々の対策がなされている。
【0007】
例えば、特許文献1では、電子部品を実装した基板を被覆する樹脂層に添加される無機フィラーの粒径を規定して、樹脂層と電子部品との間等の密着性を向上させることにより、はんだフラッシ発生の抑制を図る部品内蔵モジュールの製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005-39158公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1は、樹脂の性質を変更して樹脂層と基板との密着性を確保し、また樹脂層と電子部品との密着性も確保することにより、これらの間に再溶融したはんだが入り込むことを防止し、はんだフラッシュの発生を根本的には防止していない。
【0010】
これにより、特許文献1では、外部からの振動、衝撃あるいは熱サイクル等により、樹脂層と電子部品との間や、樹脂層と基板との間に隙間が発生した場合、はんだフラッシュの発生を抑制することができないという問題があった。
【0011】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、はんだフラッシュの発生を確実に抑制できる樹脂パッケージモジュール及び樹脂パッケージモジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る樹脂パッケージモジュールの一態様は、
基板に接続可能なパッドと、
はんだを介して前記パッドに実装される電子部品と、
前記パッドと前記電子部品を被覆するように樹脂でパッケージした樹脂層と、
を有し、
前記パッドは、当該パッドの表裏面を貫通して設けられ、前記はんだが流入可能な貫通孔を有する構成を採る。
【0013】
本発明に係る樹脂パッケージモジュールの製造方法の一態様は、
貫通孔が形成されたパッドに、前記貫通孔を中空にした状態ではんだを介して電子部品の端子を接続して実装し、
次いで、前記パッド及び前記パッドに実装された前記電子部品を樹脂で上方から被覆して樹脂層を形成することにより一体化してなる樹脂パッケージモジュールを形成するようにした。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、はんだフラッシュの発生を確実に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1Aは、従来の樹脂パッケージモジュールを模式的に示す側断面図であり、図1Bは、図1Aに示す従来の樹脂パッケージモジュールにおいてはんだフラッシュが発生した状態を示す側断面図である。
図2】本発明の実施の形態に係る樹脂パッケージモジュールの外観斜視図である。
図3図2のA―A線断面図である。
図4図4Aは、樹脂パッケージモジュールにおける電子部品の実装を模式的に示す断面図であり、図4Bは、樹脂パッケージモジュールのパッドの平面図である。
図5図4Aに示す樹脂パッケージモジュールに再リフローを施した状態を模式的に示す断面図である
図6】リフローで半導体ICバンプに接続した凹部を有する基板側の端子を示す図である。
図7】リフローする前の凹部を有する基板側の端子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図2は、本発明の実施の形態に係る樹脂パッケージモジュールの外観斜視図であり、図3は、図2のA―A線断面図である。
【0018】
図2及び図3に示す樹脂パッケージモジュール10は、基板20と、電子部品40、50、60と、樹脂層70とを有する。
【0019】
樹脂パッケージモジュール10は、基板20の実装面に電子部品40、50、60が実装され、これら電子部品40、50、60の上方から実装面を被複するように樹脂層70が設けられることで形成されている。
【0020】
基板20は、図3に示すような絶縁体と回路パターンを複数積み重ねた、多層基板やビルドアップ基板で構成されることが一般的であるが、片面基板や両面基板であっても良い。また、基板20は、上記リジッド基板のみならず、フレキシブル基板であっても良く、基板材質は問わない。
【0021】
基板20の表面(実装面)には、電子部品40、50、60を含む実装部品に電気的に接続されるパッド30(図4参照)等の端子が配設されている(図4参照)。端子は回路の一部であってもよい。
【0022】
電子部品40、50、60は、例えば半導体部品、チップ部品、水晶振動子、コンデンサ、コイル、抵抗等であり、基板20にはんだを介して実装される部品であればどのような部品であってもよい。樹脂パッケージモジュール10は、複数個、複数種類の電子部品40、50、60を同時に内蔵させて、樹脂層70内で所望の回路を構成されてもよい。
【0023】
樹脂層70は、封止樹脂により形成され、電子部品40、50、60が実装される基板20の実装面を封止する。樹脂層70は、基板20に実装される電子部品40、50、60、電子回路などを保護するとともに、電子部品の発熱を放出する機能を有することが好ましい。樹脂層70は、例えば、熱硬化性のエポキシ樹脂等の樹脂を用いて形成される。樹脂層70は、エポキシ樹脂に無機フィラーを含有したエポキシ樹脂としてもよい。
【0024】
図4は、樹脂パッケージモジュールの要部構成の説明に供する図であり、図4Aは、樹脂パッケージモジュールにおける電子部品の実装を模式的に示す断面図であり、図4Bは、樹脂パッケージモジュールのパッドの平面図である。図4では、樹脂パッケージモジュール10において、電子部品40の基板20への実装を示しているが、電子部品50、60も同様に実装されてもよい。
【0025】
図4に示す電子部品40は、直方形状に形成されている。電子部品40は、例えば、コンデンサであり、部品本体42と、部品本体42を挟むように配置され、部品本体42に接続された電極44、44と、を有する。
【0026】
電子部品40は、樹脂層70内で電極44、44ではんだ46を介してパッド30に電気的に接続されている。図4Aでは、はんだ46は、はんだフィレットとしてパッド30と電極44、44間に設けられている。
【0027】
はんだ46は、錫を主成分とするソルダーペーストであり、パッド30と電極44の双方の間に介在させて、リフローによりはんだ46を溶融状態(液相)にすることで、パッド30と電極44の結合部に合金層(金属間化合物)を形成し接合する。なお、パッド30は、ニッケル-金メッキ等の表面処理がなされた銅箔であり、電極44は、下地に銅や銀、表面にニッケル-錫メッキ層が形成されたものが一般的である。
【0028】
電極44は、パッド30上に配置されている。電極44はパッド30と平面視同形状である。これにより、電極44は、パッド30との導通面積を効果的に確保でき、双方間で効率良く導通できる。
【0029】
パッド30は、表裏面を貫通する貫通孔32を有する。詳細は後述するが、貫通孔32は、はんだ46による接続部分に再リフローが行われる場合に、樹脂層70内で溶融して余剰となるはんだ46を流入可能に構成される。貫通孔32は、流入するはんだ46を収容する。
【0030】
貫通孔32は、例えば、パッド30の全面に亘って複数配設され、再リフロー時において溶融して膨張するはんだを好適に収容する。貫通孔32は、パッド30の全面に亘って所定間隔を空けて設けられ、はんだ接続時或いは樹脂層70形成時のリフロー後、つまり、基板20が電子部品40、50、60を実装して樹脂層70で被覆された状態では、貫通孔32の内部は中空状態である。
【0031】
図4Aに示すように貫通孔32は、パッド30のみを貫通して設けられているが、基板20にも連通して設けられてもよい。すなわち、パッド30には電極44が全面に接続されているとともに、貫通孔32は、電極44の直下で開口して形成されている。
【0032】
<樹脂パッケージモジュール10の動作>
樹脂パッケージモジュール10は、基板20を、基板20上に実装された電子部品40、50、60とともに樹脂パッケージしてなる。樹脂パッケージモジュール10では、パッド30は、中空(空孔)状態である貫通孔32を有した状態で電極44にはんだ接合された構成となっている。
【0033】
図5は、図4Aに示す樹脂パッケージモジュール10に再リフローを施した状態を模式的に示す断面図である。
【0034】
図5に示すように、この樹脂パッケージモジュール10を、例えば、マザーボード等の基板200にリフローして実装する場合、樹脂パッケージモジュール10においては、樹脂層70に内蔵された状態のはんだ46は再リフローされる。
【0035】
このとき、樹脂層70内では、樹脂層70に被覆されたはんだ46は、再溶融して体積が膨張しようとする(溶融したはんだ46は黒矢印方向に膨張しようとする)。
【0036】
しかしながら、パッド30は、中空状態である貫通孔32を有する(図4参照)ので、
溶融して膨張したはんだ46は、樹脂層70と電極44、樹脂層70とパッド30との密着した界面を押圧することなく、貫通孔32に流れる(矢印Rで示す)。
【0037】
本実施の形態の樹脂パッケージモジュール10は、基板20に接続可能なパッド30と、はんだ46を介してパッド30に実装される電子部品40、50、60と、パッド30と電子部品40、50、60を被覆するように樹脂でパッケージした樹脂層70とを有する。パッド30は、パッド30の表裏面を貫通して設けられ、はんだ46が流入可能な貫通孔32を有する。
【0038】
また、樹脂パッケージモジュール10の製造方法は、貫通孔32が形成されたパッド30に、貫通孔32を中空にした状態ではんだ46を介して電子部品40の端子(電極44)を接続して実装する。次いで、パッド30及びパッド30に実装された電子部品40、50、60を樹脂で上方から被覆して樹脂層70を形成することにより一体化することで形成される。
【0039】
このように、貫通孔32は、再リフロー時に発生する溶融はんだ46を収容できるので、電極44、パッド30との界面で発生する応力は低減し、再リフロー時における電子部品40のはんだフラッシュを抑制できる。これを実現する樹脂パッケージモジュール10を製造できる。
【0040】
<樹脂パッケージモジュール10製造後の空孔(中空)状態である貫通孔32>
図6は、リフローで半導体ICバンプに接続した凹部を有する基板側の端子を示す図であり、図7は、リフローする前の凹部を有する基板側の端子を示す図である。
【0041】
図6に示すように、樹脂層700内において、基板300上(詳細には、基板300の表面の絶縁面部302)に設けられた端子200aは、上方に開口する凹部210を有する。この端子200aには、はんだバンプ406を介して電子部品400(詳細には、半導体IC400の表面の絶縁面部402)の電極440が接続されている。凹部210内には、はんだ空隙が形成されている。はんだ空隙は、図7に示すように樹脂層700を形成する前に、ソルダーペースト406Aを、端子200aの凹部210を塞ぐように配置しリフローすることによって形成される知見を得ている。
【0042】
すなわち、はんだバンプ406の下方に凹部を設けて、凹部210をはんだバンプ406或いはソルダーペースト406Aで閉塞してリフローすることにより、凹部には、空隙が形成される。これは、凹部210を貫通孔32に変えた場合も同様であり、本実施の形態のように、端子であるパッド30に貫通孔32を設けてリフローすると、貫通孔32にはんだ46が流入することなく、貫通孔32が中空状態のまま、樹脂パッケージモジュール10を製造できる。なお、図7において、凹部210を連通させた状態、つまりソルダーペースト406Aで凹部210を閉塞しない状態でリフローすると、凹部210内に溶融したソルダーペースト(はんだ)406Aを流入させることができる。よって、樹脂パッケージモジュール10を製造する際には、上述の現象をリフロー時、再リフロー時で用いることができる。
【0043】
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明に係る樹脂パッケージモジュール及び樹脂パッケージモジュールの製造方法は、はんだフラッシュの発生を確実に抑制できる効果を有し、安定した機能を有する樹脂パッケージモジュールを有する基板を備える装置に用いるものとして有用である。
【符号の説明】
【0045】
20、300 基板
21 積層基板
30 パッド
32 貫通孔
40、50、60 電子部品
42 部品本体
44、440 電極
70、700 樹脂層
200 基板
200a 端子
210 凹部
400 半導体IC
406 はんだバンプ(はんだ)
406A ソルダーペースト(はんだ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7