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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140946
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】スイッチング回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
H02M3/155 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052332
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 真吾
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA15
5H730AS04
5H730BB14
5H730BB57
5H730DD04
5H730DD12
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD41
5H730FG05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】直列接続のスイッチング素子におけるVdsを測定することなく各スイッチング素子の電圧をバランスされた状態に制御する。
【解決手段】スイッチング回路1は、直流電圧源10と、直流電圧源10の高電位側端子11に接続されたインダクタ30と、複数のスイッチング素子が直列に接続されたスイッチング部20と、少なくとも1つのダイオードで構成された導通部40と、各スイッチング素Q1,Q2のターンONおよびターンOFFの制御を行う制御部80とを有し、制御部80は、出力電圧が設定値となるように、各スイッチング素子Q1,Q2のON・OFF動作のデューティ比を定める主制御部81と、各スイッチング素子Q1,Q2のOFF期間における各スイッチング素子Q1,Q2の第1端子と第2端子の電位差が、各平均値に近づくように、各スイッチング素子Q1,Q2のターンOFFのタイミングを補正するタイミング補正部82と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電位側端子と低電位側端子とを有しており、設定された直流電圧を出力する直流電圧源と、
一端が前記直流電圧源の高電位側端子に接続されたインダクタと、
前記インダクタの他端と前記直流電圧源の低電位側端子との間に接続されており、複数のスイッチング素子が直列に接続されたスイッチング部と、
前記インダクタの他端と負荷との間に接続されているとともに、アノードが前記インダクタの他端側であり、カソードが前記負荷側となるように配置された少なくとも1つのダイオードで構成された導通部と、
前記スイッチング部に含まれる各スイッチング素子のターンONおよびターンOFFのスイッチングの制御を行う制御部と、
を有し、
前記制御部は、
出力端における出力電圧の検出値が設定値となるように、前記各スイッチング素子のON・OFF動作のデューティ比を定める主制御部と、
前記各スイッチング素子のOFF期間における前記各スイッチング素子の第1端子と第2端子との間の電位差が、それぞれ平均値に近づくように、前記各スイッチング素子のターンOFFのタイミングを補正するタイミング補正部と、
を有するスイッチング回路。
【請求項2】
前記タイミング補正部における補正量は、前記各スイッチング素子のON期間中の前記インダクタのインダクタ電流の電流値と既知の値とに基づいて算出する、
請求項1に記載のスイッチング回路。
【請求項3】
前記スイッチング部に含まれる各スイッチング素子の寄生容量のバラツキを小さくする外付けのコンデンサを有する、
請求項1または2に記載のスイッチング回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング回路に関する。
【背景技術】
【0002】
MOSFETの耐圧を超える回路ではMOSFETを直列接続することにより高耐圧化が図られる。しかし、直列接続のMOSFETは、電圧バランスが悪いなど、MOSFET同士でバラツキがあると、一部のMOSFETにデバイスの定格を超える高電圧が加わり最悪の場合に破損する恐れがある。
【0003】
直列の各FETのドレインーソース間の電圧Vdsを測定して各Vdsをバランスされた状態に制御する制御方式が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-114142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、各FETのVdsを測定する制御方式では、各FETの第1端子と第2端子との間の電位差を検出する検出器をFET毎に設ける必要があり、全体的に大型化してしまう。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、直列接続のスイッチング素子におけるVdsを測定することなく各スイッチング素子の電圧をバランスされた状態に制御することが可能なスイッチング回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるスイッチング回路は、高電位側端子と低電位側端子とを有しており、設定された直流電圧を出力する直流電圧源と、一端が前記直流電圧源の高電位側端子に接続されたインダクタと、前記インダクタの他端と前記直流電圧源の低電位側端子との間に接続されており、複数のスイッチング素子が直列に接続されたスイッチング部と、前記インダクタの他端と負荷との間に接続されているとともに、アノードが前記インダクタの他端側であり、カソードが前記負荷側となるように配置された少なくとも1つのダイオードで構成された導通部と、前記スイッチング部に含まれる各スイッチング素子のターンONおよびターンOFFのスイッチングの制御を行う制御部と、を有し、前記制御部は、出力端における出力電圧の検出値が設定値となるように、前記各スイッチング素子のON・OFF動作のデューティ比を定める主制御部と、前記各スイッチング素子のOFF期間における前記各スイッチング素子の第1端子と第2端子との間の電位差が、それぞれ平均値に近づくように、前記各スイッチング素子のターンOFFのタイミングを補正するタイミング補正部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、直列接続のスイッチング素子におけるVdsを測定することなく各スイッチング素子の電圧をバランスされた状態に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係るスイッチング回路の構成の一例を示す図である。
図2図2は、各スイッチング素子の第1端子と第2端子との間の電位差Vdsの変化割合を説明する図である。
図3図3は、キャパシタンスにバラツキがある場合の各スイッチング素子の第1端子と第2端子との間の電位差の変化割合を説明する図である。
図4図4は、各スイッチング素子や対応するゲート駆動回路の部品の精度のバラツキによって各スイッチング素子のターンOFFのタイミングにバラツキが生じる場合の説明図である。
図5図5は、補正量を算出する方法を説明するための図である。
図6図6は、第1スイッチング素子のターンOFFのタイミングを2.21ns遅延させた場合の各電圧Vdsの変化の一例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係るスイッチング回路の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明にかかるスイッチング回路の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
(実施形態)
図1は、実施形態に係るスイッチング回路1の構成の一例を示す図である。スイッチング回路1は、直流電圧源10、インダクタ30、スイッチング部20、導通部40、平滑コンデンサ50、電圧検出部60、電流検出部70、制御部80、Q1用ゲート駆動回路91およびQ2用ゲート駆動回路92を有している。
【0012】
直流電圧源10は、高電位側端子11と低電位側端子12とを有しており、設定された直流電圧を出力する。直流電圧源10は、例えば、DC-DCコンバータによって構成されている。本実施形態において、直流電圧を500Vとし、高電位側端子11を電位が500Vのプラス端子とし、低電位側端子12をGND電位のGND端子としているが、これは一例であり、これに限定されるものではない。
【0013】
例えば、高電位側端子11の電位がGND電位であり、低電位側端子12の電位が-500Vであってもよい。
【0014】
また、直流電圧は、10kV以上の高電圧であってもよい。このような高電圧の場合は、後述するスイッチング部20に含まれる直列のスイッチング素子の個数を多くして、スイッチング素子1つあたりにおける電位差を低減させることが望ましい。
【0015】
インダクタ30は、一端が電流検出部70を介して直流電圧源10の高電位側端子11に接続され、他端がスイッチング部20に接続されている。
【0016】
スイッチング部20は、インダクタ30の他端と直流電圧源10の低電位側端子12との間に直列に接続された複数のスイッチング素子を有する。図1に示すMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)がスイッチング素子の一例である。複数のスイッチング素子Q1、Q2は、それぞれにおいて第1端子、第2端子、および第3端子を有する。第1端子がMOSFETのドレインに対応し、第2端子がMOSFETのソースに対応し、第3端子がMOSFETのゲートに対応する。この構成において、インダクタ30の他端は、スイッチング素子Q1の第1端子と接続される。また、直流電圧源10の低電位側端子12とスイッチング素子Q2の第2端子とが接続される。
【0017】
導通部40は、インダクタ30と負荷100との間に接続されており、一端が第1ノードN1に接続され、他端が高電位側出力端子T1に接続されている。低電位側出力端子T2は、第2ノードN2に接続されている。なお、第1ノードN1は、インダクタ30とスイッチング部20との接続点のことを指す。また、第2ノードN2は、スイッチング部20と低電位側端子12との接続点のことを指す。
【0018】
本実施形態において、導通部40は2つのダイオード41、42が直列に接続された構成となっている。各ダイオード41、42は、アノードがインダクタ30の他端側つまり第1ノードN1側で、カソードが負荷100側つまり高電位側出力端子T1側となるように配置されている。なお、これらダイオードの数は限定されず、両端にかかる電位差等の使用環境によって、適切な数が設定される。
【0019】
平滑コンデンサ50は、スイッチング回路1の出力端における電圧を平滑化する。本実施形態において、平滑コンデンサ50は、高電位側出力端子T1と低電位側出力端子T2との間に接続されて、負荷100に出力される電圧を平滑化する。
【0020】
電圧検出部60は、スイッチング回路1の出力端の出力電圧Voutを検出し、その検出信号を出力電圧の検出値(Vout_det)として主制御部81に向けて出力する。電圧検出部60は、高電位側出力端子T1と低電位側出力端子T2の間の電位差を出力電圧Voutとして検出する。出力電圧の検出値(Vout_det)は、実際にはA/D変換器等を介して主制御部81に入力されるが、ここではA/D変換器等の図示を省略している。
【0021】
電流検出部70は、直流電圧源10の高電位側端子11とインダクタ30との間に流れるインダクタ電流ILを検出し、その検出信号をインダクタ電流ILの検出値(IL_det)としてタイミング補正部82に向けて出力する。インダクタ電流ILの検出値(IL_det)は、実際にはA/D変換器等を介してタイミング補正部82に入力されるが、ここではA/D変換器等の図示を省略している。
【0022】
制御部80は、主制御部81およびタイミング補正部82を含んでいる。
【0023】
主制御部81は、スイッチング回路1の出力端における出力電圧の検出値(Vout_det)が設定値(Vout_set)となるように、各スイッチング素子Q1、Q2のON・OFF動作のディーティ比(duty)を定める。
【0024】
具体的には、設定値として次の(1)~(3)の情報を主制御部81に入力する。これらの情報は、例えば、別の装置から主制御部81に入力してもよいし、図示しないユーザインタフェースを介して入力してもよい。
【0025】
(1)スイッチング回路1の出力端における出力電圧の設定値Vout_set
【0026】
(2)スイッチング周期の設定値Tsw_set又はスイッチング周波数の設定値Freq_set
【0027】
(3)デューティ比の初期値Duty_ini
【0028】
上記(2)と(3)の情報によって、各スイッチング素子Q1、Q2のON・OFF動作のデューティ比(duty)の初期値を定める。
【0029】
また、検出値として次の情報を入力する。
【0030】
(4)スイッチング回路1の出力端における出力電圧の検出値Vout_det
【0031】
(4)の情報は、電圧検出部60から出力されたものである。この出力電圧の検出値Vout_detが(1)の出力電圧の設定値Vout_setとなるように、デューティ比(duty)の更新値(Duty)をタイミング補正部82に出力する。
【0032】
タイミング補正部82は、各スイッチング素子Q1、Q2のOFF期間における各スイッチング素子Q1、Q2の第1端子と第2端子との間の電位差が、それぞれ平均値に近づくように、各スイッチング素子Q1、Q2のターンOFFのタイミングを補正する。これにより、各スイッチング素子Q1、Q2のターンOFFのタイミングが異なるので、各スイッチング素子Q1、Q2用のスイッチング制御信号Ssw1、Ssw2を生成して、対応するQ1用のゲート駆動回路91とQ2用のゲート駆動回路92に向けて出力する。
【0033】
なお、タイミング補正部82は、各スイッチング素子Q1、Q2がターンOFFした後に、各スイッチング素子Q1、Q2の第1端子と第2端子との間の電位差が大きくなる過程を経て、それぞれの電位差の合計値が出力電圧Vout(スイッチング回路1の高電位側出力端子T1と低電位側出力端子T2との間の電位差)、実施形態の一例では1000V、と等しくなったときに、各スイッチング素子Q1、Q2の第1端子と第2端子との間の電位差が、いずれも平均値に近づくように、各スイッチング素子Q1、Q2のターンOFFのタイミングを補正してもよい。
【0034】
具体的には、設定値として次の(1)~(8)の情報をタイミング補正部82に入力する。これらの情報は、例えば別の装置から入力してもよいし、図示しないユーザインタフェースを介して入力してもよい。
【0035】
タイミング補正部82は、(1)~(8)の情報を用いて補正時間を算出する。
【0036】
(1)スイッチング周期の設定値(Tsw_set)又はスイッチング周波数の設定値(Freq_set)
【0037】
(2)直流電圧源10から出力される直流電圧の設定値(Vin_set)
【0038】
(3)インダクタ30のインダクタンスL
【0039】
(4)スイッチング素子Q1の寄生容量Coss1のキャパシタンスCcoss1
【0040】
(5)スイッチング素子Q2の寄生容量Coss2のキャパシタンスCcoss2
【0041】
(6)デューティ比(duty)の更新値(Duty)
【0042】
また、検出値として次の情報を入力する。
【0043】
(7)電流検出部70から出力された、直流電圧源10の高電位側端子11とインダクタ30との間に流れるインダクタ電流ILの検出値(IL_det)
【0044】
(8)電圧検出部60から出力された、スイッチング回路1の出力端における出力電圧の検出値(Vout_det)
【0045】
なお、(8)の検出値(Vout_det)の代わりに、次の(9)の設定値(Vout_set)を用いても良い。
【0046】
(9)スイッチング回路1の出力端における出力電圧の設定値(Vout_set)
【0047】
ただし、実際の検出値である(8)の検出値(Vout_det)を用いた方が、実際に即した制御ができるので好ましい。
【0048】
Q1用ゲート駆動回路91およびQ2用ゲート駆動回路92は、タイミング補正部82から出力された各スイッチング素子Q1、Q2用のスイッチング制御信号Ssw1、Ssw2に基づいて、対応するスイッチング素子Q1、Q2のそれぞれの第3端子と第2端子との間の電位差を制御して、各スイッチング素子Q1、Q2のON・OFF動作を制御する。
【0049】
<各スイッチング素子Q1、Q2のターンOFF時の寄生容量Coss1、Coss2への充電動作の説明>
【0050】
上記の構成では、各スイッチング素子Q1、Q2がONのときに、第1ノードN1が直流電圧源10の低電位側端子12の電位(GND電位)と同じ電位になる。このとき、導通部40は非導通なので、直流電圧源10の高電位側端子11→インダクタ30→スイッチング素子Q1→スイッチング素子Q2→直流電圧源10の低電位側端子12の経路で電流が流れる。
【0051】
なお、各スイッチング素子Q1、Q2がターンONすると、寄生容量Coss1、Coss2に充電されていた電荷が放電されるので、各スイッチング素子Q1、Q2の第1端子と第2端子との間の電位差は絶対値が小さくなっていく。
【0052】
その後、各スイッチング素子Q1、Q2が同時にターンOFFすると、各スイッチング素子Q1、Q2の第1端子(ドレイン)と第2端子(ソース)との間が非導通状態となる。ターンOFF直後は、寄生容量Coss1、Coss2が充電されていないので、第1ノードN1の電位は、出力電圧Vout(1000V)よりも低い。そのため、導通部40は導通していない。
【0053】
各スイッチング素子Q1、Q2が同時にターンOFFした後、インダクタ30側からスイッチング部20に含まれる各スイッチング素子Q1、Q2の寄生容量Coss1、Coss2に電流が流れる経路が生じて、寄生容量Coss1、Coss2が充電されていく。これにより、各スイッチング素子Q1、Q2の第1端子と第2端子との間の電位差は絶対値が大きくなっていく。その結果、スイッチング部20の両端間(一端と他端との間)の電位差は絶対値が大きくなっていく。そして、各スイッチング素子Q1、Q2の第1端子と第2端子との間の電位差の合計値が、出力電圧Vout(1000V)と同じになると、電位差の変化が止まり、第1ノードN1の電位が高電位側出力端子T1の電位と同じになる。そのため、導通部40が導通する。
【0054】
図2は、各スイッチング素子Q1、Q2の第1端子と第2端子との間の電位差Vdsの変化割合を説明する図である。図2(a)には、図1に示す回路を簡略して示している。図2(b)には、各スイッチング素子Q1、Q2のON・OFF動作下におけるそれぞれの第3端子と第2端子の間の電位差Vgs(Q1Vgs、Q2Vgs)と、それぞれの第1端子と第2端子の間の電位差Vds(Q1Vds、Q2Vds)と、インダクタ電流ILと、出力電圧Voutとの関係の一例を示している。
【0055】
一例として、図2には、各スイッチング素子Q1、Q2の寄生容量Coss1、Coss2のキャパシタンスCcoss1、Ccoss2にバラツキがなく同じキャパシタンスであるときのものを示している。上述したインダクタ30側から寄生容量Coss1、Coss2に電流が流れる経路で寄生容量Coss1、Coss2が充電される際、各スイッチング素子Q1、Q2の第1端子と第2端子との間の電位差Q1Vds、Q2Vdsは、同じ変化割合で大きくなっていく。図2(b)の、各スイッチング素子Q1、Q2のそれぞれの電位差Q1Vds、Q2Vdsは、同じ変化割合で変化するため一つに重なっている。
【0056】
各スイッチング素子Q1、Q2が同時にターンOFFした場合、各スイッチング素子Q1、Q2の第1端子と第2端子との間の電位差Q1Vds、Q2Vdsは同時に同じ変化割合で大きくなる。従って、各スイッチング素子Q1、Q2の第1端子と第2端子との間の電位差Q1Vds、Q2Vdsの合計値が高電位側出力端子T1と低電位側出力端子T2との間の電位差と同じになったときの電位差Q1Vds、Q2Vdsは、平均値と同じになる。
【0057】
図2(b)に示すように、出力電圧Voutが1000V(直流電圧源10の低電位側出力端子T2に対する高電位側出力端子T1の電位が1000V)、第1スイッチング素子Q1の寄生容量Coss1のキャパシタンスCcoss1が100pF、第2スイッチング素子Q2の寄生容量Coss2のキャパシタンスCcoss2が100pFの場合、第1スイッチング素子Q1の第1端子と第2端子との間の電位差Q1Vdsは500V、第2スイッチング素子Q2の第1端子と第2端子との間の電位差Q2Vdsは500Vとなる。この例では、スイッチング素子Q1、Q2の2つなので、平均値は500Vとなる。すなわち、スイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2のそれぞれにおいて第1端子と第2端子との間の電位差Q1Vds、Q2Vdsは共に平均値500Vと同じになる。
【0058】
<タイミング補正を行う理由について>
一方、各スイッチング素子Q1、Q2の寄生容量Coss1、Coss2のキャパシタンスCcoss1、Ccoss2にバラツキがあるとする。この場合には、各スイッチング素子Q1、Q2のそれぞれにおいて、第1端子と第2端子との間の電位差Vds(電位差Q1Vdsと電位差Q2Vds)の変化割合が異なる。
【0059】
図3は、キャパシタンスCcoss1、Ccoss2にバラツキがある場合の各スイッチング素子Q1、Q2の第1端子と第2端子との間の電位差Q1Vdsと電位差Q2Vdsの変化割合を説明する図である。図3(a)には、キャパシタンスCcoss1、Ccoss2にバラツキがある回路を簡略して示している。図3(b)には、図3(a)に示す回路における、電位差Vgs(Q1Vgs、Q2Vgs)と、電位差Vds(Q1Vds、Q2Vds)と、インダクタ電流ILと、出力電圧Voutとの関係の一例を示している。なお、図3(b)には、電位差Q1Vdsと電位差Q2Vdsとの変化割合の違いを示すためターンオフ時の拡大図を並べて示している。
【0060】
上述したインダクタ30側から寄生容量Coss1、Coss2に電流が流れる経路で寄生容量Coss1、Coss2が充電される際、図3(b)の拡大図に示されるように、各スイッチング素子Q1、Q2の第1端子と第2端子との間の電位差Q1Vdsと電位差Q2Vdsは、異なる変化割合で大きくなっていく。同時に異なる変化割合で大きくなるため、各スイッチング素子Q1、Q2の第1端子と第2端子との間の電位差Q1Vdsと電位差Q2Vdsの差が大きくなる。
【0061】
図3(b)に示すように、例えば、出力電圧Voutが1000V(直流電圧源10の低電位側出力端子T2に対する高電位側出力端子T1の電位が1000V)、第1スイッチング素子Q1の寄生容量Coss1のキャパシタンスCcoss1が100pF、第2スイッチング素子Q2の寄生容量Coss2のキャパシタンスCcoss2が200pFであったとする。この場合、拡大図に示されるように、充電動作で第1スイッチング素子Q1の第1端子と第2端子との間の電位差Q1Vdsは667V、第2スイッチング素子Q2の第1端子と第2端子との間の電位差Q2Vdsは333Vとなる。この段階で、導通部40が導通する。
【0062】
すなわち、各スイッチング素子Q1、Q2のそれぞれの第1端子と第2端子との間の電位差Q1Vdsと電位差Q2Vdsとの間に差が生じる。この差が大きい場合には、スイッチング素子Q1またはスイッチング素子Q2の耐圧上限値を超えてしまう可能性がある。もし、スイッチング素子Q1またはスイッチング素子Q2で耐圧上限値を超えてしまうと、そのスイッチング素子(スイッチング素子Q1またはスイッチング素子Q2)が破損してしまう。
【0063】
<タイミング補正を行う理由について(その他の例)>
また、各スイッチング素子Q1、Q2や対応するゲート駆動回路91、92の部品の精度のバラツキによって、各スイッチング素子Q1、Q2のターンOFFのタイミングにバラツキが生じる可能性がある。
【0064】
図4は、各スイッチング素子Q1、Q2や対応するゲート駆動回路91、92の部品の精度のバラツキによって各スイッチング素子Q1、Q2のターンOFFのタイミングにバラツキが生じる場合の説明図である。図4には、図2などの回路において、各スイッチング素子Q1、Q2のターンOFFのタイミングにバラツキが生じる場合の、電位差Vgs(Q1Vgs、Q2Vgs)と、電位差Vds(Q1Vds、Q2Vds)と、インダクタ電流ILと、出力電圧Voutとの関係の一例を示している。また、電位差Q1Vdsと電位差Q2Vdsとのずれを示すためターンオフ時の拡大図を並べて示している。なお、図4に示す例では、各スイッチング素子Q1、Q2の寄生容量Coss1、Coss2のキャパシタンスCcoss1、Ccoss2は、ともに100pFである。
【0065】
図4において、各スイッチング素子Q1、Q2の第3端子と第2端子との間の電位差(電位差Q1Vgsと電位差Q2Vgs)は、ターンOFFのタイミングによりズレが生じる。
【0066】
上述したインダクタ30側から寄生容量Coss1、Coss2に電流が流れる経路で寄生容量Coss1、Coss2が充電される際、図4の拡大図に示されるように、各スイッチング素子Q1、Q2の第1端子と第2端子との間の電位差Q1Vdsと電位差Q2Vdsは、同じ変化割合で大きくなっていく。同じ変化割合で大きくなるが、ターンオフのタイミングが異なるので、各スイッチング素子Q1、Q2の第1端子と第2端子との間の電位差Q1Vdsと電位差Q2Vdsに差が生じる。
【0067】
図4に示すように、例えば、第1スイッチング素子Q1よりも第2スイッチング素子Q2の方が、ターンOFFのタイミングが早い場合は、各スイッチング素子Q1、Q2の寄生容量Coss1、Coss2のキャパシタンスCcoss1、Ccoss2が同じであっても、第2スイッチング素子Q2の方が、第1端子と第2端子との間の電位差Vdsの変化が早く始まる。そのために、それぞれの電位差Vds(電位差Q1Vdsと電位差Q2Vds)の合計値が出力電圧Vout(スイッチング回路1の高電位側出力端子T1と低電位側出力端子T2との間の電位差)と等しくなったときに、第2スイッチング素子Q2の方が、電位差Vdsが大きくなる。具体的には、ターンOFFのタイミングが5ns早いとき、図4に示す例では第1スイッチング素子Q1の第1端子と第2端子との間の電位差Q1Vdsは275V、第2スイッチング素子Q2の第1端子と第2端子との間の電位差Q2Vdsは725Vとなる。なお、この段階で、導通部40が導通する。
【0068】
<タイミング補正の効果>
本実施形態のスイッチング回路1は、タイミング補正部82を有しており、各スイッチング素子Q1、Q2のターンOFFのタイミングを補正することができる。このため、たとえ、各スイッチング素子Q1、Q2の寄生容量Coss1、Coss2のキャパシタンスCcoss1、Ccoss2にバラツキがあったり、各スイッチング素子Q1、Q2のターンOFFのタイミングにバラツキがあったりしても、各スイッチング素子Q1、Q2のターンOFF時における各スイッチング素子Q1、Q2の第1端子と第2端子との間の電位差Q1Vdsと電位差Q2Vdsのバラツキを低減させることができる。
【0069】
その結果、スイッチング素子Q1、Q2の耐圧上限値を超える可能性が低減し、ひいては、スイッチング損失の増加による破損の可能性を低減させることができる。
【0070】
<補正方法の実施例>
上記のように、各スイッチング素子Q1、Q2がターンOFFすると、インダクタ30側からスイッチング部20に含まれる各スイッチング素子Q1、Q2の寄生容量Coss1、Coss2に電流が流れる経路が生じて、寄生容量Coss1、Coss2が充電される。これにより、各スイッチング素子Q1、Q2の第1端子と第2端子との間の電位差Q1Vdsと電位差Q2Vdsは絶対値が大きくなっていく。
【0071】
そのため、各スイッチング素子Q1、Q2のターンOFF時のインダクタ電流ILの電流値(以下、インダクタ電流ILの電流値のことをインダクタ電流値と称する)が分かれば、インダクタ電流値と他の既知の値とに基づいてタイミング補正部82における補正量を算出することができる。
【0072】
以下、インダクタ電流値と他の既知の値とに基づいてタイミング補正部82が補正量を算出する方法を図5を参照しながら詳しく説明する。
【0073】
図5は、補正量を算出する方法を説明するための図である。
【0074】
[ステップ1]
次の式(1)を用いて、各スイッチング素子Q1、Q2のターンOFF時のインダクタ電流値IL_peakを算出する。式(1)に使用する値は、下記の(a)~(e)である。本実施形態における条件を式(1)に当てはめると、インダクタ電流値IL_peakは22.6Aとなる。
【0075】
なお、この段階では、スイッチング部20に含まれる全てのスイッチング素子Q1、Q2が同時にターンONおよびターンOFFするものとする。
【0076】
IL_peak = IL_0+Vin/L×Ton
= 22.6A ・・・・ (1)
【0077】
(a)~(e)について図5を参照しながら説明する。
【0078】
(a)IL_0
各スイッチング素子Q1、Q2のターンON時のインダクタ30のインダクタ電流値である。このインダクタ電流値IL_0は、例えば、電流検出部70で検出すればよい。
【0079】
本実施形態の場合、図5(b)に示される、各スイッチング素子Q1、Q2のターンON時に電流検出部70で検出したインダクタ30のインダクタ電流値IL_0は、17.6Aであるとする。
【0080】
なお、本実施形態では、スイッチング回路1が昇圧チョッパとして機能するので、インダクタ30のインダクタ電流値ILは、図5(b)に示されるように、各スイッチング素子Q1、Q2のON期間(Ton)に一定の傾き、すなわち単位時間当たりの電流変化量で上昇していき、各スイッチング素子Q1、Q2のターンOFF時に最大値(ピーク値)IL_peakとなる。また、上記の傾きは、式(1)中の「Vin/L×Ton」で表される。
【0081】
これまでの説明で分かるように、式(1)は一次関数なので、必ずしも各スイッチング素子Q1、Q2のターンON時にインダクタ電流値IL_0を検出する必要はない。すなわち、各スイッチング素子Q1、Q2のON期間中に、インダクタ30のインダクタ電流値を検出すれば、各スイッチング素子Q1、Q2のターンOFF時のインダクタ電流値IL_peakを算出することができる。
【0082】
ただし、各スイッチング素子Q1、Q2のターンOFF時の直前にインダクタ電流値を検出すると、各スイッチング素子Q1、Q2のターンOFF時までにタイミング補正部82において、各スイッチング素子Q1、Q2のターンOFFのタイミングの補正量を算出することができないので、算出時間を考慮して、インダクタ電流値の検出タイミングを定める必要がある。
【0083】
(b)Vin
直流電圧源10の端子間(高電位側端子11と低電位側端子12との間)の電位差(500V)である。また、直流電圧源10から出力する直流電圧(500V)は安定しているので、直流電圧源10から出力する直流電圧の設定値Vin_setを用いることができる。設定値Vin_setは既知の値である。なお、本実施形態では、直流電圧源10から出力する直流電圧(500V)の設定値Vin_setは、500Vである。
【0084】
(c)Vout
スイッチング回路1の出力電圧Vout(スイッチング回路1の高電位側出力端子T1と低電位側出力端子T2との間の電位差)と同じである。また、上記のように、電圧検出部60で検出した出力電圧Voutをフィードバックすることによって、出力電圧Voutの安定化を図っているので、既知の値である出力電圧Voutの設定値Vout_setを用いることができる。もちろん、電圧検出部60で検出した出力電圧Voutを用いてもよい。なお、本実施形態では、出力電圧Voutの設定値Vout_setは、1000Vである。
【0085】
(d)Ton
スイッチング素子Q1、Q2のON・OFF動作の1周期中のON期間の時間である。そのため、スイッチング周期の設定値Tsw_setとデューティ比dutyとに基づいて、時間Tonを算出することができる。もちろん、スイッチング周波数の設定値Freq_setとデューティ比dutyを用いて時間Tonを算出してもよい。スイッチング周期の設定値Tsw_set、スイッチング周波数の設定値Freq_setおよびデューティ比dutyは既知の値である。なお、本実施形態では、デューティ比dutyは50%である。
【0086】
(e)L
インダクタ30のインダクタンスLである。インダクタ30のインダクタンスLは予め測定しているので、既知の値である。なお、本実施形態では、インダクタ30のインダクタンスLは500μHである。
【0087】
[ステップ2]
次に、ステップ1で算出した各スイッチング素子Q1、Q2のターンOFF時のインダクタ電流値IL_peakを用いて、各スイッチング素子Q1、Q2の第1端子と第2端子との間の電位差Q1Vdsと電位差Q2Vdsが、それぞれ平均値に近づくように、各スイッチング素子Q1、Q2のターンOFFのタイミングを補正するための補正時間Δtnを算出する。補正時間Δtnは、一例としてターンOFFのタイミングを遅延させる遅延時間として利用できる。
【0088】
例えば、直流電圧源10の高電位側端子11の電位が500V、第1スイッチング素子Q1の寄生容量Coss1のキャパシタンスCcoss1が100pF、第2スイッチング素子Q2の寄生容量Coss2のキャパシタンスCcoss2が200pFの場合に、ステップ1で算出したIL_peakが22.6Aであったとする。また、各スイッチング素子Q1、Q2の第1端子と第2端子との間の電位差の平均値Vaveは500Vであるとする。
【0089】
この条件において、各スイッチング素子Q1、Q2がターンOFFした後に、各スイッチング素子Q1、Q2の第1端子と第2端子との間の電位差Q1Vdsと電位差Q2Vdsが大きくなる過程を経て、各電位差Q1Vdsと電位差Q2Vdsが上記の平均値Vaveになればよい。
【0090】
そこで、スイッチング素子Q1、Q2毎に、第1端子と第2端子との間の電位差の変化割合を算出する。
【0091】
第1スイッチング素子Q1の第1端子と第2端子との間の電位差の変化割合ΔVds1/Δtは、下記の式(2)で表わされ、第2スイッチング素子Q2の第1端子と第2端子との間の電位差の変化割合ΔVds2/Δtは、下記の式(3)で表わされる。
【0092】
ただし、第1スイッチング素子Q1の寄生容量Coss1のキャパシタンスをCcoss1とし、第2スイッチング素子Q2の寄生容量Coss2のキャパシタンスをCcoss2とする。
【0093】
ΔVds1/Δt = IL_peak/ Ccoss1
=22.6A/100pF = 226V/ns ・・・(2)
【0094】
ΔVds2/Δt = IL_peak/ Ccoss2
= 22.6A/200pF = 113V/ns ・・・(3)
【0095】
次に、上記の式(2)および式(3)で算出した変化割合のときに、各スイッチング素子Q1、Q2の第1端子と第2端子との間の電位差Q1Vdsと電位差Q2Vdsが上記の平均値Vaveまで変化する時間である変化時間を算出する。
【0096】
第1スイッチング素子Q1の変化時間Tq1は次の式(4)で表わされ、第2スイッチング素子Q2の変化時間Tq2は次の式(5)で表わされる。
【0097】
Tq1 = Vave/(ΔVds1/Δt)
= 500V/(226V/ns) = 2.21ns ・・・(4)
【0098】
Tq2 = Vave/(ΔVds2/Δt)
= 500V/(113V/ns) = 4.42ns ・・・(5)
【0099】
したがって、式(4)と式(5)との差が補正時間Δtnとなり、寄生容量のキャパシタンスが小さいスイッチング素子のターンOFFのタイミングを、式(4)と式(5)との差だけ遅延させればよい。上記の例では、第1スイッチング素子Q1のターンOFFのタイミングを2.21ns遅延させればよい。
【0100】
図6は、第1スイッチング素子Q1のターンOFFのタイミングを2.21ns遅延させた場合のQ1VdsとQ2Vdsの変化の一例を示す図である。
【0101】
タイミング補正部82が第1スイッチング素子Q1のターンOFFのタイミングを2.21ns遅延させたことにより、図6に示されるようにQ2Vgsに対しQ1Vgsが遅延時間の2.21nsに基づいて遅れて変化し、これらの変化に基づいてQ1VdsとQ2Vdsがそれぞれの変化割合で大きくなり、それぞれが平均値Vaveの500Vもしくは500V付近で収まる。平均値Vaveは、スイッチング素子の数が2つなので、Vout/2で表している。
【0102】
なお、上記では、スイッチング部20にスイッチング素子Q1、Q2が含まれる例を示したが、スイッチング素子の数は2つに限定されない。3つ以上の場合は、電位差の平均値Vaveが異なるが、その他は同様にして、各スイッチング素子の第1端子と第2端子との間の電位差が、それぞれ平均値に近づくように、各スイッチング素子のターンOFFのタイミングを補正する補正時間を算出することができる。
【0103】
このように、本実施形態に係るスイッチング回路は、従来技術のように、スイッチング素子の耐圧上限値を超えないように、スイッチング素子毎に、各スイッチング素子の第1端子と第2端子との間の電位差を検出する検出器を設ける必要がないので、小型化が可能である。
【0104】
<実施形態の変形例>
図7は、実施形態に係るスイッチング回路の変形例を示す図である。各スイッチング素子Q1、Q2の寄生容量Coss1、Coss2のキャパシタンスCcoss1、Ccoss2は予め測定することができる。そのため、各スイッチング素子Q1、Q2の寄生容量Coss1、Coss2のバラツキを小さくするようなコンデンサ(C_add1、C_Add2)を、図7に示されるように各スイッチング素Q1、Q2に外付けする。このようにコンデンサ(C_add1、C_Add2)を設けることで各スイッチング素子Q1、Q2のターンOFF時における各スイッチング素子Q1、Q2の第1端子と第2端子との間の電位差のバラツキを低減させることができる。
【0105】
なお、市販されているコンデンサは、キャパシタンスが段階的に設定されているため、各スイッチング素子Q1、Q2の寄生容量Coss1、Coss2のバラツキを0(ゼロ)にすることは困難であるが、バラツキを小さくすることができる。
【0106】
そのため、上記のタイミング補正部における補正時間が短くてすむ。ひいては、補正精度を高めることができる。
【0107】
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【符号の説明】
【0108】
1 スイッチング回路
10 直流電圧源
11 高電位側端子
12 低電位側端子
20 スイッチング部
30 インダクタ
40 導通部
41、42 ダイオード
50 平滑コンデンサ
60 電圧検出部
70 電流検出部
80 制御部
81 主制御部
82 タイミング補正部
91 Q1用のゲート駆動回路
92 Q2用のゲート駆動回路
100 負荷
Coss1、Coss2 寄生容量
Ccoss1 スイッチング素子Q1の規制容量のキャパシタンス
Ccoss2 スイッチング素子Q2の規制容量のキャパシタンス
IL インダクタ電流
L インダクタンス
N1 第1ノード
N2 第2ノード
Q1、Q2 スイッチング素子
Ssw1 スイッチング素子Q1用のスイッチング制御信号
Ssw2 スイッチング素子Q2用のスイッチング制御信号
T1 高電位側出力端子
T2 低電位側出力端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7