(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140948
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】飲食物収容体
(51)【国際特許分類】
A47G 23/08 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
A47G23/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052334
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】396011174
【氏名又は名称】くら寿司株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100166811
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 剛
(72)【発明者】
【氏名】田中 邦彦
【テーマコード(参考)】
3B115
【Fターム(参考)】
3B115AA28
3B115AA29
3B115BB05
3B115BC03
3B115CA03
3B115CB07
3B115DA09
3B115DC10
(57)【要約】
【課題】商品を商品搬送装置に配置してからどれだけの時間が経過したかを把握することが困難であった。
【解決手段】飲食物収容体10は、商品5が載置される載置部11と、載置部11に対して変位することにより、載置部11上の商品5が覆われる閉状態と載置部上の商品5が取り出し可能な開状態とが切り替わるように構成された蓋部12とを備え、蓋部12は、閉状態において載置部11上の商品5に覆い被さることにより商品5を覆うように構成された椀状部121と、椀状部121に設けられており、流体と流体に混入している固形物とが内部に封入されてスノーグローブのように固形物が流体内で移動可能に構成されている封入部125とを有する。飲食物収容体10により、商品を飲食物収容体10に収容してから経過した時間を大まかに把握可能にすることができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品が載置される載置部と、
前記載置部に対して変位することにより、前記載置部上の商品が覆われる閉状態と前記載置部上の商品が取り出し可能な開状態とが切り替わるように構成された蓋部とを備え、
前記蓋部は、
前記閉状態において前記載置部上の商品に覆い被さることにより当該商品を覆うように構成された椀状部と、
前記椀状部に設けられており、流体と当該流体に混入している固形物とが内部に封入されてスノーグローブのように前記固形物が前記流体内で移動可能に構成されている封入部とを有する、飲食物収容体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品容器に収容された状態の商品を商品搬送装置によってユーザに搬送する店舗において利用されうる飲食物収容体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば寿司などの商品を提供する飲食店等の店舗において、来店者であるユーザが待つテーブルを巡るように敷かれた搬送路を有する商品搬送装置が用いられている。このような商品搬送装置では、商品を搬送路に配置することによって当該商品をユーザの前まで搬送することで、商品をユーザに提供することができる。
【0003】
このように商品搬送装置を用いて商品を提供する店舗において、商品を、開閉可能な商品容器に収容された状態で商品搬送装置により搬送することが行われる場合がある。
【0004】
例えば、下記特許文献1には、飲食物商品搬送装置の搬送路に載せられた飲食物収容体に収容されて搬送される飲食物を管理するための飲食物管理装置の構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のように商品搬送装置によってユーザに商品を搬送する場合に、商品を商品搬送装置に配置してからどれだけの時間が経過したか(経過時間という)を把握するのが困難である場合がある。特に、多数の商品が商品搬送装置に配置されている場合に個々の商品の経過時間を把握したり、多数のユーザや従業者のそれぞれが経過時間を容易に把握可能にしたりすることは、困難である場合が多い。
【0007】
このような経過時間として、大まかな時間が把握できるだけでも、ユーザや従業者にとって有益である。例えば、商品を、蓋付きの飲食物収容体に収容した状態で搬送する場合においては、ユーザや従業者は、蓋越しにしか商品の状態を確認することができず、商品の状態を詳しく確認することができないところ、大まかな経過時間を把握することができれば、商品の状態に関する判断を行う一助とすることができる。
【0008】
本発明は、商品を飲食物収容体に収容してから経過した時間を大まかに把握可能にすることができる飲食物収容体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本第一の発明の飲食物収容体は、商品が載置される載置部と、載置部に対して変位することにより、載置部上の商品が覆われる閉状態と載置部上の商品が取り出し可能な開状態とが切り替わるように構成された蓋部とを備え、蓋部は、閉状態において載置部上の商品に覆い被さることにより商品を覆うように構成された椀状部と、椀状部に設けられており、流体と流体に混入している固形物とが内部に封入されてスノーグローブのように固形物が流体内で移動可能に構成されている封入部とを有する、飲食物収容体である。
【0010】
かかる構成により、商品を飲食物収容体に収容してから経過した時間を大まかに把握可能にすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、商品を飲食物収容体に収容してから経過した時間を大まかに把握可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態1における飲食物収容体が用いられる店舗の商品搬送装置の一例について説明する図
【
図3】同飲食物収容体の蓋部の構成を説明する側面図
【
図5】本発明の実施の形態2に係る飲食物収容体を示す側面図
【
図6】同実施の形態2の一変形例に係る飲食物収容体を示す側面図
【
図7】本発明の実施の形態3に係る飲食物収容体を示す側断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、飲食物収容体等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
【0014】
なお、以下の説明において、以下において、ある方向を示して各部の形状や位置関係を説明することがあるが、方向の明示はあくまで説明の便宜のためのものに過ぎず、本発明に係る各構成要素等の使用時における向きや姿勢などを限定するものではない。
【0015】
(実施の形態1)
【0016】
本実施の形態において、飲食物収容体は、スノーグローブ(Snow globe)を蓋部に有する、商品を蓋部で覆うようにして収容可能に構成されているものである。飲食物収容体は、商品を搬送する商品搬送装置に配置して用いることができる。以下、このように構成された飲食物収容体について説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態1における飲食物収容体10が用いられる店舗の商品搬送装置900の一例について説明する図である。
【0018】
本実施の形態に係る商品搬送装置900は、例えば飲食店などの店舗内において用いられる什器等の一部である。飲食店とは、例えば、いわゆる回転寿司店である。なお、商品搬送装置900が用いられる店舗はその他の業態、業種の飲食店であってもよいし、飲食店ではない店舗であってもよい。また、客であるユーザに提供される商品5は、有償であるか無償であるかを問わない。
【0019】
本実施の形態において、商品5とは、例えば寿司等の飲食物である。例えば、にぎり寿司や、手巻き寿司等の料理であったり、その他の料理であったりしてもよい。また、飲食物として、飲料や、菓子や、容器入りの食品や、包装された食品などが含まれてもよい。また、商品5には、飲食物以外の、価値を有する物が含まれてもよい。商品5は、所定の形状を有する皿に載せて、後述のように飲食物収容体10に収容された状態で、ユーザの下に搬送されうる。すなわち、商品5は、飲食物収容体10を用いてユーザに提供される。以下、皿に載った状態の飲食物を商品5と呼ぶものとする。
【0020】
本実施の形態に係る商品搬送装置900は、例えば、ユーザが飲食を行う店内と厨房とにわたって設けられている。店内においては、例えば、ユーザが飲食を行う際のテーブル980や、座席等が設けられている。テーブル980としては、ユーザが一列に並んで飲食を行うことが可能なカウンターテーブルが用いられていてもよい。
【0021】
商品搬送装置900は、飲食物収容体10が乗せられる搬送路960を有している。搬送路960は、各テーブル980の近傍において飲食物収容体10が搬送されるように、店内に敷設されている。搬送路960は、例えば、上面がフラットに構成されたクレセントチェーンなどを用いて構成されているが、これに限られない。搬送路960は、飲食物収容体10を所定の搬送方向に搬送して店内の各テーブル980及び厨房を循環させるように構成されている。
【0022】
飲食物収容体10は、搬送路960上に配置可能に構成されている。飲食物収容体10は、商品5が皿ごと載置される載置部11と、載置部11の上面を覆うように構成された蓋体である蓋部12とを有するものである。載置部11は、軸支部111を有している。蓋部12は、略水平な回転軸を中心に載置部11に対して回転可能となるように、載置部11の軸支部111において支持されている。蓋部12は、載置部11に対して回転して変位することにより、載置部11上の商品5が覆われる閉状態と、載置部11上の商品5が取り出し可能な開状態とが切り替わるように構成されている。商品5は、飲食物収容体10において蓋部12により覆われた状態で搬送路960において搬送される。飲食物収容体10は、商品収容体、飲食物収容具又は商品カバーなどと呼ばれてもよい。
【0023】
このような飲食物収容体10のうち、以下に説明する内容以外の構成は、例えば、上述の特許文献1に記載されているような構成と同様のものとすることができる。なお、本実施の形態においては、2つの飲食物収容体10が互いに連結された連結体500として、2つの商品5が一緒に搬送路960により提供可能であるが、提供方法はこれに限られない。
【0024】
各ユーザは、閉状態の飲食物収容体10の蓋部12を開く動作を行うことにより、搬送された商品5を皿ごと取り上げ、テーブル980に移動させて食することができる。蓋部12を開く動作とは、例えば、収容されている商品5のうち、蓋部12から一部外部に露出する部分を持って載置部11に対して上に持ち上げる動作であるが、これに限られない。商品5が取り上げられた飲食物収容体10は、蓋部12が開いた開状態のままとなる。
【0025】
なお、本実施の形態において、飲食物収容体10は、基本的には、常に搬送路960上に配置されて用いられる。すなわち、開状態となり、商品5が載置部11に載置されていない状態の飲食物収容体10も、そのままの状態で搬送路960上を搬送されてよいようになっている。このような状態の飲食物収容体10は、搬送路960により厨房に届けられる。商品5が取り上げられた飲食物収容体10には、厨房において、新たな商品5が載置部11に載置され、開状態の蓋部12が閉じられて閉状態となり、新たな商品5の提供に用いられる。
【0026】
なお、飲食物収容体10の利用方法はこれに限られない。例えば、商品5の搬送に用いられた飲食物収容体10が、厨房において回収され、搬送路960からいったん外されるようにしてもよい。この場合、例えば、新たな商品5の提供を行う場合に、厨房において、商品5を飲食物収容体10に収容した後で、その飲食物収容体10を搬送路960に配置して商品5を搬送するようにしてもよい。
【0027】
図2は、同飲食物収容体10の閉状態の側面図である。
図3は、同飲食物収容体10の蓋部12の構成を説明する側面図である。
【0028】
図に示されるように、本実施の形態において、蓋部12は、椀状部121と、封入部125とを有している。蓋部12は、椀状部121と封入部125とが一体に組み合わされた状態で用いられる。なお、構造の説明のため、
図3において、封入部125のみが側断面として図示されている。
【0029】
椀状部121は、例えば、閉状態において下向きに開口する椀形状を有している。椀状部121は、閉状態において載置部11上の商品5に覆い被さることにより商品5を覆うように構成されている。換言すると、蓋部12は、椀状部121によって商品5を覆う閉状態と、椀状部121が載置部11から離れた開状態とに相互に変化可能に構成されている。
【0030】
椀状部121は、例えば透明な樹脂を用いて構成されているが、これに限られるものではない。
【0031】
封入部125は、椀状部121に設けられている。封入部125は、流体1252と、流体1252に混入している固形物1253(チップ部材と言ってもよい)とが内部に封入されて、スノーグローブのように固形物1253が流体1252内で移動可能に構成されている。
【0032】
スノーグローブとは、スノードームと言ってもよい。スノーグローブは、例えば、球形等の透明な容器の内部を、雪を模した白い粉体(固形物)を混入した液体で満たしてなる置物である。スノーグローブは、姿勢を変更するように動かされることにより、白い粉体が流体内部で浮遊しながら雪のように徐々に沈下するように構成されているものである。
【0033】
なお、スノーグローブのように構成されているとは、あくまで、固形物1253が流体1252内で移動可能である様についてのみに関する表現である。封入部125の形状、固形物の1253色や大きさや形状等、流体1252の色等、及びその他の内容物の有無等について限定するものではない。
【0034】
本実施の形態において、封入部125は、椀状部121とは別体に、椀状部121に重なるように形成された椀形状を有している。封入部125は、例えば透明な樹脂で形成された、中空の椀形状のシェル1251(外殻)と、シェル1251の内部を満たすように封入された、流体1252及び固形物1253とを有しているといえる。
【0035】
なお、封入部125のシェル1251に用いられる樹脂は、抗菌性を有するポリカーボネート樹脂とすることが望ましい。これにより、封入部125が破損しにくくなり、封入部125や飲食物収容体10を容易に取り扱い可能に構成することができる。また、封入部125の表面が衛生的に維持される。なお、材質はこれに限られず、他の樹脂が用いられたり、抗菌性を特別に有しないような樹脂が用いられたりしてもよい。
【0036】
なお、封入部125のシェル1251は透明である。封入部125のシェル1251は、無色透明であってもよいし、有色透明であってもよい。シェル1251の透明度は適宜設定可能である。
【0037】
封入部125の固形物1253の色は、例えば白色であるが、これに限られず、適宜設定可能である。また、固形物1253は不透明であることがより好ましく、流体1252の色とは異なる色であることが好ましい。
【0038】
封入部125の流体1252は、例えば無色透明な液体である。流体1252は、店舗の通常の室温の範囲内において、水よりも一定程度だけ高い粘度となる粘性を有している。流体1252は、有色透明であってもよい。また、流体1252の透明度は適宜設定可能である。
【0039】
本実施の形態において、流体1252は、例えば、食品添加物グリセリンを主成分とする液体である。水以外の主な成分が食品添加物グリセリンであると言ってもよい。流体1252は、例えば、食品添加物として用いることができるグリセリンと、精製水との混合物であってもよい。このように、食品添加物で流体1252が構成されていることにより、何らかの理由で封入部125から流体1252が漏れ出たとしても、飲食物や、食事を行うのに利用されるものが汚染されることがなくなる。なお、成分はこれに限られず、他の成分を含む液体であってもよい。
【0040】
本実施の形態において、固形物1253の比重は、流体1252の比重よりもわずかに重くなっている。これにより、個々の固形物1253は、流体1252の内部で、重力に従って沈下しうる。
【0041】
本実施の形態において、封入部125は、椀状部121に上方から重ねられて、椀状部121に取り付けられている。すなわち、封入部125は、椀状部121の表面のうち少なくとも一部を覆うようにして配置されている。本実施の形態において、封入部125は、椀状部121を上方から覆うような椀形状を有していると言える。
【0042】
なお、封入部125は、椀状部121に対して例えば接着されていることにより、椀状部121に固定されている。なお、取り付け手段はこれに限られず、例えば、封入部125は椀状部121にテープ等を用いて固定されていてもよい。また、封入部125は、係合構造を用いて取り付けられていてもよい。例えば一方に設けられた突出部が他方に設けられた係合部に係合するように構成されている構造や、嵌め合うように構成された構造を係合構造として用いることができる。また、封入部125は、ねじやその他の締結用の機械要素を用いて椀状部121に取り付けられていてもよい。封入部125は、椀状部121に対して着脱可能であってもよいし、着脱不能に固定されていてもよい。
【0043】
図4は、同飲食物収容体10の開状態の側面図である。
【0044】
上記のように封入部125が構成されていることにより、封入部125の内容物は、スノーグローブの内容物と同様にふるまうようになっている。封入部125が一定時間ある姿勢に静置された後、例えば天地が異なる向きになるなど姿勢変更がなされた場合には、固形物1253の比重と流体1252の比重とが異なることにより、流体1252の中で固形物1253が拡散し、固形物1253が舞う(浮遊する)ように見えるようになっている。
【0045】
例えば、蓋部12が図に示されるような開状態から閉状態になると、封入部125の姿勢が変更される。この場合、流体1252の中で固形物1253が浮遊する浮遊状態となる。浮遊する固形物1253は、流体1252において徐々に沈下していく。閉状態のまま十分な時間が経過すると、固形物1253の略全てが流体1252内で沈下している沈下状態となる。
【0046】
すなわち、本実施の形態において、蓋部12の開閉からそれほど時間が経過していない場合には、封入部125が浮遊状態となる。時間が経過するにつれて浮遊する固形物1253が少なくなり、沈下した固形物1253の量が多くなる。そして、十分な時間が経過すると、封入部125が沈下状態となる。このように時間の経過とともに封入部125の状態が変化するようになっているので、封入部125を蓋部12に用いることにより、封入部125の状態の観察結果から、蓋部12の状態が変化してから経過した経過時間を大まかに把握することができる。
【0047】
なお、本実施の形態において、蓋部12が開状態であって封入部125の略全ての固形物1253が流体1252内で沈下している沈下状態から、蓋部12が閉状態に変化した場合に、所定の時間以上が経過するまでは、封入部125が沈下状態にならず、少なくとも一部の固形物が浮遊している状態が維持されるように構成されていることが好ましい。所定の時間とは、例えば、少なくとも30分間であるが、これより短くてもよい。例えば、搬送路960が店内を所定数だけ回転するのに要する時間(例えば、3回転など)が所定の時間として用いられてもよい。このようにすることは、例えば、流体1252の比重や粘性と、封入部125の比重とを調整することにより実現されうる。
【0048】
このように構成された飲食物収容体10は、商品5の搬送路960を用いて、商品5をユーザに提供する際の商品提供方法に用いることができる。この商品提供方法は、例えば、搬送路960に配置された飲食物収容体10の蓋部12が開状態である状態で、載置部11に商品5を配置する商品配置ステップと、商品配置ステップの後に、蓋部12を閉状態にすることにより封入部125において流体内で固形物が沈下していない状態を作り出す収容ステップとを含むものとすればよい。
【0049】
なお、商品提供方法は、例えば、飲食物収容体10の蓋部12が開状態である状態で、載置部11に商品5を配置する商品配置ステップと、商品配置ステップの後に蓋部12を閉状態にすることにより封入部125において流体内で固形物が沈下していない状態を作り出す収容ステップと、商品配置ステップの後に飲食物収容体10を搬送路960に配置する搬送ステップとを含むものとしてもよい。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態によれば、飲食物収容体10を用いて商品5を提供することができる。したがって、商品5が載置部11に載置されて蓋部12が閉状態とされてから経過した経過時間を、封入部125の観察結果から、大まかに知ることができる。封入部125の様子の把握は、目視で容易に行うことができる。また、電源供給の問題やコストの問題、耐久性の問題、扱いやすさの問題などがありうる、電子部品を用いて計時等を行えるようにする構成を採用する場合と比較して、簡素で、容易に採用可能な構成により、経過時間を大まかに把握可能にすることができる。
【0051】
例えば、店舗の客であるユーザは、例えば、自身の近くに搬送されてきた飲食物収容体10の封入部125の状態を観察して、商品5が収容されてから経過した時間を把握した上で、その商品5を取り上げる(購入する)か否かを判断することができる。また、店舗の従業者は、各飲食物収容体10の封入部125の状態を観察して、商品5が収容されてから経過した時間を把握することにより、必要に応じた業務を行うことができる。
【0052】
(実施の形態2)
【0053】
実施の形態2の概要を、上述の実施の形態1とは異なる部分について説明する。実施の形態2では、封入部の形状等が上述の実施の形態1とは異なっている。
【0054】
図5は、本発明の実施の形態2に係る飲食物収容体310を示す側面図である。
【0055】
飲食物収容体310は、載置部11と、蓋部312とを備えている。蓋部312は、椀状部121と、上述とは構成が異なる封入部325とを有している。図において二点鎖線は、開状態の蓋部312を示す。
【0056】
封入部325の内容物等の構成は、上述の実施の形態1のそれと同様である。封入部325は、例えば、球体状に形成されている。封入部325は、例えば、椀状部121の上部に取り付けられており、椀状部121の上部の一部を覆っている。蓋部312の状態が開状態と閉状態との間で変更されることにより、封入部325の姿勢が変更されるようになっている。
【0057】
このような封入部325を用いる場合にも、上述の実施の形態1と同様に、封入部325の観察結果から、商品5が載置部11に載置されて蓋部312が閉状態とされてから経過した経過時間を大まかに知ることができる。
【0058】
図6は、同実施の形態2の一変形例に係る飲食物収容体410を示す側面図である。
【0059】
封入部の形態は球状のものに限られず、例えば、椀状部121の外周面又は内周面の一部分に沿った形状を有するように構成されていてもよい。例えば、
図6に示される例においては、上述とは形状が異なる封入部425を有する蓋部412を備える飲食物収容体410が示されている。封入部425は、椀状部121の外周面に沿う楕円板状の薄片形状に構成されており、椀状部121の一部を覆うようにして椀状部121に配置されている。このような場合においても、上述の実施の形態1と同様に、封入部425の観察結果から、商品5が載置部11に載置されて蓋部412が閉状態とされてから経過した経過時間を大まかに知ることができる。
【0060】
なお、封入部425の形状はこれらに限られず、その他の形状であってもよい。また、一つの蓋部412に対して、2以上の封入部425が設けられていてもよい。このように構成された封入部425を有する蓋部412によって、飲食物収容体10の蓋部412が所定の姿勢になってから時間が経っているか否かを容易に判別することができるようになる。
【0061】
(実施の形態3)
【0062】
実施の形態3の概要を、上述の実施の形態1とは異なる部分について説明する。実施の形態3では、蓋部の構成が実施の形態1とは異なっている。
【0063】
図7は、本発明の実施の形態3に係る飲食物収容体510を示す側断面図である。
【0064】
飲食物収容体510は、載置部11と、蓋部512とを備えている。本実施の形態において、椀形状の封入部525が、蓋部512として機能するようになっている。図においては、蓋部512が側断面図として示されており、載置部11が破線で示されている。
【0065】
蓋部512は、それ全体が封入部525となるように構成されている。すなわち、封入部525が、椀状部121の役割も果たすようになっている。換言すると、椀状部121が、封入部525の役割も果たすようになっている。この場合にも、上述の実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0066】
(その他)
【0067】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものである。
【0068】
上述の実施の形態や変形例の構成要素を適宜組み合わせた実施の形態を構成してもよい。例えば、上述の実施の形態の構成そのものに限られず、上述の実施の形態や変形例のそれぞれの構成要素について、適宜、他の実施の形態等の構成要素と置換したり組み合わせたりしてもよい。また、上述の実施の形態や変形例のうち、一部の構成要素や機能が省略されていてもよい。
【0069】
飲食物収容体は、蓋部において封入部が取り外されている状態でも利用可能であってもよい。すなわち、椀状部のみで蓋部として用いることも可能であってもよい。
【0070】
上述の実施の形態において、蓋部は載置部に対して回転可能に支持されているが、蓋部と載置部とが接続される部分の構成はこれに限られない。載置部と蓋部とは直接に接続されていなくてもよく、また、例えば、他のヒンジやジョイント機構などを用いて接続されていてもよい。
【0071】
スノーグローブのように構成された封入部それ自体が、単独で、搬送路上などに配置されて用いられるようにしてもよい。例えば、予め、搬送路に沿った所定の範囲であって封入部を含む範囲又は数の飲食物収容体に、同時期に商品が収容されて搬送が開始されるようにすることにより、単独で配置された封入部の観察結果に基づいて、所定の範囲にある飲食物収容体について、蓋部が閉状態とされてから経過した経過時間を大まかに知ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上のように、本発明にかかる飲食物収容体は、商品を飲食物収容体に収容してから経過した時間を大まかに把握可能にすることができるという効果を有し、飲食物収容体等として有用である。
【符号の説明】
【0073】
5 商品
10、310、410、510 飲食物収容体
11 載置部
12、312、412、512 蓋部
111 軸支部
121 椀状部
125、325、425、525 封入部
1251 シェル
1252 流体
1253 固形物