(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014097
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】油圧装置
(51)【国際特許分類】
F15B 21/14 20060101AFI20240125BHJP
F15B 11/00 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
F15B21/14 A
F15B11/00 N
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116689
(22)【出願日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100176463
【弁理士】
【氏名又は名称】磯江 悦子
(74)【代理人】
【識別番号】100183232
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 敏行
(72)【発明者】
【氏名】上林 淳浩
【テーマコード(参考)】
3H089
【Fターム(参考)】
3H089AA01
3H089AA60
3H089BB04
3H089BB27
3H089CC01
3H089DA02
3H089DA14
3H089DA20
3H089DB03
3H089DB44
3H089DB48
3H089DC02
3H089EE22
3H089FF07
3H089FF12
3H089GG02
3H089JJ03
(57)【要約】
【課題】省エネ性能を向上させることができる油圧装置を提供する
【解決手段】油圧装置は、アクチュエータ(10)から排出された作動油を油タンク(100)へ案内する第1油流路(L1)に設けられ、ベントポート(23)を有するリリーフ弁(20)と、吐出側がベントポート(23)に接続されている油圧ポンプ(31)と、油圧ポンプ(31)を駆動するモータ(41)と、第1油流路(L1)に設けられ、リリーフ弁(20)よりも下流側に位置する油圧モータ(32)と、油圧モータ(32)で駆動される発電機(42)と、リリーフ弁(20)と油圧モータ(32)との間の作動油の圧力を所定圧力以下に制御する圧力制御弁(50)とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータ(10)から排出された作動油を油タンク(100)へ案内する第1油流路(L1)に設けられ、ベントポート(23)を有するリリーフ弁(20)と、
吐出側が上記ベントポート(23)に接続されている油圧ポンプ(31)と、
上記油圧ポンプ(31)を駆動するモータ(41)と、
上記第1油流路(L1)に設けられ、上記リリーフ弁(20)よりも下流側に位置する油圧モータ(32,232)と、
上記油圧モータ(32,232)で駆動される発電機(42)と、
上記リリーフ弁(20)と上記油圧モータ(32,232)との間の作動油の圧力を所定圧力以下に制御する圧力制御弁(50)と
を備える、油圧装置。
【請求項2】
請求項1に記載の油圧装置において、
上記リリーフ弁(20)と上記油圧モータ(32,232)との間に接続されたアキュムレータ(60)を備える、油圧装置。
【請求項3】
請求項2に記載の油圧装置において、
上記第1油流路(L1)において、上記リリーフ弁(20)よりも下流側、かつ、上記アキュムレータ(60)が接続されている箇所よりも上流側には、上記リリーフ弁(20)から上記油圧モータ(32,232)への作動油の流れを許容する第1チェック弁が設けられている、油圧装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の油圧装置において、
上記第1油流路(L1)において上記リリーフ弁(20)よりも上流側には、第2油流路(L2)を介して上記油タンク(100)が接続され、
上記第2油流路(L2)には、上記油タンク(100)から上記アクチュエータ(10)への作動油の流れを許容する第2チェック弁(72)が設けられている、油圧装置。
【請求項5】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の油圧装置において、
上記油圧モータ(232)は、第3油流路(L3)を介して上記アクチュエータ(10)に接続され、上記油タンク(100)から上記アクチュエータ(10)へ作動油を供給する油圧ポンプモータ(232)である、油圧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、油圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、油圧装置としては、油圧シリンダから排出される作動油を油タンクに戻すリリーフ弁と、吐出側がリリーフ弁のベントポートに接続された油圧ポンプとを備えたものがある(例えば、特開2020-171959号公報(特許文献1)参照)。
【0003】
上記構成の油圧装置では、油圧ポンプから吐出された作動油の圧力でリリーフ弁のベント圧を制御することにより、リリーフ弁の設定圧の制御することが可能であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の油圧装置では、油圧シリンダから作動油が排出されるとき、その作動油のエネルギは全て熱に変わっているため、省エネ性能に改善の余地があった。
【0006】
本開示の課題は、省エネ性能を向上させることができる油圧装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1態様に係る油圧装置は、
アクチュエータから排出された作動油を油タンクへ案内する第1油流路に設けられ、ベントポートを有するリリーフ弁と、
吐出側が上記ベントポートに接続されている油圧ポンプと、
上記油圧ポンプを駆動するモータと、
上記第1油流路に設けられ、上記リリーフ弁よりも下流側に位置する油圧モータと、
上記油圧モータで駆動される発電機と、
上記リリーフ弁と上記油圧モータとの間の作動油の圧力を所定圧力以下に制御する圧力制御弁と
を備える。
【0008】
上記構成によれば、第1油流路にはリリーフ弁および油圧モータが設けられている。この油圧モータは、リリーフ弁よりも下流側に位置すると共に、発電機を駆動する。したがって、リリーフ弁が開いたとき、省エネ性能を改善することができる。
【0009】
本開示の第2態様に係る油圧装置は、
上記第1態様に記載の油圧装置において、
上記リリーフ弁と上記油圧モータとの間に接続されたアキュムレータを備える。
【0010】
上記構成によれば、上記リリーフ弁と油圧モータとの間にアキュムレータを接続することにより、リリーフ弁から油圧モータへ作動油が流れるとき、その作動油の圧力が急激に変動するのを抑制することができる。
【0011】
本開示の第3態様に係る油圧装置は、
上記第2態様に記載の油圧装置において、
上記第1油流路において、上記リリーフ弁よりも下流側、かつ、上記アキュムレータが接続されている箇所よりも上流側には、上記リリーフ弁から上記油圧モータへの作動油の流れを許容する第1チェック弁が設けられている。
【0012】
上記構成によれば、上記第1油流路において、リリーフ弁よりも下流側、かつ、アキュムレータが接続されている箇所よりも上流側に第1チェック弁が設けられている。この第1チェックは、リリーフ弁から油圧モータへの作動油の流れを許容する。したがって、上記アキュムレータから油圧モータへ作動油が流れるとき、その作動油の流量が低下するのを抑制することができる。
【0013】
本開示の第4態様に係る油圧装置は、
上記第1態様から上記第3態様までのいずれか一項に記載の油圧装置において、
上記第1油流路において上記リリーフ弁よりも上流側には、第2油流路を介して上記油タンクが接続され、
上記第2油流路には、上記油タンクから上記アクチュエータへの作動油の流れを許容する第2チェック弁が設けられている。
【0014】
上記構成によれば、上記第1油流路においてリリーフ弁よりも上流側には、第2油流路を介して油タンクが接続されている。したがって、上記油タンクから第2油流路を介してアクチュエータへ作動油を供給して、アクチュエータ内における作動油の不足を抑制することができる。
【0015】
本開示の第5態様に係る油圧装置は、
上記第1態様から上記第4態様までのいずれか一項に記載の油圧装置において、
上記油圧モータは、第3油流路を介して上記アクチュエータに接続され、上記油タンクから上記アクチュエータへ作動油を供給する油圧ポンプモータである。
【0016】
上記構成によれば、上記油圧モータが、油タンクからアクチュエータへ作動油を供給する油圧ポンプモータである。これにより、上記油圧モータとは別に、油タンクからアクチュエータへ作動油を供給する油圧ポンプを設けずに済む。したがって、上記油圧装置の大型化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示の第1実施形態の油圧装置の概略ブロック図である。
【
図2】上記油圧装置の動作を説明するためのグラフである。
【
図3】本開示の第2実施形態の油圧装置の概略ブロック図である。
【
図4】上記第1実施形態の油圧装置の一変形例の概略ブロック図である。
【
図5】上記第2実施形態の油圧装置の一変形例の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施形態を説明する。なお、図面において、同一の参照番号は、同一部分または相当部分を表わすものである。また、長さ、幅、厚さ、深さ等の図面上の寸法は、図面の明瞭化と簡略化のために実際の尺度から適宜変更されており、実際の相対寸法を表してはいない。
【0019】
図1は本開示の第1実施形態の油圧装置の概略ブロック図である。この第1実施形態の油圧装置は、プレス装置の油圧シリンダ10から作動油が供給される。なお、プレス装置は主機の一例である。
【0020】
上記油圧装置は、油圧シリンダ10から排出された作動油を油タンク100へ案内する第1油流路L1に設けられた第1リリーフ弁20と、油圧ポンプ31と、この油圧ポンプ31を駆動する第1電動モータ41と、制御装置80と、油圧モータ32と、この油圧モータ32で駆動される第2電動モータ42と、第2リリーフ弁50とを備えている。なお、油圧シリンダ10はアクチュエータの一例である。また、第1リリーフ弁20はリリーフ弁の一例である。また、第1電動モータ41はモータの一例である。また、第2電動モータ42は発電機の一例である。また、第2リリーフ弁50は圧力制御弁の一例である。
【0021】
第1リリーフ弁20は、油圧シリンダ10のポート10aに接続された入口ポート21と、油圧モータ32の吸込側に接続された出口ポート22とを有する。また、第1リリーフ弁20は、パイロット作動形のリリーフ弁であり、ベントポート(パイロットポート)23を有する。
【0022】
油圧シリンダ10は、シリンダチューブ11と、シリンダチューブ11内を往復動するピストン12と、ピストンロッド13とを有している。このピストン12の一端はピストン12に接続されている。
【0023】
油圧ポンプ31の吐出側の部分は第1リリーフ弁20のベントポート23に接続されている。これにより、油圧ポンプ31の吐出圧力(パイロット圧)をベントポート23に供給して、第1リリーフ弁20の設定圧の制御が可能となっている。また、油圧ポンプ31と第1リリーフ弁20のベントポート23との間には、絞り70が設けられている。この絞り70は、ベントポート23へ流れる作動油の流量を規制する。
【0024】
また、油圧ポンプ31から吐出された作動油を第1リリーフ弁20のベントポート23に案内するベントラインには、圧力センサ73が接続されている。より詳しく説明すると、上記ベントラインにおいて圧力センサ73の接続箇所は絞り70よりも油圧ポンプ31側に設定される。この設定は、第1リリーフ弁20の開閉制御の安定性を向上させる観点上、好ましい。圧力センサ73は、油圧ポンプ31と絞り70との間の作動油の圧力を検出し、この作動油の圧力を示す圧力信号を制御装置80に出力する。
【0025】
制御装置80は、駆動信号を第1電動モータ41に出力することにより、油圧ポンプ31の回転数を制御する。また、制御装置80は、圧力センサ73からの圧力信号を受ける。この圧力信号が示す圧力が第1リリーフ弁20の設定圧以上のときに、制御装置80は、油圧ポンプ31の吐出圧力が下がるように油圧ポンプ31の回転数を制御して、第1リリーフ弁20を開く。
【0026】
油圧モータ32は、第1油流路L1に設けられ、第1リリーフ20弁よりも下流側に位置する。
【0027】
第2電動モータ42は、油圧モータ32で駆動されて発電する。このとき、第2電動モータ42で回生された電気はプレス機械に直接供給される。
【0028】
第2リリーフ弁50は、第1リリーフ弁20と油圧モータ32との間の作動油の圧力を所定圧力(例えば、第1リリーフ弁20の設定圧)以下に制御する安全弁である。この第2リリーフ弁50は、第1リリーフ弁20と油圧モータ32との間に接続された入口ポート51と、油タンク100に接続された出口ポート52とを有する。
【0029】
また、第1リリーフ弁20と油圧モータ32との間には、作動油を蓄積するアキュムレータ60が接続されている。
【0030】
また、第1油流路L1において、第1リリーフ弁20よりも下流側、かつ、アキュムレータ60が接続されている箇所よりも上流側には、第1チェック弁71が設けられている。この第1チェック弁71は、第1リリーフ弁20から油圧モータ32への作動油の流れを許容する。別の言い方をすると、油圧モータ32から第1リリーフ弁20へ作動油が流れるのを阻止するように、第1チェック弁71が第1油流路L1に設けられている。
【0031】
また、第1油流路L1において第1リリーフ弁20よりも上流側には、油タンク100が第2油流路L2を介して接続されている。この第2油流路L2には、油タンク100から油圧シリンダ10への作動油の流れを許容する第2チェック弁72が設けられている。別の言い方をすると、第1油流路L1において第1リリーフ弁20よりも上流側から油タンク100への作動油の流れを阻止するように、第2チェック弁72が第2油流路L2に設けられている。要するに、油圧シリンダ10のポート10aと第1リリーフ弁20の入口ポート21との間に油タンク100から作動油を供給できるように、第2油流路L2および第2チェック弁72が設けられている。
【0032】
図2は、上記油圧装置の動作を説明するためのグラフである。
【0033】
上記グラフでは、時間T1から時間T9までの間、シリンダチューブ11から突出しているピストンロッド13の長さ(
図2では「ピストロッド突出長」と記載)は、時間の経過に伴って減少する。別の言い方をすると、ピストンロッド13が時間T1で下降を開始し、その下降が時間T9で終了する。このとき、ピストンロッド13の下降速度は、時間T1から増加し始めて、ある速度になった後はその速度を維持して、時間T6から少し遅れて減少し始める。なお、時間T6は、ピストン12が移動範囲の最下端近傍に到達するタイミングに相当する。
【0034】
油圧シリンダ10のポート10aと第1リリーフ弁20の入口ポート21との間の作動油の圧力(
図2では「シリンダヘッド側圧力」と記載)は、時間T1から上昇し始めて、時間T2で第1リリーフ弁20の設定圧に到達する。これにより、制御装置80は、駆動信号を第1電動モータ41に出力して、油圧ポンプ31の回転数をマイナスにする。これにより、油圧ポンプ31が逆回転して、油圧ポンプ31の油タンク100側の圧力(
図2では「油圧ポンプの圧力」と記載)が増加する。これに伴って、第1リリーフ弁20のベントポート23の圧力が低下して、第1リリーフ弁20の開口面積が増加する。このとき、第1リリーフ弁20の開口面積が、時間T2から時間の経過に伴って増加する。また、第1リリーフ弁20を通過する作動油の流量(
図2では「第1リリーフ弁の油通過流量」と記載)も、時間T2から時間の経過に伴って増加する。その後、時間T4において、第1リリーフ弁20の開口面積が最大となり、第1リリーフ弁20を通過する作動油の流量が一定になる。
【0035】
油圧モータ32は、時間T3(時間T2後かつ時間T4前の時間)と時間T9との間、逆回転する。別の言い方をすると、時間T3より後、時間T9より前においては、油圧モータ32の回転数はマイナスとなる。このとき、油圧モータ32が第2電動モータ42を駆動することにより、第2電動モータ42で電気が発生する。この第2電動モータ42の発電量は、時間T3から上昇を始め、時間T8から減少し始める。
【0036】
油圧モータ32に供給される作動油の圧力(
図2では「発電用圧力」と記載)は、第1リリーフ弁20を通過する作動油の流量の増加の開始と共に、増加し始める。このとき、上記圧力が時間T5で第2リリーフ弁50の設定圧に到達することにより、第2リリーフ弁50が開放する。これに伴って、第2リリーフ弁50を通過する作動油の流量(
図2では「第2リリーフ弁の油通過流量」と記載)が増加する。
【0037】
一方、油圧モータ32に供給される作動油の圧力は、第1リリーフ弁20を通過する作動油の流量の減少の開始から少し遅れて、減少し始める。このとき、上記圧力が時間T7で第2リリーフ弁50の設定圧未満になることにより、第2リリーフ弁50が閉鎖する。これに伴って、第2リリーフ弁50を通過する作動油の流量が減少する。
【0038】
また、アキュムレータ60に蓄積される作動油の量(
図2では「ACC蓄積油量」と記載)も、第1リリーフ弁20を通過する作動油の流量に伴って増加する。このアキュムレータ60への作動油の蓄積により、第1リリーフ弁20の開放から遅れて油圧モータ32の逆回転が開始する。
【0039】
また、第2リリーフ弁50の閉鎖後、アキュムレータ60に蓄積された作動油が、時間の経過に伴って減少する。このとき、上記作動油が、第1チェック弁71と油圧モータ32との間に流出する。
【0040】
上記構成の油圧装置によれば、油圧シリンダ10から排出された作動油は第1油流路L1によって油タンク100へ案内される。この第1油流路L1には、第1リリーフ弁20と、第1リリーフ弁20よりも下流側に位置する油圧モータ32とが設けられている。これにより、第1リリーフ弁20が開放すると、作動油が油圧モータ32を通過する。このとき、第2電動モータ42が油圧モータ32で駆動されるので、第2電動モータ42で回生電力が発生する。したがって、上記回生電力を使って、省エネ性能を改善することができる。
【0041】
また、第1リリーフ弁20と油圧モータ32との間の作動油の圧力を第2リリーフ弁50で所定圧力以下に制御するので、第1リリーフ弁20の開閉制御に悪影響が生じるのを抑制することができる。
【0042】
また、圧力センサ73により検出された作動油の圧力が第1リリーフ弁20の設定圧以上のとき、制御装置80が油圧ポンプ31の回転数を制御することにより、第1リリーフ弁20のベントポート23の圧力が低下して、第1リリーフ弁20が開放する。したがって、油圧シリンダ10から発生するサージ圧力を抑制することができる。
【0043】
また、第1リリーフ弁20と油圧モータ32との間にアキュムレータ60が接続されているので、第1リリーフ弁20から油圧モータ32へ流れる作動油をアキュムレータ60に蓄積したり、アキュムレータ60から第1リリーフ弁20と油圧モータ32との間に作動油を供給したりすることができる。したがって、第1リリーフ弁20と油圧モータ32との間における作動油の急激な圧力変動を抑制することができる。
【0044】
また、第1油流路L1において、第1リリーフ弁20よりも下流側、かつ、アキュムレータ60が接続されている箇所よりも上流側には、第1チェック弁71が設けられているので、その箇所から第1リリーフ弁20への作動油の流れが禁止される。したがって、アキュムレータ60から油圧モータ32へ作動油が流れるとき、その作動油の流量が低下するのを抑制することができる。
【0045】
また、第1油流路L1において第1リリーフ弁20よりも上流側には、第2油流路L2を介して油タンク100が接続されている。したがって、ピストンロッド13を上方に他の機械で駆動させたとき、油タンク100から油圧シリンダ10へ作動油が供給されるので、油圧シリンダ10内で作動油が不足するのを抑制することができる。
【0046】
また、第2油流路L2には第2チェック弁72が設けられているので、第1油流路L1において第1リリーフ弁20よりも上流側から油タンク100への作動油の流れが禁止される。したがって、油圧シリンダ10から作動油が排出されるとき、その作動油が第2油流路L2を介して油タンク100に戻らないようにして、第1油流路L1を流れる作動油の流量の低下を抑制することができる。
【0047】
〔第2実施形態〕
図3は本開示の第2実施形態の油圧装置の概略ブロック図である。
【0048】
上記油圧装置は、油圧ポンプモータ232を備え、油圧ポンプモータ232から油圧シリンダ10への作動油の供給を可能に構成されている点を除いて、上記第1実施形態と同様の構成をしている。なお、油圧ポンプモータは油圧モータの一例である。
【0049】
より詳しく説明すると、油圧ポンプモータ232は、上記第1実施形態の油圧モータ30と同じように、第1チェック弁71と油タンク100との間に設けられている。この油圧ポンプモータ232は、第3油流路L3を介して油圧シリンダ10に接続され、油タンク100から油圧シリンダ10へ作動油を供給することが可能となっている。
【0050】
第3油流路L3には電磁弁290が設けられている。この第3油流路L3の一端は、第1油流路L1において第1チェック弁71よりも油圧ポンプモータ232側の部分に接続されている。一方、第3油流路L3の他端は、第2油流路L2において第2チェック弁72よりも油圧シリンダ10側の部分に接続されている。
【0051】
電磁弁290は、制御装置280から励磁信号が入力されたとき、ソレノイド293が励磁される。このとき、電磁弁290は、左側の切り換え位置となり、第1ポート291が第2ポート292と連通する。一方、電磁弁290は、制御装置280から励磁信号が入力されていないとき、ソレノイド293が励磁されない。このとき、電磁弁290は、右側の切り換え位置となり、第1ポート291および第2ポート292がそれぞれ閉鎖される。
【0052】
制御装置280は、プレス装置から圧力指令信号および流量指令信号を受けると共に、圧力センサ73から圧力信号を受けて、第2電動モータ42を駆動する駆動信号を出力することにより、油圧ポンプモータ232の回転数を制御する。
【0053】
また、制御装置280は、制御装置80と同様に、第1電動モータ41へ駆動信号を出力する。
【0054】
上記構成の油圧装置は、上記第1実施形態の油圧装置と同様の作用効果を奏する。
【0055】
また、上記油圧装置は、油圧ポンプモータ232を備えるので、この油圧ポンプモータ232とは別に、油タンク100から油圧シリンダ10へ作動油を供給する油圧ポンプを設けずに済む。したがって、上記油圧装置の大型化を抑制することができる。
【0056】
上記第1,第2実施形態では、第2電動モータ42で発生した電気は、プレス機械に直接供給されていたが、キャパシタなどの蓄電装置に蓄えるようにしてもよい。
【0057】
上記第1,第2実施形態では、油圧装置は、アキュムレータ60を備えていたが、アキュムレータ60を備えないようにしてもよい。
【0058】
上記第1,第2実施形態において、第2リリーフ弁50に換えて、電磁弁290のような電磁弁を用いてもよい。このようにする場合、第1油流路L1において第1チェック弁71よりも下流側の圧力を検出する圧力センサを設け、圧力センサによって検出される圧力に基づいて電磁弁を開閉するようにしてもよい。なお、上記電磁弁は圧力制御弁の一例である。
【0059】
上記第1,第2実施形態において、油圧装置は、プレス機械のクラッチブレーキ装置に用いてもよいし、プレス機械のダイクッション装置などに用いてもよい。
【0060】
上記第1,第2実施形態では、アクチュエータの一例として、片ロッド油圧シリンダを用いたが、両ロッド油圧シリンダ、油圧モータなどを用いてもよい。
【0061】
上記第1,第2実施形態において、上記ベントラインにおいて絞り70よりも油圧ポンプ31側に、圧力センサ73を接続していたが、上記ベントラインにおいて絞り70よりもリリーフ弁20側に、圧力センサ73を接続してもよい。
【0062】
上記第1,第2実施形態では、上記ベントラインにおいて絞り70よりも油圧ポンプ31側に接続された圧力センサ73を用いていたが、
図4,
図5に示すように、第1油流路L1の上流側に接続された圧力センサ173を用いてもよい。
【0063】
圧力センサ173は、油圧シリンダ10のポート10aと第1リリーフ弁20の入口ポート21との間の作動油の圧力を検出し、この作動油の圧力を示す圧力信号を制御装置80,280に出力する。この圧力信号が示す圧力が第1リリーフ弁20設定圧以上のときに、制御装置80,280は、油圧ポンプ31の吐出圧力が下がるように油圧ポンプ31の回転数を制御して、第1リリーフ弁20を開く。このように、圧力センサ73に換えて圧力センサ173を用いた場合も、上記第1,第2実施形態と同様の制御により、第1リリーフ弁20が開放される。
【0064】
上記第2実施形態では、第3油流路L3に、電磁弁290を設けていたが、油タンク100から油圧シリンダ10への作動油の流れを許容するチェック弁を設けてもよい。
【0065】
本開示の具体的な実施の形態について説明したが、本開示は上記第1,第2実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、上記第1,第2実施形態で記載した内容を適宜組み合わせたものを、本開示の一実施形態としてもよい。また、上記第1,第2実施形態の一方の変形例と上記第1,第2実施形態の他方とを適宜組み合わせたものを、本開示の一実施形態としてもよい。
【符号の説明】
【0066】
10 油圧シリンダ
20 第1リリーフ弁
31 油圧ポンプ
41 第1電動モータ
32 油圧モータ
42 第2電動モータ
50 第2リリーフ弁
73,173 圧力センサ
60 アキュムレータ
71 第1チェック弁
72 第2チェック弁
80,280 制御装置
90 電磁弁
100 油タンク
232 油圧ポンプモータ
L1 第1油流路
L2 第2油流路
L3 第3油流路
【手続補正書】
【提出日】2023-09-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータ(10)から排出された作動油を油タンク(100)へ案内する第1油流路(L1)に設けられ、ベントポート(23)を有するリリーフ弁(20)と、
吐出側が上記ベントポート(23)に接続されている油圧ポンプ(31)と、
上記油圧ポンプ(31)を駆動するモータ(41)と、
上記第1油流路(L1)に設けられ、上記リリーフ弁(20)よりも下流側に位置する油圧モータ(32,232)と、
上記油圧モータ(32,232)で駆動される発電機(42)と、
上記リリーフ弁(20)と上記油圧モータ(32,232)との間の作動油の圧力を所定圧力以下に制御する圧力制御弁(50)と
を備える、油圧装置。
【請求項2】
アクチュエータ(10)から排出された作動油を油タンク(100)へ案内する第1油流路(L1)に設けられ、ベントポート(23)を有するリリーフ弁(20)と、
吐出側が上記ベントポート(23)に接続されている油圧ポンプ(31)と、
上記油圧ポンプ(31)を駆動するモータ(41)と、
上記第1油流路(L1)に設けられ、上記リリーフ弁(20)よりも下流側に位置する油圧モータ(32,232)と、
上記油圧モータ(32,232)で駆動される発電機(42)と、
上記リリーフ弁(20)と上記油圧モータ(32,232)との間の作動油の圧力を所定圧力以下に制御する圧力制御弁(50)と
を備え、
上記リリーフ弁(20)と上記油圧モータ(32,232)との間に接続されたアキュムレータ(60)を備える、油圧装置。
【請求項3】
請求項2に記載の油圧装置において、
上記第1油流路(L1)において、上記リリーフ弁(20)よりも下流側、かつ、上記アキュムレータ(60)が接続されている箇所よりも上流側には、上記リリーフ弁(20)から上記油圧モータ(32,232)への作動油の流れを許容する第1チェック弁が設けられている、油圧装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の油圧装置において、
上記第1油流路(L1)において上記リリーフ弁(20)よりも上流側には、第2油流路(L2)を介して上記油タンク(100)が接続され、
上記第2油流路(L2)には、上記油タンク(100)から上記アクチュエータ(10)への作動油の流れを許容する第2チェック弁(72)が設けられている、油圧装置。
【請求項5】
アクチュエータ(10)から排出された作動油を油タンク(100)へ案内する第1油流路(L1)に設けられ、ベントポート(23)を有するリリーフ弁(20)と、
吐出側が上記ベントポート(23)に接続されている油圧ポンプ(31)と、
上記油圧ポンプ(31)を駆動するモータ(41)と、
上記第1油流路(L1)に設けられ、上記リリーフ弁(20)よりも下流側に位置する油圧モータ(32,232)と、
上記油圧モータ(32,232)で駆動される発電機(42)と、
上記リリーフ弁(20)と上記油圧モータ(32,232)との間の作動油の圧力を所定圧力以下に制御する圧力制御弁(50)と
を備え、
上記油圧モータ(232)は、第3油流路(L3)を介して上記アクチュエータ(10)に接続され、上記油タンク(100)から上記アクチュエータ(10)へ作動油を供給する油圧ポンプモータ(232)である、油圧装置。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一項に記載の油圧装置において、
上記油圧ポンプ(31)から吐出された作動油を上記リリーフ弁(20)の上記ベントポート(23)に案内するベントラインに設けられた絞り(70)と、
上記作動油の圧力を示す圧力信号を出力する圧力センサ(73)と、
上記圧力センサからの上記圧力信号に基づいて、上記油圧ポンプ(31)の回転数を制御する制御装置(80)と
を備え、
上記圧力センサ(73)は、上記ベントラインにおいて上記絞り(70)よりも上記油圧ポンプ(31)側の部分に接続されている、油圧装置。