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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140987
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】二重容器、二重容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B65D1/02 111
B65D1/02 ZAB
B65D1/02 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052391
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】室屋 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】大村 一平
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA14
3E033BA15
3E033BA16
3E033BA17
3E033BA18
3E033BB08
3E033FA03
(57)【要約】
【課題】内袋を容器本体から分離するのに必要な力が低減可能な、二重容器を提供する。
【解決手段】本発明によれば、内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を有する容器本体を備える二重容器であって、前記内袋が前記容器本体から引き抜き可能に構成されており、前記内袋を前記容器本体から引き抜く際に前記外殻と干渉するアンダーカット部の起点となる第1高さ位置では前記外殻の外面にくびれ部が設けられている、二重容器が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を有する容器本体を備える二重容器であって、
前記内袋が前記容器本体から引き抜き可能に構成されており、
前記内袋を前記容器本体から引き抜く際に前記外殻と干渉するアンダーカット部の起点となる第1高さ位置では前記外殻の外面にくびれ部が設けられている、二重容器。
【請求項2】
内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を有する容器本体を備える二重容器であって、
前記内袋が前記容器本体から引き抜き可能に構成されており、
前記容器本体は、口部と、胴部と、底部を備え、前記口部は、開口端を有する筒状部位であり、前記胴部は、前記口部よりも前記開口端から離れた側に前記口部に隣接して配置され、且つ前記口部よりも外径が大きく、前記底部は、前記胴部の下端を閉塞するように構成され、
前記胴部は、前記口部から離れるにつれて外径が大きくなる肩部を備え、
前記口部には、フランジが設けられており、
前記フランジと肩部の間にくびれ部が設けられている、二重容器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の二重容器であって、
第1高さ位置での前記外殻の肉厚をT1oとし、前記くびれ部の深さをDとすると、D/T1oは、0.1~0.8である、二重容器。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の二重容器であって、
前記くびれ部の深さは、0.2~1.0mmである、二重容器。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の二重容器であって、
前記容器本体の開口端から第1高さ位置よりも2.5mm離れた第2高さ位置での前記内袋の肉厚が0.30mm以下である、二重容器。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の二重容器であって、
前記容器本体の開口端から第1高さ位置よりも2.5mm離れた第2高さ位置での前記内袋の肉厚をT2iとし、第1高さ位置から前記容器本体の開口端側の5mmの高さ範囲での前記内袋の平均肉厚をT3とすると、T2i/T3が0.60以下である、二重容器。
【請求項7】
内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を有する容器本体を備える二重容器であって、
前記内袋が前記容器本体から引き抜き可能に構成されており、
前記内袋を前記容器本体から引き抜く際に前記外殻と干渉するアンダーカット部の起点となる第1高さ位置よりも2.5mm離れた第2高さ位置での前記内袋の肉厚が0.30mm以下である、二重容器。
【請求項8】
内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を有する容器本体を備える二重容器であって、
前記内袋が前記容器本体から引き抜き可能に構成されており、
前記内袋を前記容器本体から引き抜く際に前記外殻と干渉するアンダーカット部の起点となる第1高さ位置よりも2.5mm離れた第2高さ位置での前記内袋の肉厚をT2iとし、第1高さ位置から前記容器本体の開口端側の5mmの高さ範囲での前記内袋の平均肉厚をT3とすると、T2i/T3が0.60以下である、二重容器。
【請求項9】
成形型を用いてプリフォームを二軸延伸ブロー成形して容器本体を製造する工程を備える、二重容器の製造方法であって、
前記容器本体は、内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を有し、
前記プリフォームは、前記内袋に対応する内プリフォームと、前記外殻に対応する外プリフォームを備え、
前記外プリフォームは、前記二軸延伸ブロー成形の際の肉厚減少度が10%未満である非延伸部と、肉厚減少度が10%以上である延伸部を備え、
前記成形型は、前記延伸部のうち前記非延伸部に隣接した隣接部位において前記外プリフォームの外面に当接する位置に、周方向に延びる突出部を備える、方法。
【請求項10】
成形型を用いてプリフォームを二軸延伸ブロー成形して容器本体を製造する工程を備える、二重容器の製造方法であって、
前記容器本体は、内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を有し、
前記プリフォームは、前記内袋に対応する内プリフォームと、前記外殻に対応する外プリフォームを備え、
前記外プリフォームは、前記二軸延伸ブロー成形の際の肉厚減少度が10%未満である非延伸部と、肉厚減少度が10%以上である延伸部を備え、
前記成形型は、前記プリフォームのフランジを収容するフランジ収容部と、前記容器本体の肩部を形成するための肩部形成面を備え、かつ前記フランジ収容部と前記肩部形成面の間において前記外プリフォームの外面に当接する位置に、周方向に延びる突出部を備える、方法。
【請求項11】
請求項9又は請求項10に記載の方法であって、
前記突出部の高さは、0.2~1.0mmである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重容器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外殻と内袋とを有する容器本体を備える二重容器が知られている。例えば、特許文献1には、外殻プリフォームと内袋プリフォームとを重ねた状態で二軸延伸ブロー成形を行うことによって形成した二重容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-10741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような二重容器の外殻と内袋とが別素材で成形されている場合や、使用後の内袋内に内容物が付着している場合等において、当該二重容器をリサイクルする際には、外殻と内袋とを分離することが望まれる。
【0005】
外殻と内袋は、内袋を容器本体から引き抜くことによって分離することが想定されており、内袋を容器本体から分離するのに必要な力を低減することが望まれている。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、内袋を容器本体から分離するのに必要な力が低減可能な、二重容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を有する容器本体を備える二重容器であって、前記内袋が前記容器本体から引き抜き可能に構成されており、前記内袋を前記容器本体から引き抜く際に前記外殻と干渉するアンダーカット部の起点となる第1高さ位置では前記外殻の外面にくびれ部が設けられている、二重容器。
[2]内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を有する容器本体を備える二重容器であって、前記内袋が前記容器本体から引き抜き可能に構成されており、前記容器本体は、口部と、胴部と、底部を備え、前記口部は、開口端を有する筒状部位であり、前記胴部は、前記口部よりも前記開口端から離れた側に前記口部に隣接して配置され、且つ前記口部よりも外径が大きく、前記底部は、前記胴部の下端を閉塞するように構成され、前記胴部は、前記口部から離れるにつれて外径が大きくなる肩部を備え、前記口部には、フランジが設けられており、前記フランジと肩部の間にくびれ部が設けられている、二重容器。
[3][1]又は[2]に記載の二重容器であって、第1高さ位置での前記外殻の肉厚をT1oとし、前記くびれ部の深さをDとすると、D/T1oは、0.1~0.8である、二重容器。
[4][1]~[3]の何れか1つに記載の二重容器であって、前記くびれ部の深さは、0.2~1.0mmである、二重容器。
[5][1]~[4]の何れか1つに記載の二重容器であって、前記容器本体の開口端から第1高さ位置よりも2.5mm離れた第2高さ位置での前記内袋の肉厚が0.30mm以下である、二重容器。
[6][1]~[5]の何れか1つに記載の二重容器であって、前記容器本体の開口端から第1高さ位置よりも2.5mm離れた第2高さ位置での前記内袋の肉厚をT2iとし、第1高さ位置から前記容器本体の開口端側の5mmの高さ範囲での前記内袋の平均肉厚をT3とすると、T2i/T3が0.60以下である、二重容器。
[7]内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を有する容器本体を備える二重容器であって、前記内袋が前記容器本体から引き抜き可能に構成されており、前記内袋を前記容器本体から引き抜く際に前記外殻と干渉するアンダーカット部の起点となる第1高さ位置よりも2.5mm離れた第2高さ位置での前記内袋の肉厚が0.30mm以下である、二重容器。
[8]内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を有する容器本体を備える二重容器であって、前記内袋が前記容器本体から引き抜き可能に構成されており、前記内袋を前記容器本体から引き抜く際に前記外殻と干渉するアンダーカット部の起点となる第1高さ位置よりも2.5mm離れた第2高さ位置での前記内袋の肉厚をT2iとし、第1高さ位置から前記容器本体の開口端側の5mmの高さ範囲での前記内袋の平均肉厚をT3とすると、T2i/T3が0.60以下である、二重容器。
[9]成形型を用いてプリフォームを二軸延伸ブロー成形して容器本体を製造する工程を備える、二重容器の製造方法であって、前記容器本体は、内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を有し、前記プリフォームは、前記内袋に対応する内プリフォームと、前記外殻に対応する外プリフォームを備え、前記外プリフォームは、前記二軸延伸ブロー成形の際の肉厚減少度が10%未満である非延伸部と、肉厚減少度が10%以上である延伸部を備え、前記成形型は、前記延伸部のうち前記非延伸部に隣接した隣接部位において前記外プリフォームの外面に当接する位置に、周方向に延びる突出部を備える、方法。
[10]成形型を用いてプリフォームを二軸延伸ブロー成形して容器本体を製造する工程を備える、二重容器の製造方法であって、前記容器本体は、内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を有し、前記プリフォームは、前記内袋に対応する内プリフォームと、前記外殻に対応する外プリフォームを備え、前記外プリフォームは、前記二軸延伸ブロー成形の際の肉厚減少度が10%未満である非延伸部と、肉厚減少度が10%以上である延伸部を備え、前記成形型は、前記プリフォームのフランジを収容するフランジ収容部と、前記容器本体の肩部を形成するための肩部形成面を備え、かつ前記フランジ収容部と前記肩部形成面の間において前記外プリフォームの外面に当接する位置に、周方向に延びる突出部を備える、方法。
[11][9]又は[10]に記載の方法であって、前記突出部の高さは、0.2~1.0mmである、方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明者は、内袋を容器本体から引き抜く際にアンダーカットとなるアンダーカット部の肉厚が大きい場合に、内袋の分離に必要な力が大きくなるという知見を得た。また、アンダーカット部の起点となる第1高さ位置において外殻の外面にくびれ部を設けることによって、くびれ部がない場合に比べて、第1高さ位置を容器本体の開口端から離れる方向に移動させることが可能になることが分かった。そして、内袋の肉厚は、容器本体の開口端から離れるほど小さくなる傾向があるので、本発明によれば、アンダーカット部での内袋の肉厚が低減でき、それによって、内袋を容器本体から分離するのに必要な力が低減可能であることを見出し、本発明の完成に到った。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態の二重容器1の斜視図である。図中の一点鎖線は、表面形状を構成する面の曲率が変化する境界線を表す。他の図についても同様である。
図2図1中の容器本体2の斜視図である。
図3図2中の領域Aの拡大図である。
図4図3の分解斜視図である。内袋4は、開口端5c近傍の一部のみを図示している。
図5】外殻3の開口端近傍の斜視図である。
図6図2の容器本体2の、口部5の中心を通る縦断面図である。
図7】本発明の比較例となる容器本体2についての、図6に対応する図である。
図8】内プリフォーム14及び外プリフォーム13が分離されている状態を示す斜視図である。
図9】内プリフォーム14に外プリフォーム13を被せることによって構成されたプリフォーム15の斜視図である。
図10】口部支持型21にプリフォーム15を装着してヒーター32に近接させた状態を示す断面図である。
図11図10の状態から、プリフォーム15を成形型23に移送した後の状態を示す断面図である。
図12図11の状態から底部支持型22が外プリフォーム13の底部13cを支持した後の状態を示す断面図である。
図13図12の状態から、延伸棒25を伸長させると共に底部支持型22を後退させてプリフォーム15を第1軸延伸させた後の状態を示す断面図である。
図14図14Aは、図13中の領域Aの拡大図である。図14Bは、図14Aから成形型23を抜き出した図である。
図15図15は、本発明の比較例を示し、図15A図15Bは、それぞれ、図14A図14Bに対応する図である。
図16】実施例1及び比較例1で用いたプリフォーム15を示す断面図である。
図17】実施例1で得られた容器本体2を切断して撮影した写真中の容器本体2の形状を再現した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0011】
1.第1実施形態
1-1.二重容器1の構成
<基本構成>
図1に示すように、本発明の第1実施形態の二重容器1は、容器本体2と、口部装着部材8を備える。
【0012】
図2図3に示すように、容器本体2は、口部5と、胴部6と、底部7を備える。口部5は、開口端5cを有する筒状(好ましくは円筒状)部位である。口部5は、口部装着部材8を装着可能な係合部4mを備える。係合部4mの詳細は、後述する。口部装着部材8は、本実施形態ではキャップ8aであるが、ポンプであってもよい。口部5には、フランジ5bが設けられている。フランジ5bは、口部5に口部装着部材8を装着する際に口部5を支持するために利用可能である。
【0013】
胴部6は、口部5よりも開口端5cから離れた側に口部5に隣接して配置される。胴部6は、口部5よりも外径(本明細書において、「外径」は、断面が円形でない場合は、円相当径を意味する。)が大きい。胴部6は筒状であり、底部7は、胴部6の下端に設けられ、胴部6の下端を閉塞する。胴部6は、口部5から離れるにつれて外径が大きくなる肩部6bを備える。また、胴部6は、肩部6bよりも底部7側に、胴部本体6cを備える。胴部本体6cは、例えば、底部7に向かって外径が略一定である形状であるか、又は底部7に向かって縮径する形状である。
【0014】
図4に示すように、容器本体2は、内袋4と、内袋4を覆うように配置された外殻3を備える。内袋4は、突出部4c以外の内袋本体4dが外殻3内に収容されている。以下の説明では、内袋4のうち、容器本体2の口部5、胴部6、及び底部7に相当する部位をそれぞれ、内袋4の口部5、胴部6、及び底部7のように称する。外殻3についても同様である。
【0015】
胴部6の高さ方向の中央での外殻3の平均肉厚は、例えば、200~800μmであり、250~500μmが好ましいこの肉厚は、具体的には例えば、具体的には例えば、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800μmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0016】
胴部6の高さ方向の中央での内袋4の平均肉厚は、例えば、50~250μmであり、50~100μmが好ましい。この肉厚は、具体的には例えば、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250μmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内又は何れか以下であってもよい。本明細書において、所定の高さ位置での平均肉厚は、その高さ位置で周方向に等間隔に設定した8つの測定点での測定値の平均値を意味する。
【0017】
口部装着部材8に逆止弁が設けられていない場合は、内袋4の内容物を吐出した後にも内袋4が収縮しないので、外殻3の口部5を通じて、内袋4を引き出すことが容易でない。本発明は、内袋4を外殻3の口部5を通じて引き出すことを容易にするものであるので、口部装着部材8に逆止弁が設けられていない場合に、本発明を適用する意義が特に顕著である。
【0018】
外殻3の口部5の内径は、例えば20~50mmであり、25~40mmが好ましい。外殻3の口部5の内径は、具体的には例えば、20、25、30、35、40、45、50mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。口部5の長さは、例えば15~45mmであり、具体的には例えば、15、20、25、30、35、40、45mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0019】
<外殻3と内袋4の詳細構造>
図3図4に示すように、内袋4は、外殻3の開口端3aから突出する突出部4cを備える。突出部4cは、突出筒4c1と、係合凸部4c2と、環状凸部4c5と、当接フランジ4c4を備える。
【0020】
環状凸部4c5は、口部装着部材8と軸方向に係合する。係合凸部4c2は、口部装着部材8と周方向に係合する。本明細書において、「軸方向」とは、口部5の中心軸Cが延びる方向であり、言い換えると、容器本体2から内袋4を引き抜く方向である。「周方向」とは、口部5の中心軸Cを中心として回転させる方向であり、言い換えると、口部5において内袋4を外殻3に対して、回転させる方向である。
【0021】
係合凸部4c2は、周方向に離間されて複数箇所(本実施形態では8箇所)に設けられることが好ましい。係合凸部4c2は、環状凸部4c5上に配置され、環状凸部4c5から径方向外側に向かって突出するように設けられる。環状凸部4c5及び係合凸部4c2は、上面にテーパー面4c8,4c3が設けられている。これによって、口部装着部材8に設けられた環状凸部(不図示)が環状凸部4c5及び係合凸部4c2を乗り越えやすくなっている。
【0022】
当接フランジ4c4は、開口端3aに当接する位置に配置され且つ突出筒4c1よりも拡径された環状部位である。当接フランジ4c4が開口端3aに当接することによって、内袋4が外殻3内に脱落することが回避される。
【0023】
図4に示すように、内袋本体4dの外周面には、カム凸部4gが設けられている。カム凸部4gの下面は、口部5の開口端5c側から見て、反時計周りに進むにつれて開口端5cに近づくように傾斜している。
【0024】
図5に示すように、外殻3の内周面には、カムレール3lと、係合凹部3mが設けられている。係合凹部3mは、係合凹部3mの下面がカムレール3lの上面と連続するように設けられている。カムレール3lの上面及び係合凹部3mの下面は、開口端3a側から見て、反時計周りに進むにつれて開口端3aに近づくように傾斜している。
【0025】
内袋4を容器本体2から引き抜く前の状態では、カム凸部4gが係合凹部3m内に配置されており、カム凸部4gの下面がカムレール3lの上面に当接している。カム凸部4gとカムレール3lによって、カム機構31が構成される。本実施形態では、係合凹部3mは貫通孔であるが、非貫通孔であってもよい。内袋4を反時計回りに回転させると、内袋4がカム機構31の作用によって容器本体2から抜け出す方向に移動する。この際に、内袋4が捻られて縮径される。
【0026】
<内袋4の引き抜き>
口部装着部材8は、打栓式で容器本体2の口部5に装着可能に構成されており、口部装着部材8を口部5に被せた状態で、口部装着部材8を底部7の方向に押圧することによって、口部装着部材8を口部5に係合させて装着することができる。
【0027】
口部装着部材8は、内袋4の口部5に周方向及び軸方向に係合されており、口部装着部材8の回転に伴って内袋4が外殻3に対して回転するように構成されている。そして、内袋4と外殻3の間に設けられたカム機構31の作用により、内袋4の回転に伴って内袋4が容器本体2から抜け出す方向に移動するように構成される。
【0028】
このような構成によれば、口部装着部材8を回転させることによって、内袋4を捻りながら容器本体2から抜け出る方向に移動させることができ、その後は、口部装着部材8を引っ張ることによって、内袋4を容器本体2から引き抜くことができる。なお、内袋4を捻らずに軸方向に引っ張ることによって内袋4を容器本体2から分離するようにしてもよい。その場合にも、本発明の構成によれば、内袋4の分離に必要な力が低減される。
【0029】
<アンダーカット部>
図7は、本発明の比較例となる容器本体2xの構成を示す。容器本体2xの口部5では、外殻3の内面3bと外面3cは、それぞれ、外殻3及び内袋4の肉厚が減少し始める肉厚減少開始高さ位置Haに対して開口端5cに近づく側に隣接する第1領域5dでは、口部5の中心軸Cに平行に延在している。一方、高さ位置Haに対して開口端5cから離れる側に隣接する第2領域5eでは、外面3cは、中心軸Cに平行のままであり、かつ外殻3の肉厚が容器本体2xの開口端5cから離れるにつれて徐々に小さくなっている。このため、外殻3の内面3bが容器本体2xの開口端5cから離れるにつれて拡径する傾斜面になっている。内袋4の外面4vは、外殻3の内面3bに沿った形状になっているので、内袋4のうち第2領域5eに存在する部位は、内袋4を容器本体2xから引き抜く際に外殻3と干渉するアンダーカット部4uを有する。図7中の鉛直面Vよりも外殻3に近い部位がアンダーカット部4uとなる。容器本体2xでは、肉厚減少開始高さ位置Haは、アンダーカット部4uの起点となる第1高さ位置H1と一致する。
【0030】
アンダーカット部4uは、内袋4を容器本体から分離するのに必要な力を増大させる因子であり、アンダーカット部4uを有する高さ位置での内袋4の肉厚が大きいほど、その影響が大きい。図7の形態では、アンダーカット部4uの起点となる第1高さ位置H1は、肉厚減少開始高さ位置Haと一致しており、第1高さ位置H1に直下の部位では、内袋4の肉厚減少が不十分であり、アンダーカット部4uが、内袋4を容器本体から分離するのに必要な力を大幅に増大させている。
【0031】
次に、図6を用いて、本実施形態の容器本体2について説明する。本実施形態の容器本体2は、外殻3の外面3cにくびれ部3dが設けられている点が、図7の比較例との主な相違点である。本実施形態の容器本体2は、第2領域5eにおいて外殻3及び内袋4の肉厚が徐々に減少する点は図7の形態と共通しているが、本実施形態では、くびれ部3dが設けられているために、肉厚減少開始高さ位置Haが、アンダーカット部4uの起点となる第1高さ位置H1とはならず、第1高さ位置H1は、肉厚減少開始高さ位置Haよりも、開口端5cから離れた高さ位置となる。内袋4の肉厚は、第2領域5eでは、開口端5cから離れるにつれて減少するので、第1高さ位置H1が肉厚減少開始高さ位置Haよりも開口端5cから離れた位置になることによって、第1高さ位置H1の直下の部位での内袋4の肉厚が、図7に示すようにくびれ部3dが存在しない場合に比べて小さくなる。このため、くびれ部3dを設けることによって、内袋4を容器本体から分離するのに必要な力を低減することが可能となる。
【0032】
くびれ部3dは、外殻3の外面3cの周方向に延びるように設けられた凹部である。くびれ部3dは、外面3cの周方向の一部に設けてもよいが、全周に設けることが好ましい。くびれ部3dは、フランジ5bと肩部6bの間に設けることが好ましい。くびれ部3dとフランジ5bの下面の間には、くびれ部3dがない部位があることが好ましい。くびれ部3dは、肩部6bに段差なく連なることが好ましい。
【0033】
第1高さ位置H1での外殻3の肉厚をT1oとし、くびれ部3dの深さをDとすると、D/T1oは、0.1~0.8であることが好ましい。くびれ部3dが浅すぎるとアンダーカット部4uを有する高さ位置での内袋4の肉厚低減効果が不十分な場合がある。くびれ部3dが深すぎるとくびれ部3dによって生じるアンダーカットによって、内袋4の分離に必要な力が増大してしまう場合がある。深さDは、第1領域5dでの外面3cからの深さを意味する。深さDは、例えば、(第1領域5dの外殻3の外径-くびれ部3dでの外殻3の外径)/2によって算出することができる。D/T1oは、0.2~0.7が好ましく、具体的には例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0034】
T1oは、例えば、0.8~2.0mmであり、具体的には例えば、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。Dは、例えば0.2~1.0mmであり、具体的には例えば、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。第1高さ位置H1での内袋4の肉厚T1iは、例えば、0.15~0.35mmであり、具体的には例えば、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0035】
開口端5cから第1高さ位置H1よりも2.5mm離れた第2高さ位置H2での内袋4の肉厚T2iは、0.30mm以下が好ましく、0.20mm以下がさらに好ましい。この肉厚が小さいほど、内袋4の分離に必要な力がアンダーカット部4uに起因して増大することが抑制される。肉厚T2iは、例えば、具体的には例えば、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲又は何れか以下であってもよい。第2高さ位置H2での外殻3の肉厚T2oは、例えば、0.5~1.5mmであり、具体的には例えば、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0036】
第1高さ位置H1から開口端5c側の5mmの高さ範囲での内袋4の平均肉厚をT3とすると、T2i/T3が0.60以下であることが好ましい。T2i/T3は、アンダーカット部4uを有する高さ位置での内袋4の肉厚の減少度合いを示している。T2i/T3が小さいほど、アンダーカット部4uを有する高さ位置での内袋4の肉厚の減少が顕著であり、内袋4の分離に必要な力がアンダーカット部4uに起因して増大することが抑制される。T2i/T3は、
【0037】
1-2.二重容器1の製造方法
図8図13に示すように、容器本体2は、成形型23を用いてプリフォーム15を二軸延伸ブロー成形することによって製造することができる。
【0038】
<内プリフォーム14、外プリフォーム13,プリフォーム15の構成>
プリフォーム15は、内袋4となる内プリフォーム14と、外殻3となる外プリフォーム13を備える。
【0039】
図8に示すように、内プリフォーム14は、有底筒状であり、口部14aと、胴部14bと、底部14cを備える。口部14aの開口端には、突出部14dが設けられている。突出部14dは、成形時に変形せずにそのままの形状で突出部4cとなる。従って、突出部4cについて述べた事項は、突出部14dにも当てはまる。突出部14dには、係合部14mが設けられて。係合部14mは、成形後に係合部4mとなり、内袋4の引き抜きに用いられる。底部14cは、胴部14bの下端を閉じるように設けられる。
【0040】
図8に示すように、外プリフォーム13は、有底筒状であり、口部13aと、胴部13bと、底部13cを備える。底部13cは、胴部13bの下端を閉じるように設けられる。底部13cには、環状凸部13dが設けられている。
【0041】
図9に示すように、内プリフォーム14に外プリフォーム13を被せることによって、プリフォーム15を形成することができる。プリフォーム15では、口部14aと口部13aが対向し、胴部14bと胴部13bが対向する。
【0042】
口部13a,14aがプリフォーム15の口部15aとなり、胴部13b,14bがプリフォーム15の胴部15bとなり、底部13c,14cがプリフォーム15の底部15cとなる。胴部15b及び底部15cが、二軸延伸ブロー成形において主に延伸される。
【0043】
<内プリフォーム14、外プリフォーム13、プリフォーム15の材料・製造方法>
内プリフォーム14及び外プリフォーム13は、ポリエステル(例:PET)やポリオレフィン(例:ポリプロピレン、ポリエチレン)等の熱可塑性樹脂のダイレクトブロー成形や射出成形等によって形成可能である。一例では、内プリフォーム14がポリオレフィン(例:ポリプロピレン)で構成され、外プリフォーム13はPETで構成される。内プリフォーム14に用いられるポリオレフィンは、ポリエチレンよりもポリプロピレンが好ましい。ポリプロピレンの方が、ポリエチレンよりも、二軸延伸ブロー成形に適した温度がPETに近いからである。
【0044】
プリフォーム15は、内プリフォーム14と外プリフォーム13を別々に製造した後に、内プリフォーム14に外プリフォーム13を被せて構成してもおく、多層射出成形や二色成形によって製造してもよい。何れの方法によっても、内プリフォーム14と外プリフォーム13が積層されて構成されたプリフォーム15が得られる。
【0045】
多層射出成形では、内プリフォーム14と外プリフォーム13のそれぞれに対応する層を有する多層のプリフォーム15を一度の射出成形で製造することができる。
【0046】
二色成形では、第1成形工程で内プリフォーム14と外プリフォーム13の一方を成形し、第2成形工程で内プリフォーム14と外プリフォーム13の他方を成形する。第1成形工程は、ダイレクトブロー成形であっても射出成形であってもよい。第2成形工程は、射出成形が好ましい。
【0047】
<二軸延伸ブロー成形>
二軸延伸ブロー成形は、一例では、加熱工程と、第1延伸工程と、第2延伸工程によって行うことができる。加熱工程は、図10に示す加熱装置35を用いて行うことができ、第1及び第2延伸工程は、図11図13に示すブロー成形装置36を用いて行うことができる。
【0048】
<加熱工程>
加熱工程では、プリフォーム15を加熱して軟化させて軟化状態とする。加熱工程は、一例では、図10に示すようにプリフォーム15を口部支持型21に装着した状態で、プリフォーム15をヒーター32に近接させることによって、プリフォーム15の加熱を行うことができる。加熱工程は、プリフォーム15に設けられたフランジ15eを遮熱部33で覆った状態で胴部15b及び底部15cを加熱するように行われる。これによって、胴部15b及び底部15cが軟化される。一方、遮熱部33で覆われたフランジ15eと口部15aは、ヒーター32からの熱がほとんど又は全く加えられず、軟化されない。また、胴部15bのうちフランジ15eに隣接する部位15fは、遮熱部33によってヒーター32からの熱がある程度は遮断されることに加えて、ヒーター32からの熱が加わっても温度が比較的低いフランジ15e及び口部15aに熱が逃げやすいので、部位15fは、軟化されにくい。一例では、プリフォーム15は、回転させながら加熱することができる。また、一例では、ヒーター32は、プリフォーム15の側面に沿って配置された複数の棒状ヒーターで構成されるが、別の構成であってもよい。
【0049】
<第1延伸工程>
第1延伸工程では、プリフォーム15を第1軸方向(つまり、縦方向)に沿って延伸させる。第1軸は、例えば、口部5の中心軸Cに平行な方向であり、図11の上下方向である。この工程は、一例では、図11に示すように、加熱後のプリフォーム15を成形型23にセットし、図12図13に示すように、底部支持型22で外プリフォーム13の底部13cを支持した状態で、延伸棒25を内プリフォーム14の内底面に押し当てて伸長させることによって、行うことができる。この際、延伸棒25の伸長と同期させて底部支持型22を後退させることが好ましい。これによって、プリフォーム15を安定して延伸させることができる。
【0050】
プリフォーム15は、口部支持型21で支持した状態で加熱装置35からブロー成形装置36に移送することができる。ブロー成形装置36では、口部支持型21では台座34にセットすることができる。第1延伸工程は、台座34を成形型23に向かって移動させることによって口部支持型21を成形型23に当接させた状態で、行うことができる。成形型23は、開閉可能な分割金型で構成され、容器本体2の外面形状に対応するキャビティ面23aを有する。
【0051】
<第2延伸工程>
第2延伸工程では、図13の状態から内プリフォーム14内にエアーを吹き込むことによってプリフォーム15を第2軸方向(つまり横方向)に延伸させて(つまり膨張させて)キャビティ面23aの形状に賦形し、図2に示す容器本体2が得られる。エアーの吹き込みは、口部支持型21と延伸棒25の間の通気路26を通じて行うことができるが、例えば、延伸棒25内に通気路を設けて、延伸棒25の側面からエアーを吹き出すようにしてもよい。
【0052】
ところで、外プリフォーム13は、二軸延伸ブロー成形の際に、肉厚が大きく減少する部位と、肉厚の減少がほとんど又は全く減少しない部位がある。ここで、対応する部位についての(外殻3の肉厚/外プリフォーム13の肉厚)によって定義される肉厚減少度が10%未満である部位を非延伸部、10%以上である部位を延伸部と定義する。外プリフォーム13は、二軸延伸ブロー成形の際の肉厚減少度が10%未満である非延伸部と、肉厚減少度が10%以上である延伸部を備える。
【0053】
図15は、本発明の比較例となる成形型23xを示す。この成形型23xを用いて成形することによって、図7に示す容器本体2xが得られる。図15A中の境界Bの、底部15c側の隣接部位15gは、外プリフォーム13と外殻3の外形は一致するので、隣接部位15gは、第2延伸工程では延伸されないが、第1延伸工程では延伸されて薄肉化される。そして、この薄肉化によって、図7を参照して説明したように、内袋4の肉厚が大きいアンダーカット部4uが形成される。
【0054】
図14は、本発明の実施形態の成形型23を示す。成形型23は、前記延伸部のうち前記非延伸部に隣接した隣接部位15gにおいて外プリフォーム13の外面に当接する位置に、周方向に延びる突出部23bを備える点が、比較例との相違点である。成形型23に突出部23bを設けることによって、図6に示すくびれ部3dが形成され、アンダーカット部4uを有する高さ位置で内袋4が薄肉化される。突出部23bは、くびれ部3dは、周方向の一部に設けてもよいが、全周に設けることが好ましい。突出部23bは、フランジ15eを収容するフランジ収容部23cと、肩部6bを形成するための肩部形成面23dの間に設けることが好ましい。突出部23bとフランジ収容部23cの間には、突出部23bがない部位があることが好ましい。突出部23bは、肩部形成面23dに段差なく連なることが好ましい。
【0055】
境界Bでの外プリフォーム13の肉厚をTbとし、突出部23bの高さをHとすると、H/Tbは、0.1~0.8であることが好ましい。突出部23bが低すぎるとアンダーカット部4uを有する高さ位置での内袋4の肉厚低減効果が不十分な場合がある。突出部23bが高すぎるとくびれ部3dが深くなりすぎて、くびれ部3dによって内袋4の分離に必要な力がかえって増大してしまう場合がある。高さHは、境界Bの、開口端側の隣接領域23eからの高さを意味する。
【0056】
Tbは、例えば、0.8~2.0mmであり、具体的には例えば、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。Hは、例えば0.2~1.0mmであり、具体的には例えば、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0057】
2.その他実施形態
本発明は、アンダーカット部4uを有する高さ位置での内袋4の肉厚が小さい点に注目すると、以下のように規定することができる。この場合は、くびれ部3dは必須ではない。くびれ部3dを形成する代わりに、例えば、プリフォーム15の形状を変更することによってアンダーカット部4uを有する高さ位置での内袋4の肉厚を低減することができる。
【0058】
内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を有する容器本体を備える二重容器であって、
前記内袋が前記容器本体から引き抜き可能に構成されており、
前記内袋を前記容器本体から引き抜く際に前記外殻と干渉するアンダーカット部の起点となる第1高さ位置よりも2.5mm離れた第2高さ位置での前記内袋の肉厚が0.30mm以下である、二重容器。
【0059】
内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を有する容器本体を備える二重容器であって、
前記内袋が前記容器本体から引き抜き可能に構成されており、
前記内袋を前記容器本体から引き抜く際に前記外殻と干渉するアンダーカット部の起点となる第1高さ位置よりも2.5mm離れた第2高さ位置での前記内袋の肉厚をT2iとし、第1高さ位置から前記容器本体の開口端側の5mmの高さ範囲での前記内袋の平均肉厚をT3とすると、T2i/T3が0.60以下である、二重容器。
【0060】
また、本発明は、フランジ5bと肩部6bの間にくびれ部3dを設けるという点に注目すると、以下のように規定することができる。
【0061】
内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を有する容器本体を備える二重容器であって、
前記内袋が前記容器本体から引き抜き可能に構成されており、
前記容器本体は、口部と、胴部と、底部を備え、前記口部は、開口端を有する筒状部位であり、前記胴部は、前記口部よりも前記開口端から離れた側に前記口部に隣接して配置され、且つ前記口部よりも外径が大きく、前記底部は、前記胴部の下端を閉塞するように構成され、
前記胴部は、前記口部から離れるにつれて外径が大きくなる肩部を備え、
前記口部には、フランジが設けられており、
前記フランジと肩部の間にくびれ部が設けられている、二重容器。
【0062】
さらに、本発明は、プリフォーム15のフランジ15eを収容するフランジ収容部23cと、肩部6bを形成するための肩部形成面23dの間に突出部23bを設ける点に注目すると、以下のように規定することができる。
【0063】
成形型を用いてプリフォームを二軸延伸ブロー成形して容器本体を製造する工程を備える、二重容器の製造方法であって、
前記容器本体は、内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を有し、
前記プリフォームは、前記内袋に対応する内プリフォームと、前記外殻に対応する外プリフォームを備え、
前記外プリフォームは、前記二軸延伸ブロー成形の際の肉厚減少度が10%未満である非延伸部と、肉厚減少度が10%以上である延伸部を備え、
前記成形型は、前記プリフォームのフランジを収容するフランジ収容部と、前記容器本体の肩部を形成するための肩部形成面を備え、かつ前記フランジ収容部と前記肩部形成面の間において前記外プリフォームの外面に当接する位置に、周方向に延びる突出部を備える、方法。
【実施例0064】
1.容器本体の製造及び肉厚測定
<実施例1>
図16に示す形状のプリフォーム15及び図10図14に示す構造の装置を使用して上述した二軸延伸ブロー成形を行うことによって、図1図6に示す形状の容器本体2(内容量300mL)を得た。内プリフォーム14の肉厚は、プリフォーム15の開口端からの距離が20~40mmの範囲内で約0.7mmであった。また、外プリフォーム13の肉厚は、プリフォーム15の開口端からの距離が20mmの位置では約1.9mm、27.5~40mmの範囲内で約1.3mmであった。
【0065】
内プリフォーム14は、プロピレン-エチレンランダム共重合体(型式:ウィンテック、日本ポリプロ社製)をダイレクトブロー成形することによって製造した。外プリフォーム13は、PET(型式:チタン系触媒グレード、帝人社製)を300℃で射出成形して外プリフォームの形状とした後に20℃に急冷することによって製造した。急冷によって溶融状態のPETを非晶質状態にした。加熱工程では、プリフォーム15を110℃(プリフォーム15の長手方向の中央での温度)に加熱した。突出部23bの高さ及びくびれ部3dの深さは、それぞれ、0.5mmとした。突出部23bは、プリフォーム15を成形型23にセットした状態で、プリフォーム15の開口端から突出部23bの頂面までの第1軸方向の距離が、31.6mmとなるように設けた。
【0066】
次に、得られた容器本体2について、開口端5cからの距離を種々変更し、各測定位置での肉厚を測定した。肉厚測定は、マイクロメーターを用いて、パーティングラインからの角度が90度である2箇所で行い、平均値を算出した。容器本体2の断面形状と、測定位置の関係を図17に示す。図17は、得られた容器本体2を切断して撮影した写真中の容器本体2の形状を再現した図である。
【0067】
【表1】
【0068】
図17を参照すると、開口端5cからの距離が32.5mmの位置が、アンダーカット部4uの起点となる第1高さ位置H1であることが分かる。表1を参照すると、第1高さ位置H1での外殻3の肉厚T1oが1.178mmであり、上述のように、くびれ部3dの深さDは0.5mmであるので、D/T1oは、0.34となる。
【0069】
開口端5cから第1高さ位置H1よりも2.5mm離れた第2高さ位置H2は、開口端5cから35.0mmの位置であり、この位置での内袋4の肉厚T2iは、0.165mmとなっている。また、第1高さ位置H1から開口端5c側に5mmの範囲は、27.5~32.5mmの範囲であり、この範囲内での内袋4の平均肉厚T3は、0.357mmであるので、T2i/T3は、0.46となる。
【0070】
また、表1の外殻3の肉厚と、外プリフォーム13の肉厚を比べると、開口端5cからの距離が3.0mmの位置では、肉厚減少率が5%程度であり、約32.5mm付近で肉厚減少率が約10%となっていることが分かる。そして、突出部23bは、開口端から31.6mmの位置から肩部形成面23dに渡って設けられているので、外プリフォーム13の延伸部のうち非延伸部に隣接した隣接部位において外プリフォーム13の外面に当接する位置に設けられていることが分かる。
【0071】
<比較例1>
成形型23を図15に示す成形型23xに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、容器本体2xを製造し、肉厚測定を行った。その結果を表2に示す。図7は、比較例1で得られた容器本体2xを切断して撮影した写真中の容器本体2xの形状を再現した図である。
【0072】
【表2】
【0073】
比較例1では、開口端5cからの距離が30.0mmの位置から外殻3の肉厚が急速に減少しており、この位置が、アンダーカット部の起点となる第1高さ位置H1であることが分かる。表2を参照すると、開口端5cから第1高さ位置H1よりも2.5mm離れた第2高さ位置H2は、開口端5cから32.5mmの位置であり、この位置での内袋4の肉厚T2iは、0.343mmとなっている。また、第1高さ位置H1から開口端5c側に5mmの範囲は、25.0~30.0mmの範囲であり、この範囲内での内袋4の平均肉厚T3は、0.491mmであるので、T2i/T3は、0.70となる。
【0074】
<考察>
実施例1は、比較例1と比べて、第2高さ位置H2での内袋4の肉厚が小さく、T2i/T3の値が小さかった。
【0075】
2.トルクの測定
実施例・比較例の容器本体2,2xの口部5に、上記実施形態のキャップ8aを装着し、容器本体2,2xを固定した状態でキャップ8aを反時計回りに(内袋4を容器本体2,2xから分離する際に回転させる方向に)180度回転させたときのピーク値を回転トルクとして記録した。この回転トルクは、内袋4を容器本体2,2xから引き抜くのに必要な力に対応している。実施例・比較例のそれぞれについて測定サンプルを5つ準備し、それぞれについて測定を行った。その結果を表3に示す。
【0076】
表3を参照すると、実施例1では、比較例1よりも回転トルクが小さく、内袋4を容器本体2から分離するのに必要な力が低減されることが分かった。
【0077】
【表3】
【符号の説明】
【0078】
1 :二重容器
2 :容器本体
2x :比較例の容器本体
3 :外殻
3a :開口端
3b :内面
3c :外面
3d :くびれ部
3l :カムレール
3m :係合凹部
4 :内袋
4c :突出部
4c1 :突出筒
4c2 :係合凸部
4c3 :テーパー面
4c4 :当接フランジ
4c5 :環状凸部
4c8 :テーパー面
4d :内袋本体
4g :カム凸部
4m :係合部
4u :アンダーカット部
4v :外面
5 :口部
5b :フランジ
5c :開口端
5d :第1領域
5e :第2領域
5e :第2領域
6 :胴部
6b :肩部
6c :胴部本体
7 :底部
8 :口部装着部材
8a :キャップ
13 :外プリフォーム
13a :口部
13b :胴部
13c :底部
13d :環状凸部
14 :内プリフォーム
14a :口部
14b :胴部
14c :底部
14d :突出部
14m :係合部
15 :プリフォーム
15a :口部
15b :胴部
15c :底部
15e :フランジ
15f :部位
15g :隣接部位
21 :口部支持型
22 :底部支持型
23 :成形型
23x :比較例の成形型
23a :キャビティ面
23b :突出部
23c :フランジ収容部
23d :肩部形成面
23e :隣接領域
25 :延伸棒
26 :通気路
31 :カム機構
31a :端面
32 :ヒーター
33 :遮熱部
34 :台座
35 :加熱装置
36 :ブロー成形装置
B :境界
C :中心軸
H1 :第1高さ位置
H2 :第2高さ位置
Ha :肉厚減少開始高さ位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17