(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140993
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
H02P 29/00 20160101AFI20241003BHJP
【FI】
H02P29/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052406
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】宇野 寿一
【テーマコード(参考)】
5H501
【Fターム(参考)】
5H501DD07
5H501GG01
5H501HA01
5H501JJ08
5H501KK02
5H501LL35
5H501PP02
(57)【要約】
【課題】位置検出回路の不感帯領域内の位置にあるか否かの判定性能を向上する。
【解決手段】回転装置1に取り付けられる電圧出力回路75と制御回路30とを備える検出装置において、電圧出力回路は、一端が所定の電圧Veを印加する電源Eに接続され他端がグランドに接地された可変抵抗77と、回転装置の回転に応じて可変抵抗との接触位置が移動することにより変化する電圧Voを出力する電圧出力線78と、一端が電圧出力線に接続され他端が制御回路に接続され、電圧出力線より出力される電圧Voを調整する抵抗器79とを有し、制御回路は、抵抗器の一端の接続先を電源またはグランドに切り替える切替部31と、抵抗器を電源に接続した場合の第1電圧値と、抵抗器をグランドに接続した場合の第2電圧値とに基づいて、電圧出力線の接触位置が可変抵抗とグランドとの間に形成される不感帯領域内の位置にあるか否かを判定する不感帯領域判定部66を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧出力回路と制御回路とを備え、所定の回転装置に取り付けられる検出装置であって、
前記電圧出力回路は、
一端が所定の電圧を印加する電源に接続され、他端がグランドに接地された可変抵抗と、
前記回転装置の回転に応じて前記可変抵抗との接触位置が移動することにより変化する電圧を出力する電圧出力線と、
一端が前記電圧出力線に接続されるとともに他端が前記制御回路に接続され、前記電圧出力線より出力される電圧を調整する抵抗器と、を有し、
前記制御回路は、
前記抵抗器の一端の接続先を、前記電源または前記グランドに切り替える切替部と、
前記抵抗器を前記電源に接続した場合の電圧値である第1電圧と、前記抵抗器を前記グランドに接続した場合の電圧値である第2電圧とに基づいて、前記電圧出力線の接触位置が前記電圧出力回路における前記可変抵抗と前記グランドとの間に形成される不感帯領域内の位置にあるか否かを判定する不感帯領域判定部を有する、
検出装置。
【請求項2】
前記不感帯領域判定部は、
前記第1電圧と前記第2電圧との差に応じて、前記電圧出力線の接触位置が前記不感帯領域内の位置にあるか否かを判定する、
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記抵抗器の抵抗値は、前記可変抵抗の抵抗値よりも大きい、
請求項1に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、いわゆるアクチュエータとして用いられる回転装置において、例えば、特許文献1に記載されたような技術が知られている。この回転装置は、出力ギヤと、出力ギヤを駆動するモータと、出力ギヤに対応する位置に外部に挿通する開口部が形成された筐体とを備えており、開口部を通じて、筐体の外部から出力ギヤにアクセスすることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、回転装置の駆動制御方式としては、例えば、回転機構に取り付けられた位置検出回路の一例であるポテンショメータで検出した電圧によるフィードバック制御をする方式が知られている。このような回転装置では、出力ギヤの回転に応じて変化する電圧をポテンショメータで検出し、検出した電圧から出力ギヤの現在位置を特定し、特定した現在位置から駆動量をフィードバックする。
【0005】
しかしながら、ポテンショメータによる回転位置検出を用いた回転装置においては、ポテンショメータにおける1回転の範囲内に位置情報を取得できない不感帯領域が存在する。このようなポテンショメータを用いて取得した位置情報に基づいて回転位置検出を行う場合、出力ギヤの回転位置がポテンショメータの不感帯領域内の位置にある場合、正確な回転位置検出が困難である。
【0006】
本発明は上記従来の問題に鑑みなされたものであって、本発明の課題は、回転装置において、出力ギヤの回転位置が位置検出回路の不感帯領域内の位置にあるか否かの判定性能を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、電圧出力回路と制御回路とを備え、所定の回転装置に取り付けられる検出装置であって、前記電圧出力回路は、一端が所定の電圧を印加する電源に接続され、他端がグランドに接地された可変抵抗と、前記回転装置の回転に応じて前記可変抵抗との接触位置が移動することにより変化する電圧を出力する電圧出力線と、一端が前記電圧出力線に接続されるとともに他端が前記制御回路に接続され、前記電圧出力線より出力される前記電圧を調整する抵抗器と、を有し、前記制御回路は、前記抵抗器の一端の接続先を、前記電源またはグランドに切り替える切替部と、前記抵抗器を前記電源に接続した場合の電圧値である第1電圧と、前記抵抗器を前記グランドに接続した場合の電圧値である第2電圧とに基づいて、前記電圧出力線の接触位置が前記電圧出力回路における前記可変抵抗と前記グランドとの間に形成される不感帯領域内の位置にあるか否かを判定する不感帯領域判定部を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、回転装置において、出力ギヤの回転位置が位置検出回路の不感帯領域内の位置にあるか否かの判定性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態の回転装置の一例を示す概略構成図である。
【
図2】本実施形態の回転装置における制御装置とステッピングモータとの関係の一例を示す概略構成図である。
【
図3】電圧出力回路の不感帯領域を説明する図である。
【
図4】電圧出力回路の可変抵抗領域と不感帯領域とにおける電圧の変化を説明する図である。
【
図5】電圧出力回路において、切替部により抵抗器が電源に接続されている状態を概念的に示す図である。
【
図6】電圧出力回路において、切替部により抵抗器がグランドに接続されている状態を概念的に示す図である。
【
図7】電圧出力回路において、出力ギヤの回転位置が電圧出力回路の不感帯領域内の位置にある場合における分圧電圧の測定波形の一例を示す図である。
【
図8】電圧出力回路において、出力ギヤの回転位置が電圧出力回路の不感帯領域内の位置にある場合における第1電圧の測定波形の一例を示す図である。
【
図9】電圧出力回路において、出力ギヤの回転位置が電圧出力回路の不感帯領域内の位置にある場合における第2電圧の測定波形の一例を示す図である。
【
図10】電圧出力回路において、出力ギヤの回転位置が電圧出力回路の不感帯領域外の位置にある場合における分圧電圧の測定波形の一例を示す図である。
【
図11】電圧出力回路において、出力ギヤの回転位置が電圧出力回路の不感帯領域外の位置にある場合における第1電圧の測定波形の一例を示す図である。
【
図12】電圧出力回路において、出力ギヤの回転位置が電圧出力回路の不感帯領域外の位置にある場合における第2電圧の測定波形の一例を示す図である。
【
図13】回転装置の制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態の具体例について図を参照して説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態において共通する構成要素には同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する。
【0011】
図1は、本実施形態の回転装置1の一例を示す概略構成図である。回転装置1は、
図1に示すように、筐体12内に、制御基板11と、ステッピングモータ20と、アクチュエータ出力軸70と、第1ギヤ71と、第2ギヤ72と、第3ギヤ73と、出力ギヤ74と、電圧出力回路75と、FPC(フレキシブルプリント基板)76とを備えて構成されている。
【0012】
制御基板11は、回転装置1の後述する制御装置10(
図2参照)を搭載している。制御基板11は、搭載された制御装置10がFPC76を介してステッピングモータ20と電圧出力回路75とに電気的に接続されるように配線されている。制御装置10は、ステッピングモータ20に駆動電圧を印加することによって、ステッピングモータ20の出力軸を回転駆動する。
【0013】
ステッピングモータ20は、その出力軸に第1ギヤ71が設けられている。第2ギヤ72、および第3ギヤ73は、第1ギヤ71がステッピングモータ20によって回転駆動されると連動して回転する。これらのギヤ71、72、73が回転すると、最終的に出力ギヤ74まで連動して回転する。
【0014】
出力ギヤ74は、アクチュエータ出力軸70を有しており、このアクチュエータ出力軸70が外部の駆動対象物に接続されている。また、出力ギヤ74には電圧出力回路75が設けられており、回転位置に応じて変化する電圧値を測定することによって出力ギヤ74の回転位置を読み取ることができる。
【0015】
図2は、本実施形態の回転装置1における制御装置10とステッピングモータ20との関係の一例を示す概略構成図である。回転装置1の制御装置10は、
図2に示すように、制御回路30と、駆動回路40と、電圧出力回路75とを備えて構成されている。回転装置1において、後述する制御回路30により実現される機能部及び電圧出力回路75は、本発明における検出装置を構成する。
【0016】
制御回路30にはLIN(Local Interconnect Network)などを介して上位コントローラ(外部の一例)から駆動指令信号(コマンド)が入力される。駆動指令信号とは、アクチュエータ出力軸70に接続された駆動対象物が所望の動作を行うようにステッピングモータ20を駆動するための駆動目標を含んだ信号である。その駆動目標は、アクチュエータ出力軸70の回転位置を用いることができる。
【0017】
制御回路30は、駆動指令信号に含まれる駆動目標に応じた数の駆動パルスを制御信号として駆動回路40に出力する駆動制御部50を備えている。駆動回路40は、ステッピングモータ20を駆動する駆動電圧を印加するモータ駆動部41を備えている。
【0018】
駆動制御部50は、例えば、CPU等のプロセッサ、ROMやRAM等の各種メモリ、タイマ(カウンタ)、A/D変換回路、入出力I/F回路、およびクロック生成回路等のハードウェア要素を有し、各構成要素がバスや専用線を介して互いに接続されたプログラム処理装置(例えば、マイクロコントローラ:MCU)によって構成されている。
【0019】
駆動制御部50は、プロセッサがメモリ等の記憶装置(図示せず)に記憶されたプログラムに従って各種演算を行うとともにA/D変換回路および入出力I/F回路等の周辺回路を制御することによって回転装置1の制御装置10における各機能部の構成を実現している。
【0020】
駆動制御部50には、出力ギヤ74の回転位置を読み取る電圧出力回路75から出力された電圧(位置情報)が入力されるようになっている。また、駆動制御部50は、必要に応じて、回転装置1の駆動状態を示すステータス信号を上位コントローラに出力する。
【0021】
本実施形態の電圧出力回路75(位置検出回路の一例)は、例えば、いわゆるポテンショメータとして構成することができる。一端が所定の電圧値Veを印加する電源Eに接続され、他端がグランドに接地されている可変抵抗77と、電圧出力線78と、抵抗器79とにより構成されている。
【0022】
電圧出力回路75は、可変抵抗77が設けられた領域である可変抵抗領域と、可変抵抗77の他端とグランドとの間に形成される不感帯領域とを有している。具体的には、電圧出力回路75において、電圧出力線78は、可変抵抗77の全体の抵抗値Rv(例えば、6kΩ)に基づく可変抵抗領域と、可変抵抗77とグランドとの間に存在する不感帯領域とのいずれかの領域の任意の位置において接触し、その接触位置が出力ギヤ74の回転位置に応じて移動する。可変抵抗77は、電圧出力線78による接触位置に基づき、全体の抵抗値がRvである第1抵抗R1と第2抵抗R2に分割される。電圧出力線78において、可変抵抗77との接触位置が移動すると、電源Eから電圧出力線78との間に形成される第1抵抗R1の大きさと電圧出力線78とグランドとの間に形成される第2抵抗R2の大きさとの比率が変化し、その結果、出力する分圧電圧(検出電圧)Voが変化する。可変抵抗77の他端とグランドとの間に形成される不感帯領域では、ハイインピーダンス状態となるため、分圧電圧Voは接触位置に応じて変化しない。電圧出力回路75において、入力インピーダンスは、例えば、1MΩ以上である。
【0023】
図3は、電圧出力回路75の不感帯領域を説明する図である。
図3において、0から360の数値は出力ギヤ74の回転位置(1回転内の角度)を示している。
図3に示すように、出力ギヤ74の回転位置は、電圧出力回路75の可変抵抗領域と不感帯領域とに対応している。
【0024】
図4は、電圧出力回路75の可変抵抗領域と不感帯領域とにおける電圧の変化を説明する図である。
図4に示すように、電圧出力回路75において、
図4における符号A1で示す可変抵抗領域では、上述の通り、第1抵抗R1の大きさと第2抵抗R2の大きさとの比率の変化に応じて、出力する分圧電圧Voがグランドと電源電圧Veとの間で変化する。このため、電圧出力回路75は、分圧電圧Voに基づいて位置情報(出力ギヤ74の回転位置を示す情報)が取得できる。一方、電圧出力回路75において、
図4における符号A2で示す不感帯領域では、分圧電圧Voが出力ギヤ74の回転位置に応じて変化しないため、正確な位置情報が取得できない。したがって、回転装置1において、電圧出力回路75からの位置情報を利用した処理をする場合、不感帯領域を特定することが望まれている。
【0025】
抵抗器79は、一端が電圧出力線78に接続されるとともに他端が切替部31に接続されている。抵抗器79は、電圧出力線78より出力される電圧(分圧電圧Vo)が不感帯にあるか否かの判別するために設けられる。抵抗器79の抵抗値Rx(例えば、100kΩ)は、可変抵抗77全体の抵抗値Rvよりも十分に大きい。抵抗器79は、接続先を電源Eまたはグランドとで切り替えることができる。抵抗器79の接続先の切り替えは、制御回路30において実現される切替部31により行う。切替部31は、上述した駆動制御部50が有するプロセッサが記憶装置に記憶されたプログラムに従って各種演算を行うとともにA/D変換回路および入出力I/F回路等の周辺回路を制御することによって実現される。切替部31は、具体的には、例えば、制御装置10が備えるGPIO(General-purpose input/output)に接続されている抵抗器79の接続先を、制御回路30により電源Eまたはグランドのいずれかに切り替える。
【0026】
図5は、電圧出力回路75において、
図2に示した切替部31により抵抗器79が電源Eに接続されている状態を概念的に示す図である。上述したように、本実施形態の回転装置1では、抵抗器79を有する電圧出力回路75により検出した電圧Vxを位置情報として制御回路30の駆動制御部50に入力する。
図5に示すように、電圧出力回路75において、抵抗器79を電源Eに接続した場合に、制御回路30において検出する電圧Vxの値を第1電圧V1とする。
【0027】
図6は、電圧出力回路75において、
図2に示した切替部31により抵抗器79がグランドに接続されている状態を概念的に示す図である。
図6に示すように、第1電圧V1と同様に、電圧出力回路75において、抵抗器79をグランドに接続した場合の電圧Vxの値を第2電圧V2とする。
【0028】
制御回路30の駆動制御部50は、第1電圧V1と第2電圧V2とに基づいて、電圧出力線78の接触位置が位置検出回路として機能する電圧出力回路75における可変抵抗77とグランドとの間に形成される不感帯領域内の位置にあるか否かを判定する不感帯領域判定部66を有する。不感帯領域判定部66は、上述した切替部31と同様に、駆動制御部50が有するプロセッサが記憶装置に記憶されたプログラムに従って各種演算を行うとともにA/D変換回路および入出力I/F回路等の周辺回路を制御することによって実現される。
【0029】
駆動制御部50において、不感帯領域判定部66は、任意の時期、例えば、電源オフされた後の電源起動時に、第1電圧V1と第2電圧V2それぞれの値を取得する。不感帯領域判定部66は、第1電圧V1と第2電圧V2とが、出力ギヤ74の回転位置、すなわち、電圧出力回路75における電圧出力線78の接触位置が、不感帯領域内の位置にあることを示すもの(異常値)であるか否かを判定する。
【0030】
不感帯領域判定部66による、第1電圧V1と第2電圧V2とに基づいて、電圧出力線78の接触位置が電圧出力回路75の不感帯領域内の位置にあるか否かの判定処理の具体例について説明する。
【0031】
不感帯領域判定部66は、電源オフされた後の電源起動時に、第1電圧V1と第2電圧V2それぞれの値を取得する。まず、切替部31は、
図5に示したように抵抗器79の接続先を電源Eにする。この状態において、不感帯領域判定部66は、第1電圧V1を測定する。第1電圧V1の測定後、切替部31は、
図6に示したように抵抗器79の接続先をグランドにする。
【0032】
図7は、電圧出力回路75において、電圧出力線78の接触位置が電圧出力回路75の不感帯領域内の位置にある場合における分圧電圧Voの測定波形の一例を示す図である。
図6に示すように、分圧電圧Voは、電源電圧Veと比較して低い値となっている。
【0033】
図8は、電圧出力回路75において、電圧出力線78の接触位置が電圧出力回路75の不感帯領域内の位置にある場合における第1電圧V1の測定波形の一例を示す図である。
図9は、電圧出力回路75において、電圧出力線78の接触位置が電圧出力回路75の不感帯領域内の位置にある場合における第2電圧V2の測定波形の一例を示す図である。
【0034】
図8に示す第1電圧V1の測定波形の一例と
図9に示す第2電圧V2の測定波形の一例とを比較すると、電圧出力線78の接触位置が電圧出力回路75の不感帯領域内の位置にある場合に、第1電圧V1の測定波形は、
図7に示した電源電圧Ve側に近い値となる。第1電圧V1は
図7の分圧電圧Voとは大きく異なる電圧となる。一方、電圧出力線78の接触位置が電圧出力回路75の不感帯領域内の位置にある場合に、第2電圧V2の測定波形は、第1電圧V1よりも低くグランド側に近い値となる。第2電圧V2は
図7の分圧電圧Voとは大きく異なる電圧となる。
【0035】
図10は、電圧出力回路75において、電圧出力線78の接触位置が電圧出力回路75の不感帯領域外の位置にある場合における分圧電圧Voの測定波形の一例を示す図である。
図10に示すように、分圧電圧Voは、
図7に示した電圧出力線78の接触位置が電圧出力回路75の不感帯領域内にある場合と同様に、電源電圧Veと比較して低い値となっている。
【0036】
図11は、電圧出力回路75において、電圧出力線78の接触位置が電圧出力回路75の不感帯領域外の位置にある場合における第1電圧V1の測定波形の一例を示す図である。
図12は、電圧出力回路75において、電圧出力線78の接触位置が電圧出力回路75の不感帯領域外の位置にある場合における第2電圧V2の測定波形の一例を示す図である。
【0037】
図11及び
図12に示すように、電圧出力線78の接触位置が電圧出力回路75の不感帯領域外の位置にある場合に、第1電圧V1及び第2電圧V2の値は、先に説明した電圧出力線78の接触位置が電圧出力回路75の不感帯領域内の位置にある場合と異なり、可変抵抗77の第1抵抗R1と第2抵抗R2の抵抗値に応じた値となる。すなわち、電圧出力線78の接触位置が電圧出力回路75の不感帯領域外の位置にある場合に、第1電圧V1及び第2電圧V2の値は、いずれも
図10に示した分圧電圧Voに近い値となる。
【0038】
以上のように、回転装置1において、切替部31が抵抗器79の接続先を電源Eとグランドとで切り替え、不感帯領域判定部66が第1電圧V1と第2電圧V2とを測定する。不感帯領域判定部66は、電圧出力線78の接触位置が電圧出力回路75の不感帯領域内の位置であるか否かにより第1電圧V1と第2電圧V2とのそれぞれの値に差が生じることから、この差に応じて、電圧出力線78の接触位置が不感帯領域内の位置にあるか否かを判定する。不感帯領域判定部66は、具体的には、第1電圧V1と第2電圧V2とにあらかじめ定められている値以上の差が生じる場合に、電圧出力線78の接触位置が不感帯領域内の位置にあると判定する。一例として、可変抵抗77が6KΩ、入力インピーダンスが1MΩ以上、抵抗器79の抵抗値Rxが100KΩ、電源Eが3.3Vである場合、第1電圧V1から第2電圧V2を減じた電圧値が0.2V以上であれば、可変抵抗(ポテンショメータ)77は不感帯にあると判定される。
【0039】
不感帯領域判定部66は、第1電圧V1と第2電圧V2それぞれの値に基づいて、電圧出力線78の接触位置が電圧出力回路75の不感帯領域内の位置にあると判定する場合には、初期位置異常と判定して、上位コントローラへ通知をする。
【0040】
図13は、回転装置1の制御回路30の動作を説明するためのフローチャートである。
図13に示すように、回転装置1において、任意の時期、例えば、電源オフされた後の電源起動時に、切替部31は、電圧出力回路75の電圧出力線78に接続されている抵抗器79の接続先を、電源Eに切り替える(ステップS101)。
【0041】
不感帯領域判定部66は、第1電圧V1の値を取得する(ステップS102)。
【0042】
第1電圧V1の測定後、切替部31は、電圧出力回路75の電圧出力線78に接続されている抵抗器79の接続先を、グランドに切り替える(ステップS103)。
【0043】
不感帯領域判定部66は、第2電圧V2の値を取得する(ステップS104)。
【0044】
不感帯領域判定部66は、取得した第1電圧V1の値と第2電圧V2の値とを比較する(ステップS105)。不感帯領域判定部66は、第1電圧V1の値と第2電圧V2の値との差が、所定の値を満たす場合には(S105:YES)、電圧出力線78の接触位置が不感帯領域内の位置にあると判定する(ステップS106)。不感帯領域判定部66は、電圧出力線78の接触位置が電圧出力回路75の不感帯領域内の位置にあるため、初期の出力ギヤ74の位置が異常であると判定して、その旨を上位コントローラへ通知をする(ステップS107)。
【0045】
一方、第1電圧V1の値と第2電圧V2の値との差が、所定の値を満たさない場合には(S105:NO)、不感帯領域判定部66は、電圧出力線78の接触位置が可変抵抗領域の位置にあると判定する(ステップS108)。切替部31は、電圧出力線78の接触位置が電圧出力回路75の可変抵抗領域の位置にあるため、出力ギヤ74の位置検出が可能であると判定して、抵抗器79の接続先をオープン、すなわち、電源E及びグランドから開放する(ステップS109)。
【0046】
以上説明した回転装置1では、制御装置10が有する制御回路30により実現される切替部31が抵抗器79の接続先を電源Eとグランドとで切り替え、不感帯領域判定部66が、第1電圧V1の値と第2電圧の値との差に応じて、電圧出力線78の接触位置が不感帯領域内の位置にあるか否かを判定する。
【0047】
そのため、回転装置1によれば、制御回路30による電気的な処理により、確実に電圧出力線78の接触位置が不感帯領域であるか、あるいは可変抵抗領域であるかを判定することができる。つまり、回転装置1によれば、抵抗器79の接続先を電源Eまたはグランドとで切り替えて、第1電圧V1の値と第2電圧V2の値とがどのように変化するかに基づいて確実に不感帯領域であるか否かの判別を行うことができる。
【0048】
また、回転装置1によれば、電圧出力線78の接触位置が不感帯領域である場合に位置検出回路としての電圧出力回路75を操作して可変抵抗領域に接触位置を移動させることができる。また、回転装置1によれば、電圧出力線78の接触位置を機械的に不感帯領域に移動しないように制限する等の加工の必要がないため、装置全体の製造コストを削減することができる。
【0049】
(実施形態の変形例)
以上の実施形態において、回転装置1の構成は
図1、2の構成に限定されない。
【0050】
以上の実施形態において、図に示した処理のフローチャートは具体例の一つであって、本発明の処理のフローチャートはこれらに限定されない。
【0051】
以上の実施形態において、抵抗器79の抵抗値Rxは、電圧出力回路75を構成する可変抵抗77全体の抵抗値Rvよりも大きければよく、それぞれの具体的な抵抗値は、上述した例に限定されない。例えば、抵抗器79の抵抗値を可変抵抗77の抵抗値の10倍以上に設定すると、第1電圧V1,第2電圧V2の値が不感帯の位置にある場合とない場合の差が大きくなり、判定の精度を高めることができる。
【0052】
以上の実施形態において、切替部31は、制御回路30とGPIOとにより実現される例に限定されず、例えば、抵抗器79の接続先を電源Eまたはグランドのいずれかに切り替えるスイッチにより実現してもよい。
【0053】
以上の実施形態において、不感帯領域判定部66は、電圧出力線78の接触位置が不感帯領域内の位置にあると判定を、第1電圧V1と電源の電圧値Veに基づいて定められる第1閾値とを比較するとともに、第2電圧V2と第2閾値とを比較して行ってもよい。第2閾値は、例えば、分圧電圧Voに基づいて定められている。
【0054】
具体的には、不感帯領域判定部66は、第1電圧V1の値が第1閾値に到達し、かつ、第2電圧V2の値が第2閾値に到達している場合に、電圧出力線78の接触位置が不感帯領域内の位置にあると判定する。一方、不感帯領域判定部66は、第1電圧V1の値が第1閾値に到達していない、または、第2電圧V2の値が第2閾値に到達していない場合に、電圧出力線78の接触位置が不感帯領域内の位置にないと判定する。
【符号の説明】
【0055】
1 回転装置、10 制御装置、11 制御基板、12 筐体、20 ステッピングモータ、30 制御回路、40 駆動回路、41 モータ駆動部、50 駆動制御部、66 不感帯領域判定部、70 アクチュエータ出力軸、71 第1ギヤ、72 第2ギヤ、73 第3ギヤ、74 出力ギヤ、75 電圧出力回路(位置検出回路の一例)、 76 FPC、77 可変抵抗、78 電圧出力線、79 抵抗器、E 電源、Ve 電源の電圧値、Vo 分圧電圧、V1 第1電圧、V2 第2電圧、Rv 可変抵抗の抵抗値、R1 第1抵抗、R2 第2抵抗、Rx 抵抗器の抵抗値