IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士重工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-レーザ溶接方法及びレーザ溶接装置 図1
  • 特開-レーザ溶接方法及びレーザ溶接装置 図2
  • 特開-レーザ溶接方法及びレーザ溶接装置 図3
  • 特開-レーザ溶接方法及びレーザ溶接装置 図4
  • 特開-レーザ溶接方法及びレーザ溶接装置 図5A
  • 特開-レーザ溶接方法及びレーザ溶接装置 図5B
  • 特開-レーザ溶接方法及びレーザ溶接装置 図6A
  • 特開-レーザ溶接方法及びレーザ溶接装置 図6B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140998
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】レーザ溶接方法及びレーザ溶接装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/21 20140101AFI20241003BHJP
   B23K 26/067 20060101ALI20241003BHJP
   B23K 26/323 20140101ALI20241003BHJP
   B23K 26/322 20140101ALI20241003BHJP
【FI】
B23K26/21 G
B23K26/067
B23K26/323
B23K26/322
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052414
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】松永 達則
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168BA02
4E168BA74
4E168BA83
4E168BA87
4E168BA88
4E168BA89
4E168DA23
4E168DA24
4E168DA28
4E168DA29
4E168DA32
4E168DA33
4E168DA37
4E168EA05
4E168EA06
4E168EA17
(57)【要約】
【課題】異種金属の接合強度を向上することができるレーザ溶接方法及びレーザ溶接装置を提供すること。
【解決手段】第1の金属板42と、該第1の金属板よりも融点の低い材料からなる第2の金属板44とを重ね合わせた被溶接部材40に対して、レーザ光を照射して前記第1及び第2の金属板42,44を溶接するレーザ溶接方法において、レーザ光を焦点のスポット径を小さくする回折光学素子22に通過させた後、集光レンズ24に通過させ、前記焦点のスポット径を0.3mm以下にして前記第1の金属板42に照射する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の金属板と、該第1の金属板よりも融点の低い材料からなる第2の金属板とを重ね合わせた被溶接部材に対して、レーザ光を照射して前記第1及び第2の金属板を溶接するレーザ溶接方法において、
レーザ光を焦点のスポット径を小さくする回折光学素子に通過させた後、集光レンズに通過させ、前記焦点のスポット径を0.3mm以下にして前記第1の金属板に照射することを特徴とするレーザ溶接方法。
【請求項2】
前記第1の金属板は、表面にめっき層を有し、
前記回析光学素子は、前記レーザ光を1つの主ビームと、該主ビームよりもパワー密度が小さい1つ以上の副ビームとに分岐させ、
前記主ビームは、前記第1及び第2の金属板を溶接し、
前記副ビームは、少なくとも前記主ビームの走行方向前方側に形成され、前記第1の金属板の表面層のみを溶融することを特徴とする請求項1に記載のレーザ溶接方法。
【請求項3】
前記回析光学素子は、前記レーザ光を複数の前記副ビームに分岐させ、
複数の前記副ビームは、前記主ビームを囲むリング状に形成されることを特徴とする請求項2に記載のレーザ溶接方法。
【請求項4】
請求項1に記載のレーザ溶接方法を実施可能なレーザ溶接装置であって、
レーザ光を発生させるレーザ発振器と、
発生されたレーザ光を集光する集光レンズと、
前記レーザ発振器と前記集光レンズとの間に配置され、レーザ光の焦点のスポット径を小さくする回折光学素子と、を備え、
前記回析光学素子により、レーザ光の焦点のスポット径を0.3mm以下にすることを特徴とするレーザ溶接装置。
【請求項5】
前記回析光学素子は、前記レーザ光を1つの主ビームと、該主ビームよりもパワー密度が小さい1つ以上の副ビームとに分岐させ、
前記主ビームは、前記第1及び第2の金属板を溶接し、
前記副ビームは、少なくとも前記主ビームの走行方向前方側に形成され、前記第1の金属板の表面層のみを溶融することを特徴とする請求項4に記載のレーザ溶接装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重ね合わされた金属板の溶接に使用されるレーザ溶接方法及びレーザ溶接装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属板同士の溶接において、レーザ溶接は、溶接に要する時間が短く、生産性が高いことから、製品を量産する生産ラインで多用されている。自動車等の車両の生産ラインでは、車体を構成する金属板の接合にレーザ溶接が用いられている。
【0003】
車体を構成する金属板としては、強度の高い鉄系材料の金属板が多用されているが、近年では車体の軽量化に伴って、車体の一部にアルミニウム系材料からなる金属板を適用することが増えてきている。レーザ溶接は、同種の金属材料の溶接のみならず、融点の異なる異種金属材料の接合も可能であり、車両の生産ラインにおいて、鉄系材料からなる金属板とアルミニウム系材料からなる金属板の接合にレーザ溶接を利用することが求められている。
【0004】
しかしながら、鉄系材料からなる金属板とアルミニウム系材料からなる金属板とをレーザ溶接する場合、接合界面に金属間化合物(IMC)が生成されて、剥離強度が低下する要因となってしまう。そのため、このような異種金属の接合を行う場合、セルフピアスリベット(SPR)等のリベットを用いて、異種金属を接合する工程を設けることが一般的であるが、生産性の観点から、金属間化合物の生成を抑えて異種金属をレーザ溶接する方法が開発されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、特許文献1には、鉄系材料で形成された第1の金属板と、アルミニウム系材料で形成された第2の金属板との間に、鉄系部材とアルミニウム系部材とを積層したクラッド材を配置してレーザ溶接する方法が記載されている。この方法では、クラッド材の鉄系部材を第1の金属板に接触させ、アルミニウム系部材を第2の金属板に接触させた状態で、異種金属が溶融しあわない溶接条件でレーザ溶接することにより、金属間化合物の発生を抑えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4-81288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、クラッド材を用いる方法では、溶接部ごとにクラッド材が必要となるためコストが掛かる、また、溶接前に2枚の金属板間にクラッド材を供給して保持する工程が必要になるなど、生産性が低下してしまう。
【0008】
それ故、異種金属間にクラッド材等を配置することなく、レーザ溶接によって異種金属の接合強度を確保できる方法が求められていた。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、異種金属の接合強度を向上することができるレーザ溶接方法及びレーザ溶接装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本実施形態の一実施形態は、第1の金属板と、該第1の金属板よりも融点の低い材料からなる第2の金属板とを重ね合わせた被溶接部材に対して、レーザ光を照射して前記第1及び第2の金属板を溶接するレーザ溶接方法において、レーザ光を焦点のスポット径を小さくする回折光学素子に通過させた後、集光レンズに通過させ、前記焦点のスポット径を0.3mm以下にして前記第1の金属板に照射することを特徴とする。
【0011】
また、本実施形態の一実施形態は、前記レーザ溶接方法を実施可能なレーザ溶接装置であって、レーザ光を発生させるレーザ発振器と、発生されたレーザ光を集光する集光レンズと、前記レーザ発振器と前記集光レンズとの間に配置され、レーザ光の焦点のスポット径を小さくする回折光学素子と、を備え、前記回析光学素子により、レーザ光の焦点のスポット径を0.3mm以下にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るレーザ溶接方法及びレーザ溶接装置によれば、異種金属の接合強度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態であるレーザ溶接方法に用いられるレーサ溶接装置の模式図である。
図2】本実施形態のレーザ溶接装置を用いた被溶接部材に対する溶接工程の説明図である。
図3】従来のレーザ溶接装置を用いた被溶接部材に対する溶接工程の説明図である。
図4】レーザ溶接装置を用いて混流生産を実施する生産ラインの説明図である。
図5A】第2の実施形態のレーザ溶接装置において第1の金属板の表面に照射されるレーザ光の平面図である。
図5B図5AのX-X線上のレーザ光のパワー分布を示す説明図である。
図6A】第1の実施形態のレーザ溶接装置において第1の金属板の表面に照射されるレーザ光の平面図である。
図6B図6AのY-Y線上のレーザ光のパワー分布を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態であるレーザ溶接装置10の概略図である。レーザ溶接装置10は、金属板42,44を重ね合わされた被溶接部材40に対して、レーザ光を照射して金属板を溶接する装置である。本実施形態のレーザ溶接装置10は、融点の異なる異種金属材料の溶接の他に、同種金属材料の溶接に用いることが可能である。レーザ溶接装置10は、レーザ光を発生させるレーザ発振器12と、レーザ照射ヘッド14と、レーザ発振器12とレーザ照射ヘッド14とを接続する光路16と、を備える。
【0015】
レーザ発振器12は、溶接熱源となるレーザ光を出力できるように構成されている。レーザ発振器12は、例えば、YAGレーザ、CO2レーザ、ファイバレーザ、ディスクレーザ等の光源を備えた構成とすることができる。
【0016】
光路16は、レーザ発振器12から出力されたレーザ光を伝送してレーザ照射ヘッド14に入力させる。光路16は、例えば光ファイバによりレーザ光を自在に湾曲して伝送する構造、又は、ミラーによってレーザ光を折り返して伝送する構造とすることができる。
【0017】
レーザ照射ヘッド14は、レーザ発振器12からのレーザ光を伝送して出力し、被溶接部材40に照射するものである。レーザ照射ヘッド14は、被溶接部材40と、これに照射する溶接用のレーザ光30とが相対的に移動可能となるように構成されており、レーザ光30を被溶接部材40上で走査して被溶接部材40を溶接する。レーザ照射ヘッド14は、コリメートレンズ20と、回折光学素子(DOE:diffractive optical element)22と、集光レンズ24と、を内部に備えている。
【0018】
コリメートレンズ20は、光路16を介して入力されたレーザ光をコリメートする。コリメートレンズ20を通過したレーザ光は平行光となる。集光レンズ24は、平行光化されたレーザ光を集光する。集光レンズ24により集光されたレーザ光30は、レーザ照射ヘッド14の外部へ出力されて被溶接部材40に照射される。
【0019】
回折光学素子22は、コリメートレンズ20と集光レンズ24との間に配置されている。回折光学素子22は、周期の異なる複数の回折格子を一体にして構成されている。回折光学素子22は、入力されたレーザ光を各回折格子の影響を受けた方向に曲げたり重ね合わせたりすることによってビームの形状を成形するビームシェイパとして機能する。本実施形態において、回折光学素子22は、レーザ光の焦点のスポット径を小さくするようにビーム形状を成形する。回折光学素子22を通過して成形されたレーザ光は、集光レンズ24により集光される。回折光学素子22により、集光されたレーザ光30の焦点31のスポット径は0.3mm以下となるように設定される。
【0020】
次に、レーザ溶接装置10を用いて第1の金属板42と、第1の金属板42よりも融点の低い材料からなる第2の金属板とを重ね合わせた被溶接部材40に対して、レーザ溶接を実施する溶接方法について説明する。図1に示すように、本実施形態では、融点の異なる金属板として、鉄系材料からなる第1の金属板42と、アルミニウム系材料からなる第2の金属板44とを溶接する。
【0021】
レーザ溶接装置10に対して、被溶接部材40は、第1の金属板42側がレーザ光30の照射面となるように設置される。レーザ溶接装置10のレーザ発振器12から出力されたレーザ光は、光路16を通ってレーザ照射ヘッド14に入力され、コリメートレンズ20を通過して平行光化された後、回折光学素子22と通過してスポット径が小さくなるようにビーム形状が成形され、その後、集光レンズ24によって集光される。集光されたレーザ光30は、第1の金属板42の表面に焦点31が位置するように被溶接部材40に対して照射される。
【0022】
図2及び図3は、被溶接部材40に対する溶接工程を説明する断面図であり、図2は、本実施形態のレーザ溶接装置10による溶接部の状態を示し、図3は、回折光学素子22を備えていない従来のレーザ溶接装置による溶接部の状態を示している。従来の溶接方法では、コリメートレンズを通して平行光となったレーザ光を、回折光学素子を介することなく集光レンズで集光し、溶接用のレーザ光130として照射している。これに対し、本実施形態の溶接方法では、回折光学素子22によりビーム成形することで、図2に示すように、溶接用のレーザ光30の焦点31のスポット径φ1が小さくなる。一例として、従来の方法では、集光レンズによって集光されたレーザ光130の焦点131のスポット径φ2(すなわち最小のスポット径φ2)が0.6mmとなるが、本実施形態のレーザ溶接装置10では、スポット径φ1が0.2mmとなる。スポット径φ1が小さくなることにより、溶融部46の形状は従来の溶融部146と比べて細いスパイク状になる。
【0023】
上述したように、本実施形態のレーザ溶接方法では、回折光学素子22によりレーザ光の焦点31のスポット径φ1を小さくすることができる。これにより、被溶接部材40に対してレーザ光30による溶融部46の形状をスパイク状にし、第1の金属板42の第2の金属板44に対する溶け込み量を小さくすることができる。その結果、第1及び第2の金属板42,44の接合界面に生成される金属間化合物の厚さを小さくして、第1及び第2の金属板42,44の接合強度を向上させることができる。入熱量を抑えて溶け込み量を小さくする方法としては、例えば、レーザ光の出力を変更する方法があるが、レーザ発振器12の性能によって焦点のスポット径の最小値が決められてしまうため、それ以上小さくすることはできない。また、溶接速度を速くして、溶け込み量を小さくする方法があるが、入熱制御が困難になってしまう。本実施形態のレーザ溶接装置では、回折光学素子22を使用しない従来の装置と、レーザ出力や溶接速度を同じ条件にした状態で、溶け込み量を小さくし、金属間化合物の厚さを抑えて接合強度を高めることができる。
【0024】
また、本実施形態のレーザ溶接装置10は、異種金属の溶接のみならず、同種金属の溶接にも用いることが可能である。そのため、例えば、図4に示すように、鋼板とアルミニウム合金板とからなる車体52と、鋼板のみからなる車体54とを同一の搬送ライン51で搬送して混流生産する生産ライン50において、同一のレーザ溶接装置10を用いて各車体52,54をレーザ溶接することが可能である。このように、同種金属の溶接と異種金属の溶接を同一の生産ラインで行う混流生産に本実施形態のレーザ溶接装置10を用いることで、製品のタクトタイムを短くして生産効率を向上させることが可能である。
【0025】
(第2の実施形態)
次に、レーザ溶接装置10の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態のレーザ溶接装置10は、回折光学素子22のレンズ形状が第1の実施形態と異なっており、その他の構成は、図1に示すレーザ溶接装置10と同様である。第2の実施形態のレーザ溶接装置10では、図5Aに示すように、回折光学素子22によってレーザ光を成形することで、レーザ光を1つの主ビーム32と、主ビーム32よりもパワー密度が小さい1つ以上の副ビームと34とに分岐する。
【0026】
主ビーム32は、第1及び第2の金属板42,44を溶接可能なパワー密度を有するとともに、集光レンズ24を通過した主ビーム32の焦点のスポット径が0.3mm以下になるように設定される。副ビーム34は、第1の金属板42の表面層のみを溶融する程度のパワー密度を有し、少なくとも主ビーム32の走行方向前方側に形成される。
【0027】
図5Aに示す実施例では、レーザ光を主ビーム32と、複数の副ビーム34とに分岐させており、複数の副ビーム34は、主ビーム32を囲むリング状に形成されている。図示例では、複数の副ビーム34により円形のリング形状が形成されているが、リング形状はこれに限られず、楕円形や四角形等の多角形であってもよい。
【0028】
図5Bは、図5AのX-X線上のレーザ光のパワー分布を示す説明図であり、6Aは、第1の実施形態のレーザ溶接装置10において第1の金属板42の表面に照射されるレーザ光32の平面図、図6Bは、図56のY-Y線上のレーザ光のパワー分布を示す説明図である。図5B及び図6Bにおいて、横軸は位置を示している。図6A及び図6Bに示すように、第1の実施形態では、レーザ光が溶接を実施する1つのビームのみからなる。一方、第2の実施形態では、レーザ光の全エネルギー密度を100%とすると、主ビーム32度は全体の約90%であり、複数の副ビーム34は全体の約10%となるように設定されている。なお、各副ビーム34のエネルギーは、ほぼ等しく設定されている。このように、主ビーム32のエネルギー密度は、副ビーム34と比べて十分に高くなっている。なお、主ビーム32は、レーザ光の全エネルギー密度の75%以上となるように設定されることが好ましい。図5Aに示す実施例では、各副ビーム34のスポット径が、主ビーム32のスポット径よりも大きくなっている。なお、副ビーム34のスポット径は主ビーム32と同等またはそれよりも小さくてもよい。
【0029】
副ビーム34が形成されるレーザ溶接装置10では、第1の金属板42の表面にめっき層を有する被溶接部材40に対するレーザ溶接に対して好適に用いることができる。
具体的には、副ビーム34が主ビーム32の走行方向前方側に形成されるため、副ビーム34によって第1の金属板42のめっき層を溶融してめっきを剥離した後、主ビーム32により第1及び第2の金属板42,44を溶接することができる。めっき層がある場合には、鉄の沸点とめっき層を構成する金属との沸点が異なるため、気化しためっきが溶融した鉄の中に入り込んで溶接品質の低下に繋がることがあるが、副ビーム34によってめっきを除去することで、溶接品質を向上させることができる。
【0030】
また、図5Aに示す例のように、複数の副ビーム34が主ビーム32を囲むように配置されている場合には、主ビーム32をどの方向に走行させても、走行方向の前方に副ビーム34が照射される状況となる。そのため、走行方向を変えながらレーザ溶接する場合に、いずれの走行方向においてもめっき層を除去しながら溶接を実施することができる。また、主ビーム32が通過した領域に走行方向後方にある副ビーム34が照射されることで、溶接部を急冷させることなくゆっくり硬化させることができる。
【0031】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0032】
10 レーザ溶接装置
12 レーザ発振器
14 レーザ照射ヘッド
16 光路
20 コリメートレンズ
22 回折光学素子
24 集光レンズ
30 レーザ光
31 焦点
32 主ビーム
34 副ビーム
40 被溶接部材
42 第1の金属板
42 第2の金属板
50 生産ライン
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B