(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141003
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】棚部材及び棚装置
(51)【国際特許分類】
A47B 96/02 20060101AFI20241003BHJP
A01K 15/02 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A47B96/02 F
A47B96/02 C
A47B96/02 D
A47B96/02 G
A01K15/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052420
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】光増 勇人
(72)【発明者】
【氏名】藤原 未帆
(72)【発明者】
【氏名】武井 真奈美
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で意匠性の自由度を向上させることが可能であるとともに、猫等の動物にとって安全な棚部材及び棚装置を提供すること。
【解決手段】棚部材は、立壁面に沿って配置される壁面板に対して取り付け可能に構成される取り付け板部と、取り付け板部の下端から壁面板に対して遠ざかる方向に突出する下板部と、を少なくとも有する棚部材本体と、下板部から外部に突出するように設けられる紐状部材からなる被掛止部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立壁面に沿って配置される壁面板に対して取り付け可能に構成される取り付け板部と、前記取り付け板部の下端から前記壁面板に対して遠ざかる方向に突出する下板部と、を少なくとも有する棚部材本体と、
前記下板部から外部に突出するように設けられる紐状部材からなる被掛止部と、
を備える、棚部材。
【請求項2】
前記紐状部材は、綿ロープである、請求項1に記載の棚部材。
【請求項3】
前記下板部は、厚み方向の内部に、前記下板部の外部に連通する溝部を有し、
前記被掛止部の基端側は、前記溝部に収容され、接着剤によって前記溝部に固着されている、請求項1又は2に記載の棚部材。
【請求項4】
前記下板部は、前記溝部内に連通して前記下板部の下方に開口する孔部を有し、
前記被掛止部は、前記孔部から前記下板部の下方に向けて突出している、請求項3に記載の棚部材。
【請求項5】
前記被掛止部は、U字状に形成されている、請求項1又は2に記載の棚部材。
【請求項6】
立壁面に沿って配置される壁面板と、前記壁面板に取り付けられる複数の棚部材と、を備える棚装置であって、
前記棚部材は、
前記壁面板に対して取り付け可能に構成される取り付け板部と、前記取り付け板部の下端から前記壁面板に対して遠ざかる方向に突出する下板部と、を少なくとも有する棚部材本体と、
前記下板部から外部に突出するように設けられる紐状部材からなる被掛止部と、を備える、棚装置。
【請求項7】
前記紐状部材は、綿ロープである、請求項6に記載の棚装置。
【請求項8】
前記下板部は、厚み方向の内部に、前記下板部の外部に連通する溝部を有し、
前記被掛止部の基端側は、前記溝部に収容され、接着剤によって前記溝部に固着されている、請求項6又は7に記載の棚装置。
【請求項9】
前記下板部は、前記溝部内に連通して前記下板部の下方に開口する孔部を有し、
前記被掛止部は、前記孔部から前記下板部の下方に向けて突出している、請求項8に記載の棚装置。
【請求項10】
前記被掛止部は、U字状に形成されている、請求項6又は7に記載の棚装置。
【請求項11】
少なくとも2つの前記棚部材のそれぞれの前記被掛止部に亘って、追加パーツが掛け渡されている、請求項6又は7に記載の棚装置。
【請求項12】
前記追加パーツは、吊り橋部材である、請求項11に記載の棚装置。
【請求項13】
前記追加パーツは、はしご部材である、請求項11に記載の棚装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、棚部材及び棚装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、壁面に複数の棚を取り付けることによって、いわゆるキャットウォークを構成することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記従来技術は、隣接する棚同士を連結部によって連結することも開示している。連結部は、クリップ等の接続部を有し、この接続部によって棚に接続される。もしくは、連結部は、環状の部材を有し、この環状の部材を棚の端部に形成した突起に係止することによって棚に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、棚は、壁面にそれぞれ単独のステップを形成するだけの機能しか持たない。しかも、棚は、壁面に対する取り付け面積を最低限備えている必要がある。そのため、棚を壁面に複数取り付けるだけでは、キャットウォークとしての意匠性の自由度に限界がある。一方、棚同士を連結部で連結することによって、壁面への取り付けを行う必要なく、キャットウォークとしての意匠性の自由度を向上させることができると考えられる。
【0006】
しかしながら、連結部をクリップによって棚に接続する構成では、連結部の接続の確実性に劣り、接続部位の耐荷重性の観点から問題がある。棚の端部に突起を形成する構成では、猫等の動物の身体が突起に接触するおそれがある。
【0007】
本開示は、簡単な構成で意匠性の自由度を向上させることが可能であるとともに、猫等の動物にとって安全な棚部材及び棚装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、立壁面に沿って配置される壁面板に対して取り付け可能に構成される取り付け板部と、前記取り付け板部の下端から前記壁面板に対して遠ざかる方向に突出する下板部と、を少なくとも有する棚部材本体と、前記下板部から外部に突出するように設けられる紐状部材からなる被掛止部と、を備える、棚部材に関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図6】第1実施形態に係る被掛止部を有する第1の棚部材の取り付け板部及び下板部を上方から見た斜視図である。
【
図7】
図6中のB部を拡大して示す分解斜視図である。
【
図10】第4の棚部材を下方から見た斜視図である。
【
図11】2つの第1の棚部材に亘って吊り橋部材を掛け渡した状態を下方から見た斜視図である。
【
図12】2つの第1の棚部材に亘って吊り橋部材を掛け渡した状態の側面図である。
【
図15】第1の棚部材と第3の棚部材とに亘ってはしご部材を掛け渡した状態を下方から見た斜視図である。
【
図18】第2実施形態に係る被掛止部を有する第1の棚部材の取り付け板部及び下板部の平面図である。
【
図19】第3実施形態に係る被掛止部を有する第1の棚部材の取り付け板部及び下板部の平面図である。
【
図20】第4実施形態に係る被掛止部を有する第1の棚部材の取り付け板部及び下板部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、棚装置1は、壁面板2と、複数の棚部材3A~3Dと、吊り橋部材4と、はしご部材5と、を含んで構成される。吊り橋部材4及びはしご部材5は、それぞれ追加パーツの一例である。棚部材3A~3Dは、壁面板2の設置面2aに対する取り付け位置を任意に変更可能に配置される。吊り橋部材4及びはしご部材5は、棚部材3A~3Dのうちのいずれか2つに亘って掛け渡される。
【0011】
本実施形態の棚装置1は、棚部材3A~3D、吊り橋部材4及びはしご部材5によって、猫等の小動物(以下、単に「猫200」という。)が載るキャットウォークを構成するものを示しているが、例えば、観葉植物、その他の室内備品等の物品を載置する壁面棚を構成するものであってもよい。
【0012】
壁面板2は、立壁面100に沿って配置される板材からなる。立壁面100は、例えば、建物の室内壁の壁面である。壁面板2の表面は、複数の棚部材3A~3Dを取り付ける設置面2aを構成する。壁面板2は、複数の棚部材3A~3Dを取り付け可能な適宜の材質によって形成することができる。本実施形態の壁面板2は、後述する棚部材3A~3Dに設けられるマグネットシート3111が磁気吸着可能な金属板材からなる。壁面板2は、立壁面100に対して、図示しないねじ等の適宜の固定部材を用いて固定される。
図1に示す壁面板2は、床面101から立壁面100に沿って立ち上がるように形成されるが、壁面板2は、立壁面100の任意の高さ位置に配置されてよい。設置面2aには、棚部材3A~3Dの取り付けに影響のない程度に、化粧材等の表面材が設けられてもよい。
【0013】
次に、棚部材3A~3Dについてそれぞれ説明する。まず、各図中の座標軸で示される方向について定義する。X方向は、棚部材3A~3Dの長手方向を示す。X方向は、設置面2aの面方向に沿う方向である。Y方向は、棚部材3A~3Dの幅方向を示す。Y方向は、設置面2aに対して垂直な方向である。Z方向は、棚部材3A~3Dの高さ方向及び上下方向を示す。Z方向は、設置面2aの面方向に沿う方向であり、X方向に対して直交する方向である。
【0014】
棚部材3Aは、設置面2aにステップを形成する第1の棚部材である。
図2~
図5に示すように、棚部材3Aは、棚部材本体31と、被掛止部32と、を備える。
【0015】
棚部材本体31は、棚部材本体31は、取り付け板部311と、下板部312と、を一体に有するL字型に形成される。取り付け板部311及び下板部312は、いずれも横長の矩形板状に形成されている。取り付け板部311は、設置面2aに対する取り付け面を形成する。
図3に示すように、取り付け板部311には、背面の略全面に亘って、マグネットシート3111が貼り付けられている。下板部312は、取り付け板部311に対して直角に折れ曲がり、取り付け板部311の下端から設置面2aに対して遠ざかる方向に突出している。
【0016】
棚部材本体31は、積層構造を有する。詳しくは、棚部材本体31は、表面材31aと、裏面材31bと、芯材31cと、が積層されることによって構成される。表面材31aは、下板部312上に載った猫200に対向する側の面を構成する。裏面材31bは、芯材31cを挟んで表面材31aと反対側の面を構成する。表面材31a、裏面材31b及び芯材31cは、それぞれ取り付け板部311と下板部312とに亘って一体に形成されている。
【0017】
表面材31a及び裏面材31bは、猫200に対して優しい柔軟な素材によって形成される。本実施形態の表面材31a及び裏面材31bは、比較的厚手のフェルト生地によって形成されている。表面材31a及び裏面材31bは、発泡ウレタン樹脂等の軟質樹脂によって形成されてもよい。
図2に示すように、表面材31a及び裏面材31bのそれぞれの隅角部Rは、円弧状に加工されている。
【0018】
表面材31a及び裏面材31bは、それぞれ異なる厚さを有してもよい。表面材31a及び裏面材31bは、それぞれ一枚の面材によって形成されるものに限定されない。表面材31a及び裏面材31bは、それぞれ2枚以上の面材を積層することによって形成されてもよい。2枚以上の面材は、それぞれ異なる材質であってもよい。
【0019】
芯材31cは、棚部材本体31の骨格を形成する。芯材31cは、鉄、アルミ等の金属板材をL字型に折り曲げ成形することによって形成される。棚部材本体31において、表面材31aと裏面材31bとは、略同一サイズを有する。これに対して、芯材31cは、表面材31a及び裏面材31bよりも小さいサイズを有する。本実施形態の芯材31cは、一枚板によって形成されているが、芯材31cは、表面材31aと裏面材31bとの間に2枚以上に分割して配置されていてもよい。芯材31cを2枚以上に分割する場合の分割位置は、特に限定されない。
【0020】
表面材31a、裏面材31b及び芯材31cは、例えば、変性シリコーン樹脂を含有する弾性を有する接着剤によって接着されて積層一体化される。
【0021】
被掛止部32は、棚部材本体31の下板部312に配置され、下板部312から外部に突出するように設けられる。本実施形態の被掛止部32は、
図3及び
図5に示すように、下板部312の下面312aから、下板部312の下方に向けて突出している。
【0022】
被掛止部32は、紐状部材によって、S字フック等の掛止具6を掛け止め可能なU字状に形成される。詳しくは、被掛止部32は、
図7に示すように、紐状部材をU字状に折り曲げることによって形成されるU字部321と一対の脚部322,322とを有する。U字部321は、脚部322,322の延び方向に対して略直角に折り曲げられている。紐状部材からなる被掛止部32は、猫200が接触した際に容易にたわむことができ、しかも、U字状に形成される被掛止部32は、鋭角部位を持たないため、猫200にとって優しい棚部材3A及び棚装置1を構成することができる。
【0023】
紐状部材としては、金属繊維を編み込んで形成されるワイヤロープ、樹脂繊維を編み込んで形成される樹脂ロープ、線糸を編み込んで形成される綿ロープ等を用いることができる。これらのうち、綿ロープを使用することが好ましい。綿ロープは、猫200が接触した際に、猫200に対してダメージを与えにくい。本実施形態では、被掛止部32を構成する紐状部材として、太さ4mmの綿ロープが使用される。
【0024】
被掛止部32は、
図3及び
図4に示すように、下板部312の四隅にそれぞれ配置される。
図4~
図7に示すように、下板部312の四隅には、下板部312の厚み方向の内部に、溝部3121が形成されている。詳しくは、溝部3121は、下板部312を構成する裏面材31bに配置され、裏面材31bの上面から略矩形に凹設されている。溝部3121は、下板部312の長手方向に延びている。溝部3121の深さ及び長さは、被掛止部32に使用される紐状部材に応じて適宜設定される。溝部3121は、被掛止部32に使用される紐状部材と同等以上の深さを有することが好ましい。溝部3121の長さは、例えば、被掛止部32に使用される紐状部材が太さ4mmの綿ロープである場合、40~80mmに形成されていても良い。
【0025】
溝部3121内は、それぞれ下板部312の外部に連通している。詳しくは、
図3、
図4、
図6及び
図7に示すように、裏面材31bには、溝部3121内に連通して下板部312の下方に開口する孔部3122が設けられる。孔部3122は、各溝部3121において、下板部312の長手方向の両端部側に配置される。被掛止部32のU字部321は、孔部3122を挿通し、孔部3122から下板部312の下方に向けて突出する。被掛止部32の基端側の一対の脚部322,322は、溝部3121の長手方向に沿って配置され、溝部3121内に収容される。
【0026】
溝部3121に収容された被掛止部32は、溝部3121内に接着剤が充填されることによって、溝部3121に固着される。接着剤は、表面材31a、裏面材31b及び芯材31cを積層一体化するために使用される上記接着剤と同一のものを使用することができる。本実施形態のように、被掛止部32が綿ロープによって形成される場合、綿ロープは、複数本の綿糸が編み込まれて形成されていることによって、凹凸表面を有している。被掛止部32は、一対の脚部322,322を有することに加えて、各脚部322,322の凹凸表面によって、大きな接着面積を有する。そのため、被掛止部32は、接着剤によって溝部3121内に強固に固着される。接着剤の種類は特に限定されず、表面材31a、裏面材31b及び芯材31cを積層一体化するために使用される上記接着剤と同一のものを使用しなくてもよい。また、被掛止部32は、溝部3121に固着可能であれば、接着剤に限定されず、例えば、粘着テープ等により固着されてもよい。
【0027】
U字部321は、孔部3122から下板部312の下方に向けて突出するため、被掛止部32を使用しない場合に、被掛止部32を目立たなくさせることができる。しかも、後述するように、被掛止部32に掛止具6を掛け止めした際に、掛止具6が下板部312の長手方向の両端部よりも中央寄りに配置されるため、掛止具6も目立たなくさせることができる。猫200が掛止具6と接触するおそれも低減する。
【0028】
棚部材3Bは、設置面2aにトンネルを形成する第2の棚部材である。
図8に示す棚部材3Bにおいて、棚部材3Aと同一符号の部位は同一構成の部位を示す。それらの部位の説明は、棚部材3Aの上記説明を援用し、以下においては省略する場合がある。
【0029】
棚部材3Bの棚部材本体31は、取り付け板部311及び下板部312に加えて、前板部313と、上板部314と、を一体に有する。これによって、棚部材3Bは、長手方向の両端部が開口した角筒状に形成される。前板部313は、下板部312における取り付け板部311に対して遠い側の端部から上方に直角に折れ曲がり、取り付け板部311と平行に配置されている。上板部314は、取り付け板部311の上端から設置面2aに対して遠ざかる方向に突出し、前板部313の上端に接続している。上板部314は、下板部312と平行に配置されている。
【0030】
表面材31a及び裏面材31bも、それぞれ角筒状に形成されている。棚部材3Bの表面材31a及び裏面材31bも、棚部材3Aと同様に、それぞれ2枚以上の面材を積層することによって形成されてもよい。
図8には示されていないが、表面材31a及び裏面材31bの間には、芯材31cが設けられている。芯材31cは、表面材31aと裏面材31bとの間に2枚以上に分割して配置されていてもよい。芯材31cを2枚以上に分割する場合の分割位置は、特に限定されない。
【0031】
棚部材3Bは、複数の開口部315を有する。複数の開口部315は、それぞれ棚部材本体31を貫通している。本実施形態の開口部315は、前板部313及び上板部314にそれぞれ配置される。開口部315は、前板部313と上板部314とに亘って形成されてもよい。開口部315は、下板部312に載った猫200の覗き窓、もしくは棚部材本体31の猫200の出入り口を構成する。
【0032】
棚部材3Cは、設置面2aにボックスを形成する第3の棚部材である。
図9に示す棚部材3Cにおいて、棚部材3A、3Bと同一符号の部位は同一構成の部位を示す。それらの部位の説明は、棚部材3A、3Bの上記説明を援用し、以下においては省略する場合がある。
【0033】
棚部材3Cの棚部材本体31は、取り付け板部311、下板部312及び前板部313に加えて、一対の端板部316,316を一体に有する。これによって、棚部材3Cは、上方が開口した箱状に形成される。端板部316,316は、棚部材本体31の長手方向の両端部に、取り付け板部311、下板部312及び前板部313に亘ってそれぞれ配置され、接着剤によって接着されている。一対の端板部316,316は、互いに平行に配置され、棚部材本体31の長手方向の両端部を閉鎖している。
【0034】
表面材31a及び裏面材31bは、取り付け板部311、下板部312及び前板部313に亘って形成される。棚部材3Cの表面材31a及び裏面材31bも、棚部材3A,3Bと同様に、それぞれ2枚以上の面材を積層することによって形成されてもよい。
図9には示されていないが、表面材31a及び裏面材31bの間には、芯材31cが設けられている。芯材31cは、表面材31aと裏面材31bとの間に2枚以上に分割して配置されていてもよい。芯材31cを2枚以上に分割する場合の分割位置は、特に限定されない。
【0035】
棚部材本体31の前板部313には、開口部315が形成されている。さらに、前板部313には、上端を円弧状に切り欠いた切り欠き部317が形成されている。
【0036】
棚部材3Dは、設置面2aに棚部材3Cとは別のボックスを形成する第4の棚部材である。
図10に示す棚部材3Dにおいて、棚部材3A~3Cと同一符号の部位は同一構成の部位を示す。それらの部位の説明は、棚部材3A~3Cの上記説明を援用し、以下においては省略する場合がある。
【0037】
棚部材3Dの棚部材本体31は、棚部材3Cと同様に、取り付け板部311、下板部312及び前板部313に加えて、一対の端板部316,316を一体に有する。これによって、棚部材3Dは、上方が開口した箱状に形成される。
【0038】
棚部材本体31の下板部312から前板部313に亘って、開口部315が形成されている。開口部315には、アクリル板等の透明板3151が設けられている。透明板3151は、表面材31aと裏面材31bとの間に積層されている。棚部材3Dは、開口部315に設けられた透明板3151によって、猫200が下板部312に載った際に、透明板3151を介して猫200の足裏の肉球を観察することができる。
【0039】
棚部材3A~3Dは、取り付け板部311に設けられるマグネットシート3111によって、設置面2aの任意の位置に取り付けられる。これによって、立壁面100に、猫200が跳び載って移動することが可能なキャットウォークとしての棚装置1が構成される。棚部材3A~3Dはそれぞれ単独で使用可能であるが、
図1に示すように、吊り橋部材4、はしご部材5等の追加パーツを、いずれか2つの棚部材3A~3Dに亘って掛け渡すことによって、棚装置1の意匠性を向上させることができる。
【0040】
図11及び
図12は、
図1における吊り橋部材4が掛け渡された棚部材3A,3Aを示している。2つの棚部材3A,3Aは、設置面2aにおいて略同一高さ位置に並んで取り付けられている。吊り橋部材4の両端部は、S字フック等からなる掛止具6によって、各棚部材3A,3Aの2つずつの被掛止部32,32にそれぞれ掛け止められている。
【0041】
吊り橋部材4は、
図13及び
図14に示すように、吊り橋部材4の長手方向に沿って平行に配列される複数の踏み板41と、複数の踏み板41を連結する連結紐42と、を有して構成される。
【0042】
踏み板41は、表面材31a及び裏面材31bと同一の材質によって、それぞれ矩形板状に形成される。踏み板41は、
図14に示すように、それぞれ上踏み板41aと下踏み板41bとによって構成される。上踏み板41a及び下踏み板41bは、間に一対の連結紐42,42を挟んで、表面材31a及び裏面材31bを接着する上記接着剤と同じ接着剤によって接着されることによって、踏み板41を形成する。
【0043】
本実施形態の連結紐42は、被掛止部32と同一の綿ロープによって構成されている。連結紐42は、環状に形成した綿ロープを、一方向に細長くなるように束ねることによって形成される。これによって、連結紐42の両端部には、それぞれ掛止具6が掛け止められるループ部421,421が形成される。一対の連結紐42,42は、
図14に示すように、上踏み板41a及び下踏み板41bの長手方向の両端部にそれぞれ設けられる溝411内に収容された状態で、上踏み板41a及び下踏み板41bの間に挟まれている。各連結紐42,42のループ部421,421は、吊り橋部材4の長手方向の両端部からそれぞれ突出している。
【0044】
図13に示すように、吊り橋部材4の長手方向に沿って隣接する踏み板41,41間の距離D1は、猫200の足が挟まらない程度に設定される。具体的には、距離D1は、8mm以下に設定される。
【0045】
吊り橋部材4は、各ループ部421と、棚部材3A,3Aの2つずつの被掛止部32,32と、に亘って掛止具6を掛け止めることによって、2つの棚部材3A,3Aに掛け渡される。吊り橋部材4は、複数の踏み板41を連結紐42によって連結した構造を有するため、
図1及び
図11に示すように、2つの棚部材3A,3Aの間に滑らかに湾曲した形状の構造物を構築することができる。設置面2aに取り付けられる2つの棚部材3A,3Aの高さ位置は、異なっていてもよい。
【0046】
被掛止部32は、下板部312の下面312aから下方に向けて突出しているため、被掛止部32に掛止具6を掛け止めても、被掛止部32及び掛止具6が目立ちにくく、猫200の歩行時に接触しにくい。しかも、
図11及び
図12に示すように、各棚部材3A,3Aの下板部312,312と吊り橋部材4の長手方向の両端部の踏み板41,41との間の隙間Sは、下板部312の下方に配置されるため、この隙間Sに猫200の足が嵌り込みにくい。さらに、隙間Sを、30mm程度に設定することによって、万が一、猫200の足が隙間Sに嵌り込んだとしても、容易に抜け出すことができる。そのため、猫200にとって安全な棚装置1を構築することができる。
【0047】
吊り橋部材4の長手方向に沿う踏み板41の幅は、全て同一幅に形成することもできるが、幅の異なる複数種類の踏み板41を組み合わせ、吊り橋部材4に意匠的な変化を持たせることによって、さらに棚装置1の意匠性を向上させることもできる。本実施形態の吊り橋部材4は、長手方向の両端部の2つの踏み板41,41が、他の踏み板41に比べて幅広に形成されている。幅広の踏み板41は、吊り橋部材4の長手方向の中間部位に配置されてもよい。
【0048】
図15は、
図1におけるはしご部材5が掛け渡された棚部材3A,3Cを示している。2つの棚部材3A,3Cは、設置面2aにおいて異なる高さ位置に取り付けられている。はしご部材5の両端部は、S字フック等からなる掛止具6によって、各棚部材3A,3Cの2つずつの被掛止部32,32にそれぞれ掛け止められている。
【0049】
はしご部材5は、
図15及び
図16に示すように、平行に配置される2つの縦板51,51と、2つの縦板51,51に亘って配置される複数の踏み板52と、縦板51,51にそれぞれ設けられる掛止紐53,53と、を有して構成される。
【0050】
縦板51及び踏み板52は、表面材31a及び裏面材31bと同一の材質によって、それぞれ矩形板状に形成される。2つの縦板51,51は、はしご部材5の長手方向に沿って長尺に形成される。複数の踏み板52は、2つの縦板51,51に亘って配置され、はしご部材5の長手方向に沿って平行に配列される。
【0051】
縦板51は、
図17に示すように、それぞれ上縦板51aと下縦板51bとによって構成される。上縦板51a及び下縦板51bは、間に掛止紐53を挟んで接着剤によって接着されることによって、縦板51を形成する。
【0052】
本実施形態の掛止紐53は、被掛止部32と同一の綿ロープによって構成されている。掛止紐53は、環状に形成した綿ロープを、一方向に細長くなるように束ねることによって形成される。これによって、掛止紐53の両端部には、それぞれ掛止具6が掛け止められるループ部531,531が形成される。掛止紐53は、
図17に示すように、上縦板51a及び下縦板51bに長手方向に沿ってそれぞれ設けられる溝511内に収容された状態で、上縦板51a及び下縦板51bの間に挟まれている。各掛止紐53,53のループ部531,531は、縦板51の長手方向の両端部からそれぞれ突出している。
【0053】
複数の踏み板52は、はしご部材5の長手方向に沿って一定の間隔をあけて配列され、2つの縦板51,51の一面に亘って掛け渡されている。踏み板52は、縦板51,51に接着剤によって接着されている。
【0054】
はしご部材5は、各ループ部531と、棚部材3A,3Cの2つずつの被掛止部32,32と、に亘って掛止具6を掛け止めることによって、2つの棚部材3A,3Cに掛け渡される。はしご部材5は、
図1及び
図11に示すように、2つの棚部材3A,3Cの間に、猫200が歩行可能な構造物を構築することができる。設置面2aに取り付けられる2つの棚部材3A,3Cの高さ位置は、同一であってもよい。
【0055】
棚装置1において、吊り橋部材4は、棚部材3A,3Aに亘って掛け渡されるものに限定されない。さらに、はしご部材5は、棚部材3A,3Cに亘って掛け渡されるものに限定されない。棚装置1における吊り橋部材4及びはしご部材5は、棚部材3A~3Dのうちの任意のいずれか2つに亘って掛け渡すことができる。吊り橋部材4及びはしご部材5のうちの任意のいずれか2つ以上を、棚部材3A~3Dのうちの任意のいずれか3つ以上に亘って掛け渡してもよい。
【0056】
棚装置1において、棚部材3A~3Dは、設置面2aに下板部312が水平となるように取り付けられるものに限定されない。棚部材3A~3Dは、設置面2aに下板部312が水平面に対して傾斜するように取り付けられてもよい。
【0057】
棚部材3B~3Dにおける開口部315及び棚部材3Cにおける切り欠き部317の位置は、図示する位置に限定されない。棚部材3B~3Dにおいて、開口部315及び切り欠き部317は、設けられていなくてもよい。
【0058】
被掛止部32は、
図4、
図6及び
図7に示す被掛止部32よりも短い紐状部材によって形成されてもよい。この場合、
図18に示すように、一対の脚部322,322が短くなるため、溝部3121は、
図4、
図6及び
図7に示す溝部3121よりもさらに短尺に形成されてもよい。これによって、紐状部材の使用量を低減できる。
【0059】
被掛止部32を形成する紐状部材は、
図19に示すように、下板部312の長手方向の両端に配置される2つの孔部3122,3122に亘って延びていてもよい。すなわち、1本の紐状部材は、長手方向の両端の2つの孔部3122,3122から下方に向けてU字状に突出し、それぞれ被掛止部32,32を形成する。溝部3121は、下板部312の長手方向の一方の孔部3122から他方の孔部3122に亘って長尺に延びている。一対の脚部322,322は、溝部3121の全長に亘って長尺に延びているため、
図4、
図6及び
図7に示す場合に比べて、溝部3121との接着強度が向上する。
【0060】
被掛止部32を形成する紐状部材は、
図20に示すように、下板部312の短手方向の両端に配置される2つの孔部3122,3122に亘って延びていてもよい。すなわち、1本の紐状部材は、短手方向の両端の2つの孔部3122,3122から下方に向けてU字状に突出し、それぞれ被掛止部32,32を形成する。溝部3121は、下板部312の短手方向の一方の孔部3122から他方の孔部3122に亘って延びている。一対の脚部322,322は、溝部3121の全長に亘って長尺に延びているため、
図4、
図6及び
図7に示す場合に比べて、溝部3121との接着強度が向上する。
図20に示す溝部3121は、下板部312の短手方向の一方の孔部3122から他方の孔部3122に亘って、コ字状に屈曲している。図示しないが、溝部3121は、下板部312の短手方向の一方の孔部3122から他方の孔部3122に亘って直線状に延びていてもよい。
【0061】
図18~
図20は棚部材3Aを示しているが、
図18~
図20に示す被掛止部32及び溝部3121の構成は、棚部材3B~3Dにも同様に適用することができる。
【0062】
棚部材3A~3Dにおいて、孔部3122の位置は、図示するように下板部312の四隅に限定されない。孔部3122の数は4つに限定されない。下板部312に設けられる孔部3122は、5つ以上であってもよいし、3つ以下であってもよい。被掛止部32は、下板部312に設けられる全ての孔部3122から突出していなくてもよい。すなわち、下板部312には、被掛止部32が突出しない孔部3122が配置されていてもよい。
【0063】
棚部材3A~3Dにおいて、被掛止部32を収容する溝部3121は、必ずしも設けられていなくてもよい。したがって、被掛止部32の脚部322は、表面材31aと裏面材31bとの間に直に挟まれた状態で接着されてもよい。
【0064】
棚部材3A~3Dにおいて、被掛止部32を収容する溝部3121の全領域内に接着剤が充填されていなくてもよい。例えば、溝部3121内に所定間隔を空けて接着剤が充填されていてもよい。
【0065】
以上説明した本実施形態の棚部材3A~3D及び棚装置1によれば、以下の効果を奏する。
【0066】
(1) 本実施形態の棚部材3A~3Dは、立壁面100に沿って配置される壁面板2に対して取り付け可能に構成される取り付け板部311と、取り付け板部311の下端から壁面板2に対して遠ざかる方向に突出する下板部312と、を少なくとも有する棚部材本体31と、下板部312から外部に突出するように設けられる紐状部材からなる被掛止部32と、を備える。
【0067】
これによれば、各棚部材3A~3Dに、紐状部材からなる被掛止部32を外部に突出するように設けるだけの簡単な構成で、追加パーツを掛け止め可能な棚部材を構成することができ、複数の棚部材3A~3Dを用いて壁面板2に意匠性の自由度の高い壁装置を構成することができる。被掛止部32は紐状部材からなるため、猫200が接触した際に容易にたわむことができ、猫200にとって優しい棚部材3A~3Dを構成することができる。
【0068】
(2) 上記(1)に記載の棚部材3A~3Dにおいて、紐状部材は、綿ロープである。
【0069】
これによれば、市販品を用いて被掛止部32を構成することができるため、棚部材3A~3Dを安価に構成することができる。しかも、綿ロープは、猫200が接触した際に、猫200に対してダメージを与えにくい。
【0070】
(3) 上記(1)又は(2)に記載の棚部材3A~3Dにおいて、下板部312は、厚み方向の内部に、下板部312の外部に連通する溝部3121を有し、被掛止部32の基端側は、溝部3121に収容され、接着剤によって溝部3121に固着されている。
【0071】
これによれば、棚部材3A~3Dの下板部312の内部に、被掛止部32を強固に固着することができる。
(4) 上記(3)に記載の棚部材3A~3Dにおいて、下板部312は、溝部3121内に連通して下板部312の下方に開口する孔部3122を有し、被掛止部32は、孔部3122から下板部312の下方に向けて突出している。
【0072】
これによれば、被掛止部32は、棚部材3A~3Dの側方に突出しないため、被掛止部32が目立ちにくく、被掛止部32が棚部材3A~3Dの意匠性を損ねるおそれがない。被掛止部32に追加パーツを掛け止めた際に、掛け止め部位も目立ちにくいとともに、掛け止め部位が猫200の歩行時に接触するおそれも少ない。
【0073】
(5) 上記(1)~(4)のいずれかに記載の棚部材3A~3Dにおいて、被掛止部32は、U字状に形成されている。
【0074】
これによれば、被掛止部32は鋭角部位を持たないため、猫200にとって優しい棚部材3A~3Dを構成することができる。
【0075】
(6) 本実施形態の棚装置1は、立壁面100に沿って配置される壁面板2と、壁面板2に取り付けられる複数の棚部材3A~3Dと、を備える棚装置1であって、棚部材3A~3Dは、壁面板2に対して取り付け可能に構成される取り付け板部311と、取り付け板部311の下端から壁面板2に対して遠ざかる方向に突出する下板部312と、を少なくとも有する棚部材本体31と、下板部312から外部に突出するように設けられる紐状部材からなる被掛止部32と、を備える。
【0076】
これによれば、各棚部材3A~3Dに、紐状部材からなる被掛止部32を外部に突出するように設けるだけの簡単な構成で、追加パーツを掛け止めることができ、棚装置1の意匠性の自由度を向上させることができる。被掛止部32は紐状部材からなるため、猫200が接触した際に容易にたわむことができ、猫200にとって優しい棚部材3A~3Dを構成することができる。
【0077】
(7) 上記(6)に記載の棚装置1において、紐状部材は、綿ロープである。
【0078】
これによれば、市販品を用いて被掛止部32を構成することができるため、棚部材3A~3Dを安価に構成することができる。しかも、綿ロープは、猫200が接触した際に、猫200に対してダメージを与えにくい。
【0079】
(8) 上記(6)又は(7)に記載の棚装置1において、下板部312は、厚み方向の内部に、下板部312の外部に連通する溝部3121を有し、被掛止部32の基端側は、溝部3121に収容され、接着剤によって溝部3121に固着されている。
【0080】
これによれば、棚部材3A~3Dの下板部312の内部に、被掛止部32を強固に固着することができる。
【0081】
(9) 上記(8)に記載の棚装置1において、下板部312は、溝部3121内に連通して下板部312の下方に開口する孔部3122を有し、被掛止部32は、孔部3122から下板部312の下方に向けて突出している。
【0082】
これによれば、被掛止部32は、棚部材3A~3Dの側方に突出しないため、被掛止部32が目立ちにくく、被掛止部32が棚装置1の意匠性を損ねるおそれがない。被掛止部32に追加パーツを掛け止めた際に、掛け止め部位も目立ちにくいとともに、掛け止め部位が猫200の歩行時に接触するおそれも少ない。
【0083】
(10) 上記(6)~(9)のいずれかに記載の棚装置1において、被掛止部32は、U字状に形成されている。
【0084】
これによれば、被掛止部32は鋭角部位を持たないため、猫200にとって優しい棚装置1を構成することができる。
【0085】
(11) 上記(6)~(10)のいずれかに記載の棚装置1において、少なくとも2つの棚部材3A~3Dのそれぞれの被掛止部32に亘って、追加パーツが掛け渡されている。
【0086】
これによれば、壁面板2に対して取り付けられない追加パーツによって、棚装置1に意匠的な変化を付与することができ、棚装置1の意匠性がさらに向上する。
【0087】
(12) 上記(11)に記載の棚装置1において、追加パーツは、吊り橋部材4である。
【0088】
これによれば、棚部材3A~3Dに亘って掛け渡される吊り橋部材4によって、棚装置1の意匠性をさらに向上させることができる。
【0089】
(13) 上記(11)に記載の棚装置1において、追加パーツは、はしご部材5である。
【0090】
これによれば、棚部材3A~3Dに亘って掛け渡される吊はしご部材5によって、棚装置1の意匠性をさらに向上させることができる。
【符号の説明】
【0091】
1 棚装置、 2 壁面板、 3A~3D 棚部材、 31 棚部材本体、 311 取り付け板部、 312 下板部、 3121 溝部、 3122 孔部、 32 被掛止部、 4 吊り橋部材(追加パーツ)、 5 はしご部材(追加パーツ)、 100 立壁面