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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141016
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】セルロースアセテート粒子
(51)【国際特許分類】
   C08L 1/08 20060101AFI20241003BHJP
   C08B 3/06 20060101ALI20241003BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20241003BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20241003BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20241003BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20241003BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20241003BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20241003BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C08L1/08
C08B3/06
A61K8/73
A61Q17/04
A61Q1/02
A61Q19/00
A61Q1/12
A61Q1/04
A61Q1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052436
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内藤 亜侑
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和世
(72)【発明者】
【氏名】岩永 猛
(72)【発明者】
【氏名】八百 健二
(72)【発明者】
【氏名】田口 哲也
(72)【発明者】
【氏名】濱野 弘一
【テーマコード(参考)】
4C083
4C090
4J002
【Fターム(参考)】
4C083AA082
4C083AA122
4C083AB032
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB322
4C083AB362
4C083AB432
4C083AB442
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC092
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC212
4C083AC232
4C083AC302
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC372
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC482
4C083AC542
4C083AC662
4C083AC852
4C083AD042
4C083AD072
4C083AD092
4C083AD132
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD172
4C083AD261
4C083AD262
4C083AD352
4C083AD572
4C083AD662
4C083CC03
4C083CC05
4C083CC12
4C083CC13
4C083CC14
4C083CC19
4C083DD17
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD31
4C083DD41
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE11
4C083EE17
4C083FF01
4C090AA05
4C090AA08
4C090BB52
4C090BB94
4C090CA38
4C090DA26
4J002AB021
4J002BG013
4J002CH012
4J002DE136
4J002DJ036
4J002DJ046
4J002EA016
4J002EC067
4J002EH047
4J002GB00
(57)【要約】
【課題】長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難いセルロースアセテート粒子の提供。
【解決手段】セルロースアセテートを主成分とし、前記セルロースアセテートに置換する、アシル基の総置換度が0.05以上0.70未満であるセルロースアセテート粒子。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースアセテートを主成分とし、
前記セルロースアセテートに置換する、アシル基の総置換度が0.05以上0.70未満であるセルロースアセテート粒子。
【請求項2】
前記セルロースアセテートのアシル基がアセチル基のみである請求項1に記載のセルロースアセテート粒子。
【請求項3】
前記セルロースアセテートに置換する、アシル基の総置換度が0.15以上0.6以下である請求項1または請求項2に記載のセルロースアセテート粒子。
【請求項4】
前記セルロースアセテートに置換する、アシル基の総置換度が0.25以上0.5以下である請求項3に記載のセルロースアセテート粒子。
【請求項5】
前記セルロースアセテート粒子の体積平均粒径が、1μm超え100μm以下である請求項1または請求項2に記載のセルロースアセテート粒子。
【請求項6】
前記セルロースアセテート粒子の体積平均粒径が、3μm以上80μm以下である請求項5に記載のセルロースアセテート粒子。
【請求項7】
前記セルロースアセテートを主成分とする母粒子と、
前記母粒子を被覆する被覆層であって、脂肪酸、脂肪酸金属塩、アミノ酸化合物、脂質化合物、シリコーン化合物、フッ素化合物、及びセラミド化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の被覆材を含む被覆層と、
を有する請求項1または請求項2に記載のセルロースアセテート粒子。
【請求項8】
前記母粒子と前記被覆層との間に中間層を有し、
前記中間層が、ポリアミン化合物、ポリクオタニウム、多糖類化合物、及びポリアクリル酸よりなる群から選択される少なくとも1種の中間材を含む請求項7に記載のセルロースアセテート粒子。
【請求項9】
無機粒子が外添されている請求項1または請求項2に記載のセルロースアセテート粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロースアセテート粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「セルロースアセテートを含む粒子であって、前記粒子は、平均粒子径が80nm以上100μm以下、真球度が0.7以上1.0以下、表面平滑度が80%以上100%以下、及び水に対する表面接触角が100°以上であり、前記セルロースアセテートのアセチル総置換度が0.7以上2.9以下である、セルロースアセテートを含む粒子」が提案されている。
【0003】
特許文献2には、「セルロースの水酸基の一部が置換基で置換されたセルロース誘導体からなり、平均粒径が9~1000nmであることを特徴とするセルロース誘導体微粒子。」が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開公報2020/188698号公報
【特許文献2】国際公開公報2009/123148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、セルロースアセテートを主成分とし、セルロースアセテートに置換する、アシル基の総置換度が0.05未満若しくは0.70以上であるセルロースアセテート粒子に比べ、長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難いセルロースアセテート粒子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段は、下記態様を含む。
<1>
セルロースアセテートを主成分とし、
前記セルロースアセテートに置換する、アシル基の総置換度が0.05以上0.70未満であるセルロースアセテート粒子。
<2>
前記セルロースアセテートのアシル基がアセチル基のみである<1>に記載のセルロースアセテート粒子。
<3>
前記セルロースアセテートに置換する、アシル基の総置換度が0.15以上0.6以下である<1>または<2>に記載のセルロースアセテート粒子。
<4>
前記セルロースアセテートに置換する、アシル基の総置換度が0.25以上0.5以下、である<3>に記載のセルロースアセテート粒子。
<5>
前記セルロースアセテート粒子の体積平均粒径が、1μm超え100μm以下である<1>~<4>のいずれか1項に記載のセルロースアセテート粒子。
<6>
前記セルロースアセテート粒子の体積平均粒径が、3μm以上80μm以下である<5>に記載のセルロースアセテート粒子。
<7>
前記セルロースアセテートを主成分とする母粒子と、
前記母粒子を被覆する被覆層であって、脂肪酸、脂肪酸金属塩、アミノ酸化合物、脂質化合物、シリコーン化合物、フッ素化合物、及びセラミド化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の被覆材を含む被覆層と、
を有する<1>~<6>のいずれか1項に記載のセルロースアセテート粒子。
<8>
前記母粒子と前記被覆層との間に中間層を有し、
前記中間層が、ポリアミン化合物、ポリクオタニウム、多糖類化合物、及びポリアクリル酸よりなる群から選択される少なくとも1種の中間材を含む<7>に記載のセルロースアセテート粒子。
<9>
無機粒子が外添されている<1>~<7>のいずれか1項に記載のセルロースアセテート粒子。
【発明の効果】
【0007】
<1>に係る発明によれば、セルロースアセテートを主成分とし、セルロースアセテートに置換する、アシル基の総置換度が0.05未満若しくは0.70以上であるセルロースアセテート粒子に比べ、長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難いセルロースアセテート粒子が提供される。
<2>に記載の発明によれば、セルロースアセテートのアシル基がアセチル基以外のアシル基を有する場合に比べ、長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難いセルロースアセテート粒子が提供される。
【0008】
<3>に係る発明によれば、セルロースアセテートに置換する、アシル基の総置換度が0.15未満若しくは0.6超えである場合に比べ、長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難いセルロースアセテート粒子が提供される。
<4>に係る発明によれば、前記セルロースアセテートに置換する、アシル基の総置換度が0.2未満若しくは0.5超えである場合に比べ、長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難いセルロースアセテート粒子が提供される。
<5>に係る発明によれば、セルロースアセテート粒子の体積平均粒径が、1μm以下又は100μm以下である場合に比べ、長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難いセルロースアセテート粒子が提供される。
<6>に係る発明によれば、セルロースアセテート粒子の体積平均粒径が、3μm未満又は80μm超えである場合に比べ、長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難いセルロースアセテート粒子が提供される。
【0009】
<7>に係る発明によれば、セルロースアセテートを主成分とする母粒子に被覆層を有さない場合に比べ、長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難いセルロースアセテート粒子が提供される。
<8>に係る発明によれば、母粒子と被覆層との間に中間層を有さない場合に比べ、長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難いセルロースアセテート粒子が提供される。
【0010】
<9>に係る発明によれば、無機粒子が外添されていない場合に比べ、長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難いセルロースアセテート粒子が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。これらの説明および実施例は、実施形態を例示するものであり、発明の範囲を制限するものではない。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0012】
各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。
組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
【0013】
<セルロースアセテート粒子>
本実施形態に係るセルロースアセテート粒子は、セルロースアセテートを主成分とし、セルロースアセテートに置換する、アシル基の総置換度が0.05以上0.70未満である。
【0014】
本実施形態に係るセルロースアセテート粒子は、上記構成により、長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難い。その理由は、次の通り推測される。
【0015】
セルロース粒子は、弾性率が高く硬い。そのため、セルロース粒子は、柔軟性が要求される用途には不利である。柔軟性を要求される用途としては、例えば、化粧品用感触向上粒子などがある。
例えば、セルロース粒子の柔軟性を向上させる技術として、アセチル総置換度を0.7~2.9に制御したセルロースアセテートにより触感を改善した技術(特許文献1等)、が知られている。
しかしながら、技術では、これらアシル基を導入するとセルロースが可塑化されやすくなり、低分子成分(エステル等)により浸食され固まりやすくなる。これにより、長期で保管した際に、触感が悪化し、硬く、ざらつき感が生じる。
【0016】
それに対して、本実施形態でては、セルロースアセテートを主成分とするセルロースアセテート粒子を適用する。そして、セルロースアセテートに置換する、アセチル基の置換度を0.05以上とすることで、セルロース由来の強固な分子構造が崩れ、触感が改善し、柔らかく、ざらつき感が生じ難くなる。一方、セルロースアセテートに置換する、アシル基の総置換度を0.70未満とすることで、低分子成分による浸食が抑制され、長期保管しても触感を維持し、柔らかく、ざらつき感が生じ難くなる。
【0017】
以上から、本実施形態に係るセルロースアセテート粒子は長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難いと推測される。
【0018】
以下、本実施形態に係るセルロースアセテート粒子の詳細について説明する。
【0019】
(セルロースアセテート)
本実施形態に係るセルロースアセテート粒子は、セルロースアセテートを主成分とする。
ここで、セルロースアセテートを主成分とするとは、セルロースアセテートに対するセルロースアセテートの含有量が90質量%以上であることをいう。
ただし、セルロース粒子が、後述する被覆層及び中間層を有する場合、セルロースアセテートを主成分とするとは、母粒子に対するセルロースアセテート含有量が90質量%以上であることをいう。
【0020】
セルロースアセテートは、セルロースにおけるヒドロキシ基の少なくも一部がアセチル基により置換(アセチル化)されたセルロース誘導体である。
セルロースアセテートは、セルロースにおけるヒドロキシ基の少なくも一部がアセチル基以外のアシル基により置換されていてもよい。
【0021】
ここで、アセチル基以外のアシル基において、当該アシル基中の炭化水素基が、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよいが、直鎖状又は分岐状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。
アセチル基以外のアシル基において、当該アシル基中の炭化水素基は、飽和炭化水素基でも不飽和炭化水素基でもよいが、飽和炭化水素基であることがより好ましい。
アセチル基以外のアシル基は、炭素数2以上6以下のアシル基が好ましい。
アセチル基以外のアシル基において、当該アシル基中の水素原子がハロゲン原子(例えば、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、酸素原子、窒素原子などで置換された基でもよいが、無置換のアシル基であることが好ましい。
アセチル基以外のアシル基としては、プロピオニル基、ブチリル基(ブタノイル基)、プロペノイル基、ヘキサノイル基等が挙げられる。これらの中でもアシル基としては、生分解速度向上の観点から、炭素数2以上4以下のアシル基がより好ましく、炭素数2又は3のアシル基が更に好ましい。
【0022】
セルロースアセテートとしては、セルロースモノアセテート、セルロースジアセテート(DAC)、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)等が挙げられる。
【0023】
セルロースアセテートは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0024】
セルロースアセテートに置換する、アシル基の総置換度は、0.05以上0.70未満であるが、長期間保管後の柔らかさ向上及びざらつき感の発生抑制の観点から、0.15以上0.6以下が好ましく、0.25以上0.5以下がより好ましい。
【0025】
セルロースアセテートのアシル基は、アセチル基のみである方が好ましい。セルロースアセテートのアシル基は、アセチル基のみであると、セルロース由来の強固な分子構造が崩れ易くなる。また、低分子成分による浸食が抑制され易くなる。そのため、長期間保存しても、さらに、柔らかく、ざらつき感が生じ難くなる。
【0026】
セルロースアセテートにおいて、置換度とは、セルロースが有するヒドロキシ基がアシル基により置換されている程度を示す指標である。つまり、置換度は、セルロースアセテートのアシル化の程度を示す指標となる。具体的には、置換度は、セルロースアセテートのD-グルコピラノース単位に3個あるヒドロキシ基がアシル基で置換された置換個数の分子内平均を意味する。置換度は、赤外吸収スペクトル(Spotlight400/PerkinElmer社製)にて、セルロース由来ピークとアシル基由来ピークとの強度比から求める。
【0027】
セルロースアセテートの数平均分子量は、37000以上であることが好ましく、45000以上であることがより好ましい。
セルロースアセテートの数平均分子量の上限値は、特に限定されないが、例えば100000以下であってもよい。
【0028】
セルロースアセテートの数平均分子量を、37000以上とすることで、生分解性が高く、柔らかく、ざらつき感が生じ難くなる。その理由は、次の通り推測される。
数平均分子量が37000以上とすることで、末端水酸基が増え難く、単位体積あたりの水酸基の数が抑えられる。そのため、分子内外水素結合の数や結合強度が強くなりにくく、硬さが低減され、柔軟性が高くなる。その結果、柔らかく、ざらつき感が生じ難くなる。
【0029】
セルロースアセテートの数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー法(示差屈折率計 Optilab T-rEX/ Wyatt Technology社製、多角度光散乱検出器
DAWN HELEOS II/ Wyatt Technology社製、カラム TSKgel α-M、α-3000各1本/東ソー社製)にて、ジメチルアセトアミド(0.1M 塩化リチウム添加)を溶媒として測定される。
【0030】
(その他の成分)
本実施形態に係るセルロースアセテート粒子は、その他の成分を含んでもよい。ただし、その他の成分は、セルロースアセテート粒子が後述する被覆層を有する場合、被覆層により被覆される母粒子に含まれる。
【0031】
その他の成分としては、例えば、可塑剤、難燃剤、相溶化剤、離型剤、耐光剤、耐候剤、着色剤、顔料、改質剤、ドリップ防止剤、帯電防止剤、加水分解防止剤、充填剤、補強剤(ガラス繊維、炭素繊維、タルク、クレー、マイカ、ガラスフレーク、ミルドガラス、ガラスビーズ、結晶性シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド等)、酢酸放出を防ぐための受酸剤(酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等の酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等の金属水酸化物;炭酸カルシウム;タルク;など)、反応性トラップ剤(例えば、エポキシ化合物、酸無水物化合物、カルボジイミド等)などが挙げられる。
その他の成分の含有量は、セルロースアセテート粒子(又は母粒子)全量に対してそれぞれ、0質量%以上5質量%以下であることが好ましい。ここで、「0質量%」とはその他の成分を含まないことを意味する。
【0032】
(被覆層を有するセルロースアセテート粒子)
本実施形態に係るセルロースアセテート粒子は、セルロースアセテートを主成分とする母粒子(以下、セルロースアセテート母粒子とも称する)と、母粒子を被覆する被覆層であって、脂肪酸、脂肪酸金属塩、アミノ酸化合物、脂質化合物、シリコーン化合物、フッ素化合物、及びセラミド化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の被覆材を含む被覆層と、を有するセルロースアセテート粒子(以下、「被覆層を有するセルロースアセテート粒子」とも称する)であることが好ましい。
【0033】
本実施形態に係るセルロースアセテート粒子を上記構成とすることで、長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難いセルロースアセテート粒子となり易い。また、生分解性の低下も抑制される。その理由は、次の通り推測される。
【0034】
脂肪酸及び脂肪酸金属塩は、脂肪族基がお互いに斥力で反発し、疑似的な発泡体構造、すなわちスポンジのような作用があり粒子自身の表面の柔軟性が強調される。そのため、期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難くなる。
また、脂肪酸及び脂肪酸金属塩は自身に強い撥水性があり、疎水性が高くなるため、セルアセテートの加水分解が抑制され、粒子の初期の生分解による表面欠損を起こさず、生分解を均一に進めることが出来る。一方でこれらの化合物は部分的な凝集を起こしやすいため、表面には隙間部分が生じ、この間から微生物が侵入できることで優れた生分解性を実現できる。
【0035】
アミノ酸化合物は、セルロースアセテートとの親和性、結合性が強く、セルロースアセテート粒子表面に固定されやすい。また自身が屈曲した分子構造を持ち、結合されているセルロースアセテートの柔軟性をより強調する。そのため、期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難くなる。
また、アミノ酸化合物については、被覆後に扁平な形状の結晶になる傾向が強く、比表面積が大きくなることで、初期の微生物のセルロースアセテートとの接触を抑制でき、生分解が遅れることで質感の経時変化が小さくなる。また、結晶間に隙間が生じるため、微生物の緩やかな侵入が可能で、均一に生分解が進行し、優れた生分解性も実現できる。
【0036】
脂質化合物は、セルロースアシレートとの結合性が強く、セルロースアシレート粒子表面に固定されやすい。また、粒子表面の摩擦係数を下げる働きがある。そのため、期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難くなる。
シリコーン化合物は、セルロースアシレートとの結合性が強く、セルロースアシレート粒子表面に固定されやすい。また、粒子表面の摩擦係数を下げる働きがある。そのため、期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難くなる。
フッ素化合物は、セルロースアシレートとの結合性が強く、セルロースアシレート粒子表面に固定されやすい。また、粒子表面の摩擦係数を下げる働きがある。そのため、期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難くなる。
セラミド化合物は、セルロースアシレートとの結合性が強く、セルロースアシレート粒子表面に固定されやすい。また、粒子表面の摩擦係数を下げる働きがある。そのため、期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難くなる。
【0037】
以上のことから、期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難くなると推測される。
【0038】
-母粒子-
母粒子はセルロースアセテートを主成分とする。
母粒子に含まれるセルロースアセテートは、既述のセルロースアセテートと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0039】
-被覆層-
被覆層は、脂肪酸、脂肪酸金属塩、アミノ酸化合物、脂質化合物、シリコーン化合物、フッ素化合物、及びセラミド化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の被覆材を含むことが好ましい。
【0040】
・脂肪酸
脂肪酸とは、直鎖状若しくは分岐状の飽和又は不飽和の脂肪酸である。脂肪酸は、飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸の混合物であってもよい。
脂肪酸としては、長期間保管後の柔らかさ向上及びざらつき感の発生抑制の観点から、炭素数16以上22以下(好ましくは炭素数18以上20以下)の脂肪酸であることが好ましい。炭素数16以上22以下の直鎖脂肪酸の具体例としては、ベヘン酸、アラキジン酸、パルチミン酸などが挙げられる。
【0041】
・脂肪酸金属塩
脂肪酸金属塩とは、直鎖状若しくは分岐状の飽和又は不飽和の脂肪酸金属塩である。脂肪酸金属塩は、長期間保管後の柔らかさ向上及びざらつき感の発生抑制の観点から、飽和脂肪酸金属塩及び不飽和脂肪酸金属塩の混合物であってもよい。
脂肪酸金属塩としては、炭素数16以上22以下(好ましくは炭素数18以上20以下)の脂肪酸の金属塩が挙げられる。炭素数16以上22以下(の脂肪酸の金属塩としては、例えば、ステアリン酸の金属塩、ベヘン酸の金属塩、パルミチン酸の金属塩などが挙げられる。
脂肪酸金属塩における金属としては、2価の金属が挙げられる。
直鎖脂肪酸金属塩における金属としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、バリウム、亜鉛が挙げられる。
【0042】
ここで、脂肪酸及び脂肪酸金属塩において、炭素数16以上であると、脂肪酸基が短く、スポンジ効果が十分となる。一方、炭素数が22以下であると、脂肪酸基の反発が低減され、セルロースアセテートとの親和性も十分となり、セルロースアセテート粒子から剥離し難くなる。そのため、長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難くなる。また、生分解性も十分となる。
【0043】
・アミノ酸化合物
アミノ酸化合物とは、アミノ酸及びアミノ酸誘導体をいう。
アミノ酸化合物としては、ラウリルロイシン、ラウリルアルギニン、ミリスチルロイシンなどが挙げられる。
【0044】
・脂質化合物
脂質化合物としては、リン脂質(レシチンおよびその水素添加物、ホスファチジル酸および/またはその塩、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、大豆由来リン脂質、大豆由来水素添加リン脂質、卵黄由来リン脂質、卵黄由来水素添加リン脂質等)が代表的に挙げられる。
脂質としては、糖脂質(コメヌカスフィンゴ糖脂質、スフィンゴ糖脂質等)、複合脂質も挙げられる。
【0045】
・シリコーン化合物
シリコーン化合物は、シロキサン鎖を持つ化合物である。
シリコーン化合物としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルポリシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンポリシロキサン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン、アクリル-シリコーン系グラフト重合体、有機シリコーン樹脂部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、アミノ変性シリコーン、カルボン酸変性シリコーン、フッ素化シリコーン、シリコーンガム、アクリルシリコーン、シリコーンレジン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン等が挙げられる。
【0046】
・フッ素化合物
フッ素化合物は、フッ素原子を持つ化合物である。
フッ素化合物としては、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルリン酸エステル(モノパーフルオロアルキルエチルリン酸エステルのジエタノールアミン塩とジパーフルオロアルキルエチルリン酸エステルのジエタノールアミン塩との混合物、フルオロ(C9-15)アルコールリン酸等)、パーフルオロアルキルアルコキシシラン(パーフルオロオクチルトリエトキシシラン、パーフルオロカプリリルトリエトキシシリルエチルメチコン等)、フッ素変性シリコーン、フッ素変性ポリマー(メタクリル酸ジエチルアミノエチル/メタクリル酸2-ヒドロキシエチル/メタクリル酸パーフルオロヘキシルエチルの共重合ポリマー等)、パーフルオロアルキルシラン、パーフルオロアルキル基含有エステル、パーフルオロアルキルリン酸エステル塩、パーフルオロポリエーテル、フルオロシリコーン、フッ素化シリコーン樹脂、トリメトキシ(3,3,3-トリフルオロプロピル)シラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0047】
・セラミド化合物
セラミドとは、スフィンゴシンと脂肪酸がアミド結合した化合物である。
セラミドとしては、天然セラミド、植物性セラミド、ヒト型セラミド、合成セラミド(疑似セラミド)等が挙げられる。
天然セラミドとしては、セラミド1、セラミド2、セラミド3、セラミド4、セラミド5、セラミド6、セラミド7等が挙げられる。
植物性セラミドとしては、コメヌカ、イネ、トウモロコシ、コンニャク、パイナップル等から抽出されるセラミドが挙げられる。
ヒト型セラミドは、セラミド1(セラミドEOP)、セラミド2(セラミドNG)、セラミド3(セラミドNP)、セラミド4(セラミドEOH)、セラミド5(セラミドAG)、セラミド6II(セラミドAP)、セラミド7(セラミドAH)、セラミド8、セラミド9、セラミド10等が挙げられる。
合成セラミドは、ヒドロキシプロピルビスパルミタミドMEA、ヒドロキシプロピルビスラウラミドMEA、ヒドロキシプロピルビスイソステアラミドMEA
等が挙げられる。
【0048】
母粒子に対する被覆層の被覆量は、長期間保管後柔らかさ向上及びざらつき感の発生抑制の観点から、0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.5質量%以上9質量%以下がより好ましく、1質量%以上8質量%以下がさらに好ましい。
ここで、被覆層全体に対する、上記被覆材の含有量は90質量%以上100質量%以下が好ましく、95質量%以上100質量%以下がより好ましい。
【0049】
-中間層-
被覆層を有するセルロースアセテート粒子において、母粒子と被覆層との間に中間層を有することが好ましい。そして、中間層は、ポリアミン化合物、ポリクオタニウム、多糖類化合物、及びポリアクリル酸よりなる群から選択される少なくとも1種の中間材を含むことが好ましい。
【0050】
本実施形態に係るセルロースアセテート粒子を上記構成とすることで、長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難いセルロースアセテート粒子となり易い。また、生分解性も向上する。その理由は、次の通り推測される。
【0051】
ポリアミン化合物は、セルロースアセテートとも、例えば脂肪酸、脂肪酸金属塩などの被覆層のカルボン酸部分とも親和性が高く、脂肪酸、脂肪酸金属塩の脂肪族基を選択的に被覆粒子の表面側に向けることが可能であり、被覆層の効果をより発揮できる。そのため、長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難くなる。また、生分解性の低下も抑制される。
ポリクオタニウムもまた、ポリアミン化合物と同様の作用で、長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難くなる。また、生分解性も低下も抑制される。
多糖類化合物は、セルロースアセテートと構造が極めて似ているため、分子全体がセルロースアセテートのより多くの部分を覆うが、一部空隙あるクッション状態を作り、この上に例えば脂肪族酸、脂酸族金属塩のような被覆層が親和する。そのため、長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難くなる。また、生分解性も低下も抑制される。
ポリアクリル酸は、適度な吸水性を有するため、分子内に水分を取り込むことで、ある程度吸水しているセルロースアセテート表面と柔軟性を低下させるとなく親和し、例えば脂肪酸や脂肪酸金属塩と極性が近いため親和し、被覆層の効果をより高められる。そのため、長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難くなる。また、生分解性の低下も抑制される。
【0052】
以上のことから、長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難くなるセルロースアセテート粒子となり易いと推測される。また、生分解性の低下も抑制されると推測される。
【0053】
ポリアミン化合物とは、第1級アミノ基を2つ以上有する脂肪族炭化水素の総称である。
ポリアミン化合物としては、ポリアルキレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリリジン等が挙げられる。
ポリアルキレンイミンとしては、生分解性向上の観点から、炭素数1以上6以下(好ましくは炭素数1以上4以下、より好ましくは炭素数1以上2以下)のアルキレン基を持つ構成単位を有するポリアルキレンイミンが好ましく、ポリエチレンイミンがより好ましい。
ポリアリルアミンとしては、例えば、アリルアミン、アリルアミンアミド硫酸塩、ジアリルアミン、ジメチルアリルアミンなどの単独重合体又は共重合体などが挙げられる。
ポリビニルアミンとしては、例えば、ポリ(N-ビニルホルムアミド)をアルカリで加水分解して製造されるもので、具体的には三菱化学社製「PVAM-0595B」等が挙げられる。
ポリリジンとしては、天然物から抽出されたものであってもよく、形質転換微生物に産生させたものであってもよく、化学合成されたものであってもよい。
【0054】
ポリクオタニウムとしては、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-11、ポリクオタニウム-51、ポリクオタニウム-61、及びポリクオタニウム-64等が挙げられる。
【0055】
母粒子に対する中間層の被覆量は、長期間保管後の柔らかく、ざらつき感の発生抑制の観点から、0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、1質量%以上10質量%以下がより好ましい。
ここで、中間層全体に対する、上記中間材の含有量は90質量%以上100質量%以下が好ましく、95質量%以上100質量%以下がより好ましい。
【0056】
-外添剤-
本実施形態に係るセルロースアセテート粒子は、無機粒子が外添されていてもよい。無機粒子が外添されていると、粒子同士の2次凝集が抑制されることで、粒子本来の特性を発揮しやすくなる。そのため、長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難いセルロースアセテート粒子となり易いと推測される。また、生分解性の低下も抑制されると推測される。
【0057】
外添剤としては、珪素含有化合物粒子、及び金属酸化物粒子よりなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0058】
珪素含有化合物粒子とは、珪素を含有する粒子を示す。
珪素含有化合物粒子としては、珪素のみを含む粒子であってもよく、珪素及び、その他の元素を含む粒子であってもよい。
【0059】
珪素含有化合物粒子としては、シリカ粒子であることが好ましい。シリカ粒子は、シリカ、即ちSiOを主成分とする粒子であればよく、結晶性でも非晶性でもよい。また、シリカ粒子は、水ガラス、アルコキシシラン等のケイ素化合物を原料に製造された粒子であってもよいし、石英を粉砕して得られる粒子であってもよい。
金属酸化物としては、ケイ素以外の金属の酸化物が適用可能である。
金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化アルミニウムなどが挙げられる。
【0060】
外添剤の体積平均粒径は、質感(具体的には、肌触り)の観点から、1nm以上100nm以下が好ましく、5nm以上30nm以下がより好ましい。
外添剤の体積平均粒径は、セルロースアセテート粒子の体積平均粒径と同様な方法で測定される。
【0061】
外添剤の外添量は、セルロースアセテート粒子(外添剤を外添していない状態のセルロースアセテート粒子)全体の質量に対して、0.1質量%以上5質量%以下であることが好ましい。
【0062】
(体積平均粒子径及び大径側個数粒度分布指標GSDv)
本実施形態に係るセルロースアセテート粒子の体積平均粒子径は、1μm超え100μm以下が好ましく、3μm以上80μm以下がより好ましい。
【0063】
本実施形態に係るセルロースアセテート粒子の体積平均粒子径を、1μm超え100μm以下とすることで、長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難いセルロースアセテート粒子となり易い。また、生分解性の低下も抑制される。その理由は、次の通り推測される。
体積平均粒径が1μm超えであれば、粒子の中心コアの硬い部分の影響を受けにくくなり、柔軟性に優れる傾向がある。そのため、長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難くなる。
また、体積平均粒径が100μm以下であれば、極表面の吸水で柔軟性を発揮できることから柔軟性に優れる傾向にある。そのため、長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難くなる。
また、表面積が適度に大きくなることから、表面から起こる生分解が均一に進行しやすく生分解性に優れる傾向にある
【0064】
セルロースアセテート粒子の体積平均粒径は、次の通り測定される。
LS粒度分布測定装置「Beckman Coulter LS13 320(ベックマンコールター社製)」により粒径を測定し、粒径の累積分布を、体積基準で小径側から描き、累積50%となる粒子径を、体積平均粒径として求める。
【0065】
<セルロースアセテート粒子の製造方法>
本実施形態に係るセルロースアセテート粒子の製造方法は、例えば、次の通りである。
【0066】
-セルロースアセテート粒子(母粒子)製造工程-
(1)まず、セルロースアセテートを、水溶性有機溶剤Aに溶解して、セルロースアシレート溶液Aを調製する。
(2)次に、セルロースアシレート溶液Aを、炭酸カルシウムを水に分散させた炭酸カルシウム分散液中に加えて、攪拌し、セルロースアシレート溶液Bを調整する。
(3)次に、カルボキシメチルセルロースと水溶性有機溶剤Bと水との混合溶液に、セルロースアシレート溶液Bに加え、高速攪拌して、セルロースアシレート溶液Cを調整する。
(4)次に、セルロースアシレート溶液Cに、水酸化ナトリウムを加えた後。セルロースアシレート分散液Cを加熱して、水溶性有機溶剤A及びBを除去し、塩酸を添加して、セルロースアシレート粒子形成する。そして、セルロースアシレート粒子をろ過して、濾別されたセルロースアシレート粒子を水中に分散して、セルロースアシレート粒子分散液を調製する。
(5)次に、セルロースアシレート粒子分散液に水酸化ナトリウムを加えた後、セルロースアシレート粒子分散液を弱アルカリ環境下で加温して、攪拌し、セルロースアシレート粒子を鹸化する。
(6)次に、置換度が調整されたセルロースアシレート粒子懸濁液に塩酸を加え、懸濁液のpHを中性付近(例えば6.5以上7以下の範囲)にした後、セルロースアセテート粒子の濾別及び純水洗浄を繰り返す。そして、濾液の電導度が10μs/cm以下に達した後、濾別したセルロースアシレート粒子を乾燥する。
【0067】
以上の製造過程において、(A)鹸化温度及び鹸化時間の調整、及び(B)鹸化時におけるセルロースアシレート粒子のアルカリ浸透性を上げる処理(鹸化前のセルロースアシレート粒子分散液の調整後、当該分散液に水溶性有機溶剤Dを加える処理等)を実施することで、上記置換度のセルロースアセテート粒子が得られる。
【0068】
ここで、水溶性有機溶剤Aは、25℃で、溶剤に対する水が0.1質量%以上10質量%溶解する溶剤であり、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。
水溶性有機溶剤Bは、25℃で、溶剤に対する水が0.1質量%以上10質量%溶解する溶剤であり、例えば、メチルエチルケトン、アセトン等が挙げられる。
水溶性有機溶媒Dは、25℃で、溶剤に対する水が0.1質量%以上10質量%溶解する溶剤であり、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、アセトン等が挙げられる。
【0069】
本実施形態に係る、上記特定のアセチル基の置換度を持つセルロースアシレート粒子(母粒子)は、上記製法に限らず、予め、上記特定のアセチル基の置換度を持つセルロースアシレートを用いて、次の製法等により得てもよい。
1)原料を混練し、得られた混練物を粉砕、分級して、粒状物を得る混練粉砕法、
2)混練粉砕法にて得られた粒状物を機械的衝撃力又は熱エネルギーにて形状を変化させ、粒状物を得る乾式製法
3)原料の粒子分散液を混合し、分散液中の粒子を凝集、加熱融着させ、粒状物を得る凝集合一法
4)原料を溶解した有機溶媒を水系溶媒に懸濁させて、各成分を含む粒状物を造粒する溶解懸濁法
【0070】
-中間層及び被覆層形成工程-
被覆層を有するセルロースアセテート粒子を製造する場合、上記セルロースアセテート粒子(母粒子)製造工程の後に被覆層を形成する工程(被覆層形成工程)を含むことが好ましい。
ここで、被覆層形成工程を行う場合、上記セルロースアセテート粒子(母粒子)製造工程により得られる粒子を母粒子として被覆層を形成する。
【0071】
先ず、母粒子が分散された水分散液を調製する。水分散液を調製する前に、母粒子を酸洗浄することがよい。
【0072】
次に、母粒子を分散した水分散液と中間層を構成する中間材を含む水溶液とを混合する。それにより、例えば、母粒子に含むセルロースアセテートの水酸基と中間層を構成する中間材の官能基(アミンサイト、カルボキシル基、アミノ基など)が反応したり、水酸基が水素結合することで、中間層が形成される。そして、中間層が形成された母粒子を分散した水分散液と被覆層を構成する被覆材を含む乳化液と混合する。それにより被覆層が形成される。
ここで、中間層を形成しない場合、上記セルロースアセテート粒子(母粒子)製造工程により得られる母粒子を分散した水分散液と被覆層を構成する化合物を含む乳化液と混合して、被覆層を形成する。
【0073】
そして混合液から、被覆層を有するセルロースアセテート粒子を取り出す。被覆層を有するセルロースアセテート粒子の取り出しは、例えば、混合液を濾過することにより実施する。取り出した被覆層を有するセルロースアセテート粒子は、水により洗浄することがよい。それにより、未反応の表面処理ポリマーを除去できる。そして、被覆層を有するセルロースアセテート粒子を乾燥させることで本実施形態に係るセルロースアセテート粒子が得られる。
【0074】
-外添工程-
得られたセルロースアセテート粒子に対して外添剤を添加してもよい。
外添工程としては、例えば、混合ミル、V型ブレンダーやヘンシェルミキサー、レディゲミキサー等を用いてセルロースアセテート粒子に外添剤を添加する処理が挙げられる。
【0075】
<用途>
本実施形態に係るセルロースアセテート粒子の用途としては、化粧品、ローリング剤、研磨剤、スクラブ剤、ディスプレイスペーサー、ビーズ成形用材料、光拡散粒子、樹脂強化剤、屈折率制御剤、生分解促進剤、肥料、吸水性粒子、トナー粒子、アンチブロッキング粒子の粒状体が挙げられる。
【0076】
本実施形態に係るセルロースアセテート粒子の用途としては、化粧品が好ましい。
中でも、本実施形態に係るセルロースアセテート粒子の用途としては、化粧品添加剤が好ましい。
本実施形態に係るセルロースアセテート粒子は柔軟性に優れるため、化粧品添加剤として用いた場合、当該化粧品を肌に塗布した場合における、肌への化粧品の伸び及び軋みが良好となりやすい。
【0077】
本実施形態に係るセルロースアセテート粒子は、例えば、ベースメイク用化粧品(例えば、化粧下地、コンシーラー、ファンデーション、フェイスパウダー等);メイクアップ用化粧品(例えば、口紅、グロス、リップライナー、チーク、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、アイブロウ、ネイル、ネイルケア用化粧品等);スキンケア用化粧品(例えば、洗顔料、クレンジング、化粧水、乳液、美容液、パック、フェイスマスク、目元口元ケア用化粧品等);等の化粧品添加剤として適用可能である。
とくに、メイクアップ用化粧品の化粧品添加剤は、柔軟性、及び生分解性が要求される観点から、本実施形態に係る樹脂粒子はメイクアップ用化粧品の化粧品添加剤として用いられることが好ましい。
【実施例0078】
以下に実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」及び「%」はすべて質量基準である。
【0079】
<各材料の準備>
次の材料を準備した。
【0080】
(セルロースアシレート)
・CA-1:ジアセチルセルロース、(株)ダイセル製「L50」、数平均分子量58000
・CA-2:ジアセチルセルロース、(株)ダイセル「L20、数平均分子量47000
・CA-3:セルロースアセテートプロピオネート、イーストマンケミカル「CAP482-0.5」、数平均分子量25000
【0081】
(被覆材)
・ST-1:ステアリン酸カルシウム(脂肪酸金属塩)、日油「ステアリン酸カルシウム植物」
・ST-2:ベヘン酸(脂肪酸)、日油「NAA-222S」
・ST-3:ラウロイルリシン(アミノ酸化合物)、味の素(株)「アミホープLL」
・ST-4:水添レシチン(脂質化合物)。日光ケミカルズ(株)「NIKKOLレシノールS-10 日光ケミカルズ」
・ST-5:ハイドロゲンジメチコン(シリコーン系化合物)、信越化学工業(株)KF-9901」
・ST-6:パーフルオロオクチルトリエトキシシラン(フッ素系化合物) Fuluorochem「パーフルオロオクチルトリエトキシシラン」
・ST-7 ヒドロキシプロピルビスパルミタミドMEA(セラミド系化合物)、MACROCARE「パシフィコスCRM」
・ST-8 ポリビニルピロリドン、日本触媒「PVP」
【0082】
(中間材)
・AA-1:ポリエチレンイミン(ポリアミン化合物)、日本触媒(株)「PEI-1500」
・AA-2:ポリクオタニウム11(ポリクオタニウム)、BASFジャパン「ルビカットPQ11AT1」
・AA-3:カチオン化グアーガム(多糖類)、住友ファーマフード&ケミカル(株)「ラボールガムCG-M」
・AA-4:ポリアクリル酸、東亜合成(株)「ジュリマーAC-10H」
・AA-5:カルボマー、日光ケミカルズ「NTC-CARBOMAER 380」
【0083】
・EA-1:ジメチルシリル化シリカ、日本アエロジル(株)「AEROSIL R972」、体積平均粒径=16nm
・EA-2:ジメチコンケイ酸シリカ、日本アエロジル(株)「AEROSIL RY200S」、体積平均粒径=16nm
【0084】
<実施例1~22、比較例1~4>
-母粒子の形成-
表1に示す種類のセルロースアシレート130gを酢酸エチル870g中に溶解させた。これを、炭酸カルシウム50gを純水500gに分散させた分散液に加え、3時間攪拌した。これにカルボキシメチルセルロース4gとメチルエチルケトン200gを純水600gに分散させた分散液中に加え、高速乳化機で5分間攪拌した。これに10gの水酸化ナトリウムを加え、80℃で3時間攪拌して、酢酸エチルとメチルエチルケトンを除去した。これに10gの希塩酸を加え、炭酸カルシウムを溶解した。残渣をろ過、再度純水中に分散して母粒子スラリーを得た。この鹸化前の母粒子スラリーに、表1に従って、10gの酢酸エチル又は30gのメチルエチルケトン(MKE)の溶剤を加えた。
【0085】
-母粒子の鹸化-
母粒子スラリー(固形分濃度10%)500質量部に20%NaOHを17.5質量部添加して、表1に示す鹸化温度及び鹸化時間で撹拌して、母粒子を鹸化した。鹸化後の母粒子スラリーに塩酸を添加してpH7に調整した。その後、ろ過、洗浄を繰り返し、ろ液電導度10μs/cm以下まで洗浄した。得られた母粒子を80℃3時間乾燥し、溶剤を除去した。それにより、母粒子ケーキを得た。
【0086】
-表面処理-
洗浄後の母粒子ケーキをイオン交換水でリスラリー化して500gに調整後、表1に示す種類及び被覆量となる量の中間材を添加して1時間混合し、引き続き、表1に示す種類及び被覆量となる量の被覆材を添加して24時間撹拌した。それにより、母粒子に中間層及び被覆層を形成した。
その後、中間層及び被覆層を形成した母粒子を、ろ過、洗浄を繰り返し、ろ液電導度10μs/cm以下まで洗浄した。洗浄後、得られたケーキを乾燥して、中間層及び被覆層を有するセルロースアセテート粒子を得た。
また、得た粒子をFMミキサー(FM40、日本コークス工業社製)にて、ミキサー温度を25℃に維持したまま、2000min-1の回転数で3時間攪拌し、被覆層表面をなめした。
【0087】
-外添処理-
次に、中間層及び被覆層を有するセルロース粒子100部に、表1に示す種類及び量(部数)の外添剤を添加し、混合ミル(ワンダークラッシャー、大阪ケミカル社製)にて混合することで外添剤を有するセルロースアセテート粒子を得た。
【0088】
なお、表1に「-」と示すように、一部の例では、中間層の形成、被覆層の形成、及び外添剤の外添のいずれか一つ以上を実施しないセルロースアセテート粒子を作製した。
また、一部の例では、鹸化前の母粒子スラリーに、10gの酢酸エチル又は30gのメチルエチルケトン(MKE)の溶剤を加えないで、セルロースアセテート粒子を作製した。
また、一部の例では、母粒子の鹸化を実施しないで、セルロースアセテート粒子を作製した。
【0089】
【表1】
【0090】
<物性評価>
(粒子性状)
各例で得られたセルロースアセテート粒子について、次の粒子性状を既述の方法に従って測定した。
・セルロースアセテートに置換する、アセチル基の置換度
・セルロースアセテートに置換する、アセチル基以外の置換度
・体積平均粒子径(表中「粒径」と表記)
【0091】
<化粧品評価>
(化粧品の作製)
各例のセルロース粒子のうち、表3に示すセルロース粒子を使用し、各種の化粧品を作製した。具体的には、次の通りである。
【0092】
-リキッドファンデーション-
表2-1に示す処方にて公知の方法でリキッドファンデーションを得た。
【0093】
【表2-1】
【0094】
-乳液-
表2-2に示す処方にて、公知の方法で乳液を得た。
【0095】
【表2-2】
【0096】
-ルースパウダー-
表2-3に示す処方をブレンダーで混合、粉砕機で粉砕した後、目開き250μmのふるいをかけ、ルースパウダーを得た。
【0097】
【表2-3】
【0098】
-パウダーファンデーション-
表2-4に示す処方に従って、粒子、粉体を混合、別途結合剤を混合し、粒子、粉体混合物を結合剤に攪拌しながら徐々に添加し、混合してパウダーファンデーションを得た。
【0099】
【表2-4】
【0100】
-日焼け止めクリーム-
表2-5に示す処方に従って、油相(1)を50℃に加温して溶解させた後、油相(2)を加えて混合した。一方、水相(2)を溶解し、混合した。油相(1)と(2)混合物に粒子、粉体を加え、分散、混合した後、水相(1)と(2)の混合物を徐々に加えて乳化し、日焼け止めクリームを得た。
【0101】
【表2-5】
【0102】
-オールインワンジェル-
表2-6に示す処方に従って、水相(1)と水相(2)を混合した。次に、油相(1)を混合し、水相(1)と水相(2)の混合物に添加した。油相(2)を70℃に加温した後、粒子を加えて分散液を得た。得られた分散液を水相(1)と水相(2)と油相(1)の混合物に加え、攪拌、混合して乳化した。これに中和剤を加えた後、攪拌、冷却してオールインワンジェルを得た。
【0103】
【表2-6】
【0104】
-化粧下地-
表2-7に示す処方に従って、粒子を成分Aに分散し、攪拌した。これに成分Bを添加、攪拌し、化粧下地を得た。
【0105】
【表2-7】
【0106】
-口紅用下地料-
表2-8に示す処方に従って、成分Bを60℃に加熱し、混合した。これに粒子を分散させ、成分Aを加え、電子レンジにて加熱溶解させ混合し、金型に流し込み、冷却した。これを口紅容器にセットし、口紅用下地料を得た
【0107】
【表2-8】
【0108】
-ボディーパウダー-
表2-9に示す処方をラボミキサーで混合し、ボディーパウダーを得た。
【0109】
【表2-9】
【0110】
-固形粉末アイシャドー-
表2-10に示す処方に従って、粒子と粉体を混合し、結合剤を均一に溶解し、粉体混合物に加え更に混合後、圧縮成形して固形粉末アイシャドーを得た。
【0111】
【表2-10】
【0112】
(評価)
各例のセルロースアセテート粒子及び得られた化粧品の、柔らかさ、ざらつき感を次の通り評価した。
【0113】
女性モニター10人に、セルロースアセテート粒子及び化粧品の各々の試料5gを手の甲にのせ、伸ばしてもらい、柔らかさ、及びざらつき感について、最も良いを10、最も悪いを0として、10段階で得点をつけてもらった。そして、10人のモニターの得点を算術平均して評価した。
この作業は、未処理のセルロースアセテート粒子及び化粧品(表中「初期」と表記)、室温3か月静止したまま保管したセルロースアセテート粒子及び化粧品(表中「保管」と表記)に対して実施した。
【0114】
【表3-1】
【0115】
【表3-2】
【0116】
上記結果から、本実施例のセルロースアセテート粒子は、比較例のセルロースアセテートに比べ、長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難いことがわかる。
【0117】
本実施形態は、下記態様を含む。
(((1)))
セルロースアセテートを主成分とし、
前記セルロースアセテートに置換する、アシル基の総置換度が0.05以上0.70未満であるセルロースアセテート粒子。
(((2)))
前記セルロースアセテートのアシル基がアセチル基のみである(((1)))に記載のセルロースアセテート粒子
(((3)))
前記セルロースアセテートに置換する、アシル基の総置換度が0.15以上0.6以下である(((1)))または(((2)))に記載のセルロースアセテート粒子。
(((4)))
前記セルロースアセテートに置換する、アシル基の総置換度が0.25以上0.5以下、である(((3)))に記載のセルロースアセテート粒子。
(((5)))
前記セルロースアセテート粒子の体積平均粒径が、1μm超え100μm以下である(((1)))~(((4)))のいずれか1項に記載のセルロースアセテート粒子。
(((6)))
前記セルロースアセテート粒子の体積平均粒径が、3μm以上80μm以下である(((5)))に記載のセルロースアセテート粒子。
(((7)))
前記セルロースアセテートを主成分とする母粒子と、
前記母粒子を被覆する被覆層であって、脂肪酸、脂肪酸金属塩、アミノ酸化合物、脂質化合物、シリコーン化合物、フッ素化合物、及びセラミド化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の被覆材を含む被覆層と、
を有する(((1)))~(((6)))のいずれか1項に記載のセルロースアセテート粒子。
(((8)))
前記母粒子と前記被覆層との間に中間層を有し、
前記中間層が、ポリアミン化合物、ポリクオタニウム、多糖類化合物、及びポリアクリル酸よりなる群から選択される少なくとも1種の中間材を含む(((7)))に記載のセルロースアセテート粒子。
(((9)))
無機粒子が外添されている(((1)))~(((7)))のいずれか1項に記載のセルロースアセテート粒子。
【0118】
上記態様の効果は、次の通りである。
(((1)))に係る発明によれば、セルロースアセテートを主成分とし、セルロースアセテートに置換する、アシル基の総置換度が0.05未満若しくは0.70以上であるセルロースアセテート粒子に比べ、長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難いセルロースアセテート粒子が提供される。
(((2)))に記載の発明によれば、セルロースアセテートのアシル基がアセチル基以外のアシル基を有する場合に比べ、長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難いセルロースアセテート粒子が提供される。
【0119】
(((3)))に係る発明によれば、セルロースアセテートに置換する、アシル基の総置換度が0.15未満若しくは0.6超えである場合に比べ、長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難いセルロースアセテート粒子が提供される。
(((4)))に係る発明によれば、前記セルロースアセテートに置換する、アシル基の総置換度が0.2未満若しくは0.5超えである場合に比べ、長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難いセルロースアセテート粒子が提供される。
(((5)))に係る発明によれば、セルロースアセテート粒子の体積平均粒径が、1μm以下又は100μm以下である場合に比べ、長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難いセルロースアセテート粒子が提供される。
(((6)))に係る発明によれば、セルロースアセテート粒子の体積平均粒径が、3μm未満又は80μm超えである場合に比べ、長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難いセルロースアセテート粒子が提供される。
【0120】
(((7)))に係る発明によれば、セルロースアセテートを主成分とする母粒子に被覆層を有さない場合に比べ、長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難いセルロースアセテート粒子が提供される。
(((8)))に係る発明によれば、母粒子と被覆層との間に中間層を有さない場合に比べ、長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難いセルロースアセテート粒子が提供される。
【0121】
(((9)))に係る発明によれば、無機粒子が外添されていない場合に比べ、長期間保存しても、柔らかく、ざらつき感が生じ難いセルロースアセテート粒子が提供される。