(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141026
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】配線回路基板
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20241003BHJP
H05K 1/11 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H05K1/02 D
H05K1/11 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052452
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003812
【氏名又は名称】弁理士法人いくみ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神谷 亮
(72)【発明者】
【氏名】宮下 拓也
(72)【発明者】
【氏名】相賀 拓郎
【テーマコード(参考)】
5E317
5E338
【Fターム(参考)】
5E317AA07
5E317BB02
5E317BB03
5E317BB11
5E317BB12
5E317BB13
5E317BB14
5E317GG20
5E338AA01
5E338AA16
5E338AA18
5E338BB13
5E338BB61
5E338BB63
5E338CD13
5E338EE28
(57)【要約】
【課題】切欠きを有する端子を備える配線回路基板において、端子に亀裂が入ることを抑制できる配線回路基板を提供する。
【解決手段】
回路付サスペンション基板1は、開口121を有する第1絶縁層12と、厚み方向に見て開口121内に配置される端子132Aを備える導体パターン13と、開口121内に配置され、端子132Aを支持する支持絶縁層14とを備え、端子132Aは、第1方向において支持絶縁層14から一方側に突出する第1端部E1と、第1端部E1に対して第1方向の他方側に離れて配置される第2端部E2と、第1端部E1から第2端部E2に向かって第1方向の他方側に延びる切欠き20とを有し、厚み方向に見て、支持絶縁層14の一部は、切欠き20の閉鎖端部20B内に配置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する絶縁層と、
前記絶縁層の厚み方向において前記絶縁層上に配置される導体パターンであって、前記厚み方向に見て前記開口内に配置される端子と、前記端子と接続される配線とを備える導体パターンと、
前記開口内に配置され、前記端子を支持する支持絶縁層と
を備え、
前記端子は、
前記厚み方向と直交する第1方向において前記支持絶縁層から一方側に突出する第1端部と、
前記第1端部に対して前記第1方向の他方側に離れて配置される第2端部と、
前記第1端部から前記第2端部に向かって前記第1方向の他方側に延びる切欠きであって、前記第1方向における一方側の端部が開放端部であり、前記第1方向における他方側の端部が閉鎖端部である切欠きを有し、
前記厚み方向に見て、前記支持絶縁層の一部は、前記切欠きの前記閉鎖端部内に配置される、配線回路基板。
【請求項2】
前記厚み方向において前記絶縁層に対して前記導体パターンの反対側に配置される金属支持層を、さらに有する、請求項1に記載の配線回路基板。
【請求項3】
前記支持絶縁層は、前記金属支持層から露出している、請求項2に記載の配線回路基板。
【請求項4】
前記厚み方向において前記支持絶縁層に対して前記端子の反対側に配置されるリブをさらに有する、請求項1に記載の配線回路基板。
【請求項5】
前記切欠きの前記閉鎖端部は、前記厚み方向および前記第1方向の両方と直交する第2方向に凹む凹部を有する、請求項1に記載の配線回路基板。
【請求項6】
前記配線回路基板は、前記第1方向に間隔をあけて並ぶ複数の前記端子を有する、請求項1に記載の配線回路基板。
【請求項7】
複数の前記端子の全ては、前記第1方向における一方側の端部が開放端部であり、前記第1方向における他方側の端部が閉鎖端部である前記切欠きを有する、請求項6に記載の配線回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、端子の一部に切欠きを設けた回路付サスペンション基板が知られている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるような回路付サスペンション基板の端子では、切欠きを拡げる方向に力が加わると、端子に亀裂が入ってしまう場合がある。
【0005】
例えば、回路付サスペンション基板の製造途中において、エッチングレジストを剥離するときに、切欠き内に入っていたエッチングレジストが剥離液で膨潤し、切欠きを拡げる方向に力が加わる可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、切欠きを有する端子を備える配線回路基板において、端子に亀裂が入ることを抑制できる配線回路基板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明[1]は、開口を有する絶縁層と、前記絶縁層の厚み方向において前記絶縁層上に配置される導体パターンであって、前記厚み方向に見て前記開口内に配置される端子と、前記端子と接続される配線とを備える導体パターンと、前記開口内に配置され、前記端子を支持する支持絶縁層とを備え、前記端子は、前記厚み方向と直交する第1方向において前記支持絶縁層から一方側に突出する第1端部と、前記第1端部に対して前記第1方向の他方側に離れて配置される第2端部と、前記第1端部から前記第2端部に向かって前記第1方向の他方側に延びる切欠きであって、前記第1方向における一方側の端部が開放端部であり、前記第1方向における他方側の端部が閉鎖端部である切欠きを有し、前記厚み方向に見て、前記支持絶縁層の一部は、前記切欠きの前記閉鎖端部内に配置される、配線回路基板を含む。
【0008】
このような構成によれば、支持絶縁層の一部が切欠きの閉鎖端部内に配置されている。
【0009】
そのため、支持絶縁層によって、切欠きの閉鎖端部を補強できる。
【0010】
その結果、切欠きを拡げる方向の力が端子に加わったとしても、端子に亀裂が入ることを抑制できる。
【0011】
本発明[2]は、前記厚み方向において前記絶縁層に対して前記導体パターンの反対側に配置される金属支持層を、さらに有する、上記[1]の配線回路基板を含む。
【0012】
本発明[3]は、前記支持絶縁層が、前記金属支持層から露出している、上記[2]の配線回路基板を含む。
【0013】
本発明[4]は、前記厚み方向において前記支持絶縁層に対して前記端子の反対側に配置されるリブをさらに有する、上記[1]~[3]のいずれか1つの配線回路基板を含む。
【0014】
このような構成によれば、端子をリブでさらに補強でき、端子に亀裂が入ることを、より抑制できる。
【0015】
本発明[5]は、前記切欠きの前記閉鎖端部が、前記厚み方向および前記第1方向の両方と直交する第2方向に凹む凹部を有する、請求項[1]~[4]のいずれか1つの配線回路基板を含む。
【0016】
このような構成によれば、切欠きを広げる向き(第2方向)に力を受けると、凹部に応力が分散される。
【0017】
その結果、端子に亀裂が入ることを、より抑制できる。
【0018】
本発明[6]は、前記配線回路基板が、前記第1方向に間隔をあけて並ぶ複数の前記端子を有する、上記[1]~[5]のいずれか1つの配線回路基板を含む。
【0019】
本発明[7]は、複数の前記端子の全てが、前記第1方向における一方側の端部が開放端部であり、前記第1方向における他方側の端部が閉鎖端部である前記切欠きを有する、上記[6]の配線回路基板を含む。
【0020】
このような構成によれば、複数の端子のそれぞれの上ではんだが溶融して、拡がった場合に、余剰のはんだは、第1方向における一方側に向けて開放された切欠き内に入る。
【0021】
これにより、複数の端子のそれぞれにおいて、余剰のはんだを、第1方向における一方側に向けて流すことができる。
【0022】
そのため、隣接する端子上のはんだが互いに近付くことを抑制できる。
【0023】
その結果、隣接する端子同士がはんだを介して短絡してしまうことを抑制できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の配線回路基板によれば、切欠きを拡げる方向の力が端子に加わったとしても、端子に亀裂が入ることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明の配線回路基板の一実施形態としての回路付サスペンション基板の平面図である。
【
図5】
図5A~
図5Dは、
図1に示す回路付サスペンション基板の製造方法であって、
図5Aは、基材の上に感光性樹脂層を形成する工程を示し、
図5Bは、感光性樹脂層を諧調露光する工程を示し、
図5Cは、感光性樹脂層を現像して第1絶縁層と支持絶縁層とを形成する工程を示し、
図5Dは、第1絶縁層および支持絶縁層の上に導体パターンを形成する工程を示す。
【
図6】
図6A~
図6Cは、
図5Dに続いて、
図1に示す回路付サスペンション基板の製造方法であって、
図6Aは、エッチングレジストを形成する工程を示し、
図6Bは、基材をエッチングして金属支持層に開口を形成する工程を示し、
図6Cは、開口内に露出した支持絶縁層をエッチングする工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
1.回路付サスペンション基板
図1から
図4Bを参照して、配線回路基板の一例としての回路付サスペンション基板1について説明する。
【0027】
回路付サスペンション基板1は、ハード・ディスク・ドライブのヘッド・ジンバル・アセンブリを構成する一部品である。回路付サスペンション基板1は、スライダS(
図1参照)を搭載可能である。スライダSは、磁気ヘッドを備える。磁気ヘッドは、ハード・ディスクの記録面からのデータの読み取り、および、ハード・ディスクの記録面に対するデータの書き込みを実行可能である。回路付サスペンション基板1は、スライダSを支持するとともに、磁気ヘッドをハード・ディスク・ドライブの制御基板に電気的に接続する。
【0028】
図1に示すように、回路付サスペンション基板1は、搭載領域2と、配線領域3とを有する。
【0029】
搭載領域2は、スライダSを支持する領域である。搭載領域2は、回路付サスペンション基板1の一端部に位置する。搭載領域2は、スライダ搭載部2Aと、アウトリガー部2Bとを有する。
【0030】
スライダ搭載部2Aには、スライダSが搭載される。言い換えると、搭載領域2には、スライダSが搭載される。本実施形態では、スライダ搭載部2Aは、平面視略矩形状を有する。なお、スライダ搭載部2Aの形状は限定されない。
【0031】
アウトリガー部2Bは、スライダ搭載部2Aを囲むように、スライダ搭載部2Aの周りに配置されている。本実施形態では、アウトリガー部2Bは、平面視略矩形の枠形状を有する。なお、アウトリガー部2Bの形状は限定されない。スライダ搭載部2Aの一端部は、アウトリガー部2Bの内周縁と連続する。
【0032】
配線領域3は、フレキシブル・プリント回路基板と接続される。フレキシブル・プリント回路基板は、ハード・ディスク・ドライブの制御基板に電気的に接続される。配線領域3は、搭載領域2から延びる。配線領域3は、ベルト形状を有する。
【0033】
図2に示すように、回路付サスペンション基板1は、金属支持層11と、絶縁層の一例としての第1絶縁層12と、導体パターン13と、支持絶縁層14(
図3参照)と、第2絶縁層15とを備える。
【0034】
(1)金属支持層
金属支持層11は、第1絶縁層12と、導体パターン13と、第2絶縁層15とを支持する。金属支持層11の材料として、例えば、ステンレス、および、銅合金が挙げられる。金属支持層11は、配線領域3において、開口111(
図1参照)を有する。開口111は、後述する複数の端子132A,132B,132C,132Dが並ぶ方向に延びる。本実施形態では、開口111は、略矩形状である。開口111の形状は、限定されない。
【0035】
金属支持層11の厚みは、例えば、10μm以上、好ましくは、15μm以上であり、例えば、50μm以下、好ましくは、30μm以下である。
【0036】
(2)第1絶縁層
第1絶縁層12は、厚み方向において、金属支持層11の上に配置される。第1絶縁層12は、導体パターン13と金属支持層11とを絶縁する。第1絶縁層12は、樹脂からなる。樹脂として、例えば、ポリイミド、マレイミド、エポキシ樹脂、ポリベンゾオキサゾール、および、ポリエステルが挙げられる。第1絶縁層12は、配線領域3において、開口121(
図1参照)を有する。開口121は、金属支持層11の開口111と通じる。開口121は、第1絶縁層12の厚み方向に見て、金属支持層11の開口111と一致する。開口121は、後述する複数の端子132A,132B,132C,132Dが並ぶ方向に延びる。本実施形態では、開口121は、略矩形状である。開口121の形状は、限定されない。
【0037】
第1絶縁層12の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上であり、例えば、30μm以下、好ましくは、15μm以下である。
【0038】
(3)導体パターン
導体パターン13は、厚み方向において、第1絶縁層12上に配置される。導体パターン13は、厚み方向において、第1絶縁層12に対して金属支持層11の反対側に配置される。言い換えると、金属支持層11は、厚み方向において、第1絶縁層12に対して導体パターン13の反対側に配置される。導体パターン13は、金属からなる。金属として、例えば、銅、銀、金、鉄、アルミニウム、クロム、および、それらの合金が挙げられる。良好な電気特性を得る観点から、好ましくは、銅が挙げられる。
【0039】
導体パターン13の厚みは、例えば、3μm以上、好ましくは、5μm以上であり、例えば、50μm以下、好ましくは、30μm以下である。
【0040】
図1に示すように、導体パターン13は、複数の端子131A,131B,131C,131Dと、複数の端子132A,132B,132C,132Dと、複数の配線133A,133B,133C,133Dとを有する。言い換えると、回路付サスペンション基板1は、複数の端子132A,132B,132C,132Dを有する。導体パターン13の形状は、限定されない。
【0041】
(3-1)端子131A,131B,131C,131D
端子131A,131B,131C,131Dは、搭載領域2に配置される。本実施形態では、端子131A,131B,131C,131Dは、スライダ搭載部2Aに対して、配線領域3の反対側に配置される。端子131A,131B,131C,131Dは、間隔をあけて所定方向に並ぶ。スライダSが回路付サスペンション基板1に搭載された状態で、端子131A,131B,131C,131Dは、スライダSの磁気ヘッドと電気的に接続される。端子131A,131B,131C,131Dのそれぞれは、角ランド形状を有する。
【0042】
(3-2)端子132A,132B,132C,132D
端子132A,132B,132C,132Dは、配線領域3に配置される。端子132A,132B,132C,132Dは、フレキシブル・プリント回路基板と接続される。端子132A,132B,132C,132Dは、間隔をあけて所定方向に並ぶ。端子132A,132B,132C,132Dが並ぶ方向は、端子131A,131B,131C,131Dが並ぶ方向と異なっていてもよい。端子132A,132B,132C,132Dは、端子131A,131B,131C,131Dが並ぶ方向と同じ方向に並んでいてもよい。端子132A,132B,132C,132Dが並ぶ方向を第1方向と定義する。第1方向は、厚み方向と直交する。
【0043】
端子132A,132B,132C,132D同士の間隔は、例えば、10μm以上、好ましくは、30μm以上であり、例えば、500μm以下、好ましくは、300μm以下である。
【0044】
図3に示すように、厚み方向に見て、端子132Aの少なくとも一部は、開口121内に配置される。詳しくは、端子132Aは、厚み方向および第1方向と直交する第2方向に延びる。端子132Aは、角ランド形状を有する。本実施形態では、厚み方向に見て、端子132Aは、開口121を跨ぐ。第2方向における端子132Aの一端部は、第2方向における開口121の一方側の縁において、第1絶縁層12上に配置される。第2方向における端子132Aの他端部は、第2方向における開口121の他方側の縁において、第1絶縁層12上に配置される。厚み方向に見て、第2方向における端子132Aの中央部分は、開口121内に配置される。端子132Aは、第1方向において、第1端部E1と、第2端部E2とを有する。第1端部E1は、第1方向における端子132Aの一方側の端部である。第2端部E2は、第1方向における端子132Aの他方側の端部である。第2端部E2は、第1端部E1に対して第1方向の他方側に離れて配置される。
【0045】
第1方向における端子132Aの長さW1(端子132Aの幅)は、例えば、50μm以上、好ましくは、100μm以上であり、例えば、500μm以下、好ましくは、300μm以下である。
【0046】
端子132Aは、切欠き20を有する。
【0047】
切欠き20は、第2方向において、端子132Aの中央部分に配置される。厚み方向に見て、切欠き20は、開口121内に配置される。切欠き20は、第1端部E1から第2端部E2に向かって第1方向の他方側に延びる。切欠き20は、略矩形状である。切欠き20は、第1方向における一方側の端部が開放端部20Aであり、第1方向における他方側の端部が閉鎖端部20Bである。
【0048】
第2方向における開放端部20Aの長さW2(開放端部20Aの幅)は、例えば、10μm以上、好ましくは、30μm以上であり、例えば、150μm以下、好ましくは、100μm以下である。
【0049】
第1方向における開放端部20Aと閉鎖端部20Bとの距離D(切欠き20の深さ)は、例えば、25μm以上、好ましくは、50μm以上であり、例えば、250μm以下、好ましくは、150μm以下である。
【0050】
図1に示すように、端子132B,132C,132Dは、端子132Aと同じ形状を有する。つまり、端子132A,132B,132C,132Dの全ては、第1方向における一方側の端部が開放端部20Aであり、第1方向における他方側の端部が閉鎖端部20Bである切欠き20を有する。端子132B,132C,132Dについての説明は、省略される。
【0051】
(3-3)配線
図1に示すように、配線133Aは、端子131Aと端子132Aとを電気的に接続する。配線133Aの一端は、端子131Aと接続される。配線133Aの他端は、端子132Aと接続される。
【0052】
配線133Bは、端子131Bと端子132Bとを電気的に接続する。配線133Bの一端は、端子131Bと接続される。配線133Bの他端は、端子132Bと接続される。
【0053】
配線133Cは、端子131Cと端子132Cとを電気的に接続する。配線133Cの一端は、端子131Cと接続される。配線133Bの他端は、端子132Cと接続される。
【0054】
配線133Dは、端子131Dと端子132Dとを電気的に接続する。配線133Dの一端は、端子131Dと接続される。配線133Dの他端は、端子132Dと接続される。
【0055】
(4)支持絶縁層
図3に示すように、支持絶縁層14は、第1絶縁層12の開口121内に配置される。厚み方向に見て、支持絶縁層14は、金属支持層11の開口111内に配置される。そのため、支持絶縁層14は、開口111を通して、金属支持層11から露出している。
【0056】
図3および
図4Aに示すように、支持絶縁層14は、第2方向に延びる。支持絶縁層14は、ベルト形状を有する。第2方向における支持絶縁層14の一端部は、第2方向における開口121の一方側の縁において、第1絶縁層12と接続される。第2方向における支持絶縁層14の他端部は、第2方向における開口121の他方側の縁において、第1絶縁層12と接続される。支持絶縁層14は、第1絶縁層12と同じ樹脂から作られる。本実施形態では、支持絶縁層14の厚みは、第1絶縁層12の厚みよりも薄い。また、本実施形態では、厚み方向における支持絶縁層14の一方面は、厚み方向における第1絶縁層12の一方面と面一である。支持絶縁層14は、端子132Aを支持する。支持絶縁層14は、厚み方向において、端子132Aの他方側に配置される。支持絶縁層14は、端子132Aと接触する。
【0057】
図3に示すように、第1方向における支持絶縁層14の長さW3(支持絶縁層14の幅)は、端子132Aの幅W1よりも短い。そのため、端子132Aの第1端部E1は、第1方向において、支持絶縁層14から一方側に突出する。なお、端子132Aの第2端部E2は、第1方向において、支持絶縁層14から他方側に突出する。
【0058】
図3および
図4Bに示すように、厚み方向に見て、支持絶縁層14の一部は、切欠き20の閉鎖端部20B内に配置される。言い換えると、支持絶縁層14の一部は、厚み方向において、切欠き20の閉鎖端部20Bに重なる。なお、支持絶縁層14は、厚み方向において、切欠き20の開放端部20Aには重ならない。
【0059】
閉鎖端部20B内に配置された支持絶縁層14の第2方向における長さL(支持絶縁層14の突出長さ)は、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、例えば、125μm以下、好ましくは、100μm以下である。
【0060】
切欠き20の深さDに対する支持絶縁層14の突出長さLの百分率は、例えば、5%以上、好ましくは、10%以上であり、例えば、80%以下、好ましくは、50%以下である。
【0061】
(5)第2絶縁層
図2に示すように、第2絶縁層15は、配線133A,133B,133C,133Dを覆う。第2絶縁層15は、厚み方向において、第1絶縁層12の一方面上に配置される。なお、第2絶縁層15は、端子131A,131B,131C,131D,132A,132B,132C,132Dを覆わない。第2絶縁層15は、樹脂からなる。樹脂としては、例えば、ポリイミド、マレイミド、エポキシ樹脂、ポリベンゾオキサゾール、および、ポリエステルが挙げられる。
【0062】
2.回路付サスペンション基板とフレキシブル・プリント回路基板との接続
図1に示す回路付サスペンション基板1と、フレキシブル・プリント回路基板(図示せず)とを接続する場合、フレキシブル・プリント回路基板の複数の端子のそれぞれに載せられたはんだに対して、端子132A,132B,132C,132Dのそれぞれを向かい合わせて、加熱および加圧する。
【0063】
すると、はんだが溶融して、端子132A,132B,132C,132Dのそれぞれの上で拡がる。
【0064】
このとき、端子132A,132B,132C,132Dのそれぞれには、切欠き20が形成されている。
【0065】
そのため、端子132A,132B,132C,132Dのそれぞれにおいて、余剰のはんだは、切欠き20内に入る。
【0066】
これにより、余剰のはんだが、第1方向、すなわち、隣の端子に向かって流れることを抑制できる。
【0067】
その結果、隣接する端子同士がはんだを介して短絡してしまうことを抑制できる。
【0068】
3.回路付サスペンション基板の製造方法
次に、
図5Aから
図6Cを参照して、回路付サスペンション基板1の製造方法について説明する。
【0069】
回路付サスペンション基板1を製造するには、
図5Aに示すように、まず、金属製の基材Mの上に感光性樹脂の溶液(ワニス)を塗布して乾燥し、感光性樹脂層Fを形成する。
【0070】
次に、
図5Bに示すように、フォトマスクPを感光性樹脂層Fの上側に配置し、フォトマスクPを介して、感光性樹脂層Fを階調露光する。
【0071】
フォトマスクPは、遮光部分P1、全透過部分P2および半透過部分P3からなる階調パターンを備えている。遮光部分P1は、感光性樹脂層Fへの光を遮光する。全透過部分P2は、感光性樹脂層Fへの光を透過する。半透過部分P3は、感光性樹脂層Fへの光を、全透過部分P2を透過する光よりも低い強度に減衰させつつ透過する。
【0072】
次いで、感光性樹脂層Fを現像する。
【0073】
すると、感光性樹脂層Fのうち、遮光部分P1に対向した部分は、現像液によって溶解され、除去される。また、感光性樹脂層Fのうち、全透過部分P2に対向した部分は、現像液によって溶解されず、残存する。また、感光性樹脂層Fのうち、半透過部分P3に対向した部分は、現像液によって部分的に溶解され、全透過部分P2に対向した部分よりも薄い厚みで残存する。
【0074】
その後、必要に応じて、感光性樹脂層Fを加熱硬化する。
【0075】
これにより、
図5Cに示すように、基材Mの上面に、第1絶縁層12および支持絶縁層14が形成される。
【0076】
次に、
図5Dに示すように、第1絶縁層12および支持絶縁層14の上に、電解メッキにより、導体パターン13を形成する。
【0077】
その後、導体パターン13を被覆するように、第1絶縁層12の上に、感光性樹脂のワニスを塗布し、乾燥させた後、露光および現像して、加熱硬化し、上記した第2絶縁層15を形成する。
【0078】
次に、
図6Aに示すように、厚み方向における基材Mの一方面に、ドライフィルムレジストを貼り付けて、第1絶縁層12、導体パターン13、および、支持絶縁層14および第2絶縁層15の全てを覆う。このとき、ドライフィルムレジストは、端子132A,132B,132C,132Dのそれぞれの切欠き20内に入る。
【0079】
また、厚み方向における基材Mの他方面に、ドライフィルムレジストを貼り付ける。
【0080】
次に、ドライフィルムレジストを露光および現像して、厚み方向における基材Mの一方面にエッチングレジストR1を形成し、他方面にエッチングレジストR2を形成する。エッチングレジストR2は、開口R21を有する。基材Mの一部は、開口R21内に露出する。
【0081】
次に、
図6Bに示すように、開口R21内に露出した基材Mを、エッチング液でエッチングする。これにより、開口R21内に露出した基材Mが除去される。開口R21内に露出した基材Mが除去されることにより、金属支持層11に開口111が形成される。
【0082】
次に、
図6Cに示すように、金属支持層11に開口111内に露出した支持絶縁層14の一部をエッチングする。これにより、支持絶縁層14の厚み方向他方側の約半分が除去され、支持絶縁層14が上記した形状になる。
【0083】
次に、エッチングレジストR1を剥離する。このとき、切欠き20内に入っているエッチングレジストR1が剥離液で膨潤することによって、端子132A,132B,132C,132Dのそれぞれに、切欠き20(
図3参照)を第2方向に広げるように、力が加わる。
【0084】
この点、
図3に示すように、厚み方向に見て支持絶縁層14の一部が切欠き20の閉鎖端部20B内に配置されている。そのため、膨潤したエッチングレジストR1からの力によって、端子132A,132B,132C,132Dのそれぞれに亀裂が入ることを抑制できる。
【0085】
これにより、エッチングレジストR1を剥離することにより、回路付サスペンション基板1が完成する。
【0086】
4.作用効果
(1)この回路付サスペンション基板1によれば、
図3に示すように、厚み方向に見て、支持絶縁層14の一部が切欠き20の閉鎖端部20B内に配置されている。
【0087】
そのため、支持絶縁層14によって、切欠き20の閉鎖端部20Bを補強できる。
【0088】
その結果、切欠き20を拡げる方向(第2方向)の力が端子132Aに加わったとしても、端子132Aに亀裂が入ることを抑制できる。
【0089】
(2)この回路付サスペンション基板1は、
図1に示すように、第1方向に間隔をあけて並ぶ複数の端子132A,132B,132C,132Dを有する。端子132A,132B,132C,132Dの全ては、同じ形状を有する。つまり、端子132A,132B,132C,132Dのそれぞれの切欠き20は、第1方向における一方側の端部が開放端部20Aであり、第1方向における他方側の端部が閉鎖端部20Bである。
【0090】
そのため、端子132A,132B,132C,132Dのそれぞれの上ではんだが溶融して拡がった場合に、余剰のはんだは、第1方向における一方側に向けて開放された切欠き20内に入る。
【0091】
これにより、端子132A,132B,132C,132Dのそれぞれにおいて、余剰のはんだを、第1方向における一方側に向けて流すことができる。
【0092】
そのため、隣接する端子132上のはんだが互いに近付くことを抑制できる。
【0093】
その結果、隣接する端子132同士がはんだを介して短絡してしまうことを抑制できる。
【0094】
5.変形例
次に、
図7~
図9を参照して、変形例について説明する。変形例において、上記した実施形態を同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0095】
(1)切欠き20の形状は、限定されない。例えば、
図7に示すように、切欠き20は、円弧形状であってもよい。
【0096】
(2)また、
図8に示すように、切欠き20の閉鎖端部20Bは、2つの凹部30A,30Bを有してもよい。凹部30Aは、第2方向において、閉鎖端部20Bの一方側のエッジに配置される。凹部30Aは、第2方向における閉鎖端部20Bの一方側のエッジから、第2方向の一方側に凹む。凹部30Bは、第2方向において、閉鎖端部20Bの他方側のエッジに配置される。凹部30Bは、第2方向における閉鎖端部20Bの他方側のエッジから、第2方向の他方側に凹む。
【0097】
図3に示す端子132Aの場合、膨潤したエッチングレジストR2から切欠き20を第2方向に広げる向きに力を受けると、第2方向における閉鎖端部20Bの中央部分に応力が集中する。
【0098】
この点、
図8に示す変形例では、膨潤したエッチングレジストR2から切欠き20を第2方向に広げる向きに力を受けると、2つの凹部30A,30Bに応力が分散される。
【0099】
その結果、エッチングレジストR2を剥離するときに端子132Aに亀裂が入ることを、より抑制できる。
【0100】
これらの変形例でも、上記した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0101】
(3)
図9に示すように、回路付サスペンション基板1は、端子132Aを補強するリブ40をさらに備えてもよい。
【0102】
リブ40は、厚み方向において、支持絶縁層14に対して端子132Aの反対側に配置される。リブ40は、厚み方向における支持絶縁層14の他方面と接触する。リブ40は、厚み方向において、支持絶縁層14の他方面から他方側に延びる。また、リブ40は、第2方向(
図3参照)に延びる。リブ40は、金属支持層11と同じ金属から作られる。詳しくは、上記した回路付サスペンション基板1の製造において、基材Mをエッチングして金属支持層11を形成するときに、リブ40は、金属支持層11とともに形成される。
【0103】
この変形例によれば、端子132Aをリブ40でさらに補強でき、エッチングレジストR2を剥離するときに端子132Aに亀裂が入ることを、より抑制できる。
【0104】
また、この変形例でも、上記した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0105】
(4)配線回路基板は、フレキシブル・プリント回路基板であってもよい。
【実施例0106】
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
【0107】
1.回路付きサスペンション基板の製造
実施例1
図3に示す形状の端子を有する回路付サスペンション基板を、上記した製造方法で製造した。
【0108】
実施例2
図7に示す形状の端子を有する回路付サスペンション基板を、上記した製造方法で製造した。
【0109】
実施例3
図8に示す形状の端子を有する回路付サスペンション基板を、上記した製造方法で製造した。
【0110】
実施例4
図9に示す形状の端子を有する回路付サスペンション基板を、上記した製造方法で製造した。
【0111】
比較例1
図10に示すように、支持絶縁層14の一部が切欠き20の閉鎖端部20B内に配置されていない端子を有する回路付サスペンション基板を、上記した製造方法で製造した。
【0112】
比較例2
切欠き20を小さくした以外は、比較例1と同様にして、回路付サスペンション基板を製造した。
【0113】
2.端子の検査
各実施例および各比較例で得られた回路付サスペンション基板の端子を、光学顕微鏡(倍率50倍)を用いて検査した。
【0114】
各実施例で得られた回路付サスペンション基板の端子には、亀裂は発生しなかった。一方、各比較例で得られた回路付サスペンション基板の端子には、亀裂が発生した。