(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141037
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】システム、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B60L 58/40 20190101AFI20241003BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241003BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20241003BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20241003BHJP
B60L 50/75 20190101ALI20241003BHJP
B60L 58/13 20190101ALI20241003BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20241003BHJP
H01M 8/04858 20160101ALI20241003BHJP
H01M 8/04313 20160101ALI20241003BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20241003BHJP
B60K 6/32 20071001ALI20241003BHJP
B60W 10/28 20060101ALI20241003BHJP
B60W 10/26 20060101ALI20241003BHJP
B60W 20/13 20160101ALI20241003BHJP
【FI】
B60L58/40
H02J7/00 P ZHV
H02J7/00 303E
B60L15/20 J
B60L50/60
B60L50/75
B60L58/13
H01M8/00 Z
H01M8/00 A
H01M8/04858
H01M8/04313
H01M8/04 Z
B60K6/32
B60W10/28 900
B60W10/26 900
B60W20/13
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052469
(22)【出願日】2023-03-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松井 聰
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 真也
(72)【発明者】
【氏名】伊原 光祐
(72)【発明者】
【氏名】川越 敬正
【テーマコード(参考)】
3D202
5G503
5H125
5H127
【Fターム(参考)】
3D202BB21
3D202CC02
3D202CC59
3D202DD00
3D202DD01
3D202DD05
3D202DD45
5G503AA05
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA06
5H125AA01
5H125AC07
5H125AC12
5H125BC12
5H125BD02
5H125CA18
5H125EE27
5H125EE33
5H125EE42
5H125EE51
5H125EE55
5H125EE61
5H127AB04
5H127AB29
5H127AC15
5H127DB91
5H127DB99
5H127DC42
5H127DC96
5H127FF11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】車両が備える燃料電池の発電量の制御パラメータを適切に設定するシステム、制御方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】車両が備える燃料電池及びバッテリを含む電源を制御するためのシステムは、前記車両が主として高速道路を走行する車両であるか、主として一般道路を走行する車両であるか否かに基づいて前記燃料電池の発電量の制御パラメータを決定する決定部を備える。車両が備える燃料電池及びバッテリを含む電源を制御するための制御方法は、前記車両が主として高速道路を走行する車両であるか、主として一般道路を走行する車両であるか否かに基づいて前記燃料電池の発電量を決定する段階を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が備える燃料電池及びバッテリを含む電源を制御するためのシステムであって、
前記車両が主として高速道路を走行する車両であるか、主として一般道路を走行する車両であるか否かに基づいて前記燃料電池の発電量の制御パラメータを決定する決定部
を備えるシステム。
【請求項2】
前記車両の運転履歴を示す情報を取得する取得部をさらに有し、
前記決定部は、前記運転履歴に基づいて、前記車両が主として高速道路を走行する車両であるか、主として一般道路を走行する車両であるかを決定する
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記発電量の制御パラメータは、前記電源に対する出力要求から定められ、少なくとも予め定められた範囲内の前記出力要求に対して一定となる設定値を含む
請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記発電量の制御パラメータは、前記バッテリの充電率を予め定められた目標値に近づけるために前記燃料電池の発電量を前記設定値に対して補正する補正量を含む
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記決定部が、前記車両が主として高速道路を走行する車両であると判断した場合に、前記車両が主として一般道路を走行する車両であると判断した場合より、前記補正量を小さくする
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記決定部が、前記車両が主として高速道路を走行する車両であると判断した場合に、前記車両が主として一般道路を走行する車両であると判断した場合より、前記設定値を高くする
請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記決定部が、前記車両が主として高速道路を走行する車両であると判断した場合に、前記車両が主として一般道路を走行する車両であると判断した場合より、前記補正量を小さく、かつ、前記設定値を高くする
請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記決定部が、前記車両が主として一般道路を走行する車両であると判断した場合に、前記車両が主として高速道路を走行する車両であると判断した場合より、前記設定値を低くする
請求項3に記載のシステム。
【請求項9】
前記決定部が、前記車両が主として一般道路を走行する車両であると判断した場合に、前記車両が主として高速道路を走行する車両であると判断した場合より、前記補正量を大きくする
請求項4に記載のシステム。
【請求項10】
前記決定部が、前記車両が主として一般道路を走行する車両であると判断した場合に、前記車両が主として高速道路を走行する車両であると判断した場合より、前記設定値を低く、かつ、前記補正量を大きくする
請求項4に記載のシステム。
【請求項11】
前記取得部は、複数の車両の運転履歴を示す情報を取得し、
前記システムは、
前記複数の車両の運転履歴を示す情報に基づいて、前記複数の車両の走行形態に応じた複数のグループを生成するグループ化部と、
前記複数の車両の運転履歴を示す情報に基づいて、前記複数のグループのそれぞれに、それぞれのグループに属する車両のための前記制御パラメータを設定する設定部と
をさらに備え、
前記決定部は、前記車両の運転履歴に基づいて前記車両の走行形態が前記複数のグループのうちのいずれのグループに属するかを決定し、決定したグループに設定された制御パラメータを、前記車両の前記電源が含む前記燃料電池の前記制御パラメータとして決定する
請求項2に記載のシステム。
【請求項12】
前記決定部が決定した前記制御パラメータに基づいて前記燃料電池が制御されるように、前記車両が備える前記電源の制御装置をリプログラムするよう前記車両に指示する指示部
をさらに備える請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記車両は、前記複数のグループに設定された複数の前記制御パラメータを記憶し、
前記決定部が決定した前記制御パラメータに基づいて前記燃料電池を制御するよう前記車両に指示する指示部
をさらに備える請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記決定部は、前記車両の走行予定ルート及び前記車両の現在位置の少なくとも一方にさらに基づいて、前記制御パラメータを決定する
請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項15】
車両が備える燃料電池及びバッテリを含む電源を制御するための制御方法であって、
前記車両が主として高速道路を走行する車両であるか、主として一般道路を走行する車両であるか否かに基づいて前記燃料電池の発電量を決定する段階
を備える制御方法。
【請求項16】
コンピュータを請求項1又は2に記載のシステムとして機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システム、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する燃費向上に関する研究開発が行われている。下記特許文献には、車両から収集した情報を用い車両における故障や異常に関する判断を行う技術が記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
特許文献1 特開2020-119236号公報
特許文献2 特許4369825号公報
特許文献3 特許6135545号公報
特許文献4 特開2009-198393号公報
特許文献5 特開2009-294004号公報
特許文献6 国際公開第2021/111726号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、燃費向上に関する本技術においては、燃料電池の制御パラメータを適切に設定することが課題である。本願は上記課題の解決のため、燃料電池の制御パラメータを適切な設定を行うこと達成を目的としたものである。そして、延いてはエネルギーの効率化に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、システムが提供される。システムは、車両が備える燃料電池及びバッテリを含む電源を制御する。システムは、車両が主として高速道路を走行する車両であるか、主として一般道路を走行する車両であるか否かに基づいて燃料電池の発電量の制御パラメータを決定する決定部を備える。
【0005】
上記のシステムは、車両の運転履歴を示す情報を取得する取得部をさらに有してよい。決定部は、運転履歴に基づいて、車両が主として高速道路を走行する車両であるか、主として一般道路を走行する車両であるかを決定してよい。
【0006】
上記いずれかのシステムにおいて、発電量の制御パラメータは、電源に対する出力要求から定められ、少なくとも予め定められた範囲内の出力要求に対して一定となる設定値を含んでよい。
【0007】
上記いずれかのシステムにおいて、発電量の制御パラメータは、バッテリの充電率を予め定められた目標値に近づけるために燃料電池の発電量を設定値に対して補正する補正量を含んでよい。
【0008】
上記いずれかのシステムにおいて、決定部が、車両が主として高速道路を走行する車両であると判断した場合に、車両が主として一般道路を走行する車両であると判断した場合より、補正量を小さくしてよい。
【0009】
上記いずれかのシステムにおいて、決定部が、車両が主として高速道路を走行する車両であると判断した場合に、車両が主として一般道路を走行する車両であると判断した場合より、設定値を高くしてよい。
【0010】
上記いずれかのシステムにおいて、決定部が、車両が主として高速道路を走行する車両であると判断した場合に、車両が主として一般道路を走行する車両であると判断した場合より、補正量を小さく、かつ、設定値を高くしてよい。
【0011】
上記いずれかのシステムにおいて、決定部が、車両が主として一般道路を走行する車両であると判断した場合に、車両が主として高速道路を走行する車両であると判断した場合より、設定値を低くしてよい。
【0012】
上記いずれかのシステムにおいて、決定部が、車両が主として一般道路を走行する車両であると判断した場合に、車両が主として高速道路を走行する車両であると判断した場合より、補正量を大きくしてよい。
【0013】
上記いずれかのシステムにおいて、決定部が、車両が主として一般道路を走行する車両であると判断した場合に、車両が主として高速道路を走行する車両であると判断した場合より、設定値を低く、かつ、補正量を大きくしてよい。
【0014】
上記いずれかのシステムにおいて、取得部は、複数の車両の運転履歴を示す情報を取得してよい。上記いずれかのシステムは、複数の車両の運転履歴を示す情報に基づいて、複数の車両の走行形態に応じた複数のグループを生成するグループ化部を備えてよい。上記いずれかのシステムは、複数の車両の運転履歴を示す情報に基づいて、複数のグループのそれぞれに、それぞれのグループに属する車両のための制御パラメータを設定する設定部を備えてよい。決定部は、車両の運転履歴に基づいて車両の走行形態が複数のグループのうちのいずれのグループに属するかを決定し、決定したグループに設定された制御パラメータを、車両の電源が含む燃料電池の制御パラメータとして決定してよい。
【0015】
上記いずれかのシステムは、決定部が決定した制御パラメータに基づいて燃料電池が制御されるように、車両が備える電源の制御装置をリプログラムするよう車両に指示する指示部を備えてよい。
【0016】
上記いずれかのシステムにおいて、車両は、複数のグループに設定された複数の制御パラメータを記憶してよい。上記いずれかのシステムは、決定部が決定した制御パラメータに基づいて燃料電池を制御するよう車両に指示する指示部を備えてよい。
【0017】
上記いずれかのシステムにおいて、決定部は、車両の走行予定ルート及び車両の現在位置の少なくとも一方にさらに基づいて、制御パラメータを決定してよい。
【0018】
本発明の第2の態様においては、制御方法が提供される。制御方法は、車両が備える燃料電池及びバッテリを含む電源を制御する。制御方法は、車両が主として高速道路を走行する車両であるか、主として一般道路を走行する車両であるか否かに基づいて燃料電池の発電量を決定する段階を備える。
【0019】
本発明の第3の態様においては、プログラムが提供される。プログラムは、コンピュータを上記いずれかのシステムとして機能させる。
【0020】
上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】一実施形態における制御システム190の利用形態を概念的に示す。
【
図4】制御装置260が燃料電池270の発電量を算出する算出手法を示す。
【
図5】出力要求値-発電量設定値テーブル400を出力要求値の関数として表すグラフである。
【
図6】SOC-発電補正量テーブル430をSOCの関数として表すグラフを説明するための図である。
【
図7】低いベース発電量設定値を設定した場合の燃料電池の発電量の時間変化を模式的に示す。
【
図8】ベース発電量設定値を比較的に高くした場合の燃料電池270の発電量を示す。
【
図9】SOC-発電補正量テーブル430をSOCの関数として表すグラフの一例である。
【
図10】
図9に示すSOC-発電補正量テーブル430を用いた場合の燃料電池270の発電量の一例である。
【
図11】システム180の記憶部390が記憶する移動体10の運転履歴を示す情報のデータ構造を示す。
【
図12】システム180の記憶部390が記憶するグループ毎の制御パラメータ情報のデータ構造を示す。
【
図13】制御装置260をリプログラミングすることによって燃料電池270の制御パラメータを更新する場合の制御シーケンスを示す。
【
図14】制御装置260に制御パラメータを指示することによって制御装置260の制御パラメータを更新する形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0023】
図1は、一実施形態における制御システム190の利用形態を概念的に示す。制御システム190は、システム180と、移動体10a、移動体10b、及び移動体10cを含む複数の移動体とを含む。
【0024】
本実施形態において、移動体10a、移動体10b及び移動体10cは、燃料電池を備える車両である。移動体10a、移動体10b及び移動体10cは、それぞれ移動体システム100a、移動体システム100b及び移動体システム100cを備える。移動体システム100a、移動体システム100b及び移動体システム100cのそれぞれは、移動通信網を介してシステム180と通信可能である。本実施形態において、移動体10a、移動体10b及び移動体10cを含む複数の移動体を「移動体10」と総称し、移動体システム100a、移動体システム100b及び移動体システム100cを含む複数の移動体システムを「移動体システム100」と総称する場合がある。
【0025】
移動体システム100は、電源としての燃料電池及びバッテリを含む。移動体10は、燃料電池及びバッテリから供給される電力で走行する。移動体システム100は、複数の時刻における移動体10の運転情報を、定期的にシステム180に送信する。運転情報は、移動体10の位置、移動体10の速度、移動体システム100が備える燃料電池の出力電流及び充電率(SOC)、並びに、移動体10が備えるアクセルの開度を示す情報等の操作情報を含む。
【0026】
システム180は、移動体システム100から定期的に送信される運転情報を、運転履歴として蓄積する。システム180は、運転履歴に基づいて、移動体10の走行態様に応じて、移動体10を複数のグループに分ける。例えば、移動体システム100は、運転履歴に含まれる移動体10の位置の履歴及び地図情報に基づいて、主として高速道路を走行するグループと、主として一般道路を走行するグループとに移動体10をグループ分けする。システム180は、各グループに分られた移動体10の運転履歴に基づいて、各グループに適した燃料電池の制御パラメータを設定する。
【0027】
システム180は、移動体10が属するグループに設定した制御パラメータで燃料電池を制御するよう、移動体10に指示する。例えば、システム180は、主として高速道路を走行するグループに属する移動体10に、そのグループに設定した制御パラメータ用の更新プログラムを送信し、燃料電池を制御する制御装置を更新プログラムでリプログラムするよう指示する。また、システム180は、移動体10に複数のグループ用の制御パラメータを予め送信しておき、主として高速道路を走行するグループに属する移動体10には、そのグループに設定した制御パラメータに従って燃料電池の制御装置を制御するよう移動体10に指示する。これにより、移動体10の燃料電池を制御する制御装置の制御パラメータを、移動体10が属するグループに適した制御パラメータに更新することができる。これにより、移動体10の走行態様に応じた適切な制御パラメータで燃料電池を制御することができる。ひいては、燃料電池の燃費が向上し、劣化を低減させることが期待できる。
【0028】
図2は、移動体システム100の構成の一例を示す。移動体システム100は、処理システム200と、通信装置280と、ナビゲーション装置250と、制御装置260と、電源274と、モータ278と備える。制御装置260は、電源274を制御する。処理システム200及び制御装置260は、1つ以上のコンピュータによって実現されてよい。
【0029】
モータ278は、電源274から供給される電力で動作し、移動体10が備える車輪を駆動する駆動力を発生する。電源274は、燃料電池270及びバッテリ272を備える。
【0030】
制御装置260は、燃料電池270及びバッテリ272を制御する。制御装置260は、予め定められた燃料電池用の制御パラメータに従って燃料電池270を制御する。制御装置260は、予め定められたバッテリ用の制御パラメータに従ってバッテリ272を制御する。制御装置260は、1つ以上のコンピュータによって実現されてよい。制御装置260は、燃料電池270及びバッテリ272を制御するための制御プログラムには、燃料電池270の制御パラメータ及びバッテリ272制御パラメータが設定されている。これにより、制御装置260は、制御プログラムに設定されている制御パラメータに従って、燃料電池270及びバッテリ272を制御する。制御装置260は、燃料電池270を制御する1つ以上のコンピュータ及びバッテリ272を制御する1つ以上のコンピュータによって実現されてよい。
【0031】
通信装置280は、移動通信網を通じた通信を行う。通信装置280は、システム180と移動体システム100との間の通信を担う。ナビゲーション装置250は、移動体10のユーザにナビゲーション情報を提供する。ナビゲーション装置250は、移動体10の現在位置、移動体10の走行予定ルートを示す情報を処理システム200に出力する。通信装置280は、システム180から送信された制御パラメータに関する情報を受信する。制御パラメータに関する情報は、例えば、リプログラミングされる更新プログラムであってよく、予め定められた複数の制御パラメータのうちの1つの制御パラメータの識別情報であってよい。
【0032】
処理システム200は、取得部210と、決定部220と、リプログラミング部230とを備える。取得部210は、制御装置260から燃料電池270の稼働情報及びバッテリ272の稼働情報を取得する。燃料電池270の稼働情報は、燃料電池270の発電量、出力電力、出力電流、出力電圧を示す情報等を含む。バッテリ272の稼働情報は、バッテリ272のSOCを示す情報等を含む。取得部210は、移動体10の走行を操作するための操作情報を取得する。例えば、取得部210はアクセルペダルの操作情報を取得する。アクセルペダルの操作情報は、例えばアクセル開度を示す情報を含む。取得部210は、その他、ブレーキペダル等の各種の操作部材の操作情報を取得してよい。取得部210は、ナビゲーション装置250から出力された移動体10の現在位置を示す情報及び移動体10の走行予定ルートを示す情報を、通信装置280を通じてシステム180に送信する。
【0033】
リプログラミング部230は、システム180から受信した更新プログラムによって、制御装置260をリプログラムする。決定部220は、システム180から受信した制御パラメータの識別情報に基づいて、複数の制御パラメータのうちいずれの制御パラメータで燃料電池270及びバッテリ272を制御するかを決定する。制御装置260は、制御装置260が記憶している複数の制御パラメータのうち、決定部220が決定した制御パラメータに従って燃料電池270及びバッテリ272を制御する。
【0034】
図3は、システム180の構成の一例を示す。システム180は、移動体10が備える燃料電池270及びバッテリ272を含む電源274を制御するためのシステムとして機能する。
【0035】
システム180は、処理部300と、通信部380と、記憶部390とを備える。システム180は、1つ以上のコンピュータによって実現されてよい。
【0036】
通信部380は、移動体10との移動通信網を通じた通信を担う。記憶部390は、システム180の動作に必要な情報を記憶する。記憶部390は、不揮発性記憶媒体を含んで構成される。
【0037】
処理部300は、取得部310と、決定部320と、グループ化部330と、設定部340と、指示部350とを備える。決定部220は、移動体10が主として高速道路を走行する移動体10であるか、主として一般道路を走行する移動体10であるか否かに基づいて燃料電池270の発電量の制御パラメータを決定する。例えば、取得部210は、移動体10の運転履歴を示す情報を取得する。決定部220は、運転履歴に基づいて、移動体10が主として高速道路を走行する移動体10であるか、主として一般道路を走行する移動体10であるかを決定する。
【0038】
発電量の制御パラメータは、電源274に対する出力要求から定められ、少なくとも予め定められた範囲内の出力要求に対して一定となる設定値を含む。例えば、発電量の制御パラメータは、バッテリ272の充電率を予め定められた目標値に近づけるために燃料電池270の発電量を設定値に対して補正する補正量を含む。
【0039】
決定部220は、移動体10が主として高速道路を走行する移動体10であると判断した場合に、移動体10が主として一般道路を走行する移動体10であると判断した場合より、補正量を小さくしてよい。決定部220は、移動体10が主として高速道路を走行する移動体10であると判断した場合に、移動体10が主として一般道路を走行する移動体10であると判断した場合より、設定値を高くしてよい。決定部220は、移動体10が主として高速道路を走行する移動体10であると判断した場合に、移動体10が主として一般道路を走行する移動体10であると判断した場合より、補正量を小さく、かつ、設定値を高くしてよい。
【0040】
決定部220は、移動体10が主として一般道路を走行する移動体10であると判断した場合に、移動体10が主として高速道路を走行する移動体10であると判断した場合より、設定値を低くしてよい。決定部220は、移動体10が主として一般道路を走行する移動体10であると判断した場合に、移動体10が主として高速道路を走行する移動体10であると判断した場合より、補正量を大きくしてよい。決定部220は、移動体10が主として一般道路を走行する移動体10であると判断した場合に、移動体10が主として高速道路を走行する移動体10であると判断した場合より、設定値を低く、かつ、補正量を大きくしてよい。
【0041】
取得部210は、複数の移動体10の運転履歴を示す情報を取得する。グループ化部330は、複数の移動体10の運転履歴を示す情報に基づいて、複数の移動体10の走行形態に応じた複数のグループを生成する。設定部340は、複数の移動体10の運転履歴を示す情報に基づいて、複数のグループのそれぞれに、それぞれのグループに属する移動体10のための制御パラメータを設定する。決定部220は、移動体10の運転履歴に基づいて移動体10の走行形態が複数のグループのうちのいずれのグループに属するかを決定し、決定したグループに設定された制御パラメータを、移動体10の電源274が含む燃料電池270の制御パラメータとして決定する。
【0042】
指示部350は、決定部220が決定した制御パラメータに基づいて燃料電池270が制御されるように、移動体10が備える電源274の制御装置をリプログラムするよう移動体10に指示する。移動体10は、複数のグループに設定された複数の制御パラメータを記憶してよい。この場合、指示部350は、決定部220が決定した制御パラメータに基づいて燃料電池270を制御するよう移動体10に指示してよい。決定部220は、移動体10の走行予定ルート及び移動体10の現在位置の少なくとも一方にさらに基づいて、制御パラメータを決定してよい。
【0043】
図4は、制御装置260が燃料電池270の発電量を算出する算出手法を示す。制御装置260には、電源274に対する出力要求値及びバッテリ272のSOCが入力される。出力要求値は、例えばアクセル開度等の、移動体10の走行に関する操作量を考慮して決定される値であってよい。出力要求値は、移動体10の走行に関する制御量、移動体10における他の電力需要を考慮して決定される値であってよい。
【0044】
出力要求値-発電量設定値テーブル400は、電源274に対する出力要求値を燃料電池270の発電量設定値に変換するために用いられる。制御装置260は、出力要求値-発電量設定値テーブル400を用いて、入力された出力要求値を、発電量設定値に変換する。出力要求値から変換された発電量設定値は、加算器420に入力される。
【0045】
SOC-発電補正量テーブル430は、SOCを発電量設定値に対する発電補正量に変換するために用いられるテーブルである。制御装置260は、SOC-発電補正量テーブル430を用いて、バッテリ272のSOCを発電補正量に変換する。当該発電補正量は、加算器420に入力される。
【0046】
加算器420は、出力要求値から変換された発電量設定値と、SOC-発電補正量テーブル430から得られた発電補正量との加算結果を出力する。加算器420の出力は、燃料電池270の発電量の目標値として用いられる。燃料電池270の発電量の最終的な目標値は、加算器420の出力以外の情報に更に基づいて決定されてよい。
【0047】
図5は、出力要求値-発電量設定値テーブル400を出力要求値の関数として表すグラフである。横軸は出力要求値であり、縦軸は燃料電池の発電量設定値である。出力要求値が上限値以下の場合、発電量設定値は、一定の値となる。本実施形態において、この一定の値を「ベース発電量設定値」と呼ぶ。
【0048】
図6は、SOC-発電補正量テーブル430をSOCの関数として表すグラフを説明するための図である。横軸はSOCであり、縦軸は発電量設定値に対する発電補正量である。
【0049】
SOC-発電補正量テーブル430の特性は、目標SOCと、SOCに対する発電補正量のグラフの傾きによって特徴づけられる。目標SOCは、バッテリ272のSOCの目標値として機能する。バッテリ272のSOCが目標SOCと一致する場合、発電力補正量は0となる。バッテリ272のSOCが目標SOCより低い場合、発電力補正量は正となり、バッテリ272のSOCが目標SOCより高い場合、発電力補正量は負となる。したがって、SOCに対する発電補正量は、全体として負の傾きを持つグラフとなる。
【0050】
図4等に関連して説明したように、制御装置260は、出力要求値-発電量設定値テーブル400を用いて出力要求値から算出される発電量設定値と発電力補正量との加算によって、発燃料電池270の発電力の目標値を算出する。これにより、バッテリ272のSOCが目標SOCより低い場合、燃料電池270の発電量は、発電量設定値より増加する。一方、バッテリ272のSOCが目標SOCより高い場合、燃料電池270の発電量は、発電量設定値より減少する。バッテリ272のSOCを目標SOCに近づけるように制御することができる。
【0051】
SOCに対する発電補正量のグラフの傾きの絶対値は、バッテリ272のSOCを目標SOCに近づける時間応答性を表す。すなわち、SOCに対する発電補正量のグラフの傾きの絶対値が大きいほど、バッテリ272のSOCが目標SOCに到達するまでの時間が短くなる。SOCに対する発電補正量のグラフの傾きの絶対値が小さいほど、バッテリ272のSOCが目標SOCに近づくまでの時間が長くなる。
【0052】
図7は、低いベース発電量設定値を設定した場合の燃料電池の発電量の時間変化を模式的に示す。電源への出力要求値に対するベース発電量設定値の不足を補うために、バッテリの出力電力が大きくなる。これにより、バッテリのSOCが大きく減少する。その結果、バッテリのSOCを目標SOCに近づけるための発電補正量が大きくなる。結果として、燃料電池の発電量の時間変動は、出力要求値に対応するために大きく変動し得る。これにより、燃料電池の劣化が進み易くなり、燃料電池の燃費も悪化し易くなり得る。
【0053】
図8は、ベース発電量設定値を比較的に高くした場合の燃料電池270の発電量を示す。
図8に示すように、ベース発電量設定値を比較的に高くすることで、電源274への出力要求値に対してベース発電量設定値が不足しにくくなるため、電源274への出力要求値が大きい場合におけるバッテリ272の出力電力を抑制することができる。一方、電源274への出力要求値が小さい場合は、バッテリ272への充電量が大きくなるため、バッテリのSOCが増加する場合がある。この場合、バッテリのSOCを目標SOCに近づけるための発電補正量が負方向に大きくなるため、燃料電池の発電量の時間変動は、出力要求値の変動に応じてある程度変動し得る。したがって、ベース発電量設定値は、電源274に要求される出力電力の時間平均に近い値に設定することがより望ましい。
【0054】
図9は、SOC-発電補正量テーブル430をSOCの関数として表すグラフの一例である。
図9の横軸はSOCであり、縦軸は発電量設定値に対する発電補正量である。
図10は、
図9に示すSOC-発電補正量テーブル430を用いた場合の燃料電池270の発電量の一例である。
【0055】
図9における目標SOCは、
図6における目標SOCと同一である。一方、
図9におけるグラフの全体的な傾きは、
図6におけるグラフの全体的な傾きに比べて、全体として小さい。例えば、目標SOCを含む予め定められたSOC範囲内において、
図9に示すグラフの傾きの絶対値は、
図6に示すグラフの傾きの絶対値に比べて小さい。したがって、
図9に示すSOC-発電補正量テーブル430によれば、
図6に示すSOC-発電補正量テーブル430と比較して、バッテリ272のSOCを目標SOCに近づける時間応答性が低くなる。
【0056】
図10に示されるように、SOC-発電補正量テーブル430のように燃料電池270の発電補正量を小さくすることでバッテリ272のSOCを目標SOCに近づける時間応答性を比較的に低く設定すると、燃料電池270の時間変動を抑制することができる。燃料電池の発電補正量を小さくすることで、バッテリ272のSOCはある程度変動するものの、目標SOCに対するSOCの不足又は余剰を、小さな発電補正量によって時間的に少しずつ解消することができる。これにより、
図10に示されるように、燃料電池270の時間変動を抑制することができる。ひいては、燃料電池270の劣化が進み難くなる。また、燃料電池270の燃費も向上し得る。
【0057】
図10等に関連して説明したように、SOC-発電補正量テーブル430のように燃料電池の発電補正量を小さくすることで、燃料電池270の時間変動を抑制することができる。また、
図8等に関連して説明したように、電源274に要求される出力電力の時間平均に近い値にベース発電量設定値を設定することで、燃料電池270の発電量の時間変動を抑制することができる。ひいては、燃料電池270の劣化を抑制することができる。
【0058】
本実施形態において、システム180は、移動体10の走行履歴に応じてシステム180の走行形態を複数のグループに分類し、各グループに属する移動体10の運転履歴から、燃料電池270の発電補正量及び燃料電池270のベース発電量設定値を算出し、算出した発電補正量及びベース発電量設定値を、各グループの制御パラメータとして設定する。これにより、走行態様が比較的に近い比較的に移動体10の運転履歴を用いて、適切な発電補正量及びベース発電量設定値を設定することが可能になる。
【0059】
図11は、システム180の記憶部390が記憶する移動体10の運転履歴を示す情報のデータ構造を示す。運転履歴を示す情報は、車両を識別する車両ID、時刻、移動体10の位置、移動体10の車速、燃料電池270の出力電流、バッテリ272のSOC、及びアクセル開度を対応づける情報である。運転履歴を示す情報は、移動体10から送信され、通信部380によって受信され、取得部310によって取得されて、記憶部390に記憶される。
【0060】
グループ化部330は、移動体10の運転履歴を示す情報に基づいて、複数のグループを設定する。グループは、(i)高速道路を主として走行するグループ、(ii)一般道路を主として走行するグループ、(iii)登坂路を主として走行するグループ、(iv)降坂路を主として走行するグループ等である。各グループは少なくとも同一車種で構成されるとしてよい。したがって、異なる車種は異なるグループに属することになる。
【0061】
高速道路を主として走行するグループは、例えば、全走行距離に対する高速道路の走行距離の比率又は全走行時間に対する高速道路の走行時間の比率が予め定められた値より高い移動体10が属するとしてよい。同様に、一般道路を主として走行するグループには、例えば、全走行距離に対する一般道路の走行距離の比率又は全走行時間に対する一般道路の走行時間の比率が予め定められた値より高い移動体10が属するとしてよい。同様に、登坂路を主として走行するグループは、例えば、全走行距離に対する登坂路道路の走行距離の比率又は全走行時間に対する登坂路の走行時間の比率が予め定められた値より高い移動体10が属するとしてよい。同様に、降坂路を主として走行するグループには、例えば、全走行距離に対する降坂路道路の走行距離の比率又は全走行時間に対する降坂路道路の走行時間の比率が予め定められた値より高い移動体10が属するとしてよい。
【0062】
設定部340は、各グループに対応する燃料電池270の制御パラメータとして、燃料電池270の発電補正量及びベース発電量設定値をグループ毎に設定する。設定部340は、高速道路を主として走行するグループのベース発電量設定値には、一般道路を主として走行するグループのベース発電量設定値より高い値を設定する。高速道路を走行する場合、一般道路を走行する場合より車速が高く、走行抵抗が大きくなるため、電源274からの出力電力の平均値が高くなる。そこで、高速道路を主として走行するグループのベース発電量設定値に比較的に高い値を設定することで、バッテリ272から供給される電力量を抑制することができる。これにより、高速道路を走行中にバッテリ272のSOCが目標SOCを大きく下回ることがないようにすることができる。その結果、バッテリ272のSOCを目標SOCまで回復するために燃料電池270の発電量を大きく増大させる状況が生じないようにすることができる。
【0063】
設定部340は、高速道路を主として走行するグループの発電補正量には、一般道路を主として走行するグループの発電補正量より低い値を設定することが望ましい。高速道路を走行する場合、著しく大きな加速を行う必要が生じる場面は少ない。そのため、高速道路を走行する場合、バッテリ272のSOCが減少したとしても、燃料電池270の発電量を少しだけ高めて、比較的長時間をかけて少しずつSOCを目標SOCまで回復させる余地が大きい。そのため、高速道路を主として走行するグループの発電補正量には、一般道路を主として走行するグループの発電補正量より低い値を設定することで、燃料電池270の出力変動を抑制することができる。ひいては、燃料電池270の劣化を抑制することができる。
【0064】
なお、設定部340は、例えば、高速道路を主として走行するグループに対応する発電補正量及びベース発電量設定値を算出する場合、全走行距離に対する高速道路の走行距離の比率又は全走行時間に対する高速道路の走行時間の比率が予め定められた値より高い移動体10の出力電流を考慮して、ベース発電量設定値を算出してよい。設定部340は、移動体10の運転履歴を用いて、燃料電池270の時間変動が最小となる発電補正量及びベース発電量設定値を算出してもよい。
【0065】
図12は、システム180の記憶部390が記憶するグループ毎の制御パラメータ情報のデータ構造を示す。制御パラメータ情報は、グループIDと、ベース発電量設定値と、発電量補正値とを含む。グループIDはグループの識別情報である。ベース発電量設定値及び発電量補正値は、それぞれ設定部340によってグループ毎に算出された情報である。本実施形態では、目標SOCはグループによらず固定であるとしてよい。
【0066】
図13は、制御装置260をリプログラミングすることによって燃料電池270の制御パラメータを更新する場合の制御シーケンスを示す。時刻t1において、イグニッション(IG)電源がオンされると、移動体10の通信装置280はシステム180への運転情報の送信を開始する。これにより、システム180の取得部310は移動体10から送信される運転情報の継続的に収集する。
【0067】
時刻t2においてIG電源がオフされると、通信装置280は、IG電源がオフされたことをシステム180に通知する。IG電源の電源状態は、制御装置260のリプログラミングのために動作する部分を除いて、オフ状態となる。
【0068】
システム180において、決定部320は、移動体10の運転履歴から定まるグループに応じて、移動体10が備える燃料電池270の制御パラメータを決定する。制御パラメータを決定すると、時刻t3において移動体10の制御装置260のリプログラミングを開始する。具体的には、指示部350は、通信部380を通じて、制御パラメータを反映した更新プログラムを移動体10に送信するとともに、制御装置260の制御プログラムを更新プログラムで更新する旨の指示を送信する。時刻t4においてリプログラミングが完了すると、IG電源の電源状態は完全にオフ状態となる。
【0069】
時刻t5においてIG電源がオン状態になると、移動体10の通信装置280はシステム180への運転情報の送信を開始する。これにより、システム180の取得部310は移動体10から送信される運転情報の継続的に収集する。時刻t5以降、制御装置260は、前回のIG電源オフ時に決定された新たな制御パラメータに従って、燃料電池270を制御する。
【0070】
図14は、制御装置260に制御パラメータを指示することによって制御装置260の制御パラメータを更新する形態を示す。時刻t1において、IG電源がオンされると、移動体10の通信装置280はシステム180への運転情報の送信を開始する。これにより、システム180の取得部310は移動体10から送信される運転情報の継続的に収集する。
【0071】
時刻t2においてIG電源がオフされると、通信装置280は、IG電源がオフされたことをシステム180に通知する場合の制御シーケンスを示す。本制御シーケンスは、制御装置260が複数の制御パラメータを予めシステム180から受信して記憶している場合に有効な制御シーケンスである。
【0072】
システム180において、決定部320は、移動体10の運転履歴から定まるグループに応じて、移動体10が備える燃料電池270の制御パラメータを決定する。決定した制御パラメータの識別情報は、移動体10の識別情報に対応づけて記憶部390に記憶される。
【0073】
時刻t3においてIG電源がオンされると、移動体10の通信装置280はシステム180への運転情報の送信を開始する。システム180は、移動体10のIG電源がオンになったことを検知すると、指示部350は、通信部380を通じて、移動体10の識別情報に対応づけて記憶部390に記憶される制御パラメータの識別情報を移動体10に送信することにより、送信した識別情報で識別される制御パラメータで燃料電池270を制御するよう制御装置260に指示する。
【0074】
時刻t4において、決定部320は、移動体10の運転履歴から定まるグループに応じて、移動体10が備える燃料電池270の制御パラメータを新たに決定する。例えば、決定部320は、制御装置260が燃料電池270の制御に用いる制御プログラムに対応するグループとは異なるグループに属する状況である場合に、移動体10の制御パラメータを新たに決定してよい。例えば、時刻t2において移動体10が高速道路を主として走行するグループに属すると判断されていたとする。ここで、時刻t4において、決定部320は、移動体10の現在位置及び移動体10の走行予定ルートを示す情報に基づいて、移動体10が以後の予め定められた時間にわたって高速道路を通行せずに一般道路のみを通行すると判断される場合、決定部320は、移動体10の燃料電池270の制御パラメータとして、一般道路を主として走行するグループに対応づけられた制御パラメータを決定する。指示部350は、通信部380を通じて、決定部320が決定した制御パラメータの識別情報を移動体10に送信することにより、送信した識別情報で識別される制御パラメータで燃料電池270を制御するよう制御装置260に指示する。
【0075】
時刻t5において、決定部320は、移動体10の運転履歴から定まるグループに応じて、移動体10が備える燃料電池270の制御パラメータを新たに決定する。例えば、決定部320は、制御装置260が燃料電池270の制御に用いる制御プログラムに対応するグループとは異なるグループに属する状況である場合に、移動体10の制御パラメータを新たに決定してよい。例えば、時刻t4において移動体10が一般道路を主として走行するグループに属すると判断されているとする。ここで、時刻t6において、決定部320は、移動体10の走行予定ルートを示す情報に基づいて、移動体10が以後の予め定められた時間にわたって主として登坂道を通行すると判断される場合、決定部320は、移動体10の燃料電池270の制御パラメータとして、登坂路を主として走行するグループに対応づけられた制御パラメータを決定する。指示部350は、記憶部390を通じて、決定部320が決定した制御パラメータの識別情報を移動体10に送信することにより、送信した識別情報で識別される制御パラメータで燃料電池270を制御するよう制御装置260に指示する。
【0076】
このように、システム180は、制御装置260の制御パラメータを指定することで、制御プログラムを臨時に変更することができる。これにより、移動体10の走行態様が通常の運転履歴から予測される走行態様とは異なることが予測される場合、制御プログラムを臨時に変更することができる。
【0077】
本実施形態では、制御パラメータの一例としてベース発電量設定値及び発電量補正値を例示し、ベース発電量設定値及び発電量補正値をグループ毎に設定することを説明した。しかし、バッテリ272の制御パラメータの一例としての目標SOCを、グループ毎に設定する形態も採用できる。本実施形態では、燃料電池270の制御パラメータを決定する機能をシステム180が有する形態を説明したが、燃料電池270の制御パラメータを決定する機能を移動体システム100が有する形態を採用してもよい。
【0078】
以上に説明した制御システム190において、移動体10は車両であるとした。しかし、移動体10として車両以外の任意の移動体を適用し得る。
【0079】
以上に説明した制御システム190によれば、移動体10の運転履歴から推定されるグループに設定した制御パラメータで、移動体10が備える燃料電池270を制御することができる。これにより、移動体10の走行態様に応じた適切な制御パラメータで燃料電池270を制御することができる。ひいては、燃料電池270の燃費が向上し、劣化を低減させることができる。
【0080】
図15は、本発明の複数の実施形態が全体的又は部分的に具現化され得るコンピュータ2000の例を示す。コンピュータ2000にインストールされたプログラムは、コンピュータ2000を、実施形態にかかるシステム180又は移動体システム100の各部、もしくはシステム180等の装置又は当該装置の各部として機能させる、当該システム又はシステムの各部もしくは当該装置又は当該装置の各部に関連付けられるオペレーションを実行させる、及び/又は、実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2000に、本明細書に記載の処理手順及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU2012によって実行されてよい。
【0081】
本実施形態によるコンピュータ2000は、CPU2012、及びRAM2014を含み、それらはホストコントローラ2010によって相互に接続されている。コンピュータ2000はまた、ROM2026、フラッシュメモリ2024、通信インタフェース2022、及び入力/出力チップ2040を含む。ROM2026、フラッシュメモリ2024、通信インタフェース2022、及び入力/出力チップ2040は、入力/出力コントローラ2020を介してホストコントローラ2010に接続されている。
【0082】
コンピュータ2000にインストールされ、コンピュータ2000をシステム180として機能させるプログラムは、CPU2012等に働きかけて、コンピュータ2000を、システム180の各部としてそれぞれ機能させてよい。これらのプログラムに記述された情報処理は、コンピュータ2000に読込まれることにより、ソフトウエアと上述した各種のハードウエア資源とが協働した具体的手段であるシステム180の各部として機能する。そして、これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータ2000の使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有のシステム180が構築される。
【0083】
コンピュータ2000にインストールされ、コンピュータ2000を移動体システム100として機能させるプログラムは、CPU2012等に働きかけて、コンピュータ2000を、移動体システム100の各部としてそれぞれ機能させてよい。これらのプログラムに記述された情報処理は、コンピュータ2000に読込まれることにより、ソフトウエアと上述した各種のハードウエア資源とが協働した具体的手段である移動体システム100の各部として機能する。そして、これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータ2000の使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の移動体システム100が構築される。
【0084】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0085】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の序順で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0086】
10 移動体
100 移動体システム
180 システム
190 制御システム
200 処理システム
210 取得部
220 決定部
230 リプログラミング部
250 ナビゲーション装置
260 制御装置
270 燃料電池
272 バッテリ
274 電源
278 モータ
280 通信装置
300 処理部
310 取得部
320 決定部
330 グループ化部
340 設定部
350 指示部
380 通信部
390 記憶部
400 出力要求値-発電量設定値テーブル
420 加算器
430 SOC-発電補正量テーブル
2000 コンピュータ
2010 ホストコントローラ
2012 CPU
2014 RAM
2020 入力/出力コントローラ
2022 通信インタフェース
2024 フラッシュメモリ
2026 ROM
2040 入力/出力チップ