(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141044
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】画像照射装置
(51)【国際特許分類】
B60K 35/23 20240101AFI20241003BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20241003BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20241003BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20241003BHJP
G02B 27/01 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B60K35/00 A
G02F1/13 505
G02F1/13357
G02F1/133 535
G02B27/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052480
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099999
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 隆
(72)【発明者】
【氏名】澤 佳憲
【テーマコード(参考)】
2H088
2H193
2H199
2H391
3D344
【Fターム(参考)】
2H088EA13
2H088EA23
2H088HA06
2H088HA21
2H088HA25
2H088HA28
2H088MA20
2H193ZG03
2H193ZG14
2H193ZG43
2H193ZH18
2H193ZH34
2H193ZH52
2H193ZH57
2H193ZR03
2H193ZR06
2H199DA03
2H199DA12
2H199DA15
2H199DA36
2H199DA48
2H391BA01
2H391BA12
2H391BA13
2H391BA28
2H391BA29
2H391CA24
2H391CB28
2H391CB52
2H391FA07
3D344AA08
3D344AA26
3D344AA27
3D344AC25
(57)【要約】
【課題】画像生成ユニットからの出射光によって画像表示部に表示用画像を映し出すように構成された画像照射装置において、その内部空間に太陽光が入射したような場合であっても画像表示部に必要な表示用画像を映し出すことができる構成とする。
【解決手段】画像生成ユニットとして、液晶パネル22とこの液晶パネル22に光を照射する複数の発光素子24とを備えた構成とし、かつ、画像照射装置として、液晶パネル22の温度を検出する温度センサを備えた構成とする。その上で、液晶パネル22の一部領域が所定値以上の温度になったとき、複数の発光素子24のうち上記一部領域を照射する位置に配置された発光素子24を消灯させるようにする。これにより、液晶パネル22の局所的な温度上昇を効果的に抑制した上で、液晶パネル22に表示用画像PICの元となる表示用画像を適正に生成し、画像表示部102Aに必要な表示用画像PICを映し出すようにする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像生成ユニットによって生成される表示用画像を画像表示部に映し出すように構成された画像照射装置において、
上記画像生成ユニットは、液晶パネルと、上記液晶パネルに光を照射する複数の発光素子とを備えており、
上記画像照射装置は、上記液晶パネルの温度を検出する温度センサを備えており、
上記画像生成ユニットは、上記液晶パネルの温度が一部領域において所定値以上の温度になったとき、上記複数の発光素子のうち上記一部領域を照射する位置に配置された発光素子が消灯または減光するように構成されている、ことを特徴とする画像照射装置。
【請求項2】
上記一部領域の温度が上記所定値以上の温度になったとき、上記液晶パネルに生成される表示用画像を変更する画像変更制御が行われるように構成されている、ことを特徴とする請求項1記載の画像照射装置。
【請求項3】
上記画像変更制御が、上記液晶パネルにおける上記一部領域以外の領域に上記表示用画像を縮小した状態で生成することによって行われる、ことを特徴とする請求項2記載の画像照射装置。
【請求項4】
上記画像変更制御が、上記表示用画像の配置を変更することによって行われる、ことを特徴とする請求項2記載の画像照射装置。
【請求項5】
上記画像変更制御が、上記表示用画像の一部を削除することによって行われる、ことを特徴とする請求項2記載の画像照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、画像表示部に表示用画像を映し出すように構成された画像照射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車載用の画像照射装置として、車室内に配置された状態で、フロントウインドウ(すなわちウインドシールド)やその車室内側に配置された透光板等の画像表示部に表示用画像を映し出すように構成されたものが知られている。
【0003】
「特許文献1」には、このような画像照射装置において、表示用画像を生成するための画像生成ユニットの構成として、液晶パネルとこの液晶パネルに光を照射する発光素子とを備えたものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記画像生成ユニットの構成として、複数の発光素子を備えたものとすれば、液晶パネルを略均一な明るさで照射することが容易に可能となる。
【0006】
しかしながら、このような構成を採用した場合であっても、画像照射装置において、その液晶パネルまで太陽光が到達してしまうようなことがあると、液晶パネルの温度が局所的に上昇してしまい、表示用画像を適正に生成することができなくなってしまうので、画像表示部に必要な表示用画像を映し出すこともできなくなってしまう。
【0007】
このような課題は、車載用以外の画像照射装置においても同様に生じ得る課題である。
【0008】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、画像生成ユニットからの出射光によって画像表示部に表示用画像を映し出すように構成された画像照射装置において、その内部空間に太陽光が入射したような場合であっても画像表示部に必要な表示用画像を映し出すことができる画像照射装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は、画像生成ユニットの構成に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0010】
すなわち、本願発明に係る画像照射装置は、
画像生成ユニットによって生成される表示用画像を画像表示部に映し出すように構成された画像照射装置において、
上記画像生成ユニットは、液晶パネルと、上記液晶パネルに光を照射する複数の発光素子とを備えており、
上記画像照射装置は、上記液晶パネルの温度を検出する温度センサを備えており、
上記画像生成ユニットは、上記液晶パネルの温度が一部領域において所定値以上の温度になったとき、上記複数の発光素子のうち上記一部領域を照射する位置に配置された発光素子が消灯または減光するように構成されている、ことを特徴とするものである。
【0011】
上記「画像照射装置」は、画像表示部に表示用画像を映し出すように構成されたものであれば、その具体的な用途は特に限定されるものではなく、例えば車載用のヘッドアップディスプレイ等の用途が採用可能である。
【0012】
上記「画像表示部」は、表示用画像を映し出すように構成されていれば、その具体的な構成は特に限定されるものではなく、例えば車両のフロントウインドウやその車室内側に配置された透光板等が採用可能である。
【0013】
上記「複数の発光素子」の具体的な数や配置は特に限定されるものではない。
【0014】
上記「温度センサ」は、液晶パネルの温度を検出するように構成されているが、その具体的な構成は特に限定されるものではなく、例えば、液晶パネルの温度を複数箇所において直接検出するように構成されたものや、車両走行状況や天候・時刻等の情報に基づいて間接的に検出するように構成されたもの等が採用可能である。
【発明の効果】
【0015】
本願発明に係る画像照射装置は、表示用画像を生成する画像生成ユニットとして、液晶パネルとこの液晶パネルに光を照射する複数の発光素子とを備えており、かつ、画像照射装置は、液晶パネルの温度を検出する温度センサを備えており、その上で、画像生成ユニットは、液晶パネルの温度が一部領域において所定値以上の温度になったとき、複数の発光素子のうち上記一部領域を照射する位置に配置された発光素子が消灯または減光するように構成されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0016】
すなわち、画像照射装置において、その液晶パネルまで太陽光が到達してしまうようなことがあると、液晶パネルの温度が局所的に上昇してしまうが、このように温度が上昇した一部領域を照射する位置に配置された発光素子が消灯または減光することによって、液晶パネルの局所的な温度上昇を効果的に抑制することが可能となる。そしてこれにより、表示用画像を適正に生成することが可能となるので、画像表示部に必要な表示用画像を映し出すことも可能となる。
【0017】
このように本願発明によれば、画像生成ユニットからの出射光によって画像表示部に表示用画像を映し出すように構成された画像照射装置において、その内部空間に太陽光が入射したような場合であっても画像表示部に必要な表示用画像を映し出すことができる。
【0018】
なお、多くの画像照射装置は、画像生成ユニットから出射した光を凹面鏡によって画像表示部へ向けて反射させる構成となっており、このような場合には凹面鏡で反射した太陽光が集光状態で液晶パネルに到達し、これにより液晶パネルの温度が局所的に大幅に上昇してしまうので、本願発明の構成を採用することが特に効果的である。
【0019】
上記構成において、さらに、上記一部領域の温度が所定値以上の温度になったとき、液晶パネルに生成される表示用画像を変更する画像変更制御が行われる構成とすれば、液晶パネルの全領域を使用することができない状況になったような場合でも、ほとんど違和感のない状態で表示用画像を生成することが可能となる。
【0020】
その際、上記画像変更制御が、液晶パネルにおける上記一部領域以外の領域に表示用画像を縮小した状態で生成することによって行われる構成とすれば、本来映し出すべき表示用画像をそのまま画像表示部に映し出すことが可能となる。
【0021】
このようにする代わりに、上記画像変更制御が、表示用画像の配置を変更することによって行われる構成とすれば、重要度の高い表示用画像を元のサイズのまま画像表示部に映し出すことが可能となる。
【0022】
また、このようにする代わりに、上記画像変更制御が、表示用画像の一部を削除することによって行われる構成とすれば、一部の発光素子を消灯するだけの簡単な制御とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本願発明の一実施形態に係る画像照射装置を車両に搭載した状態で示す側断面図
【
図6】上記実施形態の第1変形例を示す、
図5と同様の図
【
図7】上記実施形態の第2変形例を示す、
図5と同様の図
【
図8】上記実施形態の第3変形例を示す、
図5と同様の図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0025】
図1は、本実施形態に係る画像照射装置10を車両100に搭載された状態で示す側断面図である。また、
図2は、
図1のII方向矢視図である。
【0026】
図1、2において、Xで示す方向が画像照射装置10としての「前方」(車両としても「前方」)であり、Yで示す方向が「前方」と直交する「左方向」であり、Zで示す方向が「上方向」である。
図1、2以外の図においても同様である。
【0027】
図1、2に示すように、本実施形態に係る画像照射装置10は、車載用のヘッドアップディスプレイであって、車両100の車室内に配置された状態で、フロントウインドウ102の内表面に設定された画像表示部102Aに表示用画像PICを虚像として映し出すように構成されている。
【0028】
図1に示す光路Rは、画像照射装置10によって画像表示部102Aに映し出された表示用画像PICをドライバー2が視覚的に認知する際の光路である。
【0029】
画像表示部102Aは、フロントウインドウ102の下部領域でかつステアリングホイール104の前方領域に位置設定されており、横長矩形状の領域として設定されている。そしてこれにより、画像表示部102Aに映し出された表示用画像PICを車両100のドライバー2が視覚的に容易に認知し得るようになっている。
【0030】
図2においては、表示用画像PICの具体例として6つの表示用画像が表示された状態を示している。
【0031】
すなわち、画像表示部102Aにおける左右方向の中央領域102A-Cには、左方向に折れ曲がった矢印の画像P1とその左折地点までの前方距離(70m)を示す画像P2とが上下2段で表示されており、左側領域102A-Lには、実際の車両速度(50Km/h)を示す画像P3と制限速度(60が円環に囲まれたマーク)を示す画像P4とが上下2段で表示されており、右側領域102A-Rには、ギヤのシフト位置(D)を示す画像P5と現在時刻(12:48)を示す画像P6とが上下2段で表示されている。
【0032】
画像照射装置10は、ステアリングホイール104の前方でかつフロントウインドウ102の下方近傍に位置するように配置されている。
【0033】
図1に示すように、画像照射装置10は、表示用画像PICの元となる表示用画像を生成する画像生成ユニット20と、この画像生成ユニット20からの出射光をフロントウインドウ102の画像表示部102Aへ向けて反射させる反射鏡40と、これら画像生成ユニット20および反射鏡40を収容するハウジング50と、このハウジング50に装着された透光カバー60と、画像生成ユニット20を制御するコントロールユニット70とを備えた構成となっている。
【0034】
図3は、
図1のIII 部詳細図である。また、
図4は、画像照射装置10の要部を示す平断面図である。
【0035】
図3に示すように、ハウジング50は、上方へ向けて開口するように形成された第1ハウジング52に対して第2ハウジング54が組み付けられた構成となっている。具体的には、第2ハウジング54は、外周フランジ部54bを有しており、この外周フランジ部54bを第1ハウジング52の周壁部52aの上端面に当接させた状態で第1ハウジング52に組み付けられている。
【0036】
第1および第2ハウジング52、54は、いずれも不透明の樹脂成形品で構成されている。第2ハウジング54には、反射鏡40からの反射光を画像表示部102Aへ向けて透過させるための上部開口部54aが形成されている。
【0037】
透光カバー60は、無色透明の樹脂製パネルで構成されている。この透光カバー60は、下方側に湾曲した状態でかつ装置後方へ向けてやや上方側に傾斜した状態で、第2ハウジング54の上部開口部54aを覆うように配置されている。そして、この透光カバー60は、反射鏡40で反射した画像生成ユニット20からの出射光が画像表示部102Aに入射するのを許容した上で、ハウジング50の内部空間12の防塵性を確保するようになっている。
【0038】
第2ハウジング54には、上部開口部54aの後端縁から内部空間12に向けて斜め下前方に延びる遮光片部54cが形成されている。そして、この遮光片部54cによって、フロントウインドウ102および透光カバー60を介して内部空間12に入射した太陽光S1が直射光として画像生成ユニット20に到達してしまうのを未然に防止するようになっている。
【0039】
画像生成ユニット20は、内部空間12の後部領域に配置されており、反射鏡40は、内部空間12の前部領域に配置されている。
【0040】
図3、4に示すように、反射鏡40は凹面鏡として構成されており、その反射面40aは装置正面視において横長矩形状の外形形状を有している。そして、画像生成ユニット20は、この反射鏡40に対してその左右方向の中心に位置するように配置されている。
【0041】
画像生成ユニット20は、液晶パネル22と、この液晶パネル22に対してその背面側(すなわち装置後方側)からバックライト照射を行う複数の発光素子24と、これら複数の発光素子24を搭載する基板26と、複数の発光素子24からの出射光を偏向制御するレンズ部材28と、このレンズ部材28を支持するレンズホルダ30と、このレンズホルダ30を支持するヒートシンク32とを備えている。
【0042】
液晶パネル22は、横長矩形状の外形形状を有しており、装置前後方向と直交する鉛直面に沿って配置された状態で、その外周縁部においてレンズホルダ30に支持されている。
【0043】
複数の発光素子24は、いずれも白色発光ダイオードであって、縦横格子状に配置されている。具体的には、これら複数の発光素子24は、上下方向に等間隔をおいて3箇所に配置されており、また、左右方向に等間隔をおいて6箇所に配置されており、これにより計18箇所に配置されている。
【0044】
基板26は、複数の発光素子24の発光面が装置正面方向を向くように装置前後方向と直交する鉛直面に沿って配置された状態で、その後面においてヒートシンク32に支持されている。
【0045】
レンズ部材28は、装置前後方向と直交する鉛直面に沿って配置された横長矩形状の板状部28Aと、この板状部28Aの前面に形成された複数の凸レンズ部28Bとで構成されている。複数の凸レンズ部28Bは、複数の発光素子24の前方近傍に位置するようにして18箇所に形成されており、これにより複数の発光素子24の各々からの出射光を装置正面寄りの方向へ偏向させるように構成されている。このレンズ部材28は、その板状部28Aの外周縁部においてレンズホルダ30に支持されている。
【0046】
レンズホルダ30は、その後端面においてヒートシンク32に支持されている。と、
ヒートシンク32は、アルミニウム等の金属製部材で構成されており、装置前後方向と直交する鉛直面に沿って平板状に延びる本体部32Aと、この本体部32Aから左右方向に間隔をおいて装置後方へ向けて延びる複数の放熱フィン32Bとを備えている。
【0047】
そして、画像生成ユニット20は、複数の発光素子24からの出射光をレンズ部材28によって偏向制御した上で液晶パネル22に入射させることによって、液晶パネル22に表示用画像(すなわち表示用画像PICの元となる画像)を生成するように構成されている。
【0048】
コントロールユニット70は、車両走行状況等に応じて画像生成ユニット20を制御するように構成されている。
【0049】
すなわち、コントロールユニット70は、車速、ギヤ位置、車載カメラの映像、自車位置等の車両走行に関する情報や地図データ、天候、時刻等の外部情報に基づいて、画像生成ユニット20における液晶パネル22の表示内容や複数の発光素子24に対する点消灯の制御を行うように構成されている。
【0050】
その際、コントロールユニット70は、上記車両走行状況や天候・時刻等の情報に基づいて、液晶パネル22の温度をその各部位ごとに検出する温度センサとしても機能するようになっている。
【0051】
そして、コントロールユニット70によって行われる制御の1つとして、液晶パネル22の温度がその一部領域において所定値以上の温度になったとき、複数の発光素子24のうち液晶パネル22の上記一部領域を照射する位置に配置された発光素子24を消灯させる制御が行われるようになっている。
【0052】
さらに本実施形態においては、コントロールユニット70によって、液晶パネル22に生成される表示用画像を変更する画像変更制御が行われるようになっている。
【0053】
図5は、コントロールユニット70による発光素子24の点消灯制御および表示用画像の画像変更制御の具体例を示す図である。
【0054】
図5(a1)~(a3)は、通常状態(すなわち液晶パネル22の温度がその全領域において所定値未満の温度に維持されている状態)を装置後方側からの視点で示しており、
図5(b1)~(b3)は、昇温状態(すなわち液晶パネル22の温度がその一部領域において所定値以上の温度になったときの状態)を装置後方側からの視点で示している。
【0055】
具体的には、上記昇温状態として、液晶パネル22の温度が、その右側領域22A-Rにおいて所定値以上(例えば50℃以上)の温度になったときの状態を示している。なお、このような昇温状態は、例えば、
図3、4において実線で示すように、内部空間12に入射した太陽光S2が、反射鏡40の反射面40aの右側領域で反射して液晶パネル22の右側領域22A-Rに到達することによって発生する。そして、このような昇温状態が発生していることについては、コントロールユニット70において上記車両走行状況や天候・時刻等の情報に基づいて検出される。
【0056】
通常状態においては、
図5(a1)に示すように、18個の発光素子24が全て点灯し、その出射光がレンズ部材28に形成された18個の凸レンズ部28Bを介して装置前方へ向けて照射される。
【0057】
これにより、
図5(a2)に示すように、液晶パネル22の有効領域(すなわち外周縁部を除く横長矩形状領域)22Aの全領域に対して18個の発光素子24からの出射光が入射し、その有効領域22A全体にわたって表示用画像が生成される。
【0058】
そして、この表示用画像が反射鏡40(
図3、4参照)で反射することにより、
図5(a3)に示すように画像表示部102Aに表示用画像PICが形成される。その際、この表示用画像PICは、画像表示部102Aの全領域にわたって形成される。
【0059】
すなわち、画像表示部102Aには、中央領域102A-Cに画像P1、P2が表示され、左側領域102A-LにP3、P4が表示され、右側領域102A-Rに画像P5、P6が表示される。
【0060】
一方、昇温状態においては、
図5(b1)に示すように、18個の発光素子24のうち右寄りに位置する6個の発光素子24は消灯し、中央および左寄りに位置する12個の発光素子24は点灯状態を維持する。そして、これら12個の発光素子24からの出射光がレンズ部材28に形成された12個の凸レンズ部28Bを介して装置前方へ向けて照射される。
【0061】
これにより、
図5(b2)に示すように、液晶パネル22の有効領域22Aにおける中央領域22A-Cおよび左側領域22A-Lに対して12個の発光素子24からの出射光が入射し、これら中央領域22A-Cおよび左側領域22A-Lに表示用画像が生成される。一方、液晶パネル22の有効領域22Aにおける右側領域22A-Rには表示用画像が生成されない。
【0062】
そして、この表示用画像が反射鏡40(
図3、4参照)で反射することにより、
図5(b3)に示すように画像表示部102Aに表示用画像PICが形成される。この表示用画像PICは、画像表示部102Aにおける中央領域102A-Cおよび左側領域102A-Lに形成される。
【0063】
すなわち、画像表示部102Aには、中央領域102A-Cに画像P1、P2が表示され、左側領域102A-LにP3、P4が表示され、右側領域102A-Rには何も表示されない。
【0064】
次に本実施形態の作用について説明する。
【0065】
本実施形態に係る画像照射装置10は、表示用画像PICの元となる表示用画像を生成する画像生成ユニット20として、液晶パネル22とこの液晶パネル22に光を照射する複数の発光素子24とを備えており、かつ、画像照射装置10は、液晶パネル22の温度を検出する温度センサとしての機能を果たすコントロールユニット70を備えており、その上で、画像生成ユニット20は、液晶パネル22の温度が一部領域において所定値以上の温度になったとき、複数の発光素子24のうち上記一部領域を照射する位置に配置された発光素子24が消灯するように構成されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0066】
すなわち、画像照射装置10において、その液晶パネル22まで太陽光S2が到達してしまうようなことがあると、液晶パネル22の温度が局所的に上昇してしまうが、このように温度が上昇した一部領域を照射する位置に配置された発光素子24が消灯することによって、液晶パネル22の局所的な温度上昇を効果的に抑制することが可能となる。そしてこれにより、液晶パネル22に表示用画像を適正に生成することが可能となるので、フロントウインドウ102の画像表示部102Aに必要な表示用画像PICを映し出すことも可能となる。
【0067】
このように本実施形態によれば、画像生成ユニット20からの出射光によって画像表示部102Aに表示用画像PICを映し出すように構成された画像照射装置10において、その内部空間12に太陽光が入射したような場合であっても画像表示部102Aに必要な表示用画像PICを映し出すことができる。
【0068】
特に、本実施形態に係る画像照射装置10は、画像生成ユニット20から出射した光を凹面鏡として構成された反射鏡40によって画像表示部102Aへ向けて反射させる構成となっており、このため反射鏡40で反射した太陽光が集光状態で液晶パネル22に到達し、これにより液晶パネル22の温度が局所的に大幅に上昇してしまうので、本実施形態の構成を採用することが特に効果的である。
【0069】
そして本実施形態においては、液晶パネル22の一部領域の温度が所定値以上の温度になったとき、液晶パネル22に生成される表示用画像を変更する画像変更制御(具体的には表示用画像の一部を削除する制御)が行われるので、液晶パネル22の全領域を使用することができない状況になったような場合でも、ほとんど違和感のない状態で表示用画像を生成することが可能となる。
【0070】
具体的には、本実施形態においては、液晶パネル22の温度がその右側領域22A-Rにおいて所定値以上の温度になったとき、
図5(b1)に示すように、18個の発光素子24のうち右寄りに位置する6個の発光素子24は消灯するので、これにより右側領域22A-Rの過度な温度上昇が未然に防止される。
【0071】
なお、このような昇温状態においては、
図5(b3)に示すように、画像表示部102Aの右側領域102A-Rには表示用画像PICとして何も表示されなくなるが、これによって車両走行に大きな支障が生じてしまうことはない。その理由は以下のとおりである。
【0072】
すなわち、
図5(a3)に示すように、通常状態において、表示用画像PICを構成する6つの表示用画像P1~P6のうち、画像表示部102Aの中央領域102A-Cに表示される左折矢印の画像P1およびその左折地点までの前方距離を示す画像P2や、左側領域102A-Lに表示される実際の車両速度を示す画像P3および制限速度を示す画像P4に比して、右側領域102A-Rに表示されるギヤのシフト位置を示す画像P5および現在時刻を示す画像P6は、車両走行に必要な情報としては重要度が低い。
【0073】
したがって、昇温状態において、画像表示部102Aの右側領域102A-Rに画像P5、P6が表示用画像PICとして表示されなくなっても、車両走行に大きな支障が生じてしまうことはない。
【0074】
また、このように画像変更制御が表示用画像PICの一部を削除することによって行われる構成とすることにより、これを一部の発光素子24を消灯するだけの簡単な制御とすることが可能となる。
【0075】
上記実施形態においては、コントロールユニット70が液晶パネル22の温度を検出するための温度センサとしても機能する構成となっているものとして説明したが、このような間接的な温度検出を行う構成とする代わりに、液晶パネル22の複数箇所においてその表面温度を直接検出する構成とすることも可能である。
【0076】
上記実施形態においては、画像生成ユニット20が18個の発光素子24を備えているものとして説明したが、これ以外の個数の発光素子24を備えた構成とすることも可能である。
【0077】
上記実施形態においては、画像照射装置10が単一の反射鏡40を備えているものとして説明したが、画像生成ユニット20からの出射光を画像表示部102Aへ向けて順次反射させる複数の反射鏡を備えた構成とすることも可能であり、このような構成を採用した場合においても上記実施形態の場合と同様の作用効果を得ることが可能である。
【0078】
上記実施形態においては、画像表示部102Aがフロントウインドウ102の内表面に設定されているものとして説明したが、フロントウインドウ102の車室内側に配置された透光板等によって画像表示部を構成することも可能である。
【0079】
上記実施形態においては、画像照射装置10が車載用のヘッドアップディスプレイであるものとして説明したが、これ以外の用途で用いられるものとすることも可能である。
【0080】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0081】
まず、上記実施形態の第1変形例について説明する。
【0082】
図6は、本変形例に係る画像照射装置において行われる画像変更制御の内容を示す、
図5と同様の図である。
【0083】
本変形例においても、液晶パネル22の温度がその全領域において所定値未満の温度に維持されている通常状態では、画像表示部102Aには表示用画像PICとして6つの画像P1~P6が上記実施形態の場合と同様の配置で表示される。
【0084】
また本変形例においても、液晶パネル22の一部領域が所定値以上の温度になった昇温状態では、液晶パネル22に生成される表示用画像を変更する画像変更制御が行われるが、本変形例においては、この画像変更制御が、
図6(b1)に示すように、18個の発光素子24のうち右寄りに位置する6個の発光素子24を減光させることによって行われるようになっている。
【0085】
これにより、
図6(b2)に示すように、液晶パネル22の右側領域22A-Rにも表示用画像が生成されるが、通常状態にある
図6(a2)の場合よりも明るさが低下したものとなる。
【0086】
その結果、
図6(b3)に示すように、画像表示部102Aには表示用画像PICとして6つの画像P1~P6が表示されるが、右側領域102A-Rに表示される画像P5、P6は、中央領域102A-Cに表示される画像P1、P2および左側領域102A-Lに表示される画像P3、P4よりも明るさが低下したものとなり、また、通常状態にある
図6(a3)の画像P5、P6よりも明るさが低下したものとなる。
【0087】
本変形例の構成を採用した場合においても、上記実施形態の場合と略同様の作用効果を得ることができる。
【0088】
すなわち本変形例においては、液晶パネル22の温度が一部領域において所定値以上の温度になったとき、複数の発光素子24のうち上記一部領域を照射する位置に配置された発光素子24が減光するように構成されているので、局所的な温度上昇を効果的に抑制することが可能となる。そしてこれにより、液晶パネル22に表示用画像を適正に生成することが可能となるので、画像表示部102Aに必要な表示用画像PICを映し出すことも可能となる。
【0089】
その際、本変形例においては、液晶パネル22の一部領域が所定値以上の温度になったとき、その照射位置に配置された発光素子24が消灯ではなく減光する構成となっているので、画像表示部102Aに映し出される表示用画像PICの情報量を維持した上で、液晶パネル22の局所的な温度上昇を効果的に抑制することが可能となる。
【0090】
次に、上記実施形態の第2変形例について説明する。
【0091】
図7は、本変形例に係る画像照射装置において行われる画像変更制御の内容を示す、
図5と同様の図である。
【0092】
本変形例においても、液晶パネル22の温度がその全領域において所定値未満の温度に維持されている通常状態では、画像表示部102Aには表示用画像PICとして6つの画像P1~P6が上記実施形態の場合と同様の配置で表示される。
【0093】
また本変形例においても、液晶パネル22の一部領域が所定値以上の温度になった昇温状態では、液晶パネル22に生成される表示用画像を変更する画像変更制御が行われるが、本変形例においては、この画像変更制御が、液晶パネル22の一部領域が所定値以上の温度になったとき、その照射位置に配置された発光素子24を消灯させた上で、液晶パネル22における上記一部領域以外の領域に表示用画像を縮小した状態で生成することによって行われるようになっている。
【0094】
具体的には、液晶パネル22の右側領域22A-Rが所定値以上の温度になったとき、
図7(b1)に示すように、18個の発光素子24のうち右寄りに位置する6個の発光素子24が消灯する。これにより、
図7(b2)に示すように、液晶パネル22の右側領域22A-Rには表示用画像が生成されなくなるが、その際、中央領域22A-Cおよび左側領域22A-Lに表示用画像が縮小した状態で生成される。
【0095】
その結果、
図7(b3)に示すように、画像表示部102Aの右側領域102A-Rには表示用画像PICとして何も表示されないが、中央領域102A-Cおよび左側領域102A-Lには表示用画像PICとして6つの画像P1~P6が縮小した状態で表示される。
【0096】
本変形例の構成を採用した場合においても、上記実施形態の場合と略同様の作用効果を得ることができる。
【0097】
すなわち本変形例においても、液晶パネル22の一部領域が所定値以上の温度になったとき、複数の発光素子24のうち上記一部領域を照射する位置に配置された発光素子24が消灯するように構成されているので、局所的な温度上昇を効果的に抑制することが可能となる。そしてこれにより、液晶パネル22に表示用画像を適正に生成することが可能となるので、画像表示部102Aに必要な表示用画像PICを映し出すことも可能となる。
【0098】
その際、本変形例においては、液晶パネル22の一部領域が所定値以上の温度になったとき、その照射位置に配置された発光素子24を消灯させた上で、液晶パネル22における上記一部領域以外の領域に表示用画像を縮小した状態で生成するようになっているので、本来映し出すべき表示用画像PICをそのまま画像表示部102Aに映し出すことが可能となる。
【0099】
次に、上記実施形態の第3変形例について説明する。
【0100】
図8は、本変形例に係る画像照射装置において行われる画像変更制御の内容を示す、
図5と同様の図である。
【0101】
本変形例においても、液晶パネル22の温度がその全領域において所定値未満の温度に維持されている通常状態では、画像表示部102Aには表示用画像PICとして6つの画像P1~P6が上記実施形態の場合と同様の配置で表示される。
【0102】
また本変形例においても、液晶パネル22の一部領域が所定値以上の温度になった昇温状態では、液晶パネル22に生成される表示用画像を変更する画像変更制御が行われるが、本変形例においては、この画像変更制御が、液晶パネル22の一部領域が所定値以上の温度になったとき、その照射位置に配置された発光素子24を消灯させた上で、表示用画像の配置を変更することによって行われるようになっている。
【0103】
具体的には、液晶パネル22の左側領域22A-Lが所定値以上の温度になったとき、
図8(b1)に示すように、18個の発光素子24のうち左寄りに位置する6個の発光素子24が消灯する。なお、このような昇温状態は、例えば、
図4において2点鎖線で示すように、内部空間12に入射した太陽光S3が、反射鏡40の反射面40aの左側領域で反射して液晶パネル22の左側領域22A-Lに到達することによって発生する。
【0104】
このように左寄りに位置する6個の発光素子24が消灯することにより、
図8(b2)に示すように、液晶パネル22の左側領域22A-Lには表示用画像が生成されなくなる。そして、このとき、液晶パネル22の左側領域22A-Lに生成される画像と右側領域22A-Rに生成される画像との入れ替えが行われる。
【0105】
その結果、
図8(b3)に示すように、画像表示部102Aの左側領域102A-Lには何も表示されなくなるが、中央領域102A-Cおよび右側領域102A-Rには表示用画像PICとして4つの画像P1~P4が表示される。
【0106】
すなわち、
図8(a3)に示すように、通常状態では画像表示部102Aの左側領域102A-Lに表示されていた2つの画像P3、P4が、
図8(b3)に示すように、昇温状態では画像表示部102Aの右側領域102A-Rに表示される。
【0107】
本変形例の構成を採用した場合においても、上記実施形態の場合と略同様の作用効果を得ることができる。
【0108】
すなわち本変形例においても、液晶パネル22の一部領域が所定値以上の温度になったとき、複数の発光素子24のうち上記一部領域を照射する位置に配置された発光素子24が消灯するように構成されているので、局所的な温度上昇を効果的に抑制することが可能となる。そしてこれにより、液晶パネル22に表示用画像を適正に生成することが可能となるので、画像表示部102Aに必要な表示用画像PICを映し出すことも可能となる。
【0109】
その際、本変形例においては、液晶パネル22の一部領域が所定値以上の温度になったとき、その照射位置に配置された発光素子24を消灯させた上で、表示用画像の配置を変更するようになっているので、重要度の高い表示用画像PICを元のサイズのまま画像表示部102Aに映し出すことが可能となる。
【0110】
なお上述したとおり、
図8(a3)に示すように、通常状態において、左側領域102A-Lに表示される実際の車両速度を示す画像P3および制限速度を示す画像P4に比して、右側領域102A-Rに表示されるギヤのシフト位置を示す画像P5および現在時刻を示す画像P6は、車両走行に必要な情報としては重要度が低い。したがって、
図8(b2)に示すように、液晶パネル22の左側領域22A-Lが所定値以上の温度になったときには、
図8(b3)に示すように、画像P5、P6を削除した上で、画像P3、4を左側領域102A-Lから右側領域102A-Rに移動させることにより、車両走行に必要な情報として重要度が高い画像P1~P4が表示されるようにすることができる。
【0111】
なお、上記実施形態およびその変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
【0112】
また本願発明は、上記実施形態およびその変形例に記載された構成に限定されるものではなく、これ以外の種々の変更を加えた構成が採用可能である。
【符号の説明】
【0113】
2 ドライバー
10 画像照射装置
12 内部空間
20 画像生成ユニット
22 液晶パネル
22A-C 中央領域
22A-L 左側領域
22A-R 右側領域
24 発光素子
26 基板
28 レンズ部材
28A 板状部
28B 凸レンズ部
30 レンズホルダ
32 ヒートシンク
32A 本体部
32B 放熱フィン
40 反射鏡
40a 反射面
50 ハウジング
52 第1ハウジング
52a 周壁部
54 第2ハウジング
54a 上部開口部
54b 外周フランジ部
54c 遮光片部
60 透光カバー
70 コントロールユニット(温度センサ)
100 車両
102 フロントウインドウ
102A 画像表示部
102A-C 中央領域
102A-L 左側領域
102A-R 右側領域
104 ステアリングホイール
PIC 表示用画像
P1、P2、P3、P4、P5、P6 画像
R 光路
S1、S2、S3 太陽光