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特開2024-141051フラックス転写装置およびこれを備えた実装装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141051
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】フラックス転写装置およびこれを備えた実装装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20241003BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H05K3/34 503B
H01L21/60 311S
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052489
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】北村 賢
(72)【発明者】
【氏名】千田 雅史
【テーマコード(参考)】
5E319
5F044
【Fターム(参考)】
5E319AB05
5E319BB02
5E319CC22
5E319CD22
5E319GG15
5F044LL01
5F044LL04
5F044PP15
(57)【要約】
【課題】 実装ヘッドに保持されたチップ部品のバンプ電極にフラックスを転写する転写過程がタクトタイムに及ぼす影響を極力小さくするフラックス転写装置およびこれを備えた実装装置を提供すること。
【解決手段】 フラックスを溜めるキャビティを有するフラックス転写部と、前記フラックス転写部を水平方向に移動させることができる転写部スライド手段を備え、前記バンプ電極にフラックスを転写するときは、前記キャビティを前記チップ部品の直下に配置するよう、前記フラックス転写部を前記実装ヘッドに接近させ、前記実装ヘッドが前記チップ部品を実装するときは、前記フラックス転写部を前記実装ヘッド下から退避させるフラックス転写装置およびこれを備えた実装装置を提供する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装ヘッドに保持されたチップ部品のバンプ電極にフラックスを転写するフラックス転写装置であって、
フラックスを溜めるキャビティを有するフラックス転写部と、
前記フラックス転写部を水平方向に移動させることができる転写部スライド手段を備え、
前記バンプ電極にフラックスを転写するときは、前記キャビティを前記チップ部品の直下に配置するよう、前記フラックス転写部を前記実装ヘッドに接近させ、
前記実装ヘッドが前記チップ部品を実装するときは、前記フラックス転写部を前記実装ヘッド下から退避させるフラックス転写装置。
【請求項2】
請求項1に記載のフラックス転写装置であって、
前記キャビティにフラックスを充填する塗布ヘッドを備えたフラックス転写装置。
【請求項3】
請求項2に記載のフラックス転写装置であって、
前記フラックス転写部に対して前記塗布ヘッドを水平方向に移動させることができるヘッドスライド手段を備えたフラックス転写装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れかに記載のフラックス転写装置であって、
前記実装ヘッドの近傍に配置されるフラックス転写装置。
【請求項5】
チップ部品を基板に実装する実装装置であって、
前記基板を保持する基板ステージと、
前記チップ部品を保持する実装ヘッドと、
前記実装ヘッドを上下移動させる昇降手段と、
請求項1から請求項4の何れかに記載のフラックス転写装置を備えた実装装置。
【請求項6】
請求項5に記載の実装装置であって、
前記実装ヘッドを複数備え、
前記実装ヘッド毎に前記フラックス転写装置を配した実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラックス転写装置およびこれを用いた実装装置に関する。特に、フェイスダウン実装において、実装ヘッドに保持されたチップ部品のバンプ電極にフラックスを転写する際に用いるフラックス転写装置およびこれを備えた実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップ等のチップ部品を回路基板等の基板に実装する方式として、チップ部品の電極と基板の電極を直接接合するフェイスダウン実装がある。フェイスダウン実装において、チップ部品の電極は突起形状を有する所謂バンプ電極が用いられ、バンプ電極の少なくとも先端部(基板の電極と接合する部分)にハンダがよく用いられる。
【0003】
ハンダは比較的低い温度で溶融するという利点がある反面、表面酸化を生じやすく、酸化膜により溶融温度が上昇するとともに、電気伝導性にも悪影響を及ぼす。
【0004】
このため、ハンダの酸化膜を除去するため(ハンダを用いる)バンプ電極の表面にフラックス(酸化膜除去剤や表面活性剤)を転写してからチップ部品を基板に実装する方法が用いられている。
通常、バンプ電極へのフラックス転写はチップ部品を基板に実装する直前に行うのが好ましいため、チップ部品が実装ヘッドに保持された状態で行われる。また、バンプ電極の表面にフラックスを転写するのに際して、過不足なく適量をバンプ表面に付着させる必要がある。
【0005】
このため、図6(a)に示すような浅い凹部であり深さが一定のキャビティ8Pにフラックスが充填されているところに、図6(b)のように実装ヘッド4を降下させて、チップ部品Cのバンプ電極Cに一定量のフラックスを転写する。
【0006】
図7は、従来の実装装置101において、キャビティ8Pを有するフラックス転写部8の配置を示すものである。図7において、チップ部品は実装ヘッドのアタッチメントツール42に保持され、基板を保持する吸着テーブル23の外周部に設けられたフラックス転写部8が吸着テーブル23とともに移動し、フラックス転写の際はアタッチメントツール42の直下に配置される。
【0007】
ところで、図7ではフラックス転写部8のみ記載しているが、実際にはキャビティ8Pの深さ分だけフラックス膜を充填する塗布手段が必要であり、その例を図8に示す。図8の例は、スキージ81を用いてフラックスFLをキャビティ8Pに、キャビティ8Pの深さ分だけ充填するものであり、図8(a)は箱形状のスキージ81の枠内にフラックスFLを供給して塗布を開始する状態で、図8(b)は往路塗布をしている状態であり、図8(c)は往路塗布が終了した状態を示す。図8(c)において、キャビティ8Pの深さ分だけフラックス膜を充填されるなら塗布は終了するが、実際はスジ残り等による厚みムラが生じているため、図8(c)から図8(d)に至るような復路塗布を行う。更には、何回か塗布を往復させてキャビティ8Pの深さ分だけフラックス膜を充填させる場合もある。ここで、スキージ81の下辺をフラックス塗布部8の上面に接触させながら塗布を行っているため、キャビティ8P内のフラックスFLの上面がフラックス塗布部8の上面より盛り上がることはない。
【0008】
このように、図7には示していないが、キャビティ8PにフラックスFLを充填するための塗布手段がフラックス転写部8に付随して設けられている。
【0009】
図7に示したような実装装置101において、実装ヘッド4が保持するチップ部品Cにフラックスを転写してから基板Sに実装する過程を示したのが図9である。ここで、図9(a)は、吸着テーブル23を水平移動して実装ヘッド4が保持するチップ部品Cの直下にフラックス転写部8のキャビティ8Pを位置合わせした状態を示し、この後、実装ヘッド4を降下してチップ部品Cのバンプ電極にフラックスを転写させている。チップ部品Cのバンプ電極にフラックスを転写させたら、図9(c)のように、実装ヘッド4を上昇させるとともに吸着テーブル23を水平移動して、チップ部品Cの直下に基板S(内の所定)の実装箇所を配置する。その後、チップ部品Cと基板Sの実装箇所の精密位置合わせを実施後に、実装ヘッド4を降下してチップ部品Cを基板Sに熱圧着する。
【0010】
以上のような一連の動作後に、実装ヘッド4を上昇させるとともに吸着テーブル23を水平移動させて図9(a)の状態に戻るが、図9(d)の熱圧着においてチップ部品Cのバンプ電極のハンダを溶融させるため、実装ヘッド4でチップ部品Cを保持するアタッチメントツール42の温度はハンダの融点以上になっている。このため、図9(a)のようにチップ部品Cを保持するまでの間に、アタッチメントツール42が所定温度以下に冷却している必要があり、図9(d)から図9(a)に示すように吸着テーブル23を移動させる時間が実質的なタクトタイムロスとなることは少ない。
【0011】
ところで、チップ部品を基板に実装するのに際して、平行度を維持しつつ必要に応じて高荷重を付加する必要があることから、図7の実装装置101のように昇降手段3に実装ヘッド4が連結した構成において、実装ヘッド4をフラックス転写部8まで移動させることは極めて難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009-056476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
生産効率向上の観点から、昨今では、図10に示すように複数の実装ヘッド4(4A、4B)を有する実装装置102が利用されている。
【0014】
このような実装装置102で、図7に示した実装装置と同様に、吸着テーブル23の外周部に設けられたフラックス転写部8を設けた場合の実装過程を図11および図12に示す。
【0015】
ここで、図11は実装ヘッド4Aがチップ部品Cを基板Sに実装する過程を示しており、図12は実装ヘッド4Bがチップ部品Cを基板Sに実装する過程を示している。図9との対応において、図11(a)から図11(d)の実装ヘッド4Aが、図9(a)から図9(d)の実装ヘッド4と同じ動作をしている。また、図12(a)から図12(d)の実装ヘッド4Bが、図9(a)から図9(d)の実装ヘッド4と同じ動作をしている。
【0016】
ところで、図11(d)でチップ部品Cを実装した後の実装ヘッド4Aは、図12(a)から図12(d)の間は機能しておらず、同様に実装ヘッド4Bは図11(a)から図11(d)の間は機能していない。
【0017】
仮に、図11(d)でチップ部品Cの実装を完了した実装ヘッド4A(のアタッチメントツール42A)が次に実装するチップ部品Cを保持可能な温度に低下するまでの時間が、図12(a)から図12(d)の間の時間以上であるならば、実装ヘッドを2つとした効果が発揮されている。
【0018】
しかし、実装ヘッド4Aの温度が、図12(a)から図12(d)の途中の段階でチップ部品Cを保持可能な温度まで低下しているのであれば、実装ヘッドを複数とした効果は充分に発揮されていない。すなわち、図12(a)から図12(d)の間に、実装ヘッド4Aにチップ部品Cを保持させることは可能であっても、図12(c)から図12(d)の間は実装ヘッド4Aが保持するチップ部品Cのバンプ電極にフラックスを転写することは出来ず、実装ヘッドを複数にする分だけの生産性向上が望めない。
【0019】
更に、図9に示した実装ヘッド4が一つの場合においても、昨今は図9(d)のような実装(熱圧着)した後にヒーター部41およびアタッチメントツール42を急冷する冷却手段を備えた実装ヘッド4もあり、吸着テーブル23の移動に伴う時間がタクトタイム短縮を阻害することもある。
【0020】
本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、実装ヘッドに保持されたチップ部品のバンプ電極にフラックスを転写する転写過程がタクトタイムに及ぼす影響を極力小さくするフラックス転写装置およびこれを備えた実装装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
実装ヘッドに保持されたチップ部品のバンプ電極にフラックスを転写するフラックス転写装置であって、
フラックスを溜めるキャビティを有するフラックス転写部と、前記フラックス転写部を水平方向に移動させることができる転写部スライド手段を備え、
前記バンプ電極にフラックスを転写するときは、前記キャビティを前記チップ部品の直下に配置するよう、前記フラックス転写部を前記実装ヘッドに接近させ、
前記実装ヘッドが前記チップ部品を実装するときは、前記フラックス転写部を前記実装ヘッド下から退避させるフラックス転写装置である。
【0022】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のフラックス転写装置であって、
前記キャビティにフラックスを充填する塗布ヘッドを備えたフラックス転写装置である。
【0023】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のフラックス転写装置であって、
前記フラックス転写部に対して前記塗布ヘッドを水平方向に移動させることができるヘッドスライド手段を備えたフラックス転写装置である。
【0024】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3の何れかに記載のフラックス転写装置であって、
前記実装ヘッドの近傍に配置されるフラックス転写装置である。
【0025】
請求項5に記載の発明は、
チップ部品を基板に実装する実装装置であって、
前記基板を保持する基板ステージと、前記チップ部品を保持する実装ヘッドと、前記実装ヘッドを上下移動させる昇降手段と、請求項1から請求項4の何れかに記載のフラックス転写装置を備えた実装装置である。
【0026】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の実装装置であって、
前記実装ヘッドを複数備え、
前記実装ヘッド毎に前記フラックス転写装置を配した実装装置である。
【発明の効果】
【0027】
本発明のフラックス転写装置およびこれを備えた実装装置は、実装ヘッドに保持されたチップ部品のバンプ電極にフラックスを転写する転写過程がタクトタイムに及ぼす影響を極力小さくすることが出来、特に複数の実装ヘッドを備えた場合に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態に係る実装装置の外観を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係るフラックス転写装置の構成と動作を説明するもので、(a)キャビティ内へのフラックス充填を行っている状態、(b)キャビティ内へのフラックス充填を行っている状態、(c)キャビティ内に充填したフラックスをチップ部品の電極に転写しようとしている状態を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係るフラックス転写装置変形例の構成と動作を説明するもので、(a)キャビティ内へのフラックス充填を行っている状態、(b)キャビティ内へのフラックス充填を行っている状態、(c)キャビティ内に充填したフラックスをチップ部品の電極に転写しようとしている状態を示す図である。
図4】本発明のフラックス転写装置を複数の実装ヘッドを有する実装装置に適用した例を示す図である。
図5】本発明のフラックス転写装置を複数の実装ヘッドを有する実装装置に適用した例の動作について説明するもので、(a)一方の実装ヘッドが保持するチップ部品にフラックスが転写された状態で実装を開始する状態を示し、(b)一方の実装ヘッドが実装を行っていると同時に他方の実装ヘッドヘッドが保持するチップ部品にフラックスを転写している状態を示し、(c)一方の実装ヘッドヘッドが保持するチップ部品にフラックスを転写していると同時に他方の実装ヘッドが実装を行っている状態を示している。
図6】チップ部品の電極にフラックスを転写する際にキャビティを用いる例で、(a)キャビティとチップ部品の位置を合わせた状態を示し、(b)キャビティ内に充填したフラックスにチップ部品の電極を浸している状態を示す図である。
図7】フラックス転写部を基板ステージに設けた従来の実装装置の外観を示す図である。
図8】フラックス転写部のキャビティにスキージを用いてフラックスを充填する過程を説明するもので、(a)往路塗布開始の状態を示し、(b)往路塗布中の状態を示し、(c)往路塗布後の状態を示し、(d)復路塗布後の状態を示す図である。
図9】フラックス転写部を基板ステージに設けた実装装置による実装過程を説明するもので、(a)実装ヘッドが保持するチップ部品の直下にフラックス転写部のキャビティを位置合わせした状態を示し、(b)チップ部品の電極にフラックスを転写する状態を示し、(c)フラックス転写を行った後に上昇させた実装ヘッドが保持するチップ部品の下に基板の実装箇所を配置した状態を示し、(d)実装ヘッドを降下させて基板の実装箇所にチップ部品を実装している状態を示す図である。
図10】フラックス転写部を基板ステージに設け、複数の実装ヘッドを備えた実装装置の外観を示す図である。
図11】フラックス転写部を基板ステージに設け、複数の実装ヘッドを備えた実装装置の一方の実装ヘッドによる実装過程を説明するもので、(a)実装ヘッド保持するチップ部品の直下にフラックス転写部のキャビティを位置合わせした状態を示し、(b)チップ部品の電極にフラックスを転写する状態を示し、(c)フラックス転写を行った後に上昇させた実装ヘッドが保持するチップ部品の下に基板の実装箇所を配置した状態を示し、(d)実装ヘッドを降下させて基板の実装箇所にチップ部品を実装している状態を示す図である。
図12】フラックス転写部を基板ステージに設け、複数の実装ヘッドを備えた実装装置の他方の実装ヘッドによる実装過程を説明するもので、(a)実装ヘッド保持するチップ部品の直下にフラックス転写部のキャビティを位置合わせした状態を示し、(b)チップ部品の電極にフラックスを転写する状態を示し、(c)フラックス転写を行った後に上昇させた実装ヘッドが保持するチップ部品の下に基板の実装箇所を配置した状態を示し、(d)実装ヘッドを降下させて基板の実装箇所にチップ部品を実装している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施形態について、図を用いて説明する。図1は本発明の実施形態における実装装置1の概略図である。
【0030】
実装装置1はチップ部品を配線基板等の基板に実装するものであるが、図1の実装装置1は、チップ部品の電極面を基板の電極面と対向させて実装するフェイスダウン実装を行う構成となっている。
【0031】
実装装置1において、ステージ移動制御手段20と吸着テーブル23によって基板ステージ2が構成される。
【0032】
また、ヒーター部41、アタッチメントツール42およびツール位置制御手段43を備えて実装ヘッド4は構成されている。
【0033】
昇降手段3は図示していない門型フレームに固定されており、上下駆動軸が吸着テーブル23に対して垂直方向に設けられており、上下駆動軸に実装ヘッド4を連結している。昇降手段3は実装ヘッド4を上下駆動するとともに、設定に応じた加圧力を印加する機能を有している。また、実装装置1では、昇降手段3を(図示しない門型フレームにより)2方向から支持するとともに、実装ヘッド4に直線的に連結しているため、加圧時に実装ヘッド4への横方向の力は加わり難くなっている。
【0034】
認識手段5は、チップ部品Cおよび基板Sの夫々に設けられた認識マークの位置情報を取得して、チップ部品Cと基板Sの位置合わせに用いられるものである。
【0035】
チップ搬送手段6は、搬送レール60とチップスライダ61によって構成されており、図示しないチップ供給部から供給されたチップ部品Cをチップスライダ61が保持してアタッチメントツール42の下までスライドして搬送するものである。
【0036】
フラックス転写装置7は、筐体70、フラックス転写部71および転写ステージ72を備えている。筐体70は実装ヘッド4の近傍に配置され、転写ステージ72は、実装ヘッド4が保持するチップ部品Cのバンプ電極にフラックスを転写する際にフラックス転写部71をチップ部品Cの下に配置するよう移動し、実装ヘッド4がチップ部品Cを基板Sに実装する際は実装ヘッド4の下から退避する。なお、筐体70は、単なる枠組みだけであってもよい。
【0037】
図2は、本発明のフラックス転写装置7の実施形態につき、構成と動作を説明するものである。図2のフラックス転写装置7は、実装ヘッド4の近傍に設けられた筐体70からフラックス転写部71を設けた転写ステージ72を移動させるとともに、フラックス転写部71に設けた凹部であるキャビティ71Pにフラックスを充填する機能も有している。なお、フラックス転写部71と転写ステージ72を一体化して、転写ステージ72にキャビティ71Pを設ける形態であってもよい。
【0038】
図2において、塗布ヘッド73は、図8に示したスキージ81の機能と塗布部分にフラックスを供給する機能を有している。ステージアーム74は転写ステージ72を支持するものであり、転写部スライド手段75によって筐体70内で左右方向(X方向)に移動することができる。また、ヘッドスライド手段730により、ステージアーム74に対して塗布ヘッド73は左右方向(X方向)に移動する。ここで、転写部スライド手段75は、サーボモータとモータとボールネジによって構成されるものでも良いが、極力小スペースに収まるものが望ましく、シリンダ機構等から最適なものを選ぶのがよい。
【0039】
図2(a)および図2(b)は、キャビティ71Pにフラックスを充填する過程を示すものである。図2(a)および図2(b)において、塗布ヘッド73はヘッドスライド手段730によって、左右方向(X方向)に移動する。このため、フラックス転写部71に対して塗布ヘッド73は相対的に左右方向に移動するため、フラックスを供給することでキャビティ71Pにフラックスが充填される。
【0040】
キャビティ71Pにフラックスが充填された状態から、転写部スライド手段75によってステージアーム74を左端付近まで移動させることにより、図2(c)に示すように、
フラックス転写部71を実装ヘッド4に接近させ、実装ヘッド4のアタッチメントツール42に保持されたチップ部品Cの直下にフラックス転写部71のキャビティ71Pが配置される。この状態で、実装ヘッド4を下降させることで、チップ部品Cのバンプ電極はキャビティ71Pに充填されたフラックスに浸漬して適量のフラックスが転写される。
【0041】
なお、フラックス転写後、実装ヘッド4は一旦上昇し、転写部スライド手段75の動作でフラックス転写部71を実装ヘッド4の下から右側に退避し、その後に実装ヘッド4が下降してチップ部品Cを基板Sに熱圧着して実装工程は完了する。
【0042】
ところで、フラックス転写7は実装ヘッド4の近傍に配置するものであるが、実装装置において実装ヘッド4の周辺のスペースが限られていることが多く、フラックス転写装置7は極力コンパクトであることが望ましい。これに対して、図2に示した構成であると、
転写ステージ72の左右方向(X方向)の長さにおいて、キャビティ71Pをチップ部品Cの直下まで移動させる距離に、塗布ヘッド73が実装ヘッド4に干渉しない位置まで退避させる長さが加わり、サイズが大きくなっている。また、ヘッドスライド手段730の移動距離を確保するためのスペースも大きくなっている。
【0043】
そこで、本発明のフラックス転写装置の実施形態の変形例として、図3に示すように左右方向(X方向)のサイズを縮めるフラックス転写装置77を考えた。図3のフラックス転写装置77で、転写ヘッド73は、筐体70に設けられたヘッドスライド手段76によって左右方向(X方向)に移動する。この構成により、転写ステージ72の左右方向(X方向)の長さにおいて、塗布ヘッド73を退避させる長さは不要となる。なお、ヘッドスライド手段76は、転写部スライド手段75と同様に、サーボモータとモータとボールネジによって構成されるものでも良いが、極力小スペースに収まるものが望ましく、シリンダ機構等から最適なものを選ぶのがよい。
【0044】
図3(a)および図3(b)は、キャビティ71Pにフラックスを充填する過程を示すものである。図3(a)および図3(b)において、静止した転写ステージ72上のフラックス転写部71の上でフラックスが供給された塗布ヘッド73を左右方向(X方向)に移動することで、キャビティ71Pにフラックスが充填される。
【0045】
キャビティ71Pにフラックスが充填された状態から、転写部スライド手段75によってステージアーム74を左端付近まで移動させることにより、図3(c)に示すように、
実装ヘッド4のアタッチメントツール42に保持されたチップ部品Cの直下にフラックス転写部71のキャビティ71Pが配置される。この状態で、実装ヘッド4を下降させることで、チップ部品Cのバンプ電極はキャビティ71Pに充填されたフラックスに浸漬して適量のフラックスが転写される。
【0046】
このように、図3に示したフラックス転写装置77は、図2に示したフラックス転写装置7と比べて、転写ステージ72の左右方向の長さを短くでき、左右方向(X方向)のサイズをコンパクトにすることができる。
【0047】
図4は、ここまで説明したフラックス転写装置7(またはフラックス転写装置77)を、複数の実装ヘッドを持つ実装装置に適用した形態である。図4において、実装装置100は実装ヘッド4Aと実装ヘッド4Bを備え、個々の実装ヘッドの近傍に、各実装ヘッドが保持するチップ部品(のバンプ電極)にフラックスを転写するフラックス転写装置7Aおよびフラックス転写装置7Bを設けてある。
【0048】
図5の実装ヘッド4Aおよび実装ヘッド4Bが保持するチップ部品Cにフラックスを転写する形態を示したのが図5である。フラックス転写部71Aおよびキャビティ71APは、図4に示すフラックス転写装置7Aを構成するものであり、フラックス転写部71Bおよびキャビティ71BPは、図4に示すフラックス転写装置7Bを構成するものである。
【0049】
図5(a)を見て判るとおり、フラックス転写部71Aおよびフラックス転写部71Bは、吸着ステージ23の動作と無関係に機能させることができる。このため、図5(b)および図5(c)のように、一方の実装ヘッドがチップ部品Cを基板Sに実装している間に他方の実装ヘッドが保持するチップ部品C(のバンプ電極)にフラックスを転写することができる。すなわち、一方の実装ヘッドがチップ部品を実装した直後に他方の実装ヘッドがチップ部品Cの実装をすることも可能となる。
【0050】
以上の説明のとおり本願発明のフラックス転写装置を用いることにより、フラックス転写に際して、吸着テーブルの移動を伴わないためタクトタイムの短縮に役立つ。特に複数ヘッドを備えた実装装置において、フラックス転写に伴うタクトタイムのロスを削減することができる。
【符号の説明】
【0051】
1、100 実装装置
2 基板ステージ
3 昇降手段
4、4A、4B 実装ヘッド
5、5A、5B 認識手段
6 チップ搬送手段
7、7A、7B フラックス転写装置
8 フラックス転写部
8P キャビティ
23 吸着テーブル
41 ヒーター部
42 アタッチメントツール
43 ツール位置制御手段
70 筐体
71、71A、71B フラックス転写部
71P、71AP、71BP キャビティ
72 転写ステージ
73 塗布ヘッド
74 ステージアーム
75 転写部スライド手段
76、730 ヘッドスライド手段
77 フラックス転写装置
81 スキージ
B バンプ電極(チップ部品の電極)
C チップ部品
FL フラックス
S 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12