(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141061
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】荷役システムおよび無人搬送車
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B65G1/00 501C
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052503
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】比良 優貴
(72)【発明者】
【氏名】島 史行
(72)【発明者】
【氏名】北村 拓也
(72)【発明者】
【氏名】永村 圭
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022BB01
3F022EE02
3F022LL07
3F022NN02
3F022NN32
3F022QQ03
3F022QQ04
3F022QQ13
(57)【要約】
【課題】所定のエリア内におけるトラックの停車位置が異なっていても、無人搬送車をトラックに隣接して好ましい位置に停車させる荷役システムを提供する。
【解決手段】荷役システムSは、トラック停車エリアEと、トラック停車エリアE内に停車するトラック1と、無人搬送車2と、を備えている。無人搬送車2は、第2荷台と、第1レーザセンサと、走行制御部と、を有し、トラック1に隣接して停車するよう構成されている。第1レーザセンサは、トラック1に対して、水平方向斜め後方に向かってレーザを照射してフロントパネル11の側面11bまたはリアパネル12の側面12bを検出し、走行制御部は、フロントパネル11の側面11bまたはリアパネル12の側面12bが検出されると、無人搬送車2を停止させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラック停車エリアと、
第1荷台と、フロントパネルおよびリアパネルまたはそのいずれかとを有し、前記トラック停車エリア内に停車するトラックと、
第2荷台と、第1レーザセンサと、走行制御部と、を有し、前記トラックに隣接して停止するよう構成された無人搬送車と、を備え、
前記第1レーザセンサは、前記トラックに対して、水平方向斜め後方に向かってレーザを照射して前記フロントパネルの側面または前記リアパネルの側面を検出し、
前記走行制御部は、前記フロントパネルの側面または前記リアパネルの側面が検出されると、前記無人搬送車を停止させる、荷役システム。
【請求項2】
前記第1レーザセンサは、前記無人搬送車の前部に配置されている、請求項1に記載の荷役システム。
【請求項3】
前記無人搬送車は、前記第1レーザセンサを複数有し、
各前記第1レーザセンサは、前記無人搬送車の前部および後部にそれぞれ配置されている、請求項1に記載の荷役システム。
【請求項4】
前記トラックは、ウイング車であって、
前記第1レーザセンサは、前記ウイング車の前記フロントパネルの側面を検出するよう構成されている、請求項1に記載の荷役システム。
【請求項5】
前記無人搬送車は、第2レーザセンサをさらに有し、
前記第2レーザセンサは、前記トラックに対して水平方向斜め前方に向かってレーザを照射して前記フロントパネルの後面との距離または前記リアパネルの前面との距離を検出し、
前記走行制御部は、前記第2レーザセンサと、前記フロントパネルの後面または前記リアパネルの前面との距離が所定距離になったとき、前記無人搬送車の走行速度を減速させる、請求項1に記載の荷役システム。
【請求項6】
前記トラックの長さ方向横に隣接して配置された距離計測開始ポイントと、
前記距離計測開始ポイントの位置から前記無人搬送車が走行した距離を出力するよう構成されており、前記距離計測開始ポイントの位置から前記フロントパネルの側面または前記リアパネルの側面が検出されて前記無人搬送車が停止した位置までの第1距離を出力する距離出力部と、
搬送される荷の長さと、前記荷と前記荷と間の所定の第2距離と、と記憶している記憶部と、
前記第1距離と、搬送される前記荷の長さと、前記第2距離とに基づいて、次の前記無人搬送車が前記距離計測開始ポイントの位置から前記トラックに隣接して停止するまでの第3距離を算出する距離算出部と、をさらに備え、
前記走行制御部は、前記距離算出部が算出した前記第3距離と、前記距離出力部が出力する距離とに基づいて、前記無人搬送車を停止させる、請求項1に記載の荷役システム。
【請求項7】
荷役システムに利用される無人搬送車であって、
前記荷役システムは、
トラック停車エリアと、
第1荷台と、フロントパネルおよびリアパネルまたはそのいずれかとを有し、前記トラック停車エリア内に停車するトラックと、を備え、
前記無人搬送車は、前記トラックに隣接して停止するよう構成されるとともに、
第2荷台と、
第1レーザセンサと、
走行制御部と、を備え、
前記第1レーザセンサは、前記トラックに対して、水平方向斜め後方に向かってレーザを照射して前記フロントパネルの側面または前記リアパネルの側面を検出し、
前記走行制御部は、前記フロントパネルの側面または前記リアパネルの側面が検出されると、前記無人搬送車を停車させる、無人搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役システムおよび当該荷役システムに用いられる無人搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示のように、自動倉庫からの出庫された荷を搬送する無人搬送車がある。また、この種の無人搬送車110を利用した荷役システムとして、
図8に示すように、さらにウイング車1(例えば、特許文献2参照)と、有人搬送車4とを備えたシステム100がある。
【0003】
このシステムでは、
(1)ウイング車1が所定エリアE内に予め待機しており、
(2)無人搬送車110が出庫された荷Wを積載した状態でウイング車1まで荷Wを搬送し、ウイング車1の荷台10に隣接して停車して待機し、
(3)有人搬送車4が無人搬送車110の荷Wをすくい上げると無人搬送車110が待機位置から離れ、有人搬送車4がウイング車1の荷台10に荷Wを積載し、
(4)ウイング車1の荷台10が埋まるまで(2)、(3)の作業が繰り返す、
ように構成されている。
【0004】
ところで、この種のシステムでは、トラックの荷台の端から間隔をなるべく空けずに荷を積載していくことが好ましい。そのためには、予め定められた荷台の位置に荷を積載する必要がある。そして、無人搬送車の待機位置が適切であれば、
図8に示すように、有人搬送車4は、荷Wをすくい上げた後、前進するだけで左右の位置を調整することなく所定の積載位置に荷を積載することができる。
【0005】
しかしながら、エリア内におけるトラックの停車位置は常に同じではなく、しかもトラックの車種ごとに荷台の長さが異なっているため、無人搬送車を適切な位置に停止させて待機させることは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-189463号公報
【特許文献2】特開2001-097249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、所定のエリア内におけるトラックの停車位置が毎回異なっていても、無人搬送車をトラックに隣接して好ましい位置に停車させることができる荷役システムおよび当該荷役システムに用いられる無人搬送車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る荷役システムは、
トラック停車エリアと、
第1荷台と、フロントパネルおよびリアパネルまたはそのいずれかとを有し、トラック停車エリア内に停車するトラックと、
第2荷台と、第1レーザセンサと、走行制御部と、を有し、トラックに隣接して停止するよう構成された無人搬送車と、を備え、
第1レーザセンサは、トラックに対して、水平方向斜め後方に向かってレーザを照射してフロントパネルの側面またはリアパネルの側面を検出し、
走行制御部は、フロントパネルの側面またはリアパネルの側面が検出されると、無人搬送車を停止させる。
【0009】
上記荷役システムは、好ましくは
第1レーザセンサが、無人搬送車の前部に配置されている。
【0010】
上記荷役システムは、好ましくは
無人搬送車が、第1レーザセンサを複数有し、
各第1レーザセンサは、無人搬送車の前部および後部にそれぞれ配置されている。
【0011】
上記荷役システムは、例えば、
トラックが、ウイング車であって、
第1レーザセンサは、ウイング車のフロントパネルの側面を検出するよう構成されている。
【0012】
上記荷役システムは、好ましくは
無人搬送車が、第2レーザセンサをさらに有し、
第2レーザセンサは、トラックに対して水平方向斜め前方に向かってレーザを照射してフロントパネルの後面との距離またはリアパネルの前面との距離を検出し、
走行制御部は、第2レーザセンサと、フロントパネルの後面またはリアパネルの前面との距離が所定距離になったとき、無人搬送車の走行速度を減速させる。
【0013】
上記荷役システムは、好ましくは
トラックの長さ方向横に隣接して配置された距離計測開始ポイントと、
距離計測開始ポイントの位置から無人搬送車が走行した距離を出力するよう構成されており、距離計測開始ポイントの位置からフロントパネルの側面またはリアパネルの側面が検出されて無人搬送車が停止した位置までの第1距離を出力する距離出力部と、
搬送される荷の長さと、荷と荷と間の所定の第2距離と、と記憶している記憶部と、
第1距離と、搬送される荷の長さと、第2距離とに基づいて、次の無人搬送車が距離計測開始ポイントの位置からトラックに隣接して停止するまでの第3距離を算出する距離算出部と、をさらに備え、
走行制御部は、距離算出部が算出した第3距離と、距離出力部が出力する距離とに基づいて、無人搬送車を停止させる。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明に係る無人搬送車は、荷役システムに利用される無人搬送車であって、
無人搬送車荷役システムは、
所定エリアと、
第1荷台と、フロントパネルおよびリアパネルまたはそのいずれかとを有し、トラック停車エリア内に停車するトラックと、を備え、
無人搬送車は、トラックに隣接して停止するよう構成されるとともに、
第2荷台と、
第1レーザセンサと、
走行制御部と、を備え、
第1レーザセンサは、トラックに対して、水平方向斜め後方に向かってレーザを照射してフロントパネルの側面またはリアパネルの側面を検出し、
走行制御部は、フロントパネルの側面またはリアパネルの側面が検出されると、無人搬送車を停止させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る荷役システムは、所定のエリア内におけるトラックの停車位置が毎回異なっていても、無人搬送車をトラックに隣接して好ましい位置に停車させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る荷役システムの全体図である。
【
図6】AおよびBは、無人搬送車の減速および停止の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の荷役システムおよび当該荷役システムに用いられる無人搬送車の一実施形態について説明する。図中において、両矢印Xは無人搬送車の進行方向を示し、両矢印Yは左右方向を示し、両矢印Zは上下方向を示している。
【0018】
図1は、本実施形態に係る荷役システムSの全体図である。
図1に示すように、荷役システムSは、トラック停車エリアEと、ウイング車1と、無人搬送車2と、管理装置3と、有人搬送車4と、を備えている。まず、荷役システムSの各構成について説明する。
【0019】
<トラック停車エリア>
図1に示すように、トラック停車エリアEは、白線WLで囲まれたエリアであって、トラック(ウイング車)1が停車可能な広さを有する。また、白線WLの左右外側には、無人搬送車2を誘導するための磁気棒TがX方向に沿って設けられている。さらに、左右の磁気棒Tの内側には、距離計測開始ポイントP1が設けられ、左右の磁気棒Tの外側には、複数の距離補正ポイントP2がX方向に所定の間隔をおいて設けられている。距離計測開始ポイントP1および距離補正ポイントP2は、磁気棒によって構成されている。
【0020】
<ウイング車>
ウイング車1は、
図1の左側を向いてトラック停車エリアEに停車している。ウイング車1が本発明の「トラック」に相当する。ウイング車1は、第1荷台10と、フロントパネル11と、リアパネル12と、左右のウイングサイドパネル(図示略)とを有する。
【0021】
<無人搬送車>
図2~
図4は、無人搬送車2の側面、正面、平面をそれぞれ示している。また、
図5は、無人搬送車2および管理装置3のブロック図である。
図2~
図5に示すように、無人搬送車2は、車輪20と、車体21と、第2荷台22と、4つのポイント検出部23と、2つの減速センサ24と、2つの停止センサ25と、走行制御部26と、距離出力部27とを有する。減速センサ24は、本発明の「第2レーザセンサ」に相当し、停止センサ25は、本発明の「第1レーザセンサ」に相当する。なお、無人搬送車2は、前後どちらの方向にも走行可能に構成されている。
【0022】
車体21は、四方に設けられた車輪20の上に配置され、第2荷台22は、車体21の上面に配置されている。第2荷台22は、コンベアローラによって構成されており、これにより、無人搬送車2は、自動倉庫からの出庫された荷Wを受け取ることができる。
【0023】
図4に示すように、4つのポイント検出部23は、車体21の裏側の進行方向前後端部に1つずつ、車体21の裏側の左右端部に1つずつ、それぞれ設けられている。進行方向に設けられた2つのポイント検出部23は、磁気棒Tを検出するように構成されている。また、
図1に示すように、無人搬送車2がウイング車1の右側を走行するときには、左側端部のポイント検出部23が距離計測開始ポイントP1を検出し、右側端部のポイント検出部23が距離補正ポイントP2を検出するよう構成されている。
【0024】
また、無人搬送車2は、ウイング車1の左側を走行するときには、ウイング車1の右側を走行するときと前後の向きが逆転して走行することになる。したがって、無人搬送車2がウイング車1の左側を走行するときも、左側端部のポイント検出部23が距離計測開始ポイントP1を検出し、右側端部のポイント検出部23が距離補正ポイントP2を検出することになる。
【0025】
2つの減速センサ24は、レーザセンサによって構成されており、
図2および
図3に示すように、車体21の前部左側の上方、および車体21の後部左側の上方にそれぞれ設けられている。
図4および
図6Aに示すように、前側の減速センサ24は、無人搬送車2がウイング車1の右側を走行するとき、ウイング車1に対して水平方向斜め前方に向かってレーザを照射してフロントパネル11の後面11aとの距離を検出するよう構成されている。減速センサ24のレーザの照射角度は、フロントパネル11に対する無人搬送車2の所定の停車位置に対して所定距離離れた位置から無人搬送車2が減速するよう角度調整されており、当該所定距離は、例えば、500mm~900mmでもよい。減速センサ24のレーザを照射する角度は、無人搬送車2の進行方向に対して10°~80°傾斜してもよく、好ましくは、50°~70°で傾斜してもよい。
【0026】
また、後側の減速センサ24は、無人搬送車2がウイング車1の左側を走行するとき走行方向先頭に位置することになるので、ウイング車1に対して水平方向斜め前方に向かってレーザを照射してフロントパネル11の後面11aとの距離を検出するよう構成されている。
【0027】
このように、無人搬送車2は、前後の減速センサ24を有することにより、ウイング車1の右側および左側のいずれの側を走行するときにもフロントパネル11の後面11aとの距離を検出することができる。
【0028】
2つの停止センサ25は、レーザセンサによって構成されており、
図2および
図3に示すように、減速センサ24の下方にそれぞれ設けられている。
【0029】
図4および
図6Bに示すように、前側の停止センサ25は、無人搬送車2がウイング車1の右側を走行するとき、ウイング車1に対して水平方向斜め後方に向かってレーザを照射してフロントパネル11の右側の側面11bを検出するよう構成されている。停止センサ25のレーザを照射する角度は、無人搬送車2の進行方向に対して、96°~105°傾斜してもよく、好ましくは、98°~100°で傾斜してもよい。停止センサ25は、前進方向に対して斜め後方に向かってレーザを照射することにより、ウイング車1が左右の白線WLに対して左右に傾いて停車していようとも、フロントパネル11の側面11bを誤検出することがない。
【0030】
また、後側の停止センサ25は、無人搬送車2がウイング車1の左側を走行するとき、ウイング車1に対して水平方向斜め後方に向かってレーザを照射してフロントパネル11の左側の側面11bを検出するよう構成されている。
【0031】
このように、無人搬送車2は、前後の停止センサ25を有することにより、ウイング車1の右側および左側のいずれの側を走行するときにもフロントパネル11の側面11bを検出することができる。
【0032】
走行制御部26は、車輪20を回転させたり停止させたりして無人搬送車2の走行を制御するよう構成され、進行方向に設けられた2つのポイント検出部23によって検出された磁気棒Tに沿って無人搬送車2を走行させる。
【0033】
また、走行制御部26は、減速センサ24によって検出されたフロントパネル11の後面11aと減速センサ24との距離が所定距離になると、無人搬送車2の走行速度を減速させる。すなわち、無人搬送車2は、ウイング車1の停車位置に関わらず、フロントパネル11との距離に基づいて減速することができるので、トラック停車エリアE内におけるウイング車1の停車位置が毎回異なっていても、またウイング車1の車種が毎回異なっていても、フロントパネル11に対して所定の距離をおいた位置から減速することができる。当該所定距離は、上述したように、500mm~900mmでもよい。
【0034】
さらに、走行制御部26は、停止センサ25によってフロントパネル11の側面11bが検出されると、所定距離走行させた後または所定時間経過後に無人搬送車2を停止させるよう構成されている。すなわち、無人搬送車2は、ウイング車1の停車位置に関わらず、フロントパネル11を検出することによって停車するので、トラック停車エリアE内におけるウイング車1の停車位置が毎回異なっていても、また、ウイング車1の車種が毎回異なっていても、フロントパネル11に対する所定の位置に停車することができる。フロントパネル11の側面11bを検出後、無人搬送車2を停車させるまで走行させる距離は、例えば、100mm~140mmでもよい。
【0035】
また、走行制御部26は、後で説明するように、距離算出部31によって算出された第3距離を距離計測開始ポイントP1から無人搬送車2に走行させた後、無人搬送車2を停車させるよう構成されている。
【0036】
このように、フロントパネル11に隣接して積載される荷W(以下、「1つ目の荷W」という)を搬送した無人搬送車2を以下では、「1台目の無人搬送車2」という。
【0037】
距離出力部27は、走行エンコーダであって、距離計測開始ポイントP1の位置から無人搬送車2が走行した距離を出力する。そして、距離出力部27は、距離計測開始ポイントP1の位置からフロントパネル11の側面11bが検出されて無人搬送車2が停止した位置までの第1距離を出力する。出力された第1距離は、管理装置3に送信される。なお、距離出力部27は、ポイント検出部23によって検出された各距離補正ポイントP2における距離計測開始ポイントP1からの距離と、出力している距離とを参照することにより、出力距離を補正しつつ第1距離を出力するよう構成されている。
【0038】
<管理装置>
図5に示すように、管理装置3は、記憶部30と、距離算出部31と、を有する。
【0039】
記憶部30は、搬送される荷Wの長さと、荷Wと荷Wと間の所定の第2距離と、と記憶している。荷Wと荷Wとの第2距離とは、第1荷台10に複数の荷Wが積載されたときの荷Wと荷Wとの間の距離のことである。本実施形態では、搬送される荷Wの長さは1800mm、第2距離は20mmで記憶されている。
【0040】
距離算出部31は、第1距離と、搬送される荷Wの長さと、第2距離とに基づいて、1つ目の荷Wに引き続いてnつ目の荷Wを搬送する無人搬送車2(以下、「n台目の無人搬送車2」という)が距離計測開始ポイントP1の位置からトラックに隣接して停車するまでの第3距離を算出する。
【0041】
例えば、第1距離が8150mmの場合、n台目の無人搬送車2が距離計測開始ポイントP1から停車するまでの第3距離は、次の式によって算出される。
式・・・第3距離=8150mm-(1800mm+20mm)*(n-1)
【0042】
したがって、2台目の無人搬送車2の場合、第3距離は、6330mmになる。距離算出部31は、式によって算出された第3距離をn台目の無人搬送車2に送信する。距離算出部31は、管理装置3によって指定された回数だけこれを繰り返す。上述したとおり、走行制御部26は、距離算出部31から受信した第3距離を無人搬送車2に距離計測開始ポイントP1から走行させた後、停車させる。
【0043】
管理装置3は、ウイング車1の荷台10の右側への指定された回数の搬送が完了すると、n台目の無人搬送車2にウイング車1の反対側に荷Wを搬送するよう荷役指令を送信してもよい。これにより、荷役指令を受信した無人搬送車2は、改めて距離計測開始ポイントP1およびフロントパネル11の後面11a、側面11bを検出しつつウイング車1の荷台10の反対側(左側)に荷Wを搬送する。
【0044】
<有人搬送車>
図1に示すように、有人搬送車4は、フォークリフトであって、フォークと、フォークを昇降可能な昇降装置と、を有する。
【0045】
有人搬送車4は、無人搬送車2に積載された荷Wをすくい上げ、無人搬送車2が退避すると、前進し、荷Wをウイング車1に積載する。無人搬送車2が適切な位置で待機していることにより、有人搬送車4は、荷Wをすくい上げた後、左右の位置を調整することなく、前進するだけで所定の積載位置に荷Wを積載することができる。
【0046】
<荷役システムの動作>
次に、荷役システムSの動作について
図7のフロー図を参照しつつ説明する。
【0047】
(1)まず、ウイング車1がトラック停車エリアEにおいてウイングサイドパネルを開いた状態で待機する(
図7のS1)。
【0048】
(2)次いで、1台目の無人搬送車2が出庫エリアで荷Wを受け取り(
図7のS2)、トラック停車エリアEまで荷Wを搬送する(
図7のS3)。
【0049】
(3)次いで、1台目の無人搬送車2が距離計測開始ポイントP1、距離補正ポイントP2を検出しつつ、前進する(
図7のS4)。
【0050】
(4)次いで、1台目の無人搬送車2は、フロントパネル11の後面11aを検出すると、減速を開始する(
図7のS5)。
【0051】
(5)次いで、1台目の無人搬送車2は、フロントパネル11の側面11bを検出すると、所定距離進んだ後、停車する(
図7のS6)。
【0052】
(6)次いで、1台目の無人搬送車2は、第1距離を出力するとともに、第1距離を管理装置3に送信する(
図7のS7)。
【0053】
(7)有人搬送車4が無人搬送車2の荷Wをすくい上げウイング車1に荷Wを積載し(
図7のS8)、管理装置3が、n台目の第3距離を算出する(
図7のS9)。
【0054】
(8)n台目の無人搬送車2が出庫エリアで次の荷Wを受け取り(
図7のS10)、トラック停車エリアEまで荷Wを搬送する(
図7のS11)。
【0055】
(9)管理装置3は、ウイング車1の荷台10の右側への指定された回数の搬送が完了していなければ(
図7のS12のNo)、第3距離をn台目の無人搬送車2に送信する(
図7のS13)。
【0056】
(10)n台目の無人搬送車2は、距離計測開始ポイントP1を検出すると(
図7のS14)、第3距離走行した後、停車する(
図7のS15)。
【0057】
(11)有人搬送車4がn台目の無人搬送車2の荷Wをすくい上げ、ウイング車1に荷Wを積載する(
図7のS8)。
【0058】
(12)管理装置3は、ウイング車1の荷台10の右側への指定された回数の搬送が完了すると(
図7のS12のYes)、n台目の無人搬送車2にウイング車1の反対側(左側)に荷Wを搬送するよう荷役指令を送信し、n台目の無人搬送車2がウイング車1の反対側(左側)の1台目の無人搬送車2として荷Wを搬送する(
図7のS16)。
【0059】
以上、本発明の荷役システムおよび無人搬送車に係る一実施形態について説明してきたが、本発明に係る荷役システムおよび無人搬送車は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明に係る荷役システムおよび無人搬送車は、以下の変形例によって実施されてもよい。
【0060】
<変形例>
・荷役システムSが備えるトラックは、フロントパネル11またはリアパネル12の内面11a、12aおよび側面11b、12bが減速センサ24、停止センサ25によって検出可能であれば、ウイング車1に限定されない。
【0061】
・上記実施形態では、ウイング車1がトラック停車エリアEにおいて左側を向いて停車していたが、ウイング車1が右側を向いて停車しているときには、無人搬送車2は、フロントパネル11の後面11a、側面11bの代わりにリアパネル12の前面12a、側面12bを検出して減速、停車してもよい。この場合、減速センサ24は、トラックに対して水平方向斜め前方に向かってレーザを照射してリアパネル12の前面12aとの距離を検出する。また、この場合、停止センサ25は、ウイング車1に対して水平方向斜め後方に向かってレーザを照射してリアパネル12の側面12bを検出する。
【0062】
・無人搬送車2は、複数で構成されていてもよい。この場合においても、1台目の無人搬送車2がフロントパネル11またはリアパネル12を検出して減速、停車すること、2台目以降の無人搬送車2が距離計測開始ポイントP1から第3距離走行後に停車することに変わりはない。
【0063】
・無人搬送車2の型は特に限定されない。例えば、無人搬送車2の第2荷台22は、ローラ式でなくてもよい。
【0064】
・荷役システムSは、有人搬送車4の代わりにフォークリフト型の無人搬送車で構成されていてもよい。荷役システムSでは、トラックの停車位置にかかわらず無人搬送車2が所定の位置に停車することができるので、フォークリフト型の無人搬送車が荷Wをすくい上げた後所定の距離前進するだけで第1荷台10の所定の積載位置に荷Wを積載することができる。
【0065】
・磁気棒T、距離計測開始ポイントP1および距離補正ポイントP2は、例えば、カラーテープでもよく、この場合、ポイント検出部23は、光学的にカラーテープを検出する検出部であってもよい。また、磁気棒は、磁気テープによって構成されていてもよい。
【0066】
・記憶部30および距離算出部31は、例えば、無人搬送車2に配置されていてもよい。この場合、無人搬送車2は、自ら第3距離を算出する。
【0067】
・無人搬送車2は、ウイング車1の第1荷台10の先頭から左右交互に荷Wを搬送してもよい。この場合においても、荷台10の左右それぞれ1台目の無人搬送車2がフロントパネル11またはリアパネル12を検出して減速、停車すること、2台目以降の無人搬送車2が距離計測開始ポイントP1から第3距離走行後に停車することに変わりはない。
【符号の説明】
【0068】
S 荷役システム
E トラック停車エリア
P1 距離計測開始ポイント
P2 距離補正ポイント
LA1 減速センサの光軸
LA2 停止センサの光軸
WL 白線
W 荷
T 磁気棒
1 ウイング車(トラック)
10 第1荷台
11 フロントパネル
11a フロントパネルの後面
11b フロントパネルの側面
12 リアパネル
12a リアパネルの前面
12b リアパネルの側面
2 無人搬送車
20 車輪
21 車体
22 第2荷台
23 ポイント検出部
24 減速センサ(第2レーザセンサ)
25 停止センサ(第1レーザセンサ)
26 走行制御部
27 距離出力部
3 管理装置
30 記憶部
31 距離算出部
4 有人搬送車
100 従来のシステム