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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141063
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】遠赤外線焼成機
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/06 20060101AFI20241003BHJP
   A21B 1/04 20060101ALI20241003BHJP
   A21B 2/00 20060101ALI20241003BHJP
   A21B 3/15 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A47J37/06 321
A21B1/04
A21B2/00
A21B3/15
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052505
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】523115139
【氏名又は名称】岡崎 貴幸
(74)【代理人】
【識別番号】100148862
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179811
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 良和
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 貴幸
【テーマコード(参考)】
4B040
【Fターム(参考)】
4B040AA03
4B040AA08
4B040AB04
4B040AC03
4B040AD04
4B040CA08
4B040CB05
4B040CB06
4B040CB17
4B040CB30
4B040GA02
(57)【要約】
【課題】食材の内部まで均一に熱を浸透させるとともに、焼成時間の短縮化により食材を柔らかく焼き上げることが可能な遠赤外線焼成機を提供する。
【解決手段】遠赤外線焼成機100は、焼成機本体1を備え、焼成機本体1はその内部に、カーボンヒーター2と、カーボンヒーター2の左右にそれぞれ設けられた少なくとも2枚の溶岩プレート3と、カーボンヒーター2及び溶岩プレート3の上部に設けられ、熱を反射する機能を有する第一反射板41と、カーボンヒーター2及び溶岩プレート3の下部に設けられ、熱を反射する機能を有する第二反射板42と、カーボンヒーター2及び溶岩プレート3と第一反射板41との間に設けられた焼き台5とを有する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼成機本体を備え、
前記焼成機本体はその内部に、
カーボンヒーターと、
前記カーボンヒーターの左右にそれぞれ設けられた少なくとも2枚の溶岩プレートと、
前記カーボンヒーター及び前記溶岩プレートの上部に設けられ、熱を反射する機能を有する第一反射板と、
前記カーボンヒーター及び前記溶岩プレートの下部に設けられ、熱を反射する機能を有する第二反射板と、
前記カーボンヒーター及び前記溶岩プレートと前記第一反射板との間に設けられた焼き台と
を有する
遠赤外線焼成機。
【請求項2】
前記溶岩プレートの厚みは、20mm以下である
請求項1に記載の遠赤外線焼成機。
【請求項3】
前記焼成機本体は、開閉可能で、かつ、着脱可能な蓋部を備え、
前記第一反射板は、前記蓋部の前記焼成機本体内部側に設置されている
請求項1に記載の遠赤外線焼成機。
【請求項4】
前記第一反射板及び前記第二反射板は、アルミニウムで構成されている
請求項1に記載の遠赤外線焼成機。
【請求項5】
前記カーボンヒーターを保護する保護部材が設けられている
請求項1に記載の遠赤外線焼成機。
【請求項6】
前記保護部材は、石英ガラスで構成されている
請求項5に記載の遠赤外線焼成機。
【請求項7】
前記保護部材は、横断面がC字形状となっている
請求項5に記載の遠赤外線焼成機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠赤外線焼成機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、遠赤外線を利用した焼成機が知られている。遠赤外線を利用することで、食材の内部まで均一に熱を浸透させることが可能である。
このような焼成機としては、例えば、熱源を設ける器本体の上部に、略半面の大きさを有する網部を設け、さらに略半面を覆う大きさのプレート本体を有するプレートを設けると共に、該プレートを反転自在に設けてなることを特徴とする焼物用調理器具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-102407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のような遠赤外線焼成機は、確かに食材の内部まで熱を浸透させることができるが、食材内部の水分が必要以上に外に出てしまい、食材の食感が硬くなってしまうといった問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、食材の内部まで均一に熱を浸透させるとともに、焼成時間の短縮化により食材を柔らかく焼き上げることが可能な遠赤外線焼成機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、焼成機本体を備え、
前記焼成機本体はその内部に、
カーボンヒーターと、
前記カーボンヒーターの左右にそれぞれ設けられた少なくとも2枚の溶岩プレートと、
前記カーボンヒーター及び前記溶岩プレートの上部に設けられ、熱を反射する機能を有する第一反射板と、
前記カーボンヒーター及び前記溶岩プレートの下部に設けられ、熱を反射する機能を有する第二反射板と、
前記カーボンヒーター及び前記溶岩プレートと前記第一反射板との間に設けられた焼き台と
を有する
遠赤外線焼成機である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、食材の内部まで均一に熱を浸透させるとともに、焼成時間の短縮化により食材を柔らかく焼き上げることが可能な遠赤外線焼成機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の遠赤外線焼成機の好適な実施形態を示した断面図である。
図2図1に示す遠赤外線焼成機の蓋部を開いた状態を示した断面図である。
図3図1に示す遠赤外線焼成機の蓋部を外した状態の上面図である。
図4】本発明の遠赤外線焼成機の他の実施形態を示した断面図である。
図5】本発明の遠赤外線焼成機の他の実施形態の蓋部を外した状態の上面図である。
図6】本発明の遠赤外線焼成機の他の実施形態の蓋部を外した状態の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の遠赤外線焼成機の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の遠赤外線焼成機の好適な実施形態を示した断面図、図2は、図1に示す遠赤外線焼成機の蓋部を開いた状態を示した断面図、図3は、図1に示す遠赤外線焼成機の蓋部を外した状態の上面図である。
【0010】
遠赤外線焼成機100は、図1に示すように、焼成機本体1を有している。
焼成機本体1は、その内部に、カーボンヒーター2と、溶岩プレート3と、第一反射板41と、第二反射板42と、焼き台5とを有している。
【0011】
焼成機本体1は、蓋部11と箱体12とで構成されている。蓋部11は、図2に示すように、開閉可能に箱体12に取り付けられており、また、箱体12から着脱自在に取り付けられている。また、蓋部11には、開閉する際の取っ手13が設けられている。
本実施形態において、箱体12内部には、図1~3に示すように、2つのカーボンヒーター2と、4つの溶岩プレート3と、2つの第二反射板42と、焼き台5とが設けられている。また、蓋部11の焼成機本体1の内側には、第一反射板41が設けられている。
このような第一反射板41を備えた蓋部11は、本願の遠赤外線焼成機100に適用することのみならず、例えば、ガスや炭火を用いた焼成機にも適用することができる。
【0012】
カーボンヒーター2は、棒形状を有しており、不活性ガスを封入したガラス管内に炭素質の発熱体を配置したヒーター体を有している。カーボンヒーター2は、他のヒーターと比較して遠赤外線の放射量が多いという特徴がある。
【0013】
溶岩プレート3は、図1~3に示すように、各カーボンヒーター2の左右にそれぞれ添うように1枚ずつ、計4枚設けられている。すなわち、1つのカーボンヒーター2に対して一対の溶岩プレート3が設けられている。溶岩プレート3は、天然の溶岩石から切り出された平板であり、上下面がそれぞれ平面であり、多数の気泡を含んでいる。このような溶岩プレート3は、カーボンヒーター2からの熱を吸収・放射する機能を備えている。
溶岩プレート3の厚みは、20mm以下であることが好ましく、15mm以下であることがより好ましく、10mm以下であることがさらに好ましい。これにより、カーボンヒーター2からの熱の吸収効率や吸収した熱の放射効率をより高いものとすることができる。溶岩プレート3の幅Wは、特に限定されないが、8~20mmであることが好ましく、8~10mmであることがより好ましい。また、溶岩プレート3の長さLは、特に限定されないが、140~280mmであることが好ましく、70~140mmであることがより好ましい。
【0014】
なお、本実施形態では、4枚の溶岩プレート3を用いているが、溶岩プレート3は3枚であってもよい。この場合、2つのカーボンヒーター2の内側に1枚の溶岩プレート3を設け、2つのカーボンヒーター2の外側に2枚の溶岩プレート3を設ける構成となる。
また、本実施形態では、カーボンヒーター2の左右にそれぞれ1枚ずつ計2枚の溶岩プレート3を設置するものとして説明したが、図5に示すようにカーボンヒーター2の左右にそれぞれ2枚ずつ、遠赤外線焼成機100全体で合計8枚の溶岩プレート3を設置してもよいし、図6に示すように、2つのカーボンヒーター2の内側に2枚の溶岩プレート3を設置し、2つのカーボンヒーター2の外側にそれぞれ2枚ずつ溶岩プレート3を設置し、遠赤外線焼成機100全体で合計6枚の溶岩プレート3を設置してもよい。また、カーボンヒーター2の左右の一方に、3枚以上の溶岩プレート3を設置してもよい。
【0015】
第一反射板41は、カーボンヒーター2や溶岩プレート3から放射される熱(遠赤外線)を反射する機能を有しており、図1に示すように、カーボンヒーター2及び溶岩プレート3の上部で、蓋部11の内側に設けられている。
第一反射板41は、内側に湾曲した構造を有している。これにより、焼き台5に乗せた食材に熱(遠赤外線)を効率よく反射することができる。
第一反射板41を構成する材料としては、各種金属材料を用いることができるが、第一反射板41は、アルミニウムで構成されていることが好ましい。これにより、熱(遠赤外線)をより効率よく反射することができる。また、遠赤外線焼成機100の軽量化を図ることができる。
【0016】
第二反射板42は、カーボンヒーター2及び溶岩プレート3の下部に設けられ、カーボンヒーター2や溶岩プレート3から放射される熱(遠赤外線)を反射する機能を有している。本実施形態では、図1に示すように、1つのカーボンヒーター2に対して、1つの第二反射板42が設けられている。
第二反射板42は、カーボンヒーター2に向かって湾曲した構造を有している。これにより、焼き台5に乗せた食材に熱(遠赤外線)を効率よく反射することができる。
第二反射板42を構成する材料としては、各種金属材料を用いることができるが、第一反射板41と同様に第二反射板42は、アルミニウムで構成されていることが好ましい。これにより、熱(遠赤外線)をより効率よく反射することができる。また、遠赤外線焼成機100の軽量化を図ることができる。
なお、2つの第二反射板42は、図1に示すように別体として設けられていてもよいし、2つの第二反射板42が一体として設けられていてもよい。また、図1に示すように、箱体12の内壁面に第三反射板43を設けてもよい。
【0017】
焼き台5は、カーボンヒーター2及び溶岩プレート3と第一反射板41との間に設けられている。焼き台5は、網形態、板形態、2本の金属棒が平行に並んだ形態など、食材によって種々の形態のものを用いることができる。
【0018】
図1~3に示すように、カーボンヒーター2の周りには、カーボンヒーター2を保護する保護部材21が設けられている。保護部材21は、カーボンヒーター2を保護することができればその形状は特に限定されないが、円筒形状であることが好ましく、図1~3に示すように、円筒の壁面の一部が除去され、横断面がC字形状をするものであることがより好ましい。これにより、カーボンヒーター2を確実に保護するとともに、保護部材21を容易に取り外しすることができ、手入れが容易となる。
保護部材21を構成する材料としては、特に限定されないが、ガラス材料を用いることが好ましく、石英ガラスを用いることがより好ましい。これにより、カーボンヒーター2を確実に保護するとともに、保護部材21の耐熱性をより高いものとすることができる。
【0019】
また、第二反射板42の下部、すなわち、箱体12の下部には、カーボンヒーター2をコントロールするための電源ユニット6が収容されている。
なお、焼成機本体1は、蓋部11を閉めた状態で完全に密閉されるよう構成されていてもよいし、蓋部11が半円筒形状を備え、蓋部11を閉めた状態で図2の左右方向に開放されるよう構成されていてもよい。
また、第一反射板41そのものを蓋部としてもよい。
また、本実施形態では、カーボンヒーター2を2つ有するものとして説明したが、図4に示すように、カーボンヒーター2の数は1つでもよいし、3つ以上あってもよい。
【0020】
以上説明したような本発明の遠赤外線焼成機100によれば、カーボンヒーター2の左右に添うように配置された溶岩プレート3にカーボンヒーター2からの熱が吸収された後に放出され、その放出された熱がさらに各反射板で反射されて、食材に均一に効率よく熱が伝わることとで、焼成時間を短縮することができる。その結果、食材を柔らかく焼き上げる。
以上、本発明の遠赤外線焼成機及びについて、好適な実施形態を基に説明したが、本発明はこれに限定されない。
【実施例0021】
(実施例)
図1~3に示すような遠赤外線焼成機100を作製した。なお、溶岩プレート3は、厚み:8mm、幅W:30mm、長さL:140mmのものを1本のカーボンヒーター2に対し2枚用いた。また、カーボンヒーター2としては、炭素繊維の炭素管ヒーターを用いた。各反射板はアルミニウム製のものを用いた。
【0022】
(比較例)
比較用の焼成機として、イワタニカセットコンロタフまるJrに遠赤外線効果セラミック焼き網を載せたものを用いた。
<評価方法>
鶏肉132gを、実施例及び比較例の焼成機を用いて、目視で同じ焼き上がりとなるまで焼き、焼成前と焼成後との質量の差及び焼成後における水分保有率を測定した。これらの結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
表1から、実施例の遠赤外線焼成機は、見た目が同じ焼き上がりであっても、食材の水分量を多く残すことができることが解る。また、実施例と比較例の焼成機で焼成した鶏肉を食し、柔らかさを比較したところ、実施例の遠赤外線焼成機で焼成した鶏肉の方が明らかに柔らかい食感であった。
【符号の説明】
【0025】
1 焼成機本体
11 蓋部
12 箱体
13 取っ手
2 カーボンヒーター
21 保護部材
3 溶岩プレート
41 第一反射板
42 第二反射板
43 第三反射板
5 焼き台
6 電源ユニット
100 遠赤外線焼成機

図1
図2
図3
図4
図5
図6