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特開2024-141064トレイデータ作成装置およびトレイデータ作成方法ならびにトレイデータ作成プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141064
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】トレイデータ作成装置およびトレイデータ作成方法ならびにトレイデータ作成プログラム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20241003BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H05K13/02 Z
H05K13/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052506
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤坂 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 浩貴
(72)【発明者】
【氏名】村田 加代一
(72)【発明者】
【氏名】金道 亮介
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC04
5E353CC13
5E353EE02
5E353EE33
5E353EE53
5E353GG01
5E353HH51
5E353HH58
5E353JJ02
5E353JJ21
5E353JJ28
5E353JJ48
5E353KK02
5E353KK03
5E353KK11
5E353LL04
5E353LL06
5E353QQ01
5E353QQ30
(57)【要約】
【課題】部品実装装置に装着する前に現物のトレイを使用してトレイデータを作成することができるトレイデータ作成装置およびトレイデータ作成方法ならびにトレイデータ作成プログラムを提供する。
【解決手段】トレイの画像データを取得し(ST1)、画像データを表示し(ST2)、表示された画像データに対応する、第1吸着点の位置と、第1吸着点から最も離れた最遠吸着点の位置と、トレイの外周の1つの角の位置の入力を受け付け(ST4)、トレイの外周のサイズ、トレイの格納部の数、第1吸着点の位置、最終吸着点の位置、1つの角の位置に基づいて、部品実装装置で使用されるトレイデータを作成する(ST7)。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を格納する複数の格納部を有するトレイのトレイデータを作成するトレイデータ作成装置であって、
トレイの画像データを取得する取得部と、
前記画像データを表示する表示部と、
前記表示部に表示された前記画像データに対応する、第1吸着点の位置と、前記第1吸着点から最も離れた最遠吸着点の位置と、前記トレイの外周の1つの角の位置の入力を受け付ける入力部と、
前記トレイの外周のサイズ、前記トレイの格納部の数、前記第1吸着点の位置、前記最遠吸着点の位置、前記1つの角の位置に基づいて、部品実装装置で使用されるトレイデータを作成するトレイデータ作成部と、を備える、トレイデータ作成装置。
【請求項2】
前記トレイデータ作成部は、前記格納部のピッチを含むトレイデータを作成する、請求項1に記載のトレイデータ作成装置。
【請求項3】
前記トレイデータ作成部は、前記格納部の座標を含むトレイデータを作成する、請求項1に記載のトレイデータ作成装置。
【請求項4】
前記トレイデータ作成部は、前記1つの角の位置を原点とする前記格納部の座標を含むトレイデータを作成する、請求項3に記載のトレイデータ作成装置。
【請求項5】
前記表示部に表示される前記画像データの歪みを補正する画像補正部を、さらに備え、
前記表示部は、補正された前記画像データを表示する、請求項1に記載のトレイデータ作成装置。
【請求項6】
前記表示部は、前記画像データに重ねてグリッドを表示する、請求項1に記載のトレイデータ作成装置。
【請求項7】
前記表示部は、前記格納部に格納される部品の吸着高さを入力する画面を表示し、
前記入力部は、前記吸着高さの入力を受け付け、
前記トレイデータ作成部は、前記吸着高さを含むトレイデータを作成する、請求項1に記載のトレイデータ作成装置。
【請求項8】
複数のトレイの外周のサイズ、格納部の数を含むトレイ情報を記憶する記憶部を、さらに備え、
前記表示部は、前記トレイ情報のリストを表示し、
前記入力部は、前記リストの中から一のトレイのトレイ情報の選択を受け付け、
前記トレイデータ作成部は、前記選択されたトレイ情報に基づいて、前記トレイデータを作成する、請求項1に記載のトレイデータ作成装置。
【請求項9】
複数の部品を複数の格納部に格納するトレイのトレイデータを作成するトレイデータ作成方法であって、
トレイの画像データを取得する取得工程と、
前記画像データを表示する表示工程と、
表示された前記画像データに対応する、第1吸着点の位置と、前記第1吸着点から最も離れた最遠吸着点の位置と、前記トレイの外周の1つの角の位置の入力を受け付ける入力工程と、
前記トレイの外周のサイズ、前記トレイの格納部の数、前記第1吸着点の位置、前記最遠吸着点の位置、前記1つの角の位置に基づいて、部品実装装置で使用されるトレイデータを作成するトレイデータ作成工程と、を含む、トレイデータ作成方法。
【請求項10】
複数の部品を複数の格納部に格納するトレイのトレイデータをトレイデータ作成装置に作成させるトレイデータ作成プログラムであって、
トレイの画像データを取得する取得ステップと、
前記画像データを表示部に表示する表示ステップと、
表示された前記画像データにおいて、第1吸着点の位置と、前記第1吸着点から最も離れた最遠吸着点の位置と、前記トレイの外周の1つの角の位置の入力を受け付ける入力ステップと、
前記トレイの外周のサイズ、前記トレイの格納部の数、前記第1吸着点の位置、前記最遠吸着点の位置、前記1つの角の位置に基づいて、部品実装装置で使用されるトレイデータを作成するトレイデータ作成ステップと、を含む、トレイデータ作成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の部品を格納するトレイのトレイデータを作成するトレイデータ作成装置およびトレイデータ作成方法ならびにトレイデータ作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
部品実装装置では、複数の部品を格子状に格納するトレイから部品が供給される。部品実装装置は、トレイに格納された部品の座標情報を含むトレイデータに従って、トレイから部品を取り出して基板に実装する。特許文献1には、部品実装装置にセットされたトレイを部品実装装置が備えるカメラで撮像し、撮像画像においてトレイに格納された部品の吸着点などをティーチすることによりトレイデータを作成する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-345595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1を含む従来技術では、部品実装装置にセットしたトレイを使用してトレイデータを作成するため、吸着点のティーチ中は部品実装作業が中断するという問題点があった。また、硬質プラスチックなどの成形品であるトレイは、現物の仕上がりとカタログ情報に差が生じることもあり、カタログ情報からトレイデータを作成した場合は、仕上がりのずれにより部品実装装置がトレイから部品を取り出すことができずに停止し、作業者によるトレイデータの修正が発生するという問題点もあった。
【0005】
そこで本発明は、部品実装装置に装着する前に現物のトレイを使用してトレイデータを作成することができるトレイデータ作成装置およびトレイデータ作成方法ならびにトレイデータ作成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のトレイデータ作成装置は、部品を格納する複数の格納部を有するトレイのトレイデータを作成するトレイデータ作成装置であって、トレイの画像データを取得する取得部と、前記画像データを表示する表示部と、前記表示部に表示された前記画像データに対応する、第1吸着点の位置と、前記第1吸着点から最も離れた最遠吸着点の位置と、前記トレイの外周の1つの角の位置の入力を受け付ける入力部と、前記トレイの外周のサイズ、前記トレイの格納部の数、前記第1吸着点の位置、前記最遠吸着点の位置、前記1つの角の位置に基づいて、部品実装装置で使用されるトレイデータを作成するトレイデータ作成部と、を備える。
【0007】
本発明のトレイデータ作成方法は、複数の部品を複数の格納部に格納するトレイのトレイデータを作成するトレイデータ作成方法であって、トレイの画像データを取得する取得工程と、前記画像データを表示する表示工程と、表示された前記画像データに対応する、第1吸着点の位置と、前記第1吸着点から最も離れた最遠吸着点の位置と、前記トレイの外周の1つの角の位置の入力を受け付ける入力工程と、前記トレイの外周のサイズ、前記トレイの格納部の数、前記第1吸着点の位置、前記最終吸着点の位置、前記1つの角の位置に基づいて、部品実装装置で使用されるトレイデータを作成するトレイデータ作成工程と、を含む。
【0008】
本発明のトレイデータ作成プログラムは、複数の部品を複数の格納部に格納するトレイのトレイデータをトレイデータ作成装置に作成させるトレイデータ作成プログラムであって、トレイの画像データを取得する取得ステップと、前記画像データを表示部に表示する表示ステップと、表示された前記画像データにおいて、第1吸着点の位置と、前記第1吸着点から最も離れた最遠吸着点の位置と、前記トレイの外周の1つの角の位置の入力を受け付ける入力ステップと、前記トレイの外周のサイズ、前記トレイの格納部の数、前記第1吸着点の位置、前記最遠吸着点の位置、前記1つの角の位置に基づいて、部品実装装置で使用されるトレイデータを作成するトレイデータ作成ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、部品実装装置に装着する前に現物のトレイを使用してトレイデータを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態の部品実装装置の構成説明図
図2】本発明の一実施の形態の部品実装装置で使用される部品が収納されたトレイの一例の(a)平面図(b)正面断面図
図3】本発明の一実施の形態のトレイのサイズの説明図
図4】本発明の一実施の形態の部品実装装置で使用されるトレイデータの一例の説明図
図5】本発明の一実施の形態の管理コンピュータ(トレイデータ作成装置)の構成を説明するブロック図
図6】本発明の一実施の形態の管理コンピュータ(トレイデータ作成装置)が備える表示部に表示されたトレイ画像表示画面の一例の説明図
図7】本発明の一実施の形態の管理コンピュータ(トレイデータ作成装置)が備える表示部に表示された補正トレイ画像表示画面の一例の説明図
図8】本発明の一実施の形態の管理コンピュータ(トレイデータ作成装置)が備える表示部に表示されたトレイ情報選択画面の一例の説明図
図9】本発明の一実施の形態の管理コンピュータ(トレイデータ作成装置)が備える表示部に表示されたトレイ情報入力画面の一例の説明図
図10】本発明の一実施の形態の管理コンピュータ(トレイデータ作成装置)におけるトレイデータの作成の説明図
図11】本発明の一実施の形態のトレイから部品が取り出される(a)横一方向の説明図(b)横往復方向の説明図(c)縦一方向の説明図(d)縦往復方向の説明図
図12】本発明の一実施の形態の管理コンピュータ(トレイデータ作成装置)によって作成されたトレイデータの一例の説明図
図13】本発明の一実施の形態のトレイデータ作成方法のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、管理コンピュータ、部品実装装置、トレイの仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図1、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸として、基板搬送方向のX軸(図1における左右方向)、基板搬送方向に直交するY軸(図1における上下方向)が示される。図1、及び後述する一部では、水平面と直交する高さ方向としてZ軸(図2(b)における上下方向)が示される。
【0012】
まず図1を参照して、部品実装装置1の構成を説明する。部品実装装置1において、基台1aの中央には、基板搬送機構2がX軸に沿って配置されている。基板搬送機構2は、上流から搬入された基板3をX軸に沿って搬送し、以下に説明する実装ヘッドによる実装作業位置に位置決めして保持する。また、基板搬送機構2は、部品実装作業が完了した基板3を下流に搬出する。基板搬送機構2の両側(Y軸の前後方向)には、それぞれ部品供給部4が設置されている。
【0013】
両方の部品供給部4には、複数のテープフィーダ5がX軸に沿って並列に装着されている。テープフィーダ5は、部品を格納するポケットが形成されたキャリアテープを部品供給部4の外側から基板搬送機構2に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、実装ヘッドが部品をピックアップする部品取出し位置に部品を供給する。また、一方の部品供給部4には、大型部品やコネクタなどの部品Dを収容した複数のトレイ6が載置されたトレイパレット7を部品取出し位置に供給するトレイフィーダ8が装着されている。
【0014】
図1において、基台1aの上面におけるX軸方向の両端部には、リニア駆動機構を備えたY軸テーブル9がY軸に沿って配置されている。Y軸テーブル9には、同様にリニア機構を備えたビーム10がY軸に沿って移動自在に結合されている。ビーム10には、実装ヘッド11がX軸に沿って移動自在に装着されている。実装ヘッド11は、部品Dを保持してZ軸方向に昇降し、鉛直軸(Z軸)回りに回転可能な複数の吸着ユニット(図示省略)を備える。吸着ユニットのそれぞれの下端部には、部品Dを吸着して保持する吸着ノズル11a(図2(b)参照)が装着されている。
【0015】
Y軸テーブル9およびビーム10は、実装ヘッド11を水平方向(X軸方向、Y軸方向)に移動させる実装ヘッド移動機構12を構成する。実装ヘッド移動機構12および実装ヘッド11は、部品供給部4から部品Dを取り出して基板3の実装位置に装着する部品実装作業を実行する部品実装機構を構成する。部品実装作業において実装ヘッド11は、部品供給部4の上方に移動し、各吸着ノズル11aで所定の部品Dをそれぞれピックアップする。次いで実装ヘッド11は、基板3の上方に移動し、各吸着ノズル11aが保持する部品Dを所定の方向に回転させ、それぞれの実装位置に装着する一連のターンを繰り返す。
【0016】
図1において、ビーム10には、ビーム10の下面側に位置して実装ヘッド11とともに一体的に移動するヘッドカメラ13が装着されている。実装ヘッド11が移動することにより、ヘッドカメラ13は基板搬送機構2の実装作業位置に位置決めされた基板3の上方に移動して、基板3に設けられた基板マーク(図示省略)を撮像する。撮像結果からは、基板3の位置が認識される。
【0017】
部品供給部4と基板搬送機構2との間には、部品認識カメラ14が配置されている。部品認識カメラ14は、部品供給部4から部品Dを取り出した実装ヘッド11が部品認識カメラ14の上方に位置した際に、吸着ノズル11aに保持された部品Dを下方から撮像する。撮像結果からは、部品Dの保持姿勢が認識される。実装ヘッド11による部品Dの基板3への部品実装作業では、ヘッドカメラ13による基板3の撮像結果と部品認識カメラ14による部品Dの撮像結果とを加味して実装位置の補正が行われる。
【0018】
図1において、部品実装装置1の前面で作業者が作業する位置には、作業者が操作するタッチパネル15が設置されている。タッチパネル15は、その表示部に各種情報を表示し、また表示部に表示される操作ボタンなどを使って作業者がデータ入力や部品実装装置1の操作を行う。部品実装装置1は、通信ネットワークNTを介して管理コンピュータCPと接続されている。管理コンピュータCPは、部品実装装置1が部品実装作業を実行するために必要なデータやパラメータを作成し、部品実装装置1に送信する機能を有している。
【0019】
次に、図2を参照して、トレイ6の詳細について説明する。トレイ6は、硬質プラスチップなどの樹脂を成形加工することで形成される。トレイ6の上面6aには、部品Dの形状に合わせて格子配列に形成された凹状の格納部6bが所定の間隔(ピッチ)で形成されている。各格納部6bの中には、部品Dが収容される。吸着ノズル11aは、格納部6bに格納されている部品Dの上面Daを吸着して、トレイ6から部品Dを取り出す。以下、トレイ6の下面6cから上面6aまでの高さをトレイ高さHtと定義する。また、トレイ6の下面6cから格納部6bに格納された部品Dの上面Daまでの高さを吸着高さHdと定義する。すなわち、吸着ノズル11aは、吸着高さHdでトレイ6に格納されている部品Dを吸着する。
【0020】
次に、図3図4を参照して、部品実装装置1で使用されるトレイデータ34(図5参照)の例について説明する。図3には、トレイ6の主要部分のサイズを表示している。図4には、図3に示すトレイ6のトレイデータ34の例を示す。図3において、トレイ6の外周のサイズ(トレイサイズ)は、X軸方向がWx、Y軸方向がWyである。トレイ6には、X軸方向に4列、Y軸方向に4行の格子状に格納部6bが形成されている。すなわち、トレイ6の格納部6bの数(格納数)は、X軸方向が「4個」、Y軸方向が「4個」である。トレイ6に形成されている格納部6bのX軸方向のピッチ(間隔)はX1、Y軸方向のピッチ(間隔)はY1である。
【0021】
本実施の形態のトレイデータ34は、トレイ6の外周の4つの角のうち、右上の角の位置(トレイ角位置Pc)をXY座標の原点(0,0)として作成される。また、図3の例では、トレイ6の右上の格納部6bから最初の部品Dが取り出される。また、吸着ノズル11aは、格納部6bに収納されている部品Dの中心位置を目標に部品Dを吸着する。以下、トレイ6に形成されている右上の格納部6bの中心位置を第1吸着点Pfと定義する。すなわち、吸着ノズル11aは、トレイ6が交換された直後は、第1吸着点Pfを目標に部品Dを吸着する。第1吸着点Pfは、トレイ角位置PcからX軸方向にX0、Y軸方向にY0だけ離れている。
【0022】
図4において、トレイデータ34には、収納部番号20毎に、吸着順番21、部品吸着点座標22が記憶されている。部品吸着点座標22は、トレイ6の外周の右上のトレイ角位置Pcを原点(0,0)とする部品吸着位置のXY座標(X座標22x,Y座標22y)で示される。収納部番号20は、トレイ6の第1行の右端(右上)の格納部6bから始まり、X軸方向の左向きに順番が上がり、左端に達すると次は第2行の右端から左向きに順番が上がるように付与されている。図3では、格納部6bに各々の収納部番号20が表示されている。図4の例では、吸着順番21は、収納部番号20と同じ順番(横一方向)で指定されている(図11(a)も参照)。
【0023】
次に図5を参照して、管理コンピュータCPの構成を説明する。ここでは、管理コンピュータCPが有する機能のうち、部品Dを格納する複数の格納部6bを有するトレイ6のトレイデータ34を作成するトレイデータ作成装置としての機能について説明する。管理コンピュータCPが備える制御装置30には、表示部39、入力部40、通信部41が接続されている。制御装置30は、記憶部31、取得部35、表示処理部36、画像補正部37、トレイデータ作成部38を備えている。記憶部31は記憶装置であり、トレイ画像データ32、トレイ情報データ33、トレイデータ34などを記憶している。
【0024】
表示部39は液晶パネルなどの表示装置であり、入力部40による操作のための操作画面などの各種情報を表示する。入力部40は、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力デバイスであり、操作コマンドやデータ入力時などに用いられる。通信部41は通信インターフェースであり、通信ネットワークNTを介して部品実装装置1との間で信号、データの授受を行う。
【0025】
図5において、取得部35は、作業者がデジタルカメラなどを使用してトレイ6の上面6aを撮像したトレイ6の画像データを取得する。取得された画像データは、トレイ画像データ32として記憶部31に記憶される。表示処理部36は、トレイ画像データ32に含まれるトレイ6の画像データを表示する画面や、トレイデータ34の作成に必要な情報の入力を支援する画面などを表示部39に表示させる。
【0026】
ここで、図6を参照して、表示処理部36が表示部39に表示させたトレイ画像表示画面50の例について説明する。トレイ画像表示画面50には、トレイ画像表示枠51、画像補正ボタン52、中止ボタン53が表示されている。トレイ画像表示枠51には、トレイ画像データ32に含まれるトレイ6の画像データ54が表示される。トレイ画像表示枠51には、画像データ54に重ねてグリッド55が表示される。このように、表示部39は、画像データ54を表示し、画像データ54に重ねてグリッド55を表示する。
【0027】
入力部40の操作により画像補正ボタン52が押下されると、画像補正部37によって、画像データ54の歪が補正され、補正トレイ画像表示画面が表示される。画像補正部37は、トレイ画像表示枠51に表示されているトレイ6の画像データ54の回転角度、傾きなどを補正して、トレイ6の外周が直角に交わるように画像データ54の歪を補正する。入力部40の操作により中止ボタン53が押下されると、トレイデータ34の作成処理が中止される。
【0028】
次に、図7を参照して、表示処理部36が表示部39に表示させた補正トレイ画像表示画面56の例について説明する。補正トレイ画像表示画面56には、補正トレイ画像表示枠57、設定ボタン58、中止ボタン59が表示されている。補正トレイ画像表示枠57には、画像補正部37が画像データ54を補正した補正画像データ60が表示される。補正トレイ画像表示枠57には、補正画像データ60に重ねてグリッド61が表示される。このように、画像補正部37は、表示部39に表示される画像データ54の歪みを補正する。また、表示部39は、補正された画像データ(補正画像データ60)を表示する。
【0029】
補正トレイ画像表示枠57では、入力部40の操作により、補正画像データ60に対応する第1吸着点Pfの位置(白丸)と、第1吸着点Pfから最も離れた吸着点である最遠吸着点Paの位置(十字に白丸)と、トレイ6の外周の4つの角のうちの1つの角の位置(トレイ角位置Pc)(黒丸)が指定(ティーチング)される。この例では、第1吸着点Pfの位置として、右上の格納部6bの中心位置が指定されている。また、最遠吸着点Paの位置として、左下の格納部6bの中心位置が指定されている。また、トレイ角位置Pcとして、トレイ6の外周の右上の角の位置が指定されている。
【0030】
このように、入力部40は、表示部39に表示された補正画像データ60に対応する、第1吸着点Pfの位置と、第1吸着点Pfから最も離れた最遠吸着点Paの位置と、トレイ6の外周の1つの角の位置(トレイ角位置Pc)の入力を受け付ける。
【0031】
入力部40の操作により設定ボタン58が押下されると、第1吸着点Pfの位置と、最遠吸着点Paの位置と、トレイ角位置Pcが確定し、補正画像データ60に対応する、第1吸着点Pfの位置と、最遠吸着点Paの位置と、トレイ角位置Pcが取得され、トレイ情報選択画面が表示される。入力部40の操作により中止ボタン59が押下されると、トレイデータ34の作成処理が中止される。
【0032】
次に、図8を参照して、表示処理部36が表示部39に表示させたトレイ情報選択画面62の例について説明する。トレイ情報選択画面62には、トレイ情報リスト表示枠63、選択ボタン64、中止ボタン65が表示されている。トレイ情報リスト表示枠63には、記憶部31に記憶されているトレイ情報データ33に含まれる複数のトレイ6のトレイ情報がリスト形式で表示される。このように、表示部39は、トレイ情報のリスト(トレイ情報データ33)を表示する。
【0033】
トレイ情報リスト表示枠63には、トレイ番号毎に、選択ラジオボタン、X軸方向とY軸方向のトレイサイズと、X軸方向とY軸方向の格納部6bの数(格納数)が表示される。なお、トレイ情報データ33には、トレイ情報として、X軸方向とY軸方向のトレイサイズと、X軸方向とY軸方向の格納数の他、トレイ高さHt、X軸方向とY軸方向の格納部6bのピッチなども記憶される。このように、記憶部31は、複数のトレイ6の外周のサイズ(トレイサイズ)、格納部6bの数(格納数)を含むトレイ情報(トレイ情報データ33)を記憶する。
【0034】
図8において、入力部40の操作により選択ボタン64が押下されると、選択ラジオボタンが押下されたトレイ情報が選択され、トレイ情報入力画面が表示される。この例では、トレイ番号が「T003」のトレイ6が選択される。すなわち、入力部40は、リスト(トレイ情報データ33)の中から一のトレイ6のトレイ情報の選択を受け付ける。入力部40の操作により中止ボタン65が押下されると、トレイデータ34の作成処理が中止される。
【0035】
次に、図9を参照して、表示処理部36が表示部39に表示させたトレイ情報入力画面66の例について説明する。トレイ情報入力画面66には、トレイ番号表示枠67、トレイ情報表示枠68、決定ボタン69、中止ボタン70が表示されている。トレイ番号表示枠67には、トレイ情報表示枠68にトレイ情報が表示されているトレイ6のトレイ番号(T003)が表示される。
【0036】
トレイ情報表示枠68には、トレイ情報データ33に含まれるトレイ情報の他、補正トレイ画像表示画面56において設定された情報に基づいてトレイデータ作成部38が作成したトレイ情報の一部が表示される。この例では、トレイ情報表示枠68には、X軸方向とY軸方向のトレイサイズ(Wx3,Wy3)、トレイ高さHt(Ht3)、X軸方向とY軸方向の格納数(Nx3,Ny3)、第1吸着点Pf(Xf,Yf)、最遠吸着点Pa(Xa,Ya)、吸着高さHd(Hd)、X軸方向とY軸方向の格納部6bのピッチ(X2,Y2)、吸着方向(横往復方向)が表示されている。
【0037】
図9において、トレイ情報表示枠68に表示されている情報のうち、トレイサイズ、トレイ高さHt、格納数は、トレイ情報データ33に記憶されている情報である。また、トレイ情報表示枠68に表示されている情報のうち、第1吸着点Pf、最遠吸着点Pa、格納部6bのピッチは、トレイデータ作成部38によって作成された情報である。トレイ情報表示枠68に表示されている情報のうち、吸着高さHd、吸着方向は、トレイ情報入力画面66において入力される情報である。また、トレイ情報表示枠68に表示されている情報は、入力部40の操作によって修正することができる。
【0038】
入力部40の操作により決定ボタン69が押下されると、トレイ情報表示枠68に表示されている情報に基づいて、トレイデータ作成部38がトレイデータ34を作成する。すなわち、トレイデータ作成部38は、トレイ情報選択画面62において選択されたトレイ情報データ33に含まれるトレイ情報に基づいて、トレイデータ34を作成する。また、表示部39は、格納部6bに格納される部品Dの吸着高さHdを入力する画面(トレイ情報入力画面66)を表示し、入力部40は、吸着高さHdの入力を受け付け、トレイデータ作成部38は、吸着高さHdを含むトレイデータ34を作成する。入力部40の操作により中止ボタン70が押下されると、トレイデータ34の作成処理が中止される。
【0039】
ここで、図10を参照して、トレイデータ作成部38による第1吸着点Pf、最遠吸着点Pa、格納部6bのピッチの導出方法について説明する。図10は、図7に示す補正トレイ画像表示画面56の補正トレイ画像表示枠57に表示される補正画像データ60を示している。トレイデータ作成部38は、補正画像データ60に対して指定されたトレイ角位置Pcを原点(0,0)とし、トレイ情報入力画面66のトレイ情報表示枠68で指定されたトレイサイズ(Wx3,Wy3)から、補正画像データ60に対して指定された第1吸着点Pf(Xf,Yf)と最遠吸着点Pa(Xa,Ya)のXY座標を導出する。
【0040】
次いでトレイデータ作成部38は、導出した第1吸着点PfのX座標(Xf)と最遠吸着点PaのX座標(Xa)、トレイ情報表示枠68で指定されたX軸方向の格納数(Nx3)から、X軸方向の格納部6bのピッチ(X2=(Xa-Xf)/(Nx3-1))を算出する。同様に、トレイデータ作成部38は、導出した第1吸着点PfのY座標(Yf)と最遠吸着点PaのY座標(Ya)、トレイ情報表示枠68で指定されたY軸方向の格納数(Ny3)から、Y軸方向の格納部6bのピッチ(Y2=(Ya-Yf)/(Ny3-1))を算出する。
【0041】
次に、図11を参照して、トレイ情報入力画面66のトレイ情報表示枠68で指定される吸着方向について説明する。図11(a)は、横一方向の吸着方向を説明する図である。横一方向では、右上の第1吸着点Pfの格納部6bから始まり、左向きに順番が上がり、次の第2行も右端から左向きに順番が上がるように吸着順番が設定される。図11(b)は、横往復方向の吸着方向を説明する図である。横往復方向では、第1吸着点Pfの格納部6bから始まり、奇数行は右端から左向きに順番が上がり、偶数行は左端から右向きに順番が上がるように吸着順番が設定される。
【0042】
図11(c)は、縦一方向の吸着方向を説明する図である。縦一方向では、第1吸着点Pfの格納部6bから始まり、下向きに順番が上がり、次の第2列も上から下に向けて順番が上がるように吸着順番が設定される。図11(c)は、縦往復方向の吸着方向を説明する図である。縦往復方向では、第1吸着点Pfの格納部6bから始まり、奇数列は上から下に向けて順番が上がり、偶数列は下から上に向けて順番が上がるように吸着順番が設定される。横一方向と縦一方向は、最遠吸着点Paが最終吸着点(16)になる。一方、横往復方向と縦往復方向は、最遠吸着点Paが最終吸着点(16)にならない場合もある。
【0043】
次に、図12を参照して、図9に示すトレイ情報入力画面66において決定ボタン69が押下され、トレイデータ作成部38がトレイ情報表示枠68に表示されている情報に基づいて作成したトレイデータ34の例について説明する。トレイデータ34には、吸着順番21、部品吸着点座標22が記憶されている。図12に示すトレイデータ34は、横往復方向の吸着方向で作成されており、吸着順番21が「1」の部品吸着点は第1吸着点Pf(Xf,Yf)である。また、トレイデータ34は、X軸方向にはピッチ(X2)で、Y軸方向にはピッチ(Y2)で部品吸着点が移動するように作成されている。
【0044】
このように、トレイデータ作成部38は、トレイ6の外周のサイズ(トレイサイズ)、トレイ6の格納部6bの数(格納数)、第1吸着点Pfの位置、最遠吸着点Paの位置、トレイ6の外周の1つの角の位置(トレイ角位置Pc)に基づいて、格納部6bのピッチ(X2,Y2)を含むトレイデータ34を作成する。また、トレイデータ作成部38は、トレイ6の外周の1つの角の位置(トレイ角位置Pc)を原点とする格納部6bの座標(部品吸着点座標22)を含むトレイデータ34を作成する。
【0045】
作成されたトレイデータ34は、記憶部31に記憶されるとともに、部品実装装置1に送信され、部品実装装置1における部品実装作業に使用される。なお、トレイデータ34が部品吸着点座標22を含まない場合、トレイデータ34に含まれる格納部6bのピッチと格納数に基づいて、部品実装装置1が部品吸着点座標を算出する。
【0046】
次に、図13のフローに沿って、図面を参照しながらトレイデータ作成装置(管理コンピュータCP)がトレイデータ作成プログラムに従って実行する、複数の部品Dを複数の格納部6bに格納するトレイ6のトレイデータ34を作成するトレイデータ作成方法について説明する。まず、取得部35は、トレイ6の画像データ54(トレイ画像データ32)を取得する(ST1:取得工程)。次いで表示処理部36は、画像データ54を表示部39に表示させる(ST2:表示工程)(図6)。次いで画像補正部37は、画像データ54の歪みを補正した補正画像データ60を表示部39に表示させる(ST3:画像補正工程)(図7)。
【0047】
次いで、表示された補正画像データ60に対応する、第1吸着点Pfの位置と、第1吸着点Pfから最も離れた最遠吸着点Paの位置と、トレイ6の外周の1つの角の位置(トレイ角位置Pc)の入力が受け付けられる(ST4:入力工程)(図7)。次いで、トレイ6の外周のサイズ(トレイサイズ)、トレイ6の格納部6bの数(格納数)を含むトレイ情報(トレイ情報データ33)の選択が受け付けられる(ST5:トレイ情報選択工程)(図8)。次いで、吸着高さHd、吸着方向などのトレイデータ情報の入力が受け付けられる(ST6:トレイ情報入力工程)(図9)。
【0048】
次いでトレイデータ作成部38が、トレイ6の外周のサイズ(トレイサイズ)、トレイ6の格納部6bの数(格納数)、第1吸着点Pfの位置、最遠吸着点Paの位置、トレイ6の外周の1つの角の位置(トレイ角位置Pc)などに基づいて、部品実装装置1で使用されるトレイデータ34を作成する(ST7:トレイデータ作成工程)。これによって、部品実装装置1に装着する前に現物のトレイ6を使用してトレイデータ34を作成することができる。
【0049】
上記説明したように、本実施の形態の管理コンピュータCPは、トレイ6の画像データ54を取得する取得部35と、画像データ54を表示する表示部39と、表示部39に表示された画像データ54(または、補正画像データ60)に対応する、第1吸着点Pfの位置と、第1吸着点Pfから最も離れた最遠吸着点Paの位置と、トレイ6の外周の1つの角の位置(トレイ角位置Pc)の入力を受け付ける入力部40と、トレイの外周のサイズ(トレイサイズ)、トレイ6の格納部6bの数(格納数)、第1吸着点Pfの位置、最遠吸着点Paの位置、トレイ角位置Pcに基づいて、部品実装装置1で使用されるトレイデータ34を作成するトレイデータ作成部38と、を備え、トレイデータ34を作成するトレイデータ作成装置である。
【0050】
これによって、部品実装装置1に装着する前に現物のトレイ6を使用してトレイデータ34を作成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明のトレイデータ作成装置およびトレイデータ作成方法ならびにトレイデータ作成プログラムは、部品実装装置に装着する前に現物のトレイを使用してトレイデータを作成することができるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0052】
1 部品実装装置
6 トレイ
6b 格納部
54 画像データ
55、61 グリッド
60 補正画像データ(補正された画像データ)
CP 管理コンピュータ(トレイデータ作成装置)
D 部品
Hd 吸着高さ
Pa 最遠吸着点
Pc トレイ角位置(トレイの外周の1つの角の位置)
Pf 第1吸着点
Wx、Wx3、Wy、Wy3 トレイサイズ(トレイの外周のサイズ)
X1、X2、Y1、Y2 ピッチ(格納部のピッチ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13