(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141065
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】スクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法
(51)【国際特許分類】
B41F 15/08 20060101AFI20241003BHJP
B41M 1/12 20060101ALI20241003BHJP
B41F 15/12 20060101ALI20241003BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B41F15/08 303E
B41M1/12
B41F15/12 A
H05K3/34 505D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052507
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 哲矢
【テーマコード(参考)】
2C035
2H113
5E319
【Fターム(参考)】
2C035AA06
2C035FA22
2C035FB14
2C035FD01
2C035FD15
2C035FD42
2H113BA10
2H113BB22
2H113BC12
2H113CA17
5E319AC01
5E319BB05
5E319CC33
5E319CD04
5E319CD29
5E319CD38
5E319GG09
5E319GG15
(57)【要約】
【課題】マスクの位置合わせ孔を明瞭に認識でき、マスクと基板の自動位置合わせを可能にできるスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【解決手段】マスク13に設けられた位置合わせ孔13Mを主照明である上向き照明61により照明するとともに上向き照明61による照明方向とは反対の方向から対向照明16により位置合わせ孔13Mを照明した状態で、位置合わせ孔13Mを上向き照明61の側からカメラ65により撮像する。撮像により得られた位置合わせ孔13Mの画像に基づいてマスク13と基板KBを位置合わせした後、マスク13に沿う方向にスキージを移動させてマスク13のパターン開口にマスク13上のペーストを押し込むことで、基板KBにペーストを印刷する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン開口が形成されたマスクを用いて基板にペーストを印刷するスクリーン印刷装置であって、
前記マスクに設けられた位置合わせ孔を照明する主照明と、
前記主照明により前記位置合わせ孔を照明している状態で前記主照明による照明方向とは反対の方向から前記位置合わせ孔を照明する対向照明と、
前記主照明と前記対向照明によって照明されている前記位置合わせ孔を前記主照明の側から撮像するカメラと、
前記カメラにより撮像して得られた前記位置合わせ孔の画像に基づいて前記マスクと前記基板を位置合わせする位置合わせ手段と、
前記基板と位置合わせされた状態の前記マスクに沿う方向に移動して前記パターン開口に前記マスク上のペーストを押し込むスキージと、
を備えたスクリーン印刷装置。
【請求項2】
前記主照明はカメラとともに前記マスクに沿った方向に移動自在であり、前記対向照明は前記マスクを挟んで前記主照明とは反対側に位置する領域を前記マスクに沿った方向に移動自在である、請求項1に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項3】
前記主照明は前記位置合わせ孔を前記マスクの法線に対して傾斜した方向から照明し、前記対向照明は前記位置合わせ孔を前記マスクの法線に平行な方向から照明する、請求項2に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項4】
前記対向照明は前記スキージとともに前記スキージの移動方向に移動する、請求項2に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項5】
前記対向照明は前記スキージの延びる方向に並んだ複数の光源の集合体から成る、請求項2に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項6】
前記対向照明は前記スキージの延びる方向に延び、前記主照明が照射して前記位置合わせ孔を透過した光を反射する光反射部材から成る、請求項1に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項7】
前記マスクはメッシュマスクである、請求項1~6のいずれかに記載のスクリーン印刷装置。
【請求項8】
パターン開口が形成されたマスクを用いて基板にペーストを印刷するスクリーン印刷方法であって、
前記マスクに設けられた位置合わせ孔を主照明により照明するとともに前記主照明による照明方向とは反対の方向から対向照明により前記位置合わせ孔を照明する照明工程と、
前記主照明と前記対向照明によって照明されている前記位置合わせ孔を前記主照明の側からカメラにより撮像する撮像工程と、
前記カメラにより撮像して得られた前記位置合わせ孔の画像に基づいて前記マスクと前記基板を位置合わせして前記マスクに前記基板を位置合わせする位置合わせ工程と、
前記基板と位置合わせされた状態の前記マスクに沿う方向にスキージを移動させて前記パターン開口に前記マスク上のペーストを押し込むことで基板にペーストを印刷する印刷工程と、
を含むスクリーン印刷方法。
【請求項9】
前記マスクはメッシュマスクである、請求項8に記載のスクリーン印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクに形成されたパターン開口を通じて基板にペーストを印刷するスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーン印刷装置は、パターン開口が形成されたマスクに基板を位置合わせした後、マスクに沿う方向にスキージを移動させてパターン開口にペーストを押し込むことで、パターン開口を通じて基板にペーストを印刷する構成となっている。このようなスクリーン印刷装置のマスクには位置合わせ用の孔(位置合わせ孔)が形成されており、マスクと基板を位置合わせする前に、マスクの下方に配置されたカメラによって、基板に設けられた位置合わせ用のマーク(基板マーク)を撮像するとともに位置合わせ孔を撮像し、得られた両画像の位置関係に基づいてマスクと基板とを位置合わせするようにしている(例えば、下記の特許文献1)。この際、マスクが金属製のメタルマスクである場合には、マスクが照明光を反射して明色(白色)となる背景の中に、位置合わせ孔の内部が暗色(黒色)となって映し出されるので、位置合わせ孔の輪郭は明瞭に認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、マスクがメッシュ構造のメッシュマスクである場合には、メッシュ部は照明光を反射して明色(白色)となるものの、樹脂製の乳剤から成る目止め部が照明光を吸収して暗色になるため、位置合わせ孔の内部とのコントラストがつきにくくなって位置合わせ孔の輪郭を明瞭に認識することができない。このためスクリーン印刷装置が本来備えているマスクに基板を自動で位置合わせする機能が十分に発揮されず、作業者は試行錯誤しながら手作業でマスクと基板の位置合わせを行わざるを得ないという問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、マスクの位置合わせ孔を明瞭に認識でき、マスクと基板の自動位置合わせを可能にできるスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスクリーン印刷装置は、パターン開口が形成されたマスクを用いて基板にペーストを印刷するスクリーン印刷装置であって、前記マスクに設けられた位置合わせ孔を照明する主照明と、前記主照明により前記位置合わせ孔を照明している状態で前記主照明による照明方向とは反対の方向から前記位置合わせ孔を照明する対向照明と、前記主照明と前記対向照明によって照明されている前記位置合わせ孔を前記主照明の側から撮像するカメラと、前記カメラにより撮像して得られた前記位置合わせ孔の画像に基づいて前記マスクと前記基板を位置合わせする位置合わせ手段と、前記基板と位置合わせされた状態の前記マスクに沿う方向に移動して前記パターン開口に前記マスク上のペーストを押し込むスキージと、を備えた。
【0007】
本発明のスクリーン印刷方法は、パターン開口が形成されたマスクを用いて基板にペーストを印刷するスクリーン印刷方法であって、前記マスクに設けられた位置合わせ孔を主照明により照明するとともに前記主照明による照明方向とは反対の方向から対向照明により前記位置合わせ孔を照明する照明工程と、前記主照明と前記対向照明によって照明されている前記位置合わせ孔を前記主照明の側からカメラにより撮像する撮像工程と、前記カメラにより撮像して得られた前記位置合わせ孔の画像に基づいて前記マスクと前記基板を位置合わせして前記マスクに前記基板を位置合わせする位置合わせ工程と、前記基板と位置合わせされた状態の前記マスクに沿う方向にスキージを移動させて前記パターン開口に前記マスク上のペーストを押し込むことで基板にペーストを印刷する印刷工程と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、マスクの位置合わせ孔を明瞭に認識でき、マスクと基板の自動位置合わせを可能にできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置の斜視図
【
図2】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置の側面図
【
図3】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置の一部の斜視図
【
図4】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置が備えるマスクのパターン開口の(a)側面図(b)平面図
【
図5】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置が備えるカメラユニットにより(a)マスクの位置合わせ孔を撮像している状態を示す図(b)基板マークを撮像している状態を示す図
【
図6】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置の制御系統を示すブロック図
【
図7】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置の側面図
【
図8】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置の側面図
【
図9】(a)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置が備える上向き照明と対向照明によりマスクの位置合わせ孔を照明してカメラにより撮像している状態を示す図(b)その撮像により得られた画像を示す図
【
図10】(a)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置が備える上向き照明によりマスクの位置合わせ孔を照明してカメラにより撮像している状態を示す図(b)その撮像により得られた画像を示す図
【
図11】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置の側面図
【
図12】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置の側面図
【
図13】本発明の一実施の形態の変形例におけるスクリーン印刷装置の側面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1および
図2は本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置1を示している。スクリーン印刷装置1は、上流工程側から基板KBを搬入し、その基板KBの表面に設けられた複数の電極DKそれぞれに半田ペースト等のペーストPstを印刷して下流工程側に搬出する装置である。ここでは説明の便宜上、作業者OPから見たスクリーン印刷装置1の前後方向をY方向、作業者OPから見た左右方向(基板KBの搬送方向)をX方向とし、上下方向をZ方向とする。また、Y方向のうち、作業者OPから見た手前側を前方、作業者OPから見た奥側を後方とする。
【0011】
図1および
図2において、スクリーン印刷装置1は、基台11、基板保持移動部12、マスク13、印刷ヘッド14、カメラユニット15および対向照明16を備えている。基板保持移動部12は基台11上に設けられており、マスク13は基板保持移動部12の上方に設置されている。印刷ヘッド14はマスク13の上方を水平方向に移動自在に設けられている。カメラユニット15は、基板保持移動部12とマスク13の間の領域を水平方向に移動自在に設けられている。
【0012】
図2において、基板保持移動部12は、基板保持部21と、保持部移動機構22から構成されている。基板保持部21はY方向に平行に並んで設けられた基板搬送用の一対の搬送コンベア31と、搬送コンベア31の下方でZ方向に移動自在な下受け部32と、一対の搬送コンベア31の上方でY方向に開閉自在な一対のクランパ33を備えている。
【0013】
基板保持部21は搬送コンベア31によって基板KBを受け取り、所定の位置まで搬送する。下受け部32は、搬送コンベア31が所定の位置に搬送した基板KBの下方から上昇して基板KBの下面を支持する。一対のクランパ33は、下受け部32が支持した基板KBの両端を側方から挟んでクランプする。保持部移動機構22は直交座標テーブルによって構成されており、基板KBを保持した基板保持部21をXY面内方向、Z軸方向およびZ軸回り方向に移動させる。
【0014】
図1、
図2および
図3において、マスク13はXY平面に広がった矩形形状を有しており、四辺が矩形枠状のマスク枠13Wによって支持されている。基板保持移動部12の上方にはX方向に延びた前後一対のマスク支持レール34が設けられており、マスク13はこれら一対のマスク支持レール34によって左右両端が支持されている(
図1および
図2)。
【0015】
マスク13は、本実施の形態では、メッシュ構造を有するメッシュマスクであり、
図4(a),(b)に示すように、メッシュ部MSと、目止め部MDを有している。メッシュ部MSは糸が縦横に織られて成る部分であり、目止め部MDはメッシュ部MSを構成する糸と糸との間に充填された樹脂製の乳剤から成る部分である。
【0016】
図3において、マスク13の中央部には、基板KBが有する電極DKと同じ配置でパターン開口13Hが設けられている。パターン開口13Hはメッシュ部MSのうち目止め部MDのない(目止め部MDが除去された)部分から成る。目止め部MDではメッシュ部MSが露出した状態となっている。
【0017】
本実施の形態において、矩形形状を有する基板KBの対角位置には2つ一組の位置合わせ用のマーク(基板マークMK)が設けられている。一方、マスク13には、2つ一組の位置合わせ用の孔(位置合わせ孔13M)が設けられている。2つの位置合わせ孔13Mは、パターン開口13Hと同様に目止め部MDのない(目止め部MDが除去された)部分から成り、メッシュ部MSが露出した状態となっている。2つの位置合わせ孔13Mは、電極DKとマスク13のパターン開口13Hが平面視において合致するようにマスク13の下方に基板KBを位置させた状態で、2つの基板マークMKと平面視において合致する位置に設けられている。
【0018】
図1および
図2において、印刷ヘッド14は、X方向に延びた形状を有するヘッドベース41の下方に2つのスキージ42を備えている。2つのスキージ42はそれぞれX方向に延びた「へら」状の部材から成り、Y方向に対向して配置されている。ヘッドベース41の上面には2つのスキージ42を個別に昇降させるスキージ昇降駆動部43が設けられている。ヘッドベース41は印刷ヘッド移動機構44(
図2)によって、マスク13の上方をY方向に移動される。
【0019】
図1において、マスク13の下方にはX方向に延びた移動ビーム51が配置されている。移動ビーム51はビーム移動機構52(
図2)によって、基板保持移動部12とマスク13との間の領域をY方向に移動される。
【0020】
図2および
図3において、カメラユニット15は移動ビーム51に取り付けられており、カメラユニット移動機構53(
図2)によって、移動ビーム51に沿った方向(X方向)に移動自在である。このためカメラユニット15は、移動ビーム51のY方向への移動と、カメラユニット15自身のX方向への移動とによって、基板保持移動部12とマスク13との間の領域を水平面(XY面)内を移動することができる。
【0021】
図5(a),(b)においてカメラユニット15は、上向き照明61、下向き照明62、ハーフミラー63、ミラー64およびカメラ65を備えている。上向き照明61は上向き方向に照明光(上向き照明光61L)を照射する。下向き照明62は上向き照明61の下方に位置しており、下向き方向に照明光(下向き照明光62L)を照射する。
【0022】
図5(a),(b)において、ハーフミラー63は上向き照明61と下向き照明62の間に設けられており、法線が鉛直線に対して45度傾いた姿勢になるように配置されている。ミラー64はハーフミラー63の側方に設けられている。カメラ65はハーフミラー63を挟んでミラー64と対向する位置に位置している。
【0023】
カメラユニット15の上向き照明61は、鉛直線(すなわちマスク13の法線)に対して傾いた光軸を有する複数の光源(図示せず)から成る。これら複数の光源それぞれの光軸は、カメラユニット15の上方に設定された焦点位置(上側焦点位置F1)に向いている。このため上側焦点位置F1に撮像対象(上方撮像対象。具体的にはマスク13の位置合わせ孔13M)が位置した状態では、複数の光源(すなわち上向き照明61)によって照射された光は上方撮像対象で下方に反射し、ハーフミラー63で反射してカメラ65に入射する(
図5(a))。これにより上側焦点位置F1に位置する上方撮像対象をカメラ65によって撮像することができる。
【0024】
カメラユニット15の下向き照明62も、鉛直線に対して傾いた光軸を有する複数の光源(図示せず)から成る。これら複数の光源それぞれの光軸は、カメラユニット15の下方に設定された焦点位置(下側焦点位置F2)に向いている。このため下側焦点位置F2に撮像対象(下方撮像対象。具体的には基板マークMK)が位置した状態では、複数の光源(すなわち下向き照明62)によって照射された光は下方撮像対象で上方に反射し、ハーフミラー63でカメラ65に向く側とは反対側に反射する。そして、ミラー64で反射してハーフミラー63を透過し、カメラ65に入射する(
図5(b))。これにより下側焦点位置F2に位置する下方撮像対象をカメラ65によって撮像することができる。
【0025】
カメラ65は、上向き照明61によって上方撮像対象(マスク13の位置合わせ孔13M)が照明された状態で撮像を行うことで、上方撮像対象の画像を取得する。またカメラ65は、下向き照明62によって下方撮像対象(基板マークMK)が照明された状態で撮像を行うことで、下方撮像対象の画像を取得する。本実施の形態では、上向き照明61と下向き照明62はともにカメラ65と同じユニット(カメラユニット15)に設けられているので、上向き照明61と下向き照明62はカメラ65とともにマスク13に沿った水平面内方向に移動する。
【0026】
図2において、対向照明16はヘッドベース41の下面に設けられている。このため対向照明16は、印刷ヘッド14とともに、マスク13の上方を(すなわちマスク13を挟んで上向き照明61とは反対側に位置するの領域を)、マスク13に沿った方向(XY面内方向)に移動する。
【0027】
対向照明16は、ここではX方向に並んで設けられた複数の光源16G(例えばLED光源)の集合体から成る。各光源16Gは、上向き照明61が照射する上向き照明光61Lと対向する方向(下方)に向けて、照明光(対向照明光16L)を照射する。対向照明16から照射される対向照明光16Lは全体(複数の光源16G全体)としてX方向にほぼ一様であり、位置合わせ孔13Mを、その上方から(すなわちマスク13の法線に平行な方向から)照明する。
【0028】
図6において、スクリーン印刷装置1が備える制御部70は、基板保持移動部12、スキージ昇降駆動部43,印刷ヘッド移動機構44、ビーム移動機構52、カメラユニット移動機構53、上向き照明61、下向き照明62、カメラ65および対向照明16それぞれの動作制御を行う。制御部70の認識部70aは、カメラ65が撮像した画像データに基づいて画像処理を行い、撮像対象すなわち上方撮像対象である位置合わせ孔13Mと下方撮像対象である基板マークMKを認識する。
【0029】
本実施の形態におけるスクリーン印刷装置1により基板KBにペーストPstを印刷するスクリーン印刷作業を行う場合には、制御部70は先ず、スクリーン印刷装置1の上流工程側から搬出された基板KBを搬送コンベア31によって受け取り、作業位置まで搬入する。そして、一対のクランパ33を作動させて基板KBをY方向からクランプし(
図7中に示す矢印A)、下受け部32を上昇させて基板KBを下方から支持する。これにより基板KBが基板保持部21によって保持された状態となる(
図7)。
【0030】
基板KBが基板保持部21によって保持されたら、制御部70はビーム移動機構52とカメラユニット移動機構53を作動させ、カメラユニット15を基板KBとマスク13との間の領域を水平面内方向に移動させることによって、カメラ65に位置合わせ孔13Mと基板マークMKを撮像させる(
図8)。
【0031】
カメラユニット15によって位置合わせ孔13Mを撮像する場合には、上側焦点位置F1にマスク13の位置合わせ孔13Mが位置するようにカメラユニット15を移動させるとともに、位置合わせ孔13Mの上方に対向照明16が位置するように印刷ヘッド14を移動させる。そして、上向き照明61で位置合わせ孔13Mを下方から照明するとともに、対向照明16で位置合わせ孔13Mを上方から照明し(
図8)、その状態でカメラ65に撮像させる。
【0032】
図9(a)は、カメラユニット15でマスク13の位置合わせ孔13Mを撮像している状態を示している。カメラユニット15で位置合わせ孔13Mを撮像する際、位置合わせ孔13Mは下方から上向き照明61の照明光(上向き照明光61L)によって照明されるとともに、上方から対向照明16の照明光(対向照明光16L)によって照明されるので、カメラ65の撮像によって得られる位置合わせ孔13Mの画像は、
図9(b)に示す画像GZ1のようになる。
【0033】
図9(b)に示す画像GZ1において、マスク13の目止め部MDは上向き照明光61Lを吸収して暗色(黒色)となり、マスク13のメッシュ部MSは上向き照明光61Lを反射して明色(白色)となる。また、位置合わせ孔13Mの内部は対向照明光16Lによって照明されて明色となる。このため画像GZ1において位置合わせ孔13Mの輪郭(ここでは円形状の輪郭)は明瞭であり、画像GZ1に基づいて位置合わせ孔13Mの位置を認識することが可能である。
【0034】
図10(a)は、カメラユニット15で位置合わせ孔13Mを撮像する際、対向照明16による照明をオフにして位置合わせ孔13Mを撮像している状態を示している。これは、対向照明16を備えない従来のスクリーン印刷装置によって位置合わせ孔13Mを撮像している状態に相当する。この場合にカメラ65の撮像によって得られる位置合わせ孔13Mの画像は、
図10(b)に示す画像GZ2のようになる。
【0035】
図10(b)に示す画像GZ2においても、マスク13の目止め部MDは暗色(黒色)となり、マスク13のメッシュ部MSは上向き照明光61Lを反射して明色(白色)となる。しかし、対向照明16によるマスク13の上方からの照明光(対向照明光16L)がないので、位置合わせ孔13Mの内部は目止め部MDと同様に暗色となる。このためメッシュ部MSが明色であっても位置合わせ孔13Mの輪郭は明瞭でなく、画像GZ2に基づいて位置合わせ孔13Mを認識することはできない。
【0036】
このことから分かるように、マスク13がメッシュマスクである場合、主照明である上向き照明61から位置合わせ孔13Mに照明光(上向き照明光61L)を照射するとともに、マスク13を挟んで上向き照明61とは反対側に位置する領域に設置された対向照明16からも位置合わせ孔13Mに照明光(対向照明光16L)を照射し、その状態でカメラ65によって位置合わせ孔13Mを撮像することで、位置合わせ孔13Mを明瞭に認識することが可能となる。
【0037】
カメラユニット15によって基板マークMKを撮像する場合には、下側焦点位置F2に基板マークMKが位置するようにカメラユニット15を移動させる。そして、下向き照明62から射出する下向き照明光62Lで基板マークMKを上方から照明し(
図8)、その状態でカメラ65に撮像させる。
【0038】
スクリーン印刷装置1の制御部70は、上記のようにしてカメラ65にマスク13の位置合わせ孔13Mと基板マークMKを撮像させたら、認識部70aにおいて位置合わせ孔13Mと基板マークMKそれぞれを認識する。そして、認識した位置合わせ孔13Mと基板マークMKが平面視において一致するように基板KBを(直接的には基板保持部21を)移動させ、基板保持部21を上昇させることによって、基板KBをマスク13に近接させる(
図11)。これにより基板KBの電極DKとマスク13の位置合わせ孔13Mとが合致した状態となる。
【0039】
制御部70は、基板KBをマスク13に近接させたら、スキージ昇降駆動部43を作動させて、2つのスキージ42のうちの一方を下降させ、その下降させたスキージ42の下端をマスク13の上面(詳細には、一対のクランパ33のうちの一方の上方に位置するマスク13の一部の上面)に当接させる(これによりマスク13は下方にやや撓む)。そして、ヘッドベース41を水平方向(Y方向)に移動させ(
図12中に示す矢印B)、マスク13に当接させたスキージ42によって、マスク13上に予め供給しておいたペーストPstを位置合わせ孔13Mに押し込んでいく(
図12)。これにより位置合わせ孔13M内にペーストPstが充填され、基板KBの電極DK上にペーストPstが転写される。
【0040】
制御部70は、スキージ42を所定位置(一対のクランパ33のうち他の一方の上方に位置するマスク13の一部の上面)まで移動させたら、スキージ昇降駆動部43を作動させてスキージ42を上昇させ、そのスキージ42の下端をマスク13から離間させる。そして、基板保持部21を下降させて基板KBをマスク13から離間(版離れ)させ、次いで、一対のクランパ33を離間方向に移動させることによって、基板KBのクランプ状態を解除する。基板KBのクランプ状態が解除されたら、制御部70は搬送コンベア31を作動させて、基板KBを搬出する。これにより基板KBの1枚当たりのスクリーン印刷作業が終了する。
【0041】
このように本実施の形態におけるスクリーン印刷装置1は、パターン開口13Hが形成されたマスク13を用いて基板KBにペーストPstを印刷する装置であり、マスク13に設けられた位置合わせ用の孔(位置合わせ孔13M)をマスク13の下方から照明する主照明としての上向き照明61と、上向き照明61により位置合わせ孔13Mを照明している状態でマスク13を挟んで上向き照明61とは反対側に位置する領域(マスク13の上方領域)から位置合わせ孔13Mを照明する対向照明16と、上向き照明61と対向照明16によって照明されている位置合わせ孔13Mを上向き照明61の側(マスク13の下方)から撮像するカメラ65と、カメラ65により撮像して得られた位置合わせ孔13Mの画像に基づいてマスク13と基板KBを位置合わせする位置合わせ手段としての基板保持移動部12および基板KBと位置合わせされた状態のマスク13に沿う方向に移動してパターン開口13Hにマスク13上のペーストPstを押し込むスキージ42を備えた構成となっている。
【0042】
そして、このような構成を有するスクリーン印刷装置1によって基板KBにペーストPstをスクリーン印刷する手順(スクリーン印刷方法)では、先ず、位置合わせ孔13Mを上向き照明61(主照明)により照明するとともに、上向き照明61による照明方向とは反対の方向から位置合わせ孔13Mを照明する対向照明16により位置合わせ孔13Mを照明し(照明工程)、上向き照明61と対向照明16によって照明されている位置合わせ孔13Mを上向き照明61の側からカメラ65により撮像する(撮像工程)。そして、カメラ65により撮像して得られた位置合わせ孔13Mの画像に基づいてマスク13と基板KBを位置合わせし(位置合わせ工程)、そのうえで、基板KBと位置合わせされた状態のマスク13に沿う方向にスキージ42を移動させてパターン開口13Hにマスク13上のペーストPstを押し込むことで、基板KBにペーストPstを印刷するようになっている(印刷工程)。
【0043】
本実施の形態におけるスクリーン印刷装置1(スクリーン印刷方法)では、前述したように、位置合わせ孔13Mを主照明(上向き照明61)の側から照明するとともに、対向照明16によって主照明による照明方向とは反対の方向からも照明した状態でカメラ65によって撮像するので、得られた画像における位置合わせ孔13Mの背景は目止め部MDの暗色(黒色)となり、位置合わせ孔13Mの内部はその全域が明色(白色)となる。このため位置合わせ孔13Mを明瞭に認識でき、マスク13と基板KBの自動位置合わせを可能にできる。
【0044】
図13は、本実施の形態の変形例におけるスクリーン印刷装置(符号を「1A」とする)を示している。変形例におけるスクリーン印刷装置1Aが備える対向照明16は、光源(ここでは上向き照明61)から照射された光を下方に反射する光反射部材16Mから成る。光反射部材16Mは光反射部材移動機構16Kによってマスク13に沿った方向(水平面内方向)に移動される。
【0045】
光反射部材16Mは、本実施の形態では、光反射部材16Mが全体としてX方向に長尺に延びた形状を有しており、光反射部材移動機構16KによってY方向にのみ移動されるようになっている。そして、光反射部材16Mは、主照明(上向き照明61)が照射し、位置合わせ孔13Mを透過した光を下方に反射するようになっている。すなわち変形例において、対向照明16はスキージ42の延びる方向に延び、主照明(上向き照明61)が照射して位置合わせ孔13Mを透過した光を反射する光反射部材16Mから成っている。
【0046】
変形例におけるスクリーン印刷装置1Aにおいて、マスク13の位置合わせ孔13Mをカメラユニット15によって撮像する際には、光反射部材移動機構16Kによって光反射部材16Mを移動させて、カメラユニット15の(詳細には上向き照明61の)上方に光反射部材16Mを位置させる(
図13)。これにより上向き照明61から照射される上向き照明光61Lは位置合わせ孔13Mを通じてマスク13を上方に透過した後、光反射部材16mにおいて下方に反射し、マスク13の位置合わせ孔13Mを上方から照射する。このため上述の実施の形態の場合と同様に、マスク13の位置合わせ孔13Mは、主照明である上向き照明61によって下方から照明されるとともに、対向照明16によって上方からも照明された状態でカメラ65によって撮像されることになる。
【0047】
上記のように位置合わせ孔13Mを下方と上方の双方から照明した状態でカメラ65の撮像によって得られる位置合わせ孔13Mの画像は、前述した
図9(b)における画像GZ1と同様に、マスク13の目止め部MDは上向き照明光61Lを吸収して暗色(黒色)となり、マスク13のメッシュ部MSは上向き照明光61Lを反射して明色(白色)となり、位置合わせ孔13Mの内部は対向照明光16Lが透過することによって明色となる。このため位置合わせ孔13Mを明瞭に認識することができ、上述の実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。
【0048】
以上説明したように、本実施の形態におけるスクリーン印刷装置1,1A(スクリーン印刷方法)によれば、位置合わせ孔13Mを主照明(上向き照明61)の側から照明するとともに、対向照明16によって主照明による照明方向とは反対の方向からも照明した状態でカメラ65によって撮像するので、得られた画像における位置合わせ孔13Mの背景は目止め部MDの暗色(黒色)となり、位置合わせ孔13Mの内部はその全域が明色(白色)となる。このため位置合わせ孔13Mを明瞭に認識でき、マスク13と基板KBの自動位置合わせを可能にできる。
【0049】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述の実施の形態では、主照明(上向き照明61)はカメラ65とともに移動自在であったが、主照明とカメラ65はそれぞれ独立して移動する構成であってもよい。また、上述の実施の形態では、対向照明16はヘッドベース41に設けられた構成となっていたが、ヘッドベース41とは別個の機構によって移動される構成となっていてもよい。また、上述の実施の形態では、対向照明16はY方向にのみ移動する構成であったが、これは対向照明16がX方向に並んで設けられた複数の光源16Gの集合体から成っていたからである。対向照明16が1つあるいは数個の光源16Gの集合体から成る場合には、その対向照明16をX方向とY方向の双方に移動させることができる構成とすればよい。
【0050】
また、変形例において、光反射部材は16Mは、光反射部材16Mが全体としてスキージ42の延びる方向(すなわちX方向)に長尺に延びた形状を有していたために、光反射部材移動機構16KによってY方向にのみ移動される構成となっていたが、光反射部材16MがX方向に長尺に延びた形状を有していない場合には、光反射部材移動機構16KによってX方向とY方向の双方に移動されるようにすることで、主照明(上向き照明61)が照射して位置合わせ孔13Mを透過した光を光反射部材16Mで下方に反射させることができる。なお、光反射部材16Mは、主照明以外の光を反射して位置合わせ孔13Mを照明するようになっていてもよい。
【0051】
また、上述の実施の形態の形態では、マスクがメッシュマスクであるとしていたが、マスクがメタルマスクである場合であっても、マスク(メタル)の材質等によってはマスクの表面(下面)が主照明からの光を吸収し、位置合わせ孔の背景が暗色になる場合があり得る。このような場合には本発明を、マスクがメタルマスクである場合にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
マスクの位置合わせ孔を明瞭に認識でき、マスクと基板の自動位置合わせを可能にできるスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法を提供する。
【符号の説明】
【0053】
1,1A スクリーン印刷装置
12 基板保持移動部(位置合わせ手段)
13 マスク
13H パターン開口
13M 位置合わせ孔
16 対向照明
16G 光源
16M 光反射部材
42 スキージ
61 上向き照明(主照明)
61L 上向き照明光
62 下向き照明
62L 下向き照明光
65 カメラ
GZ1,GZ2 画像
MS メッシュ部
MD 目止め部
KB 基板
MK 基板マーク
Pst ペースト