(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141067
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】除湿装置
(51)【国際特許分類】
F25B 45/00 20060101AFI20241003BHJP
F25B 41/20 20210101ALI20241003BHJP
B01D 53/26 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F25B45/00 Z
F25B41/20 Z
B01D53/26 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052509
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100151378
【弁理士】
【氏名又は名称】宮村 憲浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157484
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 智之
(72)【発明者】
【氏名】堀 達也
【テーマコード(参考)】
4D052
【Fターム(参考)】
4D052AA08
4D052BA04
4D052BB02
4D052BB03
4D052BB06
4D052BB09
4D052FA08
4D052GA01
4D052GA03
4D052GB00
4D052GB05
(57)【要約】
【課題】本発明は、除湿装置に関するものであり、電源プラグが電源コンセントと電気的に繋がっている状態で、廃棄機構部を誤って作動させた場合には、冷媒の放出を抑制できる。
【解決手段】吸込口2と吹出口3を有する本体ケース1内に、少なくとも圧縮機10と凝縮器11と膨張器12と蒸発器13とを順次環状に連結した冷凍サイクル6と、冷凍サイクル6を作用させる送風部7と、冷凍サイクル6と送風部7とを制御する制御部9と、冷凍サイクル6と送風部7と制御部9と電気的に接続された電源プラグ35と、を備えている。冷凍サイクル6は温暖化係数10以下の冷媒を用い、冷媒を大気放出できる廃棄機構部24を設けている。電源プラグ35が電源コンセントと電気的に繋がっている場合には、廃棄機構部24が動作しても冷媒の放出を抑制する冷媒放出抑制部36を有することを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口と吹出口を有する本体ケース内に、少なくとも圧縮機と凝縮器と膨張器と蒸発器とを順次環状に連結した冷凍サイクルと、前記冷凍サイクルを作用させる送風部と、前記冷凍サイクルと前記送風部とを制御する制御部と、前記冷凍サイクルと前記送風部と前記制御部と電気的に接続された電源プラグと、を備えた除湿装置において、
前記冷凍サイクルは温暖化係数10以下の冷媒を用い、
前記冷媒を大気放出できる廃棄機構部を設け、
前記電源プラグが電源コンセントと電気的に繋がっている場合には、前記廃棄機構部が動作しても前記冷媒の放出を抑制する冷媒放出抑制部を有することを特徴とする除湿装置。
【請求項2】
前記冷媒放出抑制部は、
前記冷凍サイクルに設けられ、前記冷媒の流路を開閉する開閉弁と、
前記冷凍サイクルに設けられ、前記冷媒が流れる方向において前記開閉弁より下流側に配置され前記冷媒が逆流することを抑制する逆止弁と、
前記廃棄機構部の動作に基づいて前記開閉弁を制御する電磁制御部と、を有し、
前記電磁制御部は前記電源プラグと電気的に接続され、
前記廃棄機構部は、前記冷凍サイクルにおける前記開閉弁より前記冷媒が流れる方向における下流側、かつ前記逆止弁より前記冷媒が流れる方向における上流側に配置されることを特徴とする請求項1記載の除湿装置。
【請求項3】
前記膨張器は、キャピラリーチューブであり、前記開閉弁と、前記廃棄機構部と、前記逆止弁とは、前記キャピラリーチューブに設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の除湿装置。
【請求項4】
前記電磁制御部は、前記廃棄機構部に設けられた廃棄機構部が動作したことを検知する廃棄検知部分と、前記廃棄検知部分が廃棄機構部が動作したことを検知すると前記開閉弁を動作させる電磁動作部分と、を有する請求項1から3記載の除湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば衣類乾燥用として用いられる家庭用の除湿装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の除湿装置は、圧縮機、凝縮器、膨張器および蒸発器を直列閉回路で構成し、その回路内にハイドロカーボン冷媒及び冷凍機油を封入した冷凍サイクルに於いて、該圧縮機の下部に冷媒回収部を設け、冷凍サイクル内の冷媒及び冷凍機油をその冷媒回収部より、抜きとるようにした構成が知られている(なお、これに関連する先行文献としては下記特許文献1がある)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の除湿装置においては、冷媒を回収する構成となっていたので、有資格者による冷媒回収が必要となることにより、容易に廃棄できない商品であった。そこで、冷凍サイクルは温暖化係数10以下の冷媒を用い、冷媒を大気放出できる構成を設け、使用者が容易に廃棄できる除湿装置を提供することが考えられるが、室内で除湿装置を使用する状態で使用者が誤って冷媒を大気放出する場合があるという課題を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そして、この目的を達成するために、本発明は、吸込口と吹出口を有する本体ケース内に、少なくとも圧縮機と凝縮器と膨張器と蒸発器とを順次環状に連結した冷凍サイクルと、前記冷凍サイクルを作用させる送風部と、前記冷凍サイクルと前記送風部とを制御する制御部と、前記冷凍サイクルと前記送風部と前記制御部と電気的に接続された電源プラグと、を備えた除湿装置において、前記冷凍サイクルは温暖化係数10以下の冷媒を用い、前記冷媒を大気放出できる廃棄機構部を設け、前記電源プラグが電源コンセントと電気的に繋がっている場合には、前記廃棄機構部が動作しても前記冷媒の放出を抑制する冷媒放出抑制部を有することを特徴とするものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、電源プラグが電源コンセントと電気的に繋がっている状態で、廃棄機構部を誤って作動させた場合には、冷媒の放出を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施の形態1の除湿装置の外観斜視図
【
図5】同除湿装置の前面を示す図((A)同除湿装置の前面の吸込口に設けられたフィルター部を示す図、(B)同除湿装置の前面の吸込口に設けられたフィルター部を外した図、(C)は、同除湿装置の本体ケースの前面の蓋部を外した図)
【
図6】同除湿装置の本体ケースの前面の開口部と廃棄機構部とを示す斜視図
【
図7】同除湿装置の廃棄機構部の概略断面図((A)穴開けピン部分が本体ケースにおける前面側に位置した状態を示す概略断面図、(B)穴開けピン部分が本体ケースにおける後面側に移動した状態を示す概略断面図)
【
図8】同除湿装置の機能をブロックで示した機能ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0009】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の除湿装置の外観斜視図である。
図2は、本発明の実施の形態1の除湿装置の概略断面図である。なお、
図2は
図1のA-A線概略断面図である。
【0010】
図1、
図2に示すように、本体ケース1は、縦長の略箱形状である。具体的には、本体ケース1は、本体ケース1の前面(本体ケース1の奥行き方向における一方側の側面)には、吸込口2が配置されている。本体ケース1における上部には、吹出口3が配置されている。吹出口3は、横長四角形状で本体ケース1における上方と後面とに開口している。本体ケース1の天面における後面側(本体ケース1の奥行き方向における他方側の側面側)には、吹出口3からの風向を変化させるルーバー4を有し、本体ケース1の天面における前面側(本体ケースの奥行き方向における一方側)には操作部5を設けている。操作部5は、電源の入り切り、運転モードの変更等を行う複数のスイッチを有している。
【0011】
本体ケース1内には、冷凍サイクル6と、送風部7と、貯水タンク部8と、制御部9と、を有している。
【0012】
冷凍サイクルは、圧縮機10と、凝縮器11と、膨張器12と、蒸発器13と、を順次環状に連結し冷媒を循環する構成である。なお、冷媒は温暖化係数10以下を用いている。
【0013】
蒸発器13は、本体ケース1における前面側(本体ケースの奥行き方向における一方側の側面側)に配置されている。蒸発器13は、後述する蒸発器13における隣り合う放熱フィンと放熱フィンとの隙間が、本体ケース1の吸込口2に対向するように、本体ケース1内に配置されている。
【0014】
図3は、本発明の実施の形態1の除湿装置の蒸発器の外観斜視図である。なお、
図3は、除湿装置の蒸発器を本体ケースにおける前面側から見た図である。
【0015】
図3に示すように、蒸発器13は、多数の放熱フィン13aと、多数の放熱フィン13aを連結する連結管13bとを有している。
【0016】
放熱フィン13aは、縦長四角板形状であり、材質がアルミニウムである。多数の放熱フィン13aは、隣り合う放熱フィン13aの面と面とが対向するように配置されている。隣り合う放熱フィン13aと放熱フィン13aとの隙間が、風路となる。
【0017】
連結管13bは、円筒形状であり、材質が銅である。円筒である連結管13bは、放熱フィン13aにおける長手方向に複数段設けられ、かつ複数回蛇行状に曲げられている。連結管13bの直管部分には、多数の放熱フィン13aが固定されている。多数の放熱フィン13aは、連結管13bの直管部分の中心軸方向に、所定の間隔を有して積層されている。
【0018】
図4は、本発明の実施の形態1の除湿装置の凝縮器の外観斜視図である。なお、
図4は
、除湿装置の凝縮器を本体ケースにおける前面側から見た図である。
【0019】
図2、
図4に示すように、凝縮器11は、蒸発器より本体ケース1における後面側(本体ケースの奥行き方向における他方側の側面側)に配置されている。凝縮器11は、後述する凝縮器11における隣り合う放熱フィン11aと放熱フィン11aとの隙間が、蒸発器13に対向するように、本体ケース1に配置されている。
【0020】
凝縮器11は、多数の放熱フィン11aと、多数の放熱フィン13aを連結する連結管11bとを有している。
【0021】
放熱フィン11aは、縦長四角板形状であり、材質がアルミニウムである。多数の放熱フィン11aは、隣り合う放熱フィン11aの面と面とが対向するように配置されている。隣り合う放熱フィン11aと放熱フィン11aとの隙間が、風路となる。
【0022】
連結管11bは、円筒形状であり、材質が銅である。円筒である連結管11bは、放熱フィン11aにおける長手方向に複数段設けられ、かつ複数回蛇行状に曲げられている。連結管11bの直管部分には、多数の放熱フィン11aが固定されている。多数の放熱フィン11aは、連結管11bの直管部分の中心軸方向に、所定の間隔を有して積層されている。
【0023】
図2に示すように、膨張器12の一例は、キャピラリーチューブである。キャピラリーチューブは、細長い管であり、キャピラリーチューブの一部は、中空円形状に巻かれている。キャピラリーチューブは、キャピラリーチューブに接続される配管より細いので、管内を流れる冷媒の速度が速くなり、冷媒の圧力が下がる。
【0024】
送風部7は、風路を構成しスクロール形状のケーシング7aと、ケーシング内で回転することにより昇圧し送風する羽根車(図示せず)と、羽根車を回転駆動するモータ(図示せず)とから構成され、所謂、シロッコファンとして構成されている。
【0025】
ケーシング7aは、空気が流入する流入口7bと、空気が流出する吐出口7cとを有し、昇圧した空気を吐出口7cに向かわせる舌部(図示せず)を有している。そして吐出口7cが本体ケース1の吹出口3に連通するように構成されている。
【0026】
図1、
図2に示すように、貯水タンク部8は、本体ケース1の下部の空間部(図示せず)に配置され、本体ケース1の前面(本体ケースの奥行き方向における一方側の側面)から着脱自在な構成である。貯水タンク部8の着脱方向は、本体ケース1における前後方向(本体ケースの奥行き方向)である。貯水タンク部8の上方には、送風部7と、蒸発器13とが配置されている。貯水タンク部8は、天面が開口した偏平な箱形状のタンク8aと、漏斗状の集水カバー(図示せず)とを有している。集水カバーは、タンク8aの上部に着脱可能に設けられている。つまり、蒸発器13で結露をさせ、その結露水を漏斗状の集水カバーで集めてタンク8aに流入させる構成である。
【0027】
制御部9は、本体ケース1の前面側から見ると本体ケース1における上部に配置されている。制御部9は、送風部7のモータと、圧縮機10と、使用者によって押された操作部5のスイッチに基づいて制御する。
【0028】
本体ケース1内には、送風路14を備えている。送風路14は、送風部7によって吸込口2から空気を吸引し、蒸発器13と、凝縮器11と、送風部7と、を順次介して吹出口3に排出する風路である。送風路14においては、吸込口2から吸い込まれた室内空気が、蒸発器13に供給され、この時、空気中の水分が蒸発器13に結露し、乾燥した空気と
なる。さらに、凝縮器11に供給されるので、室内空気は湿度が低減し、温度が上昇した状態で、送風部7に吸引され、吹出口3から室内へ送風されることになる。
【0029】
図5(A)は、本発明の実施の形態1の除湿装置の前面の吸込口に設けられたフィルター部を示す図である。
図5(B)は、本発明の実施の形態1の除湿装置の前面の吸込口に設けられたフィルター部を外した図である。
図5(C)は、本発明の実施の形態1の除湿装置の本体ケースの前面の蓋部を外した図である。
図6は、本発明の実施の形態1の除湿装置の本体ケースの前面の開口部を示す図である。
【0030】
図5(A)、
図5(B)、
図5(C)、
図6に示すように、開口部21には冷媒を大気放出できる廃棄機構部24を有し、開口部21から蓋部22を外すと、廃棄機構部24を操作できる。廃棄機構部24を操作すると、廃棄機構部24は膨張器12に後述する孔33を開け、冷凍サイクル内の冷媒を大気放出できる。
【0031】
蓋部22は、四角形状の略平板であり、本体ケース1における前面の一部である。蓋部22における一方側の面は本体ケース1における内面の一部となり、蓋部22における他方側の面は本体ケース1における外面の一部となっている。蓋部22は、本体ケース1における前面に設けられた四角形状の開口部21より小さく、蓋部22と開口部21との間には環状の隙間を有する。蓋部22の周縁部から複数の棒形状の接続部23が開口部21の開口縁に延びている。
【0032】
図7(A)は、本発明の実施の形態1の除湿装置の廃棄機構部の概略断面図であり、穴開けピン部分が本体ケースにおける前面側に位置した状態を示す概略断面図である。
図7(B)は、本発明の実施の形態1の除湿装置の廃棄機構部の概略断面図であり、穴開けピン部分が本体ケースにおける後面側に移動した状態を示す概略断面図である。
【0033】
図6、
図7(A)、
図7(B)に示すように、廃棄機構部24は、穴開けピン部分25と、ガイド部分26と、ストッパー部分27と、チューブ受け部28と、を有している。
【0034】
穴開けピン部分25は、押し板29と、穴開けピン30と、チューブ固定ピン31と、を有する。
【0035】
押し板29は、平板形状であり、押し板29における他方側の面は、蓋部22における一方側の面(本体ケースにおける内面)に対向している。押し板29における一方側の面から本体ケース1内に向かって、穴開けピン30と、チューブ固定ピン31とが延びている。
【0036】
穴開けピン30は、押し板29における一方側の面から本体ケース1内(本体ケースにおける前面側から後面側)に向かって突出し、先端が尖った突起である。穴開けピン30は、押し板29における一方側の面に対して垂直に設けられている。
【0037】
チューブ固定ピン31は、押し板29における一方側の面から本体ケース内(本体ケースにおける前面側から後面側)に向かって突出した突起である。チューブ固定ピン31は、穴開けピン30より上方に配置されている。
【0038】
ガイド部分26は、本体ケース1における前面側から後面側に中心軸が延びた筒形状を有し、本体ケース1の前面に設けられている。ガイド部分26は、蓋部22と、膨張器12であるキャピラリーチューブと、の間に配置されている。ガイド部分26内には、穴開けピン部分25が設けられている。ガイド部分26の内面と、穴開けピン部分25の押し板29の周縁部との間には僅かに隙間を有し、穴開けピン部分25がガイド部分26の中
心軸方向(本体ケースにおける前後方向)に移動自在に設けられている。ガイド部分26は、ガイド部分26の周面に、本体ケースにおける左右方向(ガイド部分の中心軸に対して垂直であり水平方向)に中心軸が延びた孔32を有している。ガイド部分の孔32には、ストッパー部分27が移動自在に設けられている。
【0039】
ストッパー部分27は、横長の棒形状であり、穴開けピン部分25の移動を規制するものである。通常は、ガイド部分26の孔32を介して、ガイド部分26内に突出している状態では、穴開けピン部分25の押し板29における一方側の面側に突出しているので、穴開けピン部分25を本体ケース1内に押し込もうとすると、押し板29がストッパー部分27に当たり、穴開けピン部分25を本体ケース1内に押し込むことができない。ストッパー部分27を、ガイド部分26の孔32を介してガイド部分26の外方へ移動し、ガイド部分26内に突出していない状態にすると、穴開けピン部分25を本体ケース1内に押し込んでも、押し板29がストッパー部分27に当たらず、穴開けピン部分25を本体ケース1内に押し込むことができる。
【0040】
チューブ受け部28は、本体ケースにおける左右方向に延びた膨張器12であるキャピラリーチューブの中心軸方向から見ると、上方が開口した略U字形状であり、穴開けピン部分25の穴開けピン30に対向し配置され、膨張器12であるキャピラリーチューブの下面側と、膨張器12であるキャピラリーチューブの本体ケース1における後面側とを、支持する。
【0041】
また、
図1に示すように、本体ケース1における吸込口2と開口部21を有する面には、廃棄機構部の操作方法を表示した表示部16を有する。これにより、意図せずに廃棄機構部24を操作してしまって、除湿装置の使用者が冷媒を大気放出しまい、除湿装置を使用できなくすることを防止することと、除湿装置の使用者や廃棄物収集業者が環境負荷の点で大気放出して問題ない高圧冷媒を容易に大気放出できるので、除湿装置を容易に廃棄処理できるという効果を有する。
【0042】
また、吸込口2には、着脱自在に設けられた埃を捕集するフィルター部17を有している。フィルター部17は、吸込口2と開口部21を覆う。これにより、意図せずに廃棄機構部24を操作してしまって、除湿装置の使用者が冷媒を大気放出してしまい、除湿装置を使用できなくすることを防止する効果を有する。
【0043】
除湿装置の冷凍サイクル内の冷媒を大気中に放出する方法について説明する。
【0044】
図5(A)、
図5(B)、
図5(C)、
図6に示すように、使用者が、除湿装置の冷凍サイクル内の冷媒を大気中に放出してから除湿装置を廃棄する場合には、最初に、吸込口2からフィルター部17を取り外す。吸込口2からフィルター部17を取り外すと、吸込口2と開口部21と蓋部22と、が現れるので、使用者は、表示部16を見ながら作業を進めることができる。次に、使用者は、屋外で、蓋部22と開口部21との間の隙間に工具を差し込み、複数の接続部23を切断するか、蓋部22を工具で叩き、複数の接続部23を切断し、開口部21から蓋部22を外す。次に、ストッパー部分27を、ガイド部分26の外方へ移動させる。
【0045】
図7(A)、
図7(B)に示すように、次に、使用者は、工具によって、穴開けピン部分25を、本体ケース1内に押し込むと、チューブ固定ピン31の下端が、膨張器12であるキャピラリーチューブの上面に接触し、膨張器12であるキャピラリーチューブが上方向への移動が抑制される。また、膨張器12であるキャピラリーチューブの下面と、膨張器12であるキャピラリーチューブの本体ケース1における後面側は、チューブ受け部28によって支持されているので、膨張器12であるキャピラリーチューブが下方向、お
よび本体ケース1における後面側に移動することを抑制される。次に、使用者が、工具によって、更に穴開けピン部分25を、本体ケース1内に押し込むと、穴開けピン30の先端が、膨張器12であるキャピラリーチューブの本体ケース1における前面側に突き刺さり、膨張器12であるキャピラリーチューブに孔33が開く。この孔33から。冷凍サイクル内の温暖化係数10以下の冷媒が、大気中に放出される。
【0046】
図8は、本発明の実施の形態1の除湿装置の機能をブロックで示した機能ブロック図である。
【0047】
図1、
図2、
図7、
図8に示すように、除湿装置は、冷凍サイクル6と送風部7と制御部9と電気的に接続された電源プラグ35を備えている。本実施形態の特徴は、電源プラグ35が電源コンセントと電気的に繋がっている場合には、廃棄機構部24が動作しても冷媒の放出を抑制する冷媒放出抑制部36を有する点である。
【0048】
具体的には、冷媒放出抑制部36は、開閉弁37と、逆止弁38と、電磁制御部39と、を有する。
【0049】
開閉弁37は、冷凍サイクル6内の流路を開閉し、冷媒を流したり、止めたりする構造である。開閉弁37は、冷凍サイクル6内の流路を開閉する弁機構を備えている。この弁機構は、開閉弁37に所定の電流が流れると弁機構が閉じ、開閉弁37へ電流が流れないと弁機構が開く構成である。弁機構は、通常は開いた状態である。開閉弁37の一例は、電磁弁である。
【0050】
逆止弁38は、冷凍サイクル6に設けられ、冷凍サイクル6内の流路に冷媒が流れる方向において開閉弁37より下流側に配置され、冷媒が逆流することを抑制する。
【0051】
電磁制御部39は、廃棄機構部の動作に基づいて開閉弁37を制御する。電磁制御部39は、廃棄機構部が作動すると、通常は開いた状態である開閉弁37を閉じるように制御する。電磁制御部39は、電源プラグ35と電気的に接続されている。
【0052】
具体的には、電磁制御部39は、廃棄検知部分40と、電磁動作部分41と、を有する。
【0053】
廃棄検知部分40は、廃棄機構部24に設けられ、廃棄機構部24が動作したことを検知する。廃棄検知部分40は、廃棄機構部24のガイド部分26に設けられている。廃棄検知部分40は、ガイド部分26であるカバー部材26bの本体ケース1における前面側、つまりカバー部材26bの穴開けピン部分の押し板29に対向した面に設けられている。穴開けピン部分25が移動し、冷凍サイクル6である蒸発器13から延びた冷凍サイクル6に孔33を開けると、穴開けピン部分25の押し板29が廃棄検知部分40に接触し、廃棄検知部分40が廃棄機構部24の動作を検知する。廃棄検知部分40の一例としては、接点式スイッチである。廃棄検知部分40は、通常は、非導通状態である。その状態で、廃棄検知部分40が一度押されると、廃棄検知部分40の導通部分が、非導通状態から導通状態となる。
【0054】
電磁動作部分41は、廃棄検知部分40が廃棄機構部24の動作を検知すると開閉弁37に所定の電流を流し、開閉弁37を閉じるように動作させる。電磁動作部分41は、本体ケース1の前面側から見ると本体ケース1における上部に配置されている。電磁動作部分41は、廃棄検知部分40が、非導通状態から導通状態となると、開閉弁37に所定の電流を流し、開閉弁37を閉じるように動作させる。
【0055】
廃棄機構部24は、冷凍サイクル6における開閉弁37より冷媒が流れる方向における下流側、かつ逆止弁38より冷媒が流れる方向における上流側に配置されている。つまり、廃棄機構部24が作動し、電磁制御部39が開閉弁37を閉じと、廃棄機構部24より冷媒が流れる方向における上流側には、開閉弁37が設けられているので、開閉弁37が閉じると廃棄機構部24より冷媒が流れる方向における上流側から冷媒が廃棄機構部24に流れることを抑制できる。また、廃棄機構部24より冷媒が流れる方向における下流側には、逆止弁38が設けられているので、廃棄機構部24より冷媒が流れる方向における下流側から冷媒が廃棄機構部24に流れることを抑制できる。
【0056】
これにより、電源プラグ35が電源コンセントと電気的に繋がった状態で、使用者が誤って廃棄機構部24を作動させ、冷凍サイクルに孔33を開け、冷凍サイクル6内の冷媒を大気放出した場合にも、開閉弁37と逆止弁38によって、孔33から漏れ出す冷媒を低減できる。なお、冷凍サイクル6において冷媒が流れる方向における開閉弁37から逆止弁38までの流路の距離は、冷凍サイクル6において冷媒が流れる方向おける逆止弁38から開閉弁37までの流路の距離より短い。
【0057】
また、膨張器12は、キャピラリーチューブであり、開閉弁37と廃棄機構部24と逆止弁38とは、キャピラリーチューブに設けられている。これにより、膨張器12は、冷凍サイクル6において圧力が低い箇所であるので、膨張器であるキャピラリーチューブから冷媒が吹き出す勢いを抑制できるので、安全性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明にかかる除湿装置は、衣類乾燥用に使用される除湿装置等として有用である。
【符号の説明】
【0059】
1 本体ケース
2 吸込口
3 吹出口
4 ルーバー
5 操作部
6 冷凍サイクル
7 送風部
7a ケーシング
7b 流入口
7c 吐出口
8 貯水タンク部
8a タンク
9 制御部
10 圧縮機
11 凝縮器
11a 放熱フィン
11b 連結管
12 膨張器
13 蒸発器
13a 放熱フィン
13b 連結管
14 送風路
16 表示部
17 フィルター部
21 開口部
22 蓋部
23 接続部
24 廃棄機構部
25 穴開けピン部分
26 ガイド部分
27 ストッパー部分
28 チューブ受け部
29 押し板
30 穴開けピン
31 チューブ固定ピン
32 孔
33 孔
35 電源プラグ
36 冷媒放出抑制部
37 開閉弁
38 逆止弁
39 電磁制御部
40 廃棄検知部分
41 電磁動作部分