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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141077
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】光源モジュールおよびXRグラス
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/02315 20210101AFI20241003BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20241003BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20241003BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H01S5/02315
G02B6/42
G02B6/12 301
G02B27/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052530
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】青柳 岳
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
2H199
5F173
【Fターム(参考)】
2H137AA17
2H137AB11
2H137AC01
2H137BA46
2H137BA52
2H137BB02
2H137BB17
2H137BB31
2H137BC02
2H137CA34
2H137CC01
2H137DA23
2H137DB11
2H137EA04
2H137EA05
2H137FA00
2H137HA05
2H147AA04
2H147AB04
2H147AB17
2H147BD02
2H147BE13
2H147CA08
2H147CB03
2H147CC12
2H147CD02
2H147DA02
2H147DA05
2H147DA08
2H147DA09
2H147DA15
2H147EA13C
2H147EA14A
2H147EA14B
2H147EA14C
2H147FC03
2H147GA06
2H199CA04
2H199CA06
2H199CA12
2H199CA29
2H199CA32
2H199CA34
2H199CA42
2H199CA46
2H199CA47
2H199CA70
2H199CA89
5F173MB03
5F173MC12
5F173ME15
5F173ME22
5F173ME44
5F173MF26
(57)【要約】
【課題】良好な放熱性能を有する光源モジュールの提供。
【解決手段】基台20とレーザーダイオード30とを有するチップオンキャリア200と、基板40と光導波路50とを有する平面光波回路400と、チップオンキャリア200および平面光波回路400を収容する収容部107を有するパッケージ110とを有し、収容部107は、底面131を形成する土台185と、土台185を貫通する1つ以上のサーマルビア180と、土台185上に設けられた1つ以上のバンプ181とを有し、バンプ181の少なくとも1つが、平面光波回路400に接して配置され、サーマルビア180と平面視で少なくとも一部が重なる位置に配置され、バンプ181とサーマルビア180とが接している、または金属パット183を介して接合している、光源モジュール100とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、前記基台上に搭載されたレーザーダイオードとを有するチップオンキャリアと、
前記基台と接合された基板と、前記基板上に設けられ、前記レーザーダイオードから発せられる光が入射される光導波路とを有する平面光波回路と、
前記チップオンキャリアおよび前記平面光波回路を収容する収容部を有するパッケージとを有し、
前記収容部は、底面を形成する土台と、前記土台を貫通する1つ以上のサーマルビアと、前記土台上に設けられた1つ以上のバンプとを有し、
前記バンプの少なくとも1つが、前記平面光波回路に接して配置され、前記サーマルビアと平面視で少なくとも一部が重なる位置に配置され、
前記バンプと前記サーマルビアとが接している、または金属パットを介して接合している、光源モジュール。
【請求項2】
前記基台の熱伝導率が120W/mK~170W/mKであり、
前記基板の熱伝導率が120W/mK~170W/mKであり、
前記土台の熱伝導率が3W/mK~40W/mKであり、
前記サーマルビアの熱伝導率が135W/mK~210W/mKであり、
前記バンプの熱伝導率が80W/mK~210W/mKであり、
前記金属パットの熱伝導率が55W/mK~65W/mKである、請求項1に記載の光源モジュール。
【請求項3】
前記基台および前記基板が、シリコンを含む材料からなり、
前記土台が、酸化アルミニウムからなり、
前記バンプおよびサーマルビアが、タングステンまたはモリブデンからなる、請求項1又は2に記載の光源モジュール。
【請求項4】
前記基台と前記基板とが、熱伝導率が55W/mK~65W/mKである金属接合層を介して接合されている、請求項1又は2に記載の光源モジュール。
【請求項5】
前記金属パットが、前記土台上の平面視で前記平面光波回路が配置される領域に少なくとも配置され、
前記バンプが、前記金属パット上に接して配置されている、請求項1又は2に記載の光源モジュール。
【請求項6】
前記金属パットが、前記土台上の平面視で前記チップオンキャリアが配置される領域に延在して設けられ、
前記チップオンキャリアが、前記金属パッド上に熱伝導率が1W/mK~50W/mKである導電性接着層を介して設置されている、請求項5に記載の光源モジュール。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の光源モジュールが搭載されている、XRグラス。
【請求項8】
請求項3に記載の光源モジュールが搭載されている、XRグラス。
【請求項9】
請求項4に記載の光源モジュールが搭載されている、XRグラス。
【請求項10】
請求項5に記載の光源モジュールが搭載されている、XRグラス。
【請求項11】
請求項6に記載の光源モジュールが搭載されている、XRグラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源モジュールおよびXRグラスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レーザーダイオード(半導体レーザー)から光が入射される平面光波回路(Planar Lightwave Circuit:PLC)を備える光源モジュールが注目されている。こうした光源モジュールは、AR(Augmented Reality:拡張現実)グラス、VR(Virtual Reality:仮想現実)グラスなどのXRグラス、小型のプロジェクターなどに用いることができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、光導波路を備える集積光学装置と、集積光学装置を収容するパッケージとを有し、集積光学装置は、基台底面および基板底面が共に、金属または樹脂を含む接合層を介してパッケージの一内面に固定されている、集積光学モジュールが記載されている。特許文献1には、光源であるLD(光半導体装置)で生じた熱がパッケージに放熱されることにより、LDの温度が低く保たれることが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、発光ダイオード素子を実装するためのベース体を、アルミナセラミックスを用いて形成するとともに、前記ベース体にサーマルビアを形成した発光ダイオード用パッケージが開示されている。
特許文献3には、セラミックからなり、絶縁基体の発光素子が搭載される部位に、銅めっき被膜からなるサーマルビアを有する発光素子収納用パッケージが開示されている。
特許文献4には、発光ダイオード素子を実装したセラミック製のベース体に、それを貫通するサーマルビアを形成し、 ベース体の下面に、サーマルビアと熱的に接触するように炭化ケイ素製の放熱体を貼着した発光ダイオードが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2021/149450号
【特許文献2】特開2007-201156号公報
【特許文献3】特開2009-260179号公報
【特許文献4】特開2011-14769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の光源モジュールは、レーザーダイオードで生じた熱の放熱性能が不十分であり、放熱性能を向上させることが要求されていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、良好な放熱性能を有する光源モジュール、および良好な放熱性能を有する光源モジュールを搭載したXRグラスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
本発明の一態様に係る光源モジュールは、基台と、前記基台上に搭載されたレーザーダイオードとを有するチップオンキャリアと、前記基台と接合された基板と、前記基板上に設けられ、前記レーザーダイオードから発せられる光が入射される光導波路とを有する平面光波回路と、前記チップオンキャリアおよび前記平面光波回路を収容する収容部を有するパッケージとを有し、前記収容部は、底面を形成する土台と、前記土台を貫通する1つ以上のサーマルビアと、前記土台上に設けられた1つ以上のバンプとを有し、前記バンプの少なくとも1つが、前記平面光波回路が接して配置され、前記サーマルビアと平面視で少なくとも一部が重なる位置に配置され、前記バンプと前記サーマルビアとが接している、または金属パットを介して接合している。
【発明の効果】
【0008】
本発明の光源モジュールでは、レーザーダイオードで生じ、チップオンキャリアの基台を介して平面光波回路の基板に移動した熱を、バンプとサーマルビアとをこの順に通る放熱経路により効率よく放熱できる。したがって、本発明の光源モジュールは、良好な放熱性能を有する。
また、本発明のXRグラスは、本発明の光源モジュールが搭載されているため、レーザーダイオードで生じた熱が効率よく放熱される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の光源モジュールの一例を説明するための平面図であり、パッケージのカバーを取り外した状態の平面図である。
図2図1に示す光源モジュールを図1に示すA-A´線に沿って切断した断面図である。
図3図1に示す光源モジュールの有する、チップオンキャリアと平面光波回路を示した斜視図である。
図4図1図3に示す光源モジュールの使用方法の一例を示す斜視図である。
図5】本発明のXRグラスの一例を説明するための概念図である。
図6図5に示すXRグラスにおいて、光源モジュールから出射された光によって網膜に直接画像が投影される様子を示す概念図である。
図7図7は、実施例の光源モジュールを、図1に示すA-A´線に沿って切断したときのサブキャリア20および基板40のサブキャリア20近傍の領域の熱分布を示した断面図である。
図8】比較例の光源モジュールを、実施例の光源モジュールと対応する位置で切断したときの熱分布を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決し、良好な放熱性能を有する光源モジュールを実現するために、レーザーダイオードを収容するパッケージに、パッケージを貫通するサーマルビアを設ければよいと考えた。より詳細には、パッケージは、一般に熱伝導率の低い材料で形成されている。このため、サーマルビアを介して、レーザーダイオードで生じた熱をパッケージの外部に放熱すればよいと考えた。
しかしながら、サーマルビアの設けられたパッケージに、チップオンキャリアと平面光波回路とを収容した光源モジュールであっても、十分な放熱性能は得られなかった。
【0011】
そこで、本発明者は、レーザーダイオードで生じた熱の放熱経路と、光源モジュールを形成している各部材の熱伝導率に着目し、チップオンキャリアおよび平面光波回路として、以下に示すものを用いて、鋭意検討を重ねた。
すなわち、光源モジュールの有するチップオンキャリアとして、熱伝導率が120W/mK~170W/mKである基台と、基台上に搭載されたレーザーダイオードとを有するもの用いた。また、平面光波回路として、基台と接合された熱伝導率が120W/mK~170W/mKである基板と、基板上に設けられ、レーザーダイオードから発せられる光が入射される光導波路とを有するものを用いた。
【0012】
その結果、チップオンキャリアの基台と平面光波回路の基板とを接合し、レーザーダイオードで生じた熱を、基台を介して基板に伝え、さらに基板に移動した熱を、効率よく放熱できる放熱経路を設ければよいことが分かった。
しかし、通常、平面光波回路の基板は、銀ペーストなどの導電性接着剤を用いて、パッケージの底面に固定されている。導電性接着剤が硬化してなる導電性接着層は、熱伝導率が非常に低い。このため、平面光波回路の基板をサーマルビアの設けられたパッケージの底面に固定しても、平面光波回路の基板に移動した熱は、サーマルビアに十分に伝熱されず、外部に効率よく放熱されない。
【0013】
そこで、本発明者は、さらに検討を重ねた。そして、パッケージの底面を形成している熱伝導率が3W/mK~40W/mKである土台に、熱伝導率が135W/mK~210W/mKであり、土台を貫通する1つ以上のサーマルビアを設け、土台上に設けられた熱伝導率が80W/mK~210W/mKであるバンプに接して平面光波回路を設置し、バンプの少なくとも1つが、サーマルビアと平面視で少なくとも一部が重なる位置に配置され、バンプとサーマルビアとが接している、または熱伝導率が55W/mK~65W/mKである金属パットを介して接合している光源モジュールとすればよいことを見出した。
【0014】
本発明者らは、さらに検討を重ね、このような光源モジュールでは、レーザーダイオードで生じた熱が、チップオンキャリアの基台、平面光波回路の基板、バンプ、サーマルビアをこの順に通る放熱経路で放熱され、平面光波回路を、銀ペーストなどの導電性接着剤を用いてパッケージの底面に固定しても、レーザーダイオードで生じ、チップオンキャリアの基台を介して平面光波回路の基板に移動した熱を効率よく放熱できるため、優れた放熱性能が得られることを確認し、本発明を想到した。
【0015】
本発明は以下の態様を含む。
[1] 基台と、前記基台上に搭載されたレーザーダイオードとを有するチップオンキャリアと、
前記基台と接合された基板と、前記基板上に設けられ、前記レーザーダイオードから発せられる光が入射される光導波路とを有する平面光波回路と、
前記チップオンキャリアおよび前記平面光波回路を収容する収容部を有するパッケージとを有し、
前記収容部は、底面を形成する土台と、前記土台を貫通する1つ以上のサーマルビアと、前記土台上に設けられた1つ以上のバンプとを有し、
前記バンプの少なくとも1つが、前記平面光波回路に接して配置され、前記サーマルビアと平面視で少なくとも一部が重なる位置に配置され、
前記バンプと前記サーマルビアとが接している、または金属パットを介して接合している、光源モジュール。
【0016】
[2] 前記基台の熱伝導率が120W/mK~170W/mKであり、
前記基板の熱伝導率が120W/mK~170W/mKであり、
前記土台の熱伝導率が3W/mK~40W/mKであり、
前記サーマルビアの熱伝導率が135W/mK~210W/mKであり、
前記バンプの熱伝導率が80W/mK~210W/mKであり、
前記金属パットの熱伝導率が55W/mK~65W/mKである、[1]に記載の光源モジュール。
【0017】
本実施形態において、各材料の熱伝導率とは、0℃~200℃の温度範囲内での熱伝導率を意味する。
【0018】
[3] 前記基台および前記基板が、シリコンを含む材料からなり、
前記土台が、酸化アルミニウムからなり、
前記バンプおよびサーマルビアが、タングステンまたはモリブデンからなる、[1]又は[2]に記載の光源モジュール。
[4] 前記基台と前記基板とが、熱伝導率が55W/mK~65W/mKである金属接合層を介して接合されている、[1]又は[2]に記載の光源モジュール。
【0019】
[5] 前記金属パットが、前記土台上の平面視で前記平面光波回路が配置される領域に少なくとも配置され、
前記バンプが、前記金属パット上に接して配置されている、[1]又は[2]に記載の光源モジュール。
[6] 前記金属パットが、前記土台上の平面視で前記チップオンキャリアが配置される領域に延在して設けられ、
前記チップオンキャリアが、前記金属パッド上に熱伝導率が1W/mK~50W/mKである導電性接着層を介して設置されている、[5]に記載の光源モジュール。
【0020】
[7] [1]~[6]のいずれかに記載の光源モジュールが搭載されている、XRグラス。
【0021】
以下、本実施形態の光源モジュールおよびXRグラスについて、図面を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合がある。したがって、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であり、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0022】
[光源モジュール]
図1は、本発明の光源モジュールの一例を説明するための平面図であり、パッケージのカバーを取り外した状態の平面図である。図2は、図1に示す光源モジュールを図1に示すA-A´線に沿って切断した断面図である。図3は、図1に示す光源モジュールの有する、チップオンキャリアと平面光波回路を示した斜視図である。
【0023】
本実施形態の光源モジュール100は、図1および図2に示すように、チップオンキャリア200と、平面光波回路400と、チップオンキャリア200と平面光波回路400とを収容するパッケージ110とを有する。本実施形態における光源モジュール100は、光の3原色である赤(R)、緑(G)、青(B)のそれぞれの色の光を合わせる合波器である。
【0024】
(チップオンキャリア)
図1図3に示すように、チップオンキャリア200は、サブキャリア(基台)20と、サブキャリア20上に搭載されたレーザーダイオード(LD)30とを有する。
以下の説明では、レーザーダイオード(LD)30から発せられる光の出射方向をy方向とする。また、y方向に直交し、且つサブキャリア20からLD30に向かう方向をz方向とする。また、y方向およびz方向に直交する方向をx方向とする。
【0025】
図1および図3において、符号20-1、20-2、20-3はサブキャリア20である。これら3つのサブキャリア20-1、20-2、20-3は、いずれも略直方体の形状を有し、公知の方法により所定の配線などが設けられているものである。
【0026】
3つのサブキャリア20-1、20-2、20-3は、いずれも熱伝導率が140W/mK~170W/mKのものであることが好ましい。
3つのサブキャリア20-1、20-2、20-3としては、例えば、シリコン(Si)が挙げられる。
3つのサブキャリア20-1、20-2、20-3は、それぞれ異なる材料からなるものであってもよいし、一部または全てが同じ材料からなるものであってもよい。
【0027】
図1および図3に示すように、符号30-1、30-2、30-3はレーザーダイオード(LD)30である。LD30-1は、赤色光を発するレーザーダイオードである。例えば、LD30-1の発する赤色光として、ピーク波長が610nm以上750nm以下である光が使用可能である。LD30-2は、緑色光を発するレーザーダイオードである。例えば、LD30-2の発する緑色光として、ピーク波長が500nm以上560nm以下である光が使用可能である。LD30-3は、青色光を発するレーザーダイオードである。例えば、LD30-3の発する青色光として、ピーク波長が435nm以上480nm以下である光が使用可能である。これら3つのレーザーダイオード30-1、30-2、30-3としては、それぞれ市販の各種レーザー素子を使用できる。
【0028】
これら3つのレーザーダイオード(LD)30-1、30-2、30-3は、それぞれのレーザーダイオードから発せられる光の出射方向(y方向)に略直交する方向(x方向)において互いに間隔をあけて配置され、個別のサブキャリア20の上面21に設けられている。すなわち、図3に示すように、LD30-1は、サブキャリア20-1の上面21-1に設けられている。LD30-2は、サブキャリア20-2の上面21-2に設けられている。LD30-3は、サブキャリア20-3の上面21-3に設けられている。
【0029】
本実施形態では、レーザーダイオードとして赤(R)、緑(G)、青(B)の光を発するものを、それぞれ1つずつ備える場合を例に挙げて説明するが、赤(R)、緑(G)、青(B)以外の光を発するレーザーダイオードも使用可能である。また、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色を発する3つのレーザーダイオードの配置は、図1図3に示す配置に限定されるものではなく、適宜変更可能である。また、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色を発するレーザーダイオードの数(およびレーザーダイオードの搭載されるサブキャリアの数)は、特に限定されるものではなく、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色において、それぞれ異なっていてもよいし、一部または全てが同じであってもよく、光源モジュール100の用途などに応じて適宜決定できる。
【0030】
サブキャリア20-1、20-2、20-3と、レーザーダイオード(LD)30-1、30-2、30-3とは、図2に示すように、それぞれサブキャリア20とレーザーダイオード30との間に設けられた金属層75を介して接合されていることが好ましい。
金属層75としては、例えば、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、鉛(Pb)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、金(Au)とスズ(Sn)の合金、スズ(Sn)-銀(Ag)-銅(Cu)系はんだ合金(SAC)、SnCu、InBi、SnPdAg、SnBiIn及びPbBiInからなる群から選択される1種または2種以上の金属からなるものが挙げられる。
【0031】
金属層75は、1層の金属層からなるものであってもよいし、複数層の金属層からなるものであってもよい。
また、サブキャリア20-1とLD30-1との間の金属層75と、サブキャリア20-2とLD30-2との間の金属層75と、サブキャリア20-3とLD30-3との間の金属層75とは、それぞれ異なる材料で形成されていてもよいし、一部または全てが同じ材料で形成されていてもよい。
【0032】
金属層75を形成する方法としては、公知の方法が利用可能である。例えば、スパッタ法、蒸着法、ペースト化した金属を塗布する方法等が挙げられる。
【0033】
(平面光波回路)
図1図3に示すように、平面光波回路(PLC)400は、基板40と、基板40上に設けられ、レーザーダイオード30から発せられる光が入射される光導波路50とを有する。
基板40は、略直方体の形状を有する。基板40は、熱伝導率が120W/mK~170W/mKのものであることが好ましい。
基板40としては、例えば、シリコン(Si)および/またはSiOからなるものが挙げられる。
【0034】
光導波路50は、図1および図3に示すように、LD30-1、LD30-2、LD30-3と同数のコア51-1、コア51-2、コア51-3と、コア51-1、コア51-2、コア51-3を囲むクラッド52とを有する。
クラッド52の厚み、およびコア51-1、コア51-2、コア51-3の幅方向寸法は、特に制限されない。
【0035】
コア51-1、コア51-2、コア51-3及びクラッド52は、例えば、石英で構成されている。コア51-1、コア51-2、コア51-3には、例えば、ゲルマニウム(Ge)等の不純物が所定値に応じた量でドープされている。
コア51-1、コア51-2、コア51-3の屈折率は、クラッド52の屈折率より所定値分だけ高くなっている。このことによって、コア51-1、コア51-2、コア51-3の各々に入射した光は、各コアとクラッド52との界面で全反射しながら、各コアを伝搬する。
【0036】
図3に示すように、コア51-1、コア51-2、コア51-3は、LD30-1、LD30-2、LD30-3からそれぞれ発せられる光が入射される入射面61(図2参照)を有する。コア51-1、コア51-2、コア51-3は、入射面61から出射面64に向かってy方向に延び、図1および図3に示すように、出射面64に到達する手前で1つに集められている。すなわち、コア51-1、コア51-2、コア51-3は、y方向の前方に向かうにつれて互いに近づき、1つのコア51-4に合流する。
【0037】
本実施形態では、コア51-1、コア51-2、コア51-3の入射面61が、それぞれLD30-1、LD30-2、LD30-3の出射面と対向するように配置されている。このことにより、LD30-1から発せられる赤色光の少なくとも一部が、コア51-1に入射可能とされ、LD30-2から発せられる緑色光の少なくとも一部が、コア51-2に入射可能とされ、LD30-3から発せられる青色光の少なくとも一部が、コア51-3に入射可能とされている。LD30-1、LD30-2、LD30-3から発せられ、コア51-1、コア51-2、コア51-3に入射した赤色光、緑色光、青色光は、それぞれ各コア内を伝搬する。
【0038】
コア51-1を伝搬する赤色光とコア51-2を伝搬する緑色光とは、所定の合流位置57-1(図3参照)で合わさる。また、コア51-1とコア51-2とが合流したコアを伝搬する赤色光および緑色光と、コア51-3を伝搬する青色光とは、合流位置57-2(図3参照)で合わさる。合流位置57-2で集光された赤色光、緑色光及び青色光は、コア51-4を伝搬し、出射面64に到達する。出射面64から出射される3色の光は、光源モジュール100の使用目的に応じて用いられる。
【0039】
光導波路50は、集積回路等の微細な構造を形成する際に用いられる公知のフォトリソグラフィおよび/またはドライエッチングを含む半導体プロセスによって、基板40の上面41に、基板40と光導波路50とが一体となるように作製されている。
【0040】
本実施形態の光源モジュール100では、チップオンキャリア200のサブキャリア20と、平面光波回路(PLC)400の基板40とが、公知の方法により、接合されている。図2に示すように、サブキャリア20と基板40とは、金属接合層71を介して接合されていることが好ましい。
【0041】
金属接合層71は、熱伝導率が55W/mK~65W/mKのものであることが好ましい。熱伝導率が55W/mK~65W/mKである金属接合層71としては、例えば、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、鉛(Pb)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、金(Au)とスズ(Sn)の合金、スズ(Sn)-銀(Ag)-銅(Cu)系はんだ合金(SAC)、SnCu、InBi、SnPdAg、SnBiIn及びPbBiInからなる群から選択される1種または2種以上の金属からなるものが挙げられる。金属接合層71は、1層の金属層からなるものであってもよいし、複数層の金属層からなるものであってもよい。
【0042】
一方、図2に示すように、チップオンキャリア200のレーザーダイオード30と、平面光波回路(PLC)400の光導波路50とは、所定の間隔で離間して配置されている。したがって、光導波路50の入射面61と、これに対向するレーザーダイオード30の出射面との間には、y方向において隙間が形成されている。
【0043】
(パッケージ)
パッケージ110は、図1および図2に示すように、上面が開口された略直方体状のキャビティ構造を有し、チップオンキャリア200と平面光波回路400とを収容する収容部107と、収容部107に隣り合う電極部108とを有する。
【0044】
収容部107は、図2に示すように、パッケージ110の底面131を形成する土台185と、土台185上の平面視で平面光波回路400が配置される領域に少なくとも配置された金属パット183と、金属パット183上に接して配置された1つ以上のバンプ181と、土台185を貫通する1つ以上のサーマルビア180と、土台185の下面におけるサーマルビア180の周囲に設けられたサーマルパッド184と、土台185の縁部を取り囲むように立設された平面視略矩形の側壁部132とを有する。
【0045】
図1に示すように、側壁部132の上面には、コバールなどからなる金属膜112が形成されている。収容部107は、上面を覆うカバー(不図示)によって気密封止され、収容部107の内部空間は、窒素(N)等の不活性ガスで満たされている。
【0046】
本実施形態では、図2に示すように、土台185として、第1基材185aと、第1基材185a上に設置された第2基材185bの2層の基材が積層された積層構造のものが設置されている。第1基材185aの第2基材185b側の面には、タングステンなどからなる、所定のパターン形状を有する配線(不図示)が設けられている。
土台185は、2層の基材が積層された積層構造のものに限定されるものではなく、1層の基材のみからなるものであってもよい。また、土台185が複数の基材が積層された積層構造を有する場合、3層以上であってもよい。
【0047】
土台185(本実施形態では第1基材185aおよび第2基材185b)は、絶縁性を有し、熱伝導率が3W/mK~40W/mKであることが好ましく、熱伝導率が8W/mK~34W/mKのものであることがより好ましく、18W/mK~29W/mKのものであることがさらに好ましい。
第1基材185aおよび第2基材185bとしては、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al)などからなるものが挙げられる。第1基材185aと第2基材185bは、同じ材料からなるものであってもよいし、それぞれ異なる材料からなるものであってもよい。
【0048】
本実施形態では、図2に示すように、土台185上の平面視で、平面光波回路400およびチップオンキャリア200の配置される領域全面に、金属パット183が設けられている。このため、本実施形態の光源モジュール100は、平面光波回路400からサーマルビア180に効率よく放熱でき、より良好な放熱性能を有するものとなる。また、本実施形態では、サーマルビア180がチップオンキャリア200と平面視で少なくとも一部が重なる位置にも配置されている。このため、チップオンキャリア200のレーザーダイオード30で生じた熱が、チップオンキャリア200と、後述する導電性接着層182と、金属パット183と、チップオンキャリア200と平面視で少なくとも一部が重なる位置に配置されたサーマルビア180とを通る放熱経路からも放熱される。その結果、より良好な放熱性能を有する光源モジュール100となる。
【0049】
金属パット183は、必要に応じて設けられるものであり、設けられていなくてもよい。金属パット183が設けられている場合、平面光波回路400の配置される領域に少なくとも設けられていればよく、チップオンキャリア200の配置される領域には設けられていなくてもよい。本実施形態では、金属パット183は、図2に示すように、土台185上の平面視で、平面光波回路400だけでなく、チップオンキャリア200の配置される領域に延在して設けけられていることが好ましい。より良好な放熱性能を有する光源モジュール100となるためである。
【0050】
金属パット183は、熱伝導率が55W/mK~65W/mKであることが好ましい。
金属パット183としては、例えば、タングステン(W)又はモリブデン(Mo)が挙げられる。
【0051】
本実施形態では、図1および図2に示すように、金属パット183上の平面光波回路400が設置される領域に、金属パット183上に接して複数のバンプ181(図1および図2に示す例では4つ)が配置されている。このことにより、平面光波回路400は、バンプ181上に接して配置されている(図2参照)。本実施形態では、バンプ181の少なくとも1つ(図1および図2に示す例では2つ)が、サーマルビア180と平面視で少なくとも一部が重なる位置に配置されている(図1参照)。
【0052】
バンプ181は、土台185と平面光波回路400との間(金属パット183が設けられている場合は金属パット183と平面光波回路400との間)を所定の間隔とするスペーサとして機能する。バンプ181の数は、特に限定されるものではなく、平面光波回路400の大きさ、バンプ181の大きさなどに応じて適宜決定できる。
【0053】
バンプ181の厚みは、例えば、5μm~30μmであることが好ましい。バンプ181の厚みが5μm以上であると、スペーサ機能および放熱性向上機能がより良好となる。バンプ181の厚みが30μm以下であると、光源モジュール100の小型化に支障を来すことがなく、好ましい。
【0054】
バンプ181は、熱伝導率が80W/mK~210W/mKであることが好ましく、熱伝導率が135W/mK~210W/mKのものであることがより好ましく、150W/mK~210W/mKのものであることがさらに好ましい。
バンプ181としては、例えば、タングステン(W)、モリブデン(M)、ニッケル(Ni)、金(Au)、タングステンと銅との合金(CuW)からなる群から選択される1種または2種以上の金属からなるものが挙げられる。バンプ181は、1層の金属層からなるものであってもよいし、複数層の金属層からなるものであってもよい。
【0055】
バンプ181が1層の金属層からなるものである場合、タングステン(W:熱伝導率150W/mK~180W/mK)、またはモリブデン(Mo:熱伝導率135W/mK~150W/mK)からなるものであることが好ましい。タングステンおよびモリブデンは、土台185を焼結する際の一般的な焼結温度では、溶融したり気化したりしない。このため、バンプ181が、タングステンからなる層またはモリブデンからなる層からなる1層のものである場合、金属パット183の形成された土台185上の所定の位置に、公知の方法によりバンプ181となる材料を印刷してから、土台185を焼成する方法を用いて、バンプ181を形成でき、好ましい。
【0056】
バンプ181が複数の金属層からなるものである場合、タングステンからなる層またはモリブデンからなる層の上に、ニッケル層と金層とがこの順に積層されたものであることが好ましい。この場合、タングステンからなる層またはモリブデンからなる層の形成された土台185上の所定の位置に、めっき法によりニッケル層と金層とをこの順に積層することにより、内部電極パッド202を設けると同時に、バンプ181を形成できるためである。内部電極パッド202と同時に形成されるニッケル層および金層は、熱伝導率が十分に高く、厚みの薄い層である。例えば、タングステンからなる層またはモリブデンからなる層の厚みは20μm~30μmとすることができ、ニッケル層の厚みは2μ~8μm、金層の厚みは1μ~4μmとすることができる。このため、ニッケル層および金層は、バンプ181を形成しているタングステンからなる層またはモリブデンからなる層と、平面光波回路400との伝熱に影響しないとみなすことができる。
【0057】
本実施形態では、図2に示すように、金属パット183上のバンプ181が配置されていない領域の少なくとも一部に、導電性接着層182が形成されていることが好ましい。導電性接着層182は、金属パット183と、平面光波回路400およびチップオンキャリア200とを接合し固定するものである。すなわち、チップオンキャリア200は、金属パッド183上に導電性接着層182を介して設置されている。導電性接着層182は、必要に応じて設けられるものであり、設けられていなくてもよいし、金属パット183上のバンプ181が配置されていない領域の全域に形成されていてもよい。
【0058】
導電性接着層182は、樹脂と、導電性を有する粒子とを含む導電性接着剤の硬化物からなる。導電性接着層182の熱伝導率は、1W/mK~50W/mKであり、導電性接着剤に含まれる樹脂および導電性を有する粒子の、種類および割合に応じて決定される。樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。導電性を有する粒子としては、例えば、銀、銅、ニッケルなどが挙げられる。導電性接着層182を形成するための導電性接着剤としては、接着力が良好で、耐熱性が高く、硬化時の体積収縮が少なく、硬化後のデガスが少ないため、エポキシ樹脂と銀粒子とを含む銀ペーストを用いることが好ましい。
【0059】
本実施形態では、図1および図2に示すように、土台185を貫通する4つのサーマルビア180が設けられている。4つのサーマルビア180のうち2つは、平面視で平面光波回路400およびバンプ181と少なくとも一部が重なる位置に設けられ、残る2つは平面視でチップオンキャリア200と少なくとも一部が重なる位置に設けられている。
【0060】
平面視で平面光波回路400と重なる位置に設けられ、かつバンプ181と少なくとも一部が重なる位置に設けられた2つのサーマルビア180は、図2に示すように、2層構造の土台185のうち下側に設置された第1基材185aを貫通する下側ビア180aと、上側に設置された第2基材185bを貫通する上側ビア180cとが連結された構造を有する。平面視でチップオンキャリア200と少なくとも一部が重なる位置に設けられた2つのサーマルビア180は、図2に示すように、第1基材185bを貫通する下側ビア180aと、第2基材185bを貫通する上側ビア180dとが連結された構造を有する。
【0061】
本実施形態では、下側ビア180a、180b、および上側ビア180c、180dは、略同心の円柱形状を有する。下側ビア180a、180bの直径が、上側ビア180c、180dよりも大きい形状とされている。下側ビア180a、180b、および上側ビア180c、180dの平面形状および大きさは、特に限定されるものではなく、サーマルビア180の数、平面光波回路400の大きさ、第1基材185aおよび第2基材185bの厚みなどに応じて適宜決定できる。
【0062】
本実施形態では、平面視で平面光波回路400と重なる位置に設けられた2つのサーマルビア180の両方が、バンプ181と平面視で少なくとも一部が重なる位置に配置されている場合を例に挙げて説明するが、平面視で平面光波回路400と重なる位置に設けられた複数のサーマルビア180のうち一部のみが、バンプ181と平面視で少なくとも一部が重なる位置に配置されていてもよい。したがって、例えば、所定のピッチで並べられた複数のサーマルビア180と、所定のピッチで並べられた複数のバンプ181とが設けられている場合、サーマルビア180のピッチとバンプ181とのピッチとは同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0063】
また、本実施形態では、平面視で平面光波回路400と重なる位置に設けられた2つのサーマルビア180が、いずれも平面視でバンプ181の形成されている領域内に配置されている場合を例に挙げて説明するが、平面視で平面光波回路400と重なる位置に設けられた2つのサーマルビア180のうち一方または両方が、平面視でバンプ181の形成されている領域内に一部のみ配置されていてもよい。
本実施形態では、サーマルビア180の数は、特に限定されるものではなく、チップオンキャリア200および平面光波回路400の数および大きさなどに応じて適宜決定できる。
【0064】
サーマルビア180は、熱伝導率が135W/mK~210W/mKのものであることが好ましく、具体的には、タングステン(W:熱伝導率150W/mK~180W/mK)、またはモリブデン(Mo:熱伝導率135W/mK~150W/mK)からなるものであることが好ましい。第1基材185aおよび第2基材185bにそれぞれ設けられた、下側ビア180a、180bおよび上側ビア180c、180dとなる孔に、公知の方法によりサーマルビア180となる材料を充填してから、土台185を焼成する方法を用いて光源モジュール100を製造できるためである。
【0065】
本実施形態では、図2に示すように、土台185の下面におけるサーマルビア180の周囲に、サーマルパッド184が設けられている。サーマルパッド184は、土台185の下面のサーマルビア180の周囲にのみ設けられていてもよいし、サーマルビア180の周囲以外の領域にも設けられていてもよい。サーマルパッド184は、例えば、土台185の下面全体に設けられていてもよい。
【0066】
収容部107の側壁部132は、絶縁性を有する材料からなる。側壁部132としては、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al)などからなるものが挙げられる。側壁部132は、土台185と同じ材料からなるものであってもよいし、異なる材料からなるものであってもよい。
【0067】
本実施形態では、図1に示すように、収容部107の底面131上におけるチップオンキャリア200の外部電極パッド210側の位置には、複数の内部電極パッド202がx方向に間隔をあけて設けられている。複数の内部電極パッド202のうち、各レーザーダイオード30に対応する内部電極パッド202と、レーザーダイオード30およびサブキャリア20の各々とは、ワイヤー95によって接続されている。
【0068】
具体的には、例えば、レーザーダイオード30-1およびサブキャリア20-1の各々と、2つの内部電極パッド202-1の各々とは、ワイヤー95-1によって個別に接続されている。レーザーダイオード30-2及びサブキャリア20-2の各々と、2つの内部電極パッド202-2の各々とは、ワイヤー95-2によって個別に接続されている。レーザーダイオード30-3及びサブキャリア20-3の各々と、2つの内部電極パッド202-3の各々とは、ワイヤー95-3によって個別に接続されている。
【0069】
内部電極パッド202-1、202-2、202-3の各々は、互いに異なる外部電極パッド210と電気的に接続されている。内部電極パッド202-1、202-2、202-3の各々と電気的に接続された外部電極パッド210には、電源に接続された配線などが電気的に接続されている。
【0070】
図1および図2に示すように、パッケージ110の収容部107を形成している側壁部132のうち、平面光波回路(PLC)400の光導波路50の出射面64と対向する側壁部132-1には、開口133が形成されている。開口133は、側壁部132-1において、光導波路50のコア51-4から出射される3色光の光軸と交差する位置を略中心として形成されている。開口133は、光導波路50のコア51-4から出射される3色光が通過してパッケージ110の外部に伝搬する窓である。開口133は、側壁部132の外方からガラス板220によって隙間なく覆われている。
【0071】
パッケージ110の電極部108は、図1および図2に示すように、収容部107のy方向後方に配置されている。図1に示すように、電極部108の上面には、x方向に間隔をあけて複数の外部電極パッド210が設けられている。
【0072】
<製造方法>
図1に示す本実施形態の光源モジュール100は、例えば、以下に示す方法により製造できる。
まず、サブキャリア(基台)20の上面21に、公知の手法を用いて、金属層75を介してレーザーダイオード(LD)30を実装する。このことにより、チップオンキャリア200を製造する(図3参照)。
次に、基板40の上面41に、公知の半導体プロセスによって光導波路50を形成する。このことにより、平面光波回路(PLC)400を製造する(図3参照)。
【0073】
次に、公知の手法を用いて、金属接合層71を介して、レーザーダイオード30の搭載されたサブキャリア20と、光導波路50が形成された基板40とを接合し、一体化する(図2参照)。この時、本実施形態では、図2に示すように、サブキャリア20の底面と、基板40の底面とが略同一平面上になるように接合する。
【0074】
次に、例えば、以下に示す方法により、パッケージ110を製造する。まず、土台185となる第1基材185aを用意し、公知の方法により、平面視で平面光波回路400の配置される領域に2つの下側ビア180aを設けるととともに、平面視でチップオンキャリア200の配置される領域に2つの下側ビア180bを設ける(図1参照)。具体的には、第1基材185aに下側ビア180a、180bとなる孔を設け、その孔内に、公知の方法により下側ビア180a、180bとなる材料を充填する。
次に、第1基材185aの土台185の下面となる面の少なくともサーマルビア180の周囲に、公知の方法により、サーマルパッド184を形成する(図2参照)。次に、第1基材185aの第2基材185bが配置される側の面に、公知の方法により、所定のパターン形状を有する配線(不図示)を設ける。
【0075】
次に、第1基材185a上に第2基材185bを積層し、公知の方法により、平面視で2つの下側ビア180aと重なる位置に、それぞれ上側ビア180cを設けるととともに、平面視で2つの下側ビア180bと重なる位置に、それぞれ上側ビア180dを設ける(図2参照)。具体的には、第2基材185bに上側ビア180c、180dとなる孔を設け、その孔内に、公知の方法により上側ビア180c、180dとなる材料を充填する。このことにより、土台185を貫通する4つのサーマルビア180を有し、パッケージ110の底面131となる土台185が形成される。
次に、公知の方法により、土台185上の平面視で、平面光波回路400およびチップオンキャリア200の配置される領域全面に、金属パット183を設ける。
【0076】
次に、本実施形態では、金属パット183上の平面光波回路400の配置される領域に、バンプ181となる材料を印刷する方法など公知の方法により、4つのバンプ181を形成する。このとき、本実施形態では、4つのバンプ181のうち2つのバンプ181を、サーマルビア180と平面視で重なる位置に形成する。
次に、公知の方法により、バンプ181までの各層が形成された土台185を、焼結する。焼結は、公知の方法および条件で行うことができ、1500℃以上、例えば1600℃の温度で行うことができる。
【0077】
次に、公知の方法により、土台185上の平面視で、チップオンキャリア200の配置される領域の外部電極パッド210側の位置に、めっき法など公知の方法により、複数の内部電極パッド202を設ける。
バンプ181が、タングステンからなる層またはモリブデンからなる層の上に、ニッケル層と金層とがこの順に積層されたものである場合、めっき法により内部電極パッド202を設けると同時に、焼結後のタングステンからなる層またはモリブデンからなる層の上に、ニッケル層と金層とをこの順に形成することが好ましい。
【0078】
次に、ワイヤーボンディング等の方法を用いて、レーザーダイオード30-1およびサブキャリア20-1の各々と2つの内部電極パッド202-1の各々、レーザーダイオード30-2およびサブキャリア20-2の各々と2つの内部電極パッド202-2の各々、レーザーダイオード30-3およびサブキャリア20-3の各々と2つの内部電極パッド202-3の各々とを、それぞれ金(Au)などからなるワイヤー95-1、95-2、95-3によって個別に接続する。
【0079】
次に、公知の方法により、土台185上の電極部108となる位置に、複数の外部電極パッド210を設ける。
その後、土台185上の電極パッド202と外部電極パッド210との間と、土台185の外部電極パッド210側以外の縁部とに、側壁部132を形成する。このことにより、平面視略矩形の収容部107を形成するとともに、収容部107に隣り合う電極部108を形成する。このとき、公知の方法により、平面光波回路400の光導波路50の出射面64と対向する側壁部132-1に、開口133を設ける。
【0080】
次いで、側壁部132の上面に、公知の方法により、コバールなどからなる金属膜112を形成する。
その後、側壁部132の外方からガラス板220で開口133を隙間なく覆い、収容部107の上面を覆うようにカバー(不図示)を設置し、収容部107を窒素(N)等の不活性ガスで満たし、気密封止する。
以上の工程により、図1に示す光源モジュール100が得られる。
【0081】
<使用方法>
図4は、図1図3に示す光源モジュールの使用方法の一例を示す斜視図である。図4において、図1図3に示す光源モジュールと同じ部材については同じ符号を付し、説明を省略する。
図4において、符号300は、コリメート装置を示し、符号310は、コリメート装置300の有するコリメートレンズを示す。
【0082】
図4に示すように、光源モジュール100は、パッケージ110の収容部107の上面が、カバー105によって覆われて気密封止されている。図4に示す光源モジュール100は、収容部107の側壁部132-1に設けられた開口133から、ガラス板220を介して3色光LLを出射している。光源モジュール100から出射された3色光LLは、y方向を中心に拡散しつつ、パッケージ110のy方向前方に進行する。
【0083】
コリメート装置300は、図4に示すように、光源モジュール100のパッケージ110の側壁部132-1よりもy方向で奥側に配置されている。パッケージ110から出射された3色光LLは、光源モジュール100の有するレーザーダイオード(LD)30のy方向における出射面と、コリメートレンズ310との距離を、コリメートレンズ310の焦点距離に合わせ、3色光LLの光軸上にコリメートレンズ310の中心を合わせることによって、コリメートされ平行光とされる。
【0084】
本実施形態の光源モジュール100では、チップオンキャリア200の基台20、平面光波回路400の基板40、パッケージ110の土台185、サーマルビア180、バンプ181が、それぞれ上述した熱伝導率を有する。そして、平面光波回路400に接するバンプ181のうち2つが、サーマルビア180と平面視で少なくとも一部が重なる位置に配置されている。このため、レーザーダイオード(LD)30で生じ、基台20を介して基板40に移動した熱を、バンプ181とサーマルビア180とをこの順に通る放熱経路により効率よく放熱できる。したがって、本実施形態の光源モジュール100は、良好な放熱性能を有する。
【0085】
さらに、本実施形態の光源モジュール100において、基台20と基板40とが、金属接合層71を介して接合されている場合、レーザーダイオード(LD)30で生じた熱が、基台20から基板40に金属接合層71を介して、より効率よく伝わる。その結果、より一層、良好な放熱性能を有する光源モジュール100となる。
【0086】
また、本実施形態の光源モジュール100は、土台185上の平面視で平面光波回路400が配置される領域に金属パット183が配置され、バンプ181が金属パット183上に接して配置されている。このため、本実施形態の光源モジュール100では、レーザーダイオード(LD)30で生じた熱が、平面光波回路400に接するバンプ181からサーマルビア180に金属パット183を介して効率よく伝わる。その結果、より一層、良好な放熱性能を有する光源モジュール100となる。
【0087】
さらに、本実施形態では、金属パット183が、土台185上の平面視でチップオンキャリア200が配置される領域に延在して設けられ、チップオンキャリア200が、金属パッド183上に導電性接着層182を介して設置されている。このため、本実施形態の光源モジュール100では、レーザーダイオード(LD)30で生じた熱が、基台20、導電性接着層182、金属パッド183、サーマルビア180という放熱経路からも放熱される。その結果、より一層、良好な放熱性能を有する光源モジュール100となる。
【0088】
また、本実施形態の光源モジュール100は、土台185の下面におけるサーマルビア180の周囲に、サーマルパッド184が配置されているので、レーザーダイオード(LD)30で生じた熱を、基台20、基板40、バンプ181、サーマルビア180、サーマルパッド184という放熱経路で効率よく放熱できる。
【0089】
[XRグラス]
図5は、本発明のXRグラスの一例を説明するための概念図である。図6は、図5に示すXRグラスにおいて、光源モジュールから出射されたレーザー光によって網膜に直接画像が投影される様子を示す概念図である。
本実施形態のXRグラス(眼鏡)1000は、メガネ型の端末である。XRとは、仮想現実(VR:Virtual Reality)、拡張現実(AR:Augmented Reality)、複合現実(Mixed Reality)の総称である。図5に示す符号Lは画像表示光である。
【0090】
図5に示す本実施形態のXRグラス1000は、上述した実施形態に係る光源モジュール100が、フレーム1010に設置された光学エンジン5001に搭載されたものである。
光学エンジン5001は、図5に示すように、光源モジュール100と、光走査ミラー3001と、光源モジュール100と光走査ミラー3001とを結ぶ光学系2001と、レーザードライバ1100と、光走査ミラードライバ1200と、これらのドライバを制御するビデオコントローラ1300とを有する。
【0091】
光走査ミラー3001としては、例えば、MEMSミラーを用いることができる。2D画像を投影するためには、光走査ミラー3001として、水平方向(X方向)および垂直方向(Y方向)に角度を変えてレーザー光を反射するように振動する2軸MEMSミラーを用いることが好ましい。
【0092】
光学系2001は、光源モジュール100から出射したレーザー光を光学的に処理するものである。光学系2001としては、例えば、コリメータレンズ2001aと、スリット2001bと、NDフィルタ2001cとを有するものを用いることができる。図5に示す光学系2001は一例であって、他の構成であってもよい。
【0093】
図5に示す本実施形態のXRグラス1000では、図6に示すように、フレーム1010に取り付けられた光源モジュール100から照射されたレーザー光Rが、光走査ミラー3001で反射され、さらにXRグラス1000のレンズ4001に反射され、画像表示光Lとして人の眼球E内に入り、網膜Mに直接画像(映像)を投影できる。
【0094】
本実施形態のXRグラス1000は、本実施形態の光源モジュール100が搭載されているため、光源モジュール100のレーザーダイオード(LD)30で生じた熱が効率よく放熱される。
【0095】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
例えば、本発明の光源モジュール100は、土台185の下面に配置されたサーマルパッド184に接する位置など、外面の任意の位置に設置された公知のヒートスプレッダを有していてもよい。ヒートスプレッダとしては、例えば、タングステンと銅との合金(CuW(Cu;10mol%、W;90mol%);20℃での熱伝導率180W/mK)などからなる任意の形状を有するものを用いることができる。ヒートスプレッダを有することにより、より一層、レーザーダイオード(LD)30で生じた熱を効率よく放熱できる光源モジュール100となる。
【実施例0096】
(実施例)
以下に示す材料を用いて図1図3に示す光源モジュール100を作成した場合の光源モジュール100の放熱状態について、以下に示す条件でシミュレーションを行った。その結果を図7に示す。
【0097】
<材料>
本実施例における各材料の熱伝導率とは、20℃の温度での熱伝導率である。
サブキャリア(基台)20:シリコン(Si:熱伝導率149W/mK)
基板40:シリコン(Si:熱伝導率149W/mK)
金属接合層71:スズ(Sn)-銀(Ag)-銅(Cu)系はんだ合金(SAC:熱伝導率55W/mK)
(土台185)
第1基材185a:酸化アルミニウム(Al:熱伝導率15W/mK)
第2基材185b:酸化アルミニウム(Al:熱伝導率15W/mK)
(サーマルビア180)
下側ビア180a、180b:タングステン(W:熱伝導率173W/mK)
上側ビア180c、180d:タングステン(W:熱伝導率173W/mK)
サーマルパッド184:タングステン(W:熱伝導率173W/mK)
金属パット183:タングステン(W:熱伝導率173W/mK)
バンプ181:タングステン(W:熱伝導率173W/mK)厚み30μm
導電性接着層182:銀ペースト(熱伝導率3W/mK)
【0098】
<条件>
光源モジュール100の底面(サーマルパッド184)温度:40℃(一定)
(レーザーダイオード(LD)の動作電流および順方向電圧)
LD30-1(赤色光):動作電流45mA(25℃最大値)、順方向電圧:2.3V(25℃typ)
LD30-2(緑色光):動作電流32mA(25℃標準値)、順方向電圧:6.0V(25℃typ)
LD30-3(青色光):動作電流20mA(25℃標準値)、順方向電圧:4.6V(25℃typ)
【0099】
(比較例)
下側ビアおよび上側ビアを有さないこと以外は、実施例と同じ光源モジュール100を作成した場合の光源モジュールの放熱状態について、実施例と同様にしてシミュレーションを行った。その結果を図8に示す。
【0100】
図7は、実施例の光源モジュールを、図1に示すA-A´線に沿って切断したときのサブキャリア20および基板40のサブキャリア20近傍の領域の熱分布を示した断面図である。図8は、比較例の光源モジュールを、実施例の光源モジュールと対応する位置で切断したときの熱分布を示した断面図である。
図7および図8に示される熱分布における色の明度は、温度1.5℃ごとに異なる。図7における土台185の部分および図8における土台186の部分においては、高い温度の領域であるほど白っぽい色で示され、低い温度の領域であるほど黒っぽい色で示されている。
【0101】
図7に示すように、実施例の光源モジュール100では、基板40のサブキャリア20近傍の下部に配置された土台185において、高さ方向に温度分布が生じた。より詳細には、基板40のサブキャリア20近傍の下部に配置された2層構造の土台185のうち、下側に設置された第1基材では、上側の領域よりも下側の領域の方が低い温度であった。また、図7に示すように、2つのサーマルビア180内においても、上側の領域よりも下側の領域の方が低い温度であった。そして、図7に示すように、サーマルビア180内では、土台185内よりも温度の低い領域と高い領域との境界の位置が上方であった。このことから、レーザーダイオード30で生じた熱が、チップオンキャリアの基台20、サーマルビア180をこの順に通る放熱経路、チップオンキャリアの基台20、平面光波回路の基板40、バンプ181、金属パット183、サーマルビア180をこの順に通る放熱経路で放熱されることにより、効率よく放熱されていることが確認できた。
【0102】
これに対し、図8に示すように、比較例の光源モジュールでは、基板40のサブキャリア20近傍の下部に配置された土台186において、高さ方向の温度分布は確認できなかった。このことから、比較例の光源モジュールでは、実施例の光源モジュール100と比較して、放熱性が劣ることが確認できた。
【符号の説明】
【0103】
20、20-1、20-2、20-3 サブキャリア(基台)、21、21-1、21-2、21-3、41 上面、30、30-1、30-2、30-3 レーザーダイオード(LD)、40 基板、50 光導波路、51-1、51-2、51-3、51-4 コア、52 クラッド、57-1、57-2 合流位置、61 入射面、64 出射面、71 金属接合層、75 金属層、95、95-1、95-2、95-3 ワイヤー、100 光源モジュール、105 カバー、107 収容部、108 電極部、110 パッケージ、112 金属膜、131 底面、132、132-1 側壁部、133 開口、180 サーマルビア、180a、180b 下側ビア、180c、180d 上側ビア、181 バンプ、182 導電性接着層、183 金属パット、184 サーマルパッド、185 土台、185a 第1基材、185b 第2基材、200 チップオンキャリア、202、202-1、202-2、202-3 内部電極パッド、210 外部電極パッド、220 ガラス板、300 コリメート装置、310 コリメートレンズ、400 平面光波回路(PLC)、1000 XRグラス(眼鏡)、1010 フレーム、5001 光学エンジン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8