(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141078
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】樹脂成形装置
(51)【国際特許分類】
B29C 48/25 20190101AFI20241003BHJP
B29C 48/30 20190101ALI20241003BHJP
B29C 48/88 20190101ALI20241003BHJP
B29C 48/03 20190101ALI20241003BHJP
B29C 48/28 20190101ALI20241003BHJP
B29C 48/285 20190101ALI20241003BHJP
B29B 7/38 20060101ALI20241003BHJP
B29B 7/58 20060101ALI20241003BHJP
B29B 13/10 20060101ALI20241003BHJP
B29B 17/04 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B29C48/25
B29C48/30
B29C48/88
B29C48/03
B29C48/28
B29C48/285
B29B7/38
B29B7/58
B29B13/10
B29B17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052532
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】小谷野 淳一
(72)【発明者】
【氏名】梅田 直輝
【テーマコード(参考)】
4F201
4F207
4F401
【Fターム(参考)】
4F201AA50
4F201AM10
4F201BA01
4F201BC01
4F201BC17
4F201BC27
4F201BD05
4F201BK02
4F201BK13
4F201BK33
4F201BN31
4F207AA50
4F207AJ08
4F207AM19
4F207KA01
4F207KA17
4F207KF01
4F207KL51
4F207KW23
4F207KW45
4F401AA28
4F401AC12
4F401BA13
4F401CA13
4F401CA14
4F401CB01
4F401CB11
(57)【要約】
【課題】押出成形された不良樹脂をリサイクルすることが可能な樹脂成形装置を提供する。
【解決手段】樹脂成形装置1は、樹脂を押出成形する押出成形機2と、押出成形機2から押し出された樹脂成形品に処理を施す後処理装置3と、押出成形機2から押し出された樹脂成形品を粉砕してチップ状の再生樹脂とする粉砕機4と、押出成形機2から押し出された樹脂成形品の行き先を、後処理装置3と粉砕機4とに切り替える切替部5と、粉砕機4からの再生樹脂を押出成形機2に投入する投入部6と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂を押出成形する押出成形機と、
前記押出成形機から押し出された樹脂成形品に処理を施す後処理装置と、
前記押出成形機から押し出された樹脂成形品を粉砕してチップ状の再生樹脂とする粉砕機と、
前記押出成形機から押し出された前記樹脂成形品の行き先を、前記後処理装置と前記粉砕機とに切り替える切替部と、
前記粉砕機からの前記再生樹脂を前記押出成形機に投入する投入部と、
を備える樹脂成形装置。
【請求項2】
前記後処理装置は、前記樹脂成形品を冷却する冷却装置と、前記冷却装置において冷却された後の前記樹脂成形品を所定の長さに切断する切断装置と、切断された前記樹脂成形品を前記切断装置から押し出す押出部と、を含み、
前記粉砕機は、前記押出部によって前記切断装置から押し出された前記樹脂成形品を粉砕してチップ状の再生樹脂とする請求項1に記載の樹脂成形装置。
【請求項3】
前記粉砕機と前記投入部との間に設けられ、前記粉砕機からの前記再生樹脂を貯蔵する貯蔵部を備える請求項1又は請求項2に記載の樹脂成形装置。
【請求項4】
前記投入部は、新規に製造された新規樹脂と前記再生樹脂とを混合して投入する混合投入部である請求項1又は請求項2に記載の樹脂成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、樹脂を押出成形によって所望の形状に成形する樹脂成形装置(押出成形装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、樹脂成形装置の運転開始直後においては、押出成形された樹脂成形品の形状や寸法が不安定であるため、このような樹脂成形品は不良樹脂として廃棄される。不良樹脂の廃棄は、環境保護やコスト(廃棄コスト)の観点から好ましくない。しかしながら、不良樹脂が不純物(例えば木粉など樹脂以外の材料)を含む場合には、不良樹脂に他の用途に流用することが難しいため、不良樹脂を(同じ種類の樹脂成形品を製造する)樹脂成形装置においてリサイクルことが好ましい。
【0005】
上述の課題を鑑み、本発明の目的は、押出成形された不良樹脂をリサイクルすることが可能な樹脂成形装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、樹脂を押出成形する押出成形機と、前記押出成形機から押し出された樹脂成形品に処理を施す後処理装置と、前記押出成形機から押し出された樹脂成形品を粉砕してチップ状の再生樹脂とする粉砕機と、前記押出成形機から押し出された前記樹脂成形品の行き先を、前記後処理装置と前記粉砕機とに切り替える切替部と、前記粉砕機からの前記再生樹脂を前記押出成形機に投入する投入部と、を備える樹脂成形装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、押出成形された不良樹脂をリサイクルすることが可能な樹脂成形装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る樹脂成形装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、
図1を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態の樹脂成形装置1は、押出成形機2と、後処理装置3と、粉砕機4と、切替部5と、投入部6と、を備える。
【0010】
押出成形機2は、樹脂を押出成形する。押出成形機2は、押出成形機2から押し出される樹脂成形品M1を所定の形状及び寸法とするための金型21を有する。押出成形機2において用いられる樹脂は、新規に製造された新規樹脂であってもよいし、新規樹脂に後述する「再生樹脂」を混合した混合樹脂であってもよい。また、押出成形機2において用いられる樹脂には、マスターバッチ(着色剤)や発泡剤などが添加されていてもよい。マスターバッチは、顔料や木粉などの樹脂以外の材料であってよい。
【0011】
後処理装置3は、押出成形機2から押し出された樹脂成形品M1に各種の処理を施す装置である。後処理装置3の具体的な構成は任意であってよい。本実施形態における後処理装置3は、冷却装置31と、引取装置32と、切断装置33と、押出部34と、を含む。
【0012】
冷却装置31は、押出成形機2の後段に設けられ、押出成形機2から押し出された樹脂成形品M1を冷却する。
図1における冷却装置31は樹脂成形品M1を通過させる水槽であるが、これに限ることはない。冷却装置31は、例えば通過する樹脂成形品M1に水や空気を噴射することで、樹脂成形品M1を冷却するように構成されてもよい。
【0013】
引取装置32は、冷却装置31の後段に設けられ、冷却装置31において冷却された樹脂成形品M2を引き取る。
図1に例示する引取装置32では、対となるローラにより樹脂成形品M2を挟持することで冷却装置31から引き取る。
【0014】
切断装置33は、冷却装置31において冷却された後の樹脂成形品M2を所定の長さに切断する。
図1に例示する切断装置33は、引取装置32の後段に設けられ、引取装置32によって冷却装置31から引き取られた樹脂成形品M2を切断する。
【0015】
押出部34は、切断された樹脂成形品M3を切断装置33から押し出す。本実施形態の押出部34は、引取装置32による樹脂成形品M2の引取方向(
図1において右方向)に対して交差する方向に、樹脂成形品M3を押し出す。
押出部34は、形状や寸法が安定しない樹脂成形品M3を、不良樹脂として、切断装置33から後述する粉砕機4(第二粉砕機42)に向けて押し出す。押出部34によって切断装置33から粉砕機4(第二粉砕機42)に向けて押し出された樹脂成形品M3(不良樹脂)は、例えば不図示の滑り台やコンベアなどを用いて粉砕機4(第二粉砕機42)に自動的に投入されてよい。
【0016】
粉砕機4は、押出成形機2から押し出された樹脂成形品M3を粉砕してチップ状の再生樹脂とする。また、粉砕機4は、押出部34によって切断装置33から押し出された樹脂成形品M3を粉砕して同様の再生樹脂とする。再生樹脂の形状は、押出成形機2における押出成形に適した形状となっていればよい。
【0017】
本実施形態の粉砕機4には、第一粉砕機41と第二粉砕機42とがある。第一粉砕機41は、押出成形機2から押し出された樹脂成形品M1を受け入れる。第二粉砕機42は、押出部34によって切断装置33から押し出された樹脂成形品M3を受け入れる。
【0018】
切替部5は、押出成形機2から押し出された樹脂成形品M1の行き先を、冷却装置31(後処理装置3)と第一粉砕機41とに切り替える。本実施形態の切替部5は、冷却装置31を受入位置と離間位置との間で移動させる移動機構51である。
図1において、移動機構51は、冷却装置31を押出成形機2に対して近づいたり離れたりする方向(
図1においてD1方向)に移動させる。
受入位置は、押出成形機2から押し出された樹脂成形品M1が冷却装置31に受け入れられる位置である、具体的には、冷却装置31が押出成形機2(金型21)に対して間隔をあけずに隣り合う位置である。これにより、冷却装置31が受入位置に配置された状態では、押出成形機2から押し出された樹脂成形品M1の行き先が冷却装置31となる。
【0019】
離間位置は、押出成形機2から押し出された樹脂成形品M1が冷却装置31に受け入れられない位置である、具体的には、冷却装置31が押出成形機2(金型21)に対して間隔をあけた位置である。これにより、冷却装置31が離間位置に配置された状態では、押出成形機2から押し出された樹脂成形品M1は冷却装置31に到達しない。その結果として、当該樹脂成形品M1の行き先が第一粉砕機41となる。
冷却装置31が離間位置に配置された状態では、例えば、押出成形機2から押し出された樹脂成形品M1が、自重によって第一粉砕機41に向けて落下してよい。また、この状態では、押出成形機2から押し出された樹脂成形品M1は、例えば不図示の滑り台やコンベアなどを用いて粉砕機4(第二粉砕機42)に自動的に投入されてよい。
【0020】
投入部6は、少なくとも粉砕機4からの再生樹脂を押出成形機2に投入する。本実施形態の投入部6は、再生樹脂及び新規樹脂(新規に製造された樹脂)を混合して投入する混合投入部である。
【0021】
本実施形態の樹脂成形装置1は、貯蔵部7をさらに備える。貯蔵部7は、粉砕機4(第一粉砕機41、第二粉砕機42)と投入部6との間に設けられる。貯蔵部7は、粉砕機4からの再生樹脂を貯蔵する。
貯蔵部7から投入部6への再生樹脂の供給手段は、例えばエアー吸引力を利用したものであってよい。また、当該再生樹脂の供給手段は、例えばコンベアや滑り台であってもよい。
【0022】
次に、本実施形態の樹脂成形装置1の動作の一例について説明する。
樹脂成形装置1の運転開始直後では、押出成形機2から押し出された樹脂成形品M1の寸法や形状が不安定となっている。このため、切替部5は、押出成形機2から押し出された当該不安定な樹脂成形品M1を不良樹脂として第一粉砕機41に向かわせる。具体的には、移動機構51により冷却装置31を離間位置に配置した状態で、樹脂成形装置1の運転を開始することで、押出成形機2から押し出された当該不安定な樹脂成形品M1を不良樹脂として第一粉砕機41に向かわせる。不良樹脂は、第一粉砕機41において粉砕され、押出成形機2での押出成形に適した形状の再生樹脂となる。
【0023】
樹脂成形装置1の運転開始から所定時間経過した後では、押出成形機2から押し出された樹脂成形品M1の寸法や形状がある程度安定する。このとき、切替部5は、押出成形機2から押し出された樹脂成形品M1を冷却装置31に向かわせる。具体的には、移動機構51により冷却装置31を受入位置に配置することで、樹脂成形品M1が冷却装置31に向かう。樹脂成形品M1は、冷却装置31において冷却される。冷却された樹脂成形品M2は、引取装置32によって引き取られ、切断装置33に到達する。樹脂成形品M2は、切断装置33において所定の長さに切断される。
【0024】
切断装置33に樹脂成形品M2が到達し始めた段階では、当該樹脂成形品M2の形状や寸法が不安定となっている。このため、当該段階では、押出部34が、切断された樹脂成形品M3を不良樹脂として切断装置33から第二粉砕機42に向けて押し出す。押出部34によって押し出された不良樹脂(樹脂成形品M3)は、第二粉砕機42において粉砕され、押出成形機2での押出成形に適した形状の再生樹脂となる。
切断装置33に到達する樹脂成形品M2の形状や寸法が安定すると、切断された樹脂成形品M3は押出部34によって押し出されず、後の工程に引き継がれる、あるいは、製品として出荷される。
【0025】
以上説明したように、本実施形態の樹脂成形装置1は、押出成形機2から押し出された樹脂成形品M1を粉砕してチップ状の再生樹脂とする第一粉砕機41、押出成形機2から押し出された樹脂成形品M1の行き先を、後処理装置3と粉砕機4とに切り替える切替部5、及び、第一粉砕機41からの再生樹脂を押出成形機2に投入する投入部6、を備える。
これにより、押出成形機2から押し出された樹脂成形品M1のうち寸法や形状が不安定となっている不良樹脂が、第一粉砕機41において粉砕され、押出成形に適したチップ状の再生樹脂となる。そして、当該再生樹脂が投入部6により押出成形機2に投入されることで、不良樹脂を押出成形機2において樹脂成形品M1を押出成形するための樹脂としてリサイクルすることができる。
【0026】
また、本実施形態の樹脂成形装置1では、後処理装置3が、切断された樹脂成形品M3を切断装置33から押し出す押出部34を含む。さらに、第二粉砕機42が、押出部34によって切断装置33から押し出された樹脂成形品M3を粉砕してチップ状の再生樹脂とする。
このため、冷却装置31を通過して切断装置33に到達した樹脂成形品M2の形状や寸法が安定しない場合に、押出部34によって該当する樹脂成形品M3(形状や寸法が安定しない樹脂成形品M3)を不良樹脂として第二粉砕機42に向けて押し出すことができる。これにより、切断装置33に到達した後の不良樹脂をリサイクルすることができる。
【0027】
また、第二粉砕機42には、不良樹脂が切断装置33において所定の長さに切断された状態で供給される。これにより、不良樹脂が切断されない状態で第二粉砕機42に供給される場合と比較して、不良樹脂を安定に粉砕することができる。
【0028】
また、本実施形態の樹脂成形装置1では、粉砕機4と投入部6との間に、粉砕機4からの再生樹脂を貯蔵する貯蔵部7が設けられている。これにより、粉砕機4(第一、第二粉砕機41,42)から出てくる再生樹脂の量に関わらず、適切な量の再生樹脂を投入部6、押出成形機2に供給することができる。
【0029】
また、本実施形態の樹脂成形装置1において、投入部6は、再生樹脂及び新規樹脂を混合して投入する混合投入部である。これにより、投入部6において、新規樹脂と再生樹脂との混合比率を適切に調整して、再生樹脂を利用して成形した樹脂成形品の品質を、新規樹脂だけで成形された樹脂成形品の品質に近づけることができる。
【0030】
また、本実施形態の樹脂成形装置1では、押出成形機2から押し出された樹脂成形品M1の行き先を、切替部5によって冷却装置31(後処理装置3)と第一粉砕機41とに切り替えることができる。また、押出成形機2から押し出された樹脂成形品M1が不良樹脂である場合には、不良樹脂の自重あるいは滑り台やコンベアなどによって、当該不良樹脂を自動的に第一粉砕機41に向かわせることができる。さらに、切断装置33よって切断された樹脂成形品M3が不良樹脂である場合には、押出部34、滑り台、コンベアなどによって不良樹脂を自動的に第二粉砕機42に向かわせることができる。以上のことから、本実施形態の樹脂成形装置1では、不良樹脂を樹脂成形装置1における樹脂成形品の製造ラインから自動的に除去することができる。
【0031】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0032】
本発明の樹脂成形装置は、例えば、押出成形機2、後処理装置3、粉砕機4、切替部5及び投入部6を含む成形品製造ラインを、複数有してもよい。このような構成において、貯蔵部7は、例えば複数の成形品製造ラインの粉砕機4から再生樹脂を一括して貯蔵してもよい。この場合、貯蔵部7に貯蔵された再生樹脂は、複数の成形品製造ラインの各投入部6に供給されてよい。
【0033】
本発明の樹脂成形装置は、例えば再生樹脂を貯蔵する貯蔵部7を備えなくてもよい。すなわち、粉砕機4からの再生樹脂は、例えば投入部6に直接向かってもよい。
【0034】
本発明においては、例えば、押出成形機2から押し出された樹脂成形品M1、及び、切断装置33から押し出された樹脂成形品M3の両方が、同一の粉砕機4に受け入れられてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 樹脂成形装置
2 押出成形機
3 後処理装置
4 粉砕機
5 切替部
6 投入部
7 貯蔵部
31 冷却装置
33 切断装置
34 押出部