(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014110
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
B25F 5/02 20060101AFI20240125BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20240125BHJP
B23D 49/10 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B25F5/02
B25F5/00 B
B23D49/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116707
(22)【出願日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】若田部 直人
【テーマコード(参考)】
3C040
3C064
【Fターム(参考)】
3C040LL16
3C064AA06
3C064AB10
3C064AC02
3C064BA02
3C064BA11
3C064BA13
3C064BA18
3C064BA33
3C064BB04
3C064BB47
3C064BB52
3C064BB79
3C064BB82
3C064CA03
3C064CA06
3C064CA29
3C064CA54
3C064CA62
3C064CB05
3C064CB08
3C064CB17
3C064CB19
3C064CB32
3C064CB43
3C064CB62
3C064CB73
3C064CB77
3C064CB82
3C064CB84
(57)【要約】
【課題】作業性を確保した作業機を提供する
【解決手段】作業機であるジグソー1は、モータ10と、モータ10によって駆動されるプランジャ30と、モータ10の駆動力をプランジャ30に伝達する運動変換機構20と、運動変換機構20を収容するギヤハウジング部4と、モータ10を収容するモータハウジング部5とを含むハウジング2と、ギヤハウジング部4により支持されるスイッチ61であって、作業者による操作されることでモータ10の駆動と停止とが切り替わるスイッチ61と、ギヤハウジング部4と一体的に形成され、スイッチ61と運動変換機構20との間を仕切る壁部210と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータによって駆動される出力軸と、
前記モータの駆動力を前記出力軸に伝達する伝達機構と、
前記伝達機構を収容する第1収容部と、前記モータを収容する第2収容部とを含むハウジングと、
前記第1収容部により支持されるスイッチであって、作業者による操作されることで前記モータの駆動と停止が切り替わるスイッチと、
前記第1収容部と一体的に形成され、前記スイッチと前記伝達機構との間を仕切る壁部と、を備える作業機。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機において、
前記出力軸には前方に向かって作業を行うための先端工具が着脱可能であり、
前記スイッチは、前記伝達機構の中心位置よりも前方に配置される、作業機。
【請求項3】
請求項2に記載の作業機において、
前記壁部は、少なくとも前記ハウジングの前方の端部と前記伝達機構との間の空間に位置する第1壁部と、前記スイッチを支持する第2壁部との一方を含む、作業機。
【請求項4】
請求項3に記載の作業機において、
前記第1壁部は、前記ハウジングの前後方向と交差する方向に延在する、作業機。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載の作業機において、
前記スイッチは前記ハウジングの外部に配置される、作業機。
【請求項6】
請求項5に記載の作業機において、
前記スイッチを覆うカバー部材を備える、作業機。
【請求項7】
請求項6に記載の作業機において、
前記スイッチを操作する操作部材を備え、
前記操作部材は前記カバー部材によって支持される、作業機。
【請求項8】
請求項6に記載の作業機において、
前記ハウジングには前記スイッチに接続される配線が通る開口部が形成され、
前記カバー部材は、前記開口部を覆うように構成される、作業機。
【請求項9】
請求項1から4までの何れか一項に記載の作業機において、
前記スイッチと、前記ハウジング内に収容される制御部とを接続する配線を備え、
前記配線は、少なくとも前記伝達機構の前方を通る、作業機。
【請求項10】
請求項9に記載の作業機において、
左右方向視において、前記配線は前記伝達機構と重複しない、作業機。
【請求項11】
請求項1に記載の作業機において、
前記出力軸には前方に向かって作業を行うための先端工具が着脱可能であり、
前記壁部は、前記第1収容部の内部に設けられた前後方向と交差する方向に延出する突出壁を含み、
前記突出壁が、前記スイッチと前記伝達機構との間を仕切る、作業機。
【請求項12】
請求項11に記載の作業機において、
前記ハウジングは、左側ハウジングと右側ハウジングとが組み合わされることにより構成され、
前記突出壁は、前記左側ハウジングに形成された左側突出壁と前記右側ハウジングに形成された右側突出壁とが組み合わされることにより構成される、作業機。
【請求項13】
請求項12に記載の作業機において、
前記左側突出壁及び前記右側突出壁のそれぞれが有する互いに対向する面のうち、一方の面に形成された凸部と他方の面に形成された凹部とが係合する、作業機。
【請求項14】
モータと、
前記モータによって駆動される出力軸と、
前記モータを収容するハウジングと、
前記ハウジングの外部に配置されるとともに、作業者に操作されることで前記モータの駆動と停止とが切り替わるスイッチと、
前記ハウジングに取り付けられ、前記ハウジングの外部に配置されたスイッチを覆うカバー部材と、を備える作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、作業機の一例としてジグソーが知られている。ジグソーは、ハウジング内に収容された駆動源としてのモータと、モータの回転力をプランジャに伝達する伝達機構とを有する。
【0003】
特許文献1の作業機では、伝達機構を収容するケースは、モータを収容するケースと、それ以外の電気部品等を収容するハウジングとは別部材として構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、伝達機構を収容するケースは重量が大きく、その構造は複雑であるため、作業機の重量増大及び作業機を製造するコストの増大の原因となっていた。一方、伝達機構をケースに収容しない場合には、伝達機構からのグリースがハウジング内の他の部材に付着し、付着したグリースによって他の部材の動作が悪影響を受け、作業機による作業性に支障をきたす可能性がある。特に、利便性を考慮して伝達機構の近傍にスイッチが配置されている場合には、電装部品であるスイッチにグリースが付着すると、故障する虞もある。また、単純にスイッチをハウジング内に配置すると、グリースのみならず、吸気口を経て外部から侵入する塵埃によってスイッチが動作不良を起こす恐れもある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態による作業機は、モータと、前記モータによって駆動される出力軸と、前記モータの駆動力を前記出力軸に伝達する伝達機構と、前記伝達機構を収容する第1収容部と、前記モータを収容する第2収容部とを含むハウジングと、前記第1収容部により支持されるスイッチであって、作業者による操作されることで前記モータの駆動と停止とが切り替わるスイッチと、前記第1収容部と一体的に形成され、前記スイッチと前記伝達機構との間を仕切る壁部と、を備える。
【0007】
一実施の形態による作業機は、モータと、前記モータによって駆動される出力軸と、前記モータを収容するハウジングと、前記ハウジングの外部に配置されるとともに、作業者に操作されることで前記モータの駆動と停止とが切り替わるスイッチと、前記ハウジングに取り付けられ、前記ハウジングの外部に配置されたスイッチを覆うカバー部材と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、作業性を確保した作業機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4】
図1に示される作業機のA-A線における断面図である。
【
図5】
図1に示される作業機をA-A線にて切断した場合の作業機の一部の斜視図である。
【
図6】
図1に示される作業機からカバー部材を取り外した状態を示す外観側面図である。
【
図7】
図7(A)はカバー部材が取り外された状態の作業機の外観斜視図であり、
図7(B)は
図7(A)に示される状態からさらに操作部材を取り外した状態を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照しながら、実施の形態の作業機であるジグソーについて説明する。
【0011】
<全体構成について>
図1は、本実施の形態のジグソー1の外観図である。尚、
図1に示される矢印に沿って、紙面左方向を前方向、紙面右方向を後方向、紙面上方向を上方向、紙面下方向を下方向、前後方向及び上下方向に直交する紙面手前方向を左方向、紙面奥方向を右方向と呼ぶことがある。
図2,
図3は、ジグソー1の内部を示す図である。
図4は
図1のA-A線における断面図であり、
図5は
図1のA-A線にてジグソー1を切断した場合のジグソー1の一部の斜視図である。
【0012】
ジグソー1は先端工具であるブレード33を上下方向に直線往復運動させた状態で前方に向かって移動されることにより、対象物を切断する作業機である。ジグソー1は、ハウジング2と、操作部6と、モータ10と、運動変換機構20と、プランジャ30と、カウンタウエイト40と、制御部70と、電池端子71と、ダイヤル72とを有する。
【0013】
<ハウジング2について>
ハウジング2は、例えば合成樹脂等の射出成型により形成される。ハウジング2は、ジグソー1の外郭をなし、リア部3と、ギヤハウジング部(第1収容部)4と、モータハウジング部(第2収容部)5と、から構成される。ハウジング2は2つの分割ハウジングを左右方向に組み付けることにより形成された2つ割りのハウジングである。より詳細には、ハウジング2の左右方向における中心を通り、かつ、左右方向に直交する仮想平面に対して互いに略対称に構成された右側ハウジング2aと左側ハウジング2bとを組み付けることによりハウジング2が形成される(
図4,
図5参照)。このため、ハウジング2は、略左右対称に構成されている。尚、
図2はハウジング2の右側ハウジング2aが取り外された状態を示しており、
図3は右側ハウジング2aと左側ハウジング2bとの組み合わせ面におけるジグソー1の断面を示している。
【0014】
また、リア部3、ギヤハウジング部4及びモータハウジング部5は説明の便宜上の区別であり、実際のリア部3、ギヤハウジング部4及びモータハウジング部5は一体(分離不能)である。
【0015】
リア部3は、モータハウジング部5の後部に設けられ、モータハウジング部5に対して後方に伸びる。リア部3は、作業者がジグソー1を使用する際に把持される。リア部3の下部には、電源部7が着脱可能に装着される。電源部7は、例えば直方体状の形状であり、内部に複数のリチウム電池セル等からなる電池が収容されている。電源部7はジグソー1に装着されると、リア部3内部に設けられた電池端子71と電気的に接続される。
【0016】
リア部3の内部には、制御部70、電池端子71、ダイヤル72等が収容される。制御部70は、制御基板と、制御基板に実装された制御回路とを有する。制御部70は、後述する操作部6の操作に応じて、後述するモータ10の駆動開始及び駆動停止を制御する制御信号をモータ10に出力する。電池端子71は、電源部7がリア部3に装着されると、電源部7内の出力端子と接触する電気接点である。この電池端子71を介して、後述するモータ10を駆動させる駆動電力がモータ10に供給される。
【0017】
ダイヤル72は、ジグソー1のモータ10の駆動モードを設定する際に操作される部材である。ダイヤル72は円板状の部材であり、リア部3の後端部に円板の中心を回転軸として回転可能に設けられる。ダイヤル72の外周縁部の一部はリア部3から露出し、この露出した部分にて作業者による操作が行われる。尚、ジグソー1は、モータ10の駆動モードとして、例えば「変速モード」、「AUTOモード」等を有し、当該駆動モードに応じたモータ10の制御が制御部70により実行される。
【0018】
モータハウジング部5は、内部に駆動源としてのモータ10を収容する第2収容部である。モータハウジング部5の下側には、ベース9が取り付けられる。ベース9は、ジグソー1を用いて対象物を切断する際に、対象物の上面に当接される。
【0019】
ギヤハウジング部4は、モータハウジング部5の前部に設けられ、運動変換機構20を収容する第1収容部である。ギヤハウジング部4の内部及び外側面の一部は壁部210を構成する。すなわち、壁部210は、ギヤハウジング部4と一体的に形成される。壁部210で囲まれる収容空間S0内に運動変換機構20、プランジャ30、カウンタウエイト40等が収容される。ギヤハウジング部4の左側の外側面には、作業者によって操作される操作部6が設けられる。また、ギヤハウジング部4の下部であり、かつプランジャ30の後方には、モータ10の回転に連動してブレード33を揺動させる所謂オービタル動作を実現するオービタル機構部8が設けられる。
【0020】
ジグソー1は、いわゆるバレルハンドルタイプのジグソーであり、細い筒状の握り部を有さず、作業者はギヤハウジング部4とモータハウジング部5との一方又は両方を上から掴んで操作するものである。作業者は、ギヤハウジング部4とモータハウジング部5との接続部分(上に突き出すギヤハウジング部4の部分の後端位置付近)を上から把持し、例えば左側に親指、右側に他の指が位置するように把持する。この握り方で操作がしやすいよう、操作部6はギヤハウジング部4とモータハウジング部5との接続部分のやや前方に配置されている。
【0021】
<壁部210について>
壁部210は、前方壁部211と、後方壁部212と、上部壁部213と、側壁部214とから構成される。壁部210は、後述するようにハウジング2の外部に設けられる操作部6のスイッチ61と、ギヤハウジング部4に収容された運動変換機構20との間を仕切る。壁部210は、ギヤハウジング部4と一体に成型される部分であり、ギヤハウジング部4から分離不能に構成される。壁部210は右側ハウジング2aにも左側ハウジング2bのもとの同形状(実際は鏡映対称)のものが形成される。
【0022】
<前方壁部211について>
前方壁部211は、ギヤハウジング部4の前面4a側に設けられる。前方壁部211は、ギヤハウジング部4の前方の端部である前面4aの内壁面よりも後方(内側)に位置する。これにより、前方壁部211は、ギヤハウジング部4の前面4aと運動変換機構20との間の空間に位置し、前方壁部211とギヤハウジング部4の前面4aとの間には空間S1が形成される。すなわち、前方壁部211は、ハウジング2の前方の端部である前面4aと運動変換機構20との間の空間に位置する第1壁部である。
【0023】
前方壁部211は前後方向と交差する方向に延在する面を有する板状に形成され、右側の端部は右側ハウジング2aの内壁面と接続し、左側の端部は左側ハウジング2bの内壁面と接続する。すなわち、前方壁部211は、ハウジング2のギヤハウジング部4の内部に設けられ、ハウジング2の内壁面から前後方向と交差する方向(左右方向)に延出する突出壁である。
【0024】
また、前方壁部211の上端は、ギヤハウジング部4の上面4cの内壁面よりも下方に位置している。
【0025】
<後方壁部212について>
後方壁部212は、ギヤハウジング部4の後面4b側に設けられる。すなわち、後方壁部212は、ギヤハウジング部4後方のモータハウジング部5との接続部近傍に設けられ、ギヤハウジング部4の後面4bの内壁面よりも前方(内側)に位置する。これにより、後方壁部212は、ギヤハウジング部4の後面4bと運動変換機構20との間の空間に位置し、後方壁部212とギヤハウジング部4の後面4bとの間には空間S2が形成される。
【0026】
後方壁部212は前後方向と交差する方向に延在する面を有する板状に形成され、右側の端部は右側ハウジング2aの内壁面と接続し、左側の端部は左側ハウジング2bの内壁面と接続する。すなわち、後方壁部212も、ハウジング2のギヤハウジング部4の内部に設けられ、ハウジング2の内壁面から前後方向と交差する方向(左右方向)に延出する突出壁である。また、後方壁部212の上端は、ギヤハウジング部4の上面4cの内壁面よりも下方に位置している。
【0027】
<上部壁部213について>
上部壁部213は上下方向と交差する方向に延在する面を有する板状に形成され、前方の端部にて前方壁部211の上端と接続し、後方の端部にて後方壁部212の上端と接続する。上部壁部213の右側の端部は右側ハウジング2aの内壁面と接続し、左側の端部は左側ハウジング2bの内壁面と接続する。すなわち、上部壁部213も、ハウジング2のギヤハウジング部4の内部に設けられ、ハウジング2の内壁面から左右方向に延出する突出壁である。
【0028】
上部壁部213は、ギヤハウジング部4の上面4cの内壁面よりも下方に位置する。これにより、上部壁部213とギヤハウジング部4の上面4cとの間には空間S3が形成される。
【0029】
<側壁部214について>
側壁部214は、左側ハウジング2bを形成する一部の領域である。側壁部214は、左側ハウジング2bの外側面に配置された操作部6の位置を含む領域である。側壁部214の前方の端部は、上述した前方壁部211と連接している。側壁部214の外側(左側の面)には、詳細を後述する操作部6のスイッチ61と、スイッチ61を覆うカバー部材63とが取り付けられる。
【0030】
上述したように、前方壁部211はギヤハウジング部4の前面4aよりも後方(内側)に位置することから、側壁部214の前方側の端部(すなわち前方壁部211との連接端部)もギヤハウジング部4の前面4aよりも後方に位置する。これにより、この側壁部214の前方側の端部と前面4aとの間には開口部OP(
図5参照)が形成されている。すなわち、開口部OPは、後述する運動変換機構20よりも前方に形成される。この開口部OPを介して、ハウジング2の内部の空間S1とハウジング2の外部の空間とが連通する。詳細を後述するスイッチ61に接続される配線610は、ハウジング2に形成された開口部OPを通る。
【0031】
<壁部210の組み合わせ構造について>
上述したように、ハウジング2は左右方向の中心部付近にて、右側ハウジング2aと左側ハウジング2bとに分割される。このため、
図4,
図5に示されるように、ハウジング2の内部に設けられた左右方向に延出する突出壁である前方壁部211、後方壁部212及び上部壁部213のそれぞれも、左右方向の中心部付近にて分割された右側突出壁217と左側突出壁218とが組み合わされることにより構成される。
【0032】
右側突出壁217と左側突出壁218とは、互いに対向する分割面217aと分割面218aとを有する。分割面217aには凹部217bが形成され、分割面218aには凸部218bが形成される。右側ハウジング2aと左側ハウジング2bとを組み合わせると、分割面217aの凹部217bと,分割面218aの凸部218bとが係合する。
【0033】
尚、分割面217aに凸部が形成され、分割面218aに凹部が形成されていてもよい。すなわち、分割面217a,218aのうち一方に凸部が形成され、他方に凹部が形成されていればよい。
【0034】
<操作部6について>
操作部6は、ハウジング2の左側ハウジング2bのうち、上記の側壁部214の外側に配置される。操作部6は、スイッチ61と、操作部材62とを有する。スイッチ61は、ハウジング2(側壁部214)の外側に配置される。すなわち、側壁部214は、スイッチ61を支持する第2壁部である。別の見方をすると、スイッチ61は、第1収容部であるギヤハウジング部4に支持される。
【0035】
図6は
図1に示されるジグソー1のハウジング2からカバー部材63を取り外した状態を示す外観側面図である。尚、
図6では電源部7が取り外された状態のジグソー1が示されている。
図7(A)はカバー部材63が取り外された状態のジグソー1の外観斜視図であり、
図7(B)は
図7(A)に示される状態からさらに操作部材62を取り外した状態を示す外観斜視図である。尚、
図7(A),7(B)には、電源部7及びブレード33が取り外された状態のジグソー1が示されている。
【0036】
図6に示されるように、スイッチ61は、運動変換機構20の前後方向における中心位置よりも前方に配置される。ここで、運動変換機構20の前後方向における中心位置とは、
図2に示されるギヤ部22の前後方向の中心を通る上下方向に沿う軸線Cの位置である。
【0037】
カバー部材63がハウジング2の側壁部214に取り付けられると、スイッチ61及び開口部OPはハウジング2とカバー部材63とに囲まれる空間内に収容される。すなわち、カバー部材63はスイッチ61を覆う部材であり、開口部OPを覆う構成を有する。スイッチ61は、配線610によって制御部70と電気的に接続されている。スイッチ61は、ユーザにより後述する操作部材62が操作されると、操作に応じて後述するモータ10の駆動開始と駆動終了とを指示する電気信号を出力する。
【0038】
この配線610は、側壁部214の前方側の端部と前面4aとの間に形成された開口部OPを通ってハウジング2の内部に導入され、空間S1,S3,S2を介してモータハウジング部5に導かれる。すなわち、配線610は、壁部210の内部の収容空間S0を通過することなく、収容空間S0に収容された運動変換機構20の前方及び上方を通って、後方のモータハウジング部5に導かれる。換言すると、配線610は、左右方向視において、運動変換機構20と重複しない。そして、配線610は、モータ10の上部の空間を通ってリア部3内に設けられた制御部70と接続している。
【0039】
図8は、操作部材62の外観斜視図であり、操作部材62を側壁部214側から見た場合を示している。操作部材62は、側壁部214の外側に前後方向にスライド可能に取り付けられる。操作部材62は、スイッチ61に対して後方に設けられる(
図6,
図7(A)参照)。操作部材62は、作業者による操作が行われる第1部材621と、第1部材621の裏面(ハウジング2と対向する面)の後部からハウジング2側(右側)に向けて伸びる第2部材622と、第2部材622の右側端部から前部に向けて伸びる第3部材623とを有する。第2部材622と第3部材623とは、カバー部材63がハウジング2に取り付けられると、ハウジング2とカバー部材63とに囲まれる空間内に収容される。換言すると、第1部材621は、カバー部材63の外部に露出する。
【0040】
第1部材621は、前後方向を長辺とする矩形形状を有する板状の部材である。第3部材623の側壁部214と対向する側面623aの後方には穴623bが形成される。この穴623bには、側壁部214側からねじ214a(
図7(B)参照)が挿入される。
【0041】
第2部材622の側面622aと、カバー部材63に形成された開口630の前方の端面630a(
図4参照)との間には、ばね等の弾性部材622b(
図4,
図5参照)が設けられる。この弾性部材622bにより第2部材622を介して後方に付勢された状態にて、操作部材62はカバー部材63によって支持される。このため、作業者が操作部材62を前方に向けて操作すると、弾性部材622bの付勢力に抗して、操作部材62が前方にスライドする。
【0042】
操作部材62が前方にスライドすると、第3部材623の前方側の端面623cがスイッチ61の可動接点611(
図6,
図7(A),
図7(B)参照)と当接し、可動接点611をスイッチ61の固定接点612(
図6参照)に接触させる。これにより、スイッチ61から電気信号が出力される。作業者が操作部材62の前方へスライドする操作を終了すると、弾性部材622bの付勢力によって、操作部材62は後方へスライドし、作業者に操作される前の位置に戻る。
【0043】
<モータ10について>
モータ10は、例えばロータとステータとを有するブラシレスモータである。モータ10は、電池端子71を介して電源部7から駆動電力の供給を受けて回転する。
図3に示されるように、モータ10の回転軸11は前後方向に沿って伸びている。モータ10の前方にはファン12が配置されている。ファン12は、回転軸11に同軸固定され、回転軸11の回転と一体に回転駆動する。ファン12が回転することにより、ハウジング2の内部において、吸気孔(不図示)から排気孔(不図示)に流れる冷却風を発生させる。
【0044】
<運動変換機構20について>
運動変換機構20は、モータ10の前方に配置され、後述するプランジャ30にモータ10の駆動力を伝達する伝達機構である。
図3に示されるように、運動変換機構20は、支持軸21と、ギヤ部22と、カム23と、係合ピン24とを備えている。支持軸21は、モータ10の回転軸11に対して上側の位置に、回転軸11と平行に設けられている。支持軸21は、ギヤ部22を回転可能に支持している。ギヤ部22は、回転軸11の先端部にて回転軸11と係合する。これにより、ギヤ部22は、回転軸11の回転によって、支持軸21を中心に回転する。カム23は、ギヤ部22の後面に設けられ、後述するカウンタウエイト40の係合穴42と嵌合する。
【0045】
係合ピン24は、ギヤ部22と共に支持軸21を中心に回転する。係合ピン24は、回転軸11とは異軸、かつ平行な状態で前方に向けて突出している。係合ピン24は、前方側の先端にて、後述するプランジャ30の上端に設けられたコネクタ31と係合している。
【0046】
<プランジャ30について>
プランジャ30は、運動変換機構20の前方に設けられ、略円柱形状を有して回転軸11と直交する方向(上下方向)に伸びる。
図3に示されるように、プランジャ30は、ギヤハウジング部4の下部に設けられた保持部材34の挿通穴35に挿通されて配置される。
【0047】
プランジャ30は、コネクタ31と、ブレード保持部32とを有する。コネクタ31には、プランジャ30の状態に設けられ左右方向を長手方向とする長穴が形成されている。この長穴に上述した運動変換機構20の係合ピン24が挿入される。係合ピン24は、長穴の内部にて左右方向の動きが許容され、上下方向の動きが規制される。これにより、コネクタ31、すなわちプランジャ30は、係合ピン24の動きに応じて上下方向の往復直線運動のみを行う。この結果、プランジャ30は、モータ10によって駆動される出力軸として機能する。
【0048】
ブレード保持部32は、プランジャ30の下端部に設けられ、ブレード33を着脱可能に保持する。ブレード33は、対象物を切断する先端工具であり、ブレード33の前部には上下方向に伸びた刃部が形成されている。すなわち、出力軸であるプランジャ30には、前方に向かって作業を行うための先端工具であるブレード33が着脱可能に構成される。
【0049】
プランジャ30が挿通される保持部材34とギヤハウジング部4の前面4aの内壁面との間には、弾性体としてのコイルばね36が設けられる。コイルばね36は、保持部材34を後方に向けて付勢する。すなわち、保持部材34に挿通されているプランジャ30及びプランジャ30のブレード保持部32に装着されたブレード33は、後方に向けて付勢されている。
【0050】
<カウンタウエイト40について>
カウンタウエイト40は、モータ10の前方かつ運動変換機構20の後方に設けられる。カウンタウエイト40には係合穴42が形成されている。係合穴42は、カウンタウエイト40の中央部付近に横長、すなわち左右方向を長軸とする長穴である。係合穴42には、上述した運動変換機構20のカム23が嵌合している。また、カウンタウエイト40の後面の下端部近傍には、突起43が形成される。突起43は、後述するオービタル機構部8が有するプッシュロッド80を所定周期で押し下げる。
【0051】
回転軸11の回転に伴いギヤ部22が回転を行うと、係合穴42に嵌合しているカム23が係合穴42の内周面上を摺動しながら回動することで、カウンタウエイト40がプランジャ30と逆位相で上下方向に往復直線運動をする。このようなカウンタウエイト40の往復運動によって、プランジャ30の往復運動に起因する振動が相殺される。
【0052】
<オービタル機構部8について>
オービタル機構部8は、プッシュロッド80と、スイングアーム81と、ローラ82とを備えている。プッシュロッド80は、スイングアーム81の上端からカウンタウエイト40の突起43に向けて上方向に伸びる形状を有する。スイングアーム81は、側面視が略L字状であって、支持部83を中心に回転可能にギヤハウジング部4の下部に支承されている。ローラ82は、スイングアーム81の前端部に位置し、スイングアーム81に回転可能に支持されている。ローラ82は、半径方向の内側に窪んだ溝が円周方向全周に亘って形成される。コイルばね36によってオービタル機構部8側に保持部材34、プランジャ30及びブレード33が付勢されているため、ローラ82の円周方向に形成された上記の溝はブレード33の後面と当接している。
【0053】
<ジグソー1の動作について>
上記の構成を有するジグソー1の動作について説明する。
【0054】
リア部3を把持した作業者が操作部材62を操作すると、モータ10に電力が供給されてモータ10の回転軸11が回転する。回転軸11の回転に伴って、回転軸11の先端部にて係合している運動変換機構20のギヤ部22が支持軸21を中心として回転する。すると、係合ピン24が支持軸21に対する上下方向に沿った偏心距離を直径とする円の円周上を回動する。
【0055】
係合ピン24は、コネクタ31の長穴の内側でこの長穴の長手方向(左右方向)に移動しながら回動するので、係合ピン24の回転運動がコネクタ31、すなわちプランジャ30の上下方向の直線往復運動に変換される。この結果、プランジャ30のブレード保持部32に装着されているブレード33が上下方向に直線往復運動する。この状態にて、作業者がジグソー1を前方に向けて移動させることにより、不図示の対象物が切断される。
【0056】
また、カウンタウエイト40の係合穴42に嵌合しているカム23が係合穴42の内周面上を摺動しながら回動する。この結果、カウンタウエイト40がプランジャ30及びブレード33と逆位相で上下方向に直線往復運動する。このようなカウンタウエイト40の往復運動によって、プランジャ30の往復運動に起因する振動が相殺される。
【0057】
さらに、ギヤ部22の回転に伴いカウンタウエイト40が直線往復運動をすると、カウンタウエイト40に形成された突起43がオービタル機構部8のプッシュロッド80を所定周期で下方に押し下げる。押し下げられたプッシュロッド80によってスイングアーム81の後端が押されるため、スイングアーム81が支持部83を中心として回動する。これにより、ローラ82が前方へ迫り出し、コイルばね36による付勢力に抗してブレード33が前方へ押し出される。その後、プッシュロッド80の押し下げが解除されると、コイルばね36の弾性復元力によってブレード33が後方へ押し戻され、元の位置に復帰する。かかるブレード33の前後への移動が連続的に繰り返され、ブレード33が前後方向に揺動(オービタル運動)する。
【0058】
上記の動作をする運動変換機構20にはグリースが塗布されている。上述したように、ハウジング2の内部に形成された壁部210によって操作部6のスイッチ61はグリースが塗布された運動変換機構20と遮断されている。このため、ジグソー1が動作することによってスイッチ61にグリースが付着することが抑制される。
【0059】
上述した実施の形態によれば、以下の作用効果が得られる。
【0060】
(1)ジグソー1では、ギヤハウジング部4に支持されたスイッチと運動変換機構20との間を仕切る壁部210がギヤハウジング部4と一体に形成されている。これにより、ジグソー1が動作することによってスイッチ61にグリースが付着することが抑制し、スイッチ61の故障発生を抑えることができるので、ジグソー1の作業性を確保することが可能となる。また、壁部210がハウジング2と一体で形成されることから、運動変換機構20を収容するためのカバー等を別部材として製造する必要がなくなる。このため、別部材によるジグソー1の重量増加を抑制するとともに、別部材のカバーを製造するために要するコスト等を削減することが可能となる。
【0061】
(2)スイッチ61は運動変換機構20の中心位置よりも前方に配置される。これにより、作業者による操作部6の操作が行い易くなり、利便性が向上する。仮に、スイッチ61が運転変換機構20の中心位置よりも後方に配置された場合、操作部6の位置も後方にずれるため、ギヤハウジング部4とモータハウジング部5との接続部(握り部)に操作部6が干渉し、操作性が悪化するおそれがあるが、本発明ではこういった作業性の低下を抑制している。
【0062】
(3)壁部210は、ハウジング2の前方の端部である前面4aと運動変換機構20との間の空間に位置する前方壁部211と、スイッチ61を支持する側壁部214とを含む。前方壁部211は、ハウジング2の前後方向と交差する。これにより、スイッチ61と接続する配線610を、運動変換機構20が収容された収容空間S0内を通過させることなく、ハウジング2の内部にて収容することができる。
【0063】
(4)スイッチ61はハウジング2の外部に配置される。これにより、ジグソー1が動作することによって運動変換機構20からスイッチ61へグリースが付着することが抑制される。
【0064】
(5)スイッチ61を覆うカバー部材63を備える。これにより、スイッチ61を外部に暴露させることなく、運動変換機構20からのグリースの付着が抑制される位置にスイッチ61を配置させることが可能となる。
【0065】
(6)スイッチ61を操作する操作部材62はカバー部材63によって支持される。これにより、操作部材62を外部に露出させて、作業者による操作を受け付けることが可能となる。
【0066】
(7)ハウジング2にはスイッチ61に接続される配線610が通る開口部OPが形成され、カバー部材63はこの開口部OPを覆う構成を有する。これにより、開口部OPからハウジング2内部に外部からの塵等が侵入することを抑制できる。
【0067】
(8)スイッチ61と、ハウジング2内に収容される制御部70とを接続する配線610は、少なくとも運動変換機構20の前方を通る。これにより、運動変換機構20の中心位置よりも前方に配置されたスイッチ61と接続する配線610を、運動変換機構20の右側又は左側を通過させることなく、制御部70と接続させることができる。すなわち、左右方向視において、配線610は運動変換機構20と重複しない。左右方向視において配線610と運動変換機構20とが重複する場合、配線610が通過する空間を確保するために、運動変換機構20とハウジング2の内壁面との間に、上下前後方向に伸びる壁部を形成する必要がある。このような壁部を射出形成等によってハウジング2の右側ハウジング2a又は左側ハウジング2bと一体に形成しようとすると、製造の難易度が高くなる。これに対して、本実施の形態のように、左右方向視において配線610は運動変換機構20と重複しない配置とすることにより、上記のような壁部を設ける必要がなくなるので、ハウジング2と一体に形成された壁部210を容易に製造することが可能となり、製造時のコスト増の抑制に寄与する。
【0068】
(9)壁部210は、ギヤハウジング部4の内部に設けられた前後方向と交差する方向に延出する突出壁である前方壁部211、後方壁部212及び上部壁部213を含む。これにより、射出成型にてハウジング2を製造する際に、壁部210を容易に形成させることが可能となり、製造効率を向上させることができる。
【0069】
(10)突出壁である前方壁部211、後方壁部212及び上部壁部213は、左側ハウジング2bに形成された左側突出壁218と右側ハウジング2aに形成された右側突出壁217とが組み合わされることにより構成される。右側突出壁217及び左側突出壁218のそれぞれが有する互いに対向する分割面217a,218aのうち、一方の分割面218aに形成された凸部218bと他方の分割面217aに形成された凹部217bとが係合する。これにより、右側突出壁217と左側突出壁218とを組み合わせたときの組み合わせ面である分割面217a,218aのシール性が向上し、運動変換機構20に塗布されているグリースが壁部210の外部に飛散することが抑制される。
【0070】
<変形例>
上述した実施の形態においては、スイッチ61と接続される配線610は、運動変換機構20よりも前方に位置する開口部OPを通ってハウジング2の内部の制御部70と接続されていたが、これに限定されない。開口部OPが運動変換機構20よりも後方に形成されてもよい。
【0071】
図9は、変形例におけるジグソー1の外観側面図であり、
図6の場合と同様に、カバー部材63が取り外された状態を示している。
図9に示されるように、運動変換機構20の中心位置よりも後方に形成される。スイッチ61と接続される配線610は、側壁部214上にてスイッチ61から後方に伸び、開口部OPを通ってハウジング2の内部に収容される。
【0072】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1 ジグソー、2 ハウジング、2a 右側ハウジング、2b 左側ハウジング、3 リア部、4 ギヤハウジング部、4a 前面、4b 後面、4c 上面、5 モータハウジング部、6 操作部、10 モータ、11 回転軸、20 運動変換機構、21 支持軸、22 ギヤ部、23 カム、24 係合ピン、30 プランジャ、31 コネクタ、32 ブレード保持部、33 ブレード、40 カウンタウエイト、42 係合穴、43 突起、61 スイッチ、62 操作部材、63 カバー部材、70 制御部、210 壁部、211 前方壁部、212 後方壁部、213 上部壁部、214 側壁部、214a ねじ、217 右側突出壁、217a,218a 分割面、217b 凹部、218 左側突出壁、218b 凸部、610 配線、OP 開口部