IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ユーシンの特許一覧

<>
  • 特開-スイッチ装置 図1
  • 特開-スイッチ装置 図2
  • 特開-スイッチ装置 図3
  • 特開-スイッチ装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141102
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/52 20060101AFI20241003BHJP
   H01H 13/82 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H01H13/52 D
H01H13/82
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052568
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000138462
【氏名又は名称】株式会社ユーシン
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 健二
【テーマコード(参考)】
5G206
【Fターム(参考)】
5G206AS33F
5G206AS33H
5G206AS33J
5G206AS33M
5G206CS04F
5G206CS04J
5G206CS04M
5G206DS02H
5G206DS02J
5G206FS34H
5G206FS34J
5G206FU03
5G206HS18
(57)【要約】
【課題】操作性を向上する。
【解決手段】スイッチ装置10では、開放孔40Aが基板40に形成されており、開放孔40Aによってラバーシート60におけるドーム部62が下側へ開放されている。これにより、操作部材30によってドーム部62が下側へ移動するときには、開放孔40Aが通気孔として機能して、ドーム部62内の空気が圧縮されることを開放孔40Aによって抑制できる。また、ベース部材20には、ストッパ部20Gが設けられており、ストッパ部20Gは、ドーム部62の下側に配置されると共に、開放孔40Aによって上側へ露出されている。そして、操作部材30の押圧操作完了時には、ドーム部62がストッパ部20Gに当接して、ドーム部62の下側への移動が制限される。すなわち、ベース部材20が操作部材30に対するストッパ部材として機能して、ドーム部62がベース部材20に直接当接する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、
上下方向に移動可能に前記ベース部材に連結され、下側へ押圧操作される操作部材と、
上下方向を板厚方向として前記操作部材の下側に配置された基板と、
前記基板の上側に隣接され且つ上下方向を厚み方向とするシート状のラバー基部と、前記ラバー基部から上側へ隆起されたドーム形状に形成され且つ前記操作部材の押圧操作時に前記操作部材によって下側へ押圧されて弾性変形するドーム部と、を有するラバー部材と、
前記基板に形成され、前記ドーム部を下側へ開放させる孔部と、
前記ベース部材に設けられ、前記ドーム部の下側に配置されると共に前記孔部によって上側へ露出され、前記操作部材の押圧操作完了時に前記ドーム部が当接して前記ドーム部の下側への移動を制限するストッパ部と、
を備えたスイッチ装置。
【請求項2】
前記ドーム部は、
前記ドーム部の上部を構成し、上下方向を軸方向とする円柱状に形成され、前記操作部材の押圧操作時に前記操作部材によって下側へ押圧されるプッシュ部と、
前記ドーム部の下部を構成し、前記プッシュ部から下側へ延出され、上下方向を軸方向とし且つ下側へ向かうに従い拡径する円筒状に形成されると共に、下端部が前記ラバー基部に接続され、弾性変形可能に構成されたスカート部と、
を含んで構成され、
前記孔部の直径が、前記スカート部の下端部の内径と一致している請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記ドーム部は、プッシュ部から下側へ突出する突当部を有しており、
前記ストッパ部の上端部が、前記孔部を挿通すると共に、前記ストッパ部の上面が前記基板の上面と面一に配置され、
前記操作部材の押圧操作完了時に前記突当部が前記ストッパ部に当接する請求項2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記ドーム部は、プッシュ部から下側へ突出する突当部を有しており、
前記ストッパ部の上端部が、前記孔部を挿通すると共に、前記ストッパ部の上面が前記基板よりも上側に配置され、
前記操作部材の押圧操作完了時に前記突当部が前記ストッパ部に当接する請求項2に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記基板の一側面には、固定接点が設けられ、
前記ベース部材には、可動接点が上下方向と直交する方向に移動可能に設けられており、
前記操作部材の押圧操作に、前記操作部材によって前記可動接点が移動し、前記可動接点が前記固定接点に接触することで前記操作部材の押圧操作を検出する請求項1~請求項4の何れか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項6】
前記基板には、前記操作部材の押圧操作を非接触で検出する検出素子が設けられている請求項1~請求項4の何れか1項に記載のスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のスイッチ装置では、操作ノブの下側にラバードームが設けられている。ラバードームの下側には、配線基板が隣接して配置されている。そして、操作ノブを下側へ押し下げると、操作ノブによってラバードームが変形して、操作ノブにクリック感が付与される。また、操作ノブには、磁石が設けられており、回路基板には、磁気センサが設けられている。これにより、操作ノブの操作時には、磁気センサによって検出する磁石の磁束密度の変化によって、操作ノブの操作を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-165535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記スイッチ装置では、以下に示す点において改善の余地がある。すなわち、上記スイッチ装置では、ラバードームの内部が配線基板によって塞がれている。このため、操作ノブによってラバードームが押圧されるときに、ラバードーム内の空気が圧縮される。よって、ラバードームにおいて良好なクリック感を得ることができず、操作性が低下する可能性がある。
【0005】
また、配線基板の寸法バラツキや反り等によって、操作ノブと制御基板及びラバードームとの間の距離がばらつく場合がある。この場合でも、操作ノブの操作量が変化するため、操作性が低下する可能性がある。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して、操作性を向上することができるスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、ベース部材と、上下方向に移動可能に前記ベース部材に連結され、下側へ押圧操作される操作部材と、上下方向を板厚方向として前記操作部材の下側に配置された基板と、前記基板の上側に隣接され且つ上下方向を厚み方向とするシート状のラバー基部と、前記ラバー基部から上側へ隆起されたドーム形状に形成され且つ前記操作部材の押圧操作時に前記操作部材によって下側へ押圧されて弾性変形するドーム部と、を有するラバー部材と、前記基板に形成され、前記ドーム部を下側へ開放させる孔部と、前記ベース部材に設けられ、前記ドーム部の下側に配置されると共に前記孔部によって上側へ露出され、前記操作部材の押圧操作完了時に前記ドーム部が当接して前記ドーム部の下側への移動を制限するストッパ部と、を備えたスイッチ装置である。
【発明の効果】
【0008】
上記構成のスイッチ装置によれば、操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係るスイッチ装置を示す右斜め前方から見た分解斜視図である。
図2図1に示されるスイッチ装置の右側から見た側断面図である。
図3図2に示されるラバーシートのドーム部周辺を拡大して示す拡大断面図である。
図4】(A)は、図3に示されるストッパ部の上面の位置を変更した例を示す側断面図であり、(B)は、図3に示されるストッパ部の上面の位置を変更した他の例を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて、本実施の形態に係るスイッチ装置10について説明する。なお、図面において適宜示される矢印UP、矢印FR、及び矢印RHは、それぞれスイッチ装置10の上側、前側、右側を示している。そして、以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、スイッチ装置10の上下方向、前後方向、左右方向を示すものとする。
【0011】
図1図3に示されるように、スイッチ装置10は、ベース部材20と、操作部材30と、基板40と、可動接点50と、ラバー部材としてのラバーシート60と、を含んで構成されている。
【0012】
(ベース部材20について)
ベース部材20は、上側へ開放され且つ前後方向を長手方向とする略矩形箱状に形成されている。ベース部材20は、後述する操作部材30を収容するための収容部20Aを有している。収容部20Aは、上下方向を軸方向とする略矩形筒状に形成されて、ベース部材20の底壁から上側へ延出している。平面視での収容部20Aの外形が、ベース部材20の外形よりも一回り小さい略矩形状に形成されている。収容部20Aにおける上端部の上下位置は、ベース部材20の上端部の上下位置と略一致している。
【0013】
収容部20Aの各側壁には、上下方向に延在されたレール溝20Bがそれぞれ設けられており、平面視で、レール溝20Bが収容部20Aの内側へ開放された略凹形状に形成されている。すなわち、収容部20Aにおける前後の壁部に形成されたレール溝20Bは、前後方向内側へ開放されており、収容部20Aにおける左右の壁部に形成されたレール溝20Bは、左右方向内側へ開放されている。また、収容部20Aにおける前後の壁部に形成されたレール溝20Bは、当該壁部の左右方向中央部に位置しており、収容部20Aにおける左右の壁部に形成されたレール溝20Bは、当該壁部の前後方向中央部に位置している。レール溝20Bの上端部は上側へ開放されている。
【0014】
ベース部材20の底壁には、収容部20Aの内側において、後述する基板40を載置するための基板載置部20Cが一体に形成されている。基板載置部20Cは、ベース部材20の底壁から上側へ突出したリブ状に形成されると共に、平面視で略矩形枠状に形成されている。基板載置部20Cの前端部内には、左右方向に延在する区画壁20Dが形成されており、区画壁20Dによって基板載置部20Cの内部が前後に区画されている。具体的には、区画壁20Dよりも前側部分が、後述する可動接点50を収容するための接点用凹部20Eとされており、接点用凹部20Eが、上側へ開放され且つ左右方向を長手方向とする略矩形凹状に形成されている。接点用凹部20Eの内周部の左端部には、前後方向内側へ一段上がった前後一対の段部20F(図1参照)が形成されている。なお、図1では、後側の段部20Fのみが図示されている。
【0015】
また、ベース部材20の底壁には、基板載置部20Cの内側において、前後一対のストッパ部20Gが設けられている。ストッパ部20Gは、略十字形柱状に形成されて、ベース部材20の底壁から上側へ突出している。ストッパ部20Gは、ベース部材20の中央部に対して、前側及び後側に所定距離離間した位置にそれぞれ配置されている。ストッパ部20Gの上面は、上下方向に対して直交する面に沿って形成されると共に、基板載置部20Cの上面よりも上側に位置している。具体的には、ストッパ部20Gの上面が、後述する基板40の上面と面一となる位置に配置されている。
【0016】
また、ベース部材20の上部には、カバー22が設けられている。カバー22は、下側へ開放された略矩形箱状に形成されており、ベース部材20の上部が、カバー22内に嵌入されている。これにより、ベース部材20の上側開口部がカバー22によって閉塞されている。カバー22の上壁の略中央部には、円形状の露出孔22Aが上下方向に貫通形成されている。
【0017】
(操作部材30について)
操作部材30は、下側へ開放された略矩形箱形状に形成されている。平面視での操作部材30の外形は、ベース部材20における収容部20Aの内周部の外形よりも僅かに小さく設定されている。そして、操作部材30が上下方向に移動可能に収容部20A内に収容されている。すなわち、操作部材30が上下方向に移動可能にベース部材20に連結されている。具体的には、スイッチ装置10の非作動状態では、操作部材30が初期位置(図2に示される位置)に配置されており、操作者によって操作部材30を下側へ押圧操作することで、操作部材30が初期位置から下側の操作位置(図示省略)に移動するようになっている。
【0018】
操作部材30の外周部には、ベース部材20のレール溝20Bに対応する位置において、レール30Aが設けられている。レール30Aは、上下方向に延在されたリブ状に形成されて、レール溝20B内に上下方向に移動可能に挿入されている。これにより、操作部材30の押圧操作時には、レール30A及びレール溝20Bによって操作部材30の移動をガイドする構成になっている。
【0019】
操作部材30の上壁には、ベース部材20のストッパ部20Gに対応する位置において、前後一対の操作ボス30Bが設けられている。操作ボス30Bは、上下方向を軸方向とする略円柱状に形成されて、操作部材30の上壁から下側へ延出している。操作ボス30Bの下端面は、ストッパ部20Gの上側に離間して配置されると共に、ストッパ部20Gの上面と平行に配置されている。
【0020】
操作部材30の上壁の中央部には、操作部30Cが設けられている。操作部30Cは、下側へ開放された略有底円筒状に形成されて、操作部材30の上壁から上側へ突出している。操作部30Cは、カバー22の露出孔22A内を挿通しており、操作部30Cの上面がカバー22の上面と面一となる位置に配置されている。すなわち、露出孔22Aによって、操作部30Cが押圧操作可能に露出されている。操作部材30の上壁には、前左側の角部において、操作バー30Dが設けられている。操作バー30Dは、略柱状に形成されて、操作部材30の上壁から下側へ延出している。
【0021】
(基板40について)
基板40は、上下方向を板厚方向とし且つ前後方向を長手方向とする略矩形板状に形成されている。平面視での基板40の外形が、基板載置部20Cの外形に略一致している。そして、基板40がベース部材20の収容部20A内に収容され、基板40の外周部が基板載置部20Cの上面に載置されて、基板40が、図示しない位置でベース部材20に固定されている。
【0022】
基板40には、ストッパ部20Gに対応する位置において、円形状の孔部としての開放孔40Aが貫通形成されている。そして、ストッパ部20Gの上端部が開放孔40A内に挿通しており、ストッパ部20Gの上面が基板40の上面と面一となる位置に配置されている。ストッパ部20Gの上端部が、開放孔40Aの内周面に対して径方向内側に所定の隙間を空けて配置されるように、開放孔40Aの直径が設定されている。
【0023】
基板40には、操作部材30の操作バー30Dに対応する位置において、矩形状の挿通孔40Bが貫通形成されている。挿通孔40B内には、操作バー30Dの下端側部分が挿通しており、操作バー30Dの下端部が基板40よりも下側へ突出している。
【0024】
基板40の下面には、前端部において、前後一対の固定接点42が設けられている。固定接点42は、金属の板材により構成されており、下側から見て、略矩形状に形成されている。
【0025】
(可動接点50について)
可動接点50は、接点本体部52と、接続部54と、を含んで構成されている。接点本体部52は、樹脂材によって構成されると共に、平面視で略H形ブロック状に形成されている。具体的には、接点本体部52は、前後方向に延在された左右一対の縦柱52Aと、縦柱52Aの前後方向中間部同士を連結する横柱52Bと、を含んで構成されている。接点本体部52は、ベース部材20の接点用凹部20E内に左右方向に移動可能に収容されている。また、接点本体部52は、接点用凹部20E内に設けられたリターンスプリング56によって左側へ付勢されており、接点本体部52が接点用凹部20Eの段部20Fに右側から当接した状態に保持されている。そして、操作部材30が下側へ押圧操作されるときには、操作バー30Dの先端部が接点本体部52の左側端部を押圧して、接点本体部52が右側へスライドするようになっている。
【0026】
接続部54は、金属の板材によって構成されて、平面視で右側へ開放されたU字形状に形成されている。接続部54の長手方向中間部は、左側の縦柱52Aに埋設されており、接続部54の長手方向両端側部分が、縦柱52Aから右側へ延出している。接続部54の長手方向両端側部分は、上側へ斜めに屈曲されている。そして、接続部54の長手方向両端部が、基板40の下面に圧接されており、操作部材30の押圧操作時には、可動接点50が右側へスライドすることで、接続部54の長手方向両端部が基板40の下面上を摺動する。また、操作部材30の押圧操作完了時には、接続部54の長手方向両端部が固定接点42を圧接して、一対の固定接点42が通電するようになっている。これにより、スイッチ装置10がオフ状態からオン状態へ切替わり、操作部材30の操作位置への操作が検出される構成になっている。
【0027】
(ラバーシート60について)
ラバーシート60は、ゴム等の弾性材によって構成されている。ラバーシート60は、上下方向を厚み方向とする略矩形シート状のラバー基部60Aと、ラバー基部60Aの外周部から下側へ突出された矩形環状の周壁60Bと、を含んで構成されている。そして、基板40がラバーシート60内に収容された状態に、ラバーシート60が基板40に組付けられている。ラバーシート60の組付状態では、ラバー基部60Aが基板40の上側に隣接配置されており、周壁60Bによって基板40の外周部を囲んでいる。これにより、ラバーシート60が基板40によって下側から支持されている。
【0028】
ラバー基部60Aには、基板40の開放孔40A及び操作部材30の操作ボス30Bに対応する位置において、前後一対のドーム部62が設けられている。ドーム部62は、ラバー基部60Aから上側へ隆起された略ドーム形状に形成されると共に、下側へ開放されている。具体的には、ドーム部62は、ドーム部62の上部を構成するプッシュ部62Aと、ドーム部62の下部を構成するスカート部62Bと、を含んで構成されている。
【0029】
プッシュ部62Aは、上下方向を軸方向とする略円柱状に形成されている。プッシュ部62Aは、基板40の開放孔40A及び操作部材30の操作ボス30Bと同軸上に配置されると共に、操作ボス30Bの下側に隣接して配置されている。プッシュ部62Aの直径は、開放孔40A及び操作ボス30Bの直径よりも小さく設定されている。プッシュ部62Aの下面には、下側へ突出した突当部62Cが形成されている。突当部62Cは、下側から見てプッシュ部62Aよりも小径の円形状に形成されており、突当部62Cの下面がストッパ部20Gに対して上側に離間して配置されている。
【0030】
スカート部62Bは、上下方向を軸方向とし且つ下側へ向かうに従い拡径する円筒状に形成されている。すなわち、スカート部62Bの直径が下側へ向かうに従い大きくなるように設定されている。スカート部62Bは、プッシュ部62Aの下端部の外周部から下側へ延出され、スカート部62Bの下端部がラバー基部60Aに接続されている。これにより、突当部62Cがスカート部62Bの径方向内側に配置されている。スカート部62Bの下端部の内径は、開放孔40Aの直径と略一致している。換言すると、スカート部62Bの下端部の下側に開放孔40Aの縁部が配置されて、ドーム部62の下端部が、開放孔40Aの縁部によって周方向全周に亘って支持されている。また、開放孔40Aによってドーム部62が下側へ開放されて、ドーム部62の内部とベース部材20の基板載置部20Cの内部とが連通されている。
【0031】
そして、操作部材30の下側への押圧操作時には、操作ボス30Bからプッシュ部62Aに入力される操作力によってプッシュ部62Aが下側へ移動すると共に、スカート部62Bが弾性変形する。これにより、操作部材30にクリック感が付与される構成になっている。また、操作部材30への押圧操作完了時には、突当部62Cがストッパ部20Gに当接することで、操作部材30の下側への移動が制限されて、操作部材30に対する操作が完了するように構成されている。
【0032】
ラバー基部60Aには、操作部材30の操作バー30Dに対応する位置において、挿通筒部60Cが形成されている。挿通筒部60Cは、矩形筒状に形成されて、ラバー基部60Aから上側へ突出している。そして、操作バー30Dが挿通筒部60C内を挿通している。
【0033】
(作用効果)
次に本実施形態のスイッチ装置10の作用及び効果について説明する。
【0034】
スイッチ装置10の非操作状態では、操作部材30の操作ボス30Bがラバーシート60のドーム部62の上側に隣接配置されている。そして、操作者によって操作部材30の操作部30Cを下側へ押圧操作すると、下側への操作力が操作ボス30Bからドーム部62のプッシュ部62Aに入力される。これにより、ドーム部62のスカート部62Bが弾性変形すると共に、プッシュ部62Aが下側へ移動する。操作部材30の操作完了時には、ドーム部62の突当部62Cがベース部材20のストッパ部20Gの上面に当接して、操作部材30の下側へ移動が制限される。
【0035】
また、操作部材30の初期位置から操作位置への移動時には、操作部材30における操作バー30Dの先端部が可動接点50の接点本体部52の左側端部を押圧して、可動接点50が右側へスライドする。そして、操作部材30の押圧操作完了時には、可動接点50における接続部54の長手方向両端部が基板40の一対の固定接点42を圧接して、一対の固定接点42が通電する。これにより、スイッチ装置10がオフ状態からオン状態へ切替わり、操作部材30の操作位置への操作が検出される。
【0036】
ここで、スイッチ装置10では、開放孔40Aが基板40に形成されており、開放孔40Aによってラバーシート60におけるドーム部62が下側へ開放されている。これにより、操作部材30によってドーム部62が下側へ移動するときには、開放孔40Aが通気孔として機能して、ドーム部62内の空気が圧縮されることを開放孔40Aによって抑制できる。また、ベース部材20には、ストッパ部20Gが設けられており、ストッパ部20Gは、ドーム部62の下側に配置されると共に、開放孔40Aによって上側へ露出されている。そして、上述のように、操作部材30の押圧操作完了時には、ドーム部62がストッパ部20Gに当接して、ドーム部62の下側への移動が制限される。すなわち、ベース部材20が操作部材30に対するストッパ部材として機能して、ドーム部62がベース部材20に直接当接する。したがって、スイッチ装置10の操作性を向上することができる。以下、この点について、比較例のスイッチ装置と比較しつつ説明する。
【0037】
ここで、比較例のスイッチ装置では、本実施の形態のスイッチ装置10と比べて、基板40において開放孔40Aが省略されており、操作部材30の操作完了時には、ドーム部62(プッシュ部62A)が基板40に当接する。このため、比較例のスイッチ装置では、操作部材30によってドーム部62が下側へ移動するときには、ドーム部62内の空気が圧縮されて、ドーム部62から操作部材30に良好なクリック感を付与することができなくなる可能性がある。この場合には、スイッチ装置の操作性が悪化する。また、比較例のスイッチ装置では、基板40の寸法バラツキや基板40の反り等の影響によって、操作部材30の操作量(操作開始から操作完了までの操作部材30の移動距離)を一定に保つことが困難となる場合がある。この場合には、操作部材30の操作量バラツキによって、スイッチ装置の操作性が低下する可能性がある。
【0038】
これに対して、本実施形態のスイッチ装置10では、上述のように、操作部材30によってドーム部62が下側へ移動するときには、開放孔40Aが通気孔として機能して、ドーム部62内の空気が圧縮されることを開放孔40Aによって抑制できる。これにより、ドーム部62から操作部材30へ良好なクリック感を付与することができる。また、操作部材30の操作完了時には、ドーム部62がストッパ部20Gに直接的に当接して、操作部材30の下側への移動が制限される。このため、比較例のスイッチ装置と比べて、基板40の寸法バラツキや基板40の反り等の影響を受けることなく、操作部材30の操作量を設定することができる。その結果、上記比較例のスイッチ装置と比べて、操作部材30の操作量を一定にすることができる。以上により、スイッチ装置10の操作性を向上することができる。
【0039】
また、上述のように、操作部材30の押圧操作時には、ドーム部62が基板40を押圧しないため、操作部材30の操作時における異音の発生防止に寄与できる。すなわち、上記比較例のスイッチ装置では、例えば、基板40が上側へ反ることによって、基板40とベース部材20との間に隙間が生じる場合がある。このため、比較例のスイッチ装置において、ドーム部62によって基板40を下側へ押圧すると、基板40が下側へ移動して、打音(異音)する虞がある。これに対して、本実施形態では、ドーム部62が基板40を押圧しないため、操作部材30の操作時における異音の発生防止に寄与できる。
【0040】
また、上述のように、操作部材30の押圧操作時には、ドーム部62が基板40を押圧しないため、操作部材30に入力された下側への操作力が基板40に直接的に伝達されることを抑制できる。したがって、例えば、基板40に搭載された電子部品の半田クラックの防止に寄与することができる。したがって、スイッチ装置10の信頼性を向上することができる。
【0041】
また、ドーム部62は、ドーム部62の上部を構成する円柱状のプッシュ部62Aと、ドーム部62の下部を構成する円筒状のスカート部62Bと、を含んで構成されている。スカート部62Bの内径は、下側へ向かうに従い大きくなるように設定されており、スカート部62Bの下端部がラバー基部60Aに接続されている。また、スカート部62Bの下端部における内径が、基板40の開放孔40Aの直径と一致している。これにより、開放孔40Aの縁部によって、ドーム部62の下端部を開放孔40Aの周方向の全周に亘って下側から支持することができる。したがって、基板40に開放孔40Aを形成しても、基板40のドーム部62に対する支持性能を有効に確保することができる。その結果、スカート部62Bの弾性変形時に、操作部材30にクリック感を良好に付与することができる。
【0042】
また、ドーム部62は、プッシュ部62Aから下側へ突出する突当部62Cを有している。さらに、ストッパ部20Gの上端部が基板40の開放孔40Aを挿通しており、ストッパ部20Gの上面が基板40の上面と面一となる位置に配置されている。このため、突当部62Cのプッシュ部62Aからの突出量を過度に大きくすることなく、操作部材30の操作完了時に、突当部62Cをストッパ部20Gに当てることができる。これにより、突当部62Cがストッパ部20Gに当接したときのドーム部62の姿勢の安定化を確保することができる。
【0043】
また、基板40には、固定接点42が設けられており、基板40の下側には、基板40の下面を摺動する接続部54を有する可動接点50が設けられている。そして、操作部材30の押圧操作完了時に、可動接点50によって固定接点42が通電することで、スイッチ装置10がオフ状態からオン状態に切替わる。すなわち、操作部材30に入力される操作力は、可動接点50を左右方向にスライドさせるための力に用いられる。このため、上述と同様に、下側への操作力が基板40に入力されることを抑制しつつ、スイッチ装置10をオフ状態からオン状態に切替えることができる。したがって、操作部材30の操作時における異音の発生防止に寄与することができると共に、スイッチ装置10の信頼性を向上することができる。
【0044】
なお、本実施の形態では、ストッパ部20Gの上面が基板40の上面と面一となる位置に配置されているが、ストッパ部20Gの上面位置は、任意に設定可能である。例えば、図4(A)に示されるように、ストッパ部20Gの上面を本実施の形態と比べて下側に配置してもよいし、図4(B)に示されるように、ストッパ部20Gの上面を本実施の形態と比べて上側に配置してもよい。また、この場合には、ストッパ部20Gとドーム部62の突当部62Cとの間の上下距離を一定に保つために、突当部62Cのプッシュ部62Aからの突出量も変更される。そして、図4(B)に示される例では、突当部62Cにおけるプッシュ部62Aからの突出量が本実施形態と比べて短くなるため、突当部62Cがストッパ部20Gに当接したときのドーム部62の姿勢を一層安定化させることができる。
【0045】
また、本実施の形態では、基板40の開放孔40Aの直径が、ドーム部62のスカート部62Bの下端部の内径と一致しているが、開放孔40Aの直径をスカート部62Bの下端部の内径よりも小さく設定してもよい。
【0046】
また、本実施の形態では、基板40に設けられた固定接点42と、ベース部材20に設けられた可動接点50と、によってスイッチ装置10をオン状態又はオフ状態に切替えているが、スイッチ装置10の状態を切替える構成はこれに限らない。例えば、基板40に操作部材30の下側への押圧操作を非接触で検出する検出素子を設けて、当該検出素子によってスイッチ装置10の状態を切替える構成にしてもよい。例えば、基板40に検出素子としての磁気センサ70(図2参照)を設け、操作部材30に磁石72(図2参照)を設けて、磁気センサ70によって磁石72の磁束密度の変化を検出して、操作部材30の操作を検出してもよい。
【0047】
また、本実施の形態では、前後一対のドーム部62において、ストッパ部20Gと突当部62Cとの間の上下距離が同じ距離に設定されているが、例えば、押圧操作時の操作部材30の姿勢等に対応して、前後一対のドーム部62において当該上下距離を異なる距離に設定してもよい。例えば、一方のストッパ部20Gのベース部材20の底壁からの突出量を変更して、上記上下距離を変更してもよい。又は、例えば、一方のドーム部62において、突当部62Cのプッシュ部62Aからの突出量を変更して、上記上下距離を変更してもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 スイッチ装置
20 ベース部材
20G ストッパ部
30 操作部材
40 基板
40A 開放孔(孔部)
42 固定接点
50 可動接点
60 ラバーシート(ラバー部材)
60A ラバー基部
62 ドーム部
62A プッシュ部
62B スカート部
62C 突当部
70 磁気センサ(検出素子)
図1
図2
図3
図4