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特開2024-141115情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141115
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20241003BHJP
【FI】
G06T19/00 300A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052587
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100154036
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】高木 悟郎
(72)【発明者】
【氏名】豊島 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】廣田 洋一
【テーマコード(参考)】
5B050
【Fターム(参考)】
5B050AA10
5B050BA09
5B050BA11
5B050CA07
5B050CA08
5B050EA09
5B050EA27
5B050FA02
5B050FA05
(57)【要約】
【課題】メタバースの視覚的特徴に合わせて3次元オブジェクトの見た目を調整する。
【解決手段】仮想世界の視覚的特徴を分析した分析結果を取得する取得部と、前記分析結果に基づいて、ユーザの3Dオブジェクトデータを調整するスタイル調整部と、前記3Dオブジェクトデータに対応する3Dオブジェクトを前記仮想世界に配置するために、調整後の前記3Dオブジェクトデータを前記仮想世界に展開する出力部と、を備える、情報処理装置。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想世界の視覚的特徴を分析した分析結果を取得する取得部と、
前記分析結果に基づいて、ユーザの3Dオブジェクトデータを調整するスタイル調整部と、
前記3Dオブジェクトデータに対応する3Dオブジェクトを前記仮想世界に配置するために、調整後の前記3Dオブジェクトデータを前記仮想世界に展開する出力部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記視覚的特徴は、前記仮想世界の環境の特徴と、前記仮想世界に配置されたキャラクタの特徴とを含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記環境の特徴は、前記環境の色空間分布、輝度ヒストグラム、エッジラインの太さ、コントラストレベル、又は解像度の少なくともいずれか1つ以上に関する特徴を含む、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記環境の特徴の前記分析結果は、前記環境を複数の所定のパターンのうちの1つに分類した結果である、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記キャラクタの特徴は、前記キャラクタの頭身数、又は身体パーツの有無の少なくともいずれか1つ以上に関する特徴を含む、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記スタイル調整部は、前記3Dオブジェクトの形状及び表面テクスチャが前記視覚的特徴に類似するように前記3Dオブジェクトデータを調整する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記スタイル調整部は、前記3Dオブジェクトを変異させた複数のバリエーションオブジェクトにそれぞれ対応する複数のバリエーションデータを生成し、前記バリエーションオブジェクトの形状及び表面テクスチャが前記視覚的特徴に最も類似する前記バリエーションデータを調整後の前記3Dオブジェクトデータとして選択する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記スタイル調整部による前記3Dオブジェクトデータへの調整幅は、前記ユーザからの指示に基づいて制限される、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記出力部は、調整後の前記3Dオブジェクトデータを前記仮想世界に展開する前に、調整後の前記3Dオブジェクトデータに対応する前記3Dオブジェクトを前記ユーザに提示する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記3Dオブジェクトは、前記ユーザのアバターキャラクタである、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
仮想世界の視覚的特徴を分析した分析結果を取得することと、
前記分析結果に基づいて、ユーザの3Dオブジェクトデータを調整することと、
前記3Dオブジェクトデータに対応する3Dオブジェクトを前記仮想世界に配置するために、調整後の前記3Dオブジェクトデータを前記仮想世界に展開することと、
を含む、コンピュータによる情報処理方法。
【請求項12】
コンピュータを、
仮想世界の視覚的特徴を分析した分析結果を取得する取得部と、
前記分析結果に基づいて、ユーザの3Dオブジェクトデータを調整するスタイル調整部と、
前記3Dオブジェクトデータに対応する3Dオブジェクトを前記仮想世界に配置するために、調整後の前記3Dオブジェクトデータを前記仮想世界に展開する出力部と、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータ内に構築された3次元の仮想世界であるメタバースへの関心が高まっている。そのため、様々なプラットフォーマによって様々な世界観のメタバースが構築されている。
【0003】
ここで、メタバースには、各々の世界観に基づいた固有の色味、雰囲気、又はスタイルが存在する。したがって、例えば、クリエイターが自身で制作したオブジェクトをメタバースに展開する場合、メタバースの世界観によっては、展開したオブジェクトがメタバースに適合せず、違和感を生じさせてしまうことがあり得る。
【0004】
例えば、下記の特許文献1には、現実空間に仮想物体を重畳表示する際に、現実空間と仮想物体との色調が合うように仮想物体の色を補正することで、現実空間と仮想物体との見た目の適合性をより高める技術が開示されている。
技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-163670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、メタバースは3次元空間であるため、オブジェクトの色調を補正しただけではオブジェクトをメタバースの世界観に適合させることは困難であった。そこで、メタバースに配置される3次元オブジェクトの見た目をよりメタバースの世界観に適合するように調整する技術が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、仮想世界の視覚的特徴を分析した分析結果を取得する取得部と、前記分析結果に基づいて、ユーザの3Dオブジェクトデータを調整するスタイル調整部と、前記3Dオブジェクトデータに対応する3Dオブジェクトを前記仮想世界に配置するために、調整後の前記3Dオブジェクトデータを前記仮想世界に展開する出力部と、を備える、情報処理装置が提供される。
【0008】
また、本開示によれば、仮想世界の視覚的特徴を分析した分析結果を取得することと、前記分析結果に基づいて、ユーザの3Dオブジェクトデータを調整することと、前記3Dオブジェクトデータに対応する3Dオブジェクトを前記仮想世界に配置するために、調整後の前記3Dオブジェクトデータを前記仮想世界に展開することと、を含む、コンピュータによる情報処理方法が提供される。
【0009】
また、本開示によれば、コンピュータを、仮想世界の視覚的特徴を分析した分析結果を取得する取得部と、前記分析結果に基づいて、ユーザの3Dオブジェクトデータを調整するスタイル調整部と、前記3Dオブジェクトデータに対応する3Dオブジェクトを前記仮想世界に配置するために、調整後の前記3Dオブジェクトデータを前記仮想世界に展開する出力部と、として機能させるためのプログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係る情報処理装置の技術的背景を説明する模式図である。
図2】メタバースの一例を示す説明図である。
図3】メタバースの他の例を示す説明図である。
図4】メタバースの他の例を示す説明図である。
図5】メタバースの他の例を示す説明図である。
図6】同実施形態に係る情報処理装置の構成を説明するブロック図である。
図7】同実施形態に係る情報処理装置の第1の動作例の流れを示すフローチャート図である。
図8】同実施形態に係る情報処理装置の第2の動作例の流れを示すフローチャート図である。
図9】同実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.技術的背景
2.構成例
3.動作例
3.1.第1の動作例
3.2.第2の動作例
4.ハードウェア構成例
【0013】
<1.技術的背景>
まず、図1図5を参照して、本開示の一実施形態に係る情報処理装置の技術的背景について説明する。図1は、本実施形態に係る情報処理装置の技術的背景を説明する模式図である。図2図5は、様々なメタバースの例を示す説明図である。
【0014】
図1に示すように、ユーザの各々は、ユーザ端末10をそれぞれ用いることで、メタバースサーバ20にてそれぞれ構築される1つ以上のメタバース(仮想世界)にアクセスすることができる。
【0015】
メタバースサーバ20は、メタバースを構築するためのメタバース情報を記憶する情報処理装置である。メタバースサーバ20は、ネットワーク500を介して、メタバース情報をユーザ端末10に送信することで、ユーザ端末10にメタバースの風景等を表示させることができる。メタバースサーバ20は、異なるメタバースごとにそれぞれ用意される。メタバースサーバ20は、メタバースごとにそれぞれ用意された別個の物理サーバであってもよく、1つの物理サーバ内に設けられた別個の仮想サーバであってもよい。
【0016】
ユーザ端末10に送信されるメタバース情報は、例えば、メタバースのマップデータ、及びメタバースに配置される仮想オブジェクトのデータ(形状、テクスチャ、3次元位置、及び姿勢など)などを含む。これにより、ユーザ端末10は、受信したメタバース情報に基づいて、メタバース内の風景を画像として表示することができる。
【0017】
ユーザ端末10は、ユーザに利用される情報処理端末である。ユーザ端末10は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、HMD(Head mounted Display)装置、メガネ型端末、又はプロジェクタ等であってもよい。ユーザ端末10は、メタバースサーバ20からメタバース情報を受信することで、メタバース情報に基づいて生成されたメタバース内の風景をユーザに提示することができる。これによれば、ユーザは、ユーザ端末10を操作することで、メタバース内での移動、及びメタバース内での会話などの活動を行うことができる。
【0018】
近年、様々なプラットフォーマから多様なメタバースが提供されるようになっている。そのため、ユーザが複数のメタバースに参加することが一般的になっている。
【0019】
このような場合、ユーザは、自身が操作するアバターキャラクタを複数のメタバースで継続して使用したいという要望を持つことがあり得る。また、ユーザ自身が制作したコンテンツをメタバースに展開する場合、ユーザは、制作したコンテンツを複数のメタバースに展開したいという要望を持つことがあり得る。
【0020】
しかしながら、メタバースは、それぞれ固有の世界観を有しているため、同じアバターキャラクタ又はコンテンツを複数のメタバースに展開した場合、アバターキャラクタ又はコンテンツの見た目がメタバースの世界観と適合しないことがあり得る。
【0021】
例えば、図2に示すメタバース30Aは、都会的な空間として表現され、メタバース30Aのキャラクタ31Aは、セミリアルのおおよそ5頭身の人物として表現される。図3に示すメタバース30Bは、自然豊かな空間として表現され、メタバース30Bのキャラクタ31Bは、デフォルメされた2.5頭身の人物として表現される。図4に示すメタバース30Cは、洗練されたシンプルな空間として表現され、メタバース30Cのキャラクタ31Cは、セミリアルのおおよそ7頭身の人物として表現される。図5に示すメタバース30Dは、近未来的な空間として表現され、メタバース30Dのキャラクタ31Dは、セミリアルのおおよそ5頭身の上半身のみで表現される。
【0022】
上記のメタバース30A,30B,30C,30Dでは、配置されたキャラクタ31A,31B,31C,31Dの造形、及び世界観が大きく異なる。したがって、これらのメタバース30A,30B,30C,30Dに同じコンテンツ(キャラクタなど)を違和感なく展開することは、困難である。
【0023】
本開示に係る技術は、上記事情を鑑みて想到された。本開示に係る技術は、メタバースの視覚的特徴を分析した分析結果に基づいて、ユーザがメタバースに展開する3次元オブジェクト(以下、3Dオブジェクトとも称する)の3Dオブジェクトデータを調整することを可能とする。これによれば、本開示に係る技術は、ユーザがメタバースに展開する3Dオブジェクトの見た目をメタバースごとに視覚的特徴が適合するように調整することができる。したがって、ユーザは、同じ3Dオブジェクトデータに対応する3Dオブジェクトをメタバースの世界観と適合させながら様々なメタバースに展開することが可能である。
【0024】
<2.構成例>
続いて、図6を参照して、本開示に係る技術を実現する情報処理装置100について説明する。図6は、本開示の一実施形態に係る情報処理装置100の構成を説明するブロック図である。
【0025】
図6に示すように、情報処理装置100は、入力部110と、取得部120と、スタイル調整部130と、出力部140とを備える。
【0026】
入力部110は、ユーザがメタバースに展開するコンテンツデータCtが入力される入力インタフェースである。入力部110は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ、又はレバーなどの入力装置であってもよく、外部からデータを入力することが可能なUSB(Universal Serial Bus)ポートなどの接続インタフェースであってもよく、有線若しくは無線LAN(Local Area Network)、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)などの通信インタフェースであってもよい。
【0027】
コンテンツデータCtは、ユーザがメタバースに展開する3Dオブジェクトデータである。コンテンツデータCtは、例えば、ユーザのアバターキャラクタのデータであってもよい。コンテンツデータCtには、メタバースに展開される3Dオブジェクトの形状Fmに関するデータと、3DオブジェクトのテクスチャTxに関するデータとが含まれる。3DオブジェクトのテクスチャTxとは、例えば、色、質感、又は材質などを表現する、3Dオブジェクトの表面に関するデータである。
【0028】
取得部120は、スタイル情報データベース200からメタバースの視覚的特徴を分析した分析結果を取得する。
【0029】
具体的には、メタバースの視覚的特徴とは、メタバースの環境の特徴と、メタバースに配置されたキャラクタの特徴とを含む。メタバースの環境の特徴の分析結果は、スタイル情報データベース200内の空間特徴データベース210に記憶され、キャラクタの特徴の分析結果は、スタイル情報データベース200内のキャラクタ特徴データベース220に記憶される。
【0030】
メタバースの環境の特徴とは、例えば、メタバースにおける色空間の分布、色数、輝度ヒストグラム、空間解像度、オブジェクトのエッジラインの太さ、又はコントラストレベルの少なくとも1つ以上に関する特徴を含む。空間特徴データベース210には、メタバースの環境の上記特徴を解析した結果が記憶される。
【0031】
また、メタバースの環境の特徴の分析結果は、メタバースの環境を複数の所定のパターンのうちの1つに分類した結果であってもよい。具体的には、メタバースの環境の特徴の分析結果は、メタバースの環境をリアル、セミリアル、デフォルメ、メタル、パステル、又はポリゴンなどの所定のパターンのうちの1つに分類した結果であってもよい。
【0032】
キャラクタの特徴とは、例えば、メタバースに配置されたキャラクタの頭身数、又はキャラクタの身体パーツ(下半身、腕、鼻、又は耳など)の有無の少なくとも1つ以上に関する特徴を含む。キャラクタ特徴データベース220には、メタバースに配置されたキャラクタの上記特徴を解析した結果が記憶される。キャラクタの特徴の解析結果は、例えば、メタバースのスクリーンショット画像からキャラクタを認識し、認識したキャラクタの顔、身体、及び服装などをさらに認識した上でそれぞれについて解析することで取得される。
【0033】
メタバースの視覚的特徴の分析には、例えば、パターン認識又はクラスタリングなどの機械学習技術が用いられてもよい。メタバースの視覚的特徴の分析は、あらかじめメタバースごとに行われ、分析結果はスタイル情報データベース200に記憶される。ただし、メタバースの視覚的特徴の分析は、情報処理装置100にて3Dオブジェクトデータが調整されるたびに行われてもよい。
【0034】
スタイル調整部130は、メタバースの視覚的特徴の分析結果に基づいて、コンテンツデータCtを調整する。スタイル調整部130は、コンテンツデータCtの形状Fmに関するデータを調整する形状変形部131と、コンテンツデータCtのテクスチャTxに関するデータを調整するテクスチャ調整部132とを含む。
【0035】
一例として、スタイル調整部130は、メタバースの視覚的特徴の分析結果に基づいて、コンテンツデータCtの形状Fm及びテクスチャTxがメタバースの視覚的特徴に類似するようにコンテンツデータCtを調整してもよい。
【0036】
このような場合、形状変形部131は、例えば、コンテンツデータCtの形状Fmの輪郭を変形させてもよい。また、コンテンツデータCtがアバターキャラクタのデータである場合、形状変形部131は、上述したキャラクタの特徴の分析結果に基づいて、キャラクタの頭身数、又はキャラクタの身体パーツの有無などを変更してもよい。
【0037】
テクスチャ調整部132は、例えば、コンテンツデータCtのテクスチャTxの色味、コントラスト、輝度ヒストグラム、又はノイズ感などを調整してもよい。テクスチャ調整部132は、上述した環境の特徴の分析結果に基づいて、コンテンツデータCtのテクスチャTxの色味、コントラスト、輝度ヒストグラム、又はノイズ感などを調整してもよい。
【0038】
他の例として、スタイル調整部130は、コンテンツデータCtを変異させた複数のバリエーションデータを生成してもよい。スタイル調整部130は、メタバースの視覚的特徴の分析結果に基づいて、メタバースの視覚的特徴に最も類似するバリエーションデータを選択することで、選択したバリエーションデータを調整後のコンテンツデータCtとして採用することができる。
【0039】
このような場合、形状変形部131は、コンテンツデータCtの形状Fmの輪郭、キャラクタの頭身数、又はキャラクタの身体パーツの有無などを所定のルールベースに基づいて変更してもよい。テクスチャ調整部132は、コンテンツデータCtのテクスチャTxの色味、コントラスト、輝度ヒストグラム、又はノイズ感などを所定のルールベースに基づいて変更してもよい。スタイル調整部130は、これらのコンテンツデータCtの形状Fm及びテクスチャTxの変更を組み合わせたバリエーションデータの中から、メタバースの視覚的特徴に最も類似するバリエーションデータを選択してもよい。
【0040】
さらに、スタイル調整部130は、機械学習を用いたスタイルトランスファー(Style Transfer)技術を用いることで、メタバースの視覚的特徴に類似するようにコンテンツデータCtを調整してもよい。具体的には、スタイルトランスファー技術とは、機械学習を用いて、構造を担保するコンテンツ画像、及び画風を担保するスタイル画像の2つの入力から、前者の構造と後者の画風とを併せ持つ合成画像を出力する技術である。
【0041】
このようなスタイルトランスファー技術を応用することで、スタイル調整部130は、コンテンツデータCt、及びメタバースのスクリーンショット画像の2つの入力から、コンテンツデータCtの構造とメタバースのスタイルとを併せ持つ調整後のコンテンツデータCtを生成することが可能である。
【0042】
また、スタイル調整部130は、スタイルトランスファー技術を用いて、調整後のコンテンツデータCtを複数生成してもよい。このような場合、ユーザは、スタイル調整部130が生成した複数の調整後のコンテンツデータCtの中からメタバースへの展開により適したコンテンツデータCtを選択することが可能である。
【0043】
なお、スタイル調整部130によるコンテンツデータCtへの調整幅によっては、コンテンツデータCtの同一性を担保することが困難となることがあり得る。このような状況を回避するために、スタイル調整部130によるコンテンツデータCtへの調整幅には、ユーザによる制限が設けられてもよい。例えば、コンテンツデータCtのテクスチャTxの色又はコントラストの調整幅、又はキャラクタの頭身数の変動幅には、ユーザによる制限が設けられてもよい。
【0044】
出力部140は、コンテンツデータCtに対応する3Dオブジェクトをメタバースに配置するために、調整後のコンテンツデータCtをメタバースサーバ20に送信する。出力部140によって調整後のコンテンツデータCtがメタバースサーバ20に送信されることで、コンテンツデータCtに対応する3Dオブジェクトがメタバースに展開される。出力部140は、有線若しくは無線LAN(Local Area Network)、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、又はWUSB(Wireless USB)用の通信カードなどであってもよく、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、又は各種通信用のモデムなどであってもよい。
【0045】
なお、出力部140は、調整後のコンテンツデータCtをメタバースサーバ20に送信する前に、調整後のコンテンツデータCtに対応する3Dオブジェクトをユーザに提示してもよい。これによれば、ユーザは、メタバースに実際に展開される3Dオブジェクトを確認することができるため、スタイル調整部130によるコンテンツデータCtの調整が許容可能か否かを最終的に判断することが可能である。
【0046】
以上の構成によれば、情報処理装置100は、メタバースの視覚的特徴と適合するように、ユーザが用意した3Dオブジェクトの見た目を調整することができる。したがって、情報処理装置100は、メタバースに配置される3Dオブジェクトの見た目をよりメタバースの世界観に適合させることが可能である。
【0047】
また、情報処理装置100は、メタバースの各々の世界観に適合させながらユーザが用意した3Dオブジェクトを複数のメタバースに展開させることができる。したがって、情報処理装置100は、ユーザが複数のメタバースに参加することを支援することが可能である。
【0048】
<3.動作例>
(3.1.第1の動作例)
次に、図7を参照して、本実施形態に係る情報処理装置100の第1の動作例について説明する。図7は、本実施形態に係る情報処理装置100の第1の動作例の流れを示すフローチャート図である。
【0049】
図7に示すように、まず、情報処理装置100は、メタバースに展開される3DオブジェクトのコンテンツデータCtを取得する(S101)。コンテンツデータCtは、ユーザのアバターキャラクタのデータであってもよく、ユーザが制作した3Dオブジェクトのデータであってもよい。
【0050】
次に、情報処理装置100は、スタイル情報データベース200からコンテンツデータCtに対応する3Dオブジェクトを展開するメタバースの視覚的特徴の分析結果を取得する(S102)。続いて、情報処理装置100は、取得した視覚的特徴の分析結果に基づいて、コンテンツデータCtの要素である形状Fm及びテクスチャTxをそれぞれ調整する(S103)。
【0051】
次に、情報処理装置100は、調整後のコンテンツデータCtに対応する3Dオブジェクトをユーザに提示する。ユーザが調整後のコンテンツデータCtに対応する3Dオブジェクトを確認し、承認することで、メタバースに展開する調整後のコンテンツデータCtが決定される(S104)。
【0052】
その後、情報処理装置100は、決定されたコンテンツデータCtをメタバースサーバ20に送信する(S105)。これにより、情報処理装置100は、コンテンツデータCtに対応する3Dオブジェクトをメタバースの視覚的特徴と適合した状態でメタバースに展開することができる。
【0053】
第1の動作例によれば、情報処理装置100は、メタバースの視覚的特徴と類似するようにコンテンツデータCtの形状Fm及びテクスチャTxを調整することができる。したがって、情報処理装置100は、メタバースの世界観により適合するようにコンテンツデータCtを調整することが可能である。
【0054】
(3.2.第2の動作例)
さらに、図8を参照して、本実施形態に係る情報処理装置100の第2の動作例について説明する。図8は、本実施形態に係る情報処理装置100の第2の動作例の流れを示すフローチャート図である。
【0055】
図8に示すように、まず、情報処理装置100は、メタバースに展開される3DオブジェクトのコンテンツデータCtを取得する(S201)。コンテンツデータCtは、ユーザのアバターキャラクタのデータであってもよく、ユーザが制作した3Dオブジェクトのデータであってもよい。
【0056】
続いて、情報処理装置100は、所定のルールベースに基づいて、コンテンツデータCtの形状Fm及びテクスチャTxを変動させることで、コンテンツデータCtのバリエーションデータを複数生成する(S202)。次に、情報処理装置100は、スタイル情報データベース200からコンテンツデータCtに対応する3Dオブジェクトを展開するメタバースの視覚的特徴の分析結果を取得する(S203)。
【0057】
続いて、情報処理装置100は、取得した視覚的特徴の分析結果に基づいて、生成されたコンテンツデータCtのバリエーションデータの中からメタバースの視覚的特徴と適合するバリエーションデータを選択する。これにより、情報処理装置100は、選択したバリエーションデータをメタバースに展開する調整後のコンテンツデータCtと決定する(S204)。
【0058】
その後、情報処理装置100は、決定されたコンテンツデータCtをメタバースサーバ20に送信する(S205)。これにより、情報処理装置100は、コンテンツデータCtに対応する3Dオブジェクトをメタバースの視覚的特徴と適合した状態でメタバースに展開することができる。
【0059】
第2の動作例によれば、情報処理装置100は、所定のルールベースに基づいてコンテンツデータCtの形状Fm及びテクスチャTxを変動させたバリエーションデータを複数生成することができる。したがって、情報処理装置100は、コンテンツデータCtの調整幅をより細かく制限することが可能である。
【0060】
<4.ハードウェア構成例>
図9を参照して、本実施形態に係る情報処理装置100のハードウェア構成について説明する。図9は、本実施形態に係る情報処理装置100のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【0061】
本実施形態に係る情報処理装置100の機能は、ソフトウェアと、以下で説明するハードウェアとの協働によって実現され得る。スタイル調整部130の機能は、例えば、CPU901により実行されてもよい。入力部110の機能は、例えば、入力装置906、接続ポート910、又は通信装置911により実行されてもよい。取得部120及び出力部140の機能は、例えば、通信装置911により実行されてもよい。
【0062】
図9に示すように、情報処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)901、ROM(Read Only Memory)902、及びRAM(Random Access Memory)903を含む。
【0063】
また、情報処理装置100は、ホストバス904a、ブリッジ904、外部バス904b、インタフェース905、入力装置906、出力装置907、ストレージ装置908、ドライブ909、接続ポート910、又は通信装置911をさらに含んでもよい。情報処理装置100は、CPU901に替えて、又はCPU901と共に、DSP(Digital Signal Processor)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの処理回路を有してもよい。
【0064】
CPU901は、演算処理装置、又は制御装置として機能し、ROM902、RAM903、ストレージ装置908、又はドライブ909に装着されたリムーバブル記録媒体に記録された各種プログラムに従って、情報処理装置100内の動作を制御する。ROM902は、CPU901が使用するプログラム、及び演算パラメータなどを記憶する。RAM903は、CPU901の実行において使用するプログラム、及びその実行の際に使用するパラメータなどを一時的に記憶する。
【0065】
CPU901、ROM902、及びRAM903は、高速なデータ伝送が可能なホストバス904aにより相互に接続される。ホストバス904aは、ブリッジ904を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス904bに接続され、外部バス904bは、インタフェース905を介して種々の構成要素と接続される。
【0066】
入力装置906は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ、又はレバーなどのユーザからの入力を受け付ける装置である。なお、入力装置906は、ユーザの音声を検出するマイクロフォンなどであってもよい。入力装置906は、例えば、赤外線、又はその他の電波を利用したリモートコントロール装置であってもよく、情報処理装置100の操作に対応した外部接続機器であってもよい。
【0067】
入力装置906は、ユーザが入力した情報に基づいて生成した入力信号をCPU901に出力する入力制御回路をさらに含む。ユーザは、入力装置906を操作することによって、情報処理装置100に対して各種データの入力、又は処理動作の指示を行うことができる。
【0068】
出力装置907は、情報処理装置100にて取得又は生成された情報をユーザに対して視覚的、又は聴覚的に提示することが可能な装置である。出力装置907は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ、ホログラム、又はプロジェクタなどの表示装置であってもよく、スピーカ又はヘッドホンなどの音出力装置であってもよく、プリンタ装置などの印刷装置であってもよい。出力装置907は、情報処理装置100の処理により得られた情報をテキスト又は画像などの映像、及び音声又は音響などの音として出力することができる。
【0069】
ストレージ装置908は、情報処理装置100の記憶部の一例として構成されたデータ格納装置である。ストレージ装置908は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、又は光磁気記憶デバイスなどにより構成されてもよい。ストレージ装置908は、CPU901が実行するプログラム、各種データ、又は外部から取得した各種データなどを格納することができる。
【0070】
ドライブ909は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体の読み取り又は書き込み装置であり、情報処理装置100に内蔵、又は外付けされる。例えば、ドライブ909は、装着されているリムーバブル記録媒体に記録されている情報を読み出してRAM903に出力することができる。また、ドライブ909は、装着されているリムーバブル記録媒体に記録を書き込むことができる。
【0071】
接続ポート910は、外部接続機器を情報処理装置100に直接接続するためのポートである。接続ポート910は、例えば、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、又はSCSI(Small Computer System Interface)ポートなどであってもよい。また、接続ポート910は、RS-232Cポート、光オーディオ端子、又はHDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)ポートなどであってもよい。接続ポート910は、外部接続機器と接続されることで、情報処理装置100と外部接続機器との間で各種データの送受信を行うことができる。
【0072】
通信装置911は、例えば、ネットワーク500に接続するための通信デバイスなどで構成された通信インタフェースである。通信装置911は、例えば、有線若しくは無線LAN(Local Area Network)、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、又はWUSB(Wireless USB)用の通信カードなどであってもよい。また、通信装置911は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、又は各種通信用のモデムなどであってもよい。
【0073】
通信装置911は、例えば、インターネット、又は他の通信機器との間で、TCP/IPなどの所定のプロトコルを用いて信号などを送受信することができる。また、通信装置911に接続されるネットワーク500は、有線又は無線によって接続されたネットワークであり、例えば、インターネット通信網、家庭内LAN、赤外線通信網、ラジオ波通信網、又は衛星通信網などであってもよい。
【0074】
なお、コンピュータに内蔵されるCPU901、ROM902、及びRAM903などのハードウェアに上記の情報処理装置100と同等の機能を発揮させるためのプログラムも作成可能である。また、該プログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な記録媒体も提供可能である。
【0075】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0076】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0077】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
仮想世界の視覚的特徴を分析した分析結果を取得する取得部と、
前記分析結果に基づいて、ユーザの3Dオブジェクトデータを調整するスタイル調整部と、
前記3Dオブジェクトデータに対応する3Dオブジェクトを前記仮想世界に配置するために、調整後の前記3Dオブジェクトデータを前記仮想世界に展開する出力部と、
を備える、情報処理装置。
(2)
前記視覚的特徴は、前記仮想世界の環境の特徴と、前記仮想世界に配置されたキャラクタの特徴とを含む、前記(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記環境の特徴は、前記環境の色空間分布、輝度ヒストグラム、エッジラインの太さ、コントラストレベル、又は解像度の少なくともいずれか1つ以上に関する特徴を含む、前記(2)に記載の情報処理装置。
(4)
前記環境の特徴の前記分析結果は、前記環境を複数の所定のパターンのうちの1つに分類した結果である、前記(3)に記載の情報処理装置。
(5)
前記キャラクタの特徴は、前記キャラクタの頭身数、又は身体パーツの有無の少なくともいずれか1つ以上に関する特徴を含む、前記(2)~(4)のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(6)
前記スタイル調整部は、前記3Dオブジェクトの形状及び表面テクスチャが前記視覚的特徴に類似するように前記3Dオブジェクトデータを調整する、前記(1)~(5)のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(7)
前記スタイル調整部は、前記3Dオブジェクトを変異させた複数のバリエーションオブジェクトにそれぞれ対応する複数のバリエーションデータを生成し、前記バリエーションオブジェクトの形状及び表面テクスチャが前記視覚的特徴に最も類似する前記バリエーションデータを調整後の前記3Dオブジェクトデータとして選択する、前記(1)~(5)のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(8)
前記スタイル調整部による前記3Dオブジェクトデータへの調整幅は、前記ユーザからの指示に基づいて制限される、前記(1)~(7)のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(9)
前記出力部は、調整後の前記3Dオブジェクトデータを前記仮想世界に展開する前に、調整後の前記3Dオブジェクトデータに対応する前記3Dオブジェクトを前記ユーザに提示する、前記(1)~(8)のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(10)
前記3Dオブジェクトは、前記ユーザのアバターキャラクタである、前記(1)~(9)のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(11)
仮想世界の視覚的特徴を分析した分析結果を取得することと、
前記分析結果に基づいて、ユーザの3Dオブジェクトデータを調整することと、
前記3Dオブジェクトデータに対応する3Dオブジェクトを前記仮想世界に配置するために、調整後の前記3Dオブジェクトデータを前記仮想世界に展開することと、
を含む、コンピュータによる情報処理方法。
(12)
コンピュータを、
仮想世界の視覚的特徴を分析した分析結果を取得する取得部と、
前記分析結果に基づいて、ユーザの3Dオブジェクトデータを調整するスタイル調整部と、
前記3Dオブジェクトデータに対応する3Dオブジェクトを前記仮想世界に配置するために、調整後の前記3Dオブジェクトデータを前記仮想世界に展開する出力部と、
として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0078】
10 ユーザ端末
20 メタバースサーバ
100 情報処理装置
110 入力部
120 取得部
130 スタイル調整部
131 形状変形部
132 テクスチャ調整部
140 出力部
200 スタイル情報データベース
210 空間特徴データベース
220 キャラクタ特徴データベース
500 ネットワーク
Ct コンテンツデータ
Fm 形状
Tx テクスチャ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9