(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141141
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】ストッパ
(51)【国際特許分類】
F16B 2/16 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
F16B2/16 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052628
(22)【出願日】2023-03-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】000103976
【氏名又は名称】株式会社オリジン
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯山 俊男
【テーマコード(参考)】
3J022
【Fターム(参考)】
3J022EA42
3J022EB14
3J022EC12
3J022FB04
3J022FB10
3J022FB12
3J022GB04
(57)【要約】
【課題】製造コストを過剰に増大させることなく、軸方向片側への移動が充分確実に阻止される、新規のストッパを提供すること。
【解決手段】支持筒8をハウジング4によって保持又はハウジング4と一体とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿通されたシャフトに対し、軸方向両側に移動可能な状態と軸方向片側への移動が阻止される状態とに切り換え可能なストッパであって、
閉鎖空間部を備えたハウジングと、前記閉鎖空間部に配置される、転動体と、支持筒と、作動筒と、付勢手段とを具備し、
前記支持筒は前記ハウジングによって保持され又は前記ハウジングと一体であって、前記シャフトの外周面に当接する複数個の前記転動体を前記シャフトに対し転動自在に支持し、
前記作動筒は前記転動体の外周に配置されて軸方向両側に移動可能であり、前記作動筒の内周面には、軸方向他側に向かって内径が漸次低減するテーパー面が形成されていて、常態にあっては、前記作動筒は前記付勢手段によって軸方向片側に付勢されて前記テーパー面が前記転動体の外周面に押し付けられており、
前記ハウジングには前記閉鎖空間部に連通する連通穴が形成されていて、前記連通穴を介して前記作動筒を前記付勢手段による付勢に抗して前記ハウジングに対し軸方向他側へ変位可能な、ストッパ。
【請求項2】
前記ハウジングは、端板と前記端板の外周縁から軸方向に延びる外周壁とを備えたハウジング本体及び前記ハウジング本体の開放端を閉鎖するシールド板からなり、
前記連通穴は前記シールド板に形成されて、前記作動筒には前記連通穴を通過して軸方向に突出する操作片が付設されている、請求項1に記載のストッパ。
【請求項3】
前記転動体は円柱形状のローラーであって、前記作動筒の内周面には前記ローラーが嵌め合わされる溝が形成されており、前記溝の底面は平坦である、請求項1に記載のストッパ。
【請求項4】
前記支持穴には前記転動体を支持可能な支持片が形成されている、請求項1に記載のストッパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストッパ、殊に、挿通されたシャフトに対し、軸方向両側に移動可能な状態と軸方向片側への移動が阻止される状態とに切り換え可能なストッパに関する。
【背景技術】
【0002】
挿通されたシャフトに対し、軸方向両側に移動可能な状態と軸方向片側への移動が阻止される状態とに切り換え可能なストッパとして、下記特許文献1には、シャフトの外周面に当接する複数の転動体と、転動体をシャフトに対し転動自在に支持する支持筒と、転動体の外周に配置された作動筒と、作動筒に対して支持筒を軸方向他側に付勢する付勢手段とを具備するストッパが開示されている。作動筒の内周面には、軸方向他側に向かって内径が漸次低減するテーパー面が形成されていて、常態にあっては、テーパー面は付勢手段によって転動体の外周面に押し付けられている。このことから、シャフトに対するストッパの軸方向片側への移動は、テーパー面が転動体に接近する方向であるため、転動体とテーパー面との間で噛み込みが生じて阻止される。一方、シャフトに対するストッパの軸方向他側への移動は、テーパー面が転動体から離隔する方向であるため、上記噛み込みは生じず許容される。そして、作動筒に対して支持筒が軸方向片側へ変位せしめられると、転動体がテーパー面から離隔するため、シャフトに対しストッパは軸方向両側へ移動可能となる。かようなストッパはクランパとも称され、軸方向片側への移動が阻止された状態で物品を支持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されたストッパにあっては、支持筒は転動体をシャフトに対し転動自在に支持するものの、支持筒それ自身は支持されていないため、支持筒がシャフトに対して傾き、複数個の転動体の一部が意図せずシャフトの外周面から離隔する虞がある。上記特許文献1に開示されたストッパのような、複数個の転動体の噛み込みを利用するストッパにあっては、複数個の転動体の全部が同時に噛み込むことで軸方向への移動を阻止するため、複数個の転動体の一部がシャフトの外周面から離隔すると軸方向への移動を許容してしまう。上記特許文献1に開示されたストッパでは、転動体をグォードローラと称する特殊形状のローラーにして、転動体がシャフトの外周面から離隔することを防止しているが、上記グォードローラは特殊形状であるが故に製造コストが高い。
【0005】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、製造コストを過剰に増大させることなく、軸方向片側への移動が充分確実に阻止される、新規且つ改良されたストッパを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、鋭意検討の結果、支持筒をハウジングによって保持又はハウジングと一体とすることで、上記主たる技術的課題を解決できることを見出した。
【0007】
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を解決するストッパとして、挿通されたシャフトに対し、軸方向両側に移動可能な状態と軸方向片側への移動が阻止される状態とに切り換え可能なストッパであって、
閉鎖空間部を備えたハウジングと、前記閉鎖空間部に配置される、転動体と、支持筒と、作動筒と、付勢手段とを具備し、
前記支持筒は前記ハウジングによって保持され又は前記ハウジングと一体であって、前記シャフトの外周面に当接する複数個の前記転動体を前記シャフトに対し転動自在に支持し、
前記作動筒は前記転動体の外周に配置されて軸方向両側に移動可能であり、前記作動筒の内周面には、軸方向他側に向かって内径が漸次低減するテーパー面が形成されていて、常態にあっては、前記作動筒は前記付勢手段によって軸方向片側に付勢されて前記テーパー面が前記転動体の外周面に押し付けられており、
前記ハウジングには前記閉鎖空間部に連通する連通穴が形成されていて、前記連通穴を介して前記作動筒を前記付勢手段による付勢に抗して前記ハウジングに対し軸方向他側へ変位可能な、ストッパが提供される。
【0008】
好ましくは、前記ハウジングは、端板と前記端板の外周縁から軸方向に延びる外周壁とを備えたハウジング本体及び前記ハウジング本体の開放端を閉鎖するシールド板からなり、前記連通穴は前記シールド板に形成されて、前記作動筒には前記連通穴を通過して軸方向に突出する操作片が付設されている。前記転動体は円柱形状のローラーであって、前記作動筒の内周面には前記ローラーが嵌め合わされる溝が形成されており、前記溝の底面は平坦であるのがよい。前記支持穴には前記転動体を支持可能な支持片が形成されているのが好適である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のストッパにあっては、支持筒がハウジングによって保持又はハウジングと一体であることに起因して、支持筒がシャフトに対して傾くことは防止される。これにより、転動体を特殊な形状とすることなくシャフトの外周面に充分確実に当接させることができる。更に、ハウジングが、端板とこの端板の外周縁から軸方向に延びる外周壁とを備えたハウジング本体及びこのハウジング本体の開放端を閉鎖するシールド板からなり、連通穴がシールド板に形成されて、作動筒には連通穴を通過して軸方向に突出する操作片が付設されている形態の場合には、作動筒がシャフトに対して傾くことも防止され、これにより、転動体を特殊な形状とすることなく作動筒のテーパー面にも充分確実に当接させることができる。従って、本発明のストッパによれば、製造コストを過剰に増大させることなく、軸方向片側への移動を充分確実に阻止することが可能となる。更に、転動体はハウジングが備える閉鎖空間部に配置されるため、転動体に塵や埃が付着することは防止され、これにより、転動体をシャフトと作動筒との間に充分確実に噛み込ませることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に従って構成されたストッパの好適実施形態の構成を示す図。
【
図2】
図1に示すストッパのハウジングを単体で示す図。
【
図3】
図1に示すストッパの支持筒を単体で示す図。
【
図4】
図1に示すストッパの作動筒を単体で示す図。
【
図5】
図1において作動筒をハウジングに対し軸方向他側へ変位した状態の図。
【
図6】本発明に従って構成されたストッパの変形例の構成を示す図。
【
図7】
図6に示すストッパの支持筒を単体で示す図。
【
図8】
図6に示すストッパの作動筒を単体で示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に従って構成されたストッパの好適実施形態を示す添付図面を参照して、更に詳細に説明する。なお、以下の説明における「軸方向片側」及び「軸方向他側」とは、特に指定しない限り、
図1の中央縦断面図を基準として、「軸方向片側」は同図において左側を、「軸方向他側」は同図において右側のことを言う。
【0012】
図1を参照して説明すると、全体を番号2で示すストッパは、ハウジング4と転動体6と支持筒8と作動筒10と付勢手段12とを具備していて、内側にはシャフトSが挿通されている。図示の実施形態においては、シャフトSは断面円形であって直線状に延びている。
【0013】
図1と共に
図2を参照して説明すると、図示の実施形態においては、ハウジング4は
図2(a)に示す合成樹脂製のハウジング本体14及び
図2(b)に示す合成樹脂製のシールド板16から構成されている。ハウジング本体14は軸方向に対して垂直に配置される円形の端板18とこの端板18の外周縁から軸方向片側に延びる円筒形状の外周壁20とを備えていて、外周壁20の軸方向片側端は開放されている。端板18の中央には軸方向に貫通する円形の穴22が形成されていて、かかる穴22にはシャフトSが挿通される。外周壁20の軸方向片側端面には外周縁に沿って軸方向片側に連続して延びる円筒形状の係合壁24が形成されている。係合壁24の内周面の軸方向片側端部には径方向内側に突出する円環形状の係合突条26が形成されている。シールド板16は円形であって、シールド板16の外周面には径方向外側に突出する円環形状の被係合突条28が形成されている。シールド板16をハウジング本体14の軸方向片側端に整合させた状態でこれに対して軸方向他側に強制し、被係合突条28がハウジング本体14の係合突条26を弾性的に乗り越えてこれに係合されることで、シールド板16はハウジング本体14に装着される。シールド板16がハウジング本体14に装着されると、ハウジング本体14の端板18の軸方向片側面及び外周壁20の内周面並びにシールド板16の軸方向他側面によって、転動体6と支持筒8と作動筒10と付勢手段12とが配置される閉鎖空間部30が規定される。シールド板16の中央には軸方向に貫通する円形の穴32が形成されていて、かかる穴32にはシャフトSが挿通される。ハウジング4には閉鎖空間部30に連通する連通穴34が形成されている。図示の実施形態においては、連通穴34はシールド板16に形成されている。連通穴34は円弧形状であって、シールド板16の外周縁部において周方向に等角度間隔をおいて3つ形成されている。なお、閉鎖空間部30の「閉鎖」なる語は、単に「閉じられた」状態を意味するものであって必ずしも「密閉された」状態を意味するものではなく、従って、シールド板16及びハウジング本体14には連通穴34以外にも閉鎖空間部30に連通する穴等が適宜に形成されていてもよい。
【0014】
図1を参照して説明すると、転動体6はシャフトSの外周面に当接して複数配置される。図示の実施形態においては、転動体6は金属製のボールつまり球形状であり、周方向に等角度間隔をおいて6つ配置されている。かような転動体6は支持筒8によってシャフトSに対して転動自在に支持される。
【0015】
図1と共に
図3を参照して説明すると、適宜の合成樹脂により形成される支持筒8は、軸方向片側に位置して外径が比較的大きい円筒形状の大径部36、軸方向他側に位置して外径が比較的小さい円筒形状の小径部38、及び大径部36と小径部38との間に位置し外径が軸方向他側に向かって漸次低減する円錐台形状の中間部40に区画され、支持筒8の内側にはシャフトSが挿通される。従って、支持筒8の大径部36、小径部38及び中間部40は共通の中心軸及び内径を有する。そして、支持筒8には、大径部36の軸方向他側端部から中間部40の軸方向片側端部にかけて径方向に貫通する支持穴42が周方向に等角度間隔をおいて複数(図示の実施形態においては6つ)形成されていて、複数の支持穴42の夫々に転動体6が収容される。支持穴42を規定するための、周方向において相互に対向する一対の内面42aの各々の径方向内側端部は夫々径方向内側に向かって相互に接近し、支持穴42の径方向内側端部には軸方向に延びて転動体6を支持可能な支持片43が形成されている(
図3下段左の支持穴を正面から見た図も参照されたい)。かような支持片43は、シャフトSがストッパ2の内側に挿通されていないときに、転動体6と当接つまり支持してこれが径方向内側に脱落することを防止する。一方、シャフトSがストッパ2の内側に挿通されたときつまり
図1に示すときには、転動体6はシャフトSの外周面と当接してこれによって径方向外側に幾分変位せしめられ、支持片43は転動体6から離隔する。図示の実施形態においては、支持筒8はハウジング4とは別体として形成され、ハウジング4によって保持、つまりハウジング本体14の端板18とシールド板16とによって軸方向に挾持されている。所望ならば、支持筒8の軸方向片側半部をシールド板16と、軸方向他側半部をハウジング本体14の端板18とそれぞれ一体に成形し、ハウジング本体14とシールド板16とを組み合わせることで支持筒8が構成されるようにすることもできる(つまり支持筒8はハウジング4と一体であってもよい)。本発明のストッパにあっては、支持筒8がハウジングによって保持又はハウジング4と一体であることに起因して、支持筒8がシャフトSに対して傾くことは防止される。これにより、転動体6を特殊な形状とすることなくシャフトSの外周面に充分確実に当接させることができる。
【0016】
図1と共に
図4を参照して説明すると、適宜の合成樹脂により形成される作動筒10は支持筒8によって支持された転動体6の外周に配置される。作動筒10の外周面は円筒形状であってハウジング本体14の外周壁20の内周面と対向する。作動筒10の内周面には、軸方向他側に向かって内径が漸次低減する円錐台形状のテーパー面44が形成されている。図示の実施形態においては、作動筒10の軸方向片側端部を除く部分にテーパー面44が形成されていて、上記軸方向片側端部は円筒形状となっている。作動筒10の軸方向片側端面には外周縁及び内周縁に沿って軸方向に突出する円弧形状の操作片46が周方向に等角度間隔をおいて3つ付設されている。3つの操作片46は夫々シールド板16に形成された3つの連通穴34の夫々に挿通せしめられる。操作片46と連通穴34とはすきまばめの関係にあり、そのすきまは0.02乃至0.06mmであるのがよい。
【0017】
図1を参照して説明すると、付勢手段12は作動筒10とハウジング本体14の端板18との間に配置されて作動筒10をハウジング4に対して軸方向片側に付勢する。図示の実施形態においては、付勢手段12は金属製のコイルばねであるが、作動筒10を上記のとおりに付勢可能であれば任意であってよい。
【0018】
閉鎖空間部30において作動筒10が付勢手段12によって上記のとおりに付勢されることで、常態にあっては、
図1中のX部拡大図に示すとおり、作動筒10は付勢手段12によって軸方向片側に付勢されてテーパー面44が転動体6の外周面に押し付けられる。そして、作動筒10に付設された3つの操作片46の軸方向片側端部はハウジング4の外側に露出する。
【0019】
続いて、ストッパ2の作動について説明する。
図1に示す状態にあっては、上述したとおり、作動筒10は付勢手段12によって軸方向片側に付勢され、作動筒10のテーパー面44は転動体6の外周面に押し付けられている。この状態でストッパ2全体がシャフトSに対して軸方向片側へ移動しようとすると、テーパー面44が転動体6に接近しようとするためテーパー面44と転動体6との間で噛み込みが生じ、上記移動は阻止される。本発明のストッパにあっては、支持筒8がハウジング4によって保持又はハウジング4と一体であることに起因して、支持筒8がシャフトSに対して傾くことは防止されている。これにより、転動体6を特殊な形状とすることなくシャフトSの外周面に充分確実に当接させることができる。更に、作動筒10の外周面がハウジング本体14の外周壁20の内周面と対向すると共に、図示の実施形態においては、作動筒10の操作片46がシールド板16の連通穴34にすきまばめ状態で挿通せしめられていることに起因して、作動筒10がシャフトSに対して傾くことも防止される。これにより、転動体6を特殊な形状とすることなく作動筒10のテーパー面44にも充分確実に当接させることができる。従って、本発明のストッパによれば、製造コストを過剰に増大させることなく、軸方向片側への移動を充分確実に阻止することが可能となる。更に、転動体6はハウジング4が備える閉鎖空間部30に配置されているため、転動体6に塵や埃が付着することが防止され、転動体6はシャフトSと作動筒10との間で充分確実に噛み込むことができる。一方、ストッパ2全体がシャフトSに対して軸方向他側へ移動することは、かかる移動ではテーパー面44は転動体6から離隔しようとするため上記噛み込みは生じず、許容される。そして、
図5に示すとおり、シールド板16の連通穴34からハウジング4の外側に露出する操作片46を付勢手段12による付勢に抗してハウジング4の内側に押し込んで作動筒10がハウジング4及び支持筒8に対して軸方向他側へ変位せしめられると、
図5中のX部拡大図に示すとおり、転動体6がテーパー面44から離隔するため、シャフトSに対しストッパ2は軸方向両側へ移動可能となる。
【0020】
続いて、
図6乃至
図8を参照して本発明に従って構成されたストッパの変形例について説明する。かかるストッパと
図1に示すストッパとを比較すると、主に転動体の形状をボールからローラーに変更した点が相違し、他の点は実質的に同じである。そのため、以下では、
図1に示すストッパと同一の構成については同一の番号に100を付して示してその詳細な説明については省略し、
図1に示すストッパと異なる構成についてのみ説明する。
【0021】
図6に示されるストッパ102にあっては、転動体106は金属製のローラーつまり円柱形状であって、周方向に等角度間隔をおいて4つ配置されている。転動体106がローラーであることから、
図7のB-B断面図を参照することによって理解されるとおり、支持筒108に形成された支持穴142は軸方向に見ると略矩形である。つまり、支持穴142を規定するための、周方向において相互に対向する一対の内面142aの各々は平行である。そして、支持穴142の径方向内側端部にも、転動体106を支持可能な支持片143が形成されている。更に、
図8に示されるとおり、作動筒110の内周面には軸方向全体に亘って転動体106が嵌め合わされる溝148が形成されていて、溝148の一部にテーパー面144が形成されている。溝148の底面は平坦である。
【0022】
以上、本発明に従って構成されたストッパについて添付した図面を参照して詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲内において適宜の修正や変更が可能である。例えば、図示の実施形態においては、支持筒8は外径の異なる大径部36と小径部38と中間部40とを備えていたが、支持筒8の外径は一定であってもよい。また、閉鎖空間部30に連通する穴は必ずしもシールド板16に形成されていなくてもよく、軸方向片側に付勢されている作動筒10を軸方向他側に変位可能であれば、ハウジング本体14の端板18又は外周壁20に形成されていてもよい。また、ハウジング4は支持筒8を保持さえできれば必ずしもハウジング本体14とシールド板16とから構成されていなくてもよく、例えば径方向に分離可能な複数個の割り型により構成されてもよい。更にまた、図示の実施形態においては、作動筒に付設された操作片がハウジングの外側に露出していて操作片を軸方向他側へ押すことで作動筒はハウジングに対して軸方向他側へ変位したが、上記操作片を省略して任意の外部部材によって作動筒をハウジングに対して軸方向他側へ変位させることも可能である。即ち、突起を備えた任意の外部部材をシールド板に隣接して配置し、上記突起をシールド板の連通穴に挿通せしめ、突起で作動筒を押圧してこれを上記のとおりに変位させる。各構成部材の材質は適宜に変更することができる。
【符号の説明】
【0023】
2:ストッパ
4:ハウジング
6:転動体
8:支持筒
10:作動筒
12:付勢手段
44:テーパー面
【手続補正書】
【提出日】2023-07-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿通されたシャフトに対し、軸方向両側に移動可能な状態と軸方向片側への移動が阻止される状態とに切り換え可能なストッパであって、
閉鎖空間部を備えたハウジングと、前記閉鎖空間部に配置される、転動体と、支持筒と、作動筒と、付勢手段とを具備し、
前記支持筒は前記ハウジングによって保持され又は前記ハウジングと一体であって、前記シャフトの外周面に当接する複数個の前記転動体を前記シャフトに対し転動自在に支持し、
前記作動筒は前記転動体の外周に配置されて軸方向両側に移動可能であり、前記作動筒の内周面には、軸方向他側に向かって内径が漸次低減するテーパー面が形成されていて、常態にあっては、前記作動筒は前記付勢手段によって軸方向片側に付勢されて前記テーパー面が前記転動体の外周面に押し付けられており、
前記ハウジングには前記閉鎖空間部に連通する連通穴が形成されていて、前記連通穴を介して前記作動筒を前記付勢手段による付勢に抗して前記ハウジングに対し軸方向他側へ変位可能な、ストッパ。
【請求項2】
前記ハウジングは、端板と前記端板の外周縁から軸方向に延びる外周壁とを備えたハウジング本体及び前記ハウジング本体の開放端を閉鎖するシールド板からなり、
前記連通穴は前記シールド板に形成されて、前記作動筒には前記連通穴を通過して軸方向に突出する操作片が付設されている、請求項1に記載のストッパ。
【請求項3】
前記転動体は円柱形状のローラーであって、前記作動筒の内周面には前記ローラーが嵌め合わされる溝が形成されており、前記溝の底面は平坦である、請求項1に記載のストッパ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
好ましくは、前記ハウジングは、端板と前記端板の外周縁から軸方向に延びる外周壁とを備えたハウジング本体及び前記ハウジング本体の開放端を閉鎖するシールド板からなり、前記連通穴は前記シールド板に形成されて、前記作動筒には前記連通穴を通過して軸方向に突出する操作片が付設されている。前記転動体は円柱形状のローラーであって、前記作動筒の内周面には前記ローラーが嵌め合わされる溝が形成されており、前記溝の底面は平坦であるのがよい。