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特開2024-141150移動体設定装置、移動体設定方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141150
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】移動体設定装置、移動体設定方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/037 20060101AFI20241003BHJP
   B60N 2/02 20060101ALI20241003BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20241003BHJP
【FI】
B60R16/037
B60N2/02
B60N2/90
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052639
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】松儀 良広
(72)【発明者】
【氏名】柴田 直生
(72)【発明者】
【氏名】橋本 耕志
(72)【発明者】
【氏名】臼井 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】加持 将平
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】ユーザ管理機能を有する車載装置と連動して車両の運転環境を自動調整する車両用制御システムに関し、当該自動調整に関する操作性を向上させることができる移動体設定装置、移動体設定方法、およびプログラムを提供すること。
【解決手段】移動体が有する機器の設定情報を移動体の利用者に紐づけて管理する記憶部と、利用者に関するユーザ情報と、前記機器の設定情報とを記憶部に登録する登録部と、移動体の利用者を特定する特定部と、特定部により特定された利用者に紐づけられた前記機器の設定情報を記憶部から取得し、取得した前記設定情報に基づいて前記機器の設定を行う設定部と、を備え、登録部は、予め登録済みの第1のユーザ情報に紐づけられた前記機器の設定情報である第1設定情報を記憶部から取得し、取得した第1設定情報を第1のユーザ情報と異なる第2のユーザ情報に紐づけて登録する、移動体設定装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体が有する機器の設定を行う設定装置であって、
前記機器の設定情報を記憶する記憶部であって、前記設定情報を前記移動体の利用者に紐づけて管理する記憶部と、
前記利用者に関するユーザ情報と、前記機器の設定情報とを前記記憶部に登録する登録部と、
前記移動体の利用者を特定する特定部と、
前記特定部により特定された利用者に紐づけられた前記機器の設定情報を前記記憶部から取得し、取得した前記設定情報に基づいて前記機器の設定を行う設定部と、
を備え、
前記登録部は、予め登録済みの第1のユーザ情報に紐づけられた前記機器の設定情報である第1設定情報を前記記憶部から取得し、取得した前記第1設定情報を前記第1のユーザ情報と異なる第2のユーザ情報に紐づけて登録する、
移動体設定装置。
【請求項2】
前記登録部は、前記第2のユーザ情報の新規登録時において、前記第1のユーザ情報に紐づけられている前記設定情報と同じ内容の設定情報を前記第2のユーザ情報に紐づけて登録する、
請求項1に記載の移動体設定装置。
【請求項3】
前記機器は、前記移動体が有するシートであり、
前記機器の設定情報は、前記シートの位置を設定するためのシート位置設定情報であり、
前記登録部は、前記第1のユーザ情報に紐づけられているシート位置設定情報を複製したものを前記第2のユーザ情報のシート位置設定情報に紐づける、
請求項2に記載の移動体設定装置。
【請求項4】
前記移動体は複数の前記機器を有するものであり、
前記複数の機器の設定情報のうち前記シート位置設定情報を複製し、前記シート位置設定情報以外の設定情報を複製しない、
請求項3に記載の移動体設定装置。
【請求項5】
移動体が有する機器の設定を行う設定装置が、
前記機器の設定情報を記憶する記憶部において、前記設定情報を前記移動体の利用者に紐づけて管理し、
前記利用者に関するユーザ情報と、前記機器の設定情報とを前記記憶部に登録し、
前記移動体の利用者を特定し、
特定された利用者に紐づけられた前記機器の設定情報を前記記憶部から取得し、取得した前記設定情報に基づいて前記機器の設定するものであり、
を備え、
前記設定情報の登録において、予め登録済みの第1のユーザ情報に紐づけられた前記機器の設定情報である第1設定情報を前記記憶部から取得し、取得した前記第1設定情報を前記第1のユーザ情報と異なる第2のユーザ情報に紐づけて登録する、
移動体設定方法。
【請求項6】
移動体が有する機器の設定を行う設定装置に、
前記機器の設定情報を記憶する記憶部において、前記設定情報を前記移動体の利用者に紐づけて管理させ、
前記利用者に関するユーザ情報と、前記機器の設定情報とを前記記憶部に登録させ、
前記移動体の利用者を特定させ、
特定された利用者に紐づけられた前記機器の設定情報を前記記憶部から取得し、取得した前記設定情報に基づいて前記機器の設定させる、
ためのプログラムであって、
前記設定情報の登録において、予め登録済みの第1のユーザ情報に紐づけられた前記機器の設定情報である第1設定情報を前記記憶部から取得させ、取得された前記第1設定情報を前記第1のユーザ情報と異なる第2のユーザ情報に紐づけて登録させる、
ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体設定装置、移動体設定方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子キー等の携帯機ごとに固有な情報であるキーID(携帯機固有情報)を照合することにより、携帯機を取り出すことなく、車両ドアを施錠及び解錠することのできるいわゆるスマートエントリー機能が知られている。このようなスマートエントリー機能に関し、利用者の電子キーに記憶された情報を無線通信により車両側装置に送信し、車両側装置が電子キーから受信された情報に対応付けられた設定情報を読み出し、当該設定情報に基づいて車両の運転環境(シート位置など)を自動調整する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。従来のスマートエントリー機能には、複数の電子キーに異なる設定情報を紐づけることができるものも存在する。また近年では、車両の運転環境を自動調整する技術として、車両ECU(Electronic Control Unit)に接続された車載装置でユーザ管理を行い、ログインしたユーザの設定情報をもとに運転環境を自動調整する技術も開発されている。この場合、利用者はログインユーザを変更することによって運転環境の設定内容を柔軟に変更することができるので車両の利便性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-214972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の車載装置による運転環境の自動調整機能を使用する場合、車載装置には利用者が予め使用するユーザが作成されている必要がある。ここで車載装置に使用可能なユーザが作成されていない場合、利用者は車載装置に新規ユーザの追加を行う必要があるが、この際、追加した新規ユーザの設定情報により利用者が意図しないタイミングで自動調整機能が作動してしまう場合があった。このように、従来の車載装置は、運転環境の自動調整機能の利便性を低下させてしまう可能性があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、ユーザ管理機能を有する車載装置と連動して車両の運転環境を自動調整する車両用制御システムに関し、当該自動調整に関する利便性を向上させることができる移動体設定装置、移動体設定方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。そして、延いては交通の安全性をより一層改善して持続可能な輸送システムの発展に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1):この発明の一態様に係る移動体設定装置は、移動体が有する機器の設定を行う設定装置であって、前記機器の設定情報を記憶する記憶部であって、前記設定情報を前記移動体の利用者に紐づけて管理する記憶部と、前記利用者に関するユーザ情報と、前記機器の設定情報とを前記記憶部に登録する登録部と、前記移動体の利用者を特定する特定部と、前記特定部により特定された利用者に紐づけられた前記機器の設定情報を前記記憶部から取得し、取得した前記設定情報に基づいて前記機器の設定を行う設定部と、を備え、前記登録部は、予め登録済みの第1のユーザ情報に紐づけられた前記機器の設定情報である第1設定情報を前記記憶部から取得し、取得した前記第1設定情報を前記第1のユーザ情報と異なる第2のユーザ情報に紐づけて登録するものである。
【0007】
(2):上記(1)の態様において、前記登録部は、前記第2のユーザ情報の新規登録時において、前記第1のユーザ情報に紐づけられている前記設定情報と同じ内容の設定情報を前記第2のユーザ情報に紐づけて登録するものである。
【0008】
(3):上記(2)の態様において、前記機器は、前記移動体が有するシートであり、前記機器の設定情報は、前記シートの位置を設定するためのシート位置設定情報であり、前記登録部は、前記第1のユーザ情報に紐づけられているシート位置設定情報を複製したものを前記第2のユーザ情報のシート位置設定情報に紐づけるものである。
【0009】
(4):上記(3)の態様において、前記移動体は複数の前記機器を有するものであり、前記複数の機器の設定情報のうち前記シート位置設定情報を複製し、前記シート位置設定情報以外の設定情報を複製しないものである。
【0010】
(5):この発明の一態様に係る移動体設定方法は、移動体が有する機器の設定を行う設定装置が、前記機器の設定情報を記憶する記憶部において、前記設定情報を前記移動体の利用者に紐づけて管理し、前記利用者に関するユーザ情報と、前記機器の設定情報とを前記記憶部に登録し、前記移動体の利用者を特定し、特定された利用者に紐づけられた前記機器の設定情報を前記記憶部から取得し、取得した前記設定情報に基づいて前記機器の設定するものであり、を備え、前記設定情報の登録において、予め登録済みの第1のユーザ情報に紐づけられた前記機器の設定情報である第1設定情報を前記記憶部から取得し、取得した前記第1設定情報を前記第1のユーザ情報と異なる第2のユーザ情報に紐づけて登録するものである。
【0011】
(6):この発明の一態様に係るプログラムは、移動体が有する機器の設定を行う設定装置に、前記機器の設定情報を記憶する記憶部において、前記設定情報を前記移動体の利用者に紐づけて管理させ、前記利用者に関するユーザ情報と、前記機器の設定情報とを前記記憶部に登録させ、前記移動体の利用者を特定させ、特定された利用者に紐づけられた前記機器の設定情報を前記記憶部から取得し、取得した前記設定情報に基づいて前記機器の設定させる、ためのプログラムであって、前記設定情報の登録において、予め登録済みの第1のユーザ情報に紐づけられた前記機器の設定情報である第1設定情報を前記記憶部から取得させ、取得された前記第1設定情報を前記第1のユーザ情報と異なる第2のユーザ情報に紐づけて登録させる、ためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
(1)~(6)によれば、ユーザ管理機能を有する車載装置と連動して車両の運転環境を自動調整する車両用制御システムに関し、当該自動調整に関する利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態の車両用制御システム1の構成例を示す図である。
図2】アカウント管理情報92の内容の一例を示す図である。
図3】制御部70により実行される処理の流れを示すフローチャートである。
図4】ユーザ追加処理の流れの一例を示すシーケンスチャート(その1)である。
図5】ユーザ追加処理の流れの一例を示すシーケンスチャート(その2)である。
図6】ユーザ管理画面がシーケンスチャートの進行に応じて遷移していく様子を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、本発明の移動体設定装置、移動体設定方法、およびプログラムの実施形態について説明する。
【0015】
[1.車両用制御システムの全体構成]
図1は、実施形態の車両用制御システム1の構成例を示す図である。車両用制御システム1は、複数の携帯無線端末10と、制御対象の車両(以下「自車両」という。)に搭載される車載装置30と、を備える。携帯無線端末10は車両用の「電子キー」の一例である。携帯無線端末10と車載装置30とは無線通信によって互いに通信可能であり、車載装置30は携帯無線端末10との通信を契機として自車両に所定の動作を行わせる。このような機構により、利用者は携帯無線端末10を利用して、自車両にドアロックの開錠やエンジンスタートなどの動作を行わせることができるものである。車載装置30は「移動体設定装置」の一例である。自車両は移動体の一例であり、移動体設定装置の設定対象となる移動体は船舶や航空機などの車両以外の移動体であってもよい。
【0016】
携帯無線端末10Aおよび10Bは複数の携帯無線端末10の一例であり、同様の機能構成を有するものである。ここではメインキーおよびスペアキーを想定して2つの携帯無線端末10を例示するが、携帯無線端末10の数は1つでもよいし、3つ以上でもよい。以下、特に区別しない場合、携帯無線端末10Aおよび10Bを総称して携帯無線端末10と記載する。また以下では、上記同様の機能構成について携帯無線端末10Aおよび10Bを区別して説明する必要がある場合、各機能部の符号に「A」または「B」を付加して区別する場合がある。例えば「通信部12A」は携帯無線端末10Aの通信部12を意味するものとする。携帯無線端末10は「端末装置」の一例である。
【0017】
[2.携帯無線端末の構成]
携帯無線端末10は、例えば、いわゆるFOBキー(key fob)や薄型のカードキーなどである。これらの携帯無線端末10は、例えば、ズボンのポケットや財布に収容可能な大きさである。携帯無線端末10は、例えば、縦数cm~10cm、横数cm~10cm、厚さ数mm~数cm程度の大きさである。以下の実施形態では、携帯無線端末10は、一例としてFOBキーであるものとして説明するが、その他の電子キーであってもよい。また、携帯無線端末10は、スマートフォンなどの携帯電話、タブレット端末などにアプリケーションプログラムがインストールされることで上述した機能が付与されたものであってもよい。
【0018】
携帯無線端末10は、例えば、通信部12と、集積回路等を含むコントロールユニット14と、記憶部16と、受電部18と、電源20と、機械式キー22とを筐体11内に収納している。通信部12は、例えば受信した電波に対して増幅や復調等の所定の処理を行ったり、送信する電波を生成したりする。記憶部16は予め携帯無線端末10の識別情報である端末IDを記憶している。
【0019】
コントロールユニット14は、通常、携帯無線端末10を省電力の状態であるスリープ状態に制御する。コントロールユニット14は、車載装置30からリクエスト信号を受信すると、携帯無線端末10をスリープ状態から起動状態に制御する。コントロールユニット14は、車載装置30から送信された(車室外または車室内)リクエスト信号の受信に応じた応答信号である(車室外または車室内)レスポンス信号を通信部12に送信させる。
【0020】
電源20は、例えばボタン電池などである。携帯無線端末10は、電源20から供給された電力によって作動する。電源20に蓄えられた電力量(残存電力量)が不足している場合、携帯無線端末10は、作動しない。この場合、利用者は、例えばボタン電池を交換する必要がある。電源20は、例えば、USB(Universal Serial Bus)給電により充電可能な電池であってもよい。
【0021】
機械式キー22は、機械的にドアのロック(ドアロック)の開錠または施錠を行うための鍵である。利用者が自車両のドアの鍵穴に機械式キー22を挿入して所定の操作を行うことで、自車両のドアロックは開錠または施錠状態に遷移する。
【0022】
[3.車載装置の構成]
車載装置30は、自車両に搭載される。車載装置30は、自車両の各部を制御して所定の動作を行わせることができる。所定の動作は、自車両の運転環境を利用者に応じた態様に調整するための動作である。本実施形態では、運転環境の調整の一例としてシート位置の調整について説明する。車載装置30は、ユーザアカウントの管理機能(ユーザ管理機能)を有し、ユーザアカウントごとに動作環境を切り替えることができる。車載装置30は、利用者が自車両を使用する際に、指定されたユーザアカウントの設定情報をもとにシート位置の自動調整を行うものである。例えば、ユーザ管理機能の一部または全部は、オペレーティングシステムによって実現されてもよいし、当該オペレーティングシステム上で動作するアプリケーションプログラムの機能として実現されてもよい。また、シート位置の自動調整機能は、オペレーティングシステムの機能として実現されてもよいし、当該オペレーティングシステム上で動作するアプリケーションプログラムの機能として実現されてもよい。
【0023】
車載装置30が搭載される自車両は、例えば、三輪や、四輪等の自動車であり、ディーゼルエンジンやガソリンエンジン等の内燃機関を動力源とした自動車や、電動機を動力源とした電気自動車、内燃機関および電動機を兼ね備えたハイブリッド自動車等を含む。また、上述の電気自動車は、例えば、二次電池、水素燃料電池、金属燃料電池、アルコール燃料電池等の電池により放電される電力を使用して駆動される。
【0024】
車載装置30は、例えば、エンジンスイッチ部32と、給電ユニット34と、情報出力部36と、ドアロック制御部38と、ドアセンサ40と、シート制御部42と、車室外通信ユニット50と、車室内通信ユニット60と、制御部70と、エンジンECU82と、車載側記憶部90とを備える。
【0025】
エンジンスイッチ部32は、例えば、自車両の利用者が操作可能な位置に設けられたスイッチである。エンジンスイッチ部32は、例えば機械的スイッチである。エンジンスイッチ部32は、利用者に操作されると、操作されたことを示す操作信号を制御部70に出力する。
【0026】
給電ユニット34は、例えば、エンジンスイッチ部32付近に設けられる。給電ユニット34は、エンジンスイッチ部32が操作された場合に、制御部70の制御に基づいて、エンジンスイッチ部32から所定の範囲内に存在する携帯無線端末10に電力を供給する。例えば、給電ユニット34と携帯無線端末10の受電部18とは、電磁誘導の原理を用いて電力を送受電する。
【0027】
情報出力部36は、制御部70の指示に従って所定の情報を出力する。情報出力部36は、インジケータや情報を画像として表示する表示部である。表示部は、例えば、自車両の状態(速度等)を表示するインストルメントパネルの表示部である。また、表示部は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)や、有機EL(Electroluminescence)表示装置等であってもよい。表示部は、自車両のウィンドウに画像を反射させるヘッドアップディスプレイであってもよいし、ナビゲーション装置が備える表示部等であってもよい。また、情報出力部36は、音声を出力するスピーカであってもよい。
【0028】
ドアロック制御部38およびシート制御部42は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがプログラムを実行することで実現される。ドアロック制御部38は、不図示のドアロックアクチュエータ、ドアセンサ40、および制御部70と接続されている。ドアロック制御部38は、例えば制御部70から自車両のドアロックの施錠または解錠を指示する信号を受信した場合、ドアロックアクチュエータを制御し、ドアロックの施錠または解錠を実行する。ドアロックアクチュエータは、自車両に設けられたドアのロック機構を駆動させることにより、ドアロックを開放状態または閉止状態に制御する。なお、ドアロック制御部38は、制御部70の一部であってもよい。
【0029】
ドアセンサ40は、例えば利用者がドアハンドルに触れると静電容量が変化する静電容量変化型のタッチセンサである。ドアセンサ40は、通常、オフ状態である。ドアセンサ40は、利用者がドアハンドルに触れ、静電容量が所定値以上に変化した場合、オン状態となってドアロックを解錠させるための指示信号を、ドアロック制御部38を介して制御部70に出力する。
【0030】
シート制御部42は、不図示のシート駆動用アクチュエータ、および制御部70と接続されている。シート制御部42は、例えば制御部70から自車両内のシートの位置変更を指示する信号を受信した場合、シート駆動用アクチュエータを制御し、シートを前後に移動させる。シート制御部42の制御対象は、典型的には運転席および/または助手席のシートであるが、他のシートが電動制御可能である場合には他のシートも制御対象とされてよい。シート駆動用アクチュエータは、自車両に設けられたスライド機構を駆動してシートを前後移動させることにより、シートを指定された位置に移動させる。シートが電動制御可能なリクライニングシートである場合、シート制御部42は、シート位置に加えて、シートの傾きを制御するように構成されてもよい。なお、シート制御部42は、制御部70の一部であってもよい。
【0031】
車室外通信ユニット50は、車室外アンテナ52と、車室外アンテナ52に電気的に接続された車室外通信部54を備える。車室外アンテナ52は、例えば自車両の運転席側のドアミラーや、ドアハンドル等に設けられる。車室外通信部54は、例えばインストルメントパネル表面下に設けられる。車室外通信ユニット50は、制御部70からドアロックを開錠させる指示信号、またはドアロックを施錠させる指示信号を受信したことに応じて、車室外の携帯無線端末10に対して端末IDの送信を要求する車室外リクエスト信号を送信する。車室外アンテナ52は、携帯無線端末10から送信された車室外レスポンス信号を受信する。車室外通信部54は、車室外アンテナ52により受信された車室外レスポンス信号を取得し、取得した車室外レスポンス信号に対して増幅や復号等の処理を行って、車室外レスポンス信号に含まれる情報を制御部70に出力する。
【0032】
車室内通信ユニット60は、例えばインストルメントパネル表面下に設けられる。車室内通信ユニット60は、車室内アンテナ62と、車室内アンテナ62に電気的に接続された車室内通信部64を備える。車室内アンテナ62は、車室内の携帯無線端末10に車室内リクエスト信号を送信する。車室内アンテナ62は、車室内の携帯無線端末10から車室内レスポンス信号を受信する。車室内通信部64は、車室内アンテナ62により受信された車室内レスポンス信号を取得し、取得した車室内信号に対して増幅や復号等の処理を行って、車室内レスポンス信号に含まれる情報を制御部70に出力する。
【0033】
制御部70は、例えば、給電制御部72と、通信制御部74と、利用許可部76と、ユーザ管理部78と、を備える。給電制御部72、通信制御部74、利用許可部76、およびユーザ管理部78は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。プログラムは、例えば、自車両の制御機能を有する車両用オペレーティングシステムとして実装されてもよいし、車両用オペレーティングシステム上で動作するアプリケーションプログラムとして実装されてもよい。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。車載側記憶部90は、例えば、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の不揮発性の記憶装置と、RAM(Random Access Memory)、レジスタ等の揮発性の記憶装置によって実現される。
【0034】
給電制御部72は、給電ユニット34を制御して、携帯無線端末10に電力を供給し、携帯無線端末10が供給された電力を用いて端末IDを自車両に対して送信することを可能にする。
【0035】
通信制御部74は、車室外通信ユニット50、または車室内通信ユニット60を制御して、携帯無線端末10と通信する。通信制御部74は、給電ユニット34が電磁誘導により携帯無線端末10に電力を供給した際に、利用許可部76が自車両の発進を許可した場合に、車室内通信ユニット60に車内に対して車室内リクエスト信号を送信させ、送信させた車室内リクエスト信号に対する携帯無線端末10の応答である車室内レスポンス信号を検出する。
【0036】
利用許可部76は、利用者による自車両の利用について許可または不許可を決定する。ここでいう自車両の利用許可とは、例えば、自車両のドアロックの開錠を許可することや、自車両の発進を許可することなどである。例えば、利用許可部76は、携帯無線端末10から車室外通信ユニット50を用いて受信した端末IDを予め車載側記憶部90に登録された端末IDと照合し、照合結果に基づいて自車両のドアロックの開錠を許可する。例えば、利用許可部76は、受信した端末IDと予め車載側記憶部90に登録された端末IDとが一致した場合に、車両のドアロックの開錠を許可する。この端末IDは、車室外レスポンス信号に含まれる。
【0037】
また、例えば、利用許可部76は、携帯無線端末10から車室内通信ユニット60を用いて受信した端末IDを予め車載側記憶部90に登録された端末IDと照合し、照合結果に基づいて車両の発進を許可する。利用許可部76は、受信した端末IDと予め車載側記憶部90に登録された端末IDとが一致した場合に、車両の発進を許可する。この端末IDは、車室内レスポンス信号に含まれる。また、車室内レスポンス信号には、電源20の残存電力量を示す情報が含まれている。車両の発進を許可するとは、エンジンの始動や、モータの始動、ステアリングホイールのロックの解除など任意の状態に制御することを許可することをいう。
【0038】
ユーザ管理部78は、自車両の利用者について車載装置30に登録されるユーザアカウントの管理を行う。ユーザアカウントには、シート位置の自動調整のための設定情報(以下「シート位置設定情報」という。)が対応づけられる。ユーザアカウントは必ずしも利用者と一対一に対応するものでなくてもよい。例えば、利用者はシート位置設定情報について設定内容が異なるユーザアカウントを複数作成しておき、利用状況や用途などに応じて使い分けてもよい。以下では簡単のため、車載装置30には利用者ごとに1つのユーザアカウントが登録されるものとする。ユーザアカウントの管理情報(以下「アカウント管理情報」という。)は例えば車載側記憶部90に保存される。
【0039】
ユーザ管理部78は、設定対象として指定されたユーザアカウント(以下「対象アカウント」という。)に応じてシート位置の自動調整を行う。より具体的には、ユーザ管理部78は、アカウント管理情報を参照して対象ユーザアカウントのシート位置設定情報を取得し、取得したシート位置設定情報に基づいてシート位置の自動調整を行う。なお、対象アカウントは、利用者が車載装置30に登録されているユーザアカウントの中から対象アカウントとして使用するユーザアカウントを選択する操作を行うことによって指定されてもよい。また、対象アカウントは、携帯無線端末10から端末IDが送信された際に、携帯無線端末10との紐づけにより機械的に決定されてもよい。ここで、ユーザ管理部78は「登録部」、「特定部」および「設定部」の一例である。
【0040】
図2は、アカウント管理情報の一具体例を示す図である。アカウント管理情報92は、例えば、ユーザIDに対して、対応端末IDと、シート位置設定情報とが対応付けられたテーブルとして管理される。ユーザIDはユーザアカウントの識別情報である。対応端末IDは、ユーザアカウントと携帯無線端末10との紐づけを表すものであり、対応するユーザアカウントに紐づけられた携帯無線端末10の識別情報(端末ID)が格納される。図2の例は、携帯無線端末10A(ここでは端末ID“1”)が“既定ユーザ#1”に紐づけられ、携帯無線端末10B(ここでは端末ID“2”)が“既定ユーザ#2”に紐づけられた場合を表すものである。
【0041】
シート位置設定情報は、例えば、制御対象のシートの識別情報と目的とするシート位置の情報(例えば基準位置からの変位量)との組で表される。図2の例において、“既定ユーザ#1”のシート位置設定情報は、“S1”で識別されるシートをシート位置“aaa”に制御することを表すものである。また、図2の例において、“既定ユーザ#2”のシート位置設定情報は、“S1”で識別されるシートをシート位置“bbb”に制御するとともに、“S2”で識別されるシートをシート位置“ccc”に制御することを表すものである。このように、シート位置設定情報は、複数シートの設定情報を含んでもよい。
【0042】
また、図2の例において、“一般ユーザ#1”のシート位置設定情報は、複数の設定パターン(ここではパターン1~4)が登録された場合を表すものである。なお、上述の“既定ユーザ#1”および“既定ユーザ#2”のシート位置設定情報はいずれも1つの設定パターンが登録された場合の例である。複数の設定パターンのうちどれを採用するかは、デフォルト値によって決定されてもよいし、利用者の選択操作によって決定されてもよい。また、複数の設定パターンは、利用者の切り替え操作によって変更されてもよいし、前回使用されたものが自動的に引き継がれるようにしてもよい。
【0043】
また、図2の例における“既定ユーザ#1”および“既定ユーザ#2”は初期状態の車載装置30に予め登録されている既定のユーザアカウントであり、利用者の携帯無線端末10に対応づけられたユーザアカウントである。ここでは携帯無線端末10Aおよび10Bの2台を想定して、2つの既定のユーザアカウントが作成されている。例えば、既定のユーザアカウントは、自車両のメーカーや車載装置のメーカー、自車両や車載装置を販売するカーディーラーなどによって車載装置30に登録される。また、既定のユーザアカウントに設定されるシート位置設定情報は、登録者(例えばメーカーやカーディーラーなど)が一律に決定したものであってもよいし、登録者が利用者の要望を反映するように決定したものであってもよい。
【0044】
[4.乗車および発進する際の処理]
[4.1.乗車する際の処理;通信によりドアのロックが開錠される場合]
利用者が、自車両に乗車する際、以下の処理が行われる。例えば、所定の条件を満たした場合(例えば、制御部70がドアのロックを解錠させるための指示信号を取得した場合)、制御部70の通信制御部74は、車室外通信ユニット50に車室外リクエスト信号を送信させる。
【0045】
携帯無線端末10は、車室外リクエスト信号を受信すると、車室外リクエスト信号の応答である車室外レスポンス信号を車室外通信ユニット50に送信する。
【0046】
制御部70のユーザ管理部78は、車室外通信ユニット50により受信された車室外レスポンス信号に含まれるユーザIDと、車載側記憶部90に記憶されたユーザIDとが一致するか否かを判定する。ユーザIDが一致する場合、ユーザ管理部78は、ドアロック制御部38に自車両のドアロックを開錠させる。これにより、利用者は、自車両に乗車することができる。
【0047】
[4.2.発進する際の処理;通常時の処理]
例えば、上述したように通信によりドアロックが開錠され、エンジン始動操作が行われると、通信制御部74は、車室内通信ユニット60に車室内リクエスト信号を送信させる。エンジン始動操作とは、例えば、ブレーキペダルが踏まれた状態でエンジンスイッチ部32が押下された操作である。携帯無線端末10は、車室内リクエスト信号を受信すると、車室内リクエスト信号の応答である車室内レスポンス信号を車室内通信ユニット60に送信する。
【0048】
制御部70のユーザ管理部78は、車室内通信ユニット60により受信された車室内レスポンス信号に含まれるユーザIDと、車載側記憶部90に記憶されたユーザIDとが一致するか否かを判定する。ユーザIDが一致する場合、ユーザ管理部78は、エンジンECU82にエンジンを稼働させる。これにより、利用者は、自車両のエンジンを始動させることができる。
【0049】
[5.シート位置の自動調整機能]
図3は、利用者が自車両を利用する際に、車載装置30がシート位置の自動調整のために実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、車載装置30が携帯無線端末10から端末IDを受信する(S101)。続いて、車載装置30は、受信した端末IDを予め車載側記憶部90に登録された端末IDと照合し(S102)、両者が一致した場合に自車両の利用(ドアロックの開錠または自車両の発信)を許可する(S103)。続いて、車載装置30は、受信した端末IDをもとにアカウント管理情報92を参照して対象アカウントを特定する(S104)。続いて、車載装置30は、特定した対象アカウントのシート位置設定情報に基づいてシート位置の自動調整を行う(S105)。
【0050】
[6.新規ユーザアカウント追加時の動作]
以下、図4図6を参照して、車載装置30が新規ユーザアカウントの登録の際に実行する処理(以下「ユーザ追加処理」という。)の流れについて説明する。図4および図5は、ユーザ追加処理の流れの一例を示すシーケンスチャートである。シーケンスチャートの開始時において、自車両には初期状態の車載装置30が搭載されているものとする。図2で説明したとおり、初期状態の車載装置30には既定のユーザアカウントのみが登録された状態であり、既定のユーザアカウントには既定のシート位置設定情報が予め登録されているものである。
【0051】
また、図6は、車載装置30に表示されるユーザ管理画面がチャートの進行に応じて遷移していく様子を模式的に示した図である。ユーザ管理画面は、利用者が車載装置30に登録済みのユーザアカウントを選択したり、ユーザアカウントの管理操作を行ったりするためのユーザインタフェースとして利用者に提供される画面である。ここでは一例として、登録済みのユーザアカウントの一覧を表示するとともに、新規ユーザアカウントの登録操作を受け付けるように構成されたユーザ管理画面を例示する。
【0052】
まず、利用者が携帯無線端末10A(端末ID“1”)を使用して自車両のドアロックの解錠操作を行う(S201)。この操作により、携帯無線端末10Aから車載装置30に対して端末IDが送信され(S202)、車載装置30が受信された端末IDをもとにドアロックの解錠を行う(S203、図3参照)。例えば、このドアロックの解錠動作に応じて、車載装置30にユーザ管理画面G10Aが表示される(図5)。ユーザ管理画面G10Aユーザ管理画面G10Aは、例えば、登録済みのユーザアカウントのうち当該利用差が使用可能なユーザアカウントの一覧L1(ここでは“既定ユーザ#1”および“ゲストユーザ”)と、新規ユーザアカウントの追加操作を受け付けるためのユーザインタフェースU1とを表示した状態であり、いずれかのユーザアカウントを選択する操作の入力待ちの状態である。ユーザ管理画面G10Aの例は、既定のユーザアカウントのうち携帯無線端末10Aに紐づけられている“既定ユーザ#1”と、不特定の利用者に開放されるユーザアカウントである“ゲストユーザ”が利用可能なユーザアカウントとして選択可能に表示された例である。なお、ユーザ管理画面G10Aには、携帯無線端末10との紐づけによらない全ての既定のユーザアカウントが表示されてもよい。
【0053】
続いて、利用者がS203でドアロックが解錠されたことを受けて自車両のドアを開ける(S204)。なお、図中の破線矢印は、矢印直前のステップと矢印直後のステップの前後関係を表すものである。車載装置30は、ドアセンサ40によりこのドア操作を検知すると(S205)、ドアロックの解錠に使用された携帯無線端末10Aに紐づけられたユーザアカウント(ここでは“既定ユーザ#1”)のシート位置設定情報を参照してシート位置の自動調整を行う(S206)。この際の調整後のシート位置は、例えば、利用者が自車両に乗り込みやすいように、後部座席側に寄せた位置(エントリポジション)である。ここでは例えば運転席のシート位置が調整されるものとする。
【0054】
続いて、S206においてシート位置がエントリポジションに自動調整された後、利用者は自車両に乗り込んで運転席に着座し(S207)、車載装置30に対し、使用するユーザアカウントの選択操作を行う(S208)。ここでは、携帯無線端末10Aに紐づけられた“既定ユーザ#1”が選択されるものとする。ユーザ管理画面G20Bは車載装置30において“既定ユーザ#1”が選択された状態を表している。この操作に応じて、車載装置30は、選択された既定のユーザアカウント“既定ユーザ#1”に紐づけられたシート位置設定情報を参照してシート位置の自動調整を行う(S209)。この際の調整後のシート位置は、例えば、利用者が運転操作を行いやすい位置(ドライビングポジション)である。
【0055】
続いて、利用者は、車載装置30に対して新規のユーザアカウントを追加する操作を行う(S210)。ユーザ管理画面G30Cは、車載装置30に対して新規のユーザアカウントの追加を行うためのユーザインタフェースU1が操作された状態を表すものである。この操作に応じて、車載装置30には、例えば新規ユーザアカウントの登録画面が表示され、利用者は登録画面を操作して新規ユーザアカウントを作成する。ここで、ユーザ管理部78は、新規ユーザアカウントのシート位置設定情報として、前回の自動調整機能の作動時に使用されたシート位置設定情報(ここでは“既定ユーザ#1”のドライビングポジション)をコピーして登録する(S211)。ユーザ管理画面G40Dは、ユーザアカウント“一般ユーザ#1”が新規登録された後におけるユーザアカウントの一覧を表示した状態である。
【0056】
続いて、利用者は、現在の既定のユーザアカウント“既定ユーザ#1”から新規登録されたユーザアカウント“一般ユーザ#1”に変更するために、車載装置30に一覧表示されているユーザアカウントの中から“一般ユーザ#1”を選択する操作を行う(S212)。この操作に応じて、車載装置30は、携帯無線端末10Aに対するユーザアカウントの紐づけを“既定ユーザ#1”から“一般ユーザ#1”に変更する(S213)とともに、選択されたユーザアカウント“一般ユーザ#1”に紐づけられたシート位置設定情報を参照してシート位置の自動調整を行う(S214)。
【0057】
なお、S211において、一般ユーザ#1のシート位置設定情報は“既定ユーザ#1”のシート位置設定情報がコピー(複製)して登録されたものであるので、S214では、シート位置の自動調整機能が作動するものの、実際のシート位置が変更されることはない。また、この場合S213で携帯無線端末10Aとユーザアカウントとの紐づけが更新されることにより、利用者は携帯無線端末10Aを使用して自車両を次回使用する際に、ユーザアカウントの変更操作を行うことなく、ドアロックの解錠~シート位置の自動調整~発進までの流れを新規追加したユーザアカウントを使用してシームレスに行うことができるようになる。ここでコピー元のユーザアカウントは「第1のユーザ情報」の一例であり、コピー先のユーザアカウントは「第2のユーザ情報」の一例である。
【0058】
このように構成された実施形態の車両用制御システム1によれば、運転環境の自動調整機能の利便性を向上させることができる。より具体的には、従来は、ユーザアカウントの新規追加において、既定の所定値など、現在のシート位置と異なるシート位置設定情報のデフォルト値として使用されていたので、新規ユーザアカウントの追加時において、利用者の意図しないタイミングで自動調整機能が作動してしまう場合があった。これに対して実施形態の車両用制御システム1では、新規ユーザアカウントの追加時において、前回のシート位置の自動調整において使用されたシート位置設定情報をコピーしてデフォルトの設定値とすることにより、新規ユーザアカウントの追加時に意図しない自動調整機能が作動することを抑制して利便性を向上させることが可能となる。
【0059】
<変形例>
上記の実施形態では、ユーザ管理部78が運転環境の一例としてシート位置を調整する場合について説明したが、調整対象の運転環境はこれに限定されない。例えば、ユーザ管理部78は、フェンダーミラーの角度やシートの傾き、ステアリングホイールの位置や角度などを制御するように構成されてもよい。このような場合においても、それぞれの制御設定情報をユーザアカウントに対応づけて管理することにより、シート位置の自動調整と同様の方法で実現することができるものである。
【0060】
また、上記の実施形態において、車載装置30は、ユーザアカウントに複数の運転環境の設定情報を紐づけておくことにより、複数の運転環境の設定を行うように構成されてもよい。例えば、上述のシート位置やフェンダーミラーの角度、シートの傾き、ステアリングホイールの位置や角度などを同じタイミングで、または異なるタイミングで自動調整するように構成されてもよい。この場合、ユーザ管理部78は、シートとは異なる機器であって、設定変更による利用者への影響が小さい機器については設定情報を複製しないように構成されてもよい。例えば、複製しない設定情報の一例として、ドライビングモード、オーディオ設定、エアコン設定等が挙げられる。これらの設定により動作する機器は、利用者の身体に直接触れることが無い/少ないので、仮に新規ユーザアカウントの追加時に設定値が変更されても支障がないためである。
【0061】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0062】
1…車両用制御システム、10,10A,10B…携帯無線端末、11…筐体、12…通信部、14…コントロールユニット、16…記憶部、18…受電部、20…電源、22…機械式キー、30…車載装置、32…エンジンスイッチ部、34…給電ユニット、36…情報出力部、38…ドアロック制御部、40…ドアセンサ、42…シート制御部、50…車室外通信ユニット、52…車室外アンテナ、54…車室外通信部、60…車室内通信ユニット、62…車室内アンテナ、64…車室内通信部、70…制御部、72…給電制御部、74…通信制御部、76…利用許可部、78…ユーザ管理部、82…ECU、90…車載側記憶部、92…アカウント管理情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6