(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141152
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】毛髪用組成物、染毛方法、及び脱色方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/44 20060101AFI20241003BHJP
A61K 8/55 20060101ALI20241003BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20241003BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20241003BHJP
A61Q 5/08 20060101ALI20241003BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A61K8/44
A61K8/55
A61K8/34
A61Q5/00
A61Q5/08
A61Q5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052643
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】592255176
【氏名又は名称】株式会社ミルボン
(72)【発明者】
【氏名】草野 一眞
(72)【発明者】
【氏名】藤田 諭
(72)【発明者】
【氏名】瀧野 雄介
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB051
4C083AB052
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC302
4C083AC531
4C083AC532
4C083AC581
4C083AC582
4C083AC791
4C083AC792
4C083AC891
4C083AC892
4C083BB53
4C083CC31
4C083CC35
4C083CC36
4C083DD27
4C083EE01
(57)【要約】
【課題】
低温安定性が向上した、酸化染毛剤により染毛する前の毛髪に用いられるか、又は脱色剤により脱色する前の毛髪に用いられる毛髪用組成物の提供、及び当該毛髪用組成物を用いた染毛方法又は脱色方法の提供。
【解決手段】
タウリン又はその塩、グリシン又はその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩、及びエチレンジアミン四酢酸又はその塩の群から選ばれる1種又は2種以上、多価アルコール、並びに水が配合されており、前記多価アルコールの配合量が25質量%以上50質量%以下であり、pHが5.5以上であり、酸化染毛剤により染毛する前の毛髪に用いられるか、又は脱色剤により脱色する前の毛髪に用いられる毛髪用組成物、並びに、当該毛髪用組成物を毛髪に用いた後に、酸化染毛剤で毛髪を染毛する染毛方法又は脱色剤で毛髪を脱色する脱色方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タウリン又はその塩、グリシン又はその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩、及びエチレンジアミン四酢酸又はその塩の群から選ばれる1種又は2種以上、多価アルコール、並びに水が配合されており、
前記多価アルコールの配合量が25質量%以上50質量%以下であり、
pHが5.5以上であり、
酸化染毛剤により染毛する前の毛髪に用いられるか、又は脱色剤により脱色する前の毛髪に用いられる毛髪用組成物。
【請求項2】
タウリン又はその塩、グリシン又はその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩、及びエチレンジアミン四酢酸又はその塩の群から選ばれる1種又は2種以上、3価のアルコール、並びに水が配合されており、
前記3価のアルコールの配合量が30質量%以上70質量%以下であり、
pHが5.5以上であり、
酸化染毛剤により染毛する前の毛髪に用いられるか、又は脱色剤により脱色する前の毛髪に用いられる毛髪用組成物。
【請求項3】
グリシン又はその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩、及びエチレンジアミン四酢酸又はその塩の群から選ばれる1種又は2種以上、多価アルコール、並びに水が配合されており、
前記多価アルコールの配合量が25質量%以上50質量%以下であり、
酸化染毛剤により染毛する前の毛髪に用いられるか、又は脱色剤により脱色する前の毛髪に用いられる毛髪用組成物。
【請求項4】
前記タウリン又はその塩、グリシン又はその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩、及びエチレンジアミン四酢酸又はその塩の群から選ばれる1種又は2種以上の配合量が1質量%以上である、請求項1又は請求項2に記載の毛髪用組成物。
【請求項5】
タウリン又はその塩が配合された、請求項1又は請求項2に記載の毛髪用組成物。
【請求項6】
ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩が配合された、請求項5に記載の毛髪用組成物。
【請求項7】
請求項1~3のいずれか1項に記載の毛髪用組成物を毛髪に用いた後に、酸化染毛剤で毛髪を染毛する染毛方法。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか1項に記載の毛髪用組成物を毛髪に用いた後に、脱色剤で毛髪を脱色する脱色方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化染毛剤により染毛する前の毛髪に用いられるか、又は脱色剤により脱色する前の毛髪に用いられる毛髪用組成物、及び前記毛髪用組成物を用いた染毛方法又は脱色方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
毛髪を染毛するために用いられる酸化染毛剤は、毛髪内に浸透させた酸化染料を酸化重合により染着させる染毛原理によるものであり、酸性染毛料等の他のヘアカラーリング剤に比して毛髪の色持ちの長期持続を実現する。
酸化染毛剤の例として、下記特許文献1には、ポリアクリル酸アミド、ベヘニルアルコール、及びポリオキシエチレンベヘニルエーテルを特定の量で酸化染毛剤等に含有させることで、染毛後の毛髪の艶等に優れた酸化染毛剤が開示されている。
【0003】
また、毛髪を脱色するために用いられる脱色剤は、毛髪内に浸透させた酸化剤により毛髪のメラニン色素を脱色する脱色原理によるものである。
脱色剤の例として、下記特許文献2には、アルカリ剤を含有するクリーム状の第1剤と、過酸化水素を含有する液状の第2剤からなる脱色剤組成物において、第2剤がHLB値14以上の非イオン性界面活性剤を含有し、第1剤と第2剤とを混合したときの粘度が20℃において1,000~10,000m・Paである脱色剤組成物により、脱色力等に優れた脱色剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-043873号公報
【特許文献2】特開2003-238371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
染毛又は脱色の対象となる毛髪は、美容習慣によって日常的に洗髪されているが、洗髪に使用される水道水には、銅イオンなどの金属イオンが含まれている。そのため、日常的な洗髪を通じて、毛髪に銅イオンなどの金属イオンが蓄積されている。
【0006】
そのような銅イオンなどの金属イオンが存在する毛髪に対して、酸化剤が配合された酸化染毛剤により処理を行うと、処理中に金属イオンの影響により酸化剤の酸化反応が促進されて酸化染料の分解が起こり、染色が薄くなることや、均一な染色とならないことや、変色(所望する色味とは異なる色味への染色)が生じるといった毛髪の染色性が低下する問題が生じることがあった。また、銅イオンなどの金属イオンが存在する毛髪に対して、酸化剤が配合された脱色剤により処理を行うと、処理中に金属イオンの影響により、酸化剤の分解が促進されて、毛髪が部分的に強く脱色されることや、毛髪が部分的に不十分な脱色となることがあり、毛髪が不均一に脱色されるという問題を生じることがあった。
そのため、銅イオンなどの金属イオンが存在する毛髪に対して、酸化染毛剤による毛髪の染色性の向上、又は脱色剤による毛髪の均一な脱色の実現が要望されている。
【0007】
酸化染毛剤による毛髪の染色性の向上又は脱色剤による毛髪の均一な脱色を実現させるために、酸化染毛剤又は脱色剤の配合成分などに種々の工夫がされている。しかしながら、酸化染毛剤又は脱色剤を用いる前の毛髪に対して、酸化染毛剤又は脱色剤とは別の毛髪用組成物を用いて毛髪の状態を改質させ、酸化染毛剤による毛髪の染色性又は脱色剤による毛髪の均一な脱色を実現できる技術については、改善の余地があり、より新たな提案が要望されている。
【0008】
これに対して、本発明者らのうち1人が検討を行った結果、タウリン又はその塩、グリシン又はその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩、及びエチレンジアミン四酢酸又はその塩の群から選ばれる1種又は2種以上が配合された毛髪用組成物により、銅イオンなどの金属イオンが存在する毛髪に対しても、酸化染毛剤による毛髪の染色性を向上できることや、酸化染毛剤や脱色剤に用いられる酸化剤の酸化反応が過剰となるのを抑制できることを見出した(後述の参考例参照)。
【0009】
このように、毛髪用組成物にタウリンなどを配合させることで、銅イオンなどの金属イオンが存在する毛髪に対しても、酸化染毛剤による毛髪の染色性を向上でき、また、酸化染毛剤又は脱色剤に配合された酸化剤の酸化反応が過剰となるのを抑制できる。
しかしながら、タウリン又はその塩、グリシン又はその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩、及びエチレンジアミン四酢酸又はその塩の群から選ばれる1種又は2種以上が配合された毛髪用組成物において、低温での保管により、毛髪用組成物に析出物が生じることや、低温での保管により毛髪用組成物が凍結した場合に、凍結融解後に析出物が生じたり、組成物が不均一となることがあった。
【0010】
毛髪用組成物の保管において、析出物が生じることや組成物が不均一となることは品質管理上好ましいものではない。
そのため、タウリン又はその塩、グリシン又はその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩、及びエチレンジアミン四酢酸又はその塩の群から選ばれる1種又は2種以上が配合された、酸化染毛剤により染毛する前の毛髪に用いられるか、又は脱色剤により脱色する前の毛髪に用いられる毛髪用組成物において、低温安定性を向上させることが望まれている。
【0011】
本発明は、タウリン又はその塩、グリシン又はその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩、及びエチレンジアミン四酢酸又はその塩の群から選ばれる1種又は2種以上が配合された場合においても、低温安定性が向上した、酸化染毛剤により染毛する前の毛髪に用いられるか、又は脱色剤により脱色する前の毛髪に用いられる毛髪用組成物の提供、及び当該毛髪用組成物を用いた染毛方法又は脱色方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、タウリン又はその塩、グリシン又はその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩、及びエチレンジアミン四酢酸又はその塩の群から選ばれる1種又は2種以上と、所定の配合量範囲とした多価アルコールと、水とが配合され、pHが5.5以上とした毛髪用組成物によれば、毛髪用組成物の低温安定性を向上できるという知見を得た。また、本発明者らは、グリシン又はその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩、及びエチレンジアミン四酢酸又はその塩の群から選ばれる1種又は2種以上と、所定の配合量範囲の多価アルコールと、水とが配合された毛髪用組成物によれば、同様に、毛髪用組成物の低温安定性を向上できるという知見を得た。さらに、上記知見で得た毛髪用組成物を用いれば、染毛方法又は脱色方法を提供できるという知見を得た。そして、これらの知見に基づき、本発明を完成するに至った。
【0013】
本発明は、以下の発明を含む。
【0014】
[1]の毛髪用組成物は、タウリン又はその塩、グリシン又はその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩、及びエチレンジアミン四酢酸又はその塩の群から選ばれる1種又は2種以上、多価アルコール、並びに水が配合されており、前記多価アルコールの配合量が25質量%以上50質量%以下であり、pHが5.5以上であり、酸化染毛剤により染毛する前の毛髪に用いられるか、又は脱色剤により脱色する前の毛髪に用いられる毛髪用組成物である。
【0015】
[2]の毛髪用組成物は、タウリン又はその塩、グリシン又はその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩、及びエチレンジアミン四酢酸又はその塩の群から選ばれる1種又は2種以上、3価のアルコール、並びに水が配合されており、前記3価のアルコールの配合量が30質量%以上70質量%以下であり、pHが5.5以上であり、酸化染毛剤により染毛する前の毛髪に用いられるか、又は脱色剤により脱色する前の毛髪に用いられる毛髪用組成物である。
【0016】
[3]の毛髪用組成物は、グリシン又はその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩、及びエチレンジアミン四酢酸又はその塩の群から選ばれる1種又は2種以上、多価アルコール、並びに水が配合されており、前記多価アルコールの配合量が25質量%以上50質量%以下であり、酸化染毛剤により染毛する前の毛髪に用いられるか、又は脱色剤により脱色する前の毛髪に用いられる毛髪用組成物である。
【0017】
[4]の毛髪用組成物は、[1]又は[2]の毛髪用組成物から選ばれるいずれか1つの毛髪用組成物であって、前記タウリン又はその塩、グリシン又はその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩、及びエチレンジアミン四酢酸又はその塩の群から選ばれる1種又は2種以上の配合量が1質量%以上である。
【0018】
[5]の毛髪用組成物は、[1]、[2]、[4]の毛髪用組成物から選ばれるいずれか1つの毛髪用組成物であって、タウリン又はその塩が配合されたものである。
【0019】
[6]の毛髪用組成物は、[1]~[5]の毛髪用組成物から選ばれるいずれか1つの毛髪用組成物であって、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩が配合されたものである。
【0020】
[7]の染毛方法は、[1]~[6]の毛髪用組成物から選ばれるいずれか1つの毛髪用組成物を毛髪に用いた後に、酸化染毛剤で毛髪を染毛する染毛方法である。
【0021】
[8]の脱色方法は、[1]~[6]の毛髪用組成物から選ばれるいずれか1つの毛髪用組成物を毛髪に用いた後に、脱色剤で毛髪を脱色する脱色方法である。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、低温安定性を向上させた、酸化染毛剤により染毛する前の毛髪に用いられるか、又は脱色剤により脱色する前の毛髪に用いられる毛髪用組成物が提供できる。また、本発明により、上記毛髪用組成物を用いた染毛方法又は脱色方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】透明ガラス管に収容した実施例1~7に係る毛髪用組成物を-10℃で4日静置した後、ガラス管下部を撮影した写真。
【
図2】透明ガラス管に収容した比較例1~5に係る毛髪用組成物を-10℃で4日静置した後、ガラス管下部を撮影した写真。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態である第1実施形態から第5実施形態に基づき、本発明を以下に説明する。
【0025】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る毛髪用組成物(以下、「第1実施形態の毛髪用組成物」という)は、タウリン又はその塩、グリシン又はその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩、及びエチレンジアミン四酢酸又はその塩の群から選ばれる1種又は2種以上、多価アルコール、並びに水が配合されており、前記多価アルコールの配合量が25質量%以上50質量%以下であり、pHが5.5以上であり、酸化染毛剤により染毛する前の毛髪に用いられるか又は脱色剤により脱色する前の毛髪に用いられる毛髪用組成物である。
以下の記載において、タウリン又はその塩、グリシン又はその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩、及びエチレンジアミン四酢酸又はその塩を総称して、「タウリン等の特定成分」ということがある。
【0026】
第1実施形態の毛髪用組成物によれば、タウリン等の特定成分が配合されたものであっても、低温安定性を向上できる。
【0027】
用語「低温安定性」とは、毛髪用組成物を一定期間(例えば、4日乃至1カ月の期間内)で、低温(例えば、-10℃)に静置した際の状態変化(例えば、析出物の発生、凍結融解時の内容物の不均一性など)の程度をいう。また、用語「低温安定性の向上」とは、比較対象に比べて、低温安定性に優れることをいう。
【0028】
〔タウリン等の特定成分〕
第1実施形態の毛髪用組成物は、タウリン又はその塩、グリシン又はその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩、及びエチレンジアミン四酢酸又はその塩の群から選ばれる1種又は2種以上が配合されたものである。
第1実施形態の毛髪用組成物において、タウリン等の特定成分が配合されたものとすることにより、第1実施形態の毛髪用組成物を酸化染毛剤により染毛する前の毛髪に用いた後、酸化染毛剤による染毛処理を行えば、酸化染毛剤による毛髪の染色性が向上する。また、第1実施形態の毛髪用組成物において、タウリン等の特定成分が配合されたものとすることにより、第1実施形態の毛髪用組成物を脱色剤により脱色する前の毛髪に用いた後、脱色剤による脱色処理を行えば、脱色剤による毛髪の均一な脱色に優れる。
【0029】
なお、用語「酸化染毛剤による毛髪の染色性」とは、酸化染毛剤を用いて毛髪を染毛した際の、濃染性(毛髪の染色の濃さ)、均染性(毛髪全体における均一な染色)、及び、変色の有無又はその程度(変色の有無、及び、変色がある場合はその程度)をいう。なお、「変色」とは、所望する色味とは異なる色味への染色をいう。
以下の記載において、前記酸化染毛剤による毛髪の染色性を、単に「毛髪の染色性」と表記することがある。また、用語「酸化染毛剤による毛髪の染色性の向上」(以下、「毛髪の染色性の向上」ということがある)とは、比較対象に比べて、濃染性及び均染性に優れ、変色がない又はその程度が少ないことをいう。
【0030】
また、用語「脱色剤による毛髪の均一な脱色」とは、脱色剤を用いて毛髪を脱色した際に、脱色剤で処理を行った毛髪の領域が同程度の明度となり、均一に脱色されることをいう。
以下の記載において、前記脱色剤による毛髪の均一な脱色を、単に「毛髪の均一な脱色」と表記することがある。また、用語「毛髪の均一な脱色に優れる」(以下、「均一な脱色に優れる」ということがある)とは、比較対象に比べて、毛髪の均一な脱色に優れることをいう。
【0031】
(タウリン又はその塩)
前記タウリン又はその塩としては、例えば、タウリン、タウリン塩(タウリンのナトリウム塩、タウリンのカリウム塩、タウリンの塩酸塩、タウリンのタウリンナトリウム塩など)が挙げられる。
【0032】
(グリシン又はその塩)
前記グリシン又はその塩としては、例えば、グリシン、グリシン塩(グリシンのナトリウム塩、グリシンのカリウム塩、グリシンの塩酸塩など)が挙げられる。
【0033】
(ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩)
前記ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩としては、例えば、ヒドロキシエタンジホスホン酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸の塩(例えば、ヒドロキシエタンジホスホン酸のナトリウム塩(ヒドロキシエタンジホスホン酸三ナトリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウムなど)、ヒドロキシエタンジホスホン酸のカリウム塩(ヒドロキシエタンジホスホン酸三カリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸四カリウムなど)など)が挙げられる。
【0034】
(エチレンジアミン四酢酸又はその塩)
前記エチレンジアミン四酢酸又はその塩としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸塩(例えば、エチレンジアミン四酢酸のナトリウム塩(エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウムなど)、エチレンジアミン四酢酸のカリウム塩(エチレンジアミン四酢酸二カリウム、エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸四カリウムなど)など)が挙げられる。
【0035】
第1実施形態の毛髪用組成物は、毛髪の均染性又は均一な脱色に優れる観点から、タウリン等の特定成分として、少なくとも、タウリン又はその塩が配合されたものが好ましい。
なお、「毛髪の均染性に優れる」とは、酸化染毛剤により染毛する前の毛髪に対して、第1実施形態の毛髪用組成物を用いた後に、酸化染毛剤による染毛処理を行った際、均一な色調の染毛結果が実現可能となることをいう。
【0036】
また、第1実施形態の毛髪用組成物は、毛髪の均染性又は均一な脱色に優れる観点から、タウリン等の特定成分として、タウリン又はその塩、及びヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩が配合されたものがより好ましい。第1実施形態の毛髪用組成物において、タウリン等の特定成分として、タウリン又はその塩の配合に加えて、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩の配合により、第1実施形態の毛髪用組成物を用いた後に、酸化染毛剤による染毛処理を行った際、均一な色調の染毛結果がより実現可能となり、また、第1実施形態の毛髪用組成物を用いた後に、脱色剤による脱色処理を行った際、均一な脱色により優れる。
【0037】
(タウリン等の特定成分の合計配合量)
第1実施形態の毛髪用組成物におけるタウリン又はその塩、グリシン又はその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩、及びエチレンジアミン四酢酸又はその塩の群から選ばれる1種又は2種以上の配合量(以下、タウリン等の特定成分の合計配合量と表記する場合がある)としては、例えば、0.1質量%以上であるが、毛髪の染色性の向上又は均一な脱色に優れる観点から、0.5質量%以上が好ましく、0.7質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、2質量%以上がさらにより好ましく、3質量%以上が特に好ましい。
【0038】
第1実施形態の毛髪用組成物におけるタウリン等の特定成分の合計配合量としては、例えば、30質量%以下であるが、低コスト化の観点から、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
【0039】
第1実施形態の毛髪用組成物におけるタウリン等の特定成分の合計配合量の範囲は、例えば、0.1質量%以上30質量%以下であるが、上述した観点から、0.5質量%以上20質量%以下が好ましく、0.7質量%以上15質量%以下がより好ましく、1質量%以上15質量%以下がさらに好ましく、2質量%以上15質量%以下がさらにより好ましく、3質量%以上15質量%以下が特に好ましい。
【0040】
(タウリン又はその塩の配合量)
第1実施形態の毛髪用組成物において、タウリン等の特定成分として、タウリン又はその塩が配合される場合、タウリン又はその塩の配合量(タウリン又はその塩のいずれかが配合される場合はその配合量であり、タウリン及びその塩の両方が配合される場合はその合計配合量をいう。以下、同様の意味で用いる)としては、例えば、0.1質量%以上であるが、毛髪の染色性の向上又は均一な脱色に優れる観点から、0.5質量%以上が好ましく、0.7質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、2質量%以上がさらにより好ましく、3質量%以上が特に好ましい。
【0041】
第1実施形態の毛髪用組成物において、タウリン等の特定成分として、タウリン又はその塩が配合される場合、タウリン又はその塩の配合量としては、例えば、15質量%以下であるが、低コスト化の観点から、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、7質量%以下がさらに好ましい。
【0042】
第1実施形態の毛髪用組成物におけるタウリン又はその塩の配合量の範囲は、例えば、0.1質量%以上15質量%以下であるが、上述した観点から、0.5質量%以上10質量%以下が好ましく、0.7質量%以上10質量%以下がより好ましく、1質量%以上10質量%以下がさらに好ましく、2質量%以上10質量%以下がさらにより好ましく、3質量%以上10質量%以下が特に好ましい。
【0043】
(グリシン又はその塩の配合量)
第1実施形態の毛髪用組成物において、タウリン等の特定成分として、グリシン又はその塩が配合される場合、グリシン又はその塩の配合量(グリシン又はその塩のいずれかが配合される場合はその配合量であり、グリシン及びその塩の両方が配合される場合はその合計配合量をいう。以下、同様の意味で用いる)としては、例えば、0.1質量%以上であるが、毛髪の染色性の向上又は均一な脱色に優れる観点から、0.5質量%以上が好ましく、0.7質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、3質量%以上がさらにより好ましい。
【0044】
第1実施形態の毛髪用組成物において、タウリン等の特定成分として、グリシン又はその塩が配合される場合、グリシン又はその塩の配合量としては、例えば、20質量%以下であるが、低コスト化の観点から、15質量%以下が好ましい。
【0045】
第1実施形態の毛髪用組成物におけるグリシン又はその塩の配合量の範囲は、例えば、0.1質量%以上20質量%以下であるが、上述した観点から、0.5質量%以上15質量%以下が好ましく、0.7質量%以上15質量%以下がより好ましく、1質量%以上15質量%以下がさらに好ましく、3質量%以上15質量%以下がさらにより好ましい。
【0046】
(ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩の配合量)
第1実施形態の毛髪用組成物において、タウリン等の特定成分として、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩が配合される場合、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩の配合量(ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩のいずれかが配合される場合はその配合量であり、ヒドロキシエタンジホスホン酸及びその塩の両方が配合される場合はその合計配合量をいう。以下、同様の意味で用いる)としては、例えば、0.1質量%以上であるが、毛髪の染色性の向上又は均一な脱色に優れる観点から、0.3質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。
【0047】
第1実施形態の毛髪用組成物において、タウリン等の特定成分として、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩が配合される場合、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩の配合量としては、例えば、15質量%以下であるが、低コスト化の観点から、10質量%以下が好ましい。
【0048】
第1実施形態の毛髪用組成物におけるヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩の配合量の範囲は、例えば、0.1質量%以上15質量%以下であるが、上述した観点から、0.3質量%以上10質量%以下が好ましく、0.5質量%以上10質量%以下がより好ましく、1質量%以上10質量%以下がさらに好ましい。
【0049】
(エチレンジアミン四酢酸又はその塩の配合量)
第1実施形態の毛髪用組成物において、タウリン等の特定成分として、エチレンジアミン四酢酸又はその塩が配合される場合、エチレンジアミン四酢酸又はその塩の配合量(エチレンジアミン四酢酸又はその塩のいずれかが配合される場合はその配合量であり、エチレンジアミン四酢酸及びその塩の両方が配合される場合はその合計配合量をいう。以下、同様の意味で用いる)としては、例えば、0.1質量%以上であるが、毛髪の染色性の向上又は均一な脱色に優れる観点から、0.3質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。
【0050】
第1実施形態の毛髪用組成物において、タウリン等の特定成分として、エチレンジアミン四酢酸又はその塩が配合される場合、エチレンジアミン四酢酸又はその塩の配合量としては、例えば、10質量%以下であるが、毛髪の染色性の向上又は均一な脱色に優れる観点から、5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
【0051】
第1実施形態の毛髪用組成物におけるエチレンジアミン四酢酸又はその塩の配合量の範囲は、例えば、0.1質量%以上10質量%以下であるが、上述した観点から、0.3質量%以上5質量%以下が好ましく、0.5質量%以上1質量%以下がより好ましい。
【0052】
〔多価アルコール〕
第1実施形態の毛髪用組成物は、1種又は2種以上の多価アルコールが25質量%以上50質量%以下の配合量で配合されたものである。第1実施形態の毛髪用組成物において、タウリン等の特定成分が配合された場合であっても、25質量%以上50質量%以下の多価アルコールの配合により、毛髪用組成物の低温安定性を向上できる。前記多価アルコールとは、分子中に2個以上のヒドロキシル基をもつアルコールを意味する(以下の同様の意味で用いる)。
【0053】
第1実施形態の毛髪用組成物に配合される多価アルコールは、例えば、25℃で液状の多価アルコールを用いてよい。なお、25℃で液状の多価アルコールとは、25℃で流動性を有する多価アルコールをいう。
【0054】
第1実施形態の毛髪用組成物に配合される多価アルコールは、2価のアルコール、3価のアルコール、4価以上のアルコールを用いることができる。第1実施形態の毛髪用組成物に配合される多価アルコールとしては、酸化剤処理による損傷毛髪に対して強度が高まったように感じる硬い手触りを付与できる観点から、2価のアルコール又は3価のアルコールが好ましく、酸化剤処理による損傷毛髪に対して強度が高まったように感じる硬い手触りをより付与できる観点から、2価のアルコールがより好ましい。
【0055】
前記2価のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2-プロパンジオール)、1,3-プロパンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、イソペンチルジオール、ジプロピレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、トリエチレングリコール、1,2-オクタンジオール、ポリエチレングリコール300、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600などが挙げられる。なかでも、2価のアルコールとして、酸化剤処理による損傷毛髪に対して強度が高まったように感じる硬い手触りをより付与できる観点から、プロピレングリコールが好ましい。
前記3価のアルコールとしては、例えば、グリセリン、1,2,3-ブタントリオール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオールなどが挙げられる。
前記4価以上のアルコールとしては、例えば、ジグリセリン、ポリグリセリン-3、などが挙げられる。
【0056】
第1実施形態の毛髪用組成物に配合される多価アルコールは、例えば、炭素数2以上8以下の多価アルコールを用いてもよい。前記炭素数2以上8以下の多価アルコールとしては、炭素数2以上8以下の2価のアルコール、炭素数3以上8以下の3価のアルコール、炭素数4以上8以下の4価以上のアルコールが挙げられる。
【0057】
第1実施形態の毛髪用組成物に配合される多価アルコールの配合量は、25質量%以上50質量%以下である。
【0058】
第1実施形態の毛髪用組成物に配合される多価アルコールの配合量は、毛髪用組成物の低温安定性をより向上する観点から、26質量%以上50質量%以下であることが好ましく、30質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
【0059】
第1実施形態の毛髪用組成物は、配合されるタウリン等の特定成分と多価アルコールとの組み合わせとして、酸化剤処理による損傷毛髪に対して強度が高まったように感じる硬い手触りをより付与できる観点から、タウリン又はその塩と、プロピレングリコールとの組み合わせが好ましく、タウリン又はその塩、及び、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩と、プロピレングリコールとの組み合わせがより好ましい。
【0060】
〔水〕
第1実施形態の毛髪用組成物は、水が配合されたものである。水は、タウリン等の特定成分の溶媒である。
【0061】
第1実施形態の毛髪用組成物に配合される水の配合量は、適宜設定すればよい。
【0062】
第1実施形態の毛髪用組成物に配合される水の配合量は、例えば、40質量%以上である。また、第1実施形態の毛髪用組成物に配合される水の配合量は、例えば、74質量%以下である。
【0063】
第1実施形態の毛髪用組成物に配合される水の配合量の範囲は、例えば、40質量%以上74質量%以下である。
【0064】
(第1実施形態の任意成分)
第1実施形態の毛髪用組成物は、タウリン等の特定成分、多価アルコール、水以外の成分(以下、第1実施形態の任意成分という)が任意に配合されたものとしてよい。第1実施形態の任意成分は、第1実施形態の毛髪用組成物の剤型などに応じて、種類、配合量を適宜設定することができる。第1実施形態の任意成分としては、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、アルコール(多価アルコールを除く)、糖類、油脂、エーテル油、エステル油、脂肪酸、炭化水素、ロウ、シリコーン、合成高分子化合物、半合成高分子化合物、天然高分子化合物、蛋白、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、紫外線吸収剤、色素、還元剤、酸化剤、酸、アルカリ、色素などである。
【0065】
〔pH〕
第1実施形態の毛髪用組成物のpHの値は、5.5以上である。前記pHの値は、25℃とした第1実施形態の毛髪用組成物を、公知のpHメーターで測定した値である。
【0066】
第1実施形態の毛髪用組成物のpHの上限は、例えば、10以下である。
【0067】
第1実施形態の毛髪用組成物のpHの範囲としては、例えば、5.5以上10以下である。
【0068】
(剤型)
第1実施形態の毛髪用組成物の剤型は、特に制限はなく、液状、クリーム状、ゲル状、スプレー状、フォーム状などの各種の剤型とすることができる。第1実施形態の毛髪用組成物の剤型は、毛髪用組成物を毛髪に対して均一に塗布しやすい観点から液状が好ましい。
【0069】
(粘度)
第1実施形態の毛髪用組成物の粘度は、毛髪用組成物の剤型に応じて適宜設定すればよい。毛髪用組成物の粘度は、特に限定されないが、B型粘度計を使用して、適宜のローターを用いて25℃で計測した60秒後の粘度が、例えば、1mPa・s以上50000mPa・s以下である。
なお、第1実施形態の毛髪用組成物を液状とした場合、その粘度としては、例えば、100mPa・s以下である。
【0070】
(製品形態)
第1実施形態の毛髪用組成物の製品形態としては、例えば、酸化染毛剤の染毛処理前に用いられる前処理剤、脱色剤の脱色処理前に用いられる前処理剤である。
【0071】
〔製造方法〕
第1実施形態の毛髪用組成物の製造方法は、毛髪用組成物の公知の製造方法により、製造することができる。前記製造方法の一例としては、タウリン等の特定成分と、多価アルコールと水とをそれぞれ適宜の配合量となるように混合して製造する方法である。
【0072】
〔使用方法〕
第1実施形態の毛髪用組成物は、酸化染毛剤により染毛する前の毛髪に用いられるか、又は脱色剤により脱色する前の毛髪に用いられるものである。
以下、第1実施形態の毛髪用組成物の使用方法を、酸化染毛剤により染毛される前の毛髪に用いる場合と、脱色剤により脱色する前の毛髪に用いられる場合の使用方法とに分けて説明する。
【0073】
(酸化染毛剤により染毛される前の毛髪に用いる場合の使用方法)
第1実施形態の毛髪用組成物は、酸化染毛剤により染毛される前の毛髪に、適宜の量で塗布、噴霧などの方法により用いることができる。第1実施形態の毛髪用組成物は、毛髪に用いた後に洗い流す使用態様としてもよく、洗い流さない使用態様としてもよい。第1実施形態の毛髪用組成物は、毛髪の染色性がより向上する観点から、毛髪に用いた後に洗い流さない使用態様が好ましい。
第1実施形態の毛髪用組成物を用いた後は、続いて、後述する酸化染毛剤による公知の染毛処理により、毛髪が染毛される。
【0074】
第1実施形態の毛髪用組成物を毛髪に用いた後は、毛髪を濡れた状態で酸化染毛剤を用いて染毛処理してもよく、毛髪を乾燥させた状態で酸化染毛剤を用いて染毛処理してもよい。なお、第1実施形態の毛髪用組成物を毛髪に用いた後は、毛髪を濡れた状態で酸化染毛剤を用いて染毛処理すると、酸化染毛剤が毛髪に塗布しやすく染毛処理が容易となる観点から好ましい。
【0075】
(対象毛髪)
第1実施形態の毛髪用組成物を用いる対象毛髪は、酸化染毛剤により染毛される前の毛髪である。なお、「酸化染毛剤により染毛される前の毛髪」とは、毛髪を染毛する施術工程において、酸化染毛剤により染毛処理が行われる前の毛髪を意味する。
前記酸化染毛剤により染毛される前の毛髪としては、酸化染毛剤により染毛された履歴のある毛髪であってもよく、脱色剤により脱色された履歴のある毛髪であってもよく、酸化染毛剤又は脱色剤などの化学処理履歴のない毛髪であってもよい。
【0076】
(酸化染毛剤)
前記酸化染毛剤としては、公知の酸化染毛剤であるとよい。酸化染毛剤は、例えば、酸化染料、アルカリ剤及び酸化剤が配合されたアルカリ性(例えば、pH8以上)のものが挙げられる。なお、酸化染毛剤の剤型は、毛髪への塗布、垂れ落ち等のハンドリング性の観点から、クリーム状がよい。
【0077】
前記酸化染料は、酸化反応により単独で発色する公知の染料中間体から選択した1種又は2種以上を用いることができる。染料中間体としては、フェニレンジアミン誘導体(例えば、硫酸トルエン-2,5-ジアミン、塩酸ニトロパラフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミンなど)などが挙げられる。また、酸化染料として、染料中間体により酸化されて色調を呈する公知のカップラーから選択された1種又は2種以上を用いても良い。カップラーとしては、フェニレンジアミン誘導体(塩酸2,4-ジアミノフェノキシエタノール、塩酸メタフェニレンジアミンなど)、アミノフェノール誘導体(5-アミノオルトクレゾール、メタアミノフェノールなど)、レゾルシンなどが挙げられる。
酸化染毛剤における前記酸化染料の配合量は、適宜設定すればよいが、例えば、下限が0.001質量%以上であり、上限が5質量%以下である。
【0078】
前記アルカリ剤は、酸化染毛剤に含まれる酸化剤の作用を促進するとともに、毛髪を膨潤させて毛髪への染料の浸透性を向上させることにより、毛髪の染色性の向上に寄与する。前記アルカリ剤としては、例えば、金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、金属炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)、金属リン酸塩(例えば、リン酸ナトリウムなど)、アンモニア、アンモニウム塩(例えば、炭酸アンモニウム、硫酸アンモニウムなど)、アルカノールアミン(例えば、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミンなど)が挙げられる。酸化染毛剤における前記アルカリ剤の配合量は、適宜設定すればよいが、例えば、下限が0.1質量%以上であり、上限が10質量%以下である。
【0079】
前記酸化剤は、例えば、過酸化水素が挙げられる。酸化染毛剤における前記酸化剤の配合量は、適宜設定すればよいが、例えば、下限が0.1質量%以上であり、上限が5質量%以下である。
【0080】
酸化染毛剤としては、例えば、酸化染料及びアルカリ剤が配合された剤と、酸化剤が配合された別の剤とを混合して染毛に用いる2剤式酸化染毛剤が挙げられる。2剤式酸化染毛剤における各剤の酸化染料、アルカリ剤、酸化剤の配合量は、剤型などに応じて適宜設定すればよい。
【0081】
(脱色剤により脱色される前の毛髪に用いる場合の使用方法)
第1実施形態の毛髪用組成物は、脱色剤により脱色される前の毛髪に、適宜の量で塗布、噴霧などの方法により用いることができる。第1実施形態の毛髪用組成物は、毛髪に用いた後に洗い流す使用態様としてもよく、洗い流さない使用態様としてもよい。第1実施形態の毛髪用組成物は、均一な脱色に優れる観点から、毛髪に用いた後に洗い流さない使用態様が好ましい。
第1実施形態の毛髪用組成物を用いた後は、続いて、後述する脱色剤による公知の脱色処理により、毛髪が脱色される。
【0082】
第1実施形態の毛髪用組成物を毛髪に用いた後は、毛髪を濡れた状態で脱色剤を用いて脱色処理してもよく、毛髪を乾燥させた状態で脱色剤を用いて脱色処理してもよい。なお、第1実施形態の毛髪用組成物を毛髪に用いた後は、毛髪を濡れた状態で脱色剤を用いて脱色処理すると、脱色剤が毛髪に塗布しやすく脱色処理が容易となる観点から好ましい。
【0083】
(対象毛髪)
第1実施形態の毛髪用組成物を用いる対象毛髪は、脱色剤により脱色される前の毛髪である。なお、「脱色剤により染毛される前の毛髪」とは、毛髪を脱色する施術工程において、脱色剤により脱色処理が行われる前の毛髪を意味する。
前記脱色剤により脱色される前の毛髪としては、酸化染毛剤により染毛された履歴のある毛髪であってもよく、脱色剤により脱色された履歴のある毛髪であってもよく、酸化染毛剤又は脱色剤などの化学処理履歴のない毛髪であってもよい。
【0084】
(脱色剤)
前記脱色剤としては、公知の脱色剤であるとよい。脱色剤は、例えば、アルカリ剤及び酸化剤が配合されたアルカリ性(例えば、pH8以上)のものが挙げられる。なお、脱色剤の剤型は、毛髪への塗布、垂れ落ち等のハンドリング性の観点から、クリーム状がよい。
【0085】
前記アルカリ剤は、脱色剤に含まれる酸化剤の作用を促進するとともに、毛髪を膨潤させて毛髪への酸化剤の浸透性を向上させることにより、均一な脱色の実現に寄与する。前記アルカリ剤としては、例えば、金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、金属炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)、金属リン酸塩(例えば、リン酸ナトリウムなど)、アンモニア、アンモニウム塩(例えば、炭酸アンモニウム、硫酸アンモニウムなど)、アルカノールアミン(例えば、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミンなど)が挙げられる。脱色剤における前記アルカリ剤の配合量は、適宜設定すればよいが、例えば、下限が0.1質量%以上であり、上限が20質量%以下である。
【0086】
前記酸化剤は、例えば、過酸化水素、過硫酸塩(過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなど)が挙げられる。脱色剤における前記酸化剤の配合量は、適宜設定すればよいが、例えば、下限が0.1質量%以上であり、上限が20質量%以下である。
【0087】
脱色剤としては、例えば、アルカリ剤が配合された剤と、酸化剤が配合された別の剤とを混合して脱色に用いる2剤式脱色剤や、アルカリ剤が配合された第1の剤と、過酸化水素が配合された第2の剤と、過硫酸塩が配合された第3の剤とを混合して脱色に用いる3剤式脱色剤が挙げられる。2剤式脱色剤又は3剤式脱色剤における各剤のアルカリ剤、酸化剤の配合量は、剤型などに応じて適宜設定すればよい。
【0088】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る毛髪用組成物(以下、「第2実施形態の毛髪用組成物」という)は、タウリン又はその塩、グリシン又はその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩、及びエチレンジアミン四酢酸又はその塩の群から選ばれる1種又は2種以上、3価のアルコール、並びに水が配合されており、前記3価のアルコールの配合量が30質量%以上70質量%以下であり、pHが5.5以上であり、酸化染毛剤により染毛する前の毛髪に用いられるか、又は脱色剤により脱色する前の毛髪に用いられる毛髪用組成物である。
【0089】
〔タウリン等の特定成分〕
第2実施形態の毛髪用組成物は、タウリン又はその塩、グリシン又はその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩、及びエチレンジアミン四酢酸又はその塩の群から選ばれる1種又は2種以上が配合されたものである。
第2実施形態の毛髪用組成物において、タウリン等の特定成分が配合されたものとすることにより、第2実施形態の毛髪用組成物を酸化染毛剤により染毛する前の毛髪に用いた後、酸化染毛剤による染毛処理を行えば、酸化染毛剤による毛髪の染色性が向上する。また、第2実施形態の毛髪用組成物において、タウリン等の特定成分が配合されたものとすることにより、第2実施形態の毛髪用組成物を脱色剤により脱色する前の毛髪に用いた後、脱色剤による脱色処理を行えば、脱色剤による毛髪の均一な脱色に優れる。
【0090】
第2実施形態の毛髪用組成物におけるタウリン等の特定成分については、上述した第1実施形態の毛髪用組成物におけるタウリン等の特定成分の説明と同様である(本書段落番号[0031]乃至[0051]を参照)。
【0091】
〔3価のアルコール〕
第2実施形態の毛髪用組成物は、1種又は2種以上の3価のアルコールが30質量%以上70質量%以下の配合量で配合されたものである。第2実施形態の毛髪用組成物において、30質量%以上70質量%以下の3価のアルコールの配合により、タウリン等の特定成分が配合された場合であっても、低温安定性を向上できる。前記3価のアルコールとは、分子中に3個のヒドロキシル基をもつアルコールを意味する。
【0092】
第2実施形態の毛髪用組成物に配合される3価のアルコールは、例えば、25℃で液状の3価のアルコールを用いてよい。
【0093】
前記3価のアルコールとしては、例えば、グリセリン、1,2,3-ブタントリオール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオールなどが挙げられる。なお、3価のアルコールとして、グリセリンが配合されると、酸化剤処理による損傷毛髪に対してしっとりとした保湿感を感じる手触りを付与できる。
【0094】
第2実施形態の毛髪用組成物に配合される3価のアルコールは、例えば、炭素数3以上8以下の3価のアルコールを用いてよい。
【0095】
第2実施形態の毛髪用組成物に配合される3価のアルコールの配合量は、30質量%以上70質量%以下である。なお、第2実施形態の毛髪用組成物に配合される多価アルコールの配合量は、例えば、30質量%以上50質量%以下としてもよく、50質量%以上70質量%以下としてもよい。
【0096】
第2実施形態の毛髪用組成物は、配合されるタウリン等の特定成分と多価アルコールとの組み合わせとして、毛髪の均染性又は均一な脱色に優れる観点から、タウリン又はその塩と、グリセリンの組み合わせが好ましく、タウリン又はその塩、及び、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩と、グリセリンの組み合わせがより好ましい。
【0097】
〔水〕
第2実施形態の毛髪用組成物は、水が配合されたものである。水は、タウリン等の特定成分の溶媒である。
【0098】
第2実施形態の毛髪用組成物に配合される水の配合量は、水以外の成分の配合量に応じて、適宜設定すればよい。
【0099】
第2実施形態の毛髪用組成物に配合される水の配合量は、例えば、20質量%以上である。また、第2実施形態の毛髪用組成物に配合される水の配合量は、例えば、69質量%以下である。
【0100】
第2実施形態の毛髪用組成物に配合される水の配合量の範囲は、例えば、20質量%以上69質量%以下である。
【0101】
(第2実施形態の任意成分)
第2実施形態の毛髪用組成物は、タウリン等の特定成分、3価のアルコール、水以外の成分(以下、第2実施形態の任意成分という)が任意に配合されたものとしてよい。第2実施形態の任意成分は、第2実施形態の毛髪用組成物の剤型などに応じて、種類、配合量を適宜設定することができる。第2実施形態の任意成分としては、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、アルコール(3価のアルコールを除く)、糖類、油脂、エーテル油、エステル油、脂肪酸、炭化水素、ロウ、シリコーン、合成高分子化合物、半合成高分子化合物、天然高分子化合物、蛋白、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、紫外線吸収剤、色素、還元剤、酸化剤、酸、アルカリ、色素などである。
【0102】
〔pH〕
第2実施形態の毛髪用組成物のpHの値は、5.5以上である。前記pHの値は、25℃とした第2実施形態の毛髪用組成物を、公知のpHメーターで測定した値である。
【0103】
第2実施形態の毛髪用組成物のpHの上限は、例えば、10以下である。
【0104】
第2実施形態の毛髪用組成物のpHの範囲としては、例えば、5.5以上10以下である。
【0105】
(剤型、粘度、製品形態)
第2実施形態の毛髪用組成物の剤型、粘度、製品形態については、上述した第1実施形態の毛髪用組成物における剤型、粘度、製品形態の説明と同様である(本書段落番号[0068]乃至[0070]を参照)。
【0106】
〔製造方法〕
第2実施形態の毛髪用組成物の製造方法は、毛髪用組成物の公知の製造方法により、製造することができる。前記製造方法の一例としては、タウリン等の特定成分と、3価のアルコールと水とをそれぞれ適宜の配合量となるように混合して製造する方法である。
【0107】
〔使用方法〕
第2実施形態の毛髪用組成物は、第2実施形態の毛髪用組成物を使用する以外は、上述した第1実施形態の毛髪用組成物における使用方法(本書段落番号[0072]乃至[0087]を参照)と同様の使用方法を用いればよい。
【0108】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態に係る毛髪用組成物(以下、「第3実施形態の毛髪用組成物」という)は、グリシン又はその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩、及びエチレンジアミン四酢酸又はその塩の群から選ばれる1種又は2種以上、多価アルコール、並びに水が配合されており、前記多価アルコールの配合量が25質量%以上50質量%以下であり、酸化染毛剤により染毛する前の毛髪に用いられるか、又は脱色剤により脱色する前の毛髪に用いられる毛髪用組成物である。
【0109】
以下の記載において、グリシン又はその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩、及びエチレンジアミン四酢酸又はその塩を総称して、「グリシン等の特定成分」ということがある。
【0110】
〔グリシン等の特定成分〕
第3実施形態の毛髪用組成物は、グリシン又はその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩、及びエチレンジアミン四酢酸又はその塩の群から選ばれる1種又は2種以上が配合されたものである。
第3実施形態の毛髪用組成物において、グリシン等の特定成分が配合されたものとすることにより、第3実施形態の毛髪用組成物を酸化染毛剤により染毛する前の毛髪に用いた後、酸化染毛剤による染毛処理を行えば、酸化染毛剤による毛髪の染色性が向上する。また、第3実施形態の毛髪用組成物において、タウリン等の特定成分が配合されたものとすることにより、第3実施形態の毛髪用組成物を脱色剤により脱色する前の毛髪に用いた後、脱色剤による脱色処理を行えば、均一な脱色に優れる。
【0111】
第3実施形態の毛髪用組成物におけるグリシン等の特定成分については、上述した第1実施形態の毛髪用組成物におけるグリシン又はその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩、エチレンジアミン四酢酸又はその塩、それらの配合量の説明と同様である(本書段落番号[0032]乃至[0034]、[0043]乃至[0051]を参照)。
【0112】
(グリシン等の特定成分の合計配合量)
第3実施形態の毛髪用組成物におけるグリシン又はその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩、及びエチレンジアミン四酢酸又はその塩の群から選ばれる1種又は2種以上の配合量(以下、グリシン等の特定成分の合計配合量と表記する場合がある)としては、例えば、0.1質量%以上であるが、毛髪の染色性の向上又は均一な脱色に優れる観点から、0.5質量%以上が好ましく、0.7質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、2質量%以上がさらにより好ましく、3質量%以上が特に好ましい。
【0113】
第3実施形態の毛髪用組成物におけるグリシン等の特定成分の合計配合量としては、例えば、30質量%以下であるが、低コスト化の観点から、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
【0114】
第3実施形態の毛髪用組成物におけるグリシン等の特定成分の合計配合量の範囲は、例えば、0.1質量%以上30質量%以下であるが、上述した観点から、0.5質量%以上20質量%以下が好ましく、0.7質量%以上15質量%以下がより好ましく、1質量%以上15質量%以下がさらに好ましく、2質量%以上15質量%以下がさらにより好ましく、3質量%以上15質量%以下が特に好ましい。
【0115】
(グリシン又はその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩、及びエチレンジアミン四酢酸又はその塩の各配合量)
第3実施形態の毛髪用組成物において、グリシン等の特定成分として、グリシン又はその塩が配合される場合、グリシン又はその塩、及びその配合量は、第1実施形態の毛髪用組成物におけるグリシン又はその塩、及びその配合量の説明と同様である(本書段落番号[0032]、[0043]乃至[0045]を参照)。
第3実施形態の毛髪用組成物において、グリシン等の特定成分として、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩が配合される場合、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩、及びその配合量は、第1実施形態の毛髪用組成物におけるヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩、及びその配合量の説明と同様である(本書段落番号[0033]、[0046]乃至[0048]を参照)。
第3実施形態の毛髪用組成物において、グリシン等の特定成分として、エチレンジアミン四酢酸又はその塩が配合される場合、エチレンジアミン四酢酸又はその塩、及びその配合量は、第1実施形態の毛髪用組成物におけるエチレンジアミン四酢酸又はその塩、及びその配合量の説明と同様である(本書段落番号[0034]、[0049]乃至[0051]を参照)。
【0116】
〔多価アルコール〕
第3実施形態の毛髪用組成物は、1種又は2種以上の多価アルコールが25質量%以上50質量%以下の配合量で配合されたものである。第3実施形態の毛髪用組成物において、25質量%以上50質量%以下の多価アルコールの配合により、グリシン等の特定成分が配合された場合であっても、低温安定性を向上できる。
【0117】
第3実施形態の毛髪用組成物における多価アルコールは、上述した第1実施形態の毛髪用組成物における多価アルコールの説明と同様である(本書段落番号[0052]乃至[0057]を参照)。
なお、第3実施形態の毛髪用組成物に配合される多価アルコールの配合量は、毛髪用組成物の低温安定性をより向上する観点から、26質量%以上50質量%以下であることが好ましく、30質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
【0118】
〔水〕
第3実施形態の毛髪用組成物は、水が配合されたものである。水は、グリシン等の特定成分の溶媒である。
【0119】
第3実施形態の毛髪用組成物に配合される水の配合量は、水以外の成分の配合量に応じて、適宜設定すればよい。
【0120】
第3実施形態の毛髪用組成物に配合される水の配合量は、例えば、20質量%以上である。また、第3実施形態の毛髪用組成物に配合される水の配合量は、例えば、74質量%以下である。
【0121】
第3実施形態の毛髪用組成物に配合される水の配合量の範囲は、例えば、20質量%以上74質量%以下である。
【0122】
(第3実施形態の任意成分)
第3実施形態の毛髪用組成物は、グリシン等の特定成分、多価アルコール、水以外の成分(以下、第3実施形態の任意成分という)が任意に配合されたものとしてよい。第3実施形態の任意成分は、第3実施形態の毛髪用組成物の剤型などに応じて、種類、配合量を適宜設定することができる。第3実施形態の任意成分としては、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、アルコール(多価アルコールを除く)、糖類、油脂、エーテル油、エステル油、脂肪酸、炭化水素、ロウ、シリコーン、合成高分子化合物、半合成高分子化合物、天然高分子化合物、蛋白、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、紫外線吸収剤、色素、還元剤、酸化剤、酸、アルカリ、色素などである。
【0123】
(pH)
第3実施形態の毛髪用組成物のpHの値は、特に限定されず、適宜設定すればよい。前記pHの値は、25℃とした第3実施形態の毛髪用組成物を、公知のpHメーターで測定した値である。
【0124】
第3実施形態の毛髪用組成物のpHの下限は、例えば、3以上である。
【0125】
第3実施形態の毛髪用組成物のpHの上限は、例えば、10以下である。
【0126】
第3実施形態の毛髪用組成物のpHの範囲としては、例えば、3以上10以下である。
【0127】
(剤型、粘度、製品形態)
第3実施形態の毛髪用組成物の剤型、粘度、製品形態については、上述した第1実施形態の毛髪用組成物における剤型、粘度、製品形態の説明と同様である(本書段落番号[0068]乃至[0070]を参照)。
【0128】
〔製造方法〕
第3実施形態の毛髪用組成物の製造方法は、毛髪用組成物の公知の製造方法により、製造することができる。前記製造方法の一例としては、グリシン等の特定成分と、多価アルコールと水とをそれぞれ適宜の配合量となるように混合して製造する方法である。
【0129】
〔使用方法〕
第3実施形態の毛髪用組成物は、第3実施形態の毛髪用組成物を使用する以外は、上述した第1実施形態の毛髪用組成物における使用方法(本書段落番号[0072]乃至[0087]を参照)と同様の使用方法を用いればよい。
【0130】
<第4実施形態>
本発明の第4実施形態に係る染毛方法(以下、「第4実施形態の染毛方法」という)は、上述した第1実施形態の毛髪用組成物、第2実施形態の毛髪用組成物、及び第3実施形態の毛髪用組成物のいずれかの毛髪用組成物を毛髪に用いた後に、酸化染毛剤で毛髪を染毛する染毛方法である。
【0131】
第4実施形態の染毛方法としては、第1実施形態の毛髪用組成物を用いた染毛方法、第2実施形態の毛髪用組成物を用いた染毛方法、第3実施形態の毛髪用組成物を用いた染毛方法が挙げられる。
【0132】
(第1実施形態の毛髪用組成物を用いた染毛方法)
前記第1実施形態の毛髪用組成物を用いた染毛方法は、第1実施形態の毛髪用組成物を酸化染毛剤により染毛される前の毛髪に用いる染毛前処理工程と、該毛髪用組成物を用いた後の毛髪に酸化染毛剤を用いる酸化染毛処理工程とを備える。
【0133】
(染毛前処理工程)
前記染毛前処理工程は、上述した第1実施形態の毛髪用組成物の使用方法と同様に、酸化染毛剤により染毛される前の毛髪に、適宜の量で塗布、噴霧などの方法により用いる工程である。第1実施形態の毛髪用組成物は、毛髪に用いた後に洗い流す使用態様としてもよく、洗い流さない使用態様としてもよい。第1実施形態の毛髪用組成物は、毛髪の染色性がより向上する観点から、毛髪に用いた後に洗い流さない使用態様が好ましい。
【0134】
(酸化染毛処理工程)
前記酸化染毛処理工程は、第1実施形態の毛髪用組成物を用いた後の毛髪に、上述した酸化染毛剤を用いて毛髪を染毛する工程である。染毛方法としては、酸化染毛剤を用いた公知の染毛処理により毛髪を染毛すればよい。
【0135】
(第2実施形態の毛髪用組成物を用いた染毛方法)
第2実施形態の毛髪用組成物を用いた染毛方法は、第2実施形態の毛髪用組成物を酸化染毛剤により染毛される前の毛髪に用いる染毛前処理工程と、該毛髪用組成物を用いた後の毛髪に酸化染毛剤を用いる酸化染毛処理工程とを備える。
上記染毛前処理工程は、第2実施形態の毛髪用組成物を用いる以外は、上述した第1実施形態の毛髪用組成物を用いた染毛方法における染毛前処理工程と同様にすればよい。なお、第2実施形態の毛髪用組成物は、毛髪に用いた後に洗い流す使用態様としてもよく、洗い流さない使用態様としてもよいが、毛髪の染色性がより向上する観点から、毛髪に用いた後に洗い流さない使用態様が好ましい。
上記酸化染毛処理工程は、第2実施形態の毛髪用組成物を用いた後の毛髪に、第1実施形態の毛髪用組成物において上述した酸化染毛剤を用いて毛髪を染毛する工程である。染毛方法としては、酸化染毛剤を用いた公知の染毛処理により毛髪を染毛すればよい。
【0136】
(第3実施形態の毛髪用組成物を用いた染毛方法)
第3実施形態の毛髪用組成物を用いた染毛方法は、第3実施形態の毛髪用組成物を酸化染毛剤により染毛される前の毛髪に用いる染毛前処理工程と、該毛髪用組成物を用いた後の毛髪に酸化染毛剤を用いる酸化染毛処理工程とを備える。
上記染毛前処理工程は、第3実施形態の毛髪用組成物を用いる以外は、上述した第1実施形態の毛髪用組成物を用いた染毛方法における染毛前処理工程と同様にすればよい。なお、第3実施形態の毛髪用組成物は、毛髪に用いた後に洗い流す使用態様としてもよく、洗い流さない使用態様としてもよいが、毛髪の染色性がより向上する観点から、毛髪に用いた後に洗い流さない使用態様が好ましい。
上記酸化染毛処理工程は、第3実施形態の毛髪用組成物を用いた後の毛髪に、第1実施形態の毛髪用組成物において上述した酸化染毛剤を用いて毛髪を染毛する工程である。染毛方法としては、酸化染毛剤を用いた公知の染毛処理により毛髪を染毛すればよい。
【0137】
<第5実施形態>
本発明の第5実施形態に係る脱色方法(以下、「第5実施形態の脱色方法」という)は、上述した第1実施形態の毛髪用組成物、第2実施形態の毛髪用組成物、及び第3実施形態の毛髪用組成物のいずれかの毛髪用組成物を毛髪に用いた後に、脱色剤で毛髪を脱色する脱色方法である。
【0138】
第5実施形態の脱色方法としては、第1実施形態の毛髪用組成物を用いた脱色方法、第2実施形態の毛髪用組成物を用いた脱色方法、第3実施形態の毛髪用組成物を用いた脱色方法が挙げられる。
【0139】
(第1実施形態の毛髪用組成物を用いた脱色方法)
前記第1実施形態の毛髪用組成物を用いた脱色方法は、第1実施形態の毛髪用組成物を脱色剤により脱色される前の毛髪に用いる脱色前処理工程と、該毛髪用組成物を用いた後の毛髪に脱色剤を用いる脱色処理工程とを備える。
【0140】
(脱色前処理工程)
前記脱色前処理工程は、上述した第1実施形態の毛髪用組成物の使用方法と同様に、脱色剤により脱色される前の毛髪に、適宜の量で塗布、噴霧などの方法により用いる工程である。第1実施形態の毛髪用組成物は、毛髪に用いた後に洗い流す使用態様としてもよく、洗い流さない使用態様としてもよい。第1実施形態の毛髪用組成物は、均一な脱色に優れる観点から、毛髪に用いた後に洗い流さない使用態様が好ましい。
【0141】
(脱色処理工程)
前記脱色処理工程は、第1実施形態の毛髪用組成物を用いた後の毛髪に、上述した脱色剤を用いて毛髪を脱色する工程である。脱色方法としては、脱色剤を用いた公知の脱色処理により毛髪を脱色すればよい。
【0142】
(第2実施形態の毛髪用組成物を用いた脱色方法)
第2実施形態の毛髪用組成物を用いた脱色方法は、第2実施形態の毛髪用組成物を脱色剤により脱色される前の毛髪に用いる脱色前処理工程と、該毛髪用組成物を用いた後の毛髪に脱色剤を用いる脱色処理工程とを備える。
上記脱色前処理工程は、第2実施形態の毛髪用組成物を用いる以外は、上述した第1実施形態の毛髪用組成物を用いた脱色方法における脱色前処理工程と同様にすればよい。なお、第2実施形態の毛髪用組成物は、毛髪に用いた後に洗い流す使用態様としてもよく、洗い流さない使用態様としてもよいが、均一な脱色に優れる観点から、毛髪に用いた後に洗い流さない使用態様が好ましい。
上記脱色処理工程は、第2実施形態の毛髪用組成物を用いた後の毛髪に、第1実施形態の毛髪用組成物において上述した脱色剤を用いて毛髪を脱色する工程である。脱色方法としては、脱色剤を用いた公知の脱色処理により毛髪を脱色すればよい。
【0143】
(第3実施形態の毛髪用組成物を用いた脱色方法)
第3実施形態の毛髪用組成物を用いた脱色方法は、第3実施形態の毛髪用組成物を脱色剤により脱色される前の毛髪に用いる脱色前処理工程と、該毛髪用組成物を用いた後の毛髪に脱色剤を用いる脱色処理工程とを備える。
上記脱色前処理工程は、第3実施形態の毛髪用組成物を用いる以外は、上述した第1実施形態の毛髪用組成物を用いた脱色方法における脱色前処理工程と同様にすればよい。なお、第3実施形態の毛髪用組成物は、毛髪に用いた後に洗い流す使用態様としてもよく、洗い流さない使用態様としてもよいが、均一な脱色に優れる観点から、毛髪に用いた後に洗い流さない使用態様が好ましい。
上記脱色処理工程は、第3実施形態の毛髪用組成物を用いた後の毛髪に、第1実施形態の毛髪用組成物において上述した脱色剤を用いて毛髪を脱色する工程である。脱色方法としては、脱色剤を用いた公知の脱色処理により毛髪を脱色すればよい。
【実施例0144】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0145】
〔実施例1~20、比較例1~13〕
実施例1~20、比較例1~13に係る毛髪用組成物を用いて、低温安定性を評価した。
【0146】
(毛髪用組成物の製造)
実施例1~20、比較例1~13に係る毛髪用組成物は、表1~表10の組成となるように、タウリン、ヒドロキシエタンジホスホン酸、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、グリシン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、クエン酸、水酸化ナトリウム、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、タンニン酸、レブリン酸、没食子酸、フェノキシエタノール、カラメル、精製水から選ばれる各種成分を常法により混合して製造した。なお、製造した実施例1~20、比較例1~13に係る各毛髪用組成物は、25℃でいずれも透明な液状であった。
【0147】
下記表1~表10に示す成分欄の表記において、数値は質量%を示し、「-」はその成分が未配合であることを示し、「pH3.5となる量」、「pH5.0となる量」、「pH6.5となる量」、及び「pH8.0となる量」とは、それぞれ毛髪用組成物のpH(25℃)がその値になる量で対応成分が配合されたことを示し、「計100となる量」とは毛髪用組成物の全量が100質量%となる精製水の量を示す。なお、表4の比較例5に係る毛髪用組成物については、pHメーターで測定したところ、pHの値が正しく測定できなかったため、pH欄を斜線で表記している。
【0148】
(低温安定性(-10℃、4日)の評価方法)
製造した実施例1~13、比較例1~11に係る各毛髪用組成物を、それぞれ透明ガラス管(100mL)に約90gずつ収容して密栓し、-10℃の恒温器内で4日静置した。4日経過後、-10℃の恒温器で静置した実施例1~13、比較例1~11に係る毛髪用組成物が入った各透明ガラス管を恒温器から取り出し、室温になるまで静置させた(なお、凍結していたものは、凍結融解するまで静置させた)。その後、下記評価基準に従って透明ガラス管の内容物の外観を目視で観察し、低温安定性の評価を行った。また、低温安定性の評価の際に、実施例1~7、比較例1~5に係る毛髪用組成物を収容したガラス容器の底部を写真撮影した(
図1、
図2)。
【0149】
(評価基準)
〇 :内容物に析出物が見られず、均一である(内容物が収容された透明ガラス管を水平方向に傾けた際に、内容物の底部分にモヤ状の縞模様が見られない)。
× :内容物に析出物は見られないが、不均一である(内容物が収容された透明ガラス管を水平方向に傾けた際、内容物の底部分にモヤ状の縞模様が見られる)。
××:内容物に析出物が見られる。
【0150】
(評価結果)
下記表1~表7に、実施例1~13、比較例1~11に係る各毛髪用組成物を用いた際の低温安定性(-10℃、4日)の評価結果を示す。
【0151】
【0152】
表1に示す結果から、タウリンが1質量%、多価アルコールであるプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリンのいずれかが30質量%の量で配合された実施例1~3に係る毛髪用組成物は、タウリンが1質量%配合され、多価アルコール未配合の比較例1に係る毛髪用組成物に比べて、低温安定性が優れていた。
この結果から、タウリンが配合された毛髪用組成物において、多価アルコールを30質量%配合することで、低温安定性に優れることが分かる。
【0153】
【0154】
表2に示す結果から、タウリンが1質量%、プロピレングリコール(2価のアルコール)が26~50質量%配合された実施例1、4、5に係る毛髪用組成物は、タウリンが1質量%、プロピレングリコールが70質量%の量で配合された比較例2に係る毛髪用組成物に比べて、低温安定性が優れていた。
この結果から、タウリンが配合された毛髪用組成物において、多価アルコールを26質量%以上50質量%以下の量で配合されたものすれば、低温安定性に優れることが分かる。
【0155】
【0156】
表3に示す結果から、タウリンが1質量%、プロピレングリコールが30質量%の量で配合し、pH6.5又は8.0とした実施例1、6に係る毛髪用組成物は、タウリンが1質量%、プロピレングリコールが30質量%の量で配合し、pHが3.5又は5.0とした比較例3、4に係る毛髪用組成物に比べて、低温安定性が優れていた。
この結果から、タウリン及びプロピレングリコールが配合された毛髪用組成物において、pHが6.5以上とすることで、低温安定性に優れることが分かる。
【0157】
【0158】
表4に示す結果から、タウリンが1質量%、グリセリン(3価のアルコール)が30質量%又は70質量%の量で配合された実施例3、7に係る毛髪用組成物は、タウリンが1質量%配合され、グリセリンが未配合又は90質量%の量で配合された比較例1、5に係る毛髪用組成物に比べて、低温安定性が優れていた。
この結果から、タウリンが配合された毛髪用組成物において、グリセリンが30質量%以上70質量%以下の量で配合されたものとすれば、低温安定性に優れることが分かる。
【0159】
図1~
図2に、実施例1~7、比較例1~5に係る毛髪用組成物について、低温安定性の評価した際のガラス容器の底部の写真を示す。実施例1~7に係る毛髪用組成物は、内容物に析出物が見られず、均一であった(
図1)。しかし、比較例1~5に係る毛髪用組成物は、底部に固形物様の析出物が見られ、不均一であった(
図2)。なお、比較例5に係る毛髪用組成物は、底部に細かな析出物が見られた。
【0160】
【0161】
表5に示す結果から、ヒドロキシエタンジホスホン酸が1質量%、プロピレングリコールが30質量%の量で配合された実施例8、9に係る毛髪用組成物は、ヒドロキシエタンジホスホン酸が1質量%配合され、多価アルコール未配合の比較例6、7に係る毛髪用組成物に比べて、低温安定性が優れていた。
この結果から、ヒドロキシエタンジホスホン酸が配合された毛髪用組成物において、プロピレングリコールが30質量%の量で配合されたものとすれば、低温安定性に優れることが分かる。
【0162】
【0163】
表6に示す結果から、エチレンジアミノ四酢酸二ナトリウムが1質量%、プロピレングリコールが30質量%の量で配合された実施例10、11に係る毛髪用組成物は、エチレンジアミノ四酢酸二ナトリウムが1質量%配合され、多価アルコール未配合の比較例8、9に係る毛髪用組成物に比べて、低温安定性が優れていた。
この結果から、エチレンジアミノ四酢酸二ナトリウムが配合された毛髪用組成物において、プロピレングリコールが30質量%の量で配合されたものとすれば、低温安定性に優れることが分かる。
【0164】
【0165】
表7に示す結果から、グリシンが1質量%、プロピレングリコールが30質量%の量で配合された実施例12、13に係る毛髪用組成物は、グリシンが1質量%配合され、多価アルコール未配合の比較例10、11に係る毛髪用組成物に比べて、低温安定性が優れていた。
この結果から、グリシンが配合された毛髪用組成物において、プロピレングリコールが30質量%の量で配合されたものとすれば、低温安定性に優れることが分かる。
【0166】
(低温安定性(-10℃、1カ月)の評価方法)
製造した実施例14~20、比較例12、13に係る各毛髪用組成物を、それぞれ透明ガラス管(100mL)に約90gずつ収容して密栓し、-10℃の恒温器内で1カ月静置した。1カ月経過後、-10℃の恒温器で静置した実施例1~13、比較例1~11に係る毛髪用組成物が入った各透明ガラス管を恒温器から取り出し、室温になるまで静置させた(なお、凍結していたものは、凍結融解するまで静置させた)。その後、低温安定性(-10℃、4日)の評価方法の評価基準と同じ評価基準に従って、透明ガラス管の内容物の外観を目視で観察し、低温安定性の評価を行った。なお、1カ月経過する前に凍結したものは、凍結を確認した時点で恒温器から取り出し、凍結融解するまで静置させた後、室温にしてから、上記と同じ方法にて、低温安定性の評価を行った。
【0167】
(評価結果)
下記表8~表10に、実施例14~20、比較例12、13に係る各毛髪用組成物を用いた際の低温安定性(-10℃、1カ月)の評価結果を示す。
【0168】
【0169】
表8に示す結果から、タウリンが1質量%及びヒドロキシエタンジホスホン酸が1.32質量%、プロピレングリコールが30質量%又は40質量%の量で配合された実施例14、15に係る毛髪用組成物は、タウリンが1質量%及びヒドロキシエタンジホスホン酸が1.32質量%の量で配合され、プロピレングリコール未配合の比較例12に係る毛髪用組成物に比べて、低温安定性が優れていた。
この結果から、タウリン及びヒドロキシエタンジホスホン酸が配合された毛髪用組成物において、プロピレングリコールが30質量%以上40質量%以下の量で配合されたものとすれば、低温安定性に優れることが分かる。
【0170】
【0171】
表9に示す結果から、タウリンが1質量%及びヒドロキシエタンジホスホン酸が1.32質量%、プロピレングリコールが30質量%の量で配合され、pH6.8乃至8.4の範囲である実施例14、16~18に係る毛髪用組成物は、表8に記載の比較例12に係る毛髪用組成物に比べて、低温安定性が優れていた。
この結果から、タウリン、ヒドロキシエタンジホスホン酸及びプロピレングリコールが配合された毛髪用組成物において、pHが6.8以上とすることで、低温安定性に優れることが分かる。
【0172】
【0173】
表10に示す結果から、タウリンが1質量%及びヒドロキシエタンジホスホン酸が1.32質量%、プロピレングリコールが30質量%の量で配合され、pH5.6乃至6.5の範囲である実施例19、20に係る毛髪用組成物は、タウリンが1質量%及びヒドロキシエタンジホスホン酸が1.32質量%、プロピレングリコールが30質量%の量で配合され、pH4.5である比較例13に係る毛髪用組成物に比べて、低温安定性が優れていた。
この結果から、タウリン、ヒドロキシエタンジホスホン酸及びプロピレングリコールが配合された毛髪用組成物において、pHが5.6以上とすることで、低温安定性に優れることが分かる。
【0174】
なお、表3と表10の結果をあわせて考慮すると、タウリン及びプロピレングリコールが30質量%の量で配合された毛髪用組成物において、pHが5.6以上であれば、低温安定性に優れることが分かる。
【0175】
〔参考例1~16、参考例A〕
参考例1~16に係る毛髪用組成物を用いて、毛髪の染色性を評価した。
【0176】
(毛髪用組成物の製造)
参考例1~16に係る毛髪用組成物は、下記表11~表17の組成となるように、タウリン、グリシン、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウム、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム二水塩、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム、精製水から選ばれる各種成分を常法により混合して製造した。なお、表11~表17に示す成分の数値は質量%である。また、成分の欄の「-」の表記は、その成分が未配合であることを示す。
【0177】
製造した参考例1~16に係る各毛髪用組成物を用いて、次に示す毛髪処理を行って、毛髪の染色性を評価した。
【0178】
(毛髪処理)
水道水を入れたヘアカラーカップ(容量300mL)を2つ用意し、一方に十円硬貨(10円青銅貨幣)を1枚入れ、他方には十円硬貨を入れなかった。
つぎに、参考例1~16に係る毛髪用組成物の評価に用いるため、十円硬貨を入れたヘアカラーカップ中に、複数のヤク毛の毛束(ビューラックス社製:品番BM―YK―A、長さ10cm、重さ1g)を3~7日間浸漬させて、毛束の銅処理を行った。また、毛束の銅処理を行わない参考例Aの評価を行うため、十円硬貨を入れていないヘアカラーカップ中に、ヤク毛の毛束(ビューラックス社製:品番BM―YK―A、長さ10cm、重さ1g)を3~7日間浸漬させた。
銅処理を行った毛束又は銅処理を行わなかった毛束をヘアカラーカップから取り出し、それぞれタオルドライした。次に、銅処理を行った毛束を用いて、表11~表16に示す組成の参考例1~16に係る各毛髪用組成物を毛束に対してそれぞれ1g塗布し、均一に馴染ませた。また、銅処理を行わなかった毛束に、表17に示す組成の参考例3に係る毛髪用組成物を1g塗布し、均一に馴染ませた。続いて、ミルボン社製のオルディーブ アディクシー 9-SA(酸化染料及びアルカリ剤を配合)と、オルディーブ アディクシー オキシダン 6.0(過酸化水素を配合)とを等量で混合した酸化染毛剤を、各毛束に対して2g塗布し、室温で20分静置して酸化染毛処理を行った。酸化染毛処理後、毛束を水ですすいで酸化染毛剤を洗い流し、ドライヤーで各毛束を乾燥させた。
乾燥後の各毛束を用いて、下記評価方法及び評価基準に従い、毛髪の染色性の評価を行った。
【0179】
(評価方法)
毛髪の染色性の評価は、日常的に酸化染毛剤の評価を行っているパネラー5名が目視の官能評価で染色性(濃染性(毛髪の染色の濃さ)、均染性(毛髪全体における均一な染色)、変色の有無又はその程度(変色の有無、及び、変色がある場合はその程度)の3要素)を総合的に判断した後、パネラー5名の合議により、下記の評価基準に従って評価した。なお、変色とは、所望する色味とは異なる色味への染色をいう。
【0180】
(評価基準)
○ :評価対象とした毛束が、基準とした毛束に比べて、毛髪の染色性に優れる。
同等:評価対象とした毛束が、基準とした毛束に比べて、毛髪の染色性が同等。
× :評価対象とした毛束が、基準とした毛束に比べて、毛髪の染色性に劣る。
【0181】
(評価結果)
参考例1~16に係る各毛髪用組成物及び参考例Aにおける毛髪の染色性の評価結果を以下の表11~表17に示す。なお、表11~表17において、評価の欄が基準と表記されているのは各例を用いた毛束を基準にしたことを示している。
【0182】
(参考例1~3)
参考例1~3に係る毛髪用組成物を用いた際の評価結果を表11に示す。評価の基準は、参考例3に係る毛髪用組成物を用いた毛束である。
【0183】
【0184】
表11に示す結果から、参考例1、2に係る毛髪用組成物を用いた場合は、参考例3に係る毛髪用組成物を用いた場合に比べて、毛髪の染色性に優れることが分かる。
【0185】
(参考例1、3~6)
参考例1、3~6に係る毛髪用組成物を用いた際の評価結果を表12に示す。評価の基準は、参考例6に係る毛髪用組成物を用いた毛束である。
【0186】
【0187】
表12に示す結果から、参考例1、参考例4~6に係る毛髪用組成物を用いた場合は、参考例3に係る毛髪用組成物を用いた場合に比べて、毛髪の染色性に優れることが分かる。また、タウリンの配合量が1~5質量%の参考例4、5、1に係る毛髪用組成物で処理した毛髪は、タウリンの配合量が10質量%の参考例6に係る毛髪用組成物で処理した毛髪に比べて、毛髪の染色性により優れることが分かる。
【0188】
(参考例3、7~9)
参考例3、7~9に係る毛髪用組成物を用いた際の評価結果を表13に示す。評価の基準は、参考例9に係る毛髪用組成物を用いた毛束である。
【0189】
【0190】
表13に示す結果から、参考例7、8に係る毛髪用組成物を用いた場合は、参考例3、9に係る毛髪用組成物を用いた場合に比べて、毛髪の染色性に優れることが分かる。
【0191】
(参考例3、7、参考例10~12)
参考例3、7、参考例10~12に係る毛髪用組成物を用いた際の評価結果を表14に示す。評価の基準は、参考例12に係る毛髪用組成物を用いた毛束である。
【0192】
【0193】
表14に示す結果から、参考例7、参考例10~12に係る毛髪用組成物を用いた場合は、参考例3に係る毛髪用組成物を用いた場合に比べて、毛髪の染色性に優れることが分かる。また、参考例7に係る毛髪用組成物を用いた場合は、参考例10、11に係る毛髪用組成物を用いた場合に比べて、毛髪の染色性により優れることが分かる。
【0194】
(参考例3、13)
参考例3、13に係る毛髪用組成物を用いた際の評価結果を表15に示す。評価の基準は、参考例3に係る毛髪用組成物を用いた毛束である。
【0195】
【0196】
表15に示す結果から、参考例13に係る毛髪用組成物を用いた場合は、参考例3に係る毛髪用組成物を用いた場合に比べて、毛髪の染色性に優れることが分かる。
【0197】
(参考例3、14~16)
参考例3、14~16に係る毛髪用組成物を用いた際の評価結果を表16に示す。評価の基準は、参考例16に係る毛髪用組成物を用いた毛束である。
【0198】
【0199】
表16に示す結果から、参考例14、15に係る毛髪用組成物を用いた場合は、参考例16、3に係る毛髪用組成物を用いた場合に比べて、毛髪の染色性に優れることが分かる。
【0200】
(参考例3、参考例A)
参考例3に係る毛髪用組成物を用いて、毛束の銅処理の有無による違いを確認した際の評価結果を表17に示す。評価の基準は、参考例Aである。
【0201】
【0202】
表17に示す結果から、銅処理を行った毛束に対して参考例3に係る毛髪用組成物を用いた場合は、銅処理を行わなかった毛束に対して参考例Aに係る毛髪用組成物を用いた場合に比べて、毛髪の染色性が劣ることが分かる。なお、参考例3及び参考例Aは、いずれも毛髪用組成物として精製水のみを用いており、酸化染毛処理を行った毛束が銅処理の有無においてのみ相違する。なお、銅処理を行わなかった毛束を用いた参考例Aにおける染毛処理の結果は、毛束全体が濃い青色に均一に染色されていたが、その一方、銅処理を行った毛束を用いた参考例3における染毛処理の結果は、毛束において薄い青色に染色される箇所や、薄い黄色に染色される箇所があり、不均一で変色が見られ、毛髪の染色性が低下していた。
【0203】
なお、表11~表17の評価結果において、参考例3における染毛処理では、処理中に毛束に泡立ちが生じたが、参考例1~2、4~16、参考例Aにおける染毛処理では泡立ちが生じなかった。参考例3における染毛処理において、処理中に泡立ちが生じたのは、毛髪中の銅イオンにより、酸化染毛剤中に配合された酸化剤(過酸化水素)の酸化反応が過剰に起きたためと考えられる。ここで、参考例1~2、4~16における染毛処理(毛束の銅処理あり)では、参考例Aにおける染毛処理(毛束の銅処理なし)と同様に、泡立ちが起きなかったことから、毛髪中の銅イオンにより、酸化染毛剤中に配合された酸化剤(過酸化水素)の酸化反応が過剰に起きるのを抑制したためであると考えられる。
これらの結果より、参考例1~2、4~16の毛髪用組成物を脱色剤により脱色する前の毛髪に用いることにより、酸化剤が配合された脱色剤においても、酸化反応が過剰に起きることを抑制でき、均一な脱色に優れることが示唆される。
【0204】
〔処方例1~60〕
【0205】
以下の表18~表27に、毛髪用組成物の処方例1~60を示す。この処方例1~60の毛髪用組成物は、タウリン、ヒドロキシエタンジホスホン酸、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、没食子酸、フェノキシエタノール、クエン酸、水酸化ナトリウム、精製水から選ばれる成分を用いて常法により混合することで製造できる。
【0206】
なお、表18~表27における成分欄の数値は質量%であり、「-」は未配合であることを示す。また、pH調整剤の「pH3となる量」、「pH5となる量」、「pH8となる量」とは、各処方例の毛髪用組成物のpH(25℃)がその値になるクエン酸又は水酸化ナトリウムの配合量であることを示し、「計100となる量」とは各処方例の毛髪用組成物の全量が100質量%となる精製水の量を示す。
【0207】
なお、処方例1~60の毛髪用組成物は、酸化染毛剤により染毛する前の毛髪又は脱色剤により脱色する前の毛髪に用いられる毛髪用組成物とすることができるが、これに限られるものではない。
【0208】
【0209】
【0210】
【0211】
【0212】
【0213】
【0214】
【0215】
【0216】
【0217】