(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141153
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】係止装置
(51)【国際特許分類】
F16B 5/06 20060101AFI20241003BHJP
B62D 25/08 20060101ALI20241003BHJP
B60R 13/04 20060101ALI20241003BHJP
F16B 19/00 20060101ALI20241003BHJP
F16B 5/07 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F16B5/06 Q
B62D25/08 H
B60R13/04 Z
F16B19/00 B
F16B5/07 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052644
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】佐野 悠太
【テーマコード(参考)】
3D023
3D203
3J001
3J036
【Fターム(参考)】
3D023AA01
3D023AB03
3D023AC26
3D023AD02
3D023AD25
3D203BB38
3D203DA37
3D203DA38
3D203DA68
3J001FA01
3J001GC02
3J001HA04
3J001HA07
3J001JC03
3J001KB01
3J036AA03
3J036DA01
3J036DB05
(57)【要約】
【課題】保持力と良好な取り付けの作業性とを両立できる係止装置を提供する。
【解決手段】係止装置35は、カバー本体部10に対し縦壁部11を係止する。係止装置35は、カバー本体部10に形成された係止穴37と、縦壁部11に形成され、係止穴37に挿入係止される挿入部38と、挿入部38に形成され、係止穴37を支点としたカバー本体部10に対する縦壁部11の回動を規制する規制部である突出部41と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の部品に対し他の部品を係止する係止装置であって、
前記一の部品に形成された係止穴と、
前記他の部品に形成され、前記係止穴に挿入係止される挿入部と、
この挿入部に形成され、前記係止穴を支点とした前記一の部品に対する前記他の部品の回動を規制する規制部と、を備える
ことを特徴とする係止装置。
【請求項2】
規制部は、係止穴を基準として他の部品の部品本体部とは反対側に位置し、前記部品本体部への外力の入力方向に対して反対方向に向けて突出される突出部である
ことを特徴とする請求項1記載の係止装置。
【請求項3】
係止穴は、突出部に対応する位置に、挿入部の挿入に伴い前記突出部が通過する開口部を有する
ことを特徴とする請求項2記載の係止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一の部品に対し他の部品を係止する係止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車のフロントガラスの前端部とボンネットフードの後側部との間のいわゆるカウル部に配置されるカウルトップカバーにおいて、長尺のカバー本体部に対して、異物などのエンジンルームへの進入などを防止するための別体の縦壁部をカバー本体部に対して係止する構成がある。このように、一の部品に対して他方の部品を係止する構造において、例えば係止穴と、係止穴に挿入される挿入部と、を備え、挿入部に、弾性変形可能な複数の突起形状を放射方向に離間して設定し、これら突起形状を挿入するための切欠部を係止穴に形成して、係止穴への押し込みにより突起形状が切欠部に逃げるようにねじれた状態の挿入部が、突起形状が係止穴を通過した位置で復帰変形することで突起形状が切欠部からずれて係止を成立させるものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-115707号公報 (第4-9頁、
図1-3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の構成では、回転方向の復帰変形を利用しているため、例えば長尺の部品に挿入部が断続的に複数設定されているなどの場合の取り付けの作業性について、一層の改善が求められる。また、縦壁部には、積雪などに伴う負荷が加わった際に、レイアウト上、支点となる場所に係止爪の引っ掛かり形状が無いことから保持力(規制力)が弱く、負荷の掛かりやすい方向からの負荷に対応する高い保持力と、取付作業性の良好さとの両立を図ることが求められる。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、保持力と良好な取り付けの作業性とを両立できる係止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の係止装置は、一の部品に対し他の部品を係止する係止装置であって、前記一の部品に形成された係止穴と、前記他の部品に形成され、前記係止穴に挿入係止される挿入部と、この挿入部に形成され、前記係止穴を支点とした前記一の部品に対する前記他の部品の回動を規制する規制部と、を備えるものである。
【0007】
請求項2記載の係止装置は、請求項1記載の係止装置において、規制部は、係止穴を基準として他の部品の部品本体部とは反対側に位置し、前記部品本体部への外力の入力方向に対して反対方向に向けて突出される突出部であるものである。
【0008】
請求項3記載の係止装置は、請求項2記載の係止装置において、係止穴は、突出部に対応する位置に、挿入部の挿入に伴い前記突出部が通過する開口部を有するものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の係止装置によれば、他の部品に仮に外力が入力された場合でも、係止穴を支点として一の部品に対し他の部品が回動しにくいので、挿入部の係止量を抑制したとしても保持力を保持できるため、保持力と、係止穴への挿入部の挿入力の低下に伴う良好な取り付けの作業性とを両立できる。
【0010】
請求項2記載の係止装置によれば、請求項1記載の係止装置の効果に加えて、部品本体部に対し外力が入力されて仮に他の部品が係止穴を支点として一の部品に対して回動しようとしても、その回動方向が突出部の爪掛かりがより大きくなる方向となって保持力が増すので、挿入部が係止穴から抜けにくくなる。
【0011】
請求項3記載の係止装置によれば、請求項2記載の係止装置の効果に加えて、挿入部の係止穴への挿入力を低下させることができ、一の部品に対する他の部品の取り付けの作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施の形態の係止装置を示し、(a)はその断面図、(b)はその挿入部の斜視図、(c)は挿入部の挿入方向から示す正面図である。
【
図2】同上係止装置を有するカウルカバーを模式的に示す分解斜視図である。
【
図3】同上カウルカバーを備える車両の一部を示す断面図である。
【
図5】本発明の第2の実施の形態の係止装置を挿入部の挿入方向から示す正面図である。
【
図6】同上係止装置の挿入部を有する他の部品の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
図4において、1は車両である自動車の車体で、この車体1には、エンジンルーム2を覆うフード3と、車室4の前側に位置するウインドシールドとしてのフロントガラス5との間のカウル部6を覆って車両用の外装部品であるカウルカバー7が配置されている。なお、以下、前後、上下、及び両側などの方向については、車体1の直進方向を基準として説明し、矢印F方向が前方、矢印R方向が後方、矢印U方向が上方、矢印D方向が下方、及び、矢印W方向が両側方向である車幅方向である。
【0015】
カウル部6は、エアボックスなどとも呼ばれるもので、例えば鉄板にて形成された車体部材としてのカウルトップパネルにより、上側を開口した樋状に形成されている。そして、このカウル部6には、車室4内に外気を導入する空調装置の空気取入部が接続されているとともに、このカウル部6の一側には、ワイパのワイパアームを駆動するモータやワイパリンクなどが配置されている。
【0016】
フード3は、車体1の前部に位置してエンジンルーム2を開閉可能に覆うボンネットフードである。
【0017】
そして、カウルカバー7は、カウルトップカバーとも呼ばれ、フロントガラス5とフード3との間のカウル部6すなわちカウルトップパネルの上側を覆って外観を向上するとともに、カウル部6とエンジンルーム2とを仕切るものである。カウルカバー7は、
図2及び
図3に示すように、一の部品であるカバー本体部10と、このカバー本体部10に対して取り付けられる他の部品である縦壁部11と、を備える。
【0018】
カバー本体部10は、例えばポリプロピレン(PP)などの、縦壁部11よりも硬質の合成樹脂などの部材により長手状に形成され、車幅方向に長手方向を沿わせて配置されている。カバー本体部10は、エンジンルーム2やフード3の形状及びワイパの配置などに応じて適宜の形状を採るものであるが、本実施の形態では、基本的に、車幅方向を長手方向とし、フロントガラス5の前縁部に連なって配置されている。
【0019】
カバー本体部10は、一般部13を備えている。一般部13は、フロントガラス5と略平行に傾斜して長手方向に連なって形成されている。また、一般部13のフロントガラス5に対向する後部には、保持部14が突設されている。保持部14は、一般部13との間でフロントガラス5の前縁部を受ける部分である。保持部14は、一般部13の下部から後方に向けて突設されている。保持部14は、一般部13の後縁部全体に亘り形成されていてもよいし、カバー本体部10の長手方向に間欠的に複数の箇所に形成されていてもよい。
【0020】
また、一般部13には、遮蔽部15が形成されている。遮蔽部15は、一般部13の前端部から上下方向に延出されている。遮蔽部15は、車体部材16により下部が支持され、エンジンルーム2とカウル部6とを前後に仕切る壁面を形成する。本実施の形態では、遮蔽部15は、一般部13から前方上側に向かって傾斜状に形成されている。遮蔽部15の上端部には、フードシール17を支持するフードシール面部18が前方に平面状に延びて形成されている。そして、フードシール17が、閉じた状態のフード3に液密に密着することで、エンジンルーム2からの熱気や臭気を遮蔽するようになっている。
【0021】
また、一般部13には、長手方向の一端部、すなわち車幅方向の一側部に、ワイパの軸が貫通するワイパピボット穴部20が形成されている。
【0022】
さらに、一般部13には、長手方向の他端部、すなわち車幅方向の他側部に、空気取入口21が形成されている。空気取入口21は、エアインテークとも呼ばれ、カウル部6に外気を導入可能なものである。本実施の形態において、空気取入口21は、例えば格子状(メッシュ状)に形成されている。
【0023】
そして、一般部13には、縦壁部11の下端部が着脱可能に取り付けられる溝部24が形成されている。溝部24は、一般部13に長手方向に延びて形成されている。すなわち、溝部24は、車幅方向に延びて形成されている。本実施の形態において、溝部24は、一般部13(カバー本体部10)の長手方向の他端部から、長手方向の中央部よりも他端部寄りの位置まで延び、前方に屈曲されて、空気取入口21を囲むように形成されている。
【0024】
一方、縦壁部11は、カバー本体部10の溝部24に取り付けられた状態でカバー本体部10(一般部13)に対して立ち上がって位置する。縦壁部11は、例えばTPO(熱可塑性エラストマ)、あるいはゴムなどの、弾性を有する軟質の合成樹脂により一体成形され、センタラバーなどとも呼ばれる。縦壁部11は、異物や水分、あるいは雪などのエンジンルームへの進入を防止する機能や、衝突時などにフード3に加わった下方への荷重を吸収したりする機能を備えている。縦壁部11は、車幅方向に沿って長手状に設けられ、一般部13の上部にて溝部24に着脱可能に固定される。したがって、縦壁部11は、カバー本体部10の長手方向の他端部寄り、すなわち車幅方向の他側部寄りに位置し、空気取入口21の後方に立ち上がっている。
【0025】
図1(a)、
図2及び
図3に示す縦壁部11は、部品本体部である縦壁部本体部27を備えている。縦壁部本体部27は、略一定の高さを有し、上下方向及び車幅方向に延びる壁状に形成されている。縦壁部本体部27は、一般部13に対して上部に位置し、上端部がフード3の下面に近接して対向する位置となっている。本実施の形態において、縦壁部本体部27は、上端部近傍が、上方に向かって徐々に前方へと湾曲して形成されている。また、縦壁部本体部27は、積雪の重さやスクレーパなどの除雪機による除雪時の荷重などの外力が入力される部分である。本実施の形態において、縦壁部本体部27への外力が掛かりやすい方向性である入力方向は前後方向または縦壁部本体部27の厚み方向に対して交差または直交する方向であり、
図1(a)中の矢印Xに示す。
【0026】
また、縦壁部11は、支持部28を備えている。支持部28は、縦壁部11を縦壁部本体部27への外力の入力に対して倒れ防止する部分である。支持部28は、縦壁部本体部27の前部から前方に延びる板状に形成されている。支持部28は、一般部13の上面に重ねられて位置する。支持部28は、縦壁部本体部27の長手方向である車幅方向に、連なって、または、間欠的に配置されている。
【0027】
縦壁部本体部27の前部と支持部28との間に亘り、縦壁部本体部27を補強する補強部29が形成されている。補強部29は、例えば前後方向及び上下方向に延びるリブである。本実施の形態において、補強部29は、縦壁部本体部27の長手方向である車幅方向に離れて複数配置されている。
【0028】
また、縦壁部本体部27の下部には、溝部24に挿入される基部30が突設されている。基部30は、例えば前後方向に沿うリブ状に形成されている。基部30は、支持部28の下部に位置する。基部30は、縦壁部本体部27の長手方向である車幅方向に、連なって、または、間欠的に配置される。
【0029】
そして、縦壁部11は、カバー本体部10に対し、係止装置35により係止保持される。
【0030】
図1(a)に示すように、係止装置35は、係止穴37と、係止穴37に挿入係止される係止爪である挿入部38と、を有する。係止穴37は、カバー本体部10に形成されている。本実施の形態において、係止穴37は、カバー本体部10の溝部24の底部を貫通して形成されている。
【0031】
挿入部38は、縦壁部11に形成されている。挿入部38は、縦壁部11の長手方向に断続的に複数配置される。例えば、挿入部38は、一定または略一定の間隔で配置されている。挿入部38は、縦壁部11の基部30から下方に突設されている。つまり、挿入部38の突出方向は、縦壁部本体部27への外力の入力方向に対して交差または直交する方向である。
【0032】
図1(a)ないし
図1(c)に示すように、挿入部38は、挿入部本体部40を有する。挿入部本体部40は、基部30に対して垂直または略垂直な方向に沿って直線状に形成されている。挿入部本体部40は、所定の長さを有し、基端部から先端部に亘り、一定または略一定の断面形状(太さ)に形成されている。例えば、本実施の形態では、挿入部本体部40は、基部30からの突出方向に対して交差または直交する方向、図示される例では車幅方向に長く前後方向に短い、扁平な断面形状を有する。
【0033】
挿入部本体部40には、突出部41が形成されている。突出部41は、係止穴37の縁部37aに係合され、係止穴37の縁部37aに対し、係止穴37への挿入部38の挿入方向と交差する方向にラップすることにより、係止装置35による保持力を生じさせる部分である。突出部41は、挿入部本体部40に対して交差または直交する方向に突出している。すなわち、突出部41は、挿入部38の突出方向または係止穴37への挿入方向に対して交差または直交する方向に突出している。突出部41は、係止穴37の前後方向の中心Cに対して、後側、つまり縦壁部本体部27への外力の入力方向とは反対方向に向けて突出する。突出部41は、係止穴37を基準として、支持部28とは反対方向に突出する。
【0034】
また、突出部41は、挿入部本体部40の基端部つまり基部30に対し、先端部側に離れた位置にある。突出部41と基部30との間が、係止穴37の縁部37aが係合される空間部43として形成されている。突出部41は、空間部43に係合された係止穴37の縁部37aを支点として、縦壁部本体部27への外力の入力による縦壁部11のカバー本体部10に対する回動を規制する規制部として機能する。係止穴37を基準として、突出部41は、縦壁部本体部27とは反対側に位置する。つまり、本実施の形態の場合、係止穴37に対して上方に縦壁部本体部27が位置し、下方に突出部41が位置する。
【0035】
本実施の形態では、突出部41は、複数設定されている。突出部41は、車幅方向に離れた位置にそれぞれ形成されている。例えば、突出部41,41は、それぞれ後方に向かい、車幅方向に互いに反対方向に離れるように傾斜している。つまり、
図1(c)中の左側の突出部41は、後方に向かい左側に傾斜し、
図1(c)中の右側の突出部41は、後方に向かい右側に傾斜している。これら突出部41,41は、上下方向に見て、互いの突出方向がなす角度θが90°以上170°以下のV字状に配置されている。
【0036】
さらに、突出部41に対応して、係止穴37には、開口部45が形成されている。この開口部45は、挿入部38の係止穴37への挿入に伴い突出部41が通過する部分である。また、この開口部45は、通過した突出部41が引っ掛けられる部分である。開口部45は、係止穴37の縁部37aに連なって切り欠き形成された切欠部である。図示される例では、開口部45は、係止穴37の縁部37aにおいて、少なくとも挿入部38の突出方向または係止穴37への挿入方向に対して交差または直交する方向に形成されている。本実施の形態において、開口部45は、少なくとも係止穴37の後縁部の左右両側に形成されている。図示される例では、開口部45は、車幅方向である左右方向に連なって係止穴37の後縁部に形成されている。そのため、係止穴37は、挿入部38の挿入方向である上下方向に見て、前側から後側に車幅方向に拡大されるように形成されている。
【0037】
そして、カウルカバー7は、カバー本体部10に対して縦壁部11を係止することで組み立てられる。
【0038】
具体的に、縦壁部11の基部30及び挿入部38を、カバー本体部10の溝部24及び係止穴37に位置合わせして、縦壁部11をカバー本体部10に対して上方から下方に押し込むことで、縦壁部11の基部30及び挿入部38がカバー本体部10の溝部24及び係止穴37にそれぞれ挿入されて、縦壁部11がカバー本体部10に取り付けられる。すなわち、縦壁部11は、カバー本体部10に対して、位置合わせ及び押し込みによって係止装置35によりワンタッチで容易に取り付けられる。
【0039】
より詳細には、挿入部38が係止穴37に押し込まれると、挿入部本体部40の先端部が係止穴37を通過し、突出部41が開口部45に当接する。この状態から、挿入部38がさらに押し込まれることで、突出部41が開口部45を乗り越え、係止穴37の縁部37aの背面側(下側)に移動すると、係止穴37の縁部37aが突出部41と基部30との間の空間部43に挿入され、突出部41が係止穴37(開口部45)の縁部37aに前後方向にラップして、係止装置35による保持力が生じる。
【0040】
そこで、縦壁部本体部27に対し矢印X方向に外力が入力されたときに、係止穴37の縁部37aを支点とするカバー本体部10に対する縦壁部11の回動が規制される。
【0041】
このように、第1の実施の形態によれば、規制部である突出部41により係止穴37を支点としたカバー本体部10に対する縦壁部11の回動を規制することで、縦壁部11の縦壁部本体部27に対し仮に外力が入力された場合でも、係止穴37を支点としてカバー本体部10に対し縦壁部11が回動しにくい。そこで、突出部41の突出量、すなわち挿入部38の係止量を抑制したとしても保持力を保持できるので、保持力と、係止穴37への挿入部38の挿入力の低下に伴う良好な取り付けの作業性とを両立できる。
【0042】
また、係止穴37に挿入される挿入部38に突出部41を、縦壁部本体部27への外力の入力方向に対して反対方向に向けて突出させ、突出部41を、係止穴37を基準として縦壁部本体部27とは反対側に位置させることで、縦壁部本体部27に対し外力が入力されたときに、仮に縦壁部11が係止穴37の縁部37aを支点としてカバー本体部10に対して回動しようとしても、その回動方向が突出部41の爪掛かりがより大きく、つまり突出部41の係止穴37の縁部37aへのオーバーラップ量(接触面積)が増える方向となって保持力(規制力)が増すので、挿入部38が係止穴37から、より抜けにくくなる。つまり、縦壁部本体部27に対する外力に対し、係止穴37と突出部41との保持力を増加させて、縦壁部11をカバー本体部10から外れにくくできる。
【0043】
さらに、係止穴37が、突出部41に対応する位置に、挿入部38の係止穴37への挿入に伴い突出部41が通過する開口部45を有するため、挿入部38の係止穴37への挿入力を低下させることができ、カバー本体部10に対する縦壁部11の取り付けの作業性が向上する。
【0044】
次に、第2の実施の形態について、
図5及び
図6を参照して説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0045】
本実施の形態の係止装置35は、
図5に示すように、挿入部38の突出部41が、車幅方向に連なって形成されているものである。
【0046】
突出部41は、挿入部38の挿入部本体部40に対し、車幅方向の一側から他側に亘り連なっている。本実施の形態では、突出部41は、略扇形状となっており、その中心角は90°以上170°以下である。
【0047】
このように、係止穴37を支点としたカバー本体部10に対する縦壁部11の回動を規制する突出部41を備えるなど、第1の実施の形態と同様の構成を有することで、保持力と良好な取り付けの作業性とを両立できるなど、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0048】
また、突出部41を扇形状に形成することにより、突出部41の係止穴37の縁部37aへのオーバーラップ量を増やすことができる。そこで、
図6に示すように、挿入部38及び突出部41の数を第1の実施の形態より減らしても、十分な保持力を得ることができるとともに、挿入部38及び突出部41の数が減ることから、係止穴37への挿入部38の挿入作業の回数が減るので、取り付けの作業性がより良好になる。
【0049】
なお、各実施の形態において、係止装置35は、カウルカバー7のカバー本体部10と縦壁部11との係止に適用する例を示したが、これに限らず、車両用の任意の部品同士を係止するように適用してもよいし、車両用以外の任意の部品同士を係止するように適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、例えば、自動車のフロントガラスとエンジンルームとの間のカウル部を覆うカウルカバーのカウルカバー本体部と縦壁部との係止構造に適用できる。
【符号の説明】
【0051】
10 一の部品であるカバー本体部
11 他の部品である縦壁部
27 部品本体部である縦壁部本体部
35 係止装置
37 係止穴
38 挿入部
41 規制部である突出部
45 開口部