(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141156
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置、および、端末装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0207 20230101AFI20241003BHJP
【FI】
G06Q30/0207
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052647
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松井 涼
(72)【発明者】
【氏名】田中 真一
(72)【発明者】
【氏名】西山 奈津美
(72)【発明者】
【氏名】盛林 敏之
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB07
5L049BB07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】施設の混雑度を推定し、推定した混雑度に応じた有効期間長の特典を出力する情報処理装置、方法及端末装置を提供する。
【解決手段】有効時間長制限特典の内容及び制限時間長を決定するための有効時間長制限特典テーブル126は、イベント会場周辺混雑度レベルと施設混雑度レベルの組み合わせで特典内容と有効時間長が決定される2次元テーブル構造となっている。特典内容は、イベント会場周辺混雑度が大きいほど、人流誘引効果が大きい内容となっている。また、有効時間長は施設混雑度混雑度が大きいほど、引き留め効果が小さい内容となっている。イベント会場周辺混雑度レベルは、イベント会場近接領域の人密度や、各経路の混雑度の平均等のデータを用いる。方法は、取得、算出したイベント会場周辺混雑度レベル及び施設混雑度に基づき、該当施設における特典内容とその有効時間長を決定し、特典の提供数を決定し、当該提供数で対象の特典を提供する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設の混雑度を推定し、
前記推定した混雑度に応じた有効期間長の特典を出力する、
情報処理方法。
【請求項2】
特典提供施設の利用時間が前記特典の有効期間長に達した場合、有効時間切れ情報を出力する、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
特典提供施設の利用時間が前記特典の有効期間長に達するまでの残時間が、予め定めた警告時間以下の場合、注意情報を出力する、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項4】
特典利用中における特典提供施設の混雑度を推定し、
前記推定した混雑度に応じて前記特典の有効期間長を延長する、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記特典提供施設の利用時間が前記特典の有効期間長に達するまでの残時間が、予め定めた警告時間以下となった際に、前記特典の有効期間長を延長する処理を実行する、
請求項4に記載の情報処理方法。
【請求項6】
イベント会場周辺の人流情報に基づき、施設で利用可能な特典をユーザに提供する情報処理方法であって、
各施設の混雑状況に応じて、当該施設に対する前記特典の有効時間長を決定し、
イベント会場周辺の人流情報に基づき各前記特典の提供数を決定し、
決定した前記有効期間長の各前記特典を、決定した前記提供数で出力する、
情報処理方法。
【請求項7】
各前記特典の提供数は、
前記イベント会場周辺の人流情報と、特典提供施設の混雑度と、前記特典の有効時間長とに基づき決定する、
請求項6記載の情報処理方法。
【請求項8】
施設の混雑度を推定し、
前記推定した混雑度に応じた有効期間長の特典を出力する、
情報処理装置。
【請求項9】
特典利用中における特典提供施設の混雑度を推定し、
前記推定した混雑度に応じて前記特典の有効期間長を延長する、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
特典の内容の情報を表示し、
前記特典の有効期間長の情報を表示し、
前記特典の有効期間長と、前記特典の使用時間長との差である残時間を表示し、
前記残時間が所定の閾値以下の場合、警告を発し、
前記残時間が無い場合、前記特典の有効期間を超過したことを報知する、
端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クーポン等の特典を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各ユーザの特性や嗜好を考慮した特典付与によって、効率的に混雑緩和を実現する技術が知られる(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1においては、ユーザが利用した移動経路を取得する。ユーザの移動スケジュールから、ユーザが移動経路を利用する難易度を算出する。難易度が所定値以上であるか否かを判定して、判定が肯定された場合、ユーザに特典を付与する。ユーザの属性や嗜好に合わせた個人最適化(パーソナライゼーション)は、ユーザの満足度を向上させる上で重要な取り組みである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ライブやスポーツ観戦等のイベントの終了後においては、イベント会場からの退場者によって、イベント会場の周辺や最寄り駅が混雑する。混雑緩和のために、イベント会場の周辺に存在する店舗等で利用できるクーポンを提供して人流を誘導することが考えられる。
【0006】
イベントに応じたクーポンの提供にあたって、特許文献1の構成を適用してユーザの満足度の向上に注力すると、多くの人が同じ行動を取る可能性が生じる。この結果、クーポンを用いた人の誘引先、例えばクーポン発行店舗で混雑が生じる可能性がある。なお、イベント等における人流制御に関係なく、集客のためのクーポン発行でも同様の課題がある。
【0007】
本発明は、上述の点に鑑み、クーポン等の特典の提供に適した技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
例示的な本発明の情報処理方法は、施設の混雑度を推定し、前記推定した混雑度に応じた有効期間長の特典を出力する。
【発明の効果】
【0009】
例示的な本発明によれば、クーポン等の特典提供施設の混雑度も考慮した特典の適切な提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図7】人流情報の推定が行われる状況の一例を示す模式図
【
図8】人流推定部によって推定された人流情報の一例を示す図
【
図9】特典の提供数を決めるために行わる情報処理方法の流れを例示するフローチャート
【
図10】特典の提供数が決定された後に行われる情報処理方法の流れを例示するフローチャート
【
図11】有効時間長制限特典の内容及び制限時間長を決定するための有効時間長制限特典テーブルを示す図
【
図12】施設において特典使用者の管理に用いる使用特典テーブルを示す図
【
図13】有効時間長制限特典処理を示すフローチャート
【
図14】ユーザ端末のディスプレイの表示例を示すディスプレイ表示画像図
【
図15】第1変形例の情報処理装置の構成を示すブロック図
【
図16】第1変形例における、特典の提供数が決定された後に行われる情報処理方法の流れを例示するフローチャート
【
図17】第2変形例における特典情報テーブルを例示する図
【
図18】第3変形例に係る情報処理システムの概略の構成を示す図
【
図19】第3変形例における特典情報テーブルを例示する図
【
図20】追加の特典の提供数を決定する処理の流れを例示するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
<1.情報処理システムの概要>
図1は、本発明の実施形態に係る情報処理システム100の概略の構成を示す図である。情報処理システム100は、当該システム100に登録するユーザに対して特典を付与するシステムである。すなわち、情報処理システム100は、特典付与システムとも言える。
【0013】
なお、特典は、特別の待遇を与えるものを広く含む。特典は、例えば、商品の販売やサービスの利用の促進を図るために配布されるものである。特典は、例えば、店舗等の施設で利用可能なクーポンである。クーポンは、例えば、引換券、割引券、優待券等である。特典は、例えば、施設ごとに提供される。情報処理システム100で扱われる特典の種類は、好ましくは多種類である。1つの施設が多種類の特典を提供してもよい。また、人流制御に用いる場合は、人流の分散を多彩に制御できるように、多くの各施設がいろいろな種別のクーポンを発行するのが好ましい。
【0014】
情報処理システム100は、詳細には、イベント会場から退場する人の流れを制御するシステム(人流制御システム)に適用される。特典は、人流の誘導を目的として提供される。特典を受け取った者は、施設に立ち寄ることが期待される。そして、特典を受け取った者が施設に立ち寄ることで、イベント会場の周辺の道路や駅等における混雑が緩和されることが期待される。
【0015】
図1に示すように、情報処理システム100は、情報処理装置1と、イベント情報管理装置2と、運営者端末3と、ユーザ端末4とを備える。
【0016】
情報処理装置1は、人流の誘導を目的として提供される特典の提供数の調整や、特典の付与を希望する者に特典の付与を行う。情報処理装置1は、インターネットや電話回線網等の通信ネットワーク5に、有線又は無線によって接続可能に設けられる。情報処理装置1の詳細については後述する。
【0017】
イベント情報管理装置2は、イベントの情報を管理する装置である。イベント情報管理装置2は、例えば、イベント会場に配置されるパーソナルコンピュータ(PC)等の端末装置であってよい。ただし、イベント情報管理装置2は、クラウドサーバ等のサーバであってもよい。イベント情報管理装置2は、通信ネットワーク5に、有線又は無線によって接続可能に設けられる。イベント情報管理装置2は、情報処理装置1と通信ネットワーク5を介して通信可能である。
【0018】
イベント情報管理装置2は、通信ネットワーク5を介して、情報処理装置1に対してイベント情報を適宜送信する。例えば、イベント情報管理装置2は、定期的、或いは、定刻にイベント情報を情報処理装置1へ送信する。また、例えば、イベント情報管理装置2は、情報処理装置1からの要求に応じて、イベントの情報であるイベント情報を情報処理装置1へ送信する。
【0019】
なお、イベントは、例えば、スポーツの試合や、アーティストのコンサート等である。イベント会場は、スポーツの試合やコンサートが行われる会場であり、多くの人が集まる場所である。イベント情報は、例えば、イベント会場への来場者数の情報や、イベント開催時のイベント会場の天気の情報等を含む。イベント情報管理装置2は、通信ネットワーク5を介して接続される各種のサーバから、イベントに関わる情報を取得してよい。また、イベント情報管理装置2は、当該装置2に有線又は無線により接続されるセンサや装置等から、イベントに関わる情報を取得してもよい。また、イベントに関わる情報は、入力装置を利用した手入力により情報管理装置2に入力されてもよい。
【0020】
運営者端末3は、店舗等の施設が提供する特典の管理を行うサービス運営者が利用する端末装置である。運営者端末3は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、又は、スマートフォン等であってよい。運営者端末3は、通信ネットワーク5に、有線又は無線によって接続可能に設けられる。運営者端末3は、情報処理装置1と通信ネットワーク5を介して通信可能である。
【0021】
運営者端末3は、通信ネットワーク5を介して、情報処理装置1に対して特典の情報や、特典を提供する店舗等の施設の情報を適宜送信する。例えば、運営者端末3は、事前に準備した特典の種類や、特典を提供する店舗の最大席数等を、情報処理装置1へ送信する。なお、これらの情報は、運営者端末3ではなく、店舗等の施設がそれぞれ備える端末装置を利用して、情報処理装置1へ送信されてもよい。
【0022】
ユーザ端末4は、情報処理システム100に登録するユーザが利用する端末装置である。ユーザは、詳細には、イベントへの参加者である。ユーザ端末4は、好ましくは、イベントに参加するユーザが所持する携帯端末である。ユーザ端末4は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又は、ノートパソコン等である。
【0023】
ユーザ端末4は、通信ネットワーク5に、有線又は無線によって接続可能に設けられる。ユーザ端末4は、情報処理装置1と通信ネットワーク5を介して通信可能である。ユーザ端末4は、通信ネットワーク5を介して、情報処理装置1に対してユーザに関する情報であるユーザ情報を適宜送信する。ユーザ情報は、例えばユーザの性別、年齢、ユーザの現在位置(ユーザ端末4の現在位置:ユーザ端末4のGPS受信機の出力する位置情報等を利用)および、趣味等のユーザ特性を含む。ユーザ端末4は、情報処理装置1から特典に関する各種の情報を受信可能に設けられる。なお、本実施形態では、ユーザ端末4には、特典の付与を受けるために利用されるアプリ(アプリケーションソフト)が、ダウンロード等によってインストールされている。
【0024】
<2.情報処理装置>
本実施形態では、情報処理装置1は、コンピュータ装置によって構成されるサーバである。情報処理装置1は、物理サーバであってもクラウドサーバであってもよい。なお、本実施形態の情報処理装置は、単数のサーバで構成されても、複数のサーバで構成されてもよい。また、本実施形態の情報処理装置は、サーバだけでなく、サーバと端末とで構成されてもよい。
【0025】
図2は、本発明の実施形態に係る情報処理装置1の構成を示すブロック図である。なお、
図2においては、実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素を示しており、一般的な構成要素についての記載は省略されている。
図2に示すように、情報処理装置1は処理部11を備える。情報処理装置1は、メモリ部12および通信部13をさらに備える。なお、情報処理装置1は、キーボード等の入力装置や、ディスプレイ等の出力装置を備える構成であってもよい。
【0026】
処理部11は、所謂コントローラで、演算処理を行う演算回路で構成される。処理部11は、詳細には演算処理等を行うプロセッサを含む。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)を含んで構成されてよい。処理部11は、1つのプロセッサで構成されてもよいし、複数のプロセッサで構成されてもよい。複数のプロセッサで構成される場合には、それらのプロセッサは互いに通信可能に接続されればよい。なお、情報処理装置1がクラウドサーバで構成される場合、プロセッサを構成するCPUは仮想CPUであってよい。
【0027】
メモリ部12は、揮発性メモリおよび不揮発性メモリを含んで構成される。揮発性メモリには、例えばRAM(Random Access Memory)が含まれてよい。不揮発性メモリには、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、又は、ハードディスドライブが含まれてよい。不揮発性メモリには、コンピュータにより読み取り可能なプログラムおよびデータが格納される。
【0028】
通信部13は、通信ネットワーク5に接続するためのインターフェース回路を有する通信インターフェースとして構成される。
【0029】
図2に示すように、処理部11は、その機能として、取得部111と、人流推定部112と、調整部113と、通知部114と、付与部115とを備える。本実施形態においては、処理部11の機能は、メモリ部12に記憶されるプログラムにしたがった演算処理をプロセッサが実行することによって実現される。
【0030】
なお、メモリ部12に記憶されるプログラムは、情報処理装置1の少なくとも一部の機能をプロセッサ(コンピュータ)に実現させるコンピュータプログラムである。また、そのようなコンピュータプログラムは、記録するコンピュータ読取り可能な不揮発性記録媒体により提供されることになる。不揮発性記録媒体は、例えば、上述の不揮発性メモリの他、光記録媒体(例えば光ディスク)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、USBメモリ、又は、SDカード等であってよい。また、コンピュータプログラムは、インターネット等の通信回線を介してプログラム提供用サーバから提供されるもの、所謂ダウンロードにより提供されるものであっても良い。
【0031】
また、各機能部111~115は、1つのプログラムにより実現されてもよいが、例えば、機能部ごとに別々のプログラムにより実現される構成としてもよい。また、各機能部111~115が別々のサーバとして実現されてもよい。また、各機能部111~115は、上述のように、プロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現されてよいが、他の手法により実現されてもよい。各機能部111~115は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いて実現されてもよい。すなわち、各機能部111~115は、専用のIC等を用いてハードウェアにより実現されてもよい。また、各機能部111~115は、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現されてもよい。また、各機能部111~115は、概念的な構成要素である。1つの構成要素が実行する機能が、複数の構成要素に分散されてよい。また、複数の構成要素が有する機能が1つの構成要素に統合されてもよい。
【0032】
取得部111は、情報処理装置1の外部から情報を取得する。取得部111は、例えば、通信ネットワーク5および通信部13を介して外部から情報を取得する。通信ネットワーク5を介して得られる情報には、イベント情報管理装置2、運営者端末3、および、ユーザ端末4からの情報が含まれる。また、取得部111は、入力装置を利用した手入力が行われることによって、外部から情報を取得してもよい。なお、入力装置は、情報処理装置1と接続される装置、または、情報処理装置1が備える装置である。また、取得部111は、光ディスク等の記録媒体から情報を読み取ることによって、外部から情報を取得してもよい。
【0033】
取得部111は、外部から取得した情報をメモリ部12に適宜記憶する。詳細には、取得部111は、外部から取得した情報の少なくとも一部をデータベースとしてメモリ部12に記憶する。なお、メモリ部12にデータベースとして記憶された情報の少なくとも一部は、所定期間が過ぎた時点で削除されてもよい。本実施形態では、取得部111(処理部11)は、イベント情報と特典情報とを取得する。取得部111は、施設情報とユーザ情報とを取得する。取得部111は、イベント情報、施設情報、特典情報、および、ユーザ情報を外部から取得して、それぞれテーブル情報として記憶する。
【0034】
図3は、イベント情報テーブル121の一例を示す図である。イベント情報テーブル121は、取得部111が取得したイベント情報をテーブル化してメモリ部12に記憶した情報である。なお、取得部111は、例えば、イベント情報管理装置2からイベント情報を取得する。
図3に示すように、イベント情報テーブル121には、イベントID、イベント名、来場者数、開始時刻、終了時刻、および、天候の情報が記憶される。
【0035】
「イベントID」は、イベントの識別コードの情報である。「イベントID」はイベント情報テーブル121の主キーの働きも持ち、イベントID毎にデータレコードが生成され、関連するイベント名、来場者数、開始時刻、終了時刻、および、天候の情報が当該データレコードに記憶されることになる。「イベント名」は、イベントの名称を示す情報である。なお、
図3に示す例では、説明の便宜上、「イベント名」を「イベントE1」といった抽象的な記載とする。ただし、実際には、「イベントE1」は具体的な名称である。以下、これと同様に、テーブル情報について抽象化された記載とすることがある。
【0036】
「来場者」は、イベントが開催されるイベント会場への来場者数を示す情報である。来場者数は、イベント会場への来場予定者数、または、イベント会場へ来場した人の数であってよい。来場者数は、例えば、イベントのチケットの販売数情報や、イベント会場での実際のカウント数に基づいて登録される。「開始時刻」は、イベントの開始予定時刻を示す情報である。「終了時刻」は、イベントの終了予定時刻を示す情報である。「天候」は、イベント会場が存在する地域の天候の情報である。なお、「来場者数」、「開始時刻」、および、「終了時刻」に登録される情報は、例えば、天候やイベントの進行状況等に応じて随時変更されてよい。また、「天候」に登録される情報も、天候の変更に応じて随時変更されてよい。
【0037】
なお、
図3に示す例では、イベントID「EV01」におけるイベントのイベント名は「イベントE1」、来場者数は「来場者数X1」、「開始時刻」は「13:00」、「終了時刻」は「15:00」、天候は「晴」である。また、イベント情報テーブル121は、イベント内容、イベント会場の周辺の地図情報等の他の情報を含んでもよい。
【0038】
図4は、施設情報テーブル122の一例を示す図である。施設情報テーブル122は、取得部111が取得した施設情報をテーブル化してメモリ部12に記憶した情報である。なお、施設は、イベントの開催に対応して特典を提供する店舗等である。取得部111は、例えば、運営者端末3から施設情報を取得してよい。また、取得部111は、各施設が所有する施設端末(不図示)から施設情報を取得してもよい。
図4に示すように、施設情報テーブル122は、施設ID、施設名、施設種類、収容可能人数、および、混雑度(収容中(利用中)人数/収容可能人数)、および、推定混雑度を含む。
【0039】
「施設ID」は、各施設を識別する識別情報である。「施設ID」は施設情報テーブル122の主キーの働きも持ち、施設ID毎にデータレコードが生成され、関連する施設ID、施設名、施設種類、収容可能人数、混雑度、および、推定混雑度の情報が当該データレコードに記憶されることになる。「施設名」は、施設の名称を示す情報である。「施設種類」は、施設で提供するサービスの種類情報である。「収容可能人数」は、施設が収容することができる人の数を示す情報である。収容可能人数は、例えば、施設に備えられる席の数と同じであってよい。「混雑度」は、現在時点(当該データ存在時点)における施設の混雑状況を示す情報で、例えば「収容中(利用中)人数/収容可能人数」の算出式で算出される。なお、収容中人数は、各施設が所有する施設端末から取得する(例えば、各施設の担当者が収容中人数等の混雑度算出用の情報を入力する方法、各施設における来客管理システムにおける来客者データ等を利用する方法により取得する)方法、各施設に滞在するユーザをユーザの位置情報(ユーザ端末4の位置情報)から判定し、その人数を計数する方法、等の方法により取得できる。「推定混雑度」は、詳細は後述するが、特典をある条件でユーザに配布した場合における混雑度の推定値であり、配布する特典の種別および配布数を決定するための処理に使用されるデータとなる。
【0040】
なお、
図4に示す例では、例えば、施設IDが「SH01」で識別される施設は、施設名が「施設M1」、施設種類が「レストラン」、収容可能人数が「収容可能人数N1」、混雑度が「70%」、「推定混雑度」が50%である。また、施設情報テーブル122は、施設の場所、連絡先、営業時間、人気度、時間帯毎の平均混雑度等の他の情報を含んでよい。また、施設情報テーブル122における各項目の登録情報は、適宜更新される。特に、「混雑度」は、変化が生じれば更新され、最新の情報が登録されることになる。
【0041】
図5は、特典情報テーブル123の一例を示す図である。特典情報テーブル123は、取得部111が取得した特典情報をテーブル化してメモリ部12に記憶した情報である。特典情報は、イベントの開催に応じて提供される特典の情報である。取得部111は、例えば、運営者端末3または施設端末(不図示)から特典情報を取得してよい。
図5に示すように、特典情報テーブル123は、特典ID、提供元、特典内容、使用条件、および、提供数を含む。
【0042】
なお、特典は、イベントの開催に応じて店舗等の施設が提供するクーポン等である。どのような種類の特典が提供されるかは、例えば、サービス運営者と施設との事前の協議によって決定される。例えば、常時満席となるような人気施設は、特典の提供を行うと、かえって混雑を引き起こす可能性がある。このような施設の特典は提供しないといった判断も、適宜行われる。上述の協議によって決定される内容の少なくとも一部は、処理部11が適宜判断する構成であってもよい。
【0043】
「特典ID」は、各特典を識別する識別情報である。「特典ID」は特典情報テーブル123の主キーの働きも持ち、特典ID毎にデータレコードが生成され、関連する提供元、特典内容、使用条件、および、提供数の情報が当該データレコードに記憶されることになる。「提供元」は、特典を提供する提供元(提供者)の情報を示す。本実施形態では、「提供元」には、各特典を提供する施設の施設IDが登録される。すなわち、施設情報テーブル122と特典情報テーブル123とは関連付けられるようになっている。
【0044】
「特典内容」は、特典の具体的な内容を示す情報である。特典の具体的内容としては、例えば、特定の料理や飲料を無料で提供するといった内容や、商品の値段の割引を行うといった内容が挙げられる。「使用条件」は、特典の使用条件を示す情報である。使用条件としては、例えば、「当日限り利用可能」、「16時から17時までに入店の場合に利用可能」、「複数名で利用可能」、「滞在時間1時間以内(有効時間長の規定)」といった条件が挙げられる。「提供数」は、各特典が提供される数を示す情報である。本実施形態では、後述のように、特典の提供数は、デフォルト値から適宜値を変更される調整が行われ、当該調整を経て、最終的な値が決定される。
【0045】
なお、
図5に示す例では、特典IDが「TO01」で識別される特典は、特典の提供元の施設IDが「SH01」、特典内容が「特典Z1」、使用条件が「条件J1」、提供数が「提供数V1」である。また、特典情報テーブル123は、ユーザ端末4において特典として機能する特典本体データ等の他の情報を含んでよい。特典本体データは、ユーザ端末4の画面に表示される情報であってよい。特典本体データは、例えば、バーコード情報やQRコード(登録商標)情報等であってよい。そして、バーコード情報やQRコード情報等が施設のサービス提供用端末(料金処理用端末)で読み込まれることにより当該施設利用時に特典が適用されることになる。また、特典情報テーブル123における各項目の登録情報は、適宜更新されてよい。
【0046】
図6は、ユーザ情報テーブル124の一例を示す図である。ユーザ情報テーブル124は、取得部111が取得したユーザ情報をテーブル化してメモリ部12に記憶した情報である。なお、ユーザ情報は、イベントの参加者のうちユーザ登録を行ったユーザの情報である。また、ここではユーザは個人に限らず、グループ(イベントに関して実質的に一緒に行動する人の集まり)も含む広い概念のユーザである。取得部111は、例えば、グループの代表ユーザのユーザ端末4からユーザ情報を取得する。
図6に示すように、ユーザ情報テーブル124は、ユーザID、性別、年齢、趣味、嗜好、および、構成人数を含む。
【0047】
「ユーザID」は、各ユーザを識別する識別情報である。「ユーザID」はユーザ情報テーブル124の主キーの働きも持ち、ユーザ毎にデータレコードが生成され、関連する性別、年齢、趣味、嗜好、および、構成人数の情報が当該データレコードに記憶されることになる。「性別」は、ユーザ(グループ)の性別構成を示す情報である。具体的には、例えば、男性グループ、女性グループ、混成グループと言った情報、あるいは男性・女性の人数情報である。「年齢」は、ユーザ(グループ)の年齢構成を示す情報である。本実施形態では、年齢を10才おきに階層分けした情報である。例えば、「年齢」は、10代、20代、30代等で登録される。ただし、「年齢」は、ユーザの具体的な年齢を示す情報であってよい。なお、グループの場合は、例えば、平均年齢、各年齢層の人数情報となる。「趣味」は、ユーザの趣味を示す情報である。なお、グループの場合は、例えば、人数の多い趣味、グループ全員の各趣味、或いは、グループを代表する者の趣味、の情報となる。「嗜好」は、ユーザの嗜好を示す情報である。なお、グループの場合は、例えば、人数の多い嗜好、グループ全員の各嗜好、或いは、グループを代表する者の嗜好、の情報となる。「構成人数」は、ユーザのグループの構成人数を示す情報である。なお、個人の場合、構成人数は1となる。
【0048】
なお、
図6に示す例では、例えば、ユーザIDが「US01」で識別されるユーザは、性別が「混成(男女混成グループ)」、年齢が「20代」、趣味が「趣味S1」、嗜好が「嗜好T1」、構成人数が「3人」である。また、ユーザ情報テーブル124は、ユーザの氏名、居住地、メールアドレス等の連絡先、現在位置情報等の他の情報を含んでよい。また、ユーザ情報テーブル124における各項目の登録情報は、適宜更新されてよい。
【0049】
人流推定部112(
図2参照)は、イベント情報テーブル121に含まれる情報を用いて人流情報を推定する。なお、人流情報の推定には、イベント情報だけでなく、例えば施設情報テーブル122に登録される情報(施設の人気度や、最寄りの交通機関に関する情報)等も適宜利用されてよい。また、イベント会場周辺に設置されたカメラからのイベント会場周辺画像、各ユーザのユーザ端末4からの位置データ等を収集し、収集した画像の画像解析により求めた各撮影地点の混雑度、各ユーザの存在位置および移動状態等も参考情報として、人流情報を推定するのも有効な方法である。
【0050】
詳細には、人流推定部112は、イベント会場から帰宅する人が移動する移動経路における人の流れを示す人流情報を推定する。人流推定部112は、例えば、イベントの終了時刻から所定時間(例えば10分後や30分後等)が経過したタイミングの人流情報を推定する。人流情報の推定には、公知の人流シミュレーション用のソフトウェア等が利用されてよい。一例として、人流推定部112は、人工知能を利用した推定モデルを利用して人流情報を推定する構成であってよい。推定モデルは、イベント情報等における各種の情報が入力されることで移動経路における人流情報を推定して出力する予測モデルである。推定モデルは、過去のイベントにおけるデータを学習データでとして学習することにより、作成することができる。具体的には、推定時の用いる入力データ種別によるが、例えば、学習データの入力情報としては、過去のイベントにおける実際の各種情報、例えば来場者数、イベント終了時刻等のイベント情報、天候等の環境情報、イベント終了時刻から各経過時間の人流情報(例えばイベント終了からの各経過時間(人流制御用データとして適した所定時間間隔)における各地点の人密度、イベント会場からの主要経路における移動時間、各施設の混雑度等)などを用いることになる。また、正解データとしては、過去のイベントにおける実際の人流情報(イベント終了時刻からの経過時間が入力データにおける経過時間より長い場合のデータ)を用いることになる。そして、生成された推定モデルに、上述のような学習に用いた入力情報を入力することにより、当該モデルから人流情報の推定情報が出力されることになる。なお、学習済みの推定モデルは、メモリ部12に記憶されて利用されることになる。
【0051】
図7は、人流情報の推定が行われる状況の一例を示す模式図である。
図7に示す例では、イベント会場EVと駅ST1および駅ST2との間の各移動経路B(予め設定された主要経路)における人流情報が推定される。駅ST1および駅ST2は、イベント会場EVからの最寄り駅である。移動経路Bは、人が歩いて移動する道路であり、例えば歩道等である。移動経路Bは、ここで、第1経路B1と、第2経路B2と、第3経路B3と、第4経路B4である。また、第1経路B1沿いには、施設M1、施設M2、および、施設M3が存在する。第2経路B2沿いには、施設M4が存在する。第3経路B3沿いには、施設M5および施設M6が存在する。第4経路B4沿いには、施設M7および施設M8が存在する。なお、ここでは、施設M1等は、上述の施設名(
図4参照)である。各施設M1~M8は、特典の提供を行う。
【0052】
図8は、人流推定部112によって推定された人流情報の一例を示す図である。推定された人流情報は、
図8に示すようにテーブル化されてメモリ部12に適宜記憶される(
図2の人流テーブル125に相当)。
図8に示す例において、推定された人流情報には、各移動経路Bについて、特典を配布しない場合と特典を配布した場合との各々の場合の推定移動時間と推定混雑度とが含まれる。
【0053】
「推定移動時間(特典無)」及び「推定移動時間(特典有)」は、各経路B1~B4における、イベント会場EVから駅ST1および駅ST2までの移動に要すると推定される時間の情報である。「推定混雑度(特典無)」及び「推定混雑度(特典有)」は、各経路における混雑度の推定情報である。混雑度は、各場所における混雑状況の度合いを示す指標値である。詳細には、混雑度は、例えば、移動経路Bを移動すると推定される人の密度、例えば10mと言った経路における所定距離当たりの平均人数等であってよい。混雑度は、人の密度や混雑率の大きさに応じて数段階にレベル分けされたレベル値で示される情報であってもよい。
【0054】
なお、
図8に示す例では、例えば、第1経路B1は、推定移動時間(特典無)が「時間Ya1」、推定移動時間(特典有)が「時間Yb1」、推定混雑度(特典無)が「混雑度Ka1」、推定混雑度(特典有)が「混雑度Kb1」である。
【0055】
詳細には、人流推定部112が推定する情報には、第1人流情報と第2人流情報とが含まれる。第1人流情報は、特典情報は用いられずに推定される。すなわち、第1人流情報は、特典を利用した混雑緩和が行われない場合の人流情報である。一方、第2人流情報は、特典情報も用いて推定される。すなわち、第2人流情報は、特典を利用した混雑緩和が行われる場合の人流情報である。人流推定部112は、特典の提供によって所定数のユーザが施設に誘引され、各経路Bの人流が変化するものとして第2人流情報の推定を行う。なお、施設に誘引されるユーザの数は、特典内容及び特典配布数等により推定される。例えば、特典内容に対応して設定された施設利用率(例えば、過去の実績等に基づき設定する)に特典配布数を乗じて推定する。また、第1人流情報と第2人流情報は、時間経過に伴う人流の変化の情報でも良いが、推定処理の負荷、推定の困難さ等を考慮すれば、ひどい混雑に対する対策の実施が求められる期間後の人流情報、一般的には推定時刻の30分後程度(イベントに応じて設定される期間)経過後の人流、あるいは1時間後程度経過するまでの人流情報(継続情報)が現実的なものとなる。
【0056】
ある施設の特典を配布した場合、当該施設にユーザが誘引され、そして施設に滞在することになるため、イベント会場から当該施設への経路の混雑度は増加し、他の経路は混雑度が減少することになる。また、混雑度は移動に支障が無い程度に低下するのが好ましく、さらに経路の目的地となる駅ST等の混雑も交通機関の利用に支障が無い程度に低下するのが好ましい。但し、イベント終了直後の著しい混雑時には、混雑度を移動に支障が無い程度に低下することは困難であるため、各経路の混雑度が均等で、また各駅ST等の混雑も均等であるのが好ましい。従って、このような混雑状況となるように、各施設の特典を配布するのが好ましいと言うことになる。
【0057】
図2に戻って、調整部113(処理部11)は、人流推定部112によって推定された人流情報に基づき特典の提供数を調整する。調整部113は、複数の施設が提供する各特典から、配布する特典種別及び各特典の提供数のそれぞれを、人流推定部112によって推定された人流情報に基づき変更する。これにより、イベント終了時における特典を用いた混雑の緩和を適切に行うことができる。
【0058】
なお、各特典の提供数は、当該特典を提供する施設が設定した上限提供数により制限されることになる。さらに、各施設には、その大きさや座席数に応じた収容上限人数があり、また施設滞在中のユーザも存在するので、当該施設に係る各特典の提供数は当該施設の現在(特典提供時点)混雑度により制限されることになる。
【0059】
詳細には、調整部113は、特典の提供数の調整に際して、人流情報に含まれる混雑情報を用いる。具体的には、特典の提供数の調整に用いる混雑情報は、イベント会場周辺の主要経路の混雑情報、そして特典が利用される施設の混雑情報を含む。また、特典の提供数の調整に用いる混雑情報は、これら以外の場所の混雑情報をさらに含んでもよく、例えば、イベント会場の混雑情報や最寄りの駅等の混雑情報をさらに含んでもよい。混雑情報は、詳細には、上述した推定混雑度(
図8参照)であってよい。
【0060】
本実施形態では、調整部113(処理部11)は、イベント会場周辺の主要経路や公共交通機関の停車場所(駅等)の混雑度、およびイベント会場周辺の施設の混雑度に応じて、イベント会場周辺の施設が発行する特典の種別及び提供数を調整する。これにより、特典を提供する施設における混雑の抑制を図りつつ、イベント会場から帰宅する者が利用する交通機関の停車場所や当該停車場所等への道路(帰宅経路)の混雑緩和を図ることができる。
【0061】
詳細には、処理部11は、上述の特典の提供数の仮設定と、当該仮設定による特典の提供状態における上述の人流情報の推定を、適当な仮設定パターン毎に行う。そして、各パターンの元で推定された人流情報に基づき、混雑緩和効果が最もあると判断できる仮設定パターンを最適な特典の提供パターンと決定する。このような構成では、特典の提供数の調整を行った後に、人流情報の推定によって混雑情報および混雑緩和の効果を確認することができる。そして、特典の提供数をより良い数に設定することができる。特典の提供数がより良い数に調整されることで、各施設における混雑の抑制を図りつつ、イベント後におけるイベント会場からの各退去経路や最寄り駅等の混雑を適切に緩和することができる。
【0062】
具体的には、処理部11は、施設テーブル122から各施設における現在の混雑度を取得し、各施設の混雑度に基づき各施設が発行する特典の上限提供数を決定する。なお、特典の上限提供数は、特典テーブル123における対応する特典の提供数以下となるように制限される。この処理により、各施設が特典の発行により過度な混雑状態となることを防止することができる。
【0063】
なお、特典の上限提供数は、特典の集客効果(予め推定設定された集客率:特典使用数/特典提供数)と、特典提供施設の収容可能人数と、現在混雑度に基づき決定することができる。例えば、次の算出式により設定できる。なお、特典提供施設が複数種の特典を提供する場合、各特典の集客効果を加算した集客効果を考慮して、各特典の上限提供数を決定する必要がある。
上限提供数 = 収容可能人数 ×(1-現在混雑度)/集客率 - 余裕数
【0064】
処理部11は、各特典の上限提供数を上限として各特典の仮提供数を設定し、そして当該仮提供数に基づき人流情報を推定する。そして処理部11は、推定した人流情報を人流テーブル125における各経路に対して推定混雑度(特典有)、推定移動時間(特典有)として記憶する。また処理部11は、その際の各特典の仮提供数を特典情報テーブル123における各特典の提供数として記憶する。
【0065】
処理部11は、他の特典提供パターンで各特典の仮提供数を設定し、上記と同様に人流情報を推定する。そして処理部11は、人流テーブル125に記憶された推定混雑度(特典有)、推定移動時間(特典有)と、新たな特典提供パターンで推定した人流情報の推定混雑度(特典有)、推定移動時間(特典有)とを比較する。そして処理部11は、混雑緩和効果の大きい方の特典提供パターンに基づき特典情報テーブル123における各特典の提供数を更新する。また、処理部11は、混雑緩和効果の大きい方の特典提供パターンにおける推定人流情報で人流テーブル125を更新する。その後、処理部11は、適度に設定される各特典提供パターンで上記処理を繰り返し、結果、最適な特典提供パターンに基づく各特典の提供数が特典情報テーブル123に記憶されることになる。
【0066】
また、処理部11は、最適な特典提供パターンを決定した後に、当該特典提供パターンに基づき各施設の推定混雑度(各施設の現在混雑度と特典提供による集客数に基づき推定)を推定し、施設情報テーブル122における各施設の推定混雑度として記憶(更新)する。この方法により、各特典の提供数が各施設の混雑度が過度にならない範囲で、イベント会場周辺の混雑が効果的に低減されるように、各特典の提供数が決定されることになる。
【0067】
他の特典提供パターンの決定方法として、処理部11は、上述した特典の提供数の調整と、調整後における人流情報の推定との繰り返し処理(仮設定のパターン変更)を、例えば、次の2つの条件を満たした場合に自動的に終了するようにしてよい。第1の条件は、各施設の推定混雑度が予め設定した第1閾値を超えないことである(上述のように予め現在混雑度等に基づく特典提供数の上限を設定することは行わない)。第2の条件は、混雑緩和の効果が予め設定した第2閾値以上(例えば、各経路の混雑度が20%低減)になることである。
【0068】
この構成では、処理部11は、最後の人流情報の推定に用いた特典の提供数を、特典の最終的な提供数に決定することができる。処理部11は、2つの条件の両方が満たされない場合には、各施設における特典の提供数を、2つの条件が満たされることを狙って調整する。当該調整により、特典情報テーブル123の「提供数」の登録情報が更新される。そして、処理部11は、調整を行った特典の提供数で人流情報の推定を再度行って、推定混雑度と混雑緩和の効果とを再度求めて2つの条件を満たすか判定する。
【0069】
なお、上述の繰り返し処理の終了タイミングは、処理部11が自動的に判定する代わりに、サービス運営会社に属する者等の人が判定する構成としてもよい。この場合には、処理部11が推定混雑度と混雑緩和の効果とを外部に出力して、当該出力された値を人が見て繰り返し処理を終了するか否かを判定する構成としてよい。
【0070】
また、上述の繰り返し処理は、例えば、所定時間或いは所定回数繰り返された後に終了する構成としてよい。この場合には、繰り返し処理の各回で得られた推定混雑度および混雑緩和の効果について、最も結果が良かった回を判定する。そして、最も結果が良かった回の特典の提供数が、特典の最終的な提供数とされてよい。
【0071】
また、処理部11は、特典の最終的な提供数を得るまでの間に、少なくとも1種類の特典について質の変更を行って人流情報の推定を行ってもよい。このような構成とすると、特典による集客率が変わって特典を利用した施設への誘引状況を変更することができ、混雑緩和により適した特典の提供が可能になる。
【0072】
例えば、質の変更は、特典の使用条件の変更であってよい。詳細には、質の変更は、特典に使用時間帯制限を設けることであってよい。使用時間帯制限は、例えば、施設使用(滞在)時間帯が18:00~19:00の間で特典内容が有効と言った内容である。使用時間制限を与えることによって、特典の利用を目的とするユーザが施設を訪れるタイミングを調整することができる。すなわち、特典を利用して適切に混雑緩和を図ることができる。
【0073】
また、例えば、質の変更は、特典が生じる有効時間長を設けることであってよい。有効時間長は、特典が生じる施設使用(滞在)時間長であって、例えば、施設滞在時間が有効時間長以内(例えば、1時間以内)であれば特典が生じる(有効となる)と言ったものである。
【0074】
また、例えば、質の変更は、情報処理システム100に登録しているユーザの特性に基づいて決められてよい。ユーザの特性は、年齢、性別、趣味、又は、嗜好等であってよい。例えば、ユーザ登録を行っている者の中に成人の登録者が多い場合に、特典の内容を飲酒に関する特典に変更する等してよい。
【0075】
通知部114(
図2参照)は、各施設から提供されている特典の情報を、情報処理システム100に登録しているユーザに通知する。当該通知は、例えば、ユーザ端末4を利用したユーザからの要求により行われる構成とされてよい。詳細には、通知部114は、ユーザ端末4の画面に提供中の特典を表示させる処理を行う。
【0076】
すなわち、処理部11は、特典の最終的な提供数が得られた後に、特典の紹介情報をユーザ端末4の画面に表示させる(ユーザ端末に当該データを送信する)。これにより、ユーザは、どのような特典が提供されているのかを簡単に把握することができる。
【0077】
付与部115(
図2参照)は、ユーザ端末4を利用したユーザからの要求によって、特典をユーザに付与する処理を行う。ユーザは、例えば、ユーザ端末4に表示される特典の付与を要求するボタンをタッチ等により操作して、特典の付与を要求する。付与部115は、特典の付与の要求があると、当該特典の付与を要求したユーザのユーザ端末4に特典本体データ(QRコード等)を送信する。これにより、特典の付与が完了する。なお、特典本体データを送信する代わりに、特典本体データのダウンロードを可能とする情報(URL情報等)が、ユーザ端末4に送信されてもよい。なお、特典が付与されると、付与済み特典件数、残り特典件数(付与可能件数)のデータが記憶(更新)され、これらデータが以降の特典付与処理に使用される。
【0078】
なお、特典は、特典の情報(内容)がユーザ端末4に画面表示可能となったタイミングと同時に付与可能とされてよい。また、別の例として、特典は、特典の情報がユーザ端末4に画面表示可能となったタイミングより遅れて付与可能とされてもよい。また、特典の付与は、特典を提供する施設の混雑度が、所定の上限値を超えた時点で中止されてもよい。所定の上限値は、混雑率80%等であってよい。混雑度は、例えば、各施設に配置されるセンサ(赤外線センサやカメラ等)を用いて得られる現在の混雑度、或いは、将来の予想混雑度であってもよい。将来の予想混雑度は、施設情報に含まれる過去の時間帯毎の混雑度情報等を用いて求められてよい。
【0079】
<3.情報処理方法>
次に、情報処理装置1を用いて行われる情報処理方法について説明する。なお、本実施形態の情報処理方法の少なくとも一部をコンピュータ装置に実現させるコンピュータプログラムは、本実施形態の範囲に含まれる。また、そのようなコンピュータプログラムを記録するコンピュータ読取り可能な不揮発性記録媒体は、本実施形態の範囲に含まれる。
【0080】
図9は、特典の提供数を決めるために行わる情報処理方法の流れを例示するフローチャートである。
図9に示す処理は、処理部11により実行され、例えば、イベント情報が決定、或いは、概ね決定した段階で開始されることが好ましい。例えば、イベントの来場者数、天候、および、イベントの終了時刻等は、イベント当日にならないと決定させることが難しい。このために、
図9に示す処理は、少なくともイベント当日が好ましく、イベントが開始された後であることがより好ましい。ただし、特典の提供は、イベント会場から帰宅する者の施設への誘引が主要な目的である。このために、特典の提供数は、イベントの終了時点では決定されていることが好ましい。
図9に示す処理は、これらのことを考慮した適切なタイミングで開始される。
【0081】
なお、特典の提供タイミングは、複数回に分けて行われてもよい。例えば、人流シミュレーションによって、イベント終了から1時間後に特定の地点で深刻な混雑が発生することが推定されることもあり得る。このような場合には、例えば、イベント終了直後と、イベント終了から30分後とに分けて、あるいは、或る地点で混雑度が急上昇した等、新たな混雑緩和の対策を行った方が良いと判断される等のタイミングで特典の提供が行われてよい。例えば、先に提供する特典の提供数と、後に提供する特典の提供数とを別々のタイミングで決定してもよい。そして、このような例では、後に提供する特典の提供数は、イベント終了後に決定されてよい。このような例の詳細については後述する。
【0082】
図9に示すステップS1では、取得部111が、各種の情報を取得する。各種の情報は、人流シミュレーションを行うために必要な情報である。各種の情報には、イベント情報および特典情報が含まれる。各種の情報の取得には、情報処理装置1の外部からの情報の取得と、情報処理装置1が有するメモリ部12からの情報の読み出しとが含まれてよい。メモリ部12からの情報の読み出しには、イベント情報テーブル121、施設情報テーブル122、および、特典情報テーブル123からの情報の読み出しが含まれてよい。各種の情報の取得が完了すると、次のステップS2に処理が進められる。
【0083】
ステップS2では、調整部113が、各施設における各特典の内容と最大提供数を設定する。この設定は、各施設が設定した特典内容と提供数、また各施設の混雑度に基づき設定される。
【0084】
ステップS3では、調整部113が、人流推定(シミュレーション)に用いる仮特典提供パターンの設定を行う。つまり、当該仮特典提供パターンに従って特典を提供するとどのような人流になるかを推定するために、人流推定処理用の仮特典提供パターンが設定される。
【0085】
ステップS4では、人流推定部112が、イベント会場周辺における主要経路の混雑度、移動時間、また各施設の混雑度情報と言った人流情報を推定する。また、人流推定部112は推定した混雑度情報に基づき混雑緩和効果を算出する。
【0086】
ステップS5では、調整部113が、算出した混雑緩和効果と、記憶されている以前に推定・算出された人流情報に基づく混雑緩和効果とを比較し、今回の混雑緩和効果が大きい場合はステップS6に移り、今回の混雑緩和効果が小さい場合はステップS7に移る。なお、初回の人流情報推定、混雑緩和効果算出の場合は、ステップS6に移ることになる。
【0087】
ステップS6では、調整部113が、今回の仮特典提供パターンと、推定した人流情報、及び混雑緩和効果をメモリ部12に記憶し、ステップS7に移る。ステップS7では、調整部113が、全ての仮特典提供パターンによる人流情報推定、混雑緩和効果算出が終了したか判定し、終了していればステップS8に移り、終了していなければステップS3にもどり、次の仮特典提供パターンの設定を行う。
【0088】
このような処理により、ステップS8の処理の直前では、最も混雑緩和効果が大きいと推定される仮特典提供パターンがメモリ部12に記憶されることになる。ステップS8では、調整部113が、メモリ部12に記憶されている最も混雑緩和効果が大きい仮特典提供パターンを、実際に提供する特典提供パターンとして決定する。そして、ステップS9では、決定した特典提供パターンに基づく特典提供処理を開始(処理の実行を許可)し、
図9に示す処理を終える。
【0089】
図9の処理の完了により、各施設が提供する各特典の内容及び提供数が決定する。特典の内容及び提供数が決定すると、特典の内容について、ユーザに通知可能となる。本実施形態の情報処理方法では、イベントの情報と特典の情報とを用いた人流情報の推定と、人流情報に基づく特典の提供数の調整とを行って提供数が決定された特典の紹介情報をユーザ端末4に表示させる処理を、装置1が実行する。以下、特典の提供数が決定された後に行われる情報処理方法の詳細例について説明する。
【0090】
図10は、特典の提供数が決定された後に行われる情報処理方法の流れを例示するフローチャートである。なお、
図10に示す処理は、特典の提供数が決定されたタイミングで即座に開始されてもよいが、予め決められたタイミングで開始されてもよい。予め決められたタイミングは、例えば、イベント終了時刻の30分前等であってよい。
【0091】
ステップS11では、通知部114が、ユーザ(ユーザ端末4)からの特典の表示要求を監視する。表示要求があった場合(ステップS11でYes)、次のステップS12に処理が進められる。表示要求がない場合(ステップS11でNo)、ステップS11の処理が繰り返される。
【0092】
ステップS12では、通知部114が、提供中の各種の特典の紹介情報を、ユーザ端末4に表示させる表示処理を行う。当該表示処理に応じて、ユーザ端末4においては、提供中の各種の特典の紹介情報が表示される。提供中の各種の特典の紹介情報は、例えば、特典の提供元と、特典の簡単な内容説明を一覧で表示する画面等であってよい。表示処理が完了すると、次のステップS13に処理が進められる。
【0093】
ステップS13では、付与部115が、ユーザ(ユーザ端末4)からの特典の付与要求を監視する。例えば、ユーザは、自身のユーザ端末4の画面に表示される特典の一覧の中に付与を希望する特典があれば、画面操作等によって特典の付与を要求する。当該付与要求があった場合、付与部115が、付与要求があったことを認識する。付与要求があった場合(ステップS13でYes)、次のステップS14に処理が進められる。一方、付与要求がない場合(ステップS13でNo)、ステップS13の処理を繰り返す。
【0094】
なお、ステップS13の監視処理は、ユーザが自身のユーザ端末4に特典の紹介情報(一覧等)を表示させ続けていることが前提となる。ユーザが特典の紹介情報を表示させた後、当該表示を見ることを辞めたとする。この場合、ユーザは、再度、特典の紹介情報の表示要求を行うことになる。再度の紹介情報の表示要求があった場合には、先のステップS13の監視処理は終了される。
【0095】
ステップS14では、付与部115が、ユーザ端末4に特典本体データを送信して、特典を付与する。特典本体データは、ユーザ端末4に送信されることで、ユーザ端末4上で、特典として機能することができるデータである。特典の付与によって、
図10に示す処理は完了する。
【0096】
(3-1.有効時間長制限特典)
特典が生じる有効時間長が制限された有効時間長制限特典について説明する。有効時間長制限特典は、例えば入店後1時間以内は特典を得られる、つまり入店後1時間を越えれば特典が無効化される特典である。なお、例えば、上記例においては、入店後1時間を越えれば全特典が無効化される種類の特典と、入店後1時間を越えた後に行った注文等に対して特典が無効となる種類の特典とがあるが、本実施形態は両方の種類に適用可能である。
【0097】
図11は、有効時間長制限特典の内容及び制限時間長を決定するための有効時間長制限特典テーブル126を示す図で、有効時間長制限特典テーブル126はメモリ部12に記憶されることになる。
【0098】
特典テーブル126は、縦軸(行)がイベント会場周辺混雑度レベルで、横軸(列)が施設(特典テーブル126の対象施設)混雑度レベルとなっている。なお、
図11の例では、各レベルは5段階になっている。また、特典テーブル126は、イベント会場周辺混雑度レベルと施設混雑度レベルの組み合わせで特典内容と有効時間長が決定される2次元テーブル構造となっている。なお、ここでは、特典内容はイベント会場周辺混雑度レベルで決まる内容、つまり人流誘引レベルに応じた内容(混雑度が大きいほど、人流誘引効果が大きい内容)となっている。また、有効時間長は施設混雑度レベルで決まる内容(混雑度が大きいほど、引き留め効果が小さい内容)となっている。なお、イベント会場周辺混雑度レベルとしては、イベント会場近接領域の人密度や、各経路の混雑度の平均等のデータを用いればよい。
【0099】
そして、処理部11の調整部113は、取得、算出したイベント会場周辺混雑度レベル及び施設混雑度に基づき、該当施設における特典内容とその有効時間長を決定する。その後、調整部113は上述の方法により、特典の提供数を決定し、処理部11は当該提供数で対象の特典を提供する。
【0100】
図12は、施設(ここでは店舗とする)において特典使用者の管理に用いる使用特典テーブル127を示す図で、使用特典テーブル127はメモリ部12に記憶されることになる。なお、本例では、情報処理装置1が特典使用者管理も行うが、各店舗の端末で行うことも可能である。
【0101】
使用特典テーブル127は、特典使用者ユーザIDを主キーとして生成された各データレコードに、特典内容、入店時間 、経過時間(分)、特典の有効時間長(分)、残時間(分)が記憶されるデータテーブルである。特典使用者が施設を訪れて特典の使用登録を行った時点で、データレコードが生成されて、特典使用者ユーザID(特典の使用登録に基づき取得)と、有効時間長、及び入店時間(特典の使用登録における情報と時刻を取得)が記憶される。また、経過時間は現在時間と入店時間の差に基き順次更新され、また残時間は有効時間長と経過時間の差に基き順次更新される。
【0102】
次に有効時間長制限特典の使用時の処理(有効時間長制限特典処理)について説明する。
図13は、有効時間長制限特典処理を示すフローチャートで、情報処理装置1の処理部11が行う。なお、有効時間長制限特典処理は、施設設置の情報処理装置、あるいはユーザ端末4で実行することも可能で、またこれらの各装置が連携して実行することも可能である。なお、この処理は、ユーザが特典提供施設で特典使用申請(例えば、ユーザ端末4による入店処理)を行った時に実行される。
【0103】
ステップS31では、処理部11が、ユーザ端末4から各種ユーザ情報、特典情報を取得してメモリ部12に記憶し、ステップS32に移動する。具体的には、処理部11は、使用特典テーブル127にデータレコードを生成し、当該データレコードに特典使用者ユーザID、特典内容、入店時間および特典の有効時間長のデータを登録(記憶)する。また、処理部11は、入店時間からの経過時間の計時を開始し、その後は随時、経過時間と有効時間長に基づき特典に対する有効時間の残時間を算出し、特典テーブル127の該当データレコードの各データを更新することになる。
【0104】
ステップS32では、処理部11が、特典テーブル127から特典有効時間の残時間を取得し、ステップS33に移動する。ステップS33では、処理部11が、取得した残時間をユーザ端末4に送信し、ステップS34に移動する。残時間を受信したユーザ端末4は、残時間をディスプレイに表示する。なお、ステップS33において、後述する料金算出方法等を用いて施設利用料金(特典を利用した場合の料金、及び/または特典を利用しない場合の料金)を算出して、算出した施設利用料金もユーザ端末4に送信しても良い。この場合、残時間を受信したユーザ端末4は、施設利用料金をディスプレイに表示する。
【0105】
ステップS34では、処理部11が、残時間が無くなったかどうか判断し、残時間が無くなっていればステップS35に移動し、残時間が有ればステップS36に移動する。ステップS35では、処理部11が、特典有効時間切れの情報をユーザ端末4に送信し、ステップS40に移動する。特典有効時間切れ情報を受信したユーザ端末4は、特典有効時間切れ情報をディスプレイに表示する。
【0106】
ステップS36では、処理部11が、残時間が予め定めた警告時間(閾値)より短時間かどうか判断し、短時間であればステップS37に移動し、短時間でなければステップS40に移動する。ステップS37では、処理部11が、当該施設の混雑度が予め定めた閾値である延長許可閾値(有効時間長の延長をしても支障ないかどうかを判断する閾値)より小さい(混雑していない)かどうか判断し、延長許可閾値より混雑していなければステップS38に移動し、延長許可閾値より混雑していればステップS39に移動する。
【0107】
ステップS38では、処理部11が、特典有効時間長を予め定めた時間長、例えば30分延長し、ステップS40に移動する。これらの処理により、当該施設の混雑度が低く、特典の有効時間長を延長しても支障が無い場合には、特典の有効時間長が延長される。これにより、施設としてはユーザの施設滞在時間の延長が期待でき、またユーザは特典有効時間長が延長される利点を享受できる。また、ステップS39では、特典の有効時間切れの注意情報をユーザ端末4に送信し、ステップS40に移動する。特典有効時間切れ注意情報を受信したユーザ端末4は、特典有効時間切れ注意情報をディスプレイに表示する。
【0108】
ステップS40では、処理部11が、ユーザによる施設利用料の精算処理(操作)があったかどうか判断し(ユーザ端末4からの送信データに基づく)、精算処理があればステップS41に移動し、精算処理がなければステップS32に戻る。そして、ステップS41では、施設利用料の算出、金融処理等の精算処理を行い、処理を終える。
【0109】
このような処理により、特典の有効時間の残り時間の報知、特典の有効時間切れの報知、特典の有効時間切れ間近の報知、施設の混雑状況に応じた特典の有効時間の延長等が適宜好適に行われる。
【0110】
図14は、ユーザ端末4のディスプレイの表示例を示すディスプレイ表示画像図である。表示画像には、特典内容、例えば「全品30%引き」を表示する特典内容表示欄101が設定される。また、表示画像には、入店時間(施設利用開始時間)、例えば「17:20」を表示する施設利用開始時間表示欄102が設定される。表示画像には、特典有効時間長、例えば「90分」を表示する特典有効時間長欄103が設定される。表示画像には、特典有効残時間、例えば「60分」を表示する特典有効残時間欄104が設定される。表示画像には、現在の施設利用料金、例えば「6000円」を表示する現在の料金欄105が設定される。本例では、現在の施設利用料金は、特典が利用可能な場合には特典が適用された料金である。表示画像には、メッセージ、例えば「特典使用中」を表示するメッセージ欄106が設定される。表示画像には、精算操作を行うための「精算」操作ボタン107が設定(表示)される。
【0111】
ユーザが、入店し、特典使用のために後、ユーザ端末4のディスプレイに表示された特典認識用のバーコード等を店舗の端末に読み込ませる等して特典使用申請を行うと、ユーザ端末4のディスプレイに、
図14(a)で示されるような、特典内容、入店時間、特典有効時間長、特典有効残時間、その時点での施設利用料金(店舗利用料金(食事代等))、メッセージ(例えば、特典使用中を示す表示)とが、表示される。そして、特典の残時間が警告時間以下となると、ユーザ端末4のディスプレイには、
図14(b)で示されるように、メッセージ欄に特典の残時間が短くなった旨を知らせるメッセージ(例えば、まもなく特典が無効となります)が表示される。また、特典の残時間が警告時間以下の状態(残時間が0となる以前)で、店舗(施設)の混雑度が延長許可閾値より低い場合は、
図14(c)で示されるように、メッセージ欄に特典の有効時間長が延長された旨を知らせるメッセージ(例えば、有効時間が30分延長されました)が表示され、また特典有効時間長と特典有効残時間の表示が延長された有効時間長に対応する値の表示となる。そして、特典の残時間が0となった後は、
図14(d)で示されるように、メッセージ欄に特典の有効時間長を越えた利用状態になった旨を知らせるメッセージ(例えば、特典無効期間になりました)が表示される。
【0112】
なお、特典有効時間長、特典有効残時間、施設利用料金については、随時最新情報に基づき算出され、ユーザ端末4のディスプレイに表示されることになる。また、施設利用料金については、施設利用料金合計額を特典有効期間長と特典無効期間長との比で分割し、特典有効期間長分は特典内容で割引した料金とし、また特典無効期間長分については特典を適用しない料金とし、これら特典適用料金と特典非適用料金の和を最終的な施設利用料金とする等の方法を適用して、算出することができる。
【0113】
なお、これらの表示処理は、情報処理装置1で表示情報を生成してユーザ端末4に送信して、ユーザ端末4のコントローラが受信した表示情報をディスプレイに表示する方法や、情報処理装置1から表示情報を生成する各種情報をユーザ端末4に送信し、ユーザ端末4のコントローラが受信した各種情報に基づき表示情報を生成してディスプレイに表示する方法等で実現できる。
【0114】
<4.変形例>
以上に説明した実施形態の変形例について、以下説明する。変形例の説明に際しては、上述の実施形態と異なる点を中心に説明する。上述の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0115】
[4-1.第1変形例]
図15は、第1変形例の情報処理装置1Aの構成を示すブロック図である。第1変形例の情報処理装置1Aは、処理部11Aが興味度推定部116を備える点が、上述の実施形態と異なる。なお、興味度推定部116は、他の要素111~115と同じく、処理部11Aの機能を示す機能部である。興味度推定部116の機能は、例えば、メモリ部12に記憶されるプログラムにしたがった演算処理をプロセッサが実行することによって実現される。
【0116】
本変形例でも、取得部111(処理部11A)は、ユーザ端末4からユーザ情報を取得する。ユーザ情報は、ユーザ情報テーブル124とされてメモリ部12に記憶される。興味度推定部116(処理部11A)は、ユーザ情報に基づき特典の興味度を推定する。特典は、通常、複数種類存在する。このために、興味度推定部116は、複数種類の特典のそれぞれについてユーザの興味度を推定する。
【0117】
興味度は、興味の度合いを表す指標であり、興味度が高いほど、対象となる特典への関心が高いことを意味する。興味度は、例えば、興味があるか否かの2分類で表されてもよいが、3分類以上で表されることが好ましい。興味度の推定には、ユーザの特性が利用される。ユーザの特性には、性別、年齢、趣味、および、嗜好等が含まれる。例えば、ユーザが成人である場合、飲酒可能店が提供する特典について関心があると推定される。当該特典の興味度が高く推定される。
【0118】
本変形例でも、通知部114は、ユーザ端末4の画面に提供中の特典を表示させる処理を行う。ただし、本変形例では、通知部114は、興味度推定部116で得られたユーザの各特典に対する興味度を反映する形式で、ユーザ端末4の画面に特典の紹介情報を表示させる。
【0119】
詳細には、通知部114(処理部11A)は、興味度に応じてユーザ端末4の画面に表示させる特典の紹介情報の表示順位を決める。このような構成では、ユーザの興味度が高い特典を、ユーザ端末4の画面において上位に表示させることができる。この結果、ユーザが特典の付与を希望する可能性を高めることができる。すなわち、特典を利用した人流の誘導による混雑緩和を図れる可能性を高めることができる。
【0120】
図16は、第1変形例における、特典の提供数が決定された後に行われる情報処理方法の流れを例示するフローチャートである。
図16に示すフローチャートは、
図10に示すフローチャートと概ね同じである。ただし、
図10におけるステップS11とステップS12との間に、興味度推定を行うステップS15が追加されている点が
図10に示す構成と相違する。ステップS15の興味度推定を行う処理の追加により、ステップS12の表示処理の際に、ユーザ端末4の表示画面において、ユーザの興味度を考慮した画面表示を行うことができる。ユーザ端末4の表示画面に、ユーザの興味が高い特典を上位として表示させることができる。
【0121】
[4-2.第2変形例]
以上に説明した実施形態においては、特典の提供元が、イベントの会場周辺に存在する施設のみである構成とした。これについて、次のようなことが言える。特典の提供元には、イベントの会場周辺に存在する施設と、イベントに参加する者とのうち、少なくとも施設が含まることが好ましい。これにより、特典の提供を安定して行うことが期待できる。また、これにより、地域の活性化を促進することができる。
【0122】
なお、本明細書において、イベントの会場周辺に存在する施設には、イベント会場の直ぐ近くの施設だけでなく、イベント会場の最寄りにある交通機関の停車場等の近くに存在する施設も広く含まれる。
【0123】
第2変形例では、イベントの会場周辺に存在する施設だけでなく、イベントに参加する者(イベント参加者)が、特典の提供元になれるようになっている。この点が、上述の実施形態と異なる。特典の提供元となるイベント参加者は、情報処理システム100における登録者であり、且つ、特典の付与を受けることも可能であるために、上述の実施形態におけるユーザと見なせる。
【0124】
このような構成とすると、ユーザ目線からの特典の提供が可能である。このような構成とすると、特典の提供の種類の幅を増やすことができ、ユーザが特典の利用を希望する可能性を高めることができる。すなわち、特典を利用した人流の誘導による混雑緩和を図れる可能性を高めることができる。
【0125】
図17は、第2変形例における特典情報テーブル123Bを例示する図である。特典の提供元となるイベント参加者は、特典の提供を受けるユーザともなれるために、ユーザIDが付与される。そして、ユーザが特典の提供元である場合、
図17に示すように、特典情報テーブル123Bの「提供元」に施設IDではなく、ユーザID(
図17において「US01」や「US03」が該当)が登録されることになる。
【0126】
なお、特典の提供元となるユーザは、ユーザ端末4を利用して、自身が提供する特典の情報を情報処理装置に送信してよい。情報処理装置は、当該送信を受けて、特典情報テーブル123Bの情報を適宜更新する。
【0127】
また、ユーザが提供する特典は、例えば、イベントに関連したファン交流会参加券等であってよい。ファン交流会参加券は、イベントの会場付近にある公園や店等の施設を利用して開催されてよい。
【0128】
[4-3.第3変形例]
図18は、第3変形例に係る情報処理システム100Cの概略の構成を示す図である。第3変形例では、施設端末6が通信ネットワーク5を介して、情報処理装置1Cと通信可能に接続された構成である点が以上に示した実施形態と異なる。また、第3変形例では、第2変形例と同様に、イベント参加者であって情報処理システム100Cに登録しているユーザが特典の提供元となり得る点が上述の実施形態と異なる。なお、ユーザが特典の提供元となり得る点は、上述の第2変形例と同様である。
【0129】
施設端末6は、施設が所有する端末装置である。施設端末6は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、又は、スマートフォン等の端末装置であってよい。
【0130】
本変形例では、情報処理装置1Cが備える処理部11Cは、特典の最終的な提供数が得られた後に、追加の特典の提供数の調整を行う。すなわち、本変形例では、先に提供数を決めた特典とは別の種類の特典を、追加で提供可能となっている。このような構成とすると、例えばイベント当日の状況を考慮した新たな種類の特典の提供が可能であり、ユーザが特典を利用する可能性を高めることができる。すなわち、特典を利用した人流の誘導による混雑緩和を図れる可能性を高めることができる。
【0131】
また、本変形例において、追加の特典の提供元には、イベントに参加する者(ユーザ)が含まれる。このような構成とすると、特典の提供の種類の幅を増やすことができ、ユーザが特典の利用を希望する可能性を高めることができる。すなわち、特典を利用した人流の誘導による混雑緩和を図れる可能性を高めることができる。
【0132】
なお、本変形例では、追加の特典の提供元は、イベントの会場付近に存在する施設と、イベントの参加者(ユーザ)との両方である。ただし、これらの両者のうちのいずれか一方のみが、追加の特典の提供元となる構成としてもよい。
【0133】
図19は、第3変形例における特典情報テーブル123Cを例示する図である。第3変形例においては、予定通りに提供数の調整を行って提供が行われる通常の特典と、通常の特典とは別に、イベント当日等に急に追加が要求される追加の特典とが存在する。そして、通常の特典と追加の特典とでは、提供数を決める調整が行われるタイミングが別のタイミングとされる。この点を考慮して、特典情報テーブル123Cには、「特典タイプ」という項目が設けられている。特典情報テーブル123Cにおいて、「特典タイプ」は、通常の特典であるか、追加の特典であるかを示す情報である。
【0134】
なお、
図19に示す例では、特典ID「TO07」と「TO08」とが追加の特典である。特典ID「TO07」の特典は、施設(施設ID:SH03)によって提供される。特典ID「TO08」の特典は、ユーザによって提供される。
【0135】
図20は、追加の特典の提供数を決定する処理の流れを例示するフローチャートである。
【0136】
ステップS21では、処理部11Cが、追加の特典の提供数を決定する決定処理の実行タイミングであるか否かを監視する。本実施形態では、通常の特典の提供数を決定する処理(
図9に示す処理)が完了していることが条件とされる。例えば。イベントの終了時刻の30分前や、イベントの終了時刻から30分後等が、実行タイミングに該当する。実行タイミングである場合(ステップS21でYes)、次のステップS22に処理が進められる。実行タイミングでない場合(ステップS21でNo)、ステップS21の処理が繰り返される。
【0137】
ステップS22では、処理部11Cが、追加の特典があるか否かを判定する。追加の特典は、ユーザ端末4や施設端末6を利用して、処理部11Cに追加が要求される。要求を受けた処理部11Cは、追加の特典の情報を特典情報テーブル123Cに登録する。このために、追加の特典があるか否かは、特典情報テーブル123Cを確認することにより判定することができる。追加の特典がない場合(ステップS22でNo)、追加の特典の提供数を決定する必要がないために、
図20に示す処理は終了される。追加の特典がある場合(ステップS22でYes)、次のステップS23に処理が進められる。
【0138】
ステップS23では、追加の特典の提供数を決定する処理(決定処理)が行われる。当該決定処理は、
図9に示す通常の特典の提供数の決定処理と同様である。このために、詳細な説明は省略する。なお、追加の特典の提供数を決定する際には、既に提供数が決定された通常の特典が存在する。処理部11は、通常の特典については提供数を既に決定した数に固定して、追加の特典についてのみ提供数の調整を行ってよい。そして、提供数の調整と、調整後の人流情報の推定とを行いながら、提供数の最終的な数の決定が行われてよい。
【0139】
なお、追加の特典の提供が決定した場合、追加の特典に関する情報を運営者端末3に通知することが好ましい。
【0140】
<5.留意事項等>
本明細書の、発明を実施するための形態に開示される種々の技術的特徴は、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。また、本明細書の、発明を実施するための形態に開示される複数の実施形態および変形例は可能な範囲で組み合わせて実施されてよい。
【符号の説明】
【0141】
1、1A、1C・・・情報処理装置
4・・・ユーザ端末(端末装置)
11、11A、11C・・・処理部