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特開2024-141160車載機器設定装置、車載機器設定方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141160
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】車載機器設定装置、車載機器設定方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/037 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B60R16/037
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052651
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】岩嶋 恭子
(72)【発明者】
【氏名】石▲崎▼ 順也
(72)【発明者】
【氏名】菊地 直規
(72)【発明者】
【氏名】松儀 良広
(72)【発明者】
【氏名】久保 永
(72)【発明者】
【氏名】柴田 直生
(72)【発明者】
【氏名】蔡 宇南
(72)【発明者】
【氏名】井上 義章
(72)【発明者】
【氏名】樋口 太也
(72)【発明者】
【氏名】加持 将平
(72)【発明者】
【氏名】山下 智史
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智裕
(57)【要約】
【課題】車載機器に対するユーザごとの設定を好適なタイミングで行うことができる車載機器設定装置、車載機器設定方法、およびプログラムを提供すること。
【解決手段】車両のユーザが所望する車載機器の設定が示されているユーザ設定情報を記憶する記憶部と、選択されたユーザのユーザ設定情報の設定値を対応する車載機器に設定する設定部と、車載機器から、現在設定値を取得し、選択されたユーザのユーザ設定情報の設定値であるユーザ設定値と比較する設定比較部と、ユーザに通知する通知部と、を備え、設定比較部は、現在設定値とユーザ設定値とが異なる車載機器である設定未了車載機器が存在する場合、車両の走行状態を含む走行情報に応じて、設定未了車載機器の存在の通知を行わせ、設定部は、設定未了車載機器に対するユーザ設定値の設定指示がユーザによりされた場合に、走行情報に応じて、ユーザ設定値を設定未了車載機器に設定する、車載機器設定装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のユーザごとに、前記車両に搭載されている車載機器を動作させるための設定を行う車載機器設定装置であって、
前記ユーザが所望する前記車載機器の設定に関する設定情報が前記ユーザごとに示されているユーザ設定情報を記憶する記憶部と、
選択された前記ユーザの前記ユーザ設定情報に示されている前記設定情報が表す設定値を、対応する前記車載機器に設定する設定部と、
前記車載機器から、現在設定されている設定値である現在設定値を取得し、取得した前記現在設定値と、前記選択された前記ユーザの前記ユーザ設定情報に示されている前記設定情報が表す設定値であるユーザ設定値とを比較する設定比較部と、
少なくとも前記車載機器の設定に関する情報を前記ユーザに通知する通知部と、
を備え、
前記設定比較部は、前記比較の結果、前記現在設定値と前記ユーザ設定値とが異なる前記車載機器である設定未了車載機器が存在する場合、前記車両の走行状態を含む走行情報に応じて、前記設定未了車載機器が存在することを表す前記通知を前記通知部に行わせ、
前記設定部は、前記通知部より通知された前記設定未了車載機器に対する前記ユーザ設定値の設定を指示する設定指示が前記ユーザによりされた場合に、前記走行情報に応じて、前記ユーザ設定値を前記設定未了車載機器に設定する、
車載機器設定装置。
【請求項2】
前記設定比較部は、前記車両が起動された後に前記現在設定値を取得して、前記現在設定値と前記ユーザ設定値とを比較する、
請求項1に記載の車載機器設定装置。
【請求項3】
前記車載機器、および前記車両における前記走行情報を前記ユーザに提示する走行情報提示装置との間で通信を行う通信部、をさらに備え、
前記設定比較部は、
前記通信部を介して前記現在設定値を取得し、
前記通信部を介して、前記走行情報提示装置が前記ユーザに現在提示している前記走行情報である現在走行情報を取得し、
取得した前記現在走行情報が第1の条件を満たす場合に、前記設定未了車載機器が存在することを表す前記通知を前記通知部に行わせない、
請求項2に記載の車載機器設定装置。
【請求項4】
前記第1の条件は、前記現在走行情報が、前記車両の走行に対して注意を促す種類の前記走行情報であることである、
請求項3に記載の車載機器設定装置。
【請求項5】
前記第1の条件は、前記現在走行情報が、前記走行情報提示装置が自動で前記ユーザに提示する前記走行情報であることである、
請求項3に記載の車載機器設定装置。
【請求項6】
前記設定部は、
前記設定指示がされた後に、前記通信部を介して前記現在走行情報を取得し、
取得した前記現在走行情報が、第2の条件を満たす場合に、前記ユーザ設定値の前記設定未了車載機器への設定を保留し、
前記設定未了車載機器への前記ユーザ設定値の設定を保留していることを表す前記通知を前記通知部に行わせる、
請求項3から請求項5のうちいずれか1項に記載の車載機器設定装置。
【請求項7】
前記第2の条件は、前記現在走行情報が、前記車両の走行速度が停止していることを表す前記走行情報であることである、
請求項6に記載の車載機器設定装置。
【請求項8】
車両のユーザごとに、前記車両に搭載されている車載機器を動作させるための設定を行う車載機器設定装置のコンピュータが、
記憶部に記憶された、前記ユーザが所望する前記車載機器の設定に関する設定情報が前記ユーザごとに示されているユーザ設定情報のうち、選択された前記ユーザの前記ユーザ設定情報に示されている前記設定情報が表す設定値を、対応する前記車載機器に設定し、
前記車載機器から、現在設定されている設定値である現在設定値を取得し、
取得した前記現在設定値と、前記選択された前記ユーザの前記ユーザ設定情報に示されている前記設定情報が表す設定値であるユーザ設定値とを比較し、
前記比較の結果、前記現在設定値と前記ユーザ設定値とが異なる前記車載機器である設定未了車載機器が存在する場合、前記車両の走行状態を含む走行情報に応じて、前記設定未了車載機器が存在することを表す通知を、少なくとも前記車載機器の設定に関する情報を前記ユーザに通知する通知部に行わせ、
前記通知部より通知された前記設定未了車載機器に対する前記ユーザ設定値の設定を指示する設定指示が前記ユーザによりされた場合に、前記走行情報に応じて、前記ユーザ設定値を前記設定未了車載機器に設定する、
車載機器設定方法。
【請求項9】
車両のユーザごとに、前記車両に搭載されている車載機器を動作させるための設定を行う車載機器設定装置のコンピュータに、
記憶部に記憶された、前記ユーザが所望する前記車載機器の設定に関する設定情報が前記ユーザごとに示されているユーザ設定情報のうち、選択された前記ユーザの前記ユーザ設定情報に示されている前記設定情報が表す設定値を、対応する前記車載機器に設定させ、
前記車載機器から、現在設定されている設定値である現在設定値を取得させ、
取得させた前記現在設定値と、前記選択された前記ユーザの前記ユーザ設定情報に示されている前記設定情報が表す設定値であるユーザ設定値とを比較させ、
前記比較の結果、前記現在設定値と前記ユーザ設定値とが異なる前記車載機器である設定未了車載機器が存在する場合、前記車両の走行状態を含む走行情報に応じて、前記設定未了車載機器が存在することを表す通知を、少なくとも前記車載機器の設定に関する情報を前記ユーザに通知する通知部に行わせ、
前記通知部より通知された前記設定未了車載機器に対する前記ユーザ設定値の設定を指示する設定指示が前記ユーザによりされた場合に、前記走行情報に応じて、前記ユーザ設定値を前記設定未了車載機器に設定させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載機器設定装置、車載機器設定方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に搭載されている種々の車載機器を動作させるための設定を、車両のユーザごとに設定する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。さらに、近年では、例えば、スマートキーなどの無線通信式の携帯キーと連動し、車載機器の設定を、携帯キーを携帯しているユーザに合わせて設定することも行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-152073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車載機器の動作をユーザごとに設定する場合、ユーザが車両に乗車してから出発するまでの間、つまり、ユーザが車両を走行させる前に、それぞれの車載機器の設定が完了していることが好適であると考えられる。このため、車載機器の設定を行う車載機器設定装置は、車両に乗車したユーザを早期に認識(特定)することができるように、ある程度の機能は停止させているものの、車載機器設定装置には車両が備えるバッテリからの電力が供給され、車載機器設定装置において実行されているアプリケーションは、ほぼ起動している状態で待機している。しかしながら、車両が長期間停車されている(つまり、ユーザが車両に長期間乗車していない)場合には、アプリケーションが起動していることによって、車両が備えるバッテリの電力が消費されてしまうことになる。このため、車両を長期間停車させている場合には、車両が備えるバッテリの電力消費を抑えるために、アプリケーションを停止した状態にして、車載機器設定装置への電力供給を遮断した状態とすることが考えられる。
【0005】
しかしながら、車載機器設定装置への電力供給が遮断されている状態のときにユーザが車両に乗車した場合には、まず、車載機器設定装置に電力を供給して、アプリケーションが起動された後でなければ、ユーザを認識(特定)することができなくなってしまう。そして、車両に乗車したユーザに対応する車載機器の設定が完了するまでに多くの時間を要してしまう。このため、車両が出発するまでの間にそれぞれの車載機器の設定が完了しないこともあり、ユーザごとに車載機器の設定を行う機能は、必ずしもユーザにとって利便性が向上するものとは限らない場合があった。そして、車両が出発するまでの間に設定が完了しなかった車載機器に対しては、車載機器設定装置が、車両の走行中に設定を行うことも考えられる。しかしながら、車載機器やその設定の中には、走行中に設定を変更すると、車両の運転に影響を及ぼしてしまう設定もあり得る。このため、車載機器設定装置は、車両が出発するまでの間に設定が完了しなかった車載機器に対しては、車両の走行中に設定を行わないことも考えられる。このように、従来の技術では、車載機器に対してユーザに対応する設定を行う際に、その設定を行うタイミングに関しての考慮が十分に成されていない場合があった。
【0006】
本発明は、上記の課題認識に基づいてなされたものであり、車載機器に対するユーザごとの設定を好適なタイミングで行うことができる車載機器設定装置、車載機器設定方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとしている。つまり、本発明は、ユーザに合わせた車載機器の設定や制御をすることにより、利便性の向上を目的としたものである。そして、延いては交通の安全性をより一層改善して持続可能な輸送システムの発展に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る車載機器設定装置、車載機器設定方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る車載機器設定装置は、車両のユーザごとに、前記車両に搭載されている車載機器を動作させるための設定を行う車載機器設定装置であって、前記ユーザが所望する前記車載機器の設定に関する設定情報が前記ユーザごとに示されているユーザ設定情報を記憶する記憶部と、選択された前記ユーザの前記ユーザ設定情報に示されている前記設定情報が表す設定値を、対応する前記車載機器に設定する設定部と、前記車載機器から、現在設定されている設定値である現在設定値を取得し、取得した前記現在設定値と、前記選択された前記ユーザの前記ユーザ設定情報に示されている前記設定情報が表す設定値であるユーザ設定値とを比較する設定比較部と、少なくとも前記車載機器の設定に関する情報を前記ユーザに通知する通知部と、を備え、前記設定比較部は、前記比較の結果、前記現在設定値と前記ユーザ設定値とが異なる前記車載機器である設定未了車載機器が存在する場合、前記車両の走行状態を含む走行情報に応じて、前記設定未了車載機器が存在することを表す前記通知を前記通知部に行わせ、前記設定部は、前記通知部より通知された前記設定未了車載機器に対する前記ユーザ設定値の設定を指示する設定指示が前記ユーザによりされた場合に、前記走行情報に応じて、前記ユーザ設定値を前記設定未了車載機器に設定する、車載機器設定装置である。
【0008】
(2):上記(1)の態様において、前記設定比較部は、前記車両が起動された後に前記現在設定値を取得して、前記現在設定値と前記ユーザ設定値とを比較するものである。
【0009】
(3):上記(2)の態様において、前記車載機器設定装置は、前記車載機器、および前記車両における前記走行情報を前記ユーザに提示する走行情報提示装置との間で通信を行う通信部、をさらに備え、前記設定比較部は、前記通信部を介して前記現在設定値を取得し、前記通信部を介して、前記走行情報提示装置が前記ユーザに現在提示している前記走行情報である現在走行情報を取得し、取得した前記現在走行情報が第1の条件を満たす場合に、前記設定未了車載機器が存在することを表す前記通知を前記通知部に行わせないものである。
【0010】
(4):上記(3)の態様において、前記第1の条件は、前記現在走行情報が、前記車両の走行に対して注意を促す種類の前記走行情報であることであるものである。
【0011】
(5):上記(3)の態様において、前記第1の条件は、前記現在走行情報が、前記走行情報提示装置が自動で前記ユーザに提示する前記走行情報であることであるものである。
【0012】
(6):上記(3)から(5)のうちいずれか一態様において、前記設定部は、前記設定指示がされた後に、前記通信部を介して前記現在走行情報を取得し、取得した前記現在走行情報が、第2の条件を満たす場合に、前記ユーザ設定値の前記設定未了車載機器への設定を保留し、前記設定未了車載機器への前記ユーザ設定値の設定を保留していることを表す前記通知を前記通知部に行わせるものである。
【0013】
(7):上記(6)の態様において、前記第2の条件は、前記現在走行情報が、前記車両の走行速度が停止していることを表す前記走行情報であることであるものである。
【0014】
(8):この発明の一態様に係る車載機器設定方法は、車両のユーザごとに、前記車両に搭載されている車載機器を動作させるための設定を行う車載機器設定装置のコンピュータが、記憶部に記憶された、前記ユーザが所望する前記車載機器の設定に関する設定情報が前記ユーザごとに示されているユーザ設定情報のうち、選択された前記ユーザの前記ユーザ設定情報に示されている前記設定情報が表す設定値を、対応する前記車載機器に設定し、前記車載機器から、現在設定されている設定値である現在設定値を取得し、取得した前記現在設定値と、前記選択された前記ユーザの前記ユーザ設定情報に示されている前記設定情報が表す設定値であるユーザ設定値とを比較し、前記比較の結果、前記現在設定値と前記ユーザ設定値とが異なる前記車載機器である設定未了車載機器が存在する場合、前記車両の走行状態を含む走行情報に応じて、前記設定未了車載機器が存在することを表す通知を、少なくとも前記車載機器の設定に関する情報を前記ユーザに通知する通知部に行わせ、前記通知部より通知された前記設定未了車載機器に対する前記ユーザ設定値の設定を指示する設定指示が前記ユーザによりされた場合に、前記走行情報に応じて、前記ユーザ設定値を前記設定未了車載機器に設定する、車載機器設定方法である。
【0015】
(9):この発明の一態様に係るプログラムは、車両のユーザごとに、前記車両に搭載されている車載機器を動作させるための設定を行う車載機器設定装置のコンピュータに、記憶部に記憶された、前記ユーザが所望する前記車載機器の設定に関する設定情報が前記ユーザごとに示されているユーザ設定情報のうち、選択された前記ユーザの前記ユーザ設定情報に示されている前記設定情報が表す設定値を、対応する前記車載機器に設定させ、前記車載機器から、現在設定されている設定値である現在設定値を取得させ、取得させた前記現在設定値と、前記選択された前記ユーザの前記ユーザ設定情報に示されている前記設定情報が表す設定値であるユーザ設定値とを比較させ、前記比較の結果、前記現在設定値と前記ユーザ設定値とが異なる前記車載機器である設定未了車載機器が存在する場合、前記車両の走行状態を含む走行情報に応じて、前記設定未了車載機器が存在することを表す通知を、少なくとも前記車載機器の設定に関する情報を前記ユーザに通知する通知部に行わせ、前記通知部より通知された前記設定未了車載機器に対する前記ユーザ設定値の設定を指示する設定指示が前記ユーザによりされた場合に、前記走行情報に応じて、前記ユーザ設定値を前記設定未了車載機器に設定させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0016】
上述した(1)~(9)の態様によれば、車載機器に対するユーザごとの設定を好適なタイミングで行うことができる車載機器設定装置、車載機器設定方法、およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る車載機器設定装置の構成および使用環境の一例を示す図である。
図2】実施形態の車載機器設定装置が搭載された車両において情報を提示する環境の一例を示す図である。
図3】実施形態の車載機器設定装置において車載機器に設定値を設定する処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図4】実施形態の車載機器設定装置が車載機器に設定値を設定する際にユーザに通知する通知画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の車載機器設定装置、車載機器設定方法、およびプログラムの実施形態について説明する。
【0019】
図1は、実施形態に係る車載機器設定装置の構成および使用環境の一例を示す図である。車載機器設定装置100は、車両Mに搭載されている種々の車載機器200の設定や制御を行う装置である。車載機器設定装置100が設定や制御を行う車載機器200の一例としては、例えば、パワーウインドウや、サンルーフ、サンシェード、室内灯、マップライト、空調システム、メモリシート、シートヒータ/クーラー、ドアロック、運転モード設定装置、運転支援装置などがある。
【0020】
パワーウインドウは、例えば、車両Mの運転席側、助手席側、後部座席の左右に配置された窓ガラスを開閉する車載機器200であり、車載機器設定装置100によって、ユーザが開閉スイッチを押下した押下量や押下時間に応じた窓ガラスの開閉量などが設定、制御される。サンルーフは、例えば、車両Mの車室の天井部分に配置された開口部のガラスあるいは鉄板などを開閉する車載機器200であり、車載機器設定装置100によって、ユーザの操作に応じてガラスや鉄板を開閉する際の開閉量などが設定、制御される。サンシェードは、例えば、車両Mの後方の窓ガラス部や後部座席の左右の窓ガラス部から入射する日差しを遮る遮光部を開閉する車載機器200であり、車載機器設定装置100によって、ユーザの操作に応じて遮光部を開閉する際の開閉量などが設定、制御される。室内灯と、マップライトとのそれぞれは、車両Mの車室内やユーザの手元を照らすための車載機器200(照明機器)であり、車載機器設定装置100によって、ユーザの操作に応じて、あるいはユーザの操作によらずに、つまり、手動あるいは自動で行われる点灯、消灯、点灯時の明るさなどが設定、制御される。空調システムは、例えば、エア・コンディショナー(air conditioner)などの車載機器200(空調装置)であり、車載機器設定装置100によって、車両Mの車室内に送り出す空気(風)の温度や風量などが設定、制御される。メモリシートは、例えば、座面の位置や高さ、背もたれの角度など、車両Mを運転する際にユーザが所望した位置(いわゆる、シートポジション)となるように、運転席側の座席の位置を変更する車載機器200であり、車載機器設定装置100によって、運転席側の座席の位置が設定、制御される。シートヒータ/クーラーは、例えば、運転席側(助手席側や後部座席を含んでもよい)の座席の温度を調整する車載機器200であり、車載機器設定装置100によって、座席の温度調整機能が設定、制御される。ドアロックは、例えば、ユーザが車両Mから降車して離れる際に動作するセキュリティ機能を含む車載機器200であり、車載機器設定装置100によって、セキュリティ機能の動作モードなどが設定、制御される。運転モード設定装置は、例えば、自動運転の走行モードや、ノーマル走行モード、スポーツ走行モード、コンフォート走行モードなどといわれるような、車両Mの走行(駆動)に関連する種々の設定項目を変更する車載機器200であり、車載機器設定装置100によって、運転モードや走行モードに応じた設定項目が設定、制御される。運転支援装置213は、例えば、ABS(Anti-lock Braking System)機能、TCS(Traction Control System)、横滑り抑制機能などを組合せて車両Mの急激な挙動変化を抑制する予防安全機能や、ACC(Adaptive Cruise Control System)、LKAS(Lane Keeping Assistance System)などに代表される運転支援機能に関連する種々の設定項目を変更する車載機器200であり、車載機器設定装置100によって、それぞれの運転支援機能の設定項目が設定、制御される。
【0021】
車載機器設定装置100が設定や制御を行う車載機器200は、上述した一例に限定されるものでない。つまり、車両Mが備える車載機器200としては、上述した一例に加えて、または上述した一例の一部に代えて、他の車載機器を含んでもよい。この場合、他の車載機器も、車載機器設定装置100によって設定、制御される。
【0022】
車載機器設定装置100は、車両Mが備える車載機器200(図1では、空調システム202およびメモリシート204)の設定値を、ユーザごとに設定する。このため、車載機器設定装置100は、ユーザが車両Mに前回乗車したときにそれぞれの車載機器200の設定や制御を変更した設定値が示されたユーザ設定情報112を、ユーザごとに記憶している。そして、車載機器設定装置100は、今回車両Mに乗車しているユーザを認識(特定)し、対応するユーザ設定情報112に示された設定値を、それぞれの車載機器200に設定する。このため、車載機器設定装置100では、今回車両Mに乗車したユーザを認識(特定)し、認識(特定)したユーザに対応するユーザ設定情報112に示された設定値をそれぞれの車載機器200に設定するためのアプリケーション(以下、「車載機器アプリケーション」という)が実行されている。車載機器アプリケーションは、少なくとも、ユーザを認識(特定)する機能(以下、「ユーザ特定機能」という)と、ユーザ設定情報112に示された設定値を車載機器200に設定する機能(以下、「設定値設定機能」という)とを有している。
【0023】
図1には、車載機器設定装置100において実行されている車載機器アプリケーションが有するユーザ特定機能が今回車両Mに乗車しているユーザを認識(特定)するための構成要素の一例として、ディスプレイ302と、入力部304とのそれぞれを備えるインターフェース装置300を示している。インターフェース装置300は、例えば、ブザーやスピーカなどの発音装置を備えてもよい。インターフェース装置300は、例えば、車両Mの車幅方向の中央付近のセンターコンソール内、あるいはダッシュボードの上部に配置され、ディスプレイ302と入力部304と組み合わせによって、タッチパネルとして構成されている。ディスプレイ302は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)などの表示装置を備える。入力部304は、例えば、ディスプレイ302の画面に対するユーザの操作を検出する押圧センサなどの検出装置を備える。入力部304は、例えば、ユーザが車両Mを走行させる際に操舵操作を行うステアリングホイールに配置された不図示の操作ボタンなどを含んでもよい。ユーザ特定機能は、車両Mにユーザが乗車した際に、車両Mのユーザを選択するための選択ボタンが配置された選択画面をディスプレイ302に出力して表示させ、入力部304により出力された、ユーザがディスプレイ302の画面上で選択ボタンに対して操作(例えば、タップ操作や、長押し操作など)を行ったとき操作(ステアリングホイールに配置された不図示の操作ボタンを押下することによって行った操作であってもよい)を表す情報に基づいて、今回車両Mに乗車しているユーザを認識(特定)する。ユーザ特定機能は、例えば、スマートキーなどの無線通信式の携帯キーと連動し、携帯キーを携帯しているユーザが車両Mに乗車した際に、携帯キーに関連付けられているユーザの情報を取得して、今回車両Mに乗車しているユーザを認識(特定)してもよい。車載機器設定装置100において実行されている車載機器アプリケーションが有する設定値設定機能は、ユーザ特定機能によって認識(特定)したユーザの情報に基づいて、対応するユーザ設定情報112に示された設定値を、それぞれの車載機器200に設定する。
【0024】
車載機器設定装置100では、車載機器アプリケーションが、ユーザが車両Mに乗車しているか否かにかかわらずに常に起動されている。ただし、車両Mが長期間停車されている(つまり、ユーザが車両Mに長期間乗車していない)場合には、車載機器アプリケーションは停止している状態となる。そして、車両Mが備えるバッテリから車載機器設定装置100への電力が供給は遮断されている。これにより、車載機器設定装置100では、車両Mが長期間停車されているときのバッテリの電力の消費を抑えることができる。車両Mが長期間停車されている場合、車載機器設定装置100では、車載機器アプリケーションが有する一部の機能が停止している状態となってもよい。より具体的には、車載機器アプリケーションが有する機能のうち、ユーザ特定機能のみが起動されて待機している状態になっており、設定値設定機能は停止している状態になってもよい。この場合、車載機器設定装置100では、車両Mが長期間停車している間、ユーザ特定機能に関連する構成要素には車両Mが備えるバッテリからの電力が供給され、設定値設定機能に関連する構成要素を含めた他の構成要素への電力の供給は遮断されている状態になってもよい。この場合でも、車載機器アプリケーションが停止し、車載機器設定装置100への電力供給が遮断されている場合よりは少ないものの、車両Mが長期間停車されているときのバッテリの電力の消費を抑えることができる。
【0025】
そして、長期間停車されている車両Mにユーザが乗車した場合には、例えば、ユーザが不図示のイグニッションスイッチ(イグニッションキーであってもよい)をオン状態(IG_ON)にする、あるいはアクセサリ電源をオン状態(ACC_ON)にすると、車載機器設定装置100が備える全ての構成要素にバッテリからの電力が供給され、車載機器アプリケーションが起動する。そして、車載機器アプリケーションでは、まず、ユーザ特定機能によって、車両Mに乗車したユーザを認識(特定)し、次に、設定値設定機能によって、認識(特定)したユーザに対応するユーザ設定情報112に示された設定値を車載機器200に設定する。ここで、車載機器アプリケーションが有する一部の機能が停止している状態である場合では、まず、待機状態になっているユーザ特定機能が待機状態から復帰して、車両Mに乗車したユーザを認識(特定)し、次に、停止状態になっている設定値設定機能が起動して、認識(特定)したユーザに対応するユーザ設定情報112に示された設定値を車載機器200に設定する。
【0026】
このとき、車両Mに乗車したユーザは、車載機器アプリケーションが有するユーザ特定機能によって認識(特定)された後、設定値設定機能によってユーザ設定情報112に示された設定値(以下、「ユーザ設定値」という)がそれぞれの車載機器200に設定される前に出発することも考えられる。言い換えれば、設定値設定機能が起動してそれぞれの車載機器200へのユーザ設定値の設定が完了する前に、ユーザが車両Mでの走行を開始することも考えられる。この場合でも、つまり、車両Mの走行中にも、車載機器設定装置100(車載機器アプリケーション)は、それぞれの車載機器200にユーザ設定値を設定する処理を継続することが好適である。
【0027】
しかしながら、車両Mが備える車載機器200には、車両Mの走行中の任意のタイミングで設定や制御を変更しても運転に影響を及ぼさないものもあれば、車両Mの走行中に設定や制御を変更してしまうと運転に影響を及ぼしてしまうものもある。図1には、車両Mの走行中の任意のタイミングで設定や制御を変更しても運転に影響を及ぼさない車載機器200の一例として空調システム202を示し、車両Mの走行中に設定や制御を変更してしまうと運転に影響を及ぼしてしまう車載機器200の一例としてメモリシート204を示している。空調システム202は、例えば、車両Mの走行中に温度や風量の設定が変更されたとしても、車両Mの車室内に送り出す空気(風)の温度や風量が変わるのみであるため、ユーザによる車両Mの運転に影響を与えてしまうことはない。上述した車載機器200の一例では、空調システム202の他、例えば、パワーウインドウや、サンルーフ、サンシェード、室内灯、マップライト、空調システム、シートヒータ/クーラー、ドアロックが、車両Mの走行中の任意のタイミングで設定や制御を変更しても運転に影響を及ぼさない車載機器200に相当する。一方、メモリシート204は、例えば、車両Mの走行中に座面の位置や高さ、背もたれの角度などの設定(シートポジション)が変更されてしまうと、車両Mを運転する際のユーザの姿勢が変わってしまうため、車両Mの運転に影響を与えてしまう。上述した車載機器200の一例では、メモリシート204の他、例えば、運転モード設定装置や、運転支援装置が、車両Mの走行中に設定や制御を変更してしまうと運転に影響を及ぼしてしまう車載機器200に相当する。ただし、運転モード設定装置と、運転支援装置とのそれぞれは、車両Mの走行中の任意のタイミングで設定や制御を変更しても運転に影響を及ぼさない設定項目と、車両Mの走行中に設定や制御を変更してしまうと運転に影響を及ぼしてしまう設定項目とが混在している。
【0028】
このため、車載機器設定装置100(車載機器アプリケーション)は、車両Mの走行が開始された場合には、設定値設定機能を一旦停止させる。そして、車載機器設定装置100(車載機器アプリケーション)は、それぞれの車載機器200に設定されている現在の設定値(以下、「現在設定値」という)を取得して、取得した現在設定値と、ユーザ設定値とを比較する。そして、車載機器設定装置100(車載機器アプリケーション)は、ユーザ設定値と現在設定値とが異なっている、つまり、設定値設定機能によってユーザ設定値の設定が完了していない車載機器200が存在する場合には、このことをユーザに通知して、ユーザ設定値の設定を行うか否かをユーザに問い合わせる。そして、車載機器設定装置100(車載機器アプリケーション)は、通知した車載機器200へのユーザ設定値の設定がユーザにより指示された場合に、ユーザ設定値の設定が完了していない車載機器200(以下、「設定未了車載機器200N」という)に対してユーザ設定値を設定する。このとき、車載機器設定装置100(車載機器アプリケーション)は、車両Mの走行中に設定や制御を変更してしまうと運転に影響を及ぼしてしまう設定未了車載機器200Nにユーザ設定値を設定する際には、車両Mにおける現在の走行状態を確認し、設定や制御を変更しても運転に影響を及ぼさないタイミングのときに、ユーザ設定値の設定を行う。このため、車載機器アプリケーションは、現在設定値の取得処理、現在設定値とユーザ設定値との比較処理、設定未了車載機器200Nに関する通知・問い合わせ処理、および設定未了車載機器200Nに対するユーザ設定値の設定処理のそれぞれの処理を行う機能(以下、「設定値比較設定機能」という)も有している。この設定値比較設定機能は、車載機器アプリケーションにおいて通常は停止状態になっており、設定値設定機能によるそれぞれの車載機器200へのユーザ設定値の設定が完了していない状態で車両Mの走行が開始された場合に、起動される。
【0029】
図1には、車載機器設定装置100において実行されている車載機器アプリケーションが有する設定値比較設定機能が車両Mにおける現在の走行状態を確認するための構成要素の一例として、表示部402を備えるメータ装置400を示している。メータ装置400は、例えば、車両Mの運転席においてハンドルの奥側(車両Mの前方側)に配置され、表示部402によって、車両Mの走行状態など、車両Mの走行に関連する種々の情報(以下、「走行情報」という)を画像として視覚的に運転者(ユーザ)に提示する。表示部402は、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)などの表示装置である。表示部402は、ヘッドアップディスプレイ(Head Up Display:HUD)など、走行情報の画像を車両Mの前方のフロント窓ガラスの面内に表示させる表示装置を含んでもよい。表示部402によってユーザに提示する走行情報の画像には、例えば、車両Mが走行している速度を表す速度計(スピードメータ)や、車両Mが備える内燃機関の回転数(回転速度)を表す回転速度計(タコメータ)の画像を含む。走行情報の画像には、例えば、燃費計、走行距離計(総走行距離計:オドメータ、区間走行距離計:トリップメータ、走行可能距離計など)、時計などの画像を含んでもよい。さらに、走行情報の画像には、例えば、車両Mが備える走行用バッテリにおける電力の放電および充電の状態を表す画像を含んでもよい。走行情報の画像には、例えば、運転支援機能(LKASやACCなど)の動作や警告を表す画像を含んでもよい。表示部402(不図示のHUDを含む)への走行情報の画像の表示は、例えば、メータ装置400が備える不図示の制御装置、あるいはこの不図示の制御装置において実行されるメータ表示アプリケーションが行う。表示部402(不図示のHUDを含む)に表示させる走行情報の画像は、ユーザが所望した情報が表示されるように、例えば、ステアリングホイールや表示部402の周辺に配置された不図示の操作ボタンをユーザが操作することによって、それぞれの表示項目がユーザの操作によって切り換えられる。この走行情報の画像の切り替えは、例えば、不図示の制御装置、あるいはメータ表示アプリケーションによって設定、制御されてもよい。
【0030】
メータ装置400は、画像を表示部402に表示させることによってユーザに提示している走行情報を、車載機器設定装置100に出力する。より具体的には、メータ装置400が備える不図示の制御装置、あるいはメータ表示アプリケーションは、例えば、速度計の画像によってユーザに提示している車両Mの走行状態(走行速度)を表す走行情報や、運転支援機能の動作や警告を表す画像によってユーザに提示している車両Mの走行状態を表す走行情報を、車載機器設定装置100に出力する。
【0031】
車載機器設定装置100において実行されている車載機器アプリケーションが有する設定値比較設定機能は、メータ装置400により出力された、車両Mにおける現在の走行状態を表す走行情報に基づいて、設定未了車載機器200Nにユーザ設定値を設定するタイミングを調整して(つまり、好適なタイミングを見計らって)、ユーザ設定値の設定を行う。メータ装置400は、「走行情報提示装置」の一例である。
【0032】
図2は、実施形態の車載機器設定装置100が搭載された車両Mにおいて情報(走行状態を含む走行情報)を提示する環境の一例を示す図である。図2には、インターフェース装置300(ディスプレイ302および入力部304)を配置している一例を示し、車両Mのユーザを選択するための選択ボタンが配置された選択画面をディスプレイ302に表示させている状態の一例を示している。図2に示した選択画面の一例では、「ユーザA」、「ユーザB」、「ゲストユーザ」、および「新規登録」のそれぞれの選択ボタンを表示している。ユーザがいずれかの選択ボタンに対して操作することにより、車載機器設定装置100において実行されている車載機器アプリケーションが有するユーザ特定機能は、今回車両Mに乗車しているユーザ(つまり、車両Mを今回使用するユーザ)を認識(特定)する。ここで、ユーザが「ユーザA」の選択ボタンを操作した場合には、過去に車両Mに乗車した際に登録したユーザAが、今回車両Mに乗車しているユーザとして認識(特定)される。ユーザが「ユーザB」の選択ボタンを操作した場合には、過去に車両Mに乗車した際に登録したユーザAとは異なるユーザBが、今回車両Mに乗車しているユーザとして認識(特定)される。ユーザが「ゲストユーザ」の選択ボタンを操作した場合には、今回車両Mに乗車しているユーザは、車両Mを通常使用しない(一時的に車両Mを使用する)ユーザとして認識(特定)される。ユーザが「新規登録」の選択ボタンを操作した場合には、過去に車両Mに乗車したことはないが、今後、車両Mを通常使用するユーザとして認識(特定)される。この場合、ユーザ特定機能は、新規登録するユーザを識別するための登録名称(例えば、上記の「ユーザA」や「ユーザB」など)を入力するための入力画面をディスプレイ302に表示させ、入力画面に対するユーザの操作に基づいて、新規登録するユーザを識別するための登録名称の情報を登録する。車載機器設定装置100は、登録した新規のユーザの情報(登録名称)を、新たなユーザ設定情報112に紐付けて記憶する。
【0033】
さらに、図2には、メータ装置400(表示部402)を配置している一例を示し、車両Mの走行状態を表す走行情報の画像を表示部402に表示させている状態の一例を示している。図2に示した走行情報の画像の一例では、表示部402の表示領域の左側に走行用バッテリにおける電力の放電および充電の状態を表す画像を表示し、右側に速度計の画像を表示し、その間の表示領域DAに、例えば、運転支援機能(LKASやACCなど)の動作や警告を表すアイコンを表示している。図2では、表示領域DAに表示するアイコンの一例として、例えば、運転支援機能の動作状態に関連する情報があることをユーザに通知するための情報アイコンIiと、ACCにおいて走行車線の前方に他の車両(先行車両)の存在を確認したことを通知するための注意アイコンIcと、LKASにおいて走行車線を逸脱する可能性があることを通知するための警告アイコンIwとのそれぞれを示している。表示領域DAに表示するアイコンは、上述した一例に限定されるものでない。例えば、表示領域DAに表示するアイコンは、法律や規則を遵守するためにメータ装置400が自動で表示させる、ユーザにシートベルトの装着を促すための法規アイコンIrであってもよい。
【0034】
車載機器設定装置100において実行されている車載機器アプリケーションが有する設定値比較設定機能は、設定未了車載機器200Nにユーザ設定値を設定する場合、例えば、メータ装置400により出力された走行情報が、車両Mが停止している(つまり、車速=0[km]となっている)ことを表している状態になったときや、表示領域DAに注意アイコンIcや、警告アイコンIw、法規アイコンIrが表示されていない状態になったときを好適なタイミングとして、ユーザ設定値の設定を行う。
【0035】
[車載機器設定装置の構成]
図1に戻り、車載機器設定装置100は、例えば、記憶部110と、通信部120と、設定部130と、設定比較部140と、通知部150と、を備える。
【0036】
設定部130と、設定比較部140と、通知部150とは、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサと、プログラム(ソフトウェア)を記憶した記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)とを備え、プロセッサがプログラムを実行することによりそれぞれの構成要素の機能が実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)などによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。これらの構成要素の機能のうち一部または全部は、専用のLSIによって実現されてもよい。ここで、プログラム(ソフトウェア)は、予め車載機器設定装置100が備えるROM(Read Only Memory)や、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体が車載機器設定装置100の備えるドライブ装置に装着されることで、車載機器設定装置100が備える記憶装置にインストールされてもよい。プログラム(ソフトウェア)は、他のコンピュータ装置からネットワークを介してダウンロードされて、車載機器設定装置100が備える記憶装置にインストールされてもよい。
【0037】
以下の説明においては、設定部130と、設定比較部140と、通知部150との構成が、車載機器アプリケーションを実行することにより、車両Mが備える車載機器200のそれぞれの設定や制御する動作や処理を行うものとする。ただし、車載機器アプリケーションは、上述したように、ユーザ特定機能や、設定値設定機能、設定値比較設定機能を有し、それぞれの機能は、車両Mが停車されている時間(期間)や、車両Mの走行が開始された場合によって待機状態や停止状態など、異なる状態になる。このため、以下の説明においては、車載機器アプリケーションが有するそれぞれの機能を区別する場合には、「ユーザ特定機能」、「設定値設定機能」、あるいは「設定値比較設定機能」という。一方、以下の説明において車載機器アプリケーションが有するそれぞれの機能を区別しない場合には、「車載機器アプリケーション」ともいう。
【0038】
記憶部110には、例えば、ユーザ設定情報112が記憶される。ユーザ設定情報112は、ユーザごとに、車両Mが備える車載機器200に対するユーザが所望する設定に関する情報(以下、「設定情報」という)が示されている情報である。設定情報には、車載機器200において設定や制御を変更することができる設定項目や、その設定項目のユーザ設定値を表す情報が含まれている。ユーザ設定情報112は、例えば、ユーザが、自身を、車両Mを使用するユーザとして新規登録した場合に、記憶部110に記憶される。車両Mを使用するユーザが複数登録された場合、ユーザ設定情報112は、ユーザごとに設定情報が示されて記憶される。
【0039】
通信部120は、車載機器200およびメータ装置400との間で通信を行う。通信部120は、例えば、CAN(Controller Area Network)通信線などの多重通信線やシリアル通信線、無線通信網など、車両Mが備える車載機器200(ここでは、空調システム202およびメモリシート204)やメータ装置400と通信を行うため通信インターフェースを備える。以下の説明においては、通信部120が、CAN通信によって、空調システム202、メモリシート204、およびメータ装置400とのそれぞれの間で通信を行うものとする。
【0040】
設定部130は、記憶部110に記憶されているユーザ設定情報112に基づいて車載機器200(設定未了車載機器200Nを含む)の設定を行う。設定部130は、記憶部110に今回車両Mに乗車しているユーザのユーザ設定情報112が記憶されている場合には、今回のユーザに対応するユーザ設定情報112に示されている設定情報が表すそれぞれのユーザ設定値を、通信部120を介して、車載機器200(設定未了車載機器200Nを含む)に設定する。つまり、設定部130は、設定値設定機能の動作によって、記憶部110に記憶されているユーザ設定情報112に示されている設定情報が表すそれぞれのユーザ設定値を、対応する車載機器200に設定する。さらに、設定部130は、設定値比較設定機能の動作によって、設定未了車載機器200Nに対するユーザ設定値の設定処理を行う際に、記憶部110に記憶されているユーザ設定情報112に示されている設定情報が表すそれぞれのユーザ設定値を、対応する設定未了車載機器200Nに設定する。
【0041】
設定部130は、設定未了車載機器200Nにユーザ設定値を設定する際に、通信部120を介してメータ装置400から走行情報を取得し、走行情報が、走行状態や表示領域DAの表示がユーザ設定値を設定するのに好適な状態となるまで、ユーザ設定値を設定するタイミングを調整してもよい。
【0042】
設定比較部140は、通信部120を介して、車載機器200に設定されている現在設定値を取得する。より具体的には、設定比較部140は、空調システム202に設定されている現在設定値と、メモリシート204に設定されている現在設定値とのそれぞれを取得する。つまり、設定比較部140は、設定値設定機能の動作によって設定部130によるそれぞれの車載機器200へのユーザ設定値の設定が完了していない状態で車両Mの走行が開始された場合に、設定値比較設定機能の動作によって、空調システム202とメモリシート204とのそれぞれから現在設定値を取得する、現在設定値の取得処理を行う。
【0043】
その後、設定比較部140は、取得した現在設定値と、ユーザ設定情報112に示されている設定情報が表す対応するユーザ設定値とを比較する。つまり、設定比較部140は、設定値比較設定機能の動作によって、現在設定値とユーザ設定値との比較処理を行う際に、空調システム202とメモリシート204とのそれぞれから取得した現在設定値と、対応するユーザ設定値との比較を行う。
【0044】
そして、設定比較部140は、現在設定値とユーザ設定値との比較の結果、設定未了車載機器200Nが存在する場合、設定未了車載機器200Nが存在することのユーザへの通知と、設定未了車載機器200Nに対してユーザ設定値の設定を行うか否かのユーザへの問い合わせを、通知部150に行わせる。このとき、設定比較部140は、設定未了車載機器200Nの情報を、通知部150に出力する。設定比較部140は、設定未了車載機器200Nにおいて現在設定値と異なるユーザ設定値の情報を、通知部150に出力してもよい。つまり、設定比較部140は、空調システム202とメモリシート204とのいずれか一方または両方が設定未了車載機器200Nであることが確認された場合、設定値比較設定機能の動作によって、設定未了車載機器200Nに関する通知・問い合わせ処理を、通知部150に行わせる。設定比較部140は、通信部120を介して、メータ装置400から走行情報を取得し、走行情報が、走行状態や表示領域DAの表示が設定未了車載機器200Nの存在を通知するのに好適な状態となるまで、ユーザへの通知と問い合わせとを行うタイミングを調整してもよい。
【0045】
そして、設定比較部140は、通知した設定未了車載機器200Nに対するユーザ設定値の設定が指示されたことを表す情報が通知部150から出力された場合、設定未了車載機器200Nに対するユーザ設定値の設定を設定部130に行わせる。このとき、設定比較部140は、設定未了車載機器200Nの情報と、現在設定値と異なるユーザ設定値の情報とを、設定部130に出力する。つまり、設定比較部140は、設定値比較設定機能の動作によって、設定未了車載機器200Nに対するユーザ設定値の設定処理を、設定部130に行わせる。
【0046】
通知部150は、設定比較部140により出力された、設定未了車載機器200Nの情報と、現在設定値と異なるユーザ設定値の情報とに基づいて、ユーザに対して通知および問い合わせを行う。より具体的には、通知部150は、ユーザに対して設定未了車載機器200Nが存在することを通知するとともに、設定未了車載機器200Nに対してユーザ設定値の設定を行うか否かを問い合わせ、この問い合わせに対してユーザが回答を選択する通知画面を、インターフェース装置300に出力して、ディスプレイ302に表示させる。そして、通知部150は、ユーザがディスプレイ302の画面上で回答する操作を行ったときの情報をインターフェース装置300が備える入力部304から取得し、取得した情報に基づいたユーザの回答を表す情報を、設定比較部140に出力する。
【0047】
[車載機器設定装置における車載機器の設定の処理の一例]
次に、車載機器設定装置100が起動して、それぞれの車載機器200にユーザ設定値を設定する処理の流れの一例について説明する。
【0048】
図3は、実施形態の車載機器設定装置100において車載機器200に設定値(ユーザ設定値)を設定する処理の流れの一例を示すシーケンス図である。図3には、車両Mに対する操作および車載機器設定装置100の動作(処理)と、車載機器設定装置100の処理において車両Mに搭載されている車載機器200である空調システム202およびメモリシート204と、メータ装置400との間で行われるCAN通信での情報(データ)のやり取りの一例を示している。図3に示したシーケンス図は、車両Mが長期間停車されていることによって車載機器設定装置100への電力供給が遮断されている状態であるときに、車両Mに乗車したユーザに対応するユーザ設定情報112に示されたユーザ設定値を、それぞれの車載機器200に設定する場合の処理の流れの一例である。
【0049】
図4は、実施形態の車載機器設定装置100が車載機器200に設定値(ユーザ設定値)を設定する際にユーザに通知する通知画面の一例を示す図である。図4の(a)~図4の(e)のそれぞれには、図3に示した車載機器設定装置100の処理のそれぞれの段階においてユーザに通知を行う際の通知画面の一例を示している。以下の説明においては、図3に示す車載機器設定装置100の処理において、図4に示すそれぞれの通知画面の一例を適宜参照して説明する。
【0050】
長期間停車されている車両Mにユーザが乗車し、例えば、ユーザによって不図示のイグニッションスイッチ(イグニッションキーであってもよい)がオン状態(IG_ON)にされる(ステップS100)。これにより、車載機器設定装置100にバッテリからの電力が供給される。そして、車載機器設定装置100では、車載機器アプリケーションが起動する。その後、車載機器設定装置100において車載機器アプリケーションの起動が完了する(ステップS110)。
【0051】
これにより、車載機器設定装置100では、車載機器アプリケーションにおいてユーザ特定機能が動作し、車両Mに乗車したユーザを認識(特定)する(ステップS120)。より具体的には、ユーザ特定機能の動作によって、車載機器設定装置100は、車両Mのユーザを選択するための選択ボタンが配置された選択画面をディスプレイ302に出力して表示させ、入力部304により出力された選択ボタンに対するユーザの操作を表す情報に基づいて、今回車両Mに乗車したユーザを認識(特定)する。
【0052】
その後、車載機器設定装置100では、車載機器アプリケーションにおいて設定値設定機能が動作し、認識(特定)したユーザに対応するユーザ設定情報112に示されたユーザ設定値を、対応する車載機器200に設定する(ステップS122)。より具体的には、設定値設定機能の動作によって、設定部130は、認識(特定)したユーザに対応するユーザ設定情報112を記憶部110から読み出し、読み出したユーザ設定情報112に示されたユーザ設定値を、通信部120を介して、対応する車載機器200に設定する。
【0053】
ここで、図3に示したシーケンス図では、ステップS122におけるそれぞれの車載機器200へのユーザ設定値の設定が完了する前に、ユーザが車両Mでの走行を開始した(ステップS130)ものとする。この場合、車載機器設定装置100では、車載機器アプリケーションが、設定値設定機能の動作を一旦停止(中止)させる(ステップS122a)。ここでは、空調システム202とメモリシート204とのそれぞれへのユーザ設定値の設定が完了していないものとする。
【0054】
この場合、車載機器設定装置100では、車載機器アプリケーションにおいて設定値比較設定機能が動作し、まず、現在設定値の取得処理を行う。より具体的には、設定比較部140は、通信部120を介して、空調システム202に設定されている現在設定値を取得する(ステップS142)。さらに、設定比較部140は、通信部120を介して、メモリシート204に設定されている現在設定値を取得する(ステップS144)。そして、設定比較部140は、認識(特定)したユーザに対応するユーザ設定情報112を記憶部110から読み出す。
【0055】
その後、設定値比較設定機能では、現在設定値とユーザ設定値との比較処理を行う。より具体的には、設定比較部140は、ステップS142において取得した空調システム202の現在設定値と、ユーザ設定情報112に示された対応するユーザ設定値とを比較する。そして、設定比較部140は、現在設定値とユーザ設定値との比較の結果に基づいて、設定未了車載機器200Nがあるか否か(存在するか否か)を確認する(ステップS150)。ステップS150において、設定未了車載機器200Nが存在しないことが確認された場合、車載機器設定装置100において実行されている車載機器アプリケーションは、今回の一連の処理を終了する。
【0056】
一方、ステップS150において、設定未了車載機器200Nが存在することが確認された場合、設定値比較設定機能では、設定未了車載機器200Nに関する通知・問い合わせ処理を行う。ここでは、空調システム202が設定未了車載機器200Nであるものとする。このため、設定比較部140は、通信部120を介して、メータ装置400がユーザに現在提示している走行情報(以下、「現在走行情報」という)を取得する(ステップS152)。そして、設定比較部140は、取得した現在走行情報に基づいて、設定未了車載機器200Nに関する通知および問い合わせを行うのに好適なタイミング(以下、「通知可能タイミング」という)であるか否かを判定する(ステップS160)。このとき、設定比較部140は、現在走行情報が、第1の条件を満たすか否かによって通知可能タイミングであるか否かを判定する。
【0057】
第1の条件は、表示部402の表示領域DAに、車両Mの走行に対して注意を促す種類の走行情報であることである。つまり、設定比較部140は、表示部402の表示領域DAに、例えば、ACCにおいて走行車線の前方に他の車両(先行車両)の存在を確認したことを通知するための注意アイコンIcや、LKASにおいて走行車線を逸脱する可能性があることを通知するための警告アイコンIwなどが表示されている場合には、現在は通知可能タイミングではないと判定し、注意アイコンIcや警告アイコンIwが表示されていない場合には、現在は通知可能タイミングであると判定する。
【0058】
第1の条件は、表示部402の表示領域DAに、メータ装置400が自動でユーザに提示する走行情報であることであってもよい。この場合、設定比較部140は、表示部402の表示領域DAに、例えば、法律や規則を遵守させるために、ユーザにシートベルトの装着を促すための法規アイコンIrなどが表示されている場合には、現在は通知可能タイミングではないと判定し、法規アイコンIrなどが表示されていない場合には、現在は通知可能タイミングであると判定する。
【0059】
ステップS160において、現在は通知可能タイミングではない(取得した現在走行情報が第1の条件を満たさない)と判定した場合、設定比較部140は、現在が通知可能タイミングと判定するまで、ステップS152の処理による現在走行情報の取得と、ステップS160の処理による通知可能タイミングであるか否かの判定を繰り返す。
【0060】
一方、ステップS160において、現在は通知可能タイミングである(取得した現在走行情報が第1の条件を満たす)と判定した場合、設定比較部140は、空調システム202が設定未了車載機器200Nであることを表す情報を通知部150に出力して、設定未了車載機器200N(空調システム202)が存在することのユーザへの通知と、空調システム202に対してユーザ設定値の設定を行うか否かのユーザへの問い合わせを、通知部150に行わせる。これにより、通知部150は、インターフェース装置300が備えるディスプレイ302に通知画面を表示させて、空調システム202が設定未了車載機器200Nであることをユーザに通知する(ステップS162)。図4の(a)には、このときの通知画面IM-1の一例を示している。通知画面IM-1には、空調システム202が設定未了車載機器200Nであることを通知するメッセージ「エアコンの設定値が反映されていません。」とともに、空調システム202にユーザ設定値を設定するか否かを問い合わせるメッセージ「設定値を反映しますか?」、およびその回答としてユーザ設定値を設定することを指示するための回答ボタンBYと、ユーザ設定値を設定しないことを指示するための回答ボタンBNとが含まれている。ユーザは、ディスプレイ302の画面上でいずれか一方の回答ボタンBに対して操作(例えば、タップ操作)をすることにより、空調システム202にユーザ設定値を設定するか否かを指示することができる。図4の(a)には、回答ボタンBYに対して操作を行って、空調システム202にユーザ設定値を設定することを指示している状態の一例を示している。
【0061】
設定値比較設定機能において、通知部150は、ユーザがディスプレイ302の画面上で回答(指示)する操作を行ったときの情報をインターフェース装置300が備える入力部304から取得し、取得した情報に基づいたユーザの回答を表す情報を、設定比較部140に出力する。そして、設定比較部140は、通知部150により出力されたユーザの回答を表す情報が、ユーザ設定値の設定を指示することを表しているか否かを確認する(ステップS170)。ステップS170において、ユーザの回答を表す情報がユーザ設定値の設定を指示することを表していないことが確認された場合、設定比較部140は、処理をステップS150に戻して、他に設定未了車載機器200Nがあるか否か(存在するか否か)を確認する。ステップS150において、他の設定未了車載機器200Nが存在することが確認された場合、設定比較部140および通知部150は、この設定未了車載機器200Nに対して処理を繰り返す。
【0062】
一方、ステップS170において、ユーザの回答を表す情報がユーザ設定値の設定を指示することを表していることが確認された場合、設定値比較設定機能では、設定未了車載機器200Nに対するユーザ設定値の設定処理を行う。このため、設定比較部140は、ユーザ設定値の設定が指示された設定未了車載機器200Nが、ユーザ設定値を設定する際にタイミングを調整する必要があるか否かを確認する(ステップS180)。ここで、ユーザ設定値を設定する際にタイミングを調整する必要がある車載機器200とは、例えば、車両Mの走行中に設定や制御を変更してしまうと運転に影響を及ぼしてしまう車載機器200である。一方、ユーザ設定値を設定する際にタイミングを調整する必要がない車載機器200とは、車両Mの走行中の任意のタイミングで設定や制御を変更しても運転に影響を及ぼさない車載機器200である。
【0063】
ここでは、ユーザ設定値の設定が指示された設定未了車載機器200Nは、空調システム202である。そして、空調システム202は、車両Mの走行中の任意のタイミングで設定や制御を変更しても運転に影響を及ぼさない車載機器200である。このため、設定比較部140は、ステップS180において、空調システム202にユーザ設定値を設定する際にタイミングを調整する必要はないと確認する。この場合、設定比較部140は、空調システム202にユーザ設定値の設定を行うことを表す情報を設定部130に出力して、空調システム202に対するユーザ設定値の設定を、設定部130に行わせる。これにより、設定部130は、認識(特定)したユーザに対応するユーザ設定情報112に示された空調システム202のユーザ設定値を、空調システム202に設定する(ステップS184)。つまり、設定部130は、車両Mの走行状態にかかわらず、設定比較部140からの指示に応じて、空調システム202にユーザ設定値を設定する。
【0064】
ステップS184の処理においてユーザ設定値を空調システム202に設定した後、設定部130は、空調システム202へのユーザ設定値の設定が完了したことを表す情報を通知部150に出力して、ユーザへの通知を、通知部150に行わせてもよい。この場合、通知部150は、ディスプレイ302に通知画面を表示させて、空調システム202へのユーザ設定値の設定が完了したことをユーザに通知する。図4の(b)には、このときの通知画面IM-2の一例を示している。通知画面IM-2には、空調システム202へのユーザ設定値の設定が完了したことを通知するメッセージ「エアコンの設定値を反映しました。」が含まれている。これにより、ユーザは、指示した空調システム202へのユーザ設定値の設定が完了したことを確認することができる。
【0065】
設定部130は、処理をステップS150に戻して、さらに他に設定未了車載機器200Nがあるか否か(存在するか否か)を確認し、設定未了車載機器200Nが存在することが確認された場合、設定比較部140および通知部150は、再度、この設定未了車載機器200Nに対して処理を繰り返す。
【0066】
ここでは、メモリシート204が他の設定未了車載機器200Nであるものとする。このため、設定比較部140は、ステップS152の処理によって、メータ装置400から現在走行情報を取得し、ステップS160の処理によって、通知可能タイミングであるか否かを判定する。そして、設定比較部140は、ステップS160において、現在は通知可能タイミングである(取得した現在走行情報が第1の条件を満たす)と判定した場合、メモリシート204が設定未了車載機器200Nであることを表す情報を通知部150に出力して、設定未了車載機器200N(メモリシート204)が存在することのユーザへの通知と、メモリシート204に対してユーザ設定値の設定を行うか否かのユーザへの問い合わせを、通知部150に行わせる。これにより、通知部150は、ステップS162の処理によって、ディスプレイ302に通知画面を表示させて、メモリシート204が設定未了車載機器200Nであることをユーザに通知する。(ステップS162)。図4の(c)には、このときの通知画面IM-3の一例を示している。通知画面IM-3には、メモリシート204が設定未了車載機器200Nであることを通知するメッセージ「シートポジションの設定値が反映されていません。」とともに、通知画面IM-1と同様に、メモリシート204にユーザ設定値を設定するか否かを問い合わせるメッセージ「設定値を反映しますか?」、および回答ボタンBYと回答ボタンBNとが含まれている。ユーザは、ディスプレイ302の画面上でいずれか一方の回答ボタンBに対して操作(例えば、タップ操作)をすることにより、メモリシート204にユーザ設定値を設定するか否かを指示することができる。図4の(c)には、回答ボタンBYに対して操作を行って、メモリシート204にユーザ設定値を設定することを指示している状態の一例を示している。
【0067】
設定値比較設定機能において、通知部150は、ユーザがディスプレイ302の画面上で回答(指示)する操作を行ったときの情報をインターフェース装置300が備える入力部304から取得し、取得した情報に基づいたユーザの回答を表す情報を、設定比較部140に出力する。そして、設定比較部140は、ステップS170の処理によって、ユーザ設定値の設定が指示されたか否かを確認する。ここでは、ユーザ設定値の設定が指示されたものとする。この場合、設定比較部140は、ステップS180の処理によって、ユーザ設定値の設定が指示された設定未了車載機器200N(メモリシート204)が、ユーザ設定値を設定する際にタイミングを調整する必要があるか否かを確認する。メモリシート204は、車両Mの走行中に設定や制御を変更してしまうと運転に影響を及ぼしてしまう車載機器200である。このため、設定比較部140は、ステップS180において、メモリシート204にユーザ設定値を設定する際にタイミングを調整する必要があると確認する。
【0068】
この場合、設定比較部140は、メモリシート204にユーザ設定値を設定する際にタイミングを調整する必要があることを表す情報を通知部150に出力して、ユーザへの通知を、通知部150に行わせてもよい。言い換えれば、設定比較部140は、通知部150に、メモリシート204へのユーザ設定値の設定を保留していることをユーザに通知させてもよい。この場合、通知部150は、ディスプレイ302に通知画面を表示させて、メモリシート204へのユーザ設定値の設定に際してタイミングを調整することをユーザに通知する。図4の(d)には、このときの通知画面IM-4の一例を示している。通知画面IM-4には、メモリシート204へのユーザ設定値の設定に際してタイミングを調整することを通知するメッセージ「走行に影響しない安全なタイミングでシートポジションの設定値を反映します。」とともに、このことを確認したことを回答するための回答ボタンBYが含まれている。ユーザは、ディスプレイ302の画面上で回答ボタンBYに対して操作(例えば、タップ操作)をすることにより、タイミングの調整を行ってメモリシート204にユーザ設定値を設定することを確認したことを示すことができる。図4の(d)には、回答ボタンBYに対して操作を行って、メモリシート204へのユーザ設定値の設定がタイミング調整されることを確認したことを回答している状態の一例を示している。
【0069】
ステップS180において、メモリシート204にユーザ設定値を設定する際にタイミングを調整する必要があると確認した場合、設定比較部140は、通信部120を介して、メータ装置400から現在走行情報を再度取得する(ステップS182)。そして、設定比較部140は、取得した現在走行情報に基づいて、設定未了車載機器200Nに対してユーザ設定値の設定を行うのに好適なタイミング(以下、「設定可能タイミング」という)であるか否かを判定する(ステップS190)。このとき、設定比較部140は、現在走行情報が、第2の条件を満たすか否かによって設定可能タイミングであるか否かを判定する。
【0070】
第2の条件は、車両Mが停止している(つまり、車速=0[km]となっている)ことを表す走行情報であることである。つまり、設定比較部140は、車両Mが停止していない(つまり、車速=0[km]ではない)場合には、現在は設定可能タイミングではないと判定し、車両Mが停止している場合には、現在は設定可能タイミングであると判定する。
【0071】
ステップS190において、現在は設定可能タイミングではない(取得した現在走行情報が第2の条件を満たさない)と判定した場合、設定比較部140は、現在が設定可能タイミングと判定するまで、ステップS182の処理による現在走行情報の取得と、ステップS190の処理による設定可能タイミングであるか否かの判定を繰り返す。
【0072】
一方、ステップS190において、現在は設定可能タイミングである(取得した現在走行情報が第2の条件を満たす)と判定した場合、設定比較部140は、メモリシート204にユーザ設定値の設定を行うことを表す情報を設定部130に出力して、メモリシート204に対するユーザ設定値の設定を、設定部130に行わせる。これにより、設定部130は、認識(特定)したユーザに対応するユーザ設定情報112に示されたメモリシート204のユーザ設定値を、メモリシート204に設定する(ステップS192)。つまり、設定部130は、設定比較部140からタイミングを調整して出された指示に応じて、メモリシート204にユーザ設定値を設定する。
【0073】
ステップS192の処理においてユーザ設定値をメモリシート204に設定した後、設定部130は、メモリシート204へのユーザ設定値の設定が完了したことを表す情報を通知部150に出力して、ユーザへの通知を、通知部150に行わせてもよい。この場合、通知部150は、ディスプレイ302に通知画面を表示させて、メモリシート204へのユーザ設定値の設定が完了したことをユーザに通知してもよい。図4の(e)には、このときの通知画面IM-5の一例を示している。通知画面IM-5には、通知画面IM-2と同様に、メモリシート204へのユーザ設定値の設定が完了したことを通知するメッセージ「シートポジションの設定値を反映しました。」が含まれている。これにより、ユーザは、指示したメモリシート204へのユーザ設定値の設定が完了したことを確認することができる。
【0074】
設定部130は、処理をステップS150に戻して、車載機器設定装置100において実行されている車載機器アプリケーションは、設定未了車載機器200Nが存在しないことが確認されるまで、ステップS150~ステップS184の処理を繰り返す。そして、車載機器設定装置100において実行されている車載機器アプリケーションは、設定未了車載機器200Nが存在しないことが確認されると、今回の一連の処理を終了する。
【0075】
上記に述べたとおり、実施形態の車載機器設定装置100によれば、ユーザ(登録済みのユーザ)に対応するユーザ設定情報112に示されたユーザ設定値を対応する車載機器200に設定する。そして、実施形態の車載機器設定装置100では、ユーザ設定値の設定が完了していない車載機器200(設定未了車載機器200N)が存在する場合、ユーザに対して設定未了車載機器200Nが存在することを通知するとともに、設定未了車載機器200Nに対してユーザ設定値の設定を行うか否かを問い合わせる。そして、問い合わせに対してユーザによりユーザ設定値の設定が指示された場合、実施形態の車載機器設定装置100では、車両Mの走行状態や、メータ装置400などの他の機器からユーザに通知している情報に基づいて、好適なタイミングとなるまで、実際にユーザ設定値を設定未了車載機器200Nに設定するタイミングを調整する。そして、実施形態の車載機器設定装置100では、好適なタイミングとなったときに、設定未了車載機器200Nにユーザ設定値を設定する。これにより、実施形態の車載機器設定装置100では、例えユーザが車両Mに乗車してから出発する(車両Mでの走行を開始する)までの間にユーザ設定値の設定が完了していない車載機器200があった場合でも、ユーザ設定値の設定が行われなかったり、つまり、ユーザが同様に車載機器200の設定や制御を行う必要があったり、運転に影響が及ぼされるタイミングでユーザ設定値が設定されてしまったりすることがなくなる。これは、車両Mを通常使用するユーザとして登録したユーザにとって有効である(利便性が向上する)。そして、実施形態の車載機器設定装置100が搭載された車両Mでは、より安全に車両Mの走行を継続させることができる。
【0076】
上述した実施形態の車載機器設定装置100では、車載機器設定装置100が、好適なタイミングとなるように、ユーザ設定値を設定するタイミングを調整する場合を説明した。しかしながら、車載機器200に中には、自身で設定や制御を変更するタイミングを調整するものもあり得る。この場合、車載機器設定装置100は、このような車載機器200に対しては、ユーザ設定値を設定するタイミングを調整せずに、ユーザ設定値を設定するようにしてもよい。より具体的には、図3に示したシーケンス図におけるステップS180の処理においてユーザ設定値を設定する際にタイミングを調整する必要がある車載機器200であると確認した場合でも、ステップS182およびステップS190の処理を行わずに、ステップS184の処理を行うようにしてもよい。この場合の車載機器設定装置100における車載機器の設定の処理は、容易に考えることができるため、詳細な説明も省略する。
【0077】
上述した実施形態では、車載機器設定装置100が、好適なタイミングを判定するために、メータ装置400から現在走行情報を取得する場合を説明した。しかしながら、ユーザ設定値を設定する際の好適なタイミングを判定するための情報として、現在走行情報に代えて、または加えて他の情報を用いてもよい。この場合でも、車載機器設定装置100における車載機器の設定の処理は、上述した実施形態と等価な処理を行えばよい。従って、車載機器設定装置100が、現在走行情報に代えて、または加えて他の情報を用いてユーザ設定値を設定する際の好適なタイミングを判定する場合の車載機器設定装置100の処理に関する詳細な説明は省略する。
【0078】
以上説明した実施形態の車載機器設定装置100によれば、車両Mのユーザごとに、車両Mに搭載されている車載機器200を動作させるための設定を行う車載機器設定装置100であって、ユーザが所望する車載機器200の設定に関する設定情報がユーザごとに示されているユーザ設定情報112を記憶する記憶部110と、選択されたユーザのユーザ設定情報112に示されている設定情報が表す設定値を、対応する車載機器200に設定する設定部130と、車載機器200から、現在設定されている設定値である現在設定値を取得し、取得した現在設定値と、選択されたユーザのユーザ設定情報112に示されている設定情報が表す設定値であるユーザ設定値とを比較する設定比較部140と、少なくとも車載機器200の設定に関する情報をユーザに通知する通知部150と、を備え、設定比較部140は、比較の結果、現在設定値とユーザ設定値とが異なる車載機器200である設定未了車載機器200Nが存在する場合、車両Mの走行状態を含む走行情報に応じて、設定未了車載機器200Nが存在することを表す通知を通知部150に行わせ、設定部130は、通知部150より通知された設定未了車載機器200Nに対するユーザ設定値の設定を指示する設定指示がユーザによりされた場合に、走行情報に応じて、ユーザ設定値を設定未了車載機器200Nに設定する、ことにより、車載機器に対するユーザごとの設定を好適なタイミングで行うことができる。これにより、車載機器設定装置100が搭載された車両Mでは、車両Mを通常使用するユーザとして登録したユーザの利便性を向上させることができるとともに、より安全に車両Mの走行を継続させることができる。
【0079】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
車両のユーザごとに、前記車両に搭載されている車載機器を動作させるための設定を行う車載機器設定装置が、
ハードウェアプロセッサと、
プログラムを記憶した記憶装置と、を備え、
前記ハードウェアプロセッサが前記記憶装置に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、
記憶部に記憶された、前記ユーザが所望する前記車載機器の設定に関する設定情報が前記ユーザごとに示されているユーザ設定情報のうち、選択された前記ユーザの前記ユーザ設定情報に示されている前記設定情報が表す設定値を、対応する前記車載機器に設定し、
前記車載機器から、現在設定されている設定値である現在設定値を取得し、
取得した前記現在設定値と、前記選択された前記ユーザの前記ユーザ設定情報に示されている前記設定情報が表す設定値であるユーザ設定値とを比較し、
前記比較の結果、前記現在設定値と前記ユーザ設定値とが異なる前記車載機器である設定未了車載機器が存在する場合、前記車両の走行状態を含む走行情報に応じて、前記設定未了車載機器が存在することを表す通知を、少なくとも前記車載機器の設定に関する情報を前記ユーザに通知する通知部に行わせ、
前記通知部より通知された前記設定未了車載機器に対する前記ユーザ設定値の設定を指示する設定指示が前記ユーザによりされた場合に、前記走行情報に応じて、前記ユーザ設定値を前記設定未了車載機器に設定する、
ように構成されている、車載機器設定装置。
【0080】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形および置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0081】
100・・・車載機器設定装置
110・・・記憶部
112・・・ユーザ設定情報
120・・・通信部
130・・・設定部
140・・・設定比較部
150・・・通知部
200・・・車載機器
202・・・空調システム
204・・・メモリシート
300・・・インターフェース装置
302・・・ディスプレイ
304・・・入力部
400・・・メータ装置
402・・・表示部
M・・・車両
図1
図2
図3
図4