(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141167
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】ペロブスカイト化合物を用いた光電変換素子およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10K 30/50 20230101AFI20241003BHJP
H10K 30/40 20230101ALI20241003BHJP
H10K 85/50 20230101ALI20241003BHJP
H10K 71/13 20230101ALI20241003BHJP
【FI】
H10K30/50
H10K30/40
H10K85/50
H10K71/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052658
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】391040870
【氏名又は名称】紀州技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167645
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 一弘
(72)【発明者】
【氏名】舩山 遼斗
(72)【発明者】
【氏名】柴山 直之
(72)【発明者】
【氏名】池上 和志
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 力
【テーマコード(参考)】
3K107
5F251
【Fターム(参考)】
3K107AA03
3K107CC03
3K107CC45
3K107DD53
3K107DD54
3K107DD60
3K107DD70
3K107FF08
3K107FF14
3K107FF18
3K107GG08
3K107GG28
5F251AA18
5F251AA20
5F251BA11
5F251CB13
5F251FA04
5F251FA06
5F251XA01
5F251XA52
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ペロブスカイト化合物による生産性の高い光電変換素子の製造方法の提供
【解決手段】ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物を単独又は2以上混合して構成されたハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物と、メチルメタクリレートまたはポリ(メチルメタクリレート)と、溶媒を含むペロブスカイト化合物溶液であって、ポリ(メチルメタクリレート)は、平均分子量15000以下であり、かつ、メチルメタクリレートまたはポリ(メチルメタクリレート)のハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物に対する添加量がハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物1モル当たり0.05mgから1.00mgであるペロブスカイト化合物溶液でインクジェット印刷により形成した光電変換機能層の表面粗さ(Ra)は、0.2μm未満である。光電変換機能層は、ペロブスカイト溶液調製工程、インクジェット印刷工程、塗膜乾燥工程により形成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)に示すハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物を単独又は2以上混合して構成されたハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物と、メチルメタクリレートまたはポリ(メチルメタクリレート)と、溶媒を含むペロブスカイト化合物溶液であって、
前記ポリ(メチルメタクリレート)は、平均分子量15000以下であり、かつ、前記メチルメタクリレートまたはポリ(メチルメタクリレート)の前記ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物に対する添加量が前記ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物1モル当たり0.05mgから1.00mgであることを特徴とするペロブスカイト化合物溶液。
[A][B][X]3 (1)
ここで、[A]は、メチルアンモニウム(CH3NH3
+),ホルムアミジニウム(CH(NH3)2
+),R1(NH3)2
+;R1は炭素数2以上のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基から選択される有機カチオンまたは、Cs+,Rb+,K+若しくはNa+から選択される1以上の無機カチオンであり、
[B]は、Pb2+,Sn2+から選択される1以上の2価の無機カチオンであり、
[X]は、F-,Cl-,Br-,I-から選択されるハロゲン化物アニオンである。
【請求項2】
上記一般式(1)に示すハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物を構成する[A]において、有機カチオン構成比が0.95以上であることを特徴とする請求項1に記載するペロブスカイト化合物溶液。
【請求項3】
導電性基板間に、ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物で構成される光電変換層を有する光電変換素子の光電変換機能層の製造方法であって、
前記光電変換機能層がペロブスカイト化合物溶液をインクジェット印刷方式により形成した塗膜であり、
前記ペロブスカイト化合物溶液が下記一般式(1)に示すハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物を単独又は2以上混合して構成されたハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物と、メチルメタクリレートまたはポリ(メチルメタクリレート)と、溶媒を含み、
前記ポリ(メチルメタクリレート)は、平均分子量15000以下であり、かつ、前記メチルメタクリレートまたはポリ(メチルメタクリレート)の前記ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物に対する添加量が前記ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物1モル当たり0.05mgから1.00mgであるであることを特徴とするハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物で構成される光電変換層を有する光電変換素子の光電変換機能層の製造方法。
[A][B][X]3 (1)
ここで、[A]は、メチルアンモニウム(CH3NH3
+),ホルムアミジニウム(CH(NH3)2
+),R1(NH3)2
+;R1は炭素数2以上のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基から選択される有機カチオンまたは、Cs+,Rb+,K+若しくはNa+からから選択される1以上の無機カチオンであり、
[B]は、Pb2+,Sn2+から選択される1以上の2価の無機カチオンであり、
[X]は、F-,Cl-,Br-,I-から選択されるハロゲン化物アニオンである。
【請求項4】
前記インクジェット印刷方式により形成した塗膜のJIS0601-2001に準拠して計測された最大高さRaが0.2μm未満であることを特徴とする請求項3に記載するハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物で構成される光電変換層を有する光電変換素子の光電変換機能層の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ペロブスカイト化合物を用いた光電変換素子およびその製造方法に関し、特にペロブスカイト化合物を光電変換機能層とする光電変換素子において、光電変換機能層をインクジェット印刷により形成する方法およびインクジェット印刷に供するペロブスカイト溶液に関する。
【背景技術】
【0002】
持続可能な社会を実現するエネルギー源として、環境負荷が少なく低コストで製造可能な光電変換素子の実用化研究が広く行われている。特に、光電変換層を構成する光吸収材料としてペロブスカイト型結晶構造を有する有機無機混成ペロブスカイト化合物(以下、「ペロブスカイト化合物」という。)を用いた光電変換素子(PSC)が、比較的高い光電変換効率を達成できるとの研究成果が報告されて注目を集めている。
【0003】
ペロブスカイト化合物による光電変換層の形成方法としては、スピンコーティング法が採用されていが、連続生産や大規模生産に向かないという問題がある。このため、ドクターブレード法、グラビアコーティング法、インクジェット印刷法が採用されている(特許文献1)。特に、デジタルインクジェット印刷法は、連続生産や大規模生産に向くため、コスト効率の高いペロブスカイト薄膜を幅広い基板上に任意形状で塗膜形成できるため注目されている(非特許文献1)。
【0004】
インクジェット印刷法により光電変換層を塗膜形成することは開示されている(特許文献2,3)。しかしながら、インクジェット印刷法により塗膜形成したペロブスカイト化合物による光電変換機能層は、縞状塗膜であるため、その塗膜粗さが光電変換素子の光電変換効率に影響を及ぼすという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開2020/243287
【特許文献2】特開2011-124467号公報
【特許文献3】国際公開2019/045508
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Eggers, Helge, et al. "Inkjet-Printed Micrometer-Thick Perovskite Solar Cells with Large Columnar Grains." Advanced Energy Materials (2020), 10, 1903184.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明は、インクジェット印刷法により塗膜形成したペロブスカイト化合物による光電変換機能層の塗膜粗さを低減するインクジェット印刷用ペロブスカイト化合物溶液を提供することにある。また、塗膜粗さの小さいペロブスカイト化合物による光電変換層を形成する方法を提供し、インクジェット印刷法による光電変換機能層を有する光電変換効率の高い光電変換素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、下記記載の(態様1)乃至(態様4)で実施できる。
【0009】
(態様1) 下記一般式(1)に示すハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物を単独又は2以上混合して構成されたハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物と、メチルメタクリレートまたはポリ(メチルメタクリレート)と、溶媒を含むペロブスカイト化合物溶液であって、
前記ポリ(メチルメタクリレート)は、平均分子量15000以下であり、かつ、前記メチルメタクリレートまたはポリ(メチルメタクリレート)の前記ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物に対する添加量が前記ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物1モル当たり0.05mgから1.00mgであることを特徴とするペロブスカイト化合物溶液である。
[A][B][X]3 (1)
ここで、[A]は、メチルアンモニウム(CH3NH3
+),ホルムアミジニウム(CH(NH3)2
+),R1(NH3)2
+;R1は炭素数2以上のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基から選択される有機カチオンまたは、Cs+,Rb+,K+若しくはNa+から選択される1以上の無機カチオンであり、[B]は、Pb2+,Sn2+から選択される1以上の2価の無機カチオンであり、[X]は、F-,Cl-,Br-,I-から選択されるハロゲン化物アニオンである。
【0010】
(態様2) 上記一般式(1)に示すハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物を構成する[A]において、有機カチオン構成比が0.95以上であることを特徴とする態様1に記載するペロブスカイト化合物溶液である。
【0011】
(態様3) 導電性基板間に、ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物で構成される光電変換層を有する光電変換素子の光電変換機能層の製造方法であって、前記光電変換機能層がペロブスカイト化合物溶液をインクジェット印刷方式により形成した塗膜であり、前記ペロブスカイト化合物溶液が下記一般式(1)に示すハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物を単独又は2以上混合して構成されたハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物と、メチルメタクリレートまたはポリ(メチルメタクリレート)と、溶媒を含み、前記ポリ(メチルメタクリレート)は、平均分子量15000以下であり、かつ、前記メチルメタクリレートまたはポリ(メチルメタクリレート)の前記ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物に対する添加量が前記ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物1モル当たり0.05mgから1.00mgであるであることを特徴とするハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物で構成される光電変換層を有する光電変換素子の光電変換機能層の製造方法である。
[A][B][X]3 (1)
ここで、[A]は、メチルアンモニウム(CH3NH3
+),ホルムアミジニウム(CH(NH3)2
+),R1(NH3)2
+;R1は炭素数2以上のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基から選択される有機カチオンまたは、Cs+,Rb+,K+若しくはNa+からから選択される1以上の無機カチオンであり、[B]は、Pb2+,Sn2+から選択される1以上の2価の無機カチオンであり、[X]は、F-,Cl-,Br-,I-から選択されるハロゲン化物アニオンである。
【0012】
(態様4) 前記インクジェット印刷方式により形成した塗膜のJIS0601-2001に準拠して計測された最大高さRaが0.2μm未満であることを特徴とする態様3に記載するハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物で構成される光電変換層を有する光電変換素子の光電変換機能層の製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本願発明によれば、メチルメタクリレートまたは平均分子量15000以下のポリ(メチルメタクリレート)をハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物1モル当たり0.05mgから1.00mg添加物したペロブスカイト溶液を用いてハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物をインクジェット印刷することで、光電変換機能層の塗膜粗さを低減できる。また、ペロブスカイト化合物を光電変換機能層する光電変換効率の高い光電変換素子を生産性高く製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本願発明の第1の実施態様に係る光電変換素子の断面模式図である。
【
図2】本願発明の第2の実施態様に係る光電変換素子の断面模式図である。
【
図3】本願発明の光電変換機能層の表面粗さと変換効率の関係を示すグラフである。
【
図4】本願発明の光電変換機能層の表面形態観察画像である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.ペロブスカイト溶液
本願発明のインクジェット印刷に供するペロブスカイト溶液(以下、単に「ペロブスカイト溶液」という。)を構成する成分について説明する。本願発明のペロブスカイト溶液は、光電変換素子の光電変換機能層を形成するハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物前駆体溶液である。本願発明のハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物は、前駆体溶液を用いた自己組織化反応により合成することができる。
【0016】
(1-1)ペロブスカイト化合物
本願発明のペロブスカイト溶液を構成するペロブスカイト化合物は、下記一般式(1)に示すハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物である。
[A][B][X]3 (1)
ここで、[A]は、メチルアンモニウム(CH3NH3
+),ホルムアミジニウム(CH(NH3)2
+),R1(NH3)2
+;R1は炭素数2以上のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基から選択される有機カチオンまたは、Cs+,Rb+,K+若しくはNa+から選択される1以上の無機カチオンであり、[B]は、Pb2+,Sn2+から選択される1以上の2価の無機カチオンであり、[X]は、F-,Cl-,Br-,I-から選択されるハロゲン化物アニオンである。
また、本願発明のハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物としては、[A]成分の有機カチオン構成比が0.95以上のものを好適に用いることができる。
【0017】
(1-2)添加剤
本願発明のペロブスカイト溶液には、インクジェット印刷により形成される塗膜の平面性及び平滑性を付与するため、メチルメタクリレート(MMA)またはポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)を添加する。
ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)は、メチルメタクリレート(MMA)の単独重合体(ホモポリマー)であって、平均分子量15000未満が好適である。平均分子量15000を超える(例えば、平均分子量50000)場合は溶解しないからである。
また、メチルメタクリレート(MMA)またはポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)のハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物に対する添加量は、ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物1モル当たり0.05mgから1.00mgである。
【0018】
本願発明のペロブスカイト溶液には、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)と相溶性のある他の重合体をブレンドすることができる。例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド樹脂、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)系樹脂、ポリエチレン系樹脂(直鎖状ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン)、ポリプロピレン系樹脂(ホモポリプロピレン、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体や、プロピレンと他の少量のαオレフィンとの共重合体)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、イソプレン系樹脂、エチレンープロピレン系ゴム、エチレン-プロピレン系ゴム等のポリオレフィンなどが挙げられる。なかでも、PMMAとの相溶性の観点から、アクリル系樹脂などが好ましい。
【0019】
(1-3)溶媒
本願発明に用いるペロブスカイト溶液を調製するための溶剤としては、ハライド系ペロブスカイト化合物前駆体を溶解できるものであれば特に限定するものではない。また、単独または混合して用いることができる。
具体的には、エステル類(例、メチルホルメート、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、ペンチルアセテート等)、ケトン類(例、γ-ブチロラクトン、N-メチル-2-ピロリドン、アセトン、ジメチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等)、エーテル類(例、ジエチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、4-メチルジオキソラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール等)、アルコール類(例、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノール、1-ペンタノール、2-メチル-2-ブタノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、メトキシプロパノール、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノール、2-フルオロエタノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、2,2,3,3-テトラフルオロ-1-プロパノール等)、グリコールエーテルセロソルブ類(例、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル等)、アミド系溶剤(例、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等)、スルホン系(例、ジメチルスルホキシド(DMSO))、ニトリル系溶剤(例、アセトニトリル、イソブチロニトリル、プロピオニトリル、メトキシアセトニトリル等)、カーボート系剤(例、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)、ハロゲン化炭化水素(例、塩化メチレン、ジクロロメタン、クロロホルム等)、炭化水素(例、n-ペンタン、シクロヘキサン、n-ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ジメチルスルホキシドがある。これらは分岐構造若しくは環状構造を有していてもよい。エステル類、ケトン類、エーテル類およびアルコール類の官能基即ち、-O-、-CO-、-COO-、-OH)のいずれかを二つ以上有していてもよい。エステル類、ケトン類、エーテル類およびアルコール類の炭化水素部分における水素原子は、ハロゲン原子特に、フッ素原子)で置換されていてもよい。
【0020】
2.光電変換素子
本願発明のペロブスカイト溶液を用いてインクジェット印刷により形成されるハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物で構成される光電変換機能層(以下、単に「光電変換機能層」という。)を含む光電変換素子について説明する。なお、本願発明はペロブスカイト溶液によりインクジェット印刷により形成される光電変換機能層含む光電変換素子であれば特に限定されない。
【0021】
(2-1)光電変換素子の構造
図1は、光電変換素子の構造の1例を示す模式図である。光電変換素子100は、透明基板11上に透明導電層12を形成した一対の透明電極基板1の間に正孔輸送層21、光電変換機能層22、電子輸送層23からなる光電変換層2を有する。光電変換機能層22は、電子輸送層23上に本願発明のペロブスカイト溶液を用いたインクジェット印刷により塗膜として形成する。
【0022】
(2-2)透明導電性基板
本願発明の透明導電性基板1は、透明導電層12を透明基板11上に積層したものである。透明基板11としては、透明樹脂、光学ガラス、サファイヤ、透光性セラミックスがあり、本願発明の光電変換機能層22を含む光電変換素子を構成するに値するものであれば、利用することができる。
透明樹脂としては、耐熱性が高く、耐薬品性及びガス遮断性に優れ、かつ低コストの材料が好適である。例えば、ポリエステル類、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)など、スチレン類、例えば、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)など、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、透明ポリイミド(PI)、シクロオレフィンコポリマー(商品名:アートン)など、脂環式ポリオレフィン(商品名:ゼオノア)など、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、フッ素化環状ポリオレフィン、ポリイミド、ポリビニルフェノール、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、セルローストリアセテートがある。
光学ガラスとしては、光学器械用のレンズ,プリズム等に用いられるガラスで,屈折率,アッベ数,および均一性を厳密に制御して作られたものであり、成分中に酸化鉛(PbO)を含まないクラウンガラス系と,酸化鉛(PbO)を含むフリントガラス系の古典的組成のものがある。例えば、クラウン系(SiO3-B2O3-R2O R=Na,K),フリント系(SiO2-B2O3-PbO),バリウムフリント系(SiO2-BaO-PbO),バリウムクラウン系(SiO2-B2O3-BaO)があり,ほかに希土類とくにランタンを多く含有するランタン系,さらにリン酸塩系,フッ化物含有系などの特殊組成もある。
透光性セラミックスとしては、透光性アルミナ(Al2O3)、透光性マグネシア(MgO)、PLZT((Pb,La)(Zr,Ti)O3)がある。
【0023】
(2-3)透明導電層
本願発明の透明導電層12の素材としては、導電性金属類、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、チタン、導電性炭素や導電性高分子に代表される導電性有機材料、具体的には導電性炭素として、カーボンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、グラフェン、炭素繊維、フラーレンがあり、導電性高分子として、ポリアセチレン、PEDOTポリ3,4-エチレンジオキシチオフェン、ポリスチレンスルフォン酸との、オリゴチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレンがある。導電性金属酸化物、例えば、酸化スズ、酸化亜鉛、導電性複合金属酸化物、例えば、インジウム‐スズ酸化物(ITO)、インジウム-亜鉛酸化物(IZO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、Agナノワイヤ、金ナノ粒子、銀ナノ粒子などがある。高い光学的透明性を有するという点で、導電性金属酸化物、導電性複合金属酸化物が好ましく、耐熱性と化学安定性に優れるという点で、インジウム‐スズ複合酸化物(ITO)やインジウム‐亜鉛酸化物(IZO)が特に好ましい。透明導電層を構成する素材においては、その組成内容は他の素材との混合でもよく、また形態なども限定されるものではない。
透明導電層12を透明基板11上に形成する方法は特に限定されるものではない。スパッタ法、蒸着法さらには分散物を塗布する方法などが選定できる。本願発明の透明導電性基板1の光透過率(測定波長:550nm)は、30%以上が好ましく、50%以上であることがさらに好ましく、60%以上が最も好ましく、特には75%以上が好ましい。透明導電性基板の導電性と透明性は、透明導電層の形成方法を最適化することで、例えば、蒸着時間、分散液塗布量などを最適化することで、両立させることができる。
【0024】
図2に示すように、低い表面抵抗値を達成するために、一方を金属電極基板3とすることができる。金属メッシュ構造とすることで高い透明性も達成できる。低抵抗の金属材料(例、銅、銀、アルミニウム、白金、金、チタン、ニッケルなど)を用いて金属メッシュ構造からなる透明導電性層を形成することが好ましい。この場合には、導電層には集電のための補助リードをパターニングなどにより配置させることができる。補助リードも導電層と同様に低抵抗の金属材料(例、銅、銀、アルミニウム、白金、金、チタン、ニッケルなど)によって形成される。補助リードを含めた表面の抵抗値は本発明の目的に有ったものであれば特に限定されない。ここで補助リードのパターンは透明基板に蒸着、スパッタリングなどにより形成し、さらにその上に酸化スズ、ITO膜、IZO膜などからなる透明導電層を設けることも好ましい。
【0025】
(2-4)電子輸送層
本願発明の光電変換素子(100,200)は、透明導電性基板1上に、電子輸送層23を有している。電子輸送層23は、光電変換機能層22で発生した電子を透明導電性基板1へと輸送する機能を有する。電子輸送層23は、この機能を発揮することができる電子輸送材料で形成される。電子輸送材料としては、有機材料(有機電子輸送材料)と無機材料(無機電子輸送材料)がある。有機電子輸送材料としては、[6,6]-Phenyl-C61-Butyric Acid Methyl Ester(PC61BM)等のフラーレン化合物、ペリレンテトラカルボキシジイミド(PTCDI)等のペリレン化合物、その他、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)等の低分子化合物、又は、高分子化合物等が挙げられる。無機電子輸送材料としては、電荷(電子)を輸送できるn型半導体が挙げられる。チタン、スズ、亜鉛、ニオブ、タンタル、タングステン、インジウム、ガリウム、ネオジウム、パラジウム又はカドミウムの酸化物(TiO2、SnO2、ZnO、Nb2O5、Ta2O5、WO3、W2O5、In2O3、Ga2O3、Nd2O3、PbO、CdO)がある。
電子輸送層23は、有機材料(有機電子輸送材料)または無機材料(無機電子輸送材料)をスパッタ法、蒸着法さらには分散物を塗布する方法などで形成できる。
電子輸送層23の膜厚は、特に限定されず、0.001~10μmが好ましく、0.01~1μmがより好ましい。
【0026】
(2-5)正孔輸送層
本願発明の光電変換素子(100,200)は、透明電極層12または金属電極基板3と光電変換機能22との間に光電変換機能22に隣接して正孔輸送層21を有する。正孔輸送層21は、励起した光吸収剤が電荷分離して発生する正孔を透明電極層12または金属電極基板3に輸送する正孔輸送機能(光吸収剤の酸化体に電子を補充する機能)を少なくとも有する層であれば、特に限定されない。
正孔輸送層21は、正極としての機能を担う多孔質導電性物資で構成される。具体的には多孔性金属類(白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、チタン)、多孔性導電性炭素(カーボンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、グラフェン、炭素繊維、フラーレン)、多孔性導電性高分子(ポリアセチレン、PEDOTポリ3,4-エチレンジオキシチオフェン、ポリスチレンスルフォン酸との、オリゴチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン)、多孔性金属酸化物(酸化スズ、酸化亜鉛)、多孔性導電性複合金属酸化物(インジウム‐スズ酸化物(ITO)、インジウム-亜鉛酸化物(IZO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO))、Agナノワイヤ、金ナノ粒子、銀ナノ粒子などがある。耐熱性と化学安定性に優れるという点で、多孔性金属類、多孔性導電性炭素、多孔性金属酸化物、多孔性導電性複合金属酸化物が特に好ましい。また、spiro-OMeTADなどの輸送材料を用いることができる。
正孔輸送21の膜厚は、特に限定されず、0.001~10μmが好ましく、0.01~1μmがより好ましい。
【0027】
(2-6)短絡防止層
短絡防止層を光電変換層2と導電性基板の間に設けることで、光電変換層と導電性基板とが電気的に接続した場合に生じる逆電流を防止する機能を果たす。
【0028】
3.光電変換機能層の製造方法
本願発明の光電変換機能層の製造方法は、ペロブスカイト溶液調製工程、インクジェット印刷工程、塗膜乾燥工程からなる。また、塗膜乾燥工程後に塗膜養生工程を設けることができる。以下に説明する。
(3-1)ペロブスカイト溶液調製工程
本願発明のペロブスカイト溶液調製工程は、所定濃度のハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物及び添加剤を溶媒中で混合溶解して、インクジェット印刷工程に供するペロブスカイト溶液(インク)を調製する工程である。調製したペロブスカイト溶液(インク)は脱気してインクジェット装置に充填する。
【0029】
(3-2)インクジェット印刷工程
本願発明のインクジェット印刷工程は、インクジェット装置によりペロブスカイト溶液(インク)の液滴を、透明導電性基板1に形成した電子輸送層21上面に塗布してペロブスカイト化合物層からなる塗膜を形成する工程である。
インクジェット装置は、単一または複数のインクジェットヘッドを備えるヘッドユニットと、電子輸送層を形成した透明導電性基板を載置するためのステージとを備える。インクジェット装置は、ステージ上の透明導電性基板とヘッドユニットとを走査方向に相対移動させることができるように構成されている。インクジェット装置は、この相対移動中に、インクジェットヘッドに形成されたノズルから透明導電性基板上にペロブスカイト溶液(インク)を塗布する。これにより、ペロブスカイト化合物層からなる塗膜が形成される。
【0030】
インクジェット印刷は、インクジェットヘッド温度、インクジェットヘッド移動間隔、ステージ温度、ステージ速度を適宜選択して塗膜形成を行うことができる。
インクジェットヘッド温度は室温~60℃が好適であり、インクジェットヘッド移動間隔は50μm、ステージ温度は60~180℃が好適であり、100℃~120℃がより好適である。ステージ速度は5~25mm/sが好適である。
【0031】
(3-3)塗膜乾燥工程
本願発明の塗膜乾燥工程は、電子輸送層21上に塗膜形成したペロブスカイト化合物層から溶媒を除去して光電変換機能層22を形成する工程である。
塗膜乾燥は、加熱温度(ステージ温度)と加熱時間(ステージ保持時間)を塗膜厚みにより適宜選択することができる。加熱温度(ステージ温度)は、20℃~180℃が好適であり、100℃~120℃がより好適である。加熱時間(ステージ保持時間)は、1min~60minが好適である。
【0032】
(3-4)塗膜養生工程
本願発明の塗膜養生工程は、光電変換機能層を形成するハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物の結晶構造を均一化して光電変換機能を向上する工程である。
塗膜養生は、電子輸送層上に塗膜形成したペロブスカイト化合物層を加熱処理することで行う。加熱処理温度は100℃~210℃が好適であり、加熱処理時間は、1min~60minが好適である。
【実施例0033】
本願発明の効果を奏する実施態様を表1、
図3、
図4及び実施例として以下に示す。
【表1】
【0034】
<実施例1>
(1)ハライド系有機無機ペロブスカイト化合物前駆体溶液(A-1)の合成
三角フラスコ内に、溶質としてヨウ化鉛〔PbI2〕(東京化成工業社製)0.6mmol、臭化鉛〔PbBr2〕(東京化成工業社製)0.0075mmol、ヨウ化メチルアンモニウム〔CH3NH3I〕(東京化成工業社製)0.6mmol、ヨウ化ホルムアミジニウム〔CH(NH3)2I〕(東京化成工業社製)0.6mmol、ヨウ化セシウム〔CsI〕(東京化成工業社製)0.0075mmolを入れ、かつ、溶媒としてジメチルホルムアミド〔(CH3)2NCHO〕(富士フイルム和光純薬社製)およびジメチルスルホキシド〔C2H6OS〕(富士フイルム和光純薬社製)を容量比4:1で混合してペロブスカイト溶液〔Cs0.05(CH(NH3)2I)0.95Pb(I0.93Br0.07)3〕を合成した。温度を60℃に設定し、マグネッチックスターラーにより3時間撹拌した。
【0035】
(2)インクジェット印刷用ペロブスカイト溶液の調製
ハライド系有機無機ペロブスカイト化合物前駆体溶液(A-1)1.0mol、メチルメタクリレート〔MMA〕(富士フイルム和光純薬社製)0.25mol、ジメチルホルムアミド〔(CH3)2NCHO〕(富士フイルム和光純薬社製)およびジメチルスルホキシド〔C2H6OS〕(富士フイルム和光純薬社製)の容量比4:1の混合溶媒1.30molの配合量でインクジェット印刷用ペロブスカイト溶液を調製した。
【0036】
(3)光電変換層の形成
(3-1)電子輸送層の形成
酸化スズ〔SnO2〕コロイダル水溶液(15%)(富士フイルム和光純薬社製)を純水で10倍希釈し、酸化スズ〔SnO2〕分散液を作製した。UVオゾン処理を行ったITO基板に酸化スズ〔SnO2〕分散液を塗布し、5000rpmで30sec回転し、塗布した。この基板を30分間180℃で焼成して酸化スズ〔SnO2〕、層からなる電子輸送層を形成した。
【0037】
(3-2)光電変換機能層の形成
インクジェット装置(紀州技研工業社製 WM5000F型)にインクジェット印刷用ペロブスカイト溶液を脱気して充填した。120℃に加温したステージ上に電子輸送層を上面として透明導電性基板を載置して、ステージ速度5mm/sで60℃に保温したインクジェットヘッドからインクジェット印刷用ペロブスカイト溶液を、ピッチ間隔50μm、インク吐出量15plで電子輸送層に塗膜形成した。
光電変換機能層を形成した後、加熱機能付き減圧チャンバーに入れ、減圧加熱下(80℃、100Pa)で、5min、減圧加熱アニール処理を行った。
【0038】
(3-3)正孔輸送層の形成
リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド〔LiTFSI〕(富士フイルム和光純薬社製)517mgをアセトニトリル〔CH3CN〕(富士フイルム和光純薬社製)1mLに溶解させ、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド〔LiTFSI〕溶液を作製した。粉末のspiro-OMeTAD〔N2,N2',N7,N7'-tetrakis(2,4-dimethoxyphenyl)-N2,N2',N7,N7'-tetraphenyl- 9,9'-spirobi[fluorene]-2,2',7,7'-tetraamine〕(富士フイルム和光純薬社製)80μgをクロロベンゼン〔C6H5Cl〕(富士フイルム和光純薬社製)1mLに溶解させ、32μLの4-テトラブチルピリジン〔C9H13N〕(東京化成工業社製)と19μLのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド〔LiTFSI〕溶液をそれぞれ添加し、spiro-OMeTAD溶液を作製した。この溶液を100μLのspiro-OMeTAD溶液を2000rpmで塗布し、膜厚100nmのspiro-OMeTAD層を作製した。
【0039】
(4)光電変換素子の製作
光電変換機能層を形成した透明導電性基板と正孔輸送層を形成した透明導電性基板とを光電変換機能層形成面を上面として、貼合して光電変換特性評価用光電変換素子を製作した。
【0040】
(5)評価
(5-1)光電変換機能層表面特性
光電変換機能層について、形状解析レーザ顕微鏡(キーエンス社製 VK-X1000型)により、JIS0601-2001に準拠して表面粗さ(Ra)を計測し、併せて、表面形態も観察した(表1、
図4)。
【0041】
(5-2)光電変換特性
光源として、150Wキセノンランプ光源装置にAM1.5Gフィルターを装着した擬似太陽光源(PEC-L11型、ペクセル・テクノロジーズ(株)製)を用いた。光量は、1sun(約10万lux AM1.5G、100mWcm-2(JIS C 8912のクラスA))に調整した。作製した光電変換素子をソースメータ(2400型ソースメータ、Keithley社製)に接続した。電流電圧特性は、1sunの光照射下、バイアス電圧を、0Vから1.1Vまで、0.01V単位で変化させながら出力電流を測定した。同様にバイアス電圧を、逆方向に1.1Vから0Vまでステップさせる測定も行い、順方向と逆方向の測定の平均値を光電流データとして、変換効率を求めた。
後述する<実施例5-6>、<実施例8>、<比較例1>について変換効率を求めた(表1、
図3)。
【0042】
<実施例2>
インクジェット印刷用ペロブスカイト溶液をメチルメタクリレート〔MMA〕(富士フイルム和光純薬社製)0.25mol添加に代えて、ポリ(メチルメタクリレート)〔PAAA;平均分子量2000〕(富士フイルム和光純薬社製)0.25mol添加して調製したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2の光電変換素子を製作した。
【0043】
<実施例3>
インクジェット印刷用ペロブスカイト溶液をメチルメタクリレート〔MMA〕(富士フイルム和光純薬社製)0.25mol添加に代えて、ポリ(メチルメタクリレート)〔PAAA;平均分子量2000〕(富士フイルム和光純薬社製)0.50mol添加して調製したこと以外は、実施例1と同様にして実施例3の光電変換素子を製作した。
【0044】
<実施例4>
インクジェット印刷用ペロブスカイト溶液をメチルメタクリレート〔MMA〕(富士フイルム和光純薬社製)0.25mol添加に代えて、ポリ(メチルメタクリレート)〔PAAA;平均分子量2000〕(富士フイルム和光純薬社製)1.00mol添加して調製したこと以外は、実施例1と同様にして実施例4の光電変換素子を製作した。
【0045】
<実施例5>
インクジェット印刷用ペロブスカイト溶液をメチルメタクリレート〔MMA〕(富士フイルム和光純薬社製)0.25mol添加に代えて、ポリ(メチルメタクリレート)〔PAAA;平均分子量4000〕(富士フイルム和光純薬社製)0.25mol添加して調製したこと以外は、実施例1と同様にして実施例5の光電変換素子を製作した。
【0046】
<実施例6>
インクジェット印刷用ペロブスカイト溶液をメチルメタクリレート〔MMA〕(富士フイルム和光純薬社製)0.25mol添加に代えて、ポリ(メチルメタクリレート)〔PAAA;平均分子量4000〕(富士フイルム和光純薬社製)0.50mol添加して調製したこと以外は、実施例1と同様にして実施例6の光電変換素子を製作した。
【0047】
<実施例7>
インクジェット印刷用ペロブスカイト溶液をメチルメタクリレート〔MMA〕(富士フイルム和光純薬社製)0.25mol添加に代えて、ポリ(メチルメタクリレート)〔PAAA;平均分子量4000〕(富士フイルム和光純薬社製)1.00mol添加して調製したこと以外は、実施例1と同様にして実施例7の光電変換素子を製作した。
【0048】
<実施例8>
インクジェット印刷用ペロブスカイト溶液をメチルメタクリレート〔MMA〕(富士フイルム和光純薬社製)0.25mol添加に代えて、ポリ(メチルメタクリレート)〔PAAA;平均分子量15000〕(富士フイルム和光純薬社製)0.25mol添加して調製したこと以外は、実施例1と同様にして実施例8の光電変換素子を製作した。
【0049】
<実施例9>
インクジェット印刷用ペロブスカイト溶液をメチルメタクリレート〔MMA〕(富士フイルム和光純薬社製)0.25mol添加に代えて、ポリ(メチルメタクリレート)〔PAAA;平均分子量15000〕(富士フイルム和光純薬社製)0.50mol添加して調製したこと以外は、実施例1と同様にして実施例9の光電変換素子を製作した。
【0050】
<比較例1>
インクジェット印刷用ペロブスカイト溶液にメチルメタクリレート〔MMA〕およびポリ(メチルメタクリレート)〔PAAA〕のいずれも添加しないこと以外は、実施例1と同様にして比較例1の光電変換素子を製作した。
【0051】
<比較例2>
インクジェット印刷用ペロブスカイト溶液をメチルメタクリレート〔MMA〕(富士フイルム和光純薬社製)0.25mol添加に代えて、ポリ(メチルメタクリレート)〔PAAA;平均分子量2000〕(富士フイルム和光純薬社製)0.001mol添加して調製したこと以外は、実施例1と同様にして比較例2の光電変換素子を製作した。
【0052】
<比較例3>
インクジェット印刷用ペロブスカイト溶液をメチルメタクリレート〔MMA〕(富士フイルム和光純薬社製)0.25mol添加に代えて、ポリ(メチルメタクリレート)〔PAAA;平均分子量2000〕(富士フイルム和光純薬社製)0.05mol添加して調製したこと以外は、実施例1と同様にして比較例3の光電変換素子を製作した。
【0053】
<まとめ>
有機カチオンの構成比が0.95以上のハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物(A-1)にメチルメタクリレートまたは平均分子量15000以下のポリ(メチルメタクリレート)をハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物(A-1)1モル当たり0.05mgから1.00mg添加物したペロブスカイト溶液をインクジェット印刷して形成した光電変換機能層の表面粗さ(Ra)は、0.2μm未満である(実施例1-9、表1)。
表面粗さ(Ra)と光電変換素子の変換効率とは、相関関係がある(表1、
図3)。