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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141176
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/44 20060101AFI20241003BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20241003BHJP
   C11D 1/88 20060101ALI20241003BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A61K8/44
C11D1/04
C11D1/88
A61Q19/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052672
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】390003001
【氏名又は名称】川研ファインケミカル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山本 義昭
【テーマコード(参考)】
4C083
4H003
【Fターム(参考)】
4C083AC012
4C083AC122
4C083AC482
4C083AC641
4C083AC642
4C083AC662
4C083AC712
4C083AC782
4C083AD072
4C083AD092
4C083AD242
4C083BB04
4C083BB07
4C083CC23
4C083DD27
4H003AB03
4H003AB27
4H003AD04
4H003BA12
4H003DA02
4H003EA21
4H003EB05
4H003EB14
4H003EB30
4H003ED02
4H003FA16
4H003FA17
4H003FA21
4H003FA26
4H003FA28
4H003FA30
(57)【要約】
【課題】
さっぱりとさらさらした良好な使用感および、きめ細かい泡を実現しつつ外観の分離や沈殿が抑制され広いpH領域で実用に足る粘度とすることができる洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】
一般式(1)で示されるアシルアミノカプロン酸またはその塩を含有する洗浄剤組成物。
(1)

(式(1)中、Rは1種または、2種以上の炭素数7~21の直鎖または分岐のアルキル鎖を示す。Mは水素、アルカリ金属原子、1/2アルカリ土類金属原子、タウリン、N-メチルタウリン、アルカノールアミン、塩基性アミノ酸、アンモニウムまたは有機アンモニウムを示す。)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で示されるアシルアミノカプロン酸またはその塩を含有する洗浄剤組成物。
(1)

(式(1)中、Rは1種または、2種以上の炭素数7~21の直鎖または分岐のアルキル鎖を示す。Mは水素、アルカリ金属原子、1/2アルカリ土類金属原子、タウリン、N-メチルタウリン、アルカノールアミン、塩基性アミノ酸、アンモニウムまたは有機アンモニウムを示す。)
【請求項2】
陰イオン性界面活性剤を0.1%~15%含む請求項1記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
両性界面活性剤を0.1%~10%含む請求項1記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
pHが7~12である請求項1~3のいずれか記載の皮膚洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外観の沈殿が抑制され好ましい粘度およびきめ細かい泡立ちを実現できる洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液体洗浄剤組成物には、主基剤として陰イオン性界面活性剤がよく利用される。中でも、アミノ酸型界面活性剤であるアシルアミノ酸又はその塩は、刺激が少ないため安全性が高く、泡立ちや泡の触感が良好なため、洗顔料、ボディソープ、ハンドソープ、シャンプーなど液体洗浄剤や化粧料に広く用いられている。
【0003】
しかし、アミノ酸型界面活性剤を用いた洗浄剤は増粘しくいことが課題である。この課題を解決するために、増粘剤や脂肪酸又はその塩が使われている。例えば、特許文献1ではN-アシルグルタミン酸塩を含有し、分子内にポリオキシエチレン鎖を有するエステル系またはエーテル系の増粘剤及び脂肪酸またはその塩から処方され、かつ水溶液のpHが6.0以下で増粘することが報告されている。また、特許文献2ではN-長鎖アシル酸性アミノ酸またはその塩と分子内に酸化エチレン構造を少なくとも一つ以上有している増粘剤を含有し、且つpHが4~7に調整されている洗浄剤組成物が知られている。しかしながら、これらに該当しないpHでは、増粘の効果が十分に得られない場合がありなお改善の余地がある。このような背景から、アミノ酸型界面活性剤を使用しても増粘が可能であり、アルカリ性のpH領域においても増粘性を有する組成物が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-158089号公報
【特許文献2】特開2006-348101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さっぱりとさらさらした良好な使用感および、きめ細かい泡を実現しつつ外観の分離や沈殿が抑制され広いpH領域で実用に足る粘度とすることができる洗浄剤組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するため、アシルアミノカプロン酸またはその塩を使用することで、アルカリ性領域であっても特段の増粘効果を発現し、泡性能が向上することを見出し、本発明を完成した。
【0007】
即ち本発明は、以下のとおりである。
(a)
一般式(1)で示されるアシルアミノカプロン酸またはその塩を含有する洗浄剤組成物。
(1)

(式(1)中、Rは1種または、2種以上の炭素数7~21の直鎖または分岐のアルキル鎖を示す。Mは水素、アルカリ金属原子、1/2アルカリ土類金属原子、タウリン、N-メチルタウリン、アルカノールアミン、塩基性アミノ酸、アンモニウムまたは有機アンモニウムを示す。)
(b)
陰イオン性界面活性剤を0.1%~15%含む(a)記載の洗浄剤組成物。
(c)
両性界面活性剤を0.1%~10%含む(a)記載の洗浄剤組成物。
(d)
pHが7~12である(a)~(c)のいずれか記載の皮膚洗浄剤組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明の洗浄剤組成物を用いることにより、さっぱりとさらさらした良好な使用感およびきめ細かい泡を実現しつつ、外観の分離や沈殿が抑制され、洗浄剤として好ましい粘度に調整することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。
アシルアミノカプロン酸またはその塩は一般式(1)で示される。
(1)

(式(1)中、Rは1種または、2種以上の炭素数7~21の直鎖または分岐のアルキル鎖を示す。Mは水素、アルカリ金属原子、1/2アルカリ土類金属原子、タウリン、N-メチルタウリン、アルカノールアミン、塩基性アミノ酸、アンモニウムまたは有機アンモニウムを示す。)
【0010】
アシルアミノカプロン酸またはその塩の製造方法として、例えば、脂肪酸クロライドとアミノカプロン酸をアルカリ条件下で求核置換反応または、脂肪酸エステルとアミノカプロン酸を金属触媒存在下でエステル交換したのちに、必要に応じて所望の塩とすることで得られる。また、アミノカプロン酸は、水とアルカリ金属共存化でε-カプロラクタムを開環させることで得られ、精製して用いてもよく、未精製のまま用いても良い。脂肪酸クロライドは、1種または、2種以上の炭素鎖7~21の直鎖または分岐のアルキル鎖が好ましく、特に良好な使用感が得られるヤシ油、パーム核油またはラウリン酸を用いることが好ましい。炭素鎖7未満では臭いが強く刺激性が高いことから使用に難があり、炭素鎖21を超えると融点が高く他の界面活性剤との混和に難があり十分な効果が得られない場合がある。アシルアミノカプロン酸またはその塩の製造方法によっては、脂肪酸が副生する場合がある。副生する脂肪酸量は、洗浄剤組成物中の脂肪酸量が15.0重量%以下となる量が望ましく0.5~15.0重量%とすることが好ましい。より好ましくは1.0~10.0重量%であり、0.5重量%を下回ると、増粘しないことや洗浄後のさっぱり感や洗浄後のすべすべ感が感じられなくなる場合があり、15.0重量%を超えた場合ゲル化やごわつきが感じられる等の特段の使用感が得られない場合がある。塩としては、アルカリ金属原子、1/2アルカリ土類金属原子、タウリン、N-メチルタウリン、アルカノールアミン、塩基性アミノ酸、アンモニウムまたは有機アンモニウムを用いることができる。必要に応じてこれらの塩とすることで、所望の使用感と粘度とすることが出来る。
【0011】
陰イオン性界面活性剤にはアシルメチルアラニン塩(入手可能な市販品として、川研ファインケミカル社製のアラノン(登録商標)ALE、ACE、ALTA、AME)、アシルサルコシン塩(川研ファインケミカル社製のソイポン(登録商標)SLP、SLE,SCE、SLTA、M-30)、アシルシルクアミノ酸塩(川研ファインケミカル社製のカワシルク(登録商標)S)、N-アシルグルタミン酸塩、N-アシルアスパラギン酸塩、N-アシルグリシン塩、N-メチル-N-アシルタウリン塩、N-アシル-N-ヒドロキシエチル-β-アラニン塩、ポリ(1~10)オキシエチレンラウリルエーテル酢酸塩、ポリ(1~10)オキシエチレンヤシ油アルキルエーテル酢酸塩、ポリ(1~10)オキシエチレントリデシルエーテル酢酸塩、ポリ(1~10)オキシエチレンラウロイルエタノールアミドエーテル酢酸塩、ポリ(1~10)オキシエチレンヤシ油脂肪酸エタノールアミドエーテル酢酸塩、ポリ(1~10)N-メチル-ラウロイルエタノールアミドエーテル酢酸塩、ポリ(1~10)N-エチル-ラウロイルエタノールアミドエーテル酢酸塩、ポリ(1~10)オキシエチレンN-メチル-ヤシ油脂肪酸エタノールアミドエーテル酢酸塩、ポリ(1~10)オキシエチレンN-エチル-ヤシ油脂肪酸エタノールアミドエーテル酢酸塩、ポリ(0~10)オキシエチレンラウリルスルホコハク酸塩、ポリ(0~10)オキシエチレンヤシ油脂肪酸スルホコハク酸塩、ポリ(0~10)オキシエチレンラウロイルエタノールアミドスルホコハク酸塩、ポリ(0~10)オキシエチレンヤシ油脂肪酸エタノールアミドスルホコハク酸塩、ポリ(0~10)オキシエチレンN-メチル-ラウロイルエタノールアミドスルホコハク酸塩、ポリ(0~10)オキシエチレンN-メチル-ヤシ油脂肪酸エタノールアミドスルホコハク酸塩、ポリ(0~10)オキシエチレンN-エチル-ラウロイルエタノールアミドスルホコハク酸塩、ポリ(0~10)オキシエチレンN-エチル-ヤシ油脂肪酸エタノールアミドスルホコハク酸塩、ポリ(1~10)オキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩等のようなアニオン活性剤が挙げられ、1種単独で使用してもよく、2種類以上併用してもよい。
【0012】
洗浄剤組成物に、陰イオン性界面活性剤を0.1~15重量%配合することにより良好な泡立ちと滑らかな使用感が得られる。より好ましくは5.0~10.0重量%であり、0.1%を下回ると、十分に起泡せず滑らかな使用感が得られない場合があり、15.0%を超えて配合した場合、ごわつきが感じられる場合がある。
【0013】
両性界面活性剤にはコカミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルヒドロキシスルタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、ココアンホ酢酸Na、ラウロアンホ酢酸Na、ココアンホプロピオン酸Na、ラウロアンホプロピオン酸Na、ヒドロキシアルキル(C12-14)ヒドロキシエチルサルコシン、ヤシ油アルキルベタイン、ラウリルベタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、ラウラミドプロピルアミンオキシド、コカミドプロピルアミンオキシド、ジヒドロキシエチルラウラミンオキシド等が挙げられ、1種単独で使用してもよく、2種類以上併用してもよい。
【0014】
洗浄剤組成物に両性界面活性剤を、0.1%~15%配合することにより安定性が優れ、かつ滑らかな使用感が得られる。また、洗浄剤組成物の外観を透明にしたい場合には、両性界面活性剤に含まれる無機塩を除去した脱塩精製品を使用することで透明な外観とすることができる。両性界面活性剤の脱塩精製方法として、逆浸透膜法、電気透析法、イオン交換樹脂法、溶媒抽出法、再結晶法などが挙げられる。両性界面活性剤を脱塩精製することで塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウムからなる塩が除去され、塩濃度が低い両性界面活性剤を得ることができる。
【0015】
本発明の洗浄剤組成物は、pHが7以上、12以下である。上記範囲とすることで、良好な増粘性、洗浄性、適度な使用感とすることができる。より具体的には、pHを7以上とすることで、良好な洗浄性を発揮可能であるが、より好ましくは、pHが9以上12以下とすることで良好な増粘効果が発揮可能である。pHが7未満では、さっぱりとさらさらした使用感が得られない場合があり、pHが12を超えると人によっては刺激性が強く使用に難がある場合がある。
【0016】
本発明の洗浄剤組成物は、その他の成分として、必要に応じて非イオン性界面活性剤、カチオン化ポリマー、溶剤、キレート剤、可溶化剤、安定化剤、色素、香料、防腐剤等を含んでいてもよい。本発明の洗浄剤組成物に非イオン性界面活性剤を加えることで、皮脂汚れなどの油溶性の汚れに対する洗浄力が向上する。非イオン界面活性剤としては、コカミドMEA(入手可能な市販品として、川研ファインケミカル社製のアミゾール(登録商標)CME)、PPG-2コカミド(入手可能な市販品として、川研ファインケミカル社製のアミゼット(登録商標)1PC)、コカミドDEA(川研ファインケミカル社製のアミゾールCDE-G)、パーム核油脂肪酸アミドDEA(川研ファインケミカル社製のアミゾールKD-1)、コカミドDEA(1:2)(川研ファインケミカル社製のアミゾールCD)、ラウラミドDEA(川研ファインケミカル社製のアミゾールLDE-G)、(ラウラミド/ミリスタミド)DEA(川研ファインケミカル社製のアミゾールLMDE-Y)、ラウラミドMIPA(川研ファインケミカル社製のアミゾールPLME-A)、PEG-3ラウラミド(川研ファインケミカル社製のアミゼット2L-Y)、PEG-2カプリリルアミン(川研ファインケミカル社製のフォーマイト2E8)、PEG-2コカミン(川研ファインケミカル社製のビスコファインE2C)、(ラウリル/ミリスチル)グリコールヒドロキシプロピルエーテル(川研ファインケミカル社製のビスコセーフLMPE)、コカミドメチルMEA、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類等が挙げられる。
【0017】
カチオン化ポリマーとしては、ポリクオタニウム-107、ポリクオタニウム-11、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-30、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-4、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-48、ポリクオタニウム-49、ポリクオタニウム-50、ポリクオタニウム-51、ポリクオタニウム-52、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-61、ポリクオタニウム-64、ポリクオタニウム-65、ポリクオタニウム-67、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-72、ポリクオタニウム-73、ポリクオタニウム-92、カチオン化ローカストビーンガム、カチオン化タラガム、カチオン化フェヌグリークガム、カチオン化カッシアガム、カチオン化デキストラン-2等が挙げられる。
【0018】
溶剤としては、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール等が挙げられる。
【0019】
キレート剤としては、ヒドロキシカルボン酸系、アミノカルボン酸系、ホスホン酸系、リン酸系、エーテルカルボン酸塩系等が挙げられ、これらを併用してもよい。これらの中では、ヒドロキシカルボン酸系のキレート剤、及び、アミノカルボン酸系のキレート剤が、環境負荷を低減する観点から好ましい。ヒドロキシカルボン酸系のキレート剤としては、例えば、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、グルコン酸又はこれらの塩が挙げられる。アミノカルボン酸系のキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、グルタミン酸二酢酸(GLDA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、1,3-プロパンジアミン四酢酸(PDTA)、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン六酢酸(DPTA-OH)、アスパラギン酸二酢酸(ASDA)、エチレンジアミンコハク酸(EDDS)又はこれらの塩等が挙げられる。ホスホン酸系のキレート剤としては、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)、ニトリロトリメチレンホスホン酸(NTMP)、ホスホノブタントリカルボン酸(PBTC)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)等が挙げられる。上記キレート剤はホスホン酸部分の少なくとも一部が塩になっていてもよい。リン酸系のキレート剤としては、トリポリリン酸、ヘキサメタリン酸又はこれらの塩等が挙げられる。上記キレート剤における塩としては、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属の塩;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属の塩を挙げることができる。中でも、アルカリ金属の塩が好ましく、ナトリウム塩又はカリウム塩がより好ましい。また、キレート剤とキレート剤の塩がアルカリ洗浄剤組成物の中で混在していてもよく、キレート剤がアルカリ洗浄剤組成物に含まれている場合にその後にナトリウムイオン等が加えられることによって塩となっていてもよい。
【0020】
可溶化剤としては、デカン酸、2-エチルヘキサン酸又はこれらの塩等が挙げられる。
【0021】
安定化剤としては、トコフェロール酢酸エステル、亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。
【実施例0022】
製造例(ヤシ油脂肪酸-アミノカプロン酸カリウムの製造)
500mlの4つ口分液ロートに、軟水105.2gとアミノカプロン酸87.9g、水酸化カリウムの48重量%水溶液30.0gを入れ、攪拌して完全に溶解させた。そこへヤシ油脂肪酸クロライド43.2gを約1時間かけて滴下した。滴下終了後、30分以上攪拌した後に、75重量%硫酸20.7gを加えて分液した。油層を軟水85.3gで水洗し、任意の濃度(25~30%)となるよう再度軟水で希釈する。pHが8.5~9.0になるように、水酸化カリウムの48重量%水溶液を滴下し、目的物を得た。目的物の構造は1H-NMR(日本電子株式会社、JNM-ECZ400S)で確認した。1H-NMRケミカルシフト:0.87ppm(3H t)、1.2~1.4ppm(18H m)、1.4~1.7ppm(4H m)、2.1~2.2ppm(4H m)、3.1ppm(2H t)、3.4ppm(2H s)。
【0023】
評価用試料の調整
表1、2に示す組成の洗浄剤組成物を公知の手法に準じて調製した。pHはNaOH、KOHもしくはタウリンナトリウムで調整した。pHはpH/ION METER(堀場製作所社、LAQUA(登録商標)F-72)で、25℃で測定した。実施例1~7、および比較例1~6に記載する洗浄剤組成物を得た。組成における数値は、純分の重量%を示す。得られた洗浄剤組成物について下記評価を行った。その結果を表1、2に示す。
【0024】
評価方法
(経時安定性)
実施例1~7、および比較例1~6で作製した洗浄剤組成物をガラス容器(第一硝子株式会社:PS-13K)に100g採取し、充填した。その後、25℃で4週間保管した時の外観を下記の評価基準により判定した。
(経時安定性および低温安定性の評価基準)
〇:外観が無色透明で、変化なし
△:外観が半透明で、やや白濁する
×:外観に析出物あり
【0025】
(増粘性)
実施例1~7、および比較例1~6で作製した洗浄剤組成物の粘度を25℃の条件下でVISCOMATE VM-150F2(東機産業株式会社)により測定した。下記の評価基準により判定した。
(増粘性の評価基準)
〇:>500mPa・s
△:100~500mPa・s
×:<100mPa・s
【0026】
(洗浄時の泡の細かさ、洗浄時のさっぱり感、洗浄後のさらさら感評価方法)
社内専門パネラー10人に、実施例1~7、および比較例1~7で作製した評価用のサンプル5gをナイロンタオルで約20回泡立て、被験者の左上腕内側部を洗浄し、すすいで、タオルドライした。洗浄時の泡の細かさ、洗浄時のさっぱり感、洗浄後のさらさら感を下記基準により評価した。10名の評価ポイントの平均点でランク分けした。
(洗浄時の泡の細かさ)
4:きめ細かい
3:やや細かい
2:やや粗い
1:粗い
ランクは◎:4~3.5、○:3.5未満~3、△:3未満~2、×:2未満~1とした。
(洗浄時のさっぱり感)
4:泡切れが良く、洗浄時にさっぱり感を強く感じる
3:泡切れがやや良く、洗浄時にさっぱり感をやや強く感じる
2:どちらともいえない
1:泡切れが悪く、さっぱり感を全く感じない
ランクは◎:4~3.5、○:3.5未満~3、△:3未満~2、×:2未満~1とした。
(洗浄後のさらさら感)
4:さらさら感を強く感じる
3:さらさら感をやや感じる
2:どちらともいえない
1:さらさら感を全く感じない
ランクは◎:4~3.5、○:3.5未満~3、△:3未満~2、×:2未満~1とした。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
本発明の洗浄剤組成物の範囲内で調製された実施例1~7は、適切な粘度を構築しやすく、洗浄時の泡も細かく、さっぱり感と洗浄後のさらさら感に優れていた。
一方で、アシルアミノカプロン酸またはその塩が範囲を超える比較例1では、増粘効果は得られたが、使用感が劣った。アシルアミノカプロン酸またはその塩が範囲未満である比較例2では、増粘効果は得られず使用感も劣った。陰イオン性界面活性剤が範囲未満である比較例3では、すべての項目が劣った。両性界面活性剤が範囲未満である比較例4では、泡は細かかったが、低粘度であり、使用感が劣った。pHが6.0である比較例5では、高粘度にはならず使用感が劣った。pHが13.0である比較例6では、高粘度となったが、泡はやや粗めで使用感が劣った。
【0030】
本発明による洗浄剤組成物の配合例を示す。尚、以下の配合例は本発明を限定するものではない。
【0031】
配合例1:液体ボディソープ
水 66.6%
ココイル-アミノカプロン酸タウリンナトリウム 15.0%
ココイルグリシンカリウム 3.0%
コカミドプロピルベタイン 6.0%
コカミドMEA 3.0%
ポリクオタニウム-7 0.3%
水酸化ナトリウム 5.5%
メチルパラベン 0.3%
香料 0.3%
pH(原液) 9.5
粘度 550mPa・s
【0032】
配合例2:泡ボディソープ
水 68.4%
ココイル-アミノカプロン酸タウリンナトリウム 10.0%
ラウロイルメチルアラニンNa 2.0%
ラウロアンホ酢酸Na 4.0%
PPG-2コカミド 1.5%
グリセリン 10.0%
水酸化ナトリウム 3.5%
メチルパラベン 0.3%
香料 0.3%
pH(原液) 9.0
粘度 20mPa・s
【0033】
配合例3:洗顔(チューブ)
水 68.4%
ココイル-アミノカプロン酸タウリンナトリウム 10.0%
ココイルグリシンカリウム 3.0%
ラウロアンホ酢酸Na 5.0%
ワセリン 10.0%
グリセリン 5.0%
ヒドロキシプロピルデンプンリン酸 2.0%
水酸化ナトリウム 3.0%
アクリレーツコポリマー 1.0%
メチルパラベン 0.3%
香料 0.3%
pH(原液) 9.0
粘度 5,000~20,000mPa・s