(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141177
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】冷凍システム
(51)【国際特許分類】
F25B 1/10 20060101AFI20241003BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20241003BHJP
F25B 49/02 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F25B1/10 B
F25B1/00 387A
F25B49/02 570A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052674
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 晃司
(72)【発明者】
【氏名】三原 一彦
(72)【発明者】
【氏名】森 徹
(72)【発明者】
【氏名】矢野 明日香
(57)【要約】
【課題】いずれかの圧縮機に不具合が生じる場合であっても、運転を継続できる冷凍システムを提供する。
【解決手段】冷凍システム1は、複数の圧縮機、室外熱交換器15、及び気液分離器を備える室外機10と、室内熱交換器22を備える室内機20と、冷設熱交換器31を備える冷設機器30と、を接続した冷凍回路2を備え、複数の圧縮機は、低段圧縮機11と、高段圧縮機12とから成り、低段圧縮機11と、高段圧縮機12とには、吸入側に接続される配管である吸入側配管104、114、122と、吐出側に接続される配管である吐出側配管108、118、124とがいずれも設けられ、吐出側配管108、118、124には、吐出側配管108、118、124を開閉可能な開閉装置が設けられ、吸入側配管104、114、122には、吸入側配管104、114、122を開閉可能な開閉装置が設けられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の圧縮機、室外熱交換器、及び気液分離器を備える室外機と、
室内熱交換器を備える室内機と、
冷設熱交換器を備える冷設機器と、
を接続した冷凍回路を備え、
複数の前記圧縮機は、低段圧縮機と、高段圧縮機とから成り、
前記低段圧縮機と、前記高段圧縮機とには、吸入側に接続される配管である吸入側配管と、吐出側に接続される配管である吐出側配管とがいずれも設けられ、
前記吐出側配管には、前記吐出側配管を開閉可能な開閉装置が設けられ、
前記吸入側配管には、前記吸入側配管を開閉可能な開閉装置が設けられる
ことを特徴とする冷凍システム。
【請求項2】
前記圧縮機と、前記開閉装置との駆動を制御する駆動制御部と、
前記圧縮機の各々の駆動状態を検知可能な駆動検知部と、
複数の前記高段圧縮機と、
を備え、
前記低段圧縮機の駆動状態の異常を前記駆動検知部が検知した場合、
前記駆動制御部は、前記高段圧縮機の少なくともいずれか1つを低段圧縮機として駆動させる
ことを特徴とする請求項1に記載の冷凍システム。
【請求項3】
前記室外機と前記室内機とを接続する接続配管に開度を調節可能な絞り機構が設けられ、
前記低段圧縮機の駆動状態の異常を前記駆動検知部が検知した場合、前記低段圧縮機を停止させると共に、前記高段圧縮機を駆動させ、
前記駆動制御部は、前記室内機から前記室外機に流れ込む冷媒の圧力が前記冷設機器から前記室外機に流れ込む冷媒の圧力に近づく開度となるように、前記絞り機構を開閉させる
ことを特徴とする請求項2に記載の冷凍システム。
【請求項4】
前記高段圧縮機の駆動状態の異常を前記駆動検知部が検知した場合、
前記駆動制御部は、前記低段圧縮機を高段圧縮機として駆動させ、
前記室内機から前記室外機に流れ込む冷媒の圧力が前記冷設機器から前記室外機に流れ込む冷媒の圧力に近づく開度となるように、前記絞り機構を開閉させる
ことを特徴とする請求項3に記載の冷凍システム。
【請求項5】
前記低段圧縮機には、前記低段圧縮機にオイルを供給するオイル戻し管が接続され、
前記オイル戻し管には、前記オイル戻し管を開閉可能なオイル戻し管開閉装置が設けられ、
前記低段圧縮機の駆動状態の異常を前記駆動検知部が検知した場合、
前記オイル戻し管開閉装置が閉じられる
ことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の冷凍システム。
【請求項6】
前記圧縮機の少なくともいずれか1つの駆動状態の異常を前記駆動検知部が検知した場合、
前記駆動制御部は、異常が検知された前記圧縮機の前記吐出側配管と、前記吸入側配管とに設けられる前記開閉装置を閉じる
ことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の冷凍システム。
【請求項7】
前記冷設機器と前記室内機との各々の負荷を検知可能な負荷検知部を備え、
前記圧縮機の少なくともいずれか1つの駆動状態の異常を前記駆動検知部が検知した場合、
前記駆動制御部は、前記負荷検知部の検知結果に基づいて、異常が検知された前記圧縮機以外の前記圧縮機の駆動を決定する
ことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の冷凍システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、室内空調や冷却貯蔵設備の庫内冷却が行われる店舗等において、効率的且つ安定的な運転を可能とする冷凍システムを開示する。この冷凍システムは、空調用冷媒回路の低圧側と冷却貯蔵設備用冷媒回路の高圧側とを熱交換させるカスケード熱交換器を備える。空調用冷媒回路の冷房運転時に、冷却貯蔵設備用冷媒回路の高圧側の冷媒を、凝縮器を介してカスケード熱交換器に流すと共に、空調用冷媒回路の暖房運転時には、冷却貯蔵設備用冷媒回路の高圧側の冷媒を、カスケード熱交換器に流した後、凝縮器に流す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、いずれかの圧縮機に不具合が生じる場合であっても、運転を継続できる冷凍システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における冷凍システムは、複数の圧縮機、室外熱交換器、及び気液分離器を備える室外機と、室内熱交換器を備える室内機と、冷設熱交換器を備える冷設機器と、を接続した冷凍回路を備え、複数の前記圧縮機は、低段圧縮機と、高段圧縮機とから成り、前記低段圧縮機と、前記高段圧縮機とには、吸入側に接続される配管である吸入側配管と、吐出側に接続される配管である吐出側配管とがいずれも設けられ、前記吐出側配管には、前記吐出側配管を開閉可能な開閉装置が設けられ、前記吸入側配管には、前記吸入側配管を開閉可能な開閉装置が設けられる。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、いずれかの圧縮機に不具合が生じる場合であっても、運転を継続できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の実施の形態に係る冷房運転時の冷凍システムの冷凍回路を示す図
【
図2】通常運転時における圧縮機周辺の冷凍回路を示す図
【
図5】圧縮機の不具合判断とバックアップ運転を示すフローチャート
【
図6】低段圧縮機に不具合が生じた場合に2段圧縮を行う冷凍回路を示す図
【
図7】低段圧縮機に不具合が生じた場合に単段圧縮を行う冷凍回路を示す図
【
図8】第1高段圧縮機に不具合が生じた場合に2段圧縮を行う冷凍回路を示す図
【
図9】第1高段圧縮機に不具合が生じた場合に単段圧縮を行う冷凍回路を示す図
【
図10】第2高段圧縮機に不具合が生じた場合に2段圧縮を行う冷凍回路を示す図
【
図11】第2高段圧縮機に不具合が生じた場合に単段圧縮を行う冷凍回路を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、複数の圧縮機を備えると共に、圧力の異なる冷媒が流れ込む室外機が接続される冷凍回路を備える冷凍システムがあった。この冷凍システムでは、より低い圧力の冷媒をいずれかの圧縮機で昇圧した後に、より高い圧力の冷媒と共に、他の圧縮機で圧縮する。これにより、当該冷凍システムでは、他の圧縮機に吸い込まれる冷媒の圧力を調整して、運転を行うことが可能である。
このような冷凍システムにおいて、冷凍回路では、複数の圧縮機のうちの少なくとも2つが直列に接続される。
【0009】
しかしながら、このような冷凍システムでは、冷凍回路上で直列に接続される複数の圧縮機のいずれかに不具合が生じた場合、当該冷凍システム全体の運転が停止される虞がある、と言う課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
そこで本開示は、いずれかの圧縮機に不具合が生じる場合であっても、運転を継続できる冷凍システムを提供する。
【0010】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図しない。
【0011】
(実施の形態1)
以下、図面を用いて、実施の形態1を説明する。
[1-1-1.冷凍システムが備える冷凍回路]
図1は、実施の形態1における冷凍システム1の冷凍回路2を示す図である。
図1では、冷房運転を行う場合の冷凍システム1の冷凍回路2を示す。
図1では、説明の便宜上、開状態の弁体を白色で示し、閉状態の弁体と、閉状態の絞り機構とを黒色で示す。
図1では、説明の便宜上、冷媒が流通する配管を太線で示し、冷媒が流れない配管を細線で示す。
図1に示すように、冷凍システム1は、室外機10と、室内機20と、冷設機器30とを備え、これらが冷媒配管40で互いに接続されることで冷凍回路2が形成される。
室内機20は、例えば、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の店舗において、設定温度に基づいて、被調和空間である店内の空調を行うものである。冷設機器30は、設定温度に基づいて、店内に設置される冷却貯蔵設備としての冷蔵ショーケースや冷凍ショーケースの庫内冷却を行うものである。
【0012】
室外機10は、複数の圧縮機を備える。本実施の形態において、室外機10は、低段圧縮機11と、第1高段圧縮機12A、及び第2高段圧縮機12Bの2つの高段圧縮機とを備える。
圧縮機の各々は、例えばモータによって圧縮機構が駆動される回転式圧縮機である。圧縮機の各々は、圧縮機構の回転速度が変更可能な可変容量式であると共に、冷媒の吐出圧力を変更可能に形成される。第1高段圧縮機12A、及び第2高段圧縮機12Bは、低段圧縮機11よりも高い吐出圧力で冷媒を吐出するように駆動する。
【0013】
低段圧縮機11と、第1高段圧縮機12A、及び第2高段圧縮機12Bとの間には、アキュームレータ13が配置される。
すなわち、低段圧縮機11から吐出させた冷媒は、アキュームレータ13により気体と液体とに分離され、気体冷媒のみが高段圧縮機12に送られる。
アキュームレータ13には、アキュームレータ13に貯留されるオイル量を検出する検出手段としてのオイルレベルセンサ66(
図3)が設けられる。
【0014】
高段圧縮機12の吐出側には、オイルセパレータ14が接続される。オイルセパレータ14には、冷媒配管40を介して室外熱交換器15が接続される。
オイルセパレータ14と室外熱交換器15との間の冷媒配管40には、室内機20とアキュームレータ13との間の冷媒配管40に接続される第1の暖房用配管41が接続される。
オイルセパレータ14と室外熱交換器15との間の冷媒配管40には、冷設機器30と低段圧縮機11との間の冷媒配管40に接続される第1の室外戻り用配管42が接続される。
【0015】
オイルセパレータ14には、低段圧縮機11と、第1高段圧縮機12A、及び第2高段圧縮機12Bとにオイルを供給するオイル供給回路62が接続される。オイル供給回路62は、オイル戻し管によって形成される。
オイル供給回路62は、中途部で分岐し、一方がアキュームレータ13を介して第1高段圧縮機12A、及び第2高段圧縮機12Bに接続され、他方が低段圧縮機11に接続される。
【0016】
オイル供給回路62において、中途部とアキュームレータ13との間に位置する箇所には、オイル調整弁63が設けられ、中途部と低段圧縮機11との間に位置する箇所には、オイル調整弁65が設けられる。オイル調整弁63、65は、各々が設けられる箇所において、オイル供給回路62にオイルが流通する開状態と、オイル供給回路62のオイルの流れを遮断する閉状態とを切り替え可能な開閉装置である。このような開閉装置には、例えば電磁弁が用いられる。なお、オイル調整弁63、65には、開度の調整が可能な電動弁が用いられてもよい。
【0017】
オイル供給回路62において、オイル調整弁65と、低段圧縮機11との間には、オイル遮断弁69が設けられる(
図2)。オイル遮断弁69は、当該オイル遮断弁69が設けられる箇所において、オイル供給回路62にオイルが流通する開状態と、オイル供給回路62のオイルの流れを遮断する閉状態とを切り替え可能な開閉装置である。
冷凍システム1では、低段圧縮機11に不具合が生じ、運転が停止した場合に、オイル遮断弁69を遮断することで、当該低段圧縮機11にオイルや冷媒が供給されることが抑制される。
オイル遮断弁69は、本開示の「オイル戻し管開閉装置」に相当する。
【0018】
オイルセパレータ14と室外熱交換器15との間には、第1の切替機構50が設けられる。第1の切替機構50は、オイルセパレータ14と室外熱交換器15との間の冷媒配管40の開閉を行う第1の冷房用弁51と、第1の暖房用配管41の中途部に設けられ第1の暖房用配管41の開閉を行う第1の暖房用弁52と、第1の室外戻り用配管42の中途部に設けられ第1の室外戻り用配管42の開閉を行う室外冷媒戻り用弁53と、を備える。
【0019】
室外熱交換器15には、冷媒配管40を介して気液分離器16が接続される。気液分離器16には、冷媒配管40及び冷設用入口側膨張機構32を介して冷設機器30の冷設熱交換器31が接続される。冷設熱交換器31は、冷設用出口側圧力調整機構33を介して低段圧縮機11に接続される。
室外熱交換器15と気液分離器16との間の冷媒配管40には、室内用膨張機構21を介して室内熱交換器22に接続される第2の冷房用配管43が接続される。
室外熱交換器15と気液分離器16との間の冷媒配管40には、室内熱交換器22に接続される第2の暖房用配管44が接続される。
室外熱交換器15と気液分離器16との間の冷媒配管40には、冷設熱交換器31と気液分離器16との間の冷媒配管40に接続される第2の室外戻り用配管45が接続される。
【0020】
室外熱交換器15と気液分離器16との間には、第2の切替機構54が設けられる。第2の切替機構54は、室外熱交換器15と気液分離器16との間の冷媒配管40の開閉を行う第2の冷房用弁55と、第2の冷房用配管43の中途部に設けられ第2の冷房用配管43の開閉を行う第3の冷房用弁56と、第2の暖房用配管44の中途部に設けられ第2の暖房用配管44の開閉を行う第2の暖房用弁57と、を備える。
第2の室外戻り用配管45の中途部には、第2の室外戻り用配管45の流量を制御する冷媒戻り用膨張機構58が設けられる。
第2の冷房用弁55、第3の冷房用弁56及び第2の暖房用弁57の下流側には、それぞれ逆止弁59が設けられる。
【0021】
室内熱交換器22は、冷媒配管40、開閉弁23、及びアキュームレータ13を介して高段圧縮機12に接続される。
また、本実施の形態においては、気液分離器16のガス冷媒をアキュームレータ13の吸入側に送るガス冷媒戻り配管60が設けられる。ガス冷媒戻り配管60の中途部には、ガス冷媒流量制御弁61が設けられる。
【0022】
次いで、室外機10が備える圧縮機周辺の冷凍回路2について説明する。
図2は、冷凍システム1の通常運転時における圧縮機周辺の冷凍回路2を示す図である。
図2では、説明の便宜上、開状態の遮断弁を白色で示し、閉状態の遮断弁を黒色で示す。
図2では、説明の便宜上、冷媒が流通する配管を太線で示し、冷媒が流れない配管を細線で示す。
図2では、説明の便宜上、オイル供給回路62を2点鎖線で示す。
図2に示すように、冷凍回路2は、室内熱交換器22の吐出側に一端が接続される室内側配管100を備える。室内側配管100の他端には、アキュームレータ13が接続される。
【0023】
室内側配管100の中途部には、絞り弁130が設けられる。絞り弁130は、開度を調整可能な絞り機構である。絞り弁130は、例えば電動弁等である。絞り弁130の開度が調整されることで、室内側配管100では、冷媒の流量が調整されると共に、当該室内側配管100を流れる冷媒の圧力が調整される。
室内側配管100は、本開示の「接続配管」に相当する。
【0024】
冷凍回路2は、冷設熱交換器31の吐出側に一端が接続される冷設側配管102を備える。冷設側配管102の他端には、吸入側配管104の一端と、分岐配管106の一端とが接続される。すなわち、冷凍回路2は、冷設側配管102の他端において、吸入側配管104と、分岐配管106とに分岐する。
【0025】
分岐配管106の他端は、アキュームレータ13と、絞り弁130との間に位置する箇所で、室内側配管100に接続される。分岐配管106には、分岐配管106において、冷媒が流通する開状態と、冷媒の流れを遮断する閉状態とを切り替え可能な開閉装置である遮断弁136が設けられる。
【0026】
低段圧縮機11の吸入側には、吸入側配管104の他端が接続される。吸入側配管104には、吸入側配管104において、冷媒が流通する開状態と、冷媒の流れを遮断する閉状態とを切り替え可能な開閉装置である吸入側遮断弁134が設けられる。
【0027】
低段圧縮機11の吐出側には、吐出側配管108の一端が接続される。吐出側配管108の他端には、一端がオイルセパレータ14に接続される吐出配管110の他端が接続される。吐出側配管108には、吐出側遮断弁138と、遮断弁140とが設けられる。吐出側遮断弁138と、遮断弁140とは、吐出側配管108において、冷媒が流通する開状態と、冷媒の流れを遮断する閉状態とを切り替え可能な開閉装置である。遮断弁140は、吐出側遮断弁138と、吐出側配管108の他端との間に配置される。
【0028】
吐出側配管108において、吐出側遮断弁138と、遮断弁140との間に位置する箇所には、分岐配管112の一端が接続される。分岐配管112の他端は、分岐配管106の他端と、絞り弁130との間に位置する箇所で、室内側配管100に接続される。分岐配管112には、分岐配管112において、冷媒が流通する開状態と、冷媒の流れを遮断する閉状態とを切り替え可能な開閉装置である遮断弁142が設けられる。
【0029】
アキュームレータ13と、第1高段圧縮機12Aとは、吸入側配管114によって接続される。第1高段圧縮機12Aの吸入側には、吸入側配管114の一端が接続される。吸入側配管114には、吸入側配管114において、冷媒が流通する開状態と、冷媒の流れを遮断する閉状態とを切り替え可能な開閉装置である吸入側遮断弁144が設けられる。
【0030】
吸入側配管114において、第1高段圧縮機12Aの吸入側と、吸入側遮断弁144との間に位置する箇所には、分岐配管116の一端が接続される。分岐配管116の他端は、冷設側配管102の他端と、吸入側遮断弁134との間に位置する箇所で、吸入側配管104に接続される。分岐配管116には、分岐配管116において、冷媒が流通する開状態と、冷媒の流れを遮断する閉状態とを切り替え可能な開閉装置である遮断弁146が設けられる。
【0031】
第1高段圧縮機12Aの吐出側には、吐出側配管118の一端が接続される。吐出側配管118の他端には、吐出配管110の他端が接続される。吐出側配管118には、吐出側配管118において、冷媒が流通する開状態と、冷媒の流れを遮断する閉状態とを切り替え可能な開閉装置である吐出側遮断弁148が設けられる。
【0032】
吐出側配管118において、第1高段圧縮機12Aの吐出側と、吐出側遮断弁148との間に位置する箇所には、分岐配管120の一端が接続される。分岐配管120の他端は、アキュームレータ13と、遮断弁136との間に位置する箇所で、室内側配管100に接続される。分岐配管120には、分岐配管120において、冷媒が流通する開状態と、冷媒の流れを遮断する閉状態とを切り替え可能な開閉装置である遮断弁150が設けられる。
【0033】
アキュームレータ13と、第2高段圧縮機12Bとは、吸入側配管122によって接続される。第2高段圧縮機12Bの吸入側には、吸入側配管122の一端が接続される。吸入側配管122には、吸入側配管122において、冷媒が流通する開状態と、冷媒の流れを遮断する閉状態とを切り替え可能な開閉装置である吸入側遮断弁152が設けられる。
【0034】
第2高段圧縮機12Bの吐出側には、吐出側配管124の一端が接続される。吐出側配管124の他端には、吐出配管110の他端が接続される。吐出側配管124には、吐出側配管124において、冷媒が流通する開状態と、冷媒の流れを遮断する閉状態とを切り替え可能な開閉装置である吐出側遮断弁154が設けられる。
【0035】
図1、
図2に示すように、冷凍回路2において、第1高段圧縮機12Aと、第2高段圧縮機12Bとは、低段圧縮機11の吐出側に配置される。冷凍回路2において、第1高段圧縮機12Aと、及び第2高段圧縮機12Bとは、互いに並列に配置される。このため、低段圧縮機11と、第1高段圧縮機12A、及び第2高段圧縮機12Bの各々とは、冷凍回路2において、直列に接続される。
【0036】
[1-1-2.冷凍システムの制御に関わる構成]
図3は、冷凍システム1のブロック図である。
図3に示すように、冷凍システム1は、空間温度センサ27を備える。空間温度センサ27は、室内機20の被調和空間に配置され、当該被調和空間の温度を検出する。
冷凍システム1は、庫内温度センサ37を備える。庫内温度センサ37は、冷設機器30が備える冷蔵ショーケースや冷凍ショーケースの庫内に配置され、庫内温度を検出する。
【0037】
図2、
図3に示すように、吐出側配管108と、吐出側配管118と、吐出側配管124とには、いずれも冷媒温度センサ17が設けられる。冷媒温度センサ17は、低段圧縮機11と、第1高段圧縮機12Aと、第2高段圧縮機12Bとの各々から吐出される冷媒の温度を検出する。
【0038】
低段圧縮機11と、第1高段圧縮機12Aと、第2高段圧縮機12Bとには、いずれも電流センサ19が設けられる。電流センサ19は、低段圧縮機11と、第1高段圧縮機12Aと、第2高段圧縮機12Bとの各々に入力される電流値を検出する。電流センサ19は、電流検知回路を備える各種の検知器であってもよい。
【0039】
室外機10は、操作パネル96を備える。操作パネル96は、例えばモニタ等の表示部とスイッチ等の操作子とを備え、圧縮機の修理を行う作業者が操作可能な位置に設けられる。本実施の形態において、操作パネル96は、作業者が当該操作パネル96を操作した場合に、所定の信号を送信可能である。当該信号は、不具合が生じた圧縮機の修理が完了した場合に、作業者が操作パネル96を操作することで発信される。すなわち、操作パネル96は、室外機10の操作部として機能する。
なお、当該操作パネル96は、室外機10に限らず、室内機20や、冷設機器30等、冷凍システム1のどの箇所に設けられてもよい。また例えば、当該操作パネル96は、所定の通信規格に従った通信ハードウェアを備え、制御部91と通信可能な端末装置であってもよい。また例えば、操作パネル96は、タッチパネルを備えていてもよい。
【0040】
図3に示すように、室外機10と、室内機20と、冷設機器30とには、それぞれ送風機18、28、38が設けられる。各送風機18、28、38は、それぞれ室外熱交換器15、室内熱交換器22、及び冷設熱交換器31に空気を流し、各熱交換器15、22、31における空気と冷媒との熱交換を促進させる。
【0041】
室外機10は、制御装置90と室外機I/F95とを有する。制御装置90は、制御部91と、記憶部93と、を有する。
【0042】
制御部91は、予め記憶部93に記憶されるプログラムに基づいて動作するCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサである。制御部91は、単一のプロセッサにより構成されてもよいし、複数のプロセッサから構成されてもよい。なお、制御部91として、DSP(digital signal processor)等が用いられてもよい。また、制御部91として、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programming Gate Array)等の制御回路が用いられてもよい。
【0043】
制御部91は、室外機I/F95を介して、室外機10が備える各部、室内機20、及び冷設機器30の各々から、各種の信号を受信することが可能である。
制御部91は、室外機I/F95を介して、記憶部93や低段圧縮機11等の室外機10が備える各部、室内機20、及び冷設機器30の各々に有線、あるいは無線で接続され、当該各部の制御等を行う。
【0044】
制御部91は、記憶部93に記憶されたコンピュータプログラムを読み取り、読み取ったコンピュータプログラムに従って動作することにより、運転制御部91a、及び判定部91bとして機能する。
【0045】
運転制御部91aは、室外機10が有する低段圧縮機11、高段圧縮機12、開閉装置等の各種機器を制御する。運転制御部91aは、室外機I/F95を介して、室内機20及び冷設機器30に制御信号を送信し、冷凍システム1を協調して動作させる。
【0046】
運転制御部91aは、圧縮機の各々が備える圧縮機構の回転速度を変更させることが可能であると共に、冷媒の吐出圧力を変更させることが可能である。運転制御部91aは、例えば、冷媒の吐出圧力が高段圧縮機12と同程度となるように低段圧縮機11を駆動させる、あるいは冷媒の吐出圧力が低段圧縮機11と同程度となるように高段圧縮機12を駆動させることが可能である。
【0047】
運転制御部91aは、絞り弁130の開度を調整可能であると共に、オイル遮断弁69を開状態または閉状態のいずれかに切り替え可能である。運転制御部91aは、吸入側遮断弁134、144、152と、吐出側遮断弁138、148、154と、遮断弁136、140、142、146、150との各々を開状態または閉状態のいずれかに切り替え可能である。
運転制御部91aは、本開示の「駆動制御部」に相当する。
【0048】
判定部91bは、冷媒温度センサ17の各々の検出値や電流センサ19の各々の検出値と、記憶部93に格納された設定データ93aに含まれる基準温度や基準電流値等のデータとを比較する。
冷媒温度センサ17の各々の検出値や電流センサ19の各々の検出値のいずれかが基準温度や基準電流値以上である場合、判定部91bは、低段圧縮機11、高段圧縮機12のいずれかに不具合が生じたものと判定し、基準値以上の検出値を検出したセンサを備える圧縮機を特定する。
【0049】
基準値以上の検出値を検出したセンサを備える圧縮機を特定すると、判定部91bは、空間温度センサ27の検出値と室内機20の設定温度との温度差と、庫内温度センサ37の検出値と冷設機器30の設定温度との温度差を算出し、これらの温度差を比較する。
【0050】
判定部91bは、空間温度センサ27の検出値と室内機20の設定温度との温度差の方が庫内温度センサ37の検出値と冷設機器30の設定温度との温度差よりも大きい場合、室内機20の方が冷設機器30よりも負荷が大きいと判定する。判定部91bは、庫内温度センサ37の検出値と冷設機器30の設定温度との温度差の方が空間温度センサ27の検出値と室内機20の設定温度との温度差よりも大きい場合、冷設機器30の方が室内機20よりも負荷が大きいと判定する。
判定部91bは、本開示の「駆動検知部」、及び「負荷検知部」に相当する。
【0051】
圧縮機のいずれかに不具合が生じ、冷設機器30と室内機20との負荷の差を判定部91bが判定すると、運転制御部91aは、全ての圧縮機の運転を停止させる。次いで、運転制御部91aは、不具合が生じた圧縮機の吸入側と吐出側との各々に設けられる遮断弁を閉状態にさせる。
これによって、冷凍システム1は、不具合が生じた圧縮機を冷凍回路2から切り離すことができる。
【0052】
次いで、運転制御部91aは、不具合が生じた圧縮機と、冷設機器30と室内機20との負荷の差とに応じて、遮断弁136、140、142、146、150の各々を開状態、または閉状態にさせる。これによって、運転制御部91aは、冷凍回路2において、不具合が生じていない複数の圧縮機を互いに直列、または並列に接続させることができる。
この後、運転制御部91aは、不具合が生じていない圧縮機の各々の運転を再開させる。
【0053】
低段圧縮機11に不具合が生じ、冷設機器30の方が室内機20よりも負荷が大きいと判定部91bが判定した場合、運転制御部91aは、運転再開時に、冷媒の吐出圧力が低段圧縮機11と同程度となるように高段圧縮機12のいずれか一方を駆動させる。
高段圧縮機12のいずれかに不具合が生じ、冷設機器30の方が室内機20よりも負荷が大きいと判定部91bが判定した場合、運転制御部91aは、運転再開時に、冷媒の吐出圧力が高段圧縮機12と同程度となるように低段圧縮機11を駆動させる。
冷設機器30の方が室内機20よりも負荷が大きいと判定部91bが判定した場合、運転制御部91aは、運転再開時に、不具合が生じていない圧縮機の運転の各々を冷媒の吐出圧力が運転停止以前と略同一となるように駆動させる。
【0054】
判定部91bは、所定の信号を受信した場合に、圧縮機の各々の修理が完了したと判断可能である。当該信号は、例えば圧縮機の修理を行う作業者が操作パネル96を操作した場合に、送信される信号である。
【0055】
記憶部93は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶部93には、冷凍システム1の各種動作に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。これらのコンピュータプログラム等は、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から公知のセットアッププログラム等を用いて記憶部93にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)、USB(Universal Serial Bus)メモリやSSD(Solid State Drive)を含む半導体記憶デバイス等である。コンピュータプログラム等は、所定のサーバ等からインストールされてもよい。
また、記憶部93は、揮発性の記憶領域を備え、制御部91のワークエリアを構成してもよい。
【0056】
記憶部93には、設定データ93aが記憶される。設定データ93aは、室内機20の設定温度のデータや冷設機器30の設定温度のデータを含む。
設定データ93aは、圧縮機の各々が吐出する冷媒の基準温度や、圧縮機の各々に入力される基準電流値のデータを含む。当該基準温度は、例えば、オイルが不足した状態の圧縮機が吐出する冷媒温度に相当する。基準電流値は、例えば、所謂過電流となる電流値に相当する。
【0057】
室外機I/F95は、室外機10が、ケーブル等を介して各装置と所定の通信プロトコルに従って通信を行うための通信インタフェース回路やコネクタ等の通信ハードウェアを有する。室外機I/F95は、各装置から受信したデータを制御装置90に送ると共に、制御装置90から受け取ったデータを各装置に送信する。
【0058】
室内機20は、室内機制御装置80と室内機I/F85とを有する。室内機制御装置80は、室内機制御部81と室内機記憶部83とを有する。
【0059】
室内機制御部81は、制御部91と同様に、CPUやMPU等のプロセッサである。室内機制御部81は、室内機記憶部83に記憶されたコンピュータプログラムに従って動作することにより、室内機20に搭載された送風機28等の各種機器を制御する。また、室内機制御部81は、空間温度センサ27等の室内機20に搭載された各種センサからの出力信号を受け取る。
室内機記憶部83は、記憶部93と同様に、RAMやROM等の記憶装置を有し、室内機20の各種動作に用いられるコンピュータプログラム等が格納される。
【0060】
室内機I/F85は、室内機20が各機器と通信を行うための通信インタフェース回路やコネクタ等の通信ハードウェアを有する。室内機I/F85は、空間温度センサ27や各装置から受信したデータを室内機制御装置80に送ると共に、室内機制御装置80から受け取ったデータを各装置に送信する。
【0061】
冷設機器30は、冷設機器制御装置70と冷設機器I/F75とを有する。冷設機器制御装置70は、冷設機器制御部71と冷設機器記憶部73とを有する。
【0062】
冷設機器制御部71は、制御部91と同様に、CPUやMPU等のプロセッサである。冷設機器制御部71は、冷設機器記憶部73に記憶されたコンピュータプログラムに従って動作することにより、冷設機器30に搭載された送風機38等の各種機器を制御する。また、冷設機器制御部71は、庫内温度センサ37等の冷設機器30に搭載された各種センサからの出力信号を受け取る。
冷設機器記憶部73は、記憶部93と同様に、RAMやROM等の記憶装置を有し、冷設機器30の各種動作に用いられるコンピュータプログラム等が格納される。
【0063】
冷設機器I/F75は、冷設機器30が各機器と通信を行うための通信インタフェース回路やコネクタ等の通信ハードウェアを有する。冷設機器I/F75は、庫内温度センサ37や各装置から受信したデータを冷設機器制御装置70に送ると共に、冷設機器制御装置70から受け取ったデータを各装置に送信する。
【0064】
なお、運転制御部91a、及び判定部91bは、制御部91に限らず、室内機制御部81や、冷設機器制御部71が備えていてもよい。また例えば、運転制御部91a、及び判定部91bは、冷凍システム1の他の箇所に設けられるプロセッサが備えていてもよい。また例えば、運転制御部91a、及び判定部91bは、冷凍システム1の外部に設けられるサーバ装置等が備えるプロセッサが備えていてもよい。このようなサーバ装置は、例えば公衆回線網、専用線、その他の通信回線、及び各種の通信設備で構成されるネットワークを介して、冷凍システム1の各部を制御可能であってもよい。
【0065】
[1-2.動作]
以上のように構成された冷凍システム1について、その動作を以下説明する。
【0066】
[1-2-1.冷凍システムの動作]
まず、冷房運転を行う動作について説明する。
冷凍システム1が冷房運転を行う場合、
図1に示すように、運転制御部91aは、第1の冷房用弁51を開とし、第2の冷房用弁55、第3の冷房用弁56をそれぞれ開とする。また、運転制御部91aは、第1の暖房用弁52、第2の暖房用弁57、室外冷媒戻り用弁53、冷媒戻り用膨張機構58をそれぞれ閉とする。
この状態で、低段圧縮機11及び各高段圧縮機12を駆動することで、低段圧縮機11により圧縮された冷媒が、各高段圧縮機12に送られ、各高段圧縮機12により更に圧縮されてオイルセパレータ14にむけて吐出される。
【0067】
オイルセパレータ14を経た冷媒は、第1の冷房用弁51を通って室外熱交換器15に送られ、室外熱交換器15において外気と熱交換を行う。
熱交換後の冷媒は、第2の冷房用弁55を介して気液分離器16に送られ、第3の冷房用弁56を介して室内熱交換器22に送られる。
室内熱交換器22において、冷媒は、室内空気と熱交換し、室内空気の冷却を行う。室内空気と熱交換した冷媒は、アキュームレータ13を介して各高段圧縮機12に戻される。
【0068】
一方、気液分離器16からの冷媒の一部は、冷設用入口側膨張機構32を介して冷設熱交換器31に送られ、冷設熱交換器31において熱交換を行い、冷設機器30の冷却を行う。冷設熱交換器31において熱交換した冷媒は、冷設用入口側膨張機構32を介して低段圧縮機11に戻される。
【0069】
次に、暖房運転を行う場合の動作について説明する。
図4は、暖房運転の動作を示す冷凍システム1の回路図である。なお、冷媒の流れを図中矢印で示している。
図4では、説明の便宜上、開状態の弁体を白色で示し、閉状態の弁体と、閉状態の絞り機構とを黒色で示す。
図4では、説明の便宜上、冷媒が流通する配管を太線で示し、冷媒が流れない配管を細線で示す。
図4に示すように、暖房運転を行う場合、運転制御部91aは、第1の暖房用弁52、第2の暖房用弁57をそれぞれ開とし、開閉弁23、第1の冷房用弁51、第2の冷房用弁55、第3の冷房用弁56、室外冷媒戻り用弁53、及び冷媒戻り用膨張機構58をそれぞれ閉とする。
【0070】
この状態で、低段圧縮機11及び各高段圧縮機12を駆動することで、低段圧縮機11により圧縮された冷媒が、各高段圧縮機12に送られ、各高段圧縮機12により更に圧縮されてオイルセパレータ14にむけて吐出される。
オイルセパレータ14を経た冷媒は、第1の暖房用弁52を通って室内熱交換器22に送られ、室内熱交換器22において室内空気と熱交換を行い、室内空気の暖房を行う。
【0071】
室内熱交換器22で熱交換を行った冷媒は、第2の暖房用弁57を介して気液分離器16に送られた後、冷設用入口側膨張機構32を介して冷設熱交換器31に送られ、冷設熱交換器31において熱交換を行い、冷設機器30の冷却を行う。
冷設熱交換器31において熱交換した冷媒は、冷設用出口側圧力調整機構33を介して低段圧縮機11に戻される。
すなわち、本開示の冷凍システム1は、暖房時には、室内熱交換器22がガスクーラまたは放熱器として機能するように構成され、室外熱交換器15は、使用されない。
【0072】
[1-2-2.圧縮機の周辺における冷凍システムの動作]
次いで、圧縮機の周辺における冷凍システム1の動作について説明する。
冷凍システム1において、いずれの圧縮機にも不具合が生じていない場合、
図2に示すように、運転制御部91aは、吸入側遮断弁134、144、152と、吐出側遮断弁138、148、154とを開状態にする。更に、運転制御部91aは、遮断弁136、140、146、150を閉状態にし、遮断弁142を開状態にする。
これによって、冷凍システム1は、冷設機器30から流入する冷媒を2段圧縮する。
以下、冷凍システム1において、いずれの圧縮機にも不具合が生じていない状態を通常状態という。
【0073】
[1-2-3.圧縮機に不具合が生じた場合の冷凍システムの動作]
次いで、圧縮機のいずれかに不具合が生じた場合における冷凍システム1の動作について説明する。
図5は、冷凍システム1の動作を示すフローチャートである。
図5に示すように、判定部91bは、冷媒温度センサ17の各々の検出値や電流センサ19の各々の検出値を取得し、当該検出値と、記憶部93に格納された設定データ93aに含まれる基準温度や基準電流値等のデータとを比較する(ステップSA1)。当該検出値がいずれも記憶部93に格納された設定データ93aに含まれる基準温度や基準電流値よりも低い場合(ステップSA1:NO)、判定部91bは、再度冷媒温度センサ17の各々の検出値や電流センサ19の各々の検出値を取得する。
【0074】
当該検出値のいずれかが記憶部93に格納された設定データ93aに含まれる基準温度や基準電流値以上である場合(ステップSA1:YES)、判定部91bは、基準値以上の検出値が検出された圧縮機が低段圧縮機11であるか否かを判定する(ステップSA2)。
基準値以上の検出値が検出された圧縮機が低段圧縮機11である場合(ステップSA2:YES)、判定部91bは、冷設機器30の負荷が室内機20以上か否かを判定する(ステップSA3)。
【0075】
図6は、低段圧縮機11に不具合が生じた場合の冷凍回路2を示す図である。
図6では、不具合が生じた低段圧縮機11にドットを付して示す。本開示では、以降の図面において、不具合が生じた圧縮機にドットを付して示す。
冷設機器30の負荷が室内機20以上である場合(ステップSA3:YES)、運転制御部91aは、全ての圧縮機の運転を停止させる(ステップSA4)。次いで、運転制御部91aは、
図6に示すように、吸入側遮断弁134、144と、吐出側遮断弁138、148と、遮断弁142と、オイル遮断弁69とを閉状態にし、遮断弁146と、遮断弁150とを開状態にする(ステップSA5)。
これによって、低段圧縮機11が冷凍回路2から切り離されると共に、第1高段圧縮機12Aと、第2高段圧縮機12Bとが直列に接続される。
【0076】
次いで、運転制御部91aは、不具合が生じたと判定された圧縮機以外の圧縮機の運転を再開させる(ステップSA6)。この場合、運転制御部91aは、第1高段圧縮機12Aを低段圧縮機として駆動させる(ステップSA7)。これによって、冷凍システム1は、冷媒の2段圧縮が可能である。
【0077】
運転制御部91aは、高段圧縮機12の運転を再開後、操作パネル96の操作による所定の信号を受信したか否か、すなわち、不具合が生じたと判定された圧縮機の修理が終了したか否かを判定する(ステップSA8)。
所定の信号を受信した、すなわち不具合が生じたと判定された圧縮機の修理が終了したと判定した場合、運転制御部91aは、全ての圧縮機の運転を停止させる(ステップSA9)。次いで、運転制御部91aは、各遮断弁を全ての圧縮機が停止される以前の開閉状態、すなわち
図2に示す状態に戻す(ステップSA10)。
この後、運転制御部91aは、全ての圧縮機の運転を再開させる(ステップSA11)。すなわち、運転制御部91aは、冷凍システム1に通常運転を実施させる。
【0078】
図7は、低段圧縮機11に不具合が生じた場合の冷凍回路2を示す図である。
ステップSA3において、冷設機器30の負荷が室内機20より小さい場合(ステップSA3:NO)、運転制御部91aは、全ての圧縮機の運転を停止させる(ステップSA12)。次いで、運転制御部91aは、
図7に示すように、吸入側遮断弁134と、吐出側遮断弁138と、遮断弁142と、オイル遮断弁69とを閉状態にし、遮断弁136を開状態にする(ステップSA13)。
これによって、低段圧縮機11が冷凍回路2から切り離されると共に、第1高段圧縮機12Aと、第2高段圧縮機12Bとが並列に接続される。
【0079】
次いで、運転制御部91aは、不具合が生じたと判定された圧縮機以外の圧縮機の運転を再開させる(ステップSA14)。更に、運転制御部91aは、室内機20から室外機10に流入する冷媒の圧力が冷設機器30から室外機10に流入する冷媒の圧力と同程度となるように、絞り弁130の開度を調整する(ステップSA15)。これによって、冷凍システム1は、冷媒の単段圧縮が可能である。
次いで、運転制御部91aは、ステップSA8~ステップSA11を行う。
【0080】
ステップSA2において、基準値以上の検出値が検出された圧縮機が低段圧縮機11でない場合(ステップSA2:NO)、判定部91bは、基準値以上の検出値が検出された圧縮機が第1高段圧縮機12Aであるか否かを判定する(ステップSA16)。基準値以上の検出値が検出された圧縮機が第1高段圧縮機12Aである場合(ステップSA16:YES)、判定部91bは、冷設機器30の負荷が室内機20以上か否かを判定する(ステップSA17)。
【0081】
図8は、第1高段圧縮機12Aに不具合が生じた場合の冷凍回路2を示す図である。
冷設機器30の負荷が室内機20以上である場合(ステップSA17:YES)、運転制御部91aは、全ての圧縮機の運転を停止させる(ステップSA18)。次いで、運転制御部91aは、
図8に示すように、吸入側遮断弁144と、吐出側遮断弁148とを閉状態にする(ステップSA19)。
これによって、第1高段圧縮機12Aが冷凍回路2から切り離されると共に、低段圧縮機11と、第2高段圧縮機12Bとが直列に接続される。
【0082】
次いで、運転制御部91aは、不具合が生じたと判定された圧縮機以外の圧縮機の運転を再開させる(ステップSA20)。これによって、冷凍システム1は、冷媒の2段圧縮が可能である。
次いで、運転制御部91aは、ステップSA8~ステップSA11を行う。
【0083】
図9は、第1高段圧縮機12Aに不具合が生じた場合の冷凍回路2を示す図である。
ステップSA17において、冷設機器30の負荷が室内機20より小さい場合(ステップSA17:NO)、運転制御部91aは、全ての圧縮機の運転を停止させる(ステップSA21)。次いで、運転制御部91aは、
図9に示すように、吸入側遮断弁144と、吐出側遮断弁148と、遮断弁142とを閉状態にし、遮断弁136を開状態にする(ステップSA22)。
これによって、第1高段圧縮機12Aが冷凍回路2から切り離されると共に、低段圧縮機11と、第2高段圧縮機12Bとが並列に接続される。
【0084】
次いで、運転制御部91aは、不具合が生じたと判定された圧縮機以外の圧縮機の運転を再開させる(ステップSA23)。これによって、冷凍システム1は、冷媒の単段圧縮が可能である。更に、運転制御部91aは、室内機20から室外機10に流入する冷媒の圧力が冷設機器30から室外機10に流入する冷媒の圧力と同程度となるように、絞り弁130の開度を調整する(ステップSA24)。
これによって、冷凍システム1は、冷媒の単段圧縮を行うことが可能である。
次いで、運転制御部91aは、ステップSA8~ステップSA11を行う。
【0085】
ステップSA16において、基準値以上の検出値が検出された圧縮機が第1高段圧縮機12Aでない場合(ステップSA16:NO)、判定部91bは、基準値以上の検出値が検出された圧縮機が第2高段圧縮機12Bであるか否かを判定する(ステップSA25)。基準値以上の検出値が検出された圧縮機が第2高段圧縮機12Bである場合(ステップSA25:YES)、判定部91bは、冷設機器30の負荷が室内機20以上か否かを判定する(ステップSA26)。
【0086】
図10は、第2高段圧縮機12Bに不具合が生じた場合の冷凍回路2を示す図である。
冷設機器30の負荷が室内機20以上である場合(ステップSA26:YES)、運転制御部91aは、全ての圧縮機の運転を停止させる(ステップSA27)。次いで、運転制御部91aは、
図10に示すように、吸入側遮断弁152と、吐出側遮断弁154とを閉状態にする(ステップSA28)。
これによって、第2高段圧縮機12Bが冷凍回路2から切り離されると共に、低段圧縮機11と、第1高段圧縮機12Aとが直列に接続される。
【0087】
次いで、運転制御部91aは、不具合が生じたと判定された圧縮機以外の圧縮機の運転を再開させる(ステップSA29)。これによって、冷凍システム1は、冷媒の2段圧縮が可能である。
次いで、運転制御部91aは、ステップSA8~ステップSA11を行う。
【0088】
図11は、第2高段圧縮機12Bに不具合が生じた場合の冷凍回路2を示す図である。
ステップSA26において、冷設機器30の負荷が室内機20より小さい場合(ステップSA26:NO)、運転制御部91aは、全ての圧縮機の運転を停止させる(ステップSA30)。次いで、運転制御部91aは、
図11に示すように、吸入側遮断弁152と、吐出側遮断弁154と、遮断弁142とを閉状態にし、遮断弁136、140を開状態にする(ステップSA31)。
これによって、第2高段圧縮機12Bが冷凍回路2から切り離されると共に、低段圧縮機11と、第1高段圧縮機12Aとが並列に接続される。
【0089】
次いで、運転制御部91aは、不具合が生じたと判定された圧縮機以外の圧縮機の運転を再開させる(ステップSA32)。この場合、運転制御部91aは、低段圧縮機11を高段圧縮機として駆動させる。更に、運転制御部91aは、室内機20から室外機10に流入する冷媒の圧力が冷設機器30から室外機10に流入する冷媒の圧力と同程度となるように、絞り弁130の開度を調整する(ステップSA33)。
これによって、冷凍システム1は、冷媒の単段圧縮が可能である。
次いで、運転制御部91aは、ステップSA8~ステップSA11を行う。
【0090】
図5に示す、圧縮機のいずれかに不具合が生じた場合における冷凍システム1の動作は、当該冷凍システム1が暖房運転や冷房運転、あるいは送風運転等のいずれの運転状態においても、実施可能である。
【0091】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、冷凍システム1は、複数の圧縮機、室外熱交換器15、及び気液分離器16を備える室外機10と、室内熱交換器22を備える室内機20と、冷設熱交換器31を備える冷設機器30と、を接続した冷凍回路2を備える。複数の圧縮機は、低段圧縮機11と、高段圧縮機12とから成る。低段圧縮機11と、高段圧縮機12とには、吸入側に接続される配管である吸入側配管104、114、122と、吐出側に接続される吐出側配管108、118、124とがいずれも設けられる。吸入側配管104、114、122には、吸入側配管を開閉可能な吸入側遮断弁134、144、152が設けられ、吐出側配管108、118、124には、吐出側配管を開閉可能な吐出側遮断弁138、148、154が設けられる。
【0092】
これにより、冷凍システム1は、不具合が生じた圧縮機を冷凍回路2から切り離すことができる。そのため、冷凍システム1は、不具合が生じた圧縮機を修理しつつ、運転を継続できる。
【0093】
本実施の形態のように、運転制御部91aと、圧縮機の各々の駆動状態を検知可能な判定部91bと、複数の高段圧縮機12と、を備え、低段圧縮機11の駆動状態の異常を判定部91bが検知した場合、運転制御部91aは、高段圧縮機12の少なくともいずれか1つを低段圧縮機11として駆動させてもよい。
これにより、冷凍システム1は、低段圧縮機11に不具合が生じた場合であっても2段圧縮を実施できる。そのため、冷凍システム1は、低段圧縮機11に不具合が生じた場合であっても、冷設機器30の性能の低下を抑制しつつ、運転を継続できる。
【0094】
本実施の形態のように、室外機10と室内機20とを接続する室内側配管100に設けられ、室内側配管100の開度を調節可能な絞り弁130を備え、低段圧縮機11の駆動状態の異常を判定部91bが検知した場合、運転制御部91aは、室内機から室外機に流れ込む冷媒の圧力が冷設機器30から室外機に流れ込む冷媒の圧力に近づく開度となるように、絞り弁130を開閉させてもよい。
これにより、冷凍システム1は、低段圧縮機11に不具合が生じた場合であっても、空気調和に関わる運転を優先して運転の継続ができる。そのため、冷凍システム1は、低段圧縮機11に不具合が生じた場合であっても、室内機20の性能の低下を抑制しつつ、運転を継続できる。
【0095】
本実施の形態のように、高段圧縮機12の駆動状態の異常を判定部91bが検知した場合、運転制御部91aは、低段圧縮機11を高段圧縮機12として駆動させ、室内機20から室外機10に流れ込む冷媒の圧力が冷設機器30から室外機10に流れ込む冷媒の圧力に近づく開度となるように、絞り弁130を開閉させてもよい。
これにより、冷凍システム1は、高段圧縮機12に不具合が生じた場合であっても、単段圧縮による運転の継続を実現できる。そのため、冷凍システム1は、高段圧縮機12に不具合が生じた場合であっても、室内機20の性能の低下を抑制しつつ、運転を継続できる。
【0096】
本実施の形態のように、低段圧縮機11には、低段圧縮機11にオイルを供給するオイル戻し管が接続され、オイル戻し管には、オイル戻し管を開閉可能なオイル遮断弁69が設けられ、低段圧縮機11の駆動状態の異常を判定部91bが検知した場合、オイル遮断弁69が閉じられてもよい。
これにより、冷凍システム1では、低段圧縮機11に不具合が生じ、運転が停止した場合に、オイル遮断弁69を遮断することができる。そのため、冷凍システム1では、低段圧縮機11に不具合が生じた場合に、低段圧縮機11にオイルや冷媒が供給されることが抑制される。
【0097】
本実施の形態のように、圧縮機の少なくともいずれか1つの駆動状態の異常を判定部91bが検知した場合、運転制御部91aは、異常が検知された圧縮機の吐出側配管108、118、124に設けられる吐出側遮断弁138、148、154と、吸入側配管104、114、122に設けられる吸入側遮断弁134、144、152を閉状態にしてもよい。
これにより、冷凍システム1は、不具合が生じた圧縮機を冷凍回路2から切り離すことができる。そのため、冷凍システム1は、不具合が生じた圧縮機を修理しつつ、運転を継続できる。
【0098】
本実施の形態のように、冷設機器30と室内機20との各々の負荷を検知可能な判定部91bを備え、圧縮機の少なくともいずれか1つの駆動状態の異常を判定部91bが検知した場合、運転制御部91aは、判定部91bの検知結果に基づいて、異常が検知された圧縮機以外の圧縮機の駆動を決定してもよい。
これにより、冷凍システム1は、低段圧縮機11に不具合が生じた場合であっても、冷設機器30と室内機20との各々の負荷に応じて、圧縮機の駆動を変更させることができる。そのため、冷凍システム1は、冷設機器30と室内機20との内、より負荷が大きい利用ユニットを優先して運転を継続できる。
【0099】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0100】
上述した実施の形態では、空間温度センサ27の検出値と室内機20の設定温度との温度差と、庫内温度センサ37の検出値と冷設機器30の設定温度との温度差を判定部91bが比較することで、室内機20と、冷設機器30との負荷を判定するとした。しかしながらこれに限らず、冷凍システム1では、他の検出値に基づいて、室内機20と、冷設機器30との負荷を判定部91bが判定してもよい。
【0101】
例えば、外気温と室内機20の設定温度との温度差と、冷設機器の吹き出し冷風温度と冷設機器30の設定温度との温度差を判定部91bが比較することで、室内機20と、冷設機器30との負荷を判定してもよい。
また例えば、室内機20と、冷設機器30との各々から室外機10に流れ込む冷媒の圧力を検知するセンサを設け、当該センサの検出値を判定部91bが比較することで、室内機20と、冷設機器30との負荷を判定してもよい。
【0102】
図3に示した各部は一例であって、具体的な実装形態は特に限定されない。つまり、必ずしも各部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサがプログラムを実行することで各部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。また、上述した実施の形態においてソフトウェアで実現される機能の一部をハードウェアとしてもよく、或いは、ハードウェアで実現される機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。その他、室外機10、室内機20、冷設機器30等の他の各部の具体的な細部構成についても、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更可能である。
【0103】
図5に示す動作のステップ単位は、冷凍システム1の各部の動作の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものであり、処理単位の分割の仕方や名称によって、動作が限定されることはない。処理内容に応じて、更に多くのステップ単位に分割してもよい。また、1つのステップ単位が更に多くの処理を含むように分割してもよい。また、そのステップの順番は、本開示の趣旨に支障のない範囲で適宜に入れ替えてもよい。
【0104】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【0105】
(付記)
以上の実施の形態の記載により、下記の技術が開示される。
【0106】
(技術1)複数の圧縮機、室外熱交換器、及び気液分離器を備える室外機と、室内熱交換器を備える室内機と、冷設熱交換器を備える冷設機器と、を接続した冷凍回路を備え、複数の前記圧縮機は、低段圧縮機と、高段圧縮機とから成り、前記低段圧縮機と、前記高段圧縮機とには、吸入側に接続される配管である吸入側配管と、吐出側に接続される配管である吐出側配管とがいずれも設けられ、前記吐出側配管には、前記吐出側配管を開閉可能な開閉装置が設けられ、前記吸入側配管には、前記吸入側配管を開閉可能な開閉装置が設けられる冷凍システム。
これにより、冷凍システムは、不具合が生じた圧縮機を冷凍回路から切り離すことができる。そのため、冷凍システムは、不具合が生じた圧縮機を修理しつつ、運転を継続できる。
【0107】
(技術2)前記圧縮機と、前記開閉装置との駆動を制御する駆動制御部と、前記圧縮機の各々の駆動状態を検知可能な駆動検知部と、複数の前記高段圧縮機と、を備え、前記低段圧縮機の駆動状態の異常を前記駆動検知部が検知した場合、前記駆動制御部は、前記高段圧縮機の少なくともいずれか1つを低段圧縮機として駆動させる技術1に記載の冷凍システム。
これにより、冷凍システムは、低段圧縮機に不具合が生じた場合であっても2段圧縮を実施できる。そのため、冷凍システムは、低段圧縮機に不具合が生じた場合であっても、冷設機器の性能の低下を抑制しつつ、運転を継続できる。
【0108】
(技術3)前記室外機と前記室内機とを接続する接続配管に開度を調節可能な絞り機構が設けられ、前記低段圧縮機の駆動状態の異常を前記駆動検知部が検知した場合、前記低段圧縮機を停止させると共に、前記高段圧縮機を駆動させ、前記駆動制御部は、前記室内機から前記室外機に流れ込む冷媒の圧力が前記冷設機器から前記室外機に流れ込む冷媒の圧力に近づく開度となるように、前記絞り機構を開閉させる技術2に記載の冷凍システム。
これにより、冷凍システムは、低段圧縮機に不具合が生じた場合であっても、空気調和に関わる運転を優先して運転の継続ができる。そのため、冷凍システムは、低段圧縮機に不具合が生じた場合であっても、室内機の性能の低下を抑制しつつ、運転を継続できる。
【0109】
(技術4)前記高段圧縮機の駆動状態の異常を前記駆動検知部が検知した場合、前記駆動制御部は、前記低段圧縮機を高段圧縮機として駆動させ、前記室内機から前記室外機に流れ込む冷媒の圧力が前記冷設機器から前記室外機に流れ込む冷媒の圧力に近づく開度となるように、前記絞り機構を開閉させる技術3に記載の冷凍システム。
これにより、冷凍システムは、高段圧縮機に不具合が生じた場合であっても、単段圧縮による運転の継続を実現できる。そのため、冷凍システムは、高段圧縮機に不具合が生じた場合であっても、室内機の性能の低下を抑制しつつ、運転を継続できる。
【0110】
(技術5)前記低段圧縮機には、前記低段圧縮機にオイルを供給するオイル戻し管が接続され、前記オイル戻し管には、前記オイル戻し管を開閉可能なオイル戻し管開閉装置が設けられ、前記低段圧縮機の駆動状態の異常を前記駆動検知部が検知した場合、前記オイル戻し管開閉装置が閉じられる技術2から技術4のいずれか一項に記載の冷凍システム。
これにより、冷凍システムでは、低段圧縮機に不具合が生じ、運転が停止した場合に、オイル遮断弁を遮断することができる。そのため、冷凍システムでは、低段圧縮機に不具合が生じた場合に、低段圧縮機にオイルや冷媒が供給されることが抑制される。
【0111】
(技術6)前記圧縮機の少なくともいずれか1つの駆動状態の異常を前記駆動検知部が検知した場合、前記駆動制御部は、異常が検知された前記圧縮機の前記吐出側配管と、前記吸入側配管とに設けられる前記開閉装置を閉じる技術2から技術5のいずれか一項に記載の冷凍システム。
これにより、冷凍システムは、不具合が生じた圧縮機を冷凍回路から切り離すことができる。そのため、冷凍システムは、不具合が生じた圧縮機を修理しつつ、運転を継続できる。
【0112】
(技術7)前記冷設機器と前記室内機との各々の負荷を検知可能な負荷検知部を備え、前記圧縮機の少なくともいずれか1つの駆動状態の異常を前記駆動検知部が検知した場合、前記駆動制御部は、前記負荷検知部の検知結果に基づいて、異常が検知された前記圧縮機以外の前記圧縮機の駆動を決定する技術2から技術6のいずれか一項に記載の冷凍システム。
これにより、冷凍システムは、いずれか1つの圧縮機に不具合が生じた場合であっても、冷設機器と室内機との各々の負荷に応じて、圧縮機の駆動を変更させることができる。そのため、冷凍システムは、冷設機器と室内機との内、より負荷が大きい利用ユニットを優先して運転を継続できる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本開示は、冷媒回路上で、直列に接続される複数の圧縮機を備える冷凍システムに適用可能である。具体的には、冷凍冷蔵設備と空調設備とが設けられる冷凍回路を備える冷凍システム等に、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0114】
1 冷凍システム
2 冷凍回路
10 室外機
11 低段圧縮機
12 高段圧縮機
12A 第1高段圧縮機
12B 第2高段圧縮機
13 アキュームレータ
14 オイルセパレータ
15 室外熱交換器
20 室内機
22 室内熱交換器
30 冷設機器
31 冷設熱交換器
40 冷媒配管
62 オイル供給回路
69 オイル遮断弁(オイル戻し管開閉装置)
70 冷設機器制御装置
71 冷設機器制御部
73 冷設機器記憶部
75 冷設機器I/F
90 制御装置
91 制御部
91a 運転制御部(駆動制御部)
91b 判定部(駆動検知部、負荷検知部)
93 記憶部
100 室内側配管(接続配管)
102 冷設側配管
104、114、122 吸入側配管
106、112、116、120 分岐配管
108、118、124 吐出側配管
110 吐出配管
130 絞り弁(絞り機構)
134、144、152 吸入側遮断弁(開閉装置)
136、140、142、146、150 遮断弁(開閉装置)
138、148、154 吐出側遮断弁