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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141195
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】優れた発色性を有する人工爪組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20241003BHJP
   A61Q 3/00 20060101ALI20241003BHJP
   A61K 8/38 20060101ALI20241003BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A61K8/81
A61Q3/00
A61K8/38
A61K8/29
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052707
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】390011143
【氏名又は名称】株式会社松風
(72)【発明者】
【氏名】下曽山 俊
(72)【発明者】
【氏名】山口 豊
(72)【発明者】
【氏名】山本 雄己
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB172
4C083AB241
4C083AB242
4C083AC462
4C083AC552
4C083AD091
4C083AD092
4C083BB23
4C083CC28
4C083DD21
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】
優れた発色性により鮮やかな白色を発現する人工爪組成物を提供すること。
【解決手段】
成分(A)非架橋性(メタ)アクリレートポリマー
成分(B)重合性化合物
成分(C)重合開始剤、及び
成分(D)白色顔料
を含み、
硬化体を測色した場合の明度(L*)、及び彩度(a*、b*)が、以下の式を満たし、
[式1]
8.5 ≧{(100-L*)+a*+b*1/2
且つ、硬化体の隠蔽性が80.0%以上であることを特徴とする人工爪組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A)非架橋性(メタ)アクリレートポリマー
成分(B)重合性化合物
成分(C)重合開始剤、及び
成分(D)白色顔料
を含み、
硬化体を測色した場合の明度(L*)、及び彩度(a*、b*)が、以下の式を満たし、
[式1]
8.5 ≧{(100-L*)+a*+b*1/2
且つ、硬化体の隠蔽性が80.0%以上であることを特徴とする人工爪組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の人工爪組成物であって、
硬化体を測色した場合の明度(L*)、及び彩度(a*、b*)が、以下の式を満たし、
[式2]
8.0 ≧{(100-L*)+a*+b*1/2
且つ、硬化体の隠蔽性が83.0%以上であることを特徴とする請求項1に記載の人工爪組成物。
【請求項3】
前記成分(D)白色顔料が二酸化チタンであることを特徴とする請求項1に記載の人工爪組成物。
【請求項4】
前記成分(D)白色顔料の一次粒子径が0.15~0.41μmの範囲内であり、二次粒子径としての粒度分布における10%粒子径が0.17~0.52μmの範囲内であることを特徴とする請求項3に記載の人工爪組成物。
【請求項5】
成分(A)非架橋性(メタ)アクリレートポリマー 55~74質量%、
成分(B)重合性化合物 24~40質量%、
成分(C)重合開始剤 0.60~0.75質量%、及び
成分(D)白色顔料 1.0~4.1質量%
を含む請求項1に記載の人工爪組成物。
【請求項6】
常温重合型である請求項1に記載の人工爪組成物。
【請求項7】
成分(A)非架橋性(メタ)アクリレートポリマーを含む粉材と、成分(B)重合性化合物を含む液材を混和することで重合硬化する請求項1に記載の人工爪組成物。
【請求項8】
成分(A)非架橋性(メタ)アクリレートポリマー、
成分(C)重合開始剤、及び
成分(D)白色顔料
を含む人工爪組成物用粉材であって、
重合性化合物を含む液材を混和して硬化させ、硬化体を測色した場合の明度(L*)、及び彩度(a*、b*)が、以下の式を満たし、
[式1]
8.5 ≧{(100-L*)+a*+b*1/2
且つ、硬化体の隠蔽性が80.0%以上であることを特徴とする人工爪組成物粉材。
【請求項9】
成分(A)非架橋性(メタ)アクリレートポリマー 90.0~98.5質量%、
成分(C)重合開始剤 0.01~1.00質量%、及び
成分(D)白色顔料 1.0~6.0質量%
を含む請求項8に記載の人工爪組成物用粉材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた発色性により鮮やかな白色を発現する人工爪組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ネイルポリッシュ、ジェルネイル、アクリルネイル等の人工爪は、人の爪に施した際の耐久性が良好で、数週間にわたり美的外観が維持できることが特徴である。特に、(メタ)アクリル樹脂を主成分とする粉末材料と、(メタ)アクリル酸誘導体を主成分とする液体材料を混和して使用するアクリルネイルは、フリーエッジと呼ばれる爪の先端部分を鮮やかな白色にデザインするフレンチネイルに使用されることが多く、コンペティション等でフレンチネイルの美しさが競われる。
【0003】
前述のようなアクリルネイルに関する従来技術としては特許文献1に例示されているものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭55-108309
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には人工爪組成物の発色性については触れられていない。また、人工爪組成物を施す大きな目的の一つは優れた美観を爪上に表現することであり、アクリルネイルにおいては鮮やかな白色を発現することが施術者、及び被施術者の双方から強く求められている。しかしながら、色は見る人によって感じ方が異なるため、多くの人に鮮やかな白色と認識される色調設計は困難であり、従来のアクリルネイル製品にはユーザーが満足できるような優れた発色性により鮮やかな白色を再現できるものはなかった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、優れた発色性により見る人による感じ方の差を少なくし、多くの人に鮮やかな白色と認識されるような色調を発現する人工爪組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の解決は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明の人工爪組成物は、成分(A)非架橋性(メタ)アクリレートポリマー、成分(B)重合性化合物、成分(C)重合開始剤、及び成分(D)白色顔料を含み、硬化体を測色した場合の明度(L*)、及び彩度(a*、b*)が、以下の式を満たし、
[式1]
8.5 ≧{(100-L*)+a*+b*1/2
且つ、硬化体の隠蔽性が80.0%以上であることを特徴とする。
【0008】
本発明の人工爪組成物の一実施形態としては、硬化体を測色した場合の明度(L*)、及び彩度(a*、b*)が、以下の式を満たし、
[式2]
8.0 ≧{(100-L*)+a*+b*1/2
且つ、硬化体の隠蔽性が83.0%以上であることが好ましい。
【0009】
本発明の人工爪組成物の他の実施形態としては、前記成分(D)白色顔料が二酸化チタンであることが好ましい。
【0010】
本発明の人工爪組成物の他の実施形態としては、前記二酸化チタンの一次粒子径が0.15~0.41μmの範囲内であり、二次粒子径としての粒度分布における10%粒子径が0.17~0.52μmの範囲内であることが好ましい。
【0011】
本発明の人工爪組成物の他の実施形態としては、成分(A)非架橋性(メタ)アクリレートポリマー 55~74質量%、成分(B)重合性化合物 24~40質量%、成分(C)重合開始剤 0.60~0.75質量%、成分(D)白色顔料 1.0~4.1質量%を含むことが好ましい。
【0012】
本発明の人工爪組成物の他の実施形態としては、常温重合型であることが好ましい。
【0013】
本発明の人工爪組成物の他の実施形態としては、成分(A)非架橋性(メタ)アクリレートポリマーを含む粉材と、成分(B)重合性化合物を含む液材を混和することで重合硬化することが好ましい。
【0014】
本発明の人工爪組成物の他の実施形態としては、成分(A)非架橋性(メタ)アクリレートポリマー、成分(C)重合開始剤、成分(D)白色顔料を含む粉材を構成として含むことが好ましい。
【0015】
本発明の人工爪組成物の他の実施形態としては、成分(A)非架橋性(メタ)アクリレートポリマー 90.0~98.5質量%、成分(C)重合開始剤 0.01~1.00質量%、成分(D)白色顔料 1.0~6.0質量%を含む粉材を構成として含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、優れた発色性により見る人による感じ方の差を少なくし、多くの人に鮮やかな白色と認識されるような色調を発現する人工爪組成物を提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の人工爪組成物は、成分(A)非架橋性(メタ)アクリレートポリマー、成分(B)重合性化合物、成分(C)重合開始剤、及び成分(D)白色顔料を含み、硬化体を測色した場合の明度(L*)、及び彩度(a*、b*)が、以下の式1を満たし、
[式1]
8.5 ≧{(100-L*)+a*+b*1/2
且つ、硬化体の隠蔽性が80.0%以上であることを特徴とする。
【0018】
本発明の人工爪組成物は、
硬化体を測色した場合の明度(L*)、及び彩度(a*、b*)が、以下の式1を満たす必要があり、
[式1] 8.5 ≧{(100-L*)+a*+b*1/2
より好ましくは以下の式2を満たすことが好ましく、
[式2] 8.0 ≧{(100-L*)+a*+b*1/2
以下の式3を満たすことが特に好ましい。
[式3] 7.5 ≧{(100-L*)+a*+b*1/2
硬化体の測色値が式1を満たすことで優れた発色性を示し、鮮やかな白色を発現できる。尚、本発明における測色方法は、直径35mm、厚さ1mmとなるように金型等を用いて円盤状の硬化体の試験片を作製し、この試験片の明度(L*)、及び彩度(a*、b*)をコニカミノルタ株式会社製分校測色計CM-5を用いて測定したものを意味する。
【0019】
本発明の人工爪組成物は、硬化体の隠蔽性が80.0%以上でなければならず、83.0%以上であることが好ましく、85.0%以上であることがより好ましい。硬化体の隠蔽性を80.0%以上とすることで、地爪の色調が透けてしまう等の理由によって美観を損ねることを防ぐことができ、体感的に鮮やかな白色とすることができる。尚、本明細書における隠蔽性とは、直径10mm、厚さ0.5mmとなるように金型等を用いて硬化体の試験片を作製し、この試験片の可視光透過率を日本分光株式会社製分光光度計V-750を用いてJISR3106:1998に準拠して測定し、下記[式4]にて算出したものを意味する。

[式4]
隠蔽性=100-可視光透過率
【0020】
[非架橋性(メタ)アクリレートポリマー]
成分(A)非架橋性(メタ)アクリレートポリマーとしては、(メタ)アクリレート重合性化合物の単独重合体や共重合体、または(メタ)アクリロイル基を有さない重合性化合物との共重合体などを用いることができる。非架橋性(メタ)アクリレートポリマーを具体的に例示すると、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリプロピル(メタ)アクリレート、ポリイソプロピル(メタ)アクリレート、ポリイソブチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート等の単独重合体、またはこれらのうち2種以上を組み合わせた共重合体等が挙げられる。中でも、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、またはこれらの共重合体のうち1種以上を用いることが好ましい。
【0021】
尚、本明細書中における(メタ)アクリレートという用語はアクリレートおよびメタクリレートの双方を包含し、(メタ)アクリロイルという用語はアクリロイル、及びメタクリロイルの双方を包含し、(メタ)アクリロイルオキシという用語はアクリロイルオキシ、及びメタクリロイルオキシの双方を包含し、(メタ)アクリルアミドという用語はアクリルアミド、及びメタクリルアミドの双方を包含する。
【0022】
非架橋性(メタ)アクリレートポリマーの重合方法に特に制限はない。重合方法を具体的に例示すると、乳化重合、懸濁重合等が挙げられる。また、非架橋性(メタ)アクリレートポリマーの性状に特に制限はなく、粉末状、ペースト状、液状等が挙げられ、中でも粉末状であることが好ましい。非架橋性(メタ)アクリレートポリマーが粉末状である場合、その形状に特に制限はなく、球状、針状、板状、破砕状、鱗片状等の任意の粒子形状のものを何ら制限無く用いることができる。中でも、球状であることが好ましい。非架橋性(メタ)アクリレートポリマーの50%粒子径に特に制限はないものの、5~150μmの範囲内であることが好ましく、10~150μmの範囲内であればより好ましく、20~140μmの範囲内であれば更に好ましい。また、非架橋性(メタ)アクリレートポリマーの重量平均分子量に特に制限はないものの、5~150万の範囲内であることが好ましく、10~140万の範囲内であればより好ましく、20~130万の範囲内であれば更に好ましい。
【0023】
尚、本発明における10%粒子径、及び50%粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定された体積基準の粒度分布に基づいて算出された値を採用した。
本発明における重量平均分子量(Mw)は、標準物質としてポリスチレンを用いたゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)で測定された値を採用した。
本発明における一次粒子径は、電子顕微鏡による観察像を画像解析することによって算出された値を採用した。
【0024】
成分(A)非架橋性(メタ)アクリレートポリマーの含有量に特に制限はないものの、組成物全量に対して55~74質量%の範囲内であることが好ましく、60~74質量%であることがより好ましく、60~67質量%の範囲内であることが更に好ましい。55~74質量%の範囲内とすることで、鮮やかな白色を発現しつつ、良好な操作性や硬化後の特性を与えることができる。
【0025】
[重合性化合物]
成分(B)重合性化合物としては、重合性官能基としてのエチレン性不飽和基を有する化合物であれば特に制限はなく、公知の重合性化合物を用いることができる。エチレン性不飽和基を具体的に例示すると、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、ビニルエーテル基、メチルビニルエーテル基、アリル基、アリルエーテル基、マレイミド基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。中でも、操作性、硬化性の観点から、(メタ)アクリロイル基又は(メタ)アクリロイルオキシ基であることが好ましい。
【0026】
1分子内に1個のエチレン性不飽和基を有する成分(B)重合性化合物を具体的に例示すると、(メタ)アクリル酸、ウレタン(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサフタル酸、ステアリル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンフォスフェート、10-(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンフォスフェート、6-(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンフォスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル2-ブロモエチルハイドロジェンフォスフェート、メチロールアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルフォリン、ビニルクロライド、又はこれらのオリゴマー、ポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。尚、本明細書におけるオリゴマーという用語は重合性単量体が2~数十個重合された重合体を意味する。また、ポリマーという用語は重合性単量体が数十個以上重合された重合体を意味する。
【0027】
1分子内に2個のエチレン性不飽和基を有する成分(B)重合性化合物を具体的に例示すると、ウレタンジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンフォスフェート、又はこれらのオリゴマー、ポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
1分子内に3個以上のエチレン性不飽和基を有する成分(B)重合性化合物を具体的に例示すると、ウレタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、又はこれらのオリゴマー、ポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
前記成分(B)重合性化合物としての重合性単量体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000未満である。また、前記成分(B)重合性化合物としてのオリゴマーの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000~70,000であり、ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000~100,000である。この範囲であれば、操作性、硬化性、強度、柔軟性、耐久性などの特性を良好にすることができる。尚、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は標準物質としてポリスチレンを用いたゲルろ過クロマトグラフィー(Gel PermeationChromatography;GPC)で測定された値を採用した。
【0030】
前記成分(B)重合性化合物としての重合性単量体は、25℃雰囲気下で液体であり、流動性を有することが好ましい。具体的には、動的粘弾性測定装置であるレオメーターを用いて測定される25℃、せん断速度10s-1における粘度が20Pa・s以下であると好ましい。前記成分(B)重合性化合物としてのオリゴマーは、25℃雰囲気下で流動性を有していても良いし、有していなくても良い。具体的には、動的粘弾性測定装置であるレオメーターを用いて測定される25℃、せん断速度10s-1における粘度が20Pa・s以上であると好ましい。前記成分(B)重合性化合物としてのポリマーは、25℃雰囲気下で流動性を有していても良いし、有していなくても良い。
【0031】
前記成分(B)重合性化合物は2種類以上を選択し、人工爪組成物を構成することもできる。中でも(メタ)アクリル酸、ウレタン(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、ビス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンフォスフェート、又はこれらのオリゴマー、ポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、(メタ)アクリル酸、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、ビス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンフォスフェート、又はこれらのオリゴマー、ポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることがより好ましい。
【0032】
前記成分(B)重合性化合物の含有量に特に制限はないものの、組成物全量に対する前記成分(B)重合性化合物の含有量が24~40質量%の範囲内であることが好ましく、24~33質量%の範囲内であることがより好ましい。24~40質量%の範囲内にすることで、鮮やかな白色を発現しつつ、良好な操作性や硬化後の特性を与えることができる。
【0033】
[重合開始剤]
成分(C)重合開始剤の種類に特に制限はなく、公知の重合開始剤を使用することができる。前記成分(C)重合開始剤としては、可視光線、紫外線、X線、電子線等のエネルギー線の照射によって重合反応の起点となる光重合開始剤、一定以上の温度に加熱することによって重合反応の起点となる熱重合開始剤、特定の物質を混合することによって重合反応の起点となる二剤以上を混合するタイプの化学重合開始剤などが挙げられるが、化学重合開始剤が好ましい。また、ラジカルを発生するラジカル重合開始剤、カチオンを発生するカチオン重合開始剤、アニオンを発生するアニオン重合開始剤などを用いることができるが、ラジカル重合開始剤が好ましい。ラジカルを発生する化学重合開始剤を具体的に例示すると、有機過酸化物/アミン化合物、有機過酸化物/アミン化合物/スルフィン酸塩、有機過酸化物/アミン化合物/ボレート化合物からなるレドックス型、酸素や水と反応して重合を開始する有機金属型等が挙げられる。また、スルフィン酸塩類やボレート化合物類は酸性基を有する重合性単量体との反応により重合を開始させることもできるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
上記有機過酸化物を具体的に例示すると、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
また、上記アミン化合物を具体的に例示すると、アミノ基がアリール基に結合した第二級または第三級アミンが好ましく、具体的に例示するとN,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジメチルアニリン、N-β-ヒドロキシエチル-アニリン、N,N-ジ(β-ヒドロキシエチル)-アニリン、p-N,N-ジ(β-ヒドロキシエチル)-トルイジン、N-メチル-アニリン、p-N-メチル-トルイジン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
また、スルフィン酸塩類を具体的に例示すると、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸リチウム、p-トルエンスルフィン酸ナトリウム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
また、ボレート化合物を具体的に例示すると、トリアルキルフェニルホウ素、トリアルキル(p-フルオロフェニル)ホウ素(アルキル基はn-ブチル基、n-オクチル基、n-ドデシル基等)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
更に有機金属型の重合開始材を具体的に例示すると、トリフェニルボラン、トリブチルボラン、トリブチルボラン部分酸化物等の有機ホウ素化合物類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
これらの重合開始剤は重合様式や重合方法に関係なく、単独、または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの重合開始剤は長期的な保存安定性の向上や重合反応速度の制御を目的として、マイクロカプセルに内包する等の二次的な処理を施しても良い。これらの重合開始剤の中でも有機過酸化物/アミン化合物の組合せが好ましく、有機過酸化物/第三級アミンの組合せがより好ましく、ベンゾイルパーオキサイド/p-N,N-ジメチルアミノ安息香酸エチル等のアミノ基がベンゼン環に直結した芳香族アミン、またはN,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート等の分子内に二重結合を有した脂肪族アミン等の組合せが更に好ましい。
【0040】
前記成分(C)重合開始剤の含有量に特に制限はないものの、組成物全量に対する前記成分(C)重合開始剤の含有量が0.60~0.75質量%の範囲内であることが好ましく、0.60~0.70質量%の範囲内であることがより好ましく、0.65~0.70質量%の範囲内であることが更に好ましい。0.60~0.75質量%の範囲内にすることで、重合反応が開始してから組成物が固形化するまでに十分な操作時間を確保しつつ、良好な操作性や硬化後の特性を与えることができる。
【0041】
[白色顔料]
成分(D)白色顔料の種類に特に制限はなく、公知の白色顔料を使用することができる。白色顔料を具体的に例示すると、硫化亜鉛、酸化亜鉛、リン酸亜鉛、硫酸バリウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、硫化ストロンチウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、石膏、二酸化ケイ素、タルク、ケイ酸カルシウム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。その中でも酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、二酸化チタンであることがより好ましい。
【0042】
前記成分(D)白色顔料の製造方法に特に制限はなく、各種合成法によって製造されたものや、天然から採掘されたものを精製し、粉砕等によって粒度調整したもの等公知の製造方法によって製造された白色顔料を用いることができる。二酸化チタンを例にとると、塩素法、硫酸法等が挙げられる。また、前記成分(D)白色顔料は表面処理されていても良く、されていなくても良い。表面処理材としては、水酸化アルミニウム、酸化ケイ素、ジルコニウムのような無機物や各種有機物が挙げられるが、有機物による表面処理を施していないことが好ましい。前記成分(D)白色顔料は結晶質であっても良く、非晶質であっても良いが、結晶質であることが好ましい。二酸化チタンを例にとると、ルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型等が挙げられる。前記成分(D)白色顔料の形状に特に制限はなく、球状、針状、板状、破砕状、鱗片状等の任意の粒子形状のものを用いることができるが、球状であることが好ましい。前記成分(D)白色顔料の粒子構造に特に制限はなく、中実、中空、多孔質等の任意の構造のものを制限なく用いることができるが、中実構造であることが好ましい。
【0043】
前記成分(D)白色顔料の粒子径に特に制限はないものの、一次粒子径が0.15~0.41μmの範囲内であることが好ましく、0.15~0.30μmの範囲内であることがより好ましく、0.20~0.30μmの範囲内であることが更に好ましい。また、二次粒子径としての粒度分布に特に制限はないものの、10%粒子径が0.17~0.52μmの範囲内であることが好ましく、0.17~0.30μmの範囲内であることがより好ましく、0.23~0.30μmの範囲内であることが更に好ましい。粒子径を上記の範囲内とすることでより鮮やかな白色を発現することができる。
【0044】
前記成分(D)白色顔料の含有量に特に制限はないものの、組成物全量に対する前記成分(D)白色顔料の含有量が1.0~4.1質量%の範囲内であることが好ましく、1.3~3.1質量%の範囲内であることがより好ましく、1.8~2.3質量%の範囲内であることが更に好ましい。1.0~4.1質量%の範囲内にすることで、鮮やかな白色を発現しつつ、良好な操作性や硬化後の特性を与えることができる。
【0045】
[その他の成分]
本発明の人工爪組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記成分(A)~(D)以外の他成分を含むことができる。その他成分としては、人工爪組成物において広く使用される、補助剤、添加剤、着色剤、レベリング剤、可塑剤、酸化防止剤、重合促進材、重合禁止材、流動化剤、合一剤、保存剤、ワックス、増粘剤、芳香剤、UV遮蔽材、拡散剤、消泡剤、分散剤、充填材、界面活性剤、顔料、染料、賦形材、イオン放出剤、及びシランカップリング剤などが挙げられる。
【0046】
可塑剤としてはフタル酸エステル、フタル酸以外の二塩基酸エステル、グリセリンエステル、リン酸エステル、カルボン酸エステル、安息香酸スクロース、重合性官能基を有さないウレタン(メタ)アクリレート、または(メタ)アクリル酸エステルのオリゴマー、またはポリマー等が挙げられ、このような可塑剤を用いることで硬化体の柔軟性等を調整することができる。
【0047】
重合禁止剤としては4-tert-ブチルピロカテコール、tert-ブチルヒドロキノン、1,4-ベンゾキノン、ジブチルヒドロキシトルエン、1,1-ジフェニルー2-ピクリルヒドラジル、ヒドロキノン、メキノール、フェノチアジンなどが挙げられ、このような重合禁止剤を用いることで組成物の経時的な特性の劣化を低減することができる。
【0048】
流動化剤としては二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ポリオール複合体、リグニンスルホン酸塩、オキシカルボン酸塩等が挙げられ、このような流動化剤を用いることで粉材、または粉材と液材の混合物の流動性を向上させることができる。粉材の流動性を改善したい場合は二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム等を粉材に添加することで効果が得られ、粉材と液材の混合物の流動性を改善したい場合はポリオール複合体、リグニンスルホン酸塩、オキシカルボン酸塩等を粉材若しくは液材に添加することで効果が得られる。
【0049】
分散剤としては粉材中の個々の粒子同士の凝集を妨げるものや、粉材と液材の混合物とした際の液材中への粉材の分散性を高めるもの、顔料等各種添加剤を粉材、または液材に均一に分散させるためのもの等が挙げられる。前者の2種類の分散剤は広義には流動化剤と同義である。各種添加剤の母材中への均一分散を目的とした分散剤としては、粉材に用いる場合には有機溶媒や界面活性剤、液材に用いる場合には界面活性剤等が挙げられる。具体的に例示すると、(メタ)アクリル酸エステル、アルコール、ケトン、ジメチルポリシロキサン、ポリウレタン分散液、グリコールエーテル、リン酸エステル、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖安息香酸エステル、ポリエチレングリコール、フェノキシエタノール等が挙げられ、それぞれ使用目的に適した分散剤が粉材、または液材との相性を踏まえて選択される。粉材に各種添加剤を分散させるための分散剤は、非架橋性(メタ)アクリレートポリマーへの膨潤性を考慮した上で選択される。
【0050】
イオン放出剤としてはイオン徐放性ガラス等が挙げられる。イオン徐放性ガラスはガラス骨格を形成する1種類以上のガラス骨格形成元素とガラス骨格を修飾する1種類以上のガラス修飾元素を含んだガラスであれば何等制限なく用いることができる。イオン徐放性ガラスに含まれるガラス骨格形成元素を具体的に例示するとシリカ、アルミニウム、ボロン、リン等が挙げられるが、単独だけでなく複数を組み合わせて用いることができる。また、ガラス修飾元素を具体的に例示するとフッ素、臭素、ヨウ素等のハロゲン類元素、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属類元素、カルシウム、ストロンチウム等のアルカリ土類金属類元素等が挙げられるが、単独だけでなく複数を組み合わせて用いることができる。これらの中でもガラス骨格形成元素としてシリカ、アルミニウム、ボロンを含み、且つガラス修飾元素としてフッ素、ナトリウム、ストロンチウムを含むことが好ましく、具体的にはストロンチウム、ナトリウムを含んだシリカガラス、フルオロアルミノシリケートガラス、フルオロボロシリケートガラス、フルオロアルミノボロシリケートガラス等が挙げられる。さらに、フッ化物イオン、ストロンチウムイオン、アルミニウムイオン、ホウ酸イオンを徐放する観点から、より好ましくはナトリウム、ストロンチウムを含んだフルオロアルミノボロシリケートガラスであり、そのガラス組成範囲はSiO 15~35質量%、Al 15~30質量%、B 5~20質量%、SrO 20~45質量%、F 5~15質量%、NaO 0~10質量%となる。このガラス組成は元素分析、ラマンスペクトルおよび蛍光X線分析等の機器分析を用いることにより確認することができるが、いずれかの分析方法による実測値がこれらの組成範囲に合致していれ何等問題はない。
【0051】
これらの前記成分(A)~(D)以外のその他の成分の含有量は本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限はないものの、組成物全量に対する含有量が0.01~30質量%の範囲内であることが好ましく、0.05~10質量%の範囲内であることがより好ましく、0.1~5質量%の範囲内であることが更に好ましい。
【0052】
本発明の人工爪組成物における包装形態に特に制限はなく、粉材/液材、粉材/ペースト、ペースト/液材、ペースト/ペースト、ペースト1剤タイプ等の何れの包装形態であっても問題ない。中でも、粉材/液材、または粉材/ペーストの包装形態であることが好ましい。尚、液材、またはペーストの形態とした場合におけるこれらの組成物の粘度に特に制限はないものの、操作性の観点から、25℃雰囲気下で流動性を有することが好ましい。具体的には、動的粘弾性測定装置であるレオメーターを用いて測定される25℃、せん断速度10s-1における粘度が100Pa・s以下であることが好ましく、75Pa・s以下であることがより好ましく、50Pa・s以下であることが更に好ましい。本発明の人工爪組成物の粘度は、配合する成分の種類及び含有量を適宜調整することにより変更できる。
【0053】
本発明の人工爪組成物は、爪、人工爪組成物によって塗膜が形成されている爪、人工の樹脂製チップ、フィルム又はシートなどの基材に対して塗布することができるが、これらに制限されるものではない。また、塗布の方法としては筆、スポンジ、スプレー、インクジェット、エアーナイフ、ロールなどで塗布する方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
本発明の人工爪組成物は、手の爪に塗布するハンド用、足の爪に塗布するフット用、動物の爪に塗布する動物用などがある。本発明の人工爪組成物の用途に特に制限はなく、ハンド用、フット用、動物用などのいずれにも使用することができる。
【実施例0055】
以下に本発明の実施例及び比較例について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0056】
[人工爪組成物の調製に用いた成分]
実施例、及び比較例の人工爪組成物の調製に用いた成分を以下に記載した。
表中の10%粒子径、及び50%粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定された体積基準の粒度分布に基づいて算出された値を採用した。
表中の重量平均分子量(Mw)は、標準物質としてポリスチレンを用いたゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)で測定された値を採用した。
表中の一次粒子径は、電子顕微鏡による観察像を画像解析することによって算出された値を採用した。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
【表5】
【0062】
[人工爪組成物の調製]
表6、または7に示す割合で各成分を均一に混合し、粉材P1~13、または液材L1を調製した。
【0063】
【表6】
【0064】
【表7】
【0065】
これらの粉材、及び液材を表8~10に示す組合せ、及び粉/液比(g/g)にて混合した人工爪組成物について評価した。評価方法は以下の通りである。尚、評価は全て室温23±2℃、湿度50±10%、室内用LED照明下にて実施した。
【0066】
[{(100-L*)+a*+b*1/2の値]
実施例及び比較例に示す人工爪組成物を、混合物がもち状になった時点で内径35mm、厚さ1mmの金型内に充填し、上方より平滑な面を有する別の金型を用いて6±2MPaの圧力でプレスした。混合物が硬化するまで静置し、硬化後脱型した試験片の明度(L*)、及び彩度(a*、b*)をコニカミノルタ株式会社製分校測色計CM-5を用いて測定し、下記式5の値を算出した。

[式5] {(100-L*)+a*+b*1/2
【0067】
[隠蔽性]
実施例及び比較例に示す人工爪組成物を、混合物がもち状になった時点で内径10mm、厚さ0.5mmの金型内に充填し、上方より平滑な面を有する別の金型を用いて6±2MPaの圧力でプレスした。混合物が硬化するまで静置し、硬化後脱型した試験片の可視光透過率を日本分光株式会社製分光光度計V-750を用いてJISR3106:1998に準拠して測定し、下記[式4]にて算出した。

[式4]
隠蔽性=100-可視光透過率
【0068】
[色調(目視)]
実施例及び比較例に示す人工爪組成物を、混合物がもち状になった時点で内径35mm、厚さ1mmの金型内に充填し、上方より平滑な面を有する別の金型を用いて6±2MPaの圧力でプレスした。混合物が硬化するまで静置し、硬化後脱型した試験片の色調を日本ネイリスト協会認定ネイリスト10名が目視にて観察し、表11に示す基準による評価結果を持ち寄り、総合評価した。また、比較対象としての従来のアクリルネイルには、株式会社ネイルラボ製 Nail De Dance パウダー リバーホワイトとアクリルリキッドの組合せを用いた。
【0069】
【表8】
【0070】
[ミクスチャの取れ方]
液材L1を適度に染み込ませたアクリルネイル用筆を、実施例及び比較例の粉材に接触させることで、粉材と液材が混和されたミクスチャを筆上に採取した。この時のミクスチャの取れ方を日本ネイリスト協会認定ネイリスト10名が表12に示す基準により官能評価し、評価結果を持ち寄って総合評価した。尚、実施例及び比較例の人工爪組成物のミクスチャをアクリルネイル用筆にて採取した場合の粉/液比を測定したところ、約2g/1gであったため、本評価結果は粉/液比2/1における評価結果とした。また、比較対象としての従来のアクリルネイルには、株式会社ネイルラボ製 Nail De Dance パウダー リバーホワイトとアクリルリキッドの組合せを用いた。
【0071】
【表9】
【0072】
[筆離れ]
実施例及び比較例の人工爪組成物からなるミクスチャをアクリルネイル用筆に採取し、ネイルチップ上に置いた後、筆をミクスチャから離した際の筆離れを、日本ネイリスト協会認定ネイリスト10名が表13に示す基準により官能評価し、評価結果を持ち寄って総合評価した。尚、実施例及び比較例の人工爪組成物のミクスチャをアクリルネイル用筆にて採取した場合の粉/液比を測定したところ、約2g/1gであったため、本評価結果は粉/液比2/1における評価結果とした。また、比較対象としての従来のアクリルネイルには、株式会社ネイルラボ製 Nail De Dance パウダー リバーホワイトとアクリルリキッドの組合せを用いた。
【0073】
【表10】
【0074】
[評価結果]
表11~13に各実施例及び比較例の評価結果を示した。


【0075】
【表11】
【0076】
【表12】
【0077】
【表13】
【0078】
表11~13から明らかなように、実施例に係る人工爪組成物は、何れも従来のアクリルネイルと比較して、鮮やかな白色を示し、美しい色調であった。また、ミクスチャの取れ方や筆離れにおいても従来のアクリルネイルと同等か、若しくは問題なく使用できる操作性を有していた。
一方、比較例の人工爪組成物は、従来のアクリルネイルと比較して、鮮やかな白色とミクスチャの取れ方や筆離れにおける良好な操作性を両立することができないものであった。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明によれば、優れた発色性により鮮やかな白色を発現する人工爪組成物を提供することが可能である。