(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141197
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】チューブ容器
(51)【国際特許分類】
B65D 35/56 20060101AFI20241003BHJP
B65D 35/02 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B65D35/56 A
B65D35/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052709
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】加瀬 舞
【テーマコード(参考)】
3E065
【Fターム(参考)】
3E065AA01
3E065DA04
3E065DD05
3E065DE20
3E065FA11
3E065FA20
3E065GA10
3E065JA36
3E065JA38
(57)【要約】
【課題】使用時の操作性が良いチューブ容器を提供する。
【解決手段】外部のスプーン100に対して内容物を注ぐためのチューブ容器である。圧搾可能な胴部4から口頸部8を起立する容器体2と、前記口頸部8の外面に装着された筒状の装着部材10と、口頸部8の上側に配備された注出口Оを閉塞するための蓋体40とを具備する。前記装着部材10から、前記チューブ容器1を倒立状態で支えることが可能な支持体30が立設されている。この支持体30の上端には、前記倒立状態で外部の載置面Wに接地するための接地面部35が形成されている。前記支持体30は、蓋体40を前記注出口Оから取り外した状態で当該注出口Оと前記載置面Wとの間に前記スプーン100の掬い部103の収納空間Tが形成されるように構成する。当該支持体30は、側方より前記収納空間T内へ前記掬い部103を挿入させるための挿入口Aを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部のスプーン(100)に対して内容物を注ぐためのチューブ容器(1)であって、
圧搾可能な胴部(4)から口頸部(8)を起立する容器体(2)と、
前記口頸部(8)の外面に装着された筒状の装着部材(10)と、
前記口頸部(8)の上側に配備された注出口(О)を閉塞するための蓋体(40)と、
前記装着部材(10)から立設された、前記チューブ容器(1)の倒立状態で前記容器体(2)を支えるための支持体(30)と、を具備し、
この支持体(30)は、前記倒立状態での前記注出口(О)の下方に、少なくとも前記蓋体(40)を前記注出口(О)から取り外した状況で、前記スプーン(100)の掬い部(103)のための収納空間(T)が形成されるように前記容器体(2)を支えており、かつ、側方(Y)より前記収納空間(T)内へ前記掬い部(103)を挿入させるための挿入口(A)を有することを特徴とする、チューブ容器。
【請求項2】
前記支持体(30)は、前記側方(Y)より前記挿入口(A)を介して前記収納空間(T)内へ挿入された前記スプーン(100)の掬い部(103)を、当該スプーン(100)の水平姿勢を保って保持できる保持手段(P)を有しており、その掬い部(103)の保持によって、前記スプーン(100)を前記支持体(30)に組み付けることが可能に形成していることを特徴とする、請求項1に記載のチューブ容器。
【請求項3】
前記装着部材(10)は、前記口頸部(8)の外面に嵌合させた装着筒(12)を有し、垂直方向から見て、この装着筒(12)から突設する内向きフランジ部(16b)の内側に、前記注出口(О)が開口されており、
前記保持手段(P)は、前記注出口(О)と前記掬い部(103)とが垂直方向に向かい合うように、当該掬い部(103)の両側端部(105、105)を保持する一対の保持部(37、37)として形成されていることを特徴とする、請求項2に記載のチューブ容器。
【請求項4】
前記支持体(30)は、前記側方(Y)から見た前記装着部材(10)の両側から立設され、かつ相互に向かい合う一対の支持脚(31、31)で形成されており、
これら支持脚(31、31)の間に前記収納空間(T)が形成されており、
前記保持手段(P)は、前記一対の支持脚(31、31)の対向面(F)を横向きに延びる一対の保持条(37、37)であって、前記掬い部(103)の両側端部(105、105)を当該保持条(37、37)の長手方向にスライド可能に保持していることを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載のチューブ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ容器、特に服薬ゼリーの収納に適したチューブ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、錠剤の嚥下を補助するためのゼリー状物質(以下「服薬ゼリー」という)を収納した容器(特許文献1)、及びゼリー状物質を収納した自立型パウチに注出用スパウトを付設したチューブ容器(特許文献2)がそれぞれ提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-063382
【特許文献2】特開2021-133967
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2のチューブ容器に服薬ゼリーを収納した場合、単に自立型パウチにスパウトが付設された形態であるため、上下反転させた容器体を手で保持して容器の姿勢を保つ必要があり、使用時の操作に不便があった。また錠剤を服薬ゼリーで包むために、チューブ容器とは別に容器とスプーンとを用意する必要があり、使い勝手が良くなかった。
【0005】
本発明の第1の目的は使用時の操作性が良いチューブ容器を提供すること、第2の目的は注出作業に際して別の容器を用意する手間を省略して使い勝手を良くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、外部のスプーン100に対して内容物を注ぐためのチューブ容器1であって、
圧搾可能な胴部4から口頸部8を起立する容器体2と、
前記口頸部8の外面に装着された筒状の装着部材10と、
前記口頸部8の上側に配備された注出口Оを閉塞するための蓋体40と、
前記装着部材10から立設された、前記チューブ容器1の倒立状態で前記容器体2を支えるための支持体30と、を具備し、
この支持体30は、前記倒立状態での前記注出口Оの下方に、少なくとも前記蓋体40を前記注出口Оから取り外した状況で、前記スプーン100の掬い部103のための収納空間Tが形成されるように前記容器体2を支えており、かつ、側方Yより前記収納空間T内へ前記掬い部103を挿入させるための挿入口Aを有する。
【0007】
本手段では、
図1(A)に示す如く、容器体2の口頸部8の外面に装着された筒状の装着部材10から、倒立状態で容器体2を支えるための支持体30が立設されている。
前記支持体30は、前記倒立状態での注出口Оの下方に、
図3(A)に示す如く、少なくとも前記蓋体40をチューブ容器1の注出口Оから取り外した状況で、前記スプーン100の掬い部103を収納するための収納空間Tが形成されるように構成されている。
また支持体30は、
図1(B)に示す如く、側方Yより前記収納空間T内へ前記掬い部103を挿入させるための挿入口Aを有する。
この構造によれば、支持体30により倒立状態での容器の自立性が確保でき、その倒立姿勢を維持するために容器体を持ち続ける必要がないので、操作性が良好である。
【0008】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ前記支持体30は、前記側方Yより前記挿入口Aを介して前記収納空間T内へ挿入された前記スプーン100の掬い部103を、当該スプーン100の水平姿勢を保って保持できる保持手段Pを有しており、その掬い部103の保持によって、前記スプーン100を前記支持体30に組み付けることが可能に形成されている。
【0009】
本手段では、
図3(A)に示す如く、支持体30はスプーン100の保持手段Pを有する。
この保持手段Pは、側方Yより前記挿入口Aを介して前記収納空間T内へ挿入された前記スプーン100の掬い部103を、当該スプーン100の水平姿勢を保って保持することができる。
当該保持により、
図3(B)に示す如く、前記スプーン100を前記支持体30に組み付けることが可能に形成している。
この構造によれば、注出作業においてスプーンを手で支える場合に比べて、狙った場所に内容物を吐出し易く、かつスプーンを支える手間が省けるので、操作性が更に向上する。
またチューブ容器1に組み付けられたスプーンの掬い部103に対して内容物を注入するので、別の容器及びスプーンを用意する必要がなく、使い勝手がよい。
【0010】
第3の手段は、第1の手段又は第2の手段を有し、かつ前記装着部材10は、前記口頸部8の外面に嵌合させた装着筒12を有し、垂直方向から見て、この装着筒12から突設する内向きフランジ部16bの内側に、前記注出口Оが開口されており、
前記保持手段Pは、前記注出口Оと前記掬い部103とが垂直方向に向かい合うように、当該掬い部103の両側端部105、105を保持する一対の保持部37、37として形成されている。
【0011】
本手段では、
図1(A)に示す如く、口頸部8に嵌合させた装着筒12の上端側に内向きフランジ部16bを付設し、垂直方向から見て、
図1(B)に示す如く、この内向きフランジ部16bの内側に注出口Оを形成している。
また保持手段Pは、
図3(A)に示す如く、前記注出口Оと前記掬い部103とが垂直方向に向かい合うように、当該掬い部103の両側端部105、105を保持する一対の保持部37、37として形成されている。
この構造によれば、注出口Оと向かい合う掬い部103を狙い場所として、内容物を確実に吐出することができる。
【0012】
第4の手段は、第1の手段から第3の手段のいずれかを有し、かつ前記支持体30は、前記側方Yから見た前記装着部材10の両側から立設され、かつ相互に向かい合う一対の支持脚31、31で形成されており、
これら支持脚31、31の間に前記収納空間Tが形成されており、
前記保持手段Pは、前記一対の支持脚31、31の対向面Fを横向きに延びる一対の保持条37、37であって、前記掬い部103の両側端部105、105を当該保持条37、37の長手方向にスライド可能に保持している。
【0013】
本手段では、
図1(A)に示す如く、前記装着部材10の両側から立設された一対の支持脚31、31の対向面Fに、スプーン100の掬い部103の両側に保持するための一対の保持条37、37を水平に横設している。
この構造によれば、掬い部103の両側を一対の保持条37で支えることで、掬い部103がガタつくことなく保持され、支持体30に対してスプーン100を安定的に組み付けできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、使用時の操作性が良好である。また、注出作業の際に、チューブ容器とは別の容器及びスプーンを用意する必要がなく、使い勝手が良い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係るチューブ容器の倒立状態での構成を示し、同図(A)は側方から見た断面図、同図(B)は倒立状態での下面図である。
【
図2】
図1に示す容器の正立状態での要部の拡大図である。
【
図3】
図1に示す容器の作用説明図であり、同図(A)は蓋体を除去してスプーンを組み込んだ形態の断面図、同図(B)は当該形態を倒立状態での下方から見た図である。
【
図4】
図1に示す容器とともに使用するスプーンの構成を示し、同図(A)は当該スプーンの下面図、同図(B)はIV(B)- IV(B)方向から見た断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1から
図3は、本発明の実施形態に係るチューブ容器1を示しており、また
図4は、当該チューブ容器1に組み込んで使用するためのスプーン100を示している。
前記チューブ容器1は、前記スプーン100に対して内容物を注ぐための容器である。ここで、「スプーンに対して内容物を注ぐため」とは、スプーンに内容物を注ぐ用途に適した構造を有するという程度の意味である。
このチューブ容器1は、
図1(A)に示す如く、容器体2と、装着部材10と、支持体30と、蓋体40とを具備する。
また前記スプーン100は、
図4(A)に示す如く、柄部102と掬い部103とからなり、その掬い部103の幅方向z2の両側端部105、105を、後述の保持条37、37と係合させるための一対の係合条(係合突条)に形成している。
前記掬い部103は、錠剤i及び服薬ゼリーjを収納するための窪み面104を有する。また、図示例の掬い部103は、柄部102より当該柄部102の長手方向z1に長く形成されており、かつ、前記一対の係合突条105、105は、その長手方向z1に長く延びている。
【0017】
容器体2は、
図2に示す如く、圧搾可能な胴部4から肩部6を介して口頸部8を起立している。
なお、本明細書において、「起立」、「立設」、「垂下」の如く垂直方向の向きを含意する用語は、別段の説明がない限り、
図2に示す如く、口頸部8の開口部Mを上方に向けた状態(以下「正立状態」という。)での向きを意味するものとする。同様に「上端」及び「下端」の如く、垂直方向の位置を含意する用語についても、正立状態でのそれぞれの位置を意味する。
前記胴部4は、図示例において、下端を封止させたチューブ状に形成されている。もっともこの構造は適宜変更することができる。
前記肩部6の上面には、装着部材10側に係止させるための回り止め用の係止突起7が付設されている。
なお、本明細書では、部材相互の関係を示すため、
図1(B)において、符号Xで示す向きを第1の水平方向と、また符号Yで示す向きを第2の水平方向(第1の水平方向と直交する方向)とそれぞれ称する。
図示例の肩部6には、第1の水平方向Xの両側に、一対の係止突起7、7が配置されている。
前記口頸部8の外面には、オネジ部9が形成されている。
【0018】
装着部材10は、前記口頸部8の外面に装着された筒状の部材(チューブキャップ)である。
本実施形態の装着部材10は、前記口頸部8の外面に嵌合させた装着筒12を有し、この装着筒12の上端にはリング状(図示例では環状)の頂壁部16が付設されている。
前記装着筒12には、前記オネジ部9とかみ合うメネジ部14が形成されている。
前記頂壁部16は、図示例では、装着筒12の上端から内外方向へ延びている。
そして、当該頂壁部16のうちで装着筒12の上端付近から外側に亘る部分(外向きフランジ部16aという)の周端から囲成周壁18が垂下されており、また装着筒12より内側の部分(内向きフランジ部16bという)の周端から注出筒24が起立している。
【0019】
前記囲成周壁18は、前記装着筒12を囲んでおり、図示例では、装着筒12より長く、前記肩部6付近まで垂設されている。
これら囲成周壁18と装着筒12とは、半径方向(図示例では第1の水平方向X)に延びる補強壁20を介して連設されている。そして、図示例では、この補強壁20の下端部を、前記係止突起7を受持する突起受部21としている。これら係止突起7と突起受部21とで回り止め手段Rが形成されている。
【0020】
前記注出筒24は、本実施形態では、前記内向きフランジ部16bの内周端に付設されており、この注出筒24の上端に注出口Оが開口されている。
そして、この注出口Оは、後述の蓋体40の栓部Cで閉栓されている。
もっともこの構造は適宜変更することができ、例えば前記注出口Оは前記口頸部8の上側(倒立状態での下側)に配置されていれば、どのように構成されていてもよい。
前記注出筒24は、
図1(A)に示す如く、チューブ容器1の倒立状態で下向きに開口するように配置されており、従って、内容物の注出作業の途中で、注出筒24の開口箇所(注出口О)に塵埃などが付着しにくい。
注出筒24の筒長は、チューブ容器1の倒立状態で後述の収納空間Tのスペースを十分に確保できるように適宜設定する。図示例の注出筒24は、筒長が直径より短い短筒に形成されている。
【0021】
本実施形態では、前記内向きフランジ部16bからシール筒25及び垂下筒部26aが一体的に垂設されている。
前記シール筒25は、前記口頸部8の内面に液密に嵌合されるように、内向きフランジ部16bの下面から垂下されている。
なお、このシール筒25と装着筒12との間で、前記内向きフランジ部16bの下面には、
図2に示す如く、口頸部8の上端面に圧接するための圧接リブ22が周設されている。
前記垂下筒部26aは、シール弁Vを内設した弁筒26の一部であり、前記注出筒24の下端から垂下されている。垂下筒部26aの外面には、後述の嵌合筒部26bの脱落を防止するための抜止め用突部29が周設されている。
図示の弁筒26は、前記垂下筒部26aと、この垂下筒部26aの外面に上半部を嵌合させた嵌合筒部26bと、この嵌合筒部26bの下半部に嵌合された差込筒部26cとで形成されている。
前記嵌合筒部26bの下端からは、径方向内向きにフランジ状の弁座27が突設されている。
また前記差込筒部26cの内側には、差込筒部26cの下端に複数の弾性支承片を介して円板状の弁板28が支承されている。これら弁座27と弁板28とで前述のシール弁Vが形成されている。もっとも、これらの構造は適宜変更することができる。
前記シール弁Vを設けることにより、注出口Оから蓋体40を外した状態でも、胴部4の圧搾しない限り、容器体2の内部(弁筒26の内側を除く)が外部から遮断されている。
【0022】
支持体30は、チューブ容器1を倒立状態で支えるための部材であり、本実施形態では、前記装着部材10と一体に形成されているが、別体としても構わない。
前記支持体30は、本実施形態では、前記装着部材10の適所(図示例では、頂壁部16の第1の水平方向Xの両側部)から立設された一対の支持脚31、31として形成されている。
もっとも、支持体30は、容器体を支持するための脚があり、容器を自立させて使用することができれば、どのような構造でも構わない。
本実施形態において、それら支持脚31、31の上端には、
図1(A)に示す如く、前記倒立状態で外部の載置面Wに接地するための接地面部35が形成されている。
図示例では、一対の支持脚31、31の上端から、第1の水平方向Xへ、相互に反対向きに突設する一対の横板部34、34を付設し、これら横板部34、34の上面を、前述の接地面部35としている。もっとも、これらの構造は適宜変更することができる。
本実施形態において、一対の支持脚31、31は、相互に同一の脚長(上下長さ)を有する。
これら脚長は、前記支持体30は、チューブ容器1の倒立状態であって前記蓋体40を前記注出口Оから取り外した状況で、当該注出口Оと前記載置面Wとの間に、
図3(A)に示す収納空間Tを形成するために十分な長さとして設計する。この収納空間Tは、前記スプーン100の掬い部103を収納するための空間である。
支持体30の第2の水平方向Yの両側には、側方より前記収納空間T内へ前記掬い部103を挿入させるための一対の挿入口A、Aが開口されている。
各挿入口Aは、第2の水平方向Yから見て相互に隣接する両支持脚31、31の側縁部32同士の間に形成されている。
本実施形態において、前記一対の挿入口A、Aは、後述の如く蓋体40を注出口Оに対して着脱させる際に、蓋体40の両側を摘まむ2本指を挿入するための操作窓を兼ねる。
また、図示例では、
図3(B)に示すように、チューブ容器1にスプーン100を組み付けた状態で、その掬い部103が、前記一対の挿入口A、Aを介して、チューブ容器1を筒径方向(第2の水平方向Y)に突き抜けるように構成されている。
前記一対の支持脚31、31は、
図1(B)に示すように、相互に向かい合うように配置され、これら支持脚31、31の対向面Fは、互いに平行な垂直な平面として形成されている。
【0023】
各対向面Fには、
図2に示す如く、それぞれ上下一対の横リブ37、38が形成されている。図示例において、これら横リブ37、38は、対向面Fの横幅の全長に亘って第2の水平方向Yに延びている。
上側の横リブ(倒立時下側横リブ37)同士、及び、下側の横リブ(倒立時上側横リブ38)同士は、それぞれ相互に同じ高さに配設されている。これら横リブの上面は、細長い平坦面に形成されている。
そして本実施形態においては、一対の倒立時下側横リブ37は、
図3(A)に示す後述の注出作業の際に、スプーン100の掬い部103の両側端部105、105を保持するための保持条としての役目を果たす。
ここで、本明細書において、「保持」とは、注出口Оと掬い部103の窪み面104とが垂直方向に向かい合う状態を保ち続けることをいう。この機能が担保される限り、保持の方法は、係止や支承など、如何なる手段であっても構わない。
保持条の構造は適宜変更することができ、掬い部の両側端部の保持部としての役目を果たせばどのような構成でもよい。例えば凸条に代えて凹溝としてもよい。
本実施形態では、これら一対の保持条37、37によって、前記スプーン100の掬い部103の保持手段Pが形成されている。
この保持手段Pは、側方(第2の水平方向Y)より前記挿入口Aを介して収納空間T内へ挿入されたスプーン100の掬い部103を、当該スプーン100の水平状態を保って保持する役目を有する。
このように掬い部103を保持することにより、
図3(A)に示す如く、掬い部103の窪み面104と注出口Оとが向かい合った状態で、チューブ容器にスプーン100を組み付けることが可能となる。なお、「スプーン100の水平状態を保って」とは、掬い部103の窪み面104と注出口Оとを対向させることが可能な程度にスプーン100の水平性が担保されていればよい。
チューブ容器1にスプーン100を組み込むことにより、別にコップなどの容器を用意しなくても、錠剤を服薬ゼリーで包み込むように注出作業を行うことができる。
【0024】
錠剤を服薬ゼリーで包み込むためには、後述するように、チューブ容器1に組み付けたスプーン100の掬い部103内の下半部に服薬ゼリーを注入する→スプーン100を外部へ引き出して注入した服薬ゼリーの上に錠剤をのせる→再びチューブ容器1にスプーン100を組み付けて、その錠剤の上から掬い部103内の上半部に服薬ゼリーを注入するという手順をとればよい。
従来のチューブ容器を用いて錠剤を服薬ゼリーで包み込むためには、図示はしないが、例えばテーブルの上に深皿などの別の容器を静置し、当該容器内の下半分にチューブ容器から服薬ゼリーを注入し、その服薬ゼリーの上に錠剤をのせ、当該容器内の上半分に服薬ゼリーを注入していた。
しかる後に、錠剤が含まれた服薬ゼリーをスプーンで掬い取るのであるが、これでは、チューブ容器とは別の容器とスプーンとを予め用意する手間がかかる。
この方法に代えて、手指で把持したスプーンの掬い部の上に、倒立姿勢のチューブ容器の注出口を近づけ、掬い部内の下半部に服薬ゼリーを注入し、その上に錠剤をのせ、掬い部内の上半部に服薬ゼリーを注入するという方法をとることも考えられる。
しかしながら、これでは手で支えたスプーンの掬い部に服薬ゼリーを注入するため、狙った場所に内容物を注入することが難しい。特に手先の器用さを欠く利用者の場合には、掬い部の外に服薬ゼリーを零してしまう可能性がある。
本発明の構成では、機械的機構(保持手段P)によってスプーン100の掬い部103と注出口Оとが向かい合った状態が維持されるから、狙い場所を定めにくいということがない。
また倒立状態で載置するチューブ容器に組み付けたスプーンが、従来の方法でのテーブル等に静置された別容器の代わりを果たすから、チューブ容器の他に容器を用意する手間が不要となる。
【0025】
本実施形態において、一対の保持条37、37は同じ高さでかつ水平であるため、これら保持条37、37の上に掬い部103の側端部105、105が載置されている限り、スプーン100が柄部102の長手方向z1にも横幅方向z2にも傾くことがない。
故に、保持手段Pは、スプーン100の掬い部103を、当該スプーン100の水平状態を保ったままで掬い部103を安定的に保持することを可能とする。
倒立時上側横リブ38は、保持条である倒立時下側横リブ37に対して僅かな間隙Gを存して平行かつ水平に延びている。
この倒立時上側横リブ38は、スプーン100の掬い部103を挿入する際の案内手段として機能する。
【0026】
蓋体40は、
図1(A)に示す如く、前記口頸部8の上側に配備された注出口Оを閉塞するための部材であり、少なくとも前記注出口Оを密閉することが可能な閉塞具(栓部C)を有する。
本実施形態の蓋体40は、
図2に示す如く、周状(図示例ではリング状)の、正立状態での天板42と、この天板42の径方向の両端側から垂設された外周壁44及び内周壁46と、この内周壁46の内部に連設された閉塞板部48とで形成されている。
図示例では、前記外周壁44は、前記横リブ37、38に当接させることにより、前記一対の支持脚31、31の間に挟持されている。
さらに図示例では、また前記天板42の外周端は前記一対の支持脚31、31の対向面Fに、外周壁44の下端は前記頂壁部16に、それぞれ当接されている。
また、この頂壁部16への外周壁44の当接状態で、前記天板42は前記接地面部35より低い位置に配置されるように構成されている。
本実施形態においては、前記内周壁46の下端部46aが前記注出筒24の外周面に嵌着されており、かつ、前記閉塞板部48が前記注出筒24の上端面に当接されている。注出筒24の外面には後述の蓋体40の内周壁46と係合する抜止め突条24aが形成されている。
そして閉塞板部48の下面から、前記口頸部8内へ液密に嵌挿される栓筒50が垂設されている。本実施形態では、これら栓筒50と前記閉塞板部48とで前記栓部Cが形成されている。
【0027】
前記構成において、本発明のチューブ容器1を保管するときには、
図2に示す正立状態から上下反転させ、外部の載置面Wに、倒立姿勢のチューブ容器1の支持体30の接地面部35を載置させればよい。
【0028】
チューブ容器1を使用するときには、次の手順で行うとよい。
(1)チューブ容器1から蓋体40を取り外す工程
蓋体40を取り外すためには、まず、前記倒立状態から胴部4を片手で把持して、チューブ容器1を持ち上げる。
そして、前述の一対の挿入口A、Aから収納空間Tに、他方の手の2本指を挿入し、蓋体40を両側から摘まんで前記注出口Оから引き抜くことにより、蓋体40を除去する。しかる後、チューブ容器1を再び倒立状態で前記載置面Wに載置させる。
(2)チューブ容器1にスプーン100を組み付ける工程
好適な一実施例として、まず、そのスプーン100の掬い部103を、一方の挿入口Aから収納空間T内へ第2の水平方向Yに挿入するとともに、この掬い部103の側端部105、105を支持体30の保持条37、37にそれぞれの上に載置させる。
その際に、各側端部105を対応する保持条37の上面に対してスライドさせることにより、掬い部103を収納空間Tに挿入することができる。
これにより、スプーン100の水平状態を保ったままで、収納空間T内にスプーン100の掬い部103が保持される。
そして、この掬い部103の保持により、前記装着部材10へのスプーン100の組み付け状態が維持される。
(3)第1の注入工程
スプーン100を組み付けた後に、容器体2の胴部4を片手で把持し、圧搾する。これにより、容器体2の内部が高圧化して、シール弁Vが開く。そして、口頸部8から注出口Оを介して、スプーン100の掬い部103内へ、容器体2の内容物である服薬ゼリーjが注入される。
その掬い部103は保持手段Pにより保持されているため、スプーン100を手で保持している場合に比べて、内容物を狙った場所に吐出させ易い。
この実施例では、まず服薬ゼリーjが掬い部103内の空間の半分程度を占めるように注入する。
(4)錠剤の挿入工程
スプーン100の掬い部103を外方へスライドさせて、外部へ引き出す。そして既に掬い部103内に注入された服薬ゼリーjの上に錠剤iを投入する。
(5)服薬ゼリーの第2の注入工程
スプーン100の掬い部103を再び収納空間T内に収納した後に、第1の注入工程と同じ手順で、服薬ゼリーjを掬い部103に注入する。
こうすることにより、錠剤iは、第1の工程で注入された服薬ゼリーj及び第2の工程で注入された服薬ゼリーjの間にはサンドイッチ様に挟まれた状態となり、服薬ゼリーj中に錠剤iが包み込まれた状態で錠剤i及び服薬ゼリーjを服用することができる。
もっとも、この使用法は適宜変更することができる。すなわち、第1の注入工程を省略して、最初に錠剤iを掬い部103内に入れ、次に収納空間T内に掬い部103を挿入し、単に錠剤iの上に服薬ゼリーjがかかった状態で服用しても構わない。
(6)片付け・保管などの事後工程
スプーン100を使い終わったときには、洗浄して所定の場所に保管する。
そして、前記注出口Оに蓋体40を装着し、倒立状態とすると、
図1(A)の状態に戻る。
【0029】
前記構成及び作用によれば、支持体30により倒立状態での容器の自立性が確保でき、自立姿勢を手で支える必要がないので、操作性が良好である。
また、チューブ容器にスプーンを組み付けた態様で注出作業を行うことができ、別の容器及びスプーンを用意する必要がないので、使い勝手がよい。
側方Yより前記収納空間T内へ挿入されたスプーン100の掬い部103を、当該スプーン100の水平姿勢を保ったまま保持手段Pで保持できるから、内容物を狙った場所に吐出でき、操作性がさらに向上する。
【符号の説明】
【0030】
1…チューブ容器 2…容器体 4…胴部 6…肩部 7…係止突起 8…口頸部
9…オネジ部
10…装着部材 12…装着筒 14…メネジ部 16…頂壁部
16a…外向きフランジ部 16b…内向きフランジ部 18…囲成周壁
20…補強壁 21…突起受部 22…圧接リブ 24…注出筒
24a…抜止め用突条 25…シール筒
26…弁筒 26a…垂下筒部 26b…嵌合筒部 26c…差込筒部
27…弁座 28…弁板 29…抜止め用突部
30…支持体 31…支持脚 32…側縁部 34…横板部 35…接地面部
37…倒立時下側横リブ(保持部・保持条) 38…倒立時上側横リブ
40…蓋体 42…天板 44…外周壁 46…内周壁 46a…下端部
48…閉塞板部 50…栓筒
100…スプーン 102…柄部 103…掬い部 104…窪み面
105…側端部(係合突条)
A…挿入口 C…栓部 F…対向面 G…(横リブ同士の)間隙
i…錠剤 j…服薬ゼリー M…(口頸部の)開口部 О…注出口 P…保持手段
R…回り止め手段 T…収納空間 V…シール弁 W…載置面
X…第1の水平方向 Y…第2の水平方向(側方) z1…長手方向 z2…幅方向