(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141216
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】コミュニティ分析装置、方法およびプログラム並びにコミュニティ情報管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/20 20120101AFI20241003BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G06Q50/20
G08B21/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052735
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128451
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 隆一
(72)【発明者】
【氏名】野沢 亜希子
【テーマコード(参考)】
5C086
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086CA28
5C086CB36
5L049CC34
5L050CC34
(57)【要約】
【課題】いじめなどの人間関係のトラブルを未然に防止することができるコミュニティ分析装置、方法およびプログラム並びにコミュニティ情報管理システムを提供する。
【解決手段】人間関係の繋がりの強弱を表す人間関係情報を検出する人間関係情報検出部11と、人間関係情報検出部11によって検出された人間関係情報を可視化したコミュニティ情報を生成するコミュニティ情報生成部12とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間関係の繋がりの強弱を表す人間関係情報を検出する人間関係情報検出部と、
前記人間関係情報検出部によって検出された人間関係情報を可視化したコミュニティ情報を生成するコミュニティ情報生成部とを備えたコミュニティ分析装置。
【請求項2】
前記コミュニティ情報を表示させる表示制御部を備えた請求項1記載のコミュニティ分析装置。
【請求項3】
前記コミュニティ情報生成部が、特定の日時の情報および特定の人物の情報の少なくとも1つを受け付け、該受け付けた情報に応じた前記コミュニティ情報を生成する請求項1記載のコミュニティ分析装置。
【請求項4】
前記人間関係情報検出部が、不特定の人を撮影した映像情報から前記人間関係情報を検出する請求項1記載のコミュニティ分析装置。
【請求項5】
前記人間関係情報検出部が、前記映像情報に含まれる所定の人同士が予め設定された距離の範囲内にいた時間および前記所定の人同士の距離に基づいて、前記人間関係情報を検出する請求項4記載のコミュニティ分析装置。
【請求項6】
前記人間関係情報検出部が、外部の端末装置から出力された情報に基づいて、前記人間関係情報を検出する請求項1記載のコミュニティ分析装置。
【請求項7】
前記人間関係情報検出部が、前記人間関係情報として数値情報を算出する請求項1記載のコミュニティ分析装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7いずれか1項に記載のコミュニティ分析装置と、
前記コミュニティ分析装置によって生成されたコミュニティ情報を表示する端末装置とを備えたコミュニティ情報管理システム。
【請求項9】
人間関係の繋がりの強弱を表す人間関係情報を検出し、
前記人間関係情報検出部によって検出された人間関係情報を可視化したコミュニティ情報を生成するコミュニティ分析方法。
【請求項10】
人間関係の繋がりの強弱を表す人間関係情報を検出するステップと、
前記人間関係情報検出部によって検出された人間関係情報を可視化したコミュニティ情報を生成するステップとをコンピュータに実行させるコミュニティ分析プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の人間関係の強弱を分析するコミュニティ分析装置、方法およびプログラム並びにコミュニティ情報管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、監視カメラの映像情報に基づいて、学校内における生徒のいじめなどを検出する方法が提案されている。
【0003】
たとえば特許文献1においては、映像情報から検出された映像パターンと音声パターンとに基づいて、いじめなどの人の行動に関する特定の事象を検出するシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、学校は、いじめなどが発生していないかどうかを日頃から観察しているが、教師の過重労働は社会問題となっており、いじめなどを早期発見することに対して多くの不安を抱えている。
【0006】
また、発見後の対応については、学校内での連携だけでなく、保護者やスクールカウンセラーなど、学校外の関係者とも連携を取る必要があり、教師にとって重い負担となっている。
【0007】
そのため、いじめなどを早期発見するだけでなく、いじめなどが発生しづらい環境作りが求められている。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑み、いじめなどの人間関係のトラブルを未然に防止することができるコミュニティ分析装置、方法およびプログラム並びにコミュニティ情報管理システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のコミュニティ分析装置は、人間関係の繋がりの強弱を表す人間関係情報を検出する人間関係情報検出部と、人間関係情報検出部によって検出された人間関係情報を可視化したコミュニティ情報を生成するコミュニティ情報生成部とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明のコミュニティ分析装置によれば、人間関係の繋がりの強弱を表す人間関係情報を可視化したコミュニティ情報を生成するようにしたので、たとえばコミュニティ情報を教師が確認することによって、現在の生徒同士の人間関係を把握することができ、いじめなどの人間関係のトラブルを未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のコミュニティ情報管理システムの一実施形態の概略構成を示すブロック図
【
図5】
図1に示すコミュニティ情報管理システムの処理の流れを説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明のコミュニティ分析装置の一実施形態を用いたコミュニティ情報管理システム1の一実施形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態のコミュニティ情報管理システム1の概略構成を示すブロック図である。
【0013】
本実施形態のコミュニティ情報管理システム1は、学校内に設置された監視カメラによって撮影された映像情報や生徒の端末装置の出力情報に基づいて、生徒間の人間関係の強弱を表す人間関係情報を検出し、その人間関係情報を可視化したコミュニティ情報を生成して表示するシステムである。
【0014】
学校生活を過ごしていると、自然といくつかの小人数のグループが発生する。また、そのグループはメンバーが固定しているわけではなく、何らかの要因により、メンバーの変更があったり、1人が複数のグループに所属したり、また、いずれのグループにも属さない子が出たりする。
【0015】
本実施形態のコミュニティ情報管理システム1は、上述したような複数の生徒のグループの発生、変更、生徒のグループの所属関係および生徒の孤立などをコミュニティ情報として可視化し、これを確認することによって生徒のいじめを未然に防止することができるシステムである。
【0016】
本実施形態のコミュニティ情報管理システム1は、
図1に示すように、コミュニティ分析装置10と、監視カメラ20と、生徒の端末装置30と、教師の端末装置40とを備える。
【0017】
監視カメラ20は、学校内に設置され、不特定の生徒を撮影して映像情報および音声情報を取得し、その映像情報および音声情報をコミュニティ分析装置10に出力する。監視カメラ20の構成は特に限定されず、公知な監視カメラを用いることができる。また、本実施形態では、音声情報も取得可能な監視カメラ20を用いるようにしたが、映像情報のみを撮影する監視カメラを用い、音声情報は、監視カメラの近傍に別途設けられたマイクを用いて取得するようにしてもよい。
【0018】
また、
図1においては、1台の監視カメラ20しか示していないが、実際には、学校内の複数の場所に設置される。監視カメラ20は、たとえば教室毎に設けられたり、体育館や図書室などの特別室に設けられたりする。また、監視カメラ20は、学校の門の付近など多数の生徒が通過する場所や、多数の生徒が集まる場所に設置される。
【0019】
コミュニティ分析装置10は、人間関係情報検出部11と、コミュニティ情報生成部12と、表示制御部13とを備える。
【0020】
人間関係情報検出部11は、人間関係の強弱を表す人間関係情報を検出する。本実施形態においては、学校内における生徒間の人間関係情報を検出する。本実施形態の人間関係情報検出部11は、生徒情報登録部11aと、端末情報取得部11bとを備える。
【0021】
生徒情報登録部11aには、各生徒に関する情報(以下、生徒登録情報という)が予め登録されている。
【0022】
生徒登録情報には、監視カメラ20によって撮影された映像情報に含まれる生徒を特定するための顔画像情報、生徒の識別番号、生徒の氏名、生徒の学年およびクラス、生徒の年齢、および生徒の性格や身体的特徴(身長、体重など)などが含まれる。生徒登録情報については、たとえば生徒の担任の教師が、端末装置40を用いてコミュニティ分析装置10に予め登録する。
【0023】
人間関係情報検出部11は、監視カメラ20によって撮影された映像情報と、生徒情報登録部11aに登録された生徒登録情報とに基づいて、映像情報に含まれる生徒を特定する。そして、人間関係情報検出部11は、各生徒の映像情報と音声情報に基づいて、生徒間の人間関係情報を検出する。
【0024】
人間関係情報検出部11は、たとえば生徒の位置関係(隣りにいるなど)と顔の向き(背中合わせまたは対面など)の情報、生徒同士の距離の情報、生徒同士が所定の空間内に一緒にいた時間の情報および生徒同士が会話をしているか否かの情報の少なくとも1つの情報を人間関係情報として検出する。
【0025】
上述した各情報は数値情報として評価され、各情報の数値情報を加算することによって、所定の生徒間の人間関係情報が検出される。
【0026】
生徒の位置関係の情報については、たとえば生徒同士が予め設定された時間隣りにいる場合には所定の数値を加算する。また、顔の向きの情報については、たとえば生徒同士が隣りに位置し、かつ対面である場合には所定の数値を加算し、生徒同士が隣りに位置するが、背中合わせである場合には数値を加算しない。
【0027】
生徒同士の距離の情報については、たとえば生徒同士の距離が予め設定された距離以下となる頻度が高いほど大きい値を加算する。
【0028】
生徒同士が所定の空間内に一緒にいた時間の情報については、たとえば教室またはそれよりも狭い範囲などの予め設定された空間内に、所定の生徒同士が予め設定された時間以上存在する場合には、所定の数値を加算する。なお、この数値については、所定の空間内に存在する生徒数に応じて、加算値の大きさを変えるようにしてもよい。たとえば所定の空間内に存在する生徒が少ないほど、所定の生徒同士の繋がりが強い可能性が高いので加算値を大きくする。
【0029】
生徒同士が会話をしているか否かの情報については、所定の生徒同士が会話している場合には所定の数値を加算する。
【0030】
また、生徒同士(たとえば生徒aと生徒x)が一緒にいた時間と、生徒同士(たとえば生徒aと生徒x)が一緒にいたときの距離とを用いて、下式に基づいて加算値を算出するようにしてもよい。なお、「生徒同士が一緒にいた」とは、生徒間の距離が所定の閾値以下になった場合とする。下式に基づいて加算値を算出した場合、生徒間の距離が近いほど加算値を大きくすることができ、距離が遠いほど加算値を小さくすることができる。
【0031】
【0032】
次に、端末情報取得部11bは、各生徒が所有する端末装置30から出力された情報を取得し、その情報から人間関係情報を検出する。
【0033】
各生徒が所有する端末装置30から出力される情報としては、たとえば授業や部活でグループワークを行うときのグループ情報、その日の出来事や気持ちなどが入力された日記情報および課題に対する考えや目的の情報などがある。
【0034】
そして、人間関係情報検出部11は、上述した情報のうちの少なくとも1つの情報に基づいて、人間関係情報を検出する。
【0035】
授業や部活でグループワークを行うときのグループ情報については、所定の生徒同士が同じグループに所属する場合には所定の数値を加算する。
【0036】
また、所定の生徒の日記情報の中に、特定の生徒が登場する頻度が高い場合には、その生徒同士の繋がりが強い可能性が高いので所定の数値を加算する。この場合、特定の生徒が登場する頻度が高いほど加算値を大きくするようにしてもよい。
【0037】
課題に対する考えや目的の情報については、たとえば課題に対する考えや目的が一致する生徒同士が存在する場合には、その生徒同士は繋がりが強い可能性が高いので所定の数値を加算する。課題に対する考えや目的の情報については、たとえば授業支援システムに接続した生徒の端末装置30のワーク画面から情報を取得することができる。たとえば授業支援システムを用いてグループワークを行った場合、そのグループワークでの課題に対する考えや目的の情報を取得する。たとえば、グループワークにおいて「地域」について調べる場合には、所定の生徒は、飲食店とスーパーの位置関係を調べたい、別の生徒は、飲食店の数と種類について調べたい、また別の生徒は、20年前からのお店の数の変化について調べたいとなった場合、目的や考え方が同じ子は仲が良くなる可能性が高かったり、先生が同じグループにして一緒にワークをさせる可能性も高いも高いので、生徒同士の繋がりが強い可能性が高いと言える。
【0038】
人間関係情報検出部11は、上述したように監視カメラ20によって撮影された映像情報と、生徒の端末装置30から出力された情報とに基づいて、各情報を数値化して加算することによって、各生徒間の人間関係情報を検出する。
【0039】
そして、人間関係情報検出部11は、
図2に示すように、各生徒間の人間関係情報(加算値)をテーブルとした人間関係情報テーブルを生成して記憶する。
図2に示す人間関係情報テーブルでは、縦軸に示す所定の生徒と横軸に示す所定の生徒との間の人間関係情報を示している。たとえば縦軸に示す「生徒a」と横軸に示す「生徒b」との間の人間関係情報(加算値)は「112」であり、たとえば縦軸に示す「生徒a」と横軸に示す「生徒e」との間の人間関係情報(加算値)は「36」である。したがって、「生徒a」は、「生徒e」よりも「生徒b」の方が繋がりが強い(、又は付き合いが長い)可能性が高いと言える。
【0040】
図2に示す人間関係情報テーブルは、人間関係情報が変わる度に更新されるが、たとえば1時間毎、6時間毎、12時間毎など予め設定された時間間隔で人間関係情報が検出され、人間関係情報が検出される毎に人間関係情報テーブルが更新される。すなわち、人間関係情報テーブルは、常に直近の各生徒間の人間関係の強弱を表しているといえる。
【0041】
次に、コミュニティ情報生成部12は、
図2に示す人間関係情報テーブルに基づいて、各生徒間の人間関係情報を可視化したコミュニティ情報を生成する。
図3は、コミュニティ情報生成部12によって生成されたコミュニティ情報の一例を示す図である。
【0042】
図3に示すコミュニティ情報は、所定の生徒間(ここでは、たとえば生徒xと生徒yとする)の人間関係情報(加算値)の経時変化を示したものである。
図3に示すコミュニティ情報の例によれば、期間Aの間では、人間関係情報が急激に上昇しているので、たとえば生徒xと生徒yとが一緒にいる時間が長かったりして、二人の人間関係の繋がりが強くなっていることが確認できる。一方、期間Bの間では、傾きが緩やかになっているので、たとえば生徒xと生徒yとが一緒にいる時間が短くなったりして、人間関係の繋がりが弱くなっていることが確認できる。
【0043】
コミュニティ情報生成部12は、たとえば生徒xおよび生徒y、並びに人間関係情報を示す期間(4月~10月)の指定を受け付けることによって、
図3に示すコミュニティ情報を生成する。生徒xおよび生徒y、並びに人間関係情報を示す期間の指定は、たとえば教師の端末装置40から設定入力される。
【0044】
図4は、コミュニティ情報生成部12によって生成されたコミュニティ情報のもう一つの例を示す図である。
図4に示すコミュニティ情報は、「生徒a」~「生徒g」の各生徒間の人間関係情報(加算値)の大きさを距離情報として表して生成されたものである。すなわち、
図4に示す「生徒a」~「生徒g」のそれぞれのボックス間の距離は、
図3に示すグラフの傾きの大きさに反比例し(単位時間当たりの比例定数の大きさに反比例し)、
図3に示すグラフの傾きがが小さいほどボックス間が離れ、繋がりが弱いことを意味する。一方、
図3に示すグラフの傾きが大きいほどボックス間が近くなり、繋がりが強いことを意味する。なお、上記単位時間は、予め設定しておくようにしてよいし、先生が、「直近1週間」のように指定するようにしてもよい。
【0045】
そして、コミュニティ情報生成部12は、生徒のボックス間の距離が所定の範囲内のボックスを特定し、その所定の範囲内に存在するボックスの生徒によって1つのコミュニティが形成されていると認識する。
図4に示す例では、「生徒a」、「生徒b」、「生徒c」および「生徒d」によって「コミュニティ1」が形成されており、「生徒d」、「生徒e」、「生徒f」および「生徒g」によって「コミュニティ2」が形成されている。コミュニティ情報生成部12は、「コミュニティ1」と「コミュニティ2」を認識し、たとえば
図4に示すように点線の楕円などで囲む。
【0046】
なお、人間関係情報テーブルが更新され、新しいコミュニティが発生した場合には、コミュニティ情報生成部12は、その新たなコミュニティに対して新しい番号を付する。また、逆に、人間関係情報テーブルが更新され、既存のコミュニティが消滅する場合もある。
【0047】
また、
図4に示すコミュニティ情報によれば、「生徒d」が、「コミュニティ1」と「コミュニティ2」の両方に属しており、コミュニティ間のハブとなるキーパーソンであることが分かる。
【0048】
コミュニティ情報生成部12は、たとえば「生徒a」~「生徒g」または「生徒a」~「生徒g」が属するクラスなどの組織、および人間関係情報を示す日時の指定を受け付けることによって、
図4に示すコミュニティ情報を生成する。「生徒a」~「生徒g」または「生徒a」~「生徒g」が属するクラスなどの組織、および人間関係情報を示す日時は、たとえば教師の端末装置40から設定入力される。
【0049】
なお、コミュニティ情報生成部12によって生成されるコミュニティ情報は、
図3および
図4に示すものに限らず、人間関係情報に基づいて生成されるものであれば如何なる形態でもよい。
【0050】
また、上記の例は、既に学校に通学する生徒のコミュニティ情報を生成する例であるが、たとえば小学校、中学校および高校などに進学したばかりの場合には、人間関係情報の情報量が少ない。したがって、進学前に所属していた組織(幼稚園、保育園、小学校および中学校など)から生徒の人間関係情報を引き継いで取得してコミュニティ情報を生成するようにしてもよい。引き継がれる人間関係情報としては、たとえば生徒の性格(たとえば生徒aは静かで控えめ、注目されるのを嫌がるなど)や過去の人間関係(たとえば同じ小学校に通っていた生徒aと生徒cは良く一緒に遊んでいたなど)を数値情報として評価し、人間関係情報として取得するようにしてもよい。
【0051】
また、進級する時点において、進級前の人間関係情報(同じクラス、同じ部活、進級前コミュニティ情報など)に基づいて、仮のコミュニティ情報を生成するようにしてもよい。
【0052】
表示制御部13は、コミュニティ情報生成部12によって生成されたコミュニティ情報を、たとえば教師の端末装置40に表示させる。
【0053】
コミュニティ分析装置10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などの半導体メモリやハードディスクなどのストレージ、並びに通信I/F(Interface)などを備えている。
【0054】
コミュニティ分析装置10のストレージには、本発明のコミュニティ分析プログラムの一実施形態がインストールされている。このコミュニティ分析プログラムがCPUによって起動されることによって、コミュニティ分析装置10の上述した機能が実行される。
【0055】
また、本実施形態においては、CPUによってコミュニティ分析プログラムを実行することによって上述した機能を実行するようにしたが、コミュニティ分析プログラムが実行する一部の機能または全部の機能をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)、その他の電気回路などのハードウェアから構成するようにしてもよい。
【0056】
生徒の端末装置30は、たとえばスマートフォン、タブレット端末およびノート型PCなどの携帯可能な移動体端末またはデスクトップコンピュータなどから構成される。
【0057】
生徒の端末装置30には、予め専用アプリケーションがインストールされている。そして、その専用アプリケーションが、コミュニティ分析装置10からの要求に応じて、人間関係情報を検出するための情報をコミュニティ分析装置10に出力する。
【0058】
なお、上述したように端末装置30にインストールされた専用アプリケーションを用いるのではなく、コミュニティ分析装置10によってウェブブラウザ経由で提供されるアプリケーションを利用してもよい。
【0059】
教師の端末装置40は、たとえばスマートフォン、タブレット端末およびノート型PCなどの携帯可能な移動体端末またはデスクトップコンピュータなどから構成される。
【0060】
教師の端末装置40には、予め専用アプリケーションがインストールされている。そして、教師は、その専用アプリケーションを用いて、上述した生徒登録情報をコミュニティ分析装置10に登録する。
【0061】
なお、上述したように端末装置40にインストールされた専用アプリケーションを用いるのではなく、コミュニティ分析装置10によってウェブブラウザ経由で提供されるアプリケーションを利用してもよい。
【0062】
コミュニティ分析装置10と端末装置30および端末装置40との間は、インターネット回線やLAN(Local Area Network)回線などの通信回線を介して接続されており、互いに種々の情報のやり取りが可能に構成されている。
【0063】
次に、上記実施形態のコミュニティ情報管理システム1の処理の流れについて、
図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0064】
まず、教師が、端末装置40を用いて、上述した生徒登録情報をコミュニティ分析装置10に予め登録する(S10)。
【0065】
そして、監視カメラ20によって学校内が撮影され(S12)、その映像情報が、監視カメラ20からコミュニティ分析装置10に送信される(S14)。また、コミュニティ分析装置10からの要求に応じて、生徒の端末装置30から人間関係情報を検出するための情報がコミュニティ分析装置10に送信される(S16)。
【0066】
そして、コミュニティ分析装置10は、映像情報および生徒の端末装置30から出力された情報に基づいて、上述した人間関係情報を検出し(S18)、
図2に示す人間関係情報テーブルを生成して記憶する(S20)。
【0067】
次いで、教師の端末装置40において、コミュニティ情報の生成対象の生徒や日時などの情報が設定入力され、コミュニティ分析装置10に送信される(S22)。
【0068】
コミュニティ分析装置10は、端末装置40から送信された生徒や日時の情報に基づいて、
図3または
図4に示すようにコミュニティ情報を生成する(S24)。そして、コミュニティ分析装置10は、生成したコミュニティ情報を教師の端末装置40に送信して表示させる(S26)
【0069】
上記実施形態のコミュニティ情報管理システム1によれば、人間関係の繋がりの強弱を表す人間関係情報を可視化したコミュニティ情報を生成するようにしたので、たとえばこれを教師が確認することによって、現在の生徒同士の人間関係を把握することができ、いじめなどの人間関係のトラブルを未然に防止することができる。
【0070】
また、上記実施形態のコミュニティ情報管理システム1によれば、たとえば教師の端末装置40にコミュニティ情報を表示させるようにしたので、教師が生徒同士の人間関係を即座に把握することができる。
【0071】
また、上記実施形態のコミュニティ情報管理システム1によれば、特定の日時の情報および特定の生徒の情報を受け付け、その受け付けた情報に応じたコミュニティ情報を生成するようにしたので、所望のタイミングにおける特定の生徒に関する人間関係を把握することができる。
【0072】
また、上記実施形態のコミュニティ情報管理システム1によれば、監視カメラ20の映像情報から人間関係情報を検出するようにしたので、簡易な手法で多くの人間関係情報を検出することができる。
【0073】
また、上記実施形態のコミュニティ情報管理システム1によれば、生徒同士が一緒にいた時間および生徒同士が一緒にいたときの距離を用いて人間関係情報を検出するようにしたので、人間関係の強弱を高精度に検出することができる。
【0074】
また、上記実施形態のコミュニティ情報管理システム1によれば、生徒の端末装置30から出力された情報に基づいて、人間関係情報を検出するようにしたので、より多くの人間関係情報を検出することができ、人間関係の強弱を高精度に検出することができる。
【0075】
また、上記実施形態のコミュニティ情報管理システム1によれば、人間関係情報として数値情報(加算値)を算出するようにしたので、その数値情報を用いてコミュニティ情報を簡易に生成することができ、また、直感的に分かりやすいコミュニティ情報を生成することができる。
【0076】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。たとえば実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。
【0077】
本発明に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0078】
(付記1)
本発明のコミュニティ分析装置は、人間関係の繋がりの強弱を表す人間関係情報を検出する人間関係情報検出部と、人間関係情報検出部によって検出された人間関係情報を可視化したコミュニティ情報を生成するコミュニティ情報生成部とを備える。
【0079】
(付記2)
付記1記載のコミュニティ分析装置においては、コミュニティ情報を表示させる表示制御部を備えることができる。
【0080】
(付記3)
付記1または付記2記載のコミュニティ分析装置において、コミュニティ情報生成部は、特定の日時の情報および特定の人物の情報の少なくとも1つを受け付け、その受け付けた情報に応じたコミュニティ情報を生成することができる。
【0081】
(付記4)
付記1から付記3いずれかに記載のコミュニティ分析装置において、人間関係情報検出部は、不特定の人を撮影した映像情報から人間関係情報を検出することができる。
【0082】
(付記5)
また、付記4記載のコミュニティ分析装置において、人間関係情報検出部は、映像情報に含まれる所定の人同士が予め設定された距離の範囲内にいた時間および所定の人同士の距離に基づいて、人間関係情報を検出することができる。
【0083】
(付記6)
また、付記1から付記5いずれかに記載のコミュニティ分析装置において、人間関係情報検出部は、外部の端末装置から出力された情報に基づいて、人間関係情報を検出することができる。
【0084】
(付記7)
また、付記1から付記6いずれかに記載のコミュニティ分析装置において、人間関係情報検出部は、人間関係情報として数値情報を算出することができる。
【0085】
(付記8)
本発明のコミュニティ情報管理システムは、付記1から付記7いずれかに記載のコミュニティ分析装置と、コミュニティ分析装置によって生成されたコミュニティ情報を表示する端末装置とを備える。
【0086】
(付記9)
本発明のコミュニティ分析方法は、人間関係の繋がりの強弱を表す人間関係情報を検出し、人間関係情報検出部によって検出された人間関係情報を可視化したコミュニティ情報を生成する。
【0087】
(付記10)
本発明のコミュニティ分析プログラムは、人間関係の繋がりの強弱を表す人間関係情報を検出するステップと、人間関係情報検出部によって検出された人間関係情報を可視化したコミュニティ情報を生成するステップとをコンピュータに実行させる。
【符号の説明】
【0088】
1 コミュニティ情報管理システム
10 コミュニティ分析装置
11 人間関係情報検出部
11a 生徒情報登録部
11b 端末情報取得部
12 コミュニティ情報生成部
13 表示制御部
20 監視カメラ
30 生徒の端末装置
40 教師の端末装置