(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141233
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
B60H 1/22 20060101AFI20241003BHJP
B60H 1/00 20060101ALI20241003BHJP
B60H 1/34 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B60H1/22 611Z
B60H1/00 101Z
B60H1/00 102V
B60H1/00 102U
B60H1/34 671B
B60H1/34 651A
B60H1/34 651B
B60H1/34 651C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052761
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古和 宗高
(72)【発明者】
【氏名】志田 隼人
(72)【発明者】
【氏名】松本 未希
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大貴
(72)【発明者】
【氏名】小島 琢人
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211BA01
3L211DA14
3L211DA53
3L211EA01
3L211EA11
3L211FB05
3L211GA11
3L211GA53
(57)【要約】
【課題】車両において、乗員の温度に対する快適性を向上させる。
【解決手段】車両1は、シート14と、複数の送風口33を有し、複数の送風口の送風量を変更可能な空調装置30と、シートの位置及び形態の少なくとも一方を含むシートアレンジを検出する検出部60と、検出部が検出したシートアレンジに基づいて空調装置を制御する制御部66とを有する。制御部は、シートアレンジに応じて、複数の送風口の送風量を変更する。複数の送風口は、車室の前部に設けられたインストルメントパネル11の上部に設けられた上送風口33Aと、インストルメントパネルの下部に設けられた下送風口33Bとを含む。制御部は、シートバックの傾倒状態を取得し、シートバックが、シートバックの水平面に対する角度が所定値以下であるリクライニング状態であるときに、下送風口の送風量を上送風口の送風量よりも増加させてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両であって、
シートと、
複数の送風口を有し、複数の前記送風口の送風量を変更可能な空調装置と、
前記シートの位置及び形態の少なくとも一方を含むシートアレンジを検出する検出部と、
前記検出部が検出した前記シートアレンジに基づいて前記空調装置を制御する制御部とを有し、
前記制御部は、前記シートアレンジに応じて、複数の前記送風口の送風量を変更する車両。
【請求項2】
前記シートは、車室の下部を構成するフロアに設けられたシートクッションと、前記シートクッションに傾倒可能に設けられたシートバックとを有し、
複数の前記送風口は、前記車室の前部に設けられたインストルメントパネルの上部に設けられた上送風口と、前記インストルメントパネルの下部に設けられた下送風口とを含み、
前記シートアレンジは、前記シートバックの傾倒状態を含み、
前記制御部は、前記シートバックの前記傾倒状態を取得し、前記シートバックが、前記シートバックの水平面に対する角度が所定値以下であるリクライニング状態であるときに、前記下送風口の送風量を前記上送風口の送風量よりも増加させる請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記空調装置は、複数の前記送風口のそれぞれに設けられた電動ルーバーを有し、
前記制御部は、前記電動ルーバーのそれぞれを制御することによって、複数の前記送風口の送風量を調節する請求項1に記載の車両。
【請求項4】
前記シートに着座した乗員の体格を検出する体格検出部を更に有し、
前記制御部は、前記体格検出部が検出した前記乗員の前記体格に基づいて、複数の前記送風口から吐出される空気の向きが前記乗員の頭部を避けるように、前記電動ルーバーを制御する請求項3に記載の車両。
【請求項5】
前記制御部は、前記シートアレンジに基づいて複数の前記送風口から吐出される空気の温度を制御する請求項1に記載の車両。
【請求項6】
前記シートは、車室の下部を構成するフロアに第1位置と第2位置との間でスライド移動可能に設けられたシートクッションと、前記シートクッションに設けられたシートバックとを有し、
複数の前記送風口は、前記車室の前部に設けられたインストルメントパネルの上部に設けられた上送風口を含み、
前記シートが前記第1位置にあるときの前記上送風口と前記シートクッションとの距離は、前記シートクッションが前記第2位置にあるときの前記上送風口と前記シートクッションとの距離より小さく、
前記制御部は、前記シートクッションが前記第2位置にあるときに、前記シートクッションが前記第1位置にあるときよりも、前記上送風口の送風量を増加させる請求項1に記載の車両。
【請求項7】
複数の前記送風口は、前記車室の側部を構成するドアに設けられたドア送風口を含み、
前記制御部は、前記シートクッションが前記第2位置にあるときに、前記シートクッションが前記第1位置にあるときよりも、前記ドア送風口の送風量を前記上送風口の送風量よりも増加させる請求項6に記載の車両。
【請求項8】
前記シートに、シート空調装置が設けられ、
前記シート空調装置は、前記シートに設けられたシート送風口を有し、
前記制御部は、前記シート空調装置を制御し、
前記制御部は、前記シートクッションが前記第2位置にあるときに、前記シートクッションが前記第1位置にあるときよりも、前記シート送風口の送風量を前記上送風口の送風量よりを増加させる請求項6に記載の車両。
【請求項9】
前記シートは、車室の下部を構成するフロアに鉛直軸を中心として回転可能に設けられたシートクッションと、前記シートクッションに設けられたシートバックとを有し、
複数の前記送風口は、前記車室の上部を構成するルーフに設けられたルーフ送風口と、前記車室の前部に設けられたインストルメントパネルの上部に設けられた上送風口とを含み、
前記シートアレンジは、前記シートクッションの回転位置を含み、
前記制御部は、前記シートクッションの前記回転位置を取得し、前記シートクッションが、後方を向いているときに、前記ルーフ送風口の送風量を前記上送風口の送風量よりも増加させる請求項1に記載の車両。
【請求項10】
車室の前部を構成するウインドウガラスの曇り状態を検出する曇り検出部を更に有し、
複数の前記送風口は、前記車室の前部に設けられたインストルメントパネルの前部に設けられ、前記ウインドウガラスを向く前送風口を含み、
前記制御部は、前記曇り検出部が検出した前記ウインドウガラスの前記曇り状態に基づいて、前記ウインドウガラスが曇っていると判定しているときに、前記シートアレンジに関わらず、前記前送風口からの送風を継続する請求項1に記載の車両。
【請求項11】
前記検出部は、前記シートの前後位置を検出する前後位置センサ、前記シートの鉛直軸回りの回転角を検出する回転角センサ、前記シートのリクライニング角を検出するリクライニング角センサ、前記シートの左右位置を検出する左右位置センサの少なくとも1つを含む請求項1に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置及びシートを有する車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車室に送風される空気を加熱する空気加熱装置と、乗員と接するシートを加熱するシート加熱装置とを有する暖房装置を開示している。この暖房装置では、シート加熱装置の作動状態に応じて、空気加熱装置の出力を変更している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シートのリクライニング状態、前後位置、及び回転位置を含むシートアレンジが変化すると、空調装置の送風口とシートに着座した乗員との相対位置が変化する。そのため、送風口から吐出される空気が乗員に到達し難くなる、あるいは乗員に当たり過ぎるといった問題が生じ、乗員の温度に対する快適性が低下するという問題がある。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑み、車両において、乗員の温度に対する快適性を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様は、車両(1)であって、シート(14)と、複数の送風口(33)を有し、複数の前記送風口の送風量を変更可能な空調装置(30)と、前記シートの位置及び形態の少なくとも一方を含むシートアレンジを検出する検出部(60)と、前記検出部が検出した前記シートアレンジに基づいて前記空調装置を制御する制御部(66)とを有し、前記制御部は、前記シートアレンジに応じて、複数の前記送風口の送風量を変更する。
【0007】
この態様によれば、シートのリクライニング状態、前後位置、及び回転位置を含むシートアレンジに応じて、複数の送風口からの送風量が変化するため、乗員の温度に対する快適性を向上させることができる。
【0008】
上記の態様において、前記シートは、車室の下部を構成するフロア(3)に設けられたシートクッション(25)と、前記シートクッションに傾倒可能に設けられたシートバック(26)とを有し、複数の前記送風口は、前記車室の前部に設けられたインストルメントパネル(11)の上部に設けられた上送風口(33A)と、前記インストルメントパネルの下部に設けられた下送風口(33B)とを含み、前記シートアレンジは、前記シートバックの傾倒状態を含み、前記制御部は、前記シートバックの前記傾倒状態を取得し、前記シートバックが、前記シートバックの水平面に対する角度が所定値以下であるリクライニング状態であるときに、前記下送風口の送風量を前記上送風口の送風量よりも増加させてもよい。
【0009】
この態様によれば、上送風口から吐出された空気が、リクライニング状態のシートに着座した乗員の顔に直接に当たり難くなり、乗員の快適性が向上する。また、下送風口から吐出される空気が乗員の脚に到達することによって、乗員の温度に対する快適性が向上する。
【0010】
上記の態様において、前記空調装置は、複数の前記送風口のそれぞれに設けられた電動ルーバーを有し、前記制御部は、前記電動ルーバーのそれぞれを制御することによって、複数の前記送風口の送風量を調節してもよい。
【0011】
この態様によれば、電動ルーバーによって送風口から吐出される空気の向きを変更することができる。
【0012】
上記の態様において、前記シートに着座した乗員の体格を検出する体格検出部(62)を更に有し、前記制御部は、前記体格検出部が検出した前記乗員の前記体格に基づいて、複数の前記送風口から吐出される空気の向きが前記乗員の頭部を避けるように、前記電動ルーバーを制御してもよい。
【0013】
この態様によれば、送風口から吐出された空気が乗員の顔に直接に当たり難くなり、乗員の快適性が向上する。
【0014】
上記の態様において、前記制御部は、前記シートアレンジに基づいて複数の前記送風口から吐出される空気の温度を制御してもよい。
【0015】
この態様によれば、シートアレンジに基づいて複数の送風口から吐出される空気の温度が変化するため、乗員の温度に対する快適性が向上する。
【0016】
上記の態様において、前記シートは、車室の下部を構成するフロア(3)に第1位置と第2位置との間でスライド移動可能に設けられたシートクッション(25)と、前記シートクッションに設けられたシートバック(26)とを有し、複数の前記送風口は、前記車室の前部に設けられたインストルメントパネルの上部に設けられた上送風口(33A)を含み、前記シートが前記第1位置にあるときの前記上送風口と前記シートクッションとの距離は、前記シートクッションが前記第2位置にあるときの前記上送風口と前記シートクッションとの距離より小さく、前記制御部は、前記シートクッションが前記第2位置にあるときに、前記シートクッションが前記第1位置にあるときよりも、前記上送風口の送風量を増加させてもよい。
【0017】
この態様によれば、上送風口と乗員との距離が離れると、上送風口からの送風量が増加するため、シート位置が変化しても乗員の温度に対する快適性が維持される。
【0018】
上記の態様において、複数の前記送風口は、前記車室の側部を構成するドアに設けられたドア送風口を含み、前記制御部は、前記シートクッションが前記第2位置にあるときに、前記シートクッションが前記第1位置にあるときよりも、前記ドア送風口の送風量を前記上送風口の送風量よりも増加させてもよい。
【0019】
この態様によれば、上送風口と乗員との距離が離れると、上送風口よりも乗員に近いドア送風口からの送風量が増加するため、乗員の温度に対する快適性が維持される。
【0020】
上記の態様において、前記シートに、シート空調装置(50)が設けられ、前記シート空調装置は、前記シートに設けられたシート送風口(50C)を有し、前記制御部は、前記シート空調装置を制御し、前記制御部は、前記シートクッションが前記第2位置にあるときに、前記シートクッションが前記第1位置にあるときよりも、前記シート送風口の送風量を前記上送風口の送風量よりを増加させてもよい。
【0021】
この態様によれば、上送風口と乗員との距離が離れると、上送風口よりも乗員に近いシート送風口からの送風量が増加するため、乗員の温度に対する快適性が維持される。
【0022】
上記の態様において、前記シートは、車室の下部を構成するフロア(3)に鉛直軸を中心として回転可能に設けられたシートクッション(25)と、前記シートクッションに設けられたシートバック(26)とを有し、複数の前記送風口は、前記車室の上部を構成するルーフ(4)に設けられたルーフ送風口(33E)と、前記車室の前部に設けられたインストルメントパネル(11)の上部に設けられた上送風口(33A)とを含み、前記シートアレンジは、前記シートクッションの回転位置を含み、前記制御部は、前記シートクッションの前記回転位置を取得し、前記シートクッションが、後方を向いているときに、前記ルーフ送風口の送風量を前記上送風口の送風量よりも増加させてもよい。
【0023】
この態様によれば、シートが後方を向いているときには、ルーフ送風口からの送風量が増加するため、乗員の温度に対する快適性が維持される。
【0024】
上記の態様において、車室の前部を構成するウインドウガラス(7)の曇り状態を検出する曇り検出部(64)を更に有し、複数の前記送風口は、前記車室の前部に設けられたインストルメントパネル(11)の前部に設けられ、前記ウインドウガラスを向く前送風口(33C)を含み、前記制御部は、前記曇り検出部が検出した前記ウインドウガラスの前記曇り状態に基づいて、前記ウインドウガラスが曇っていると判定しているときに、前記シートアレンジに関わらず、前記前送風口からの送風を継続してもよい。
【0025】
この態様によれば、シートアレンジに関わらず、前送風口からの送風が継続されるため、ウインドウガラスの曇りが適切に除去される。
【0026】
上記の態様において、前記検出部は、前記シートの前後位置を検出する前後位置センサ(60A)、前記シートの鉛直軸回りの回転角を検出する回転角センサ(60B)、前記シートのリクライニング角を検出するリクライニング角センサ(60C)、前記シートの左右位置を検出する左右位置センサ(60D)の少なくとも1つを含んでもよい。
【0027】
この態様によれば、シートのリクライニング状態、前後位置、及び回転位置を含むシートアレンジを検出することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明のある態様は、車両(1)であって、シート(14)と、複数の送風口(33)を有し、複数の前記送風口の送風量を変更可能な空調装置(30)と、前記シートの位置及び形態の少なくとも一方を含むシートアレンジを検出する検出部(60)と、前記検出部が検出した前記シートアレンジに基づいて前記空調装置を制御する制御部(66)とを有し、前記制御部は、前記シートアレンジに応じて、複数の前記送風口の送風量を変更する。
【0029】
この態様によれば、シートのリクライニング状態、前後位置、及び回転位置を含むシートアレンジに応じて、複数の送風口からの送風量が変化するため、乗員の温度に対する快適性を向上させることができる。
【0030】
上記の態様において、前記シートは、車室の下部を構成するフロア(3)に設けられたシートクッション(25)と、前記シートクッションに傾倒可能に設けられたシートバック(26)とを有し、複数の前記送風口は、前記車室の前部に設けられたインストルメントパネル(11)の上部に設けられた上送風口(33A)と、前記インストルメントパネルの下部に設けられた下送風口(33B)とを含み、前記シートアレンジは、前記シートバックの傾倒状態を含み、前記制御部は、前記シートバックの前記傾倒状態を取得し、前記シートバックが、前記シートバックの水平面に対する角度が所定値以下であるリクライニング状態であるときに、前記下送風口の送風量を前記上送風口の送風量よりも増加させてもよい。
【0031】
この態様によれば、上送風口から吐出された空気が、リクライニング状態のシートに着座した乗員の顔に直接に当たり難くなり、乗員の快適性が向上する。また、下送風口から吐出される空気が乗員の脚に到達することによって、乗員の温度に対する快適性が向上する。
【0032】
上記の態様において、前記空調装置は、複数の前記送風口のそれぞれに設けられた電動ルーバーを有し、前記制御部は、前記電動ルーバーのそれぞれを制御することによって、複数の前記送風口の送風量を調節してもよい。
【0033】
この態様によれば、電動ルーバーによって送風口から吐出される空気の向きを変更することができる。
【0034】
上記の態様において、前記シートに着座した乗員の体格を検出する体格検出部(62)を更に有し、前記制御部は、前記体格検出部が検出した前記乗員の前記体格に基づいて、複数の前記送風口から吐出される空気の向きが前記乗員の頭部を避けるように、前記電動ルーバーを制御してもよい。
【0035】
この態様によれば、送風口から吐出された空気が乗員の顔に直接に当たり難くなり、乗員の快適性が向上する。
【0036】
上記の態様において、前記制御部は、前記シートアレンジに基づいて複数の前記送風口から吐出される空気の温度を制御してもよい。
【0037】
この態様によれば、シートアレンジに基づいて複数の送風口から吐出される空気の温度が変化するため、乗員の温度に対する快適性が向上する。
【0038】
上記の態様において、前記シートは、車室の下部を構成するフロア(3)に第1位置と第2位置との間でスライド移動可能に設けられたシートクッション(25)と、前記シートクッションに設けられたシートバック(26)とを有し、複数の前記送風口は、前記車室の前部に設けられたインストルメントパネルの上部に設けられた上送風口(33A)を含み、前記シートが前記第1位置にあるときの前記上送風口と前記シートクッションとの距離は、前記シートクッションが前記第2位置にあるときの前記上送風口と前記シートクッションとの距離より小さく、前記制御部は、前記シートクッションが前記第2位置にあるときに、前記シートクッションが前記第1位置にあるときよりも、前記上送風口の送風量を増加させてもよい。
【0039】
この態様によれば、上送風口と乗員との距離が離れると、上送風口からの送風量が増加するため、シート位置が変化しても乗員の温度に対する快適性が維持される。
【0040】
上記の態様において、複数の前記送風口は、前記車室の側部を構成するドアに設けられたドア送風口を含み、前記制御部は、前記シートクッションが前記第2位置にあるときに、前記シートクッションが前記第1位置にあるときよりも、前記ドア送風口の送風量を前記上送風口の送風量よりも増加させてもよい。
【0041】
この態様によれば、上送風口と乗員との距離が離れると、上送風口よりも乗員に近いドア送風口からの送風量が増加するため、乗員の温度に対する快適性が維持される。
【0042】
上記の態様において、前記シートに、シート空調装置(50)が設けられ、前記シート空調装置は、前記シートに設けられたシート送風口(50C)を有し、前記制御部は、前記シート空調装置を制御し、前記制御部は、前記シートクッションが前記第2位置にあるときに、前記シートクッションが前記第1位置にあるときよりも、前記シート送風口の送風量を前記上送風口の送風量よりを増加させてもよい。
【0043】
この態様によれば、上送風口と乗員との距離が離れると、上送風口よりも乗員に近いシート送風口からの送風量が増加するため、乗員の温度に対する快適性が維持される。
【0044】
上記の態様において、前記シートは、車室の下部を構成するフロア(3)に鉛直軸を中心として回転可能に設けられたシートクッション(25)と、前記シートクッションに設けられたシートバック(26)とを有し、複数の前記送風口は、前記車室の上部を構成するルーフ(4)に設けられたルーフ送風口(33E)と、前記車室の前部に設けられたインストルメントパネル(11)の上部に設けられた上送風口(33A)とを含み、前記シートアレンジは、前記シートクッションの回転位置を含み、前記制御部は、前記シートクッションの前記回転位置を取得し、前記シートクッションが、後方を向いているときに、前記ルーフ送風口の送風量を前記上送風口の送風量よりも増加させてもよい。
【0045】
この態様によれば、シートが後方を向いているときには、ルーフ送風口からの送風量が増加するため、乗員の温度に対する快適性が維持される。
【0046】
上記の態様において、車室の前部を構成するウインドウガラス(7)の曇り状態を検出する曇り検出部(64)を更に有し、複数の前記送風口は、前記車室の前部に設けられたインストルメントパネル(11)の前部に設けられ、前記ウインドウガラスを向く前送風口(33C)を含み、前記制御部は、前記曇り検出部が検出した前記ウインドウガラスの前記曇り状態に基づいて、前記ウインドウガラスが曇っていると判定しているときに、前記シートアレンジに関わらず、前記前送風口からの送風を継続してもよい。
【0047】
この態様によれば、シートアレンジに関わらず、前送風口からの送風が継続されるため、ウインドウガラスの曇りが適切に除去される。
【0048】
上記の態様において、前記検出部は、前記シートの前後位置を検出する前後位置センサ(60A)、前記シートの鉛直軸回りの回転角を検出する回転角センサ(60B)、前記シートのリクライニング角を検出するリクライニング角センサ(60C)、前記シートの左右位置を検出する左右位置センサ(60D)の少なくとも1つを含んでもよい。
【0049】
この態様によれば、シートのリクライニング状態、前後位置、及び回転位置を含むシートアレンジを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図3】実施形態に係る車両のインストルメントパネルを後方から見た説明図
【
図5】実施形態に係る車両のシート空調装置の構成図
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、図面を参照して、本発明に係る車両の実施形態について説明する。車両は、例えばセダン型やワンボックス型の公知の自動車であってよい。本実施形態に係る車両は、自動運転車両であるとよい。
【0052】
図1及び
図2に示すように、車両1は、車室2を有する。車室2の下部はフロア3によって構成されている。車室2の上部はルーフ4によって構成されている。車室2の前部はダッシュボード6とウインドウガラスとしてのフロントガラス7とによって構成されている。車室2の後部はテールゲートによって構成されている。車室2の側部は、サイドパネル8と、サイドパネル8に形成された複数の乗降口に設けられた複数のドア9によって構成されている。車室2の前部にはインストルメントパネル11が設けられている。インストルメントパネル11は、ダッシュボード6の後面に設けられ、左右方向に延びている。
【0053】
車室2には、複数のシート14が設けられている。本実施形態では、シート14は、前列右側シート14FRと、前列左側シート14FLと、後列右側シート14RRと、後列左側シート14RLとを含む。各シート14は、同一の構成を有する。
【0054】
各シート14は、前後スライド装置16、左右スライド装置17、及び回転装置18の少なくとも1つを介してフロア3に設けられている。本実施形態では、各シート14は、前後スライド装置16、左右スライド装置17、及び回転装置18を介してフロア3に設けられている。
【0055】
前後スライド装置16は、フロア3の上面に設けられた、前後に延びる左右一対の第1ロアレール16Aと、各第1ロアレール16Aに前後方向にスライド移動可能に支持された左右一対の第1アッパレール16Bとを有する。左右の第1アッパレール16Bは、面が上下を向くベースプレート21の下面に結合されている。
【0056】
左右スライド装置17は、ベースプレート21の上面に設けられた、左右に延びる前後一対の第2ロアレール17Aと、各第2ロアレール17Aに左右方向にスライド移動可能に支持された前後一対の第2アッパレール17Bとを有する。
【0057】
回転装置18は、前後一対の第2アッパレール17Bに結合されたロアプレート18Aと、ロアプレート18Aの上面に鉛直軸線を中心として回転可能に支持されたアッパプレート18Bとを有する。
【0058】
シート14は、アッパプレート18Bの上面に設けられたシートクッション25と、シートクッション25に傾倒可能に設けられたシートバック26とを有する。前後スライド装置16によって、シート14はフロア3に対して前後方向にスライド可能に設けられている。また、左右スライド装置17によって、シート14はフロア3に対して左右方向にスライド可能に設けられている。また、回転装置18によって、シート14はフロア3に鉛直軸を中心として回転可能に設けられている。
【0059】
前列右側シート14FRの第1ロアレール16Aと、後列右側シート14RRの第1ロアレール16Aとは、互いに接続してもよく、或いは互いに分離してもよい。同様に、前列左側シート14FLの第1ロアレール16Aと、後列左側シート14RLの第1ロアレール16Aとは、互いに接続してもよく、或いは互いに分離してもよい。
【0060】
車両1には、空調装置30が設けられている。
図4に示すように、空調装置30は、空調装置本体31と、空調装置本体31から延びる複数のダクト32とを有する。空調装置本体31は、空気通路31Aを有する。空気通路31Aには、上流側から順に、空気取入口31B、エアフィルタ31C、ブロア31D、クーリングユニット31E、ヒーターユニット31Fが設けられている。空気通路31Aの下流端には、複数のダクト32が並列に接続されている。各ダクト32の下流端には送風口33が設けられている。
【0061】
複数の送風口33のそれぞれには、電動ルーバー35が設けられている。電動ルーバー35は、電動モータによって回動する複数のガイドプレートを有し、送風口33から吐出される温度調節された空気、すなわち空調空気の流量及び向きを変更する。なお、送風口33には電動ルーバー35に加えて、流量制御弁36が設けられてもよい。
【0062】
空調装置30は、複数の送風口33の送風量を変更可能となっている。空調装置30は、ブロア31Dの出力を変更することによって、各送風口33の送風量を変更することができる。また、空調装置30は、各送風口33の電動ルーバー35及び流量制御弁36を制御することによって、各送風口33の送風量を互いに独立して変更することができる。
【0063】
空調装置本体31は、インストルメントパネル11の内部に配置されているとよい。また、空調装置本体31は、車両1の後部に設けられてもよい。各ダクト32は、インストルメントパネル11の内部や、ドア9に設けられたドアライニングの内部、サイドパネル8のピラーに設けられたピラーガーニッシュの内部、ルーフ4に設けられたルールライニングの内部に設けられているとよい。
【0064】
図1~
図3に示すように、複数の送風口33は、インストルメントパネル11の上部に設けられた上送風口33Aと、インストルメントパネル11の下部に設けられた下送風口33Bとを含む。上送風口33A及び下送風口33Bは、それぞれ複数設けられているとよい。インストルメントパネル11の後方には、ステアリングホイール41が配置されている、上送風口33Aの下端は、ステアリングホイール41の下端より上方に配置されているとよい。上送風口33Aの2つはステアリングホイール41の左右に配置されているとよい。下送風口33Bの上端は、ステアリングホイール41の下端より上方に配置されているとよい。
【0065】
複数の送風口33は、前送風口33Cを含む。前送風口33Cは、インストルメントパネル11の前部に設けられ、フロントガラス7を向いている。前送風口33Cは、インストルメントパネル11の前部に沿って左右に延びている。
【0066】
複数の送風口33は、ドア9に設けられたドア送風口33Dを含む。ドア送風口33Dは、前列右側シート14FRの右方に配置された前列右側ドア9FR、及び前列左側シート14FLの左方に配置された前列左側ドア9FLであるとよい。ドア送風口33Dは、複数設けられているとよい。ドア送風口33Dは、ドア9の車室2側の側面を構成するドアライニングに設けられているとよい。空調装置本体31からドア送風口33Dに延びるダクト32は、インストルメントパネル11に設けられた上流側部分とドア9トリムに設けられた下流側部分とを含み、ドア9が閉じられた状態で上流側部分と下流側部分とが互いに接続するとよい。
【0067】
図1に示すように、複数の送風口33は、ルーフ4に設けられたルーフ送風口33Eを含む。ルーフ送風口33Eは、複数設けられているとよい。ルーフ送風口33Eは、前列右側シート14FRより後方かつ後列右側シート14RRの前方に配置されるとよい。また、ルーフ送風口33Eは、前列右側シート14FRの側方の前列右側ドア9FRの後端より後方に配置されているとよい。また、ルーフ送風口33Eは、前列右側シート14FRの側方の前列右側の後端より後方、かつ後列右側シート14RRの側方の後列右側のドア9RRの前端より前方に配置されているとよい。
【0068】
図1及び
図2に示すように、各シート14には、シート空調装置50が設けられている。
図5に示すように、シート空調装置50は、ブロア50Aと、ブロア50Aからの延びる複数のダクト50Bと、複数のダクト50Bのそれぞれの端部に設けられたシート送風口50Cとを有する。複数のシート送風口50Cは、シート14に設けられている。複数のシート送風口50Cは、シートクッション25及びシートバック26の乗員側を向く部分に設けられているとよい。
【0069】
図6に示すように、車両1は、各シート14の位置及び形態の少なくとも一方を含むシートアレンジを検出する検出部60を有する。シートアレンジは、各シートバック26の傾倒状態、各シート14のシートクッション25の前後位置、各シート14のシートクッション25の左右位置、各シート14のシートクッション25の回転角の少なくとも1つを含む。
【0070】
検出部60は、各シート14の前後位置を検出する複数の前後位置センサ60Aと、各シート14の鉛直軸回りの回転角を検出する複数の回転角センサ60Bと、各シート14のリクライニング角を検出する複数のリクライニング角センサ60Cとを含む。また、検出部60は、各シート14の左右位置を検出する複数の左右位置センサ60Dを含む。前後位置センサ60Aは、第1ロアレール16Aに対する第1アッパレール16Bの位置を検出するとよい。回転角センサ60Bは、ロアプレート18Aに対するアッパプレート18Bの角度を検出するとよい。リクライニング角センサ60Cは、シートクッション25に対するシートバック26の角度を検出するとよい。左右位置センサ60Dは、第2ロアレール17Aに対する第2アッパレール17Bの位置を検出するとよい。検出部60は、各シート14を撮像する車室カメラを含んでもよい。検出部60は、撮像した画像に基づいて、各シート14の前後位置、左右位置、回転角、リクライニング角を取得してもよい。
【0071】
車両1は、各シート14に着座した乗員の体格を検出する体格検出部62を有する。体格検出手段は、各シート14に着座した乗員を撮影する車室カメラを含み、撮影した画像に基づいて乗員の体格を検出してもよい。また、体格検出部62は、各シート14のシートクッション25及びシートバック26の表面に設けられた複数の荷重センサを含み、荷重センサからの信号に基づいて乗員の体格を検出してもよい。複数の荷重センサは、複数のメンブレンスイッチに置換されてもよい。また、体格検出部62は、各シート14に設けられたロードセルであってもよい。
【0072】
車両1は、フロントガラス7の曇り状態を検出する曇り検出部64を有する。曇り検出部64は、フロントガラス7を撮像するカメラを有し、撮像した画像に基づいてフロントガラス7の曇り状態を検出するとよい。他の実施形態では、曇り検出部64は、車室2の湿度を測定する湿度センサと車室2の温度を測定する温度センサとを有し、湿度及び温度に基づいて曇り状態を推定してもよい。
【0073】
車両1は、検出部60が検出したシートアレンジに基づいて空調装置30を制御する制御部66を有する。制御部66は、CPU等のプロセッサ、不揮発性メモリ(ROM)、及び、揮発性メモリ(RAM)等を含む電子制御装置(ECU)である。制御部66は、プロセッサにおいて不揮発性メモリに格納されたプログラムに沿った演算処理を実行することによって空調装置30を制御する。制御部66は1つのハードウェアとして構成されていてもよく、複数のハードウェアからなるユニットとして構成されていてもよい。また、制御部66の各機能部の少なくとも一部は、LSIやASIC、FPGA等のハードウェアによって実現されてもよく、ソフトウェア及びハードウェアの組み合わせによって実現されてもよい。
【0074】
制御部66は、シートアレンジに応じて、複数の送風口33の送風量を変更する。制御部66は、シートアレンジに応じて、複数の送風口33の全ての送風量を増加又は低減させてもよく、複数の送風口33を互いに独立して送風量を増加又は低減させてもよい。
【0075】
制御部66は、シートバック26の傾倒状態を取得し、シートバック26が、シートバック26の水平面に対する角度が所定値以下であるリクライニング状態であるときに、下送風口33Bの送風量を上送風口33Aの送風量よりも増加させるとよい。具体的には、制御部66は、前列右側シート14FRのリクライニングセンサからの信号に基づいて、前列右側シート14FRのシートバック26のリクライニング角を取得する。そして、制御部66は、リクライニング角が所定の判定値以下であるときに、シートバック26がリクライニング状態であると判定する。判定角は、水平面に対する角度であり、例えば30度等の値が設定されているとよい。制御装置は、前列右側シート14FRがリクライニング状態であると判定したときに、下送風口33Bの送風量を上送風口33Aの送風量よりも増加させる。制御部66は、下送風口33Bの電動ルーバー35及び流量制御弁36を制御して下送風口33Bの開度を大きくすると共に、上送風口33Aの電動ルーバー35及び流量制御弁36を制御して上送風口33Aの開度を小さくするとよい。このとき、制御部66は、上送風口33Aの電動ルーバー35及び流量制御弁36を制御して上送風口33Aの開度を0にしてもよい。また、制御部66は、下送風口33Bの電動ルーバー35を下方に向け、下送風口33Bから下方に向けて送風してもよい。
【0076】
この態様によれば、上送風口33Aから吐出された空気が、リクライニング状態の前列右側シート14FRに着座した乗員の顔に直接に当たり難くなり、乗員の快適性が向上する。また、下送風口33Bから吐出される空気が乗員の脚に到達することによって、乗員の温度に対する快適性が向上する。
【0077】
制御部66は、シートクッション25の前後位置を取得し、シートクッション25の前後位置に基づいて、上送風口33A及び下送風口33Bの少なくとも一方の送風量を変更してもよい。前列右側シート14FRは、第1位置と第2位置との間でスライド移動可能に設けられている。シートクッション25が第1位置にあるときの上送風口33Aとシートクッション25との距離は、シートクッション25が第2位置にあるときの上送風口33Aとシートクッション25との距離より小さい。すなわち、シートクッション25が第1位置にあるとき、シートクッション25が第2位置にあるときよりも、シートクッション25は前方に位置する。
【0078】
制御部66は、前列右側シート14FRのシートクッション25が第2位置にあるときに、前列右側シート14FRのシートクッション25が第1位置にあるときよりも、前列右側シート14FRの前方にある上送風口33Aの送風量を増加させるとよい。また、制御部66は、前列右側シート14FRのシートクッション25が第2位置にあるときに、シートクッション25が第1位置にあるときよりも、前列右側シート14FRの前方にある下送風口33Bの送風量を増加させてもよい。
【0079】
制御部66は、前列右側シート14FRのシートクッション25の前端と前列右側シート14FRの前方にある上送風口33Aとの距離が所定の判定値以上である場合に、前列右側シート14FRの前方にある上送風口33A及び下送風口33Bの送風量を0にしてもよい。これにより、上送風口33Aと乗員との距離が離れると、上送風口33Aからの送風量が増加するため、シート14の前後位置が変化しても乗員の温度に対する快適性が維持される。
【0080】
また、制御部66は、前列右側シート14FRのシートクッション25の前端と前列右側シート14FRの前方にある上送風口33Aとの距離が所定の判定値以上である場合に、対応する上送風口33A及び下送風口33Bの送風量を0にしてもよい。これにより、前列右側シート14FRに着座した乗員に上送風口33Aから送風が届き難い場合には、上送風口33Aからの送風が停止され、エネルギーの効率的な使用が可能になる。
【0081】
また、制御部66は、前列右側シート14FRのシートクッション25の前端と前列右側シート14FRの前方にある上送風口33Aとの距離が大きくなるにつれて、前列右側シート14FRの前方にある上送風口33A及び下送風口33Bの電動ルーバー35の向きを上側に変更してもよい。これにより、前列右側シート14FRに着座した乗員に上送風口33Aから送風が届き難い場合には、上送風口33Aからの送風の向きが上向きに変更され、上送風口33Aからの送風が前列右側シート14FRに着座した乗員に到達し易くなる。
【0082】
制御部66は、前列右側シート14FRのシートクッション25が第2位置にあるときに、シートクッション25が第1位置にあるときよりも、前列右側シート14FRの右側にあるドア送風口33Dの送風量を上送風口33Aの送風量よりも増加させてもよい。これにより、上送風口33Aと乗員との距離が離れると、上送風口33Aよりも乗員に近いドア送風口33Dからの送風量が増加するため、乗員の温度に対する快適性が維持される。このとき、制御部66は、前列右側シート14FRの前方にある上送風口33A及び下送風口33Bの送風量を低下させてもよい。
【0083】
制御部66は、前列右側シート14FRのシートクッション25が第2位置にあるときに、シートクッション25が第1位置にあるときよりも、前列右側シート14FRのシート空調装置50の送風量を増加させてもよい。これにより、上送風口33Aと乗員との距離が離れると、上送風口33Aよりも乗員に近いシート空調装置50のシート送風口50Cからの送風量が増加するため、乗員の温度に対する快適性が維持される。このとき、制御部66は、前列右側シート14FRの前方にある上送風口33A及び下送風口33Bの送風量を低下させてもよい。
【0084】
制御部66は、前列右側シート14FRのシートクッション25の回転位置を取得し、シートクッション25が後方を向いているときに、シートクッション25が後方を向いているときよりも前列右側シート14FRの前方にあるルーフ送風口33Eの送風量を前列右側シート14FRの上方にある上送風口33Aの送風量よりも増加させてもよい。制御部66は、前列右側シート14FRのシートクッション25の前方に対する角度が増加するにつれて、前列右側シート14FRの上方にあるルーフ送風口33Eの送風量を増加させてもよい。また、制御部66は、前列右側シート14FRのシートクッション25の前方に対する角度が増加するにつれて、前列右側シート14FRの前方にある上送風口33A及び下送風口33Bの送風量を低減させてもよい。また、制御部66は、前列右側シート14FRのシートクッション25の前方に対する角度が所定の判定値以上であるときに、前列右側シート14FRの前方にある上送風口33A及び下送風口33Bの送風量を0にしてもよい。
【0085】
制御部66は、体格検出部62が検出した乗員の体格に基づいて、電動ルーバー35を制御してもよい。例えば、制御部66は、乗員の体格に基づいて、送風口33から吐出される空気の向きが乗員の頭部を避けるように、電動ルーバー35を制御してもよい。制御部66は、乗員の体格に基づいて頭部の高さを推定し、頭部の高さに基づいて電動ルーバー35の角度を決定するとよい。制御部66は、頭部の高さと電動ルーバー35の角度との関係を規定したマップに基づいて、頭部の高さに基づいて電動ルーバー35の角度を決定してもよい。
【0086】
制御部66は、シートアレンジに基づいて複数の送風口33から吐出される空気の温度を制御してもよい。例えば、制御部66は、前列右側シート14FRのシートクッション25と前列右側シート14FRの前方にある上送風口33Aとの距離が大きくなるにつれて、複数の送風口33から吐出される空気の温度を上昇又は下降させてもよい。
【0087】
制御部66は、曇り検出部64が検出したフロントガラス7の曇り状態に基づいてフロントガラス7が曇っていると判定しているときに、シートアレンジに関わらず、前送風口33Cからの送風を継続するとよい。これにより、シートアレンジに関わらず、前送風口33Cからの送風が継続されるため、フロントガラス7の曇りが適切に除去される。
【0088】
実施形態に係る車両1によれば、シート14のリクライニング状態、前後位置、左右位置、及び回転位置を含むシートアレンジに応じて、複数の送風口33からの送風量が変化するため、乗員の温度に対する快適性を向上させることができる。
【0089】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、上記の実施形態では、前列右側シート14FRの例について説明したが、前列左側シート14FLについても同様に、制御部66は空調装置30の制御を行うとよい。
【符号の説明】
【0090】
1 :車両
2 :車室
3 :フロア
4 :ルーフ
7 :フロントガラス
9 :ドア
11 :インストルメントパネル
14 :シート
16 :前後スライド装置
17 :左右スライド装置
18 :回転装置
25 :シートクッション
26 :シートバック
30 :空調装置
33 :送風口
33A :上送風口
33B :下送風口
33C :前送風口
33D :ドア送風口
33E :ルーフ送風口
35 :電動ルーバー
36 :流量制御弁
50 :シート空調装置
60 :検出部
60A :前後位置センサ
60B :回転角センサ
60C :リクライニング角センサ
60D :左右位置センサ
62 :体格検出部
64 :曇り検出部
66 :制御部