(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141235
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】空調システム、及び空調システムの冷媒漏れ推定方法
(51)【国際特許分類】
F24F 11/38 20180101AFI20241003BHJP
F25B 49/02 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F24F11/38
F25B49/02 520Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052765
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日和 航大
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 薫
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AA04
3L260AB04
3L260BA52
3L260BA75
3L260CB13
3L260CB62
3L260DA11
3L260EA08
3L260FA20
3L260GA17
3L260JA15
(57)【要約】
【課題】本開示は、複数台の室内機の各々が異なる運転モードで運転している時間帯がある場合に、冷媒漏れの有無を推定する空調管理システムを提供する。
【解決手段】空調管理システム1は、複数台の室内機40と、室外機50と、複数台の室内機40と室外機50との間で冷媒を流動させる冷媒回路RCと、サーバ装置2と、を備える空調管理システム1であって、サーバ装置2は、複数台の室内機40の各々の室内機データDIを取得する取得部211と、室内機データDIに対して、クレンジング処理を行うデータ処理部212と、クレンジング処理後の室内機データDIに基づいて、冷媒漏れの有無を推定する推定部213と、を備え、データ処理部212は、複数台の室内機40のうち、少なくとも1台の室内機40が冷房運転を実行し、且つ、少なくとも1台の室内機40が暖房運転を実行している時間帯における室内機データDIを削除する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台の室内機と、室外機と、前記複数台の室内機と前記室外機との間で冷媒を流動させる冷媒系統と、管理装置と、を備える空調システムであって、
前記管理装置は、
前記複数台の室内機の各々の運転データを取得する取得部と、
前記複数台の室内機の各々に対応する運転データに対して、クレンジング処理を行うデータ処理部と、
前記データ処理部によるクレンジング処理後の運転データに基づいて、冷媒漏れの有無を推定する推定部と、
を備え、
前記データ処理部は、前記複数台の室内機のうち、少なくとも1台の室内機が冷房運転を実行し、且つ、少なくとも1台の室内機が暖房運転を実行している時間帯における運転データを削除する、
空調システム。
【請求項2】
前記複数台は、3台以上であり、
前記推定部は、前記データ処理部によるクレンジング処理後の運転データが、前記3台以上の室内機のうち、所定台数以下の室内機の運転データである時間帯において、冷媒漏れの有無の推定を実行しない、
請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
前記推定部は、第1期間毎に、冷媒漏れの有無を推定し、
前記データ処理部は、前記複数台の室内機のうち、前記第1期間において、冷房運転を実行した時間が第1時間以上であり、且つ、暖房運転を実行した時間が前記第1時間以上である室内機に対応する運転データを削除する、
請求項1に記載の空調システム。
【請求項4】
前記データ処理部は、
前記複数台の室内機のうち、前記第1期間において、冷房運転を実行した時間が第2時間以上であり、且つ、暖房運転を実行した時間が、前記第2時間より短い第3時間以下である室内機に対応する運転データにおいて、前記暖房運転を実行した時間に対応する運転データを削除し、
前記複数台の室内機のうち、前記第1期間において、暖房運転を実行した時間が前記第2時間以上であり、且つ、冷房運転を実行した時間が、前記第3時間以下である室内機に対応する運転データにおいて、前記冷房運転を実行した時間に対応する運転データを削除する、
請求項3に記載の空調システム。
【請求項5】
前記推定部は、第1期間毎に、冷媒漏れの有無を推定し、
前記第1期間よりも長い第2期間において、前記推定部が冷媒漏れの有無の推定を実行しない場合に、前記複数台の室内機の各々に対して、冷房運転、又は、暖房運転を実行させる指示部を、更に備える、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の空調システム。
【請求項6】
前記推定部は、
前記複数台の室内機の各々が冷房運転を実行している場合には、第1推定モデルを用いて、冷媒漏れの有無を推定し、
前記複数台の室内機の各々が暖房運転を実行している場合には、前記第1推定モデルと異なる第2推定モデルを用いて、冷媒漏れの有無を推定する、
請求項1に記載の空調システム。
【請求項7】
前記第1推定モデルは、前記複数台の室内機の各々が冷房運転を実行している期間における、前記複数台の室内機の運転データと前記室外機の運転データとを用いて生成され、
前記第2推定モデルは、前記複数台の室内機の各々が暖房運転を実行している期間における、前記複数台の室内機の運転データと前記室外機の運転データとを用いて生成される、
請求項6に記載の空調システム。
【請求項8】
前記データ処理部は、前記複数台の室内機の各々に対応する運転データを統合して、仮想的な1台の室内機の運転データである統合運転データを生成し、
前記推定部は、前記統合運転データに基づいて、冷媒漏れの有無を推定する、
請求項1に記載の空調システム。
【請求項9】
複数台の室内機と、室外機と、前記複数台の室内機と前記室外機との間で冷媒を流動させる冷媒系統と、管理装置と、を備える空調システムの冷媒漏れ推定方法であって、
前記管理装置は、
前記複数台の室内機の各々の運転データを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得した運転データに対して、クレンジング処理を行うデータ処理ステップと、
前記クレンジング処理後の運転データに基づいて、冷媒漏れの有無を推定する推定ステップと、
を実行し、
前記データ処理ステップにおいて、前記複数台の室内機のうち、少なくとも1台の室内機が冷房運転を実行し、且つ、少なくとも1台の室内機が暖房運転を実行している時間帯における運転データを削除する、
空調システムの冷媒漏れ推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空調システム、及び空調システムの冷媒漏れ推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、空調装置の運転データに基づき、空調装置内の冷媒封入量を推定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、複数台の室内機を有する空調システムにおいて、室内機の各々が異なる運転モードで運転している時間帯がある場合に、冷媒漏れの有無を適正に推定する空調システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における空調システムは、複数台の室内機と、室外機と、前記複数台の室内機と前記室外機との間で冷媒を流動させる冷媒系統と、管理装置と、を備える空調システムであって、前記管理装置は、前記複数台の室内機の各々の運転データを取得する取得部と、前記複数台の室内機の各々に対応する運転データに対して、クレンジング処理を行うデータ処理部と、前記データ処理部によるクレンジング処理後の運転データに基づいて、冷媒漏れの有無を推定する推定部と、を備え、前記データ処理部は、前記複数台の室内機のうち、少なくとも1台の室内機が冷房運転を実行し、且つ、少なくとも1台の室内機が暖房運転を実行している時間帯における運転データを削除する。
【0006】
また、本開示における空調システムの冷媒漏れ推定方法は、複数台の室内機が冷媒配管に接続された空調システムの冷媒漏れ推定方法であって、前記複数台の室内機の各々の運転データを取得する取得ステップと、前記取得ステップにおいて取得した運転データに対して、クレンジング処理を行うデータ処理ステップと、前記クレンジング処理後の運転データに基づいて、冷媒漏れの有無を推定する推定ステップと、を実行し、前記データ処理ステップにおいて、前記複数台の室内機のうち、少なくとも1台の室内機が冷房運転を実行し、且つ、少なくとも1台の室内機が暖房運転を実行している時間帯における運転データを削除する。
【発明の効果】
【0007】
本開示における空調システム、及び空調システムの冷媒漏れ推定方法は、複数台の室内機を有する空調システムにおいて、室内機の各々が異なる運転モードで運転している時間帯がある場合に、冷媒漏れの有無を適正に推定できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態における空調管理システムの一例を示す図
【
図2】室内機及び室外機を含む冷媒回路の一例を示す図
【
図3】本実施形態におけるサーバ装置の構成の一例を示す図
【
図4】本実施形態におけるサーバ装置の処理の一例を示すフローチャート
【
図5】本実施形態におけるサーバ装置のクレンジング処理の一例を示す図
【
図6】第1実施形態に係る第1空調システムの構成の一例を示す図
【
図7】第1空調システムから取得する運転データの一例を示す図
【
図8】第1空調システムにおける統合処理の一例を示す図
【
図9】第1空調システムにおける結合データの一例を示す図
【
図10】第2実施形態に係る第2空調システムの構成の一例を示す図
【
図11】第2空調システムから取得する運転データの一例を示す図
【
図12】第1空調システムにおける結合データの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の基礎となった知見等)
特許文献1には、下記の技術が開示されている。すなわち、空気調和機は、圧縮機、室外熱交換器及び膨張弁を有する室外機と、室内熱交換器を有する室内機とを有し、前記室外機と前記室内機とが冷媒配管で接続されて形成される冷媒回路を有し、当該冷媒回路に所定量の冷媒が充填される空気調和機であって、前記空気調和機の現在の運転状態量を用いて、前記冷媒回路に充填される前記冷媒の前記所定量に対する冷媒不足率を推定する推定モデルを有し、前記推定モデルは前記冷媒不足率に応じて異なる。
一方、複数台の室内機を有する空調システムにおいて、冷媒漏れを推定するために用いる室内機の運転データは、複数台の室内機ごとに互いに相違する運転データである。そのため、例えば、室内機の各々が異なる運転モードで運転している場合には、特許文献1に記載の技術では冷媒漏れの有無を適正に推定することは困難である、という課題があった。
そこで、発明者らは、複数台の室内機のうち、少なくとも1台の室内機が冷房運転を実行し、且つ、少なくとも1台の室内機が暖房運転を実行している時間帯における運転データを削除することによって、複数台の室内機を有する空調システムにおいて、冷媒漏れの有無を適正に推定できることを見出した。
本開示は、複数台の室内機を有する空調システムにおいて、冷媒漏れの有無を適正に推定できる空調システム、及び空調システムの冷媒漏れ推定方法を提供する。
【0010】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明を省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0011】
[1.空調管理システムの構成]
図1は、本実施形態における空調管理システム1の一例を示す図である。
図1に示すように、空調管理システム1は、サーバ装置2と、空調システム3と、スマートフォン6と、を備える。
空調管理システム1は、「空調システム」の一例に対応する。
本実施形態に係る空調管理システム1は、第1実施形態に係る第1空調管理システム1Aと、第2実施形態に係る第2空調管理システム1Bとを含む。
第1空調管理システム1Aについては、
図6-
図9を参照して更に説明する。
第2空調管理システム1Bについては、
図10-
図12を参照して更に説明する。
まず、
図1-
図5を参照して、第1実施形態に係る第1空調管理システム1A、及び、第2実施形態に係る第2空調管理システム1B、に共通の構成について説明する。
【0012】
サーバ装置2は、ネットワークNWを介して、空調システム3の制御装置30、及びスマートフォン6の各々と通信可能に接続される。ネットワークNWは、例えば、WAN(Wide Area Network)である。
本実施形態では、ネットワークNWがWANである場合について説明するが、本開示はこれに限定されない。ネットワークNWがLAN(Local Area Network)でもよいし、インターネットでもよい。
【0013】
空調システム3は、制御装置30と、室内機40と、室外機50と、冷媒回路RCと、を備える。空調システム3は、例えば、ビルのオフィスに配置される。
室内機40は、例えば、オフィスの室内の天井に配置される。室内機40は、複数台の室内機40を有する。複数台の室内機40の各々は、運転状態を独立に設定される。運転状態は、運転及び停止の選択状態と、運転モードとを含む。運転モードは、冷房運転、暖房運転、除湿運転等を含む。
室内機40は、室内熱交換器41を備える。室内熱交換器41は、室内の空気と冷媒との間で熱交換する。そして、図略の吹出口から熱交換された空気を吹き出す。運転モードが冷房運転である場合には、熱交換された空気は、室内の空気と比較して低温である。運転モードが暖房運転である場合には、熱交換された空気は、室内の空気と比較して高温である。
室内熱交換器41については、
図2を参照して、更に説明する。
【0014】
本実施形態では、室内機40が、3台の室内機40で構成される場合について説明する。室内機40は、例えば、室内機40A、室内機40B、及び室内機40Cで構成される。室内機40A、室内機40B、及び室内機40Cは、略同一の構成を有する。そこで、以下の説明では、室内機40A、室内機40B、及び室内機40Cを区別する必要が無い場合には、室内機40A、室内機40B、及び室内機40Cの各々を室内機40と記載する場合がある。
【0015】
室外機50は、例えば、オフィスの室外のベランダに配置される。また、室外機50は、例えば、オフィスが配置されたビルの屋上に配置されてもよい。
室外機50は、圧縮機51、四方弁52、室外熱交換器53、及び膨張弁54を備える。圧縮機51、四方弁52、室外熱交換器53、及び膨張弁54については、
図2を参照して、更に説明する。
【0016】
室外機50は、複数台の室外機50を有してもよい。
図6-
図9を参照して説明する第1実施形態では、室外機50が1台である場合について説明する。
図10-
図12を参照して説明する第2実施形態では、室外機50が2台である場合について説明する。2台の室外機50は、例えば、室外機50Aと室外機50Bとで構成される。室外機50A及び室外機50Bは、略同一の構成を有する。そこで、以下の説明では、室外機50A及び室外機50Bを区別する必要が無い場合には、室外機50A及び室外機50Bの各々を室外機50と記載する場合がある。
【0017】
本実施形態のうち、第1実施形態に係る第1空調管理システム1Aでは、室外機50が1台の場合について説明し、第2実施形態に係る第2空調管理システム1Bでは、室外機50が2台の場合について説明する。第2実施形態に係る第2空調管理システム1Bでは、室外機50が室外機50A、及び室外機50Bで構成される。
【0018】
制御装置30は、例えば、パーソナルコンピューターやリアルタイムOSを搭載している組み込みシステム等で構成され、室内機40、及び室外機50を制御する。制御装置30は、例えば、運転モードに応じて、室内機40、及び室外機50を制御する。制御装置30は、運転モードに応じて、
図2を参照して説明する冷媒回路RCの動作を制御する。
また、制御装置30は、室内機40、及び室外機50から運転データを取得し、サーバ装置2へ送信する。制御装置30は、例えば、所定周期で、室内機40、及び室外機50から運転データを取得し、サーバ装置2へ送信する。所定周期は、例えば、10秒間である。また、所定周期は、例えば、1分間でもよい。
また、制御装置30は、サーバ装置2からの指示に従って、室内機40、及び室外機50に対して、冷房運転、又は暖房運転を実行させる。
【0019】
サーバ装置2は、制御装置30から室内機40、及び室外機50の運転データを受信する。そして、サーバ装置2は、室内機40、及び室外機50の運転データに基づいて、冷媒漏れの有無を推定する。また、サーバ装置2は、冷媒漏れの有無の推定結果を、スマートフォン6へ送信する。
サーバ装置2は、「管理装置」の一例に対応する。
【0020】
スマートフォン6は、サーバ装置2から、冷媒漏れの有無の推定結果を受信する。そして、スマートフォン6は、例えば、冷媒漏れの有無の推定結果をタッチパネルに表示する。なお、スマートフォン6は、例えば、空調システム3の管理者が保有する。また、スマートフォン6は、例えば、空調システム3のユーザが保有してもよい。
【0021】
[2.冷媒回路について]
次に、
図2を参照して、冷媒回路RCについて説明する。
図2は、室内機40及び室外機50を含む冷媒回路RCの一例を示す図である。実線の矢印は、冷房運転を実行する際の冷媒の流動方向を示す。破線の矢印は、暖房運転を実行する際の冷媒の流動方向を示す。なお、
図2では、便宜上、1台の室内機40と1台の室外機50とを含む冷媒回路RCについて説明する。
冷媒回路RCは、「冷媒系統」の一例に対応する。
室内機40は、室内熱交換器41を備える。室外機50は、圧縮機51、四方弁52、室外熱交換器53、及び膨張弁54を備える。
【0022】
圧縮機51は、冷媒を圧縮する。圧縮機51によって圧縮された高温高圧の冷媒は、四方弁52に流入する。
四方弁52は、冷媒の流動経路を変更する。冷房運転を実行する場合には、四方弁52は、圧縮機51から流出した高温高圧の冷媒を室外熱交換器53に供給する。また、室外熱交換器53から流出した冷媒は、室外熱交換器53、及び膨張弁54を順次経由して、室内熱交換器41に供給される。そして、四方弁52は、室内熱交換器41から流出した冷媒を圧縮機51に供給する。暖房運転を実行する場合には、四方弁52は、圧縮機51から流出した高温高圧の冷媒を室内熱交換器41に供給する。室内熱交換器41から流出した冷媒は、膨張弁54を経由して、室外熱交換器53に供給される。四方弁52は、室外熱交換器53から流出した冷媒を、圧縮機51に供給する。
室外熱交換器53は、室外の空気と冷媒との間で熱交換する。
膨張弁54は、冷媒を減圧する。
【0023】
次に、冷房運転を実行する場合の冷媒回路RCの動作を説明する。
圧縮機51は、冷媒を圧縮し、高温高圧の冷媒を生成する。圧縮機51から流出した高温高圧の冷媒は、四方弁52によって、室外熱交換器53に供給される。室外熱交換器53は、高温高圧の冷媒の熱を外気へ放出して、冷媒を凝縮させる。すなわち、室外熱交換器53は、凝縮器として機能する。室外熱交換器53で凝縮された冷媒は、膨張弁54に供給される。膨張弁54は、冷媒を減圧する。膨張弁54で減圧された冷媒は、室内熱交換器41に供給される。室内熱交換器41は、冷媒と室内の空気とを熱交換させ、冷媒を気化させる。すなわち、室内熱交換器41は、蒸発器として機能する。そして、気化された冷媒は、四方弁52によって、圧縮機51に供給される。
このように、冷房運転を実行する場合には、室外熱交換器53は、凝縮器として機能し、室内熱交換器41は、蒸発器として機能する。
【0024】
次に、暖房運転を実行する場合の冷媒回路RCの動作を説明する。
圧縮機51は、冷媒を圧縮し、高温高圧の冷媒を生成する。圧縮機51から流出した高温高圧の冷媒は、四方弁52によって、室内熱交換器41に供給される。室内熱交換器41は、冷媒と室内の空気とを熱交換させ、冷媒を凝縮させる。すなわち、室内熱交換器41は、凝縮器として機能する。室内熱交換器41で凝縮された冷媒は、膨張弁54に供給される。膨張弁54は、冷媒を減圧する。膨張弁54で減圧された冷媒は、室外熱交換器53に供給される。室外熱交換器53は、低圧の冷媒と外気とを熱交換させ、外気からの吸熱によって冷媒を気化する。すなわち、室外熱交換器53は、蒸発器として機能する。気化された冷媒は、四方弁52によって、圧縮機51に供給される。
このように、暖房運転を実行する場合には、室内熱交換器41は、凝縮器として機能し、室外熱交換器53は、蒸発器として機能する。
【0025】
次に、
図2を参照して、センサの配置の一例について説明する。
室内熱交換器41には、冷房運転時の冷媒の蒸発飽和温度LPを検出する温度センサE1が配置され、冷房運転時の室内熱交換器41の上流には、温度センサE2が配置される。
圧縮機51には、圧縮機51から吐出される媒体の温度を検出する温度センサDIS1が配置される。また、圧縮機51には、圧縮機51に供給される1次電流を検出する電流センサCT1と、圧縮機51に供給される2次電流を検出する電流センサCT2と、圧縮機51の回転速度を検出する回転速度センサHZと、が配置される。また、圧縮機51の上流側には、冷媒温度SCTを検出する温度センサTSが配置される。
室外熱交換器53には、外気の温度を検出する温度センサOTと、室外熱交換器53内の温度を検出する温度センサC2と、冷房運転時の室外熱交換器53の吐出側の冷媒温度を検出する温度センサC1と、が配置される。温度センサC1は、冷房運転時の冷媒の凝縮飽和温度HPを検出する。
膨張弁54には、膨張弁の開度を検出する開度センサMOVが配置される。
【0026】
[3.サーバ装置の構成]
次に、
図3を参照して、サーバ装置2の構成について説明する。
図3は、本実施形態におけるサーバ装置2の構成の一例を示す図である。
図3に示すように、サーバ装置2は、制御部21と、操作機構22と、表示機構23と、通信インターフェース24と、を備える。
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)等のプロセッサ21A、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリデバイス21Bを備え、サーバ装置2の各部を制御する。メモリデバイス21Bは、制御プログラム215を記憶する。また、メモリデバイス21Bが、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気的記憶装置、SSD(Solid State Drive)等の半導体記憶装置を備えてもよい。
制御部21では、プロセッサ21Aが、メモリデバイス21Bに記憶された制御プログラム215を読み出して処理を実行する。換言すれば、制御部21は、ハードウェア及びソフトウェアの協働により処理を実行する。
【0027】
プロセッサ21Aは、単一のプロセッサで構成されてもよいし、複数のプロセッサがプロセッサ21Aとして機能する構成であってもよい。
本実施形態では、プロセッサ21Aは、制御プログラム215を実行してサーバ装置2の各部を制御するが、これに限定されない。制御部21が、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)を備え、ASICが、実装された機能により処理を実行してもよい。また、制御部21は、例えば、信号処理回路を備え、信号処理回路が、信号処理を行って処理を実行してもよい。
【0028】
操作機構22は、サーバ装置2に接続されたキーボード、及びマウス等の入力手段を備え、ユーザの入力手段に対する操作を検出し、操作に対応する検出信号を制御部21へ出力する。制御部21は、操作機構22からの入力に基づいて、ユーザの操作に対応する処理を実行する。ユーザは、例えば、サーバ装置2の管理者である。
【0029】
表示機構23は、複数のLED(Light Emitting Diode)、LCD(Liquid Crystal Display)等を備え、制御部21の制御に従って、LEDの所定の態様での点灯、消灯及び点滅、LCDへの情報の表示等を実行する。
【0030】
また、通信インターフェース24は、コネクター及びインターフェース回路を備え、制御部21に接続される。
通信インターフェース24は、例えば、Ethernet(登録商標)規格に則って、制御装置30と通信するためのインターフェースである。
また、通信インターフェース24は、例えば、Ethernet(登録商標)規格に則って、スマートフォン6と通信するためのインターフェースである。通信インターフェース24は、ネットワークNWを介して、スマートフォン6と通信する。通信インターフェース24は、Ethernet(登録商標)規格に則って、ネットワークNWと通信し、スマートフォン6は、例えば、Wi-Fi(登録商標)規格に則って、ネットワークNWに配置された図略の中継局と通信する。
【0031】
次に、制御部21の機能構成について説明する。
制御部21は、取得部211と、データ処理部212と、推定部213と、指示部214と、データ記憶部216と、モデル記憶部217と、を備える。
例えば、プロセッサ21Aが制御プログラム215を実行することによって、取得部211、データ処理部212、推定部213、及び指示部214として機能する。また、例えば、プロセッサ21Aが制御プログラム215を実行することによって、メモリデバイス21Bを、データ記憶部216、及びモデル記憶部217として機能させる。
【0032】
データ記憶部216は、室内機データDIと、室外機データDOとを記憶する。室内機データDIは、室内機40の各々の運転状態を示すデータと、室内機40に配置されたセンサの検出値とを含む。運転状態は、運転及び停止の選択状態と、運転状態モードとを含む。運転状態モードは、冷房運転、暖房運転、除湿運転等を含む。
室外機データDOは、室外機50に配置されたセンサの検出値、又は、2台の室外機50の各々に配置されたセンサの検出値を含む。
室内機データDI、及び室外機データDOは、取得部211によって、空調システム3の制御装置30から取得され、取得部211によって、データ記憶部216に記憶される。
室内機データDIは、「複数台の室内機の運転データ」の一例に対応する。
室外機データDOは、「室外機の運転データ」の一例に対応する。
【0033】
また、データ記憶部216は、室内機40Aの室内機データDI1と、室内機40Bの室内機データDI2と、室内機40Cの室内機データDI3とを統合して、仮想的な1台の室内機の室内機データとして生成された統合室内機データDIVを記憶する。統合室内機データDIVは、データ処理部212によって生成され、データ処理部212によって、データ記憶部216に記憶される。
統合室内機データDIVは、「統合運転データ」の一例に対応する。
【0034】
また、データ記憶部216は、統合室内機データDIVと室外機データDOとを結合して生成された結合データDNを記憶する。結合データDNは、データ処理部212によって生成され、データ処理部212によって、データ記憶部216に記憶される。
【0035】
モデル記憶部217は、第1推定モデルM1と、第2推定モデルM2とを記憶する。第1推定モデルM1は、3台の室内機40の各々が冷房運転を実行している期間における、統合室内機データDIVと室外機データDOとを用いて生成される。換言すれば、第1推定モデルM1は、3台の室内機40の各々が冷房運転を実行している期間における、結合データDNを用いて生成される。
第2推定モデルM2は、3台の室内機40の各々が暖房運転を実行している期間における、統合室内機データDIVと室外機データDOとを用いて生成される。換言すれば、第1推定モデルM1は、3台の室内機40の各々が暖房運転を実行している期間における、結合データDNを用いて生成される。
なお、第1推定モデルM1、及び第2推定モデルM2の各々は、例えば、ロジスティック回帰分析を用いて生成される。
本実施形態では、第1推定モデルM1、及び第2推定モデルM2が、予め生成され、予めモデル記憶部217に記憶されている場合について説明する。なお、第1推定モデルM1は、例えば、
図6を参照して説明する第1空調システム3A、及び
図10を参照して説明する第2空調システム3Bを含む種々の空調システム3において、冷房運転を実行している期間における多数の統合室内機データDIVと室外機データDOと(いわゆる、ビッグデータ)を用いて生成される。また、第2推定モデルM2は、例えば、
図6を参照して説明する第1空調システム3A、及び
図10を参照して説明する第2空調システム3Bを含む種々の空調システム3において、暖房運転を実行している期間における多数の統合室内機データDIVと室外機データDOと(いわゆる、ビッグデータ)を用いて生成される。
【0036】
取得部211は、3台の室内機40の各々の室内機データDIを取得する。取得部211は、例えば、室内機40Aから室内機データDI1を取得し、室内機40Bから室内機データDI2を取得し、室内機40Cから室内機データDI3を取得する。
本実施形態では、取得部211は、制御装置30を介して、室内機データDIを取得する。すなわち、制御装置30は、3台の室内機40の各々の室内機データDIを取得する。また、制御装置30は、取得した室内機データDIをサーバ装置2へ送信する。取得部211は、制御装置30からの室内機データDIを受信することによって、室内機データDIを取得する。
【0037】
また、取得部211は、室外機50から室外機データDOを取得する。本実施形態では、取得部211は、制御装置30を介して、室外機データDOを取得する。すなわち、制御装置30は、室外機50から室外機データDOを取得する。また、また、制御装置30は、取得した室外機データDOをサーバ装置2へ送信する。取得部211は、制御装置30からの室外機データDOを受信することによって、室外機データDOを取得する。
【0038】
データ処理部212は、所定期間PAにおける室内機データDI、及び室外機データDOに対して、以下の処理を実行する。所定期間PAは、例えば、1時間である。また、所定期間PAは、例えば、30分間でもよい。本実施形態では、所定期間PAが、1時間である場合について説明する。
所定期間PAは、「時間帯」の一例に対応する。
所定期間PAが、例えば、9時から10時である場合には、所定期間PAにおける室内機データDIとは、例えば、制御装置30が室内機40から室内機データDIを取得した時刻が9時から10時である室内機データDIである。また、所定期間PAにおける室外機データDOとは、制御装置30が室外機50から室外機データDOを取得した時刻が9時から10時である室外機データDOである。
【0039】
データ処理部212は、室内機データDI1、室内機データDI2、及び室内機データDI3に基づいて、所定期間PAごとに、3台の室内機40が「冷暖混合状態」であるか否かを判定する。「冷暖混合状態」とは、3台の室内機40のうち、少なくとも1台の室内機40が冷房運転を実行し、且つ、少なくとも1台の室内機40が暖房運転を実行していることを示す。
室内機40が「冷暖混合状態」であると判定した場合には、データ処理部212は、所定期間PAに対応する室内機データDI1、室内機データDI2、室内機データDI3、及び室外機データDOを削除する。
なお、本実施形態では、便宜上、室内機40が「冷暖混合状態」であると判定した場合に所定期間PAに対応する室内機データDI、及び室外機データDOを削除する処理を、クレンジング処理の一部として説明する。
また、データ処理部212は、3台の室内機40の各々が冷房運転を実行している場合には、冷房運転状態であると判定し、冷暖混合状態ではないと判定する。また、データ処理部212は、3台の室内機40の各々が暖房運転を実行している場合には、暖房運転状態であると判定し、冷暖混合状態ではないと判定する。
【0040】
また、データ処理部212は、第1期間P1における室内機データDI、及び室外機データDOに対して、以下のクレンジング処理を実行する。
第1期間P1は、推定部213が、冷媒漏れの有無を推定する対象の期間である。換言すれば、推定部213は、第1期間P1における室内機データDI、及び室外機データDOに基づいて、冷媒漏れの有無を推定する。第1期間P1は、例えば、3時間である。また、第1期間P1は、例えば、4時間であってもよい。なお、第1期間P1は、所定期間PAよりも長い。例えば、第1期間P1は、所定期間PAの2倍以上の整数倍である。第1期間P1は、例えば、所定期間PAの3倍である。本実施形態では、第1期間P1が、3時間である場合について説明する。
「クレンジング処理」とは、本実施形態では、推定部213が冷媒漏れの有無を推定する際に使用する運転データとして、不適切な運転データを削除する処理である。なお、削除する運転データは、室内機データDI、及び室外機データDOの少なくとも一方である。換言すれば、削除する運転データは、室内機データDI1、室内機データDI2、室内機データDI3、及び室外機データDOの少なくとも1つである。
【0041】
データ処理部212は、3台の室内機40のうち、第1期間P1において、冷房運転を実行した時間が第1時間H1以上であり、且つ、暖房運転を実行した時間が第1時間H1以上である室内機40に対応する室内機データDIを削除する。
第1時間H1は、第1期間P1の半分よりも短い。第1時間H1は、例えば、1時間である。また、第1時間H1は、例えば、0.5時間でもよい。
【0042】
例えば、データ処理部212は、室内機40Aが、第1期間P1において、冷房運転を実行した時間が第1時間H1以上であり、且つ、暖房運転を実行した時間が第1時間H1以上である場合に、第1期間P1に対応する室内機データDI1を削除する。
また、例えば、データ処理部212は、室内機40Bが、第1期間P1において、冷房運転を実行した時間が第1時間H1以上であり、且つ、暖房運転を実行した時間が第1時間H1以上である場合に、第1期間P1に対応する室内機データDI2を削除する。
また、例えば、データ処理部212は、室内機40Cが、第1期間P1において、冷房運転を実行した時間が第1時間H1以上であり、且つ、暖房運転を実行した時間が第1時間H1以上である場合に、第1期間P1に対応する室内機データDI3を削除する。
【0043】
また、データ処理部212は、3台の室内機40のうち、第1期間P1において、冷房運転を実行した時間が第2時間H2以上であり、且つ、暖房運転を実行した時間が、第2時間より短い第3時間H3以下である室内機40に対応する室内機データDIにおいて、暖房運転を実行した時間に対応する室内機データDIを削除する。
第2時間H2は、第1期間P1よりも短い。第2時間H2は、例えば、2時間である。また、第2時間H2は、例えば、1.5時間でもよい。
第3時間H3は、第2時間H2よりも短い。また、第3時間H3は、第1期間P1の半分よりも短い。第3時間H3は、例えば、1時間である。また、第3時間H3は、例えば、0.5時間でもよい。
【0044】
例えば、データ処理部212は、室内機40Aが、第1期間P1において、冷房運転を実行した時間が第2時間H2以上であり、且つ、暖房運転を実行した時間が、第2時間より短い第3時間H3以下である場合に、暖房運転を実行した時間に対応する室内機データDI1を削除する。
また、例えば、データ処理部212は、室内機40Bが、第1期間P1において、冷房運転を実行した時間が第2時間H2以上であり、且つ、暖房運転を実行した時間が、第2時間より短い第3時間H3以下である場合に、暖房運転を実行した時間に対応する室内機データDI2を削除する。
また、例えば、データ処理部212は、室内機40Cが、第1期間P1において、冷房運転を実行した時間が第2時間H2以上であり、且つ、暖房運転を実行した時間が、第2時間より短い第3時間H3以下である場合に、暖房運転を実行した時間に対応する室内機データDI3を削除する。
【0045】
また、データ処理部212は、3台の室内機40のうち、第1期間P1において、暖房運転を実行した時間が第2時間H2以上であり、且つ、冷房運転を実行した時間が、第2時間より短い第3時間以下である室内機40に対応する室内機データDIにおいて、冷房運転を実行した時間に対応する室内機データDIを削除する。
【0046】
例えば、データ処理部212は、室内機40Aが、第1期間P1において、暖房運転を実行した時間が第2時間H2以上であり、且つ、冷房運転を実行した時間が、第2時間より短い第3時間以下である場合に、冷房運転を実行した時間に対応する室内機データDI1を削除する。
また、例えば、データ処理部212は、室内機40Bが、第1期間P1において、暖房運転を実行した時間が第2時間H2以上であり、且つ、冷房運転を実行した時間が、第2時間より短い第3時間以下である場合に、冷房運転を実行した時間に対応する室内機データDI2を削除する。
また、例えば、データ処理部212は、室内機40Cが、第1期間P1において、暖房運転を実行した時間が第2時間H2以上であり、且つ、冷房運転を実行した時間が、第2時間より短い第3時間以下である場合に、冷房運転を実行した時間に対応する室内機データDI3を削除する。
クレンジング処理については、
図5を参照して更に説明する。
【0047】
また、データ処理部212は、3台の室内機40の各々が冷房運転を実行している場合、又は、3台の室内機40の各々が暖房運転を実行している場合には、統合室内機データDIVを生成する。すなわち、データ処理部212は、3台の室内機40の室内機データDIを統合して、仮想的な1台の室内機の運転データである統合室内機データDIVを生成する。
また、データ処理部212は、3台の室内機40のうち、2台の室内機40の各々が冷房運転を実行し、且つ、他の1台が運転を停止している場合に、統合室内機データDIVを生成する。すなわち、データ処理部212は、冷房運転を実行している2台の室内機40の室内機データDIを統合して、仮想的な1台の室内機の運転データである統合室内機データDIVを生成する。
また、データ処理部212は、3台の室内機40のうち、2台の室内機40の各々が暖房運転を実行し、且つ、他の1台が運転を停止している場合に、統合室内機データDIVを生成する。すなわち、データ処理部212は、暖房運転を実行している2台の室内機40の室内機データDIを統合して、仮想的な1台の室内機の運転データである統合室内機データDIVを生成する。
なお、以下の説明では、便宜上、3台の室内機40の各々が冷房運転を実行している場合、又は、3台の室内機40の各々が暖房運転を実行している場合について説明する。
【0048】
3つの室内機データDIの統合の方法は、例えば、平均化である。すなわち、データ処理部212は、室内機データDI1、室内機データDI2、及び室内機データDI3の各々に含まれる同一の検出日時のセンサSの検出値を平均化することによって統合室内機データDIVを生成する。
例えば、2023年3月1日の9時00分00秒に検出された室内機データDI1、室内機データDI2、及び室内機データDI3に対応する統合室内機データDIVの生成方法について説明する。室内機データDI1は、センサSの検出値S1を含み、室内機データDI2は、センサSの検出値S2を含み、室内機データDI3は、センサSの検出値S3を含む。データ処理部212は、統合室内機データDIVにおけるセンサSの検出値SVを、次の式(1)で求める。
SV=(S1+S2+S3)/3 (1)
【0049】
本実施形態では、データ処理部212は、検出値S1、検出値S2、及び検出値S3の平均値を算出することによって統合室内機データDIVの検出値SVを生成するが、本開示はこれに限定されない。
例えば、データ処理部212は、検出値S1、検出値S2、及び検出値S3の最大値、及び最小値の少なくとも一方を算出することによって統合室内機データDIVの検出値SVを生成してもよい。また、例えば、データ処理部212は、検出値S1、検出値S2、及び検出値S3の分散を算出することによって統合室内機データDIVの検出値SVを生成してもよい。また、データ処理部212は、検出値S1、検出値S2、及び検出値S3の最大変化量、及び最小変化量の少なくとも一方を算出することによって統合室内機データDIVの検出値SVを生成してもよい。最大変化量は、前回の検出値からの変化量のうち、最大のものである。最小変化量は、前回の検出値からの変化量のうち、最小のものである。
また、例えば、データ処理部212は、検出値S1、検出値S2、及び検出値S3の中でもっとも多く存在する値、すなわち最頻値を、統合室内機データDIVの検出値SVとして生成してもよい。
【0050】
また、データ処理部212は、統合室内機データDIVと室外機データDOを結合して結合データDNを生成する。データ処理部212は、例えば、統合室内機データDIVに含まれるデータと、室外機データDOに含まれるデータとを、同一の日時に検出されたデータ毎にまとめることによって、結合データDNを生成する。
【0051】
なお、室外機50が室外機50Aと室外機50Bとで構成される場合には、データ処理部212は、以下に記載するように、結合データDN1、及び結合データDN2を生成する。
データ処理部212は、統合室内機データDIVと、室外機50Aの室外機データDO1とを結合して結合データDN1を生成する。データ処理部212は、例えば、統合室内機データDIVに含まれるデータと、室外機データDO1に含まれるデータとを、同一の日時に検出されたデータ毎にまとめることによって、結合データDN1を生成する。
データ処理部212は、統合室内機データDIVと、室外機50Bの室外機データDO2とを結合して結合データDN2を生成する。データ処理部212は、例えば、統合室内機データDIVに含まれるデータと、室外機データDO2に含まれるデータとを、同一の日時に検出されたデータ毎にまとめることによって、結合データDN2を生成する。
【0052】
推定部213は、統合室内機データDIVと、室外機データDOとを用いて、冷媒漏れの有無を推定する。推定部213は、例えば、結合データDNを用いて、冷媒漏れの有無を推定する。
また、推定部213は、例えば、第1期間P1ごとに、結合データDNを用いて、冷媒漏れの有無を推定する。推定部213は、例えば、9時から12時の第1期間P1に、1回目の冷媒漏れの有無を推定する。推定部213は、例えば、12時から15時の第1期間P1に、2回目の冷媒漏れの有無を推定する。推定部213は、例えば、15時から18時の第1期間P1に、3回目の冷媒漏れの有無を推定する。すなわち、推定部213は、1日に3回、冷媒漏れの有無を推定する。
なお、9時から18時は、例えば、室内機40が配置されたオフィスに勤務するユーザの勤務時間である。換言すれば、推定部213は、室内機40が配置されたオフィスに勤務するユーザの勤務時間に応じて、第1期間P1ごとに冷媒漏れの有無を推定する。
【0053】
また、推定部213は、3台の室内機40の各々が冷房運転を実行している場合には、第1推定モデルM1を用いて、冷媒漏れの有無を推定する。また、推定部213は、3台の室内機40の各々が暖房運転を実行している場合には、第2推定モデルM2を用いて、冷媒漏れの有無を推定する。第1推定モデルM1、及び第2推定モデルM2は、モデル記憶部217に予め記憶される。
【0054】
また、推定部213は、クレンジング処理後の室内機データDIが、3台の室内機40のうち、所定台数NA以下の室内機40の室内機データDIである時間帯において、冷媒漏れの有無の推定を実行しない。
所定台数NAは、例えば、1台である。すなわち、推定部213は、クレンジング処理後の室内機データDIが、3台の室内機40のうち、1台以下の室内機40の室内機データDIである時間帯において、冷媒漏れの有無の推定を実行しない。換言すれば、推定部213は、クレンジング処理後の室内機データDIが、3台の室内機40のうち、2台以上の室内機40の室内機データDIである時間帯において、冷媒漏れの有無の推定を実行する。
【0055】
また、推定部213は、室外機50が室外機50Aと室外機50Bとで構成される場合には、以下の処理を実行する。すなわち、推定部213は、統合室内機データDIVと、室外機データDO1とを用いて、室外機50Aの冷媒漏れの有無を推定する。推定部213は、例えば、結合データDN1を用いて、室外機50Aの冷媒漏れの有無を推定する。
また、推定部213は、統合室内機データDIVと、室外機データDO2とを用いて、室外機50Bの冷媒漏れの有無を推定する。推定部213は、例えば、結合データDN2を用いて、室外機50Bの冷媒漏れの有無を推定する。
また、推定部213は、室外機50A又は室外機50Bに冷媒漏れがあると判定した場合には、空調システム3に冷媒漏れがあると推定する。
【0056】
また、推定部213は、推定部213の推定結果、すなわち、冷媒漏れの有無をスマートフォン6に対して報知する。推定部213は、例えば、冷媒漏れの有無を推定する度に、冷媒漏れの有無をスマートフォン6に対して報知する。また、推定部213は、例えば、空調システム3に冷媒漏れがあると推定した場合に限って、冷媒漏れがあることをスマートフォン6に対して報知してもよい。
【0057】
指示部214は、第1期間P1よりも長い第2期間P2において、推定部213が冷媒漏れの有無の推定を実行しない場合に、3台の室内機40の各々に対して、冷房運転、又は、暖房運転を実行させる。
第2期間P2は、24時間よりも短い。第2期間P2は、例えば、9時間である。また、第2期間P2は、例えば、12時間である。第2期間P2は、第1期間P1の2倍以上の整数倍である。本実施形態では、第2期間P2は、9時間である。すなわち、第2期間P2は、第1期間P1の3倍である。
【0058】
また、指示部214は、第1期間P1以上の期間において、3台の室内機40の各々に対して、冷房運転、又は、暖房運転を実行させる。第1期間P1以上の期間は、例えば、3時間である。第1期間P1以上の期間は、例えば、4時間であってもよい。指示部214は、例えば、深夜の時間帯に、3台の室内機40の各々に対して、冷房運転、又は、暖房運転を実行させる。深夜の時間帯とは、例えば、0時から6時の時間帯である。
また、指示部214は、推定部213による前回の冷媒漏れの有無の推定が、冷房運転の統合室内機データDIVを用いて実行された場合には、指示部214は、3台の室内機40の各々に対して、冷房運転を実行させる。また、指示部214は、推定部213による前回の冷媒漏れの有無の推定が、暖房運転の統合室内機データDIVを用いて実行された場合には、指示部214は、3台の室内機40の各々に対して、暖房運転を実行させる。
【0059】
推定部213は、指示部214の指示に応じて実行された冷房運転、又は暖房運転に対応する統合室内機データDIVと、室外機データDO2とを用いて、冷媒漏れの有無を推定する。また、推定部213は、推定部213の推定結果、すなわち、冷媒漏れの有無をスマートフォン6に対して報知する。
【0060】
[4.制御部の処理]
次に、
図4を参照して、サーバ装置2の制御部21の処理について説明する。
図4は、本実施形態における制御部200の処理の一例を示すフローチャートである。
まず、
図4に示すように、ステップS101において、取得部211は、制御装置30から室内機データDI、及び室外機データDOを取得する。また、取得部211は、室内機データDI、及び室外機データDOをデータ記憶部216に記憶する。なお、室内機データDIは、室内機データDI1、室内機データDI2、及び室内機データDI3で構成される。
次に、ステップS103において、データ処理部212は、室内機データDIに基づいて、室内機40が「冷暖混合状態」であるか否かを判定する。「冷暖混合状態」とは、3台の室内機40のうち、少なくとも1台の室内機40が冷房運転を実行し、且つ、少なくとも1台の室内機40が暖房運転を実行していることを示す。室内機40が「冷暖混合状態」であるとデータ処理部212が判定した場合(ステップS103;YES)には、データ処理部212は、ステップS101において取得した室内機データDI、及び室外機データDOを破棄する。その後、処理がステップS101へ戻される。室内機40が「冷暖混合状態」ではないとデータ処理部212が判定した場合(ステップS103;NO)には、処理がステップS105へ進む。
【0061】
次に、ステップS105において、データ処理部212は、室内機データDI、及び室外機データDOの「データチェック」を実行する。「データチェック」とは、室内機データDI、及び室外機データDOに含まれるデータが、予め設定されたデータ形式であるか否かの判定処理である。データ処理部212は、例えば、予め設定されたデータ形式ではないと判定されたデータがある場合には、そのデータを含む日時のデータを削除する。
次に、ステップS107において、データ処理部212は、室内機データDIの「クレンジング処理」を実行する。「クレンジング処理」とは、本実施形態では、推定部213が冷媒漏れの有無を推定する際に使用する運転データとして、不適切な運転データを削除する処理である。
例えば、データ処理部212は、3台の室内機40のうち、第1期間P1において、冷房運転を実行した時間が第1時間H1以上であり、且つ、暖房運転を実行した時間が第1時間H1以上である室内機40に対応する室内機データDIを削除する。
また、例えば、データ処理部212は、3台の室内機40のうち、第1期間P1において、冷房運転を実行した時間が第2時間H2以上であり、且つ、暖房運転を実行した時間が、第2時間より短い第3時間H3以下である室内機40に対応する室内機データDIにおいて、暖房運転を実行した時間に対応する室内機データDIを削除する。
また、例えば、データ処理部212は、3台の室内機40のうち、第1期間P1において、暖房運転を実行した時間が第2時間H2以上であり、且つ、冷房運転を実行した時間が、第2時間より短い第3時間以下である室内機40に対応する室内機データDIにおいて、冷房運転を実行した時間に対応する室内機データDIを削除する。
【0062】
次に、ステップS109において、データ処理部212は、室内機データDI1、室内機データDI2、及び室内機データDI3から、仮想的な1台の室内機の運転データである統合室内機データDIVを生成する。また、データ処理部212は、統合室内機データDIVと室外機データDOとを結合して、結合データDNを生成する。
次に、ステップS111において、データ処理部212は、結合データDNに含まれる2つ以上のセンサSの検出結果を用いたパラメータを生成し、生成したパラメータを結合データDNに追加する。パラメータは、例えば、圧縮機吸入過熱度TPを含む。圧縮機吸入過熱度TPは、次の式(2)で規定される。
TP=SCT-LP (2)
ここで、冷媒温度SCTは、圧縮機51の上流側の冷媒温度であって、
図4に示す温度センサTSによって検出される。蒸発飽和温度LPは、冷媒の蒸発飽和温度であって、冷房運転のときには、
図4に示す温度センサE2によって検出され、暖房運転のときには、温度センサC2によって検出される。
【0063】
次に、ステップS113において、推定部213は、取得部211が室内機データDI、及び室外機データDOの取得を開始した時点、又は、予め設定された時点から第1期間P1が経過したか否かを判定する。取得部211が室内機データDI、及び室外機データDOの取得を開始した時点は、例えば、9時である。予め設定された時点は、例えば、12時、及び15時である。第1期間P1が経過していないと推定部213が判定した場合(ステップS113;NO)には、処理がステップS101へリターンされる。第1期間P1が経過したと推定部213が判定した場合(ステップS113;YES)には、処理がステップS115へ進む。
そして、ステップS115において、推定部213は、ステップS109で生成された結合データDNを用いて、冷媒漏れの有無を推定することが可能であるか否かを判定する。例えば、結合データDNに含まれる有効な室内機データDI3、及び室外機データDOの時間が、閾値時間TA未満である場合には、冷媒漏れの有無を推定することが可能ではないと判定する。例えば、結合データDNに含まれる有効な室内機データDI3、及び室外機データDOの時間が、閾値時間TA以上である場合には、冷媒漏れの有無を推定することが可能であると判定する。閾値時間TAは、例えば、1時間である。有効な室内機データDI3、及び室外機データDOとは、例えば、データの欠落等のないデータである。
【0064】
冷媒漏れの有無を推定することが可能ではないと推定部213が判定した場合(ステップS115;NO)には、処理がステップS121へ進む。冷媒漏れの有無を推定することが可能であると推定部213が判定した場合(ステップS115;YES)には、処理がステップS117へ進む。
そして、ステップS117において、推定部213は、結合データDNを用いて、冷媒漏れの有無を推定する。推定部213は、3台の室内機40の各々が冷房運転を実行している場合には、第1推定モデルM1を用いて、冷媒漏れの有無を推定する。また、推定部213は、3台の室内機40の各々が暖房運転を実行している場合には、第2推定モデルM2を用いて、冷媒漏れの有無を推定する。
次に、ステップS119において、推定部213は、冷媒漏れの有無の推定結果をスマートフォン6に対して報知する。その後、処理がステップS101へリターンされる。
【0065】
ステップS115でNOの場合には、ステップS121において、指示部214は、取得部211が室内機データDI、及び室外機データDOの取得を開始した時点から第2期間P2が経過したか否かを判定する。取得部211が室内機データDI、及び室外機データDOの取得を開始した時点は、例えば、9時である。
第2期間P2が経過していないと指示部214が判定した場合(ステップS121;NO)には、処理がステップS101へリターンされる。第2期間P2が経過したと指示部214が判定した場合(ステップS121;YES)には、処理がステップS123へ進む。
そして、ステップS123において、指示部214は、推定部213が冷媒漏れの有無の推定の実行が完了したか否かを判定する。すなわち、指示部214は、第2期間P2において、推定部213によって冷媒漏れの有無の推定が実行されたか否かを判定する。
推定部213が冷媒漏れの有無の推定の実行が完了したと指示部214が判定した場合(ステップS123:YES)には、処理がステップS101へリターンされる。推定部213が冷媒漏れの有無の推定の実行が完了していないと指示部214が判定した場合(ステップS123:NO)には、処理がステップS125へ進む。
そして、ステップS125において、指示部214は、3台の室内機40の各々に対して、冷房運転、又は、暖房運転を実行させる。すなわち、指示部214は、3台の室内機40の各々を強制的に運転させる。その後、処理がステップS101へリターンされる。
【0066】
ステップS101は、「取得ステップ」の一例に対応する。ステップS103、及び、ステップS107は、「データ処理ステップ」の一例に対応する。ステップS117は、「推定ステップ」の一例に対応する。
【0067】
[5.クレンジング処理の一例]
次に、
図5を参照して、クレンジング処理の一例について説明する。
図5は、本実施形態におけるサーバ装置2のクレンジング処理の一例を示す図である。
図5は、室内機40Aの第1期間P1における運転状態の変化を示す。運転状態は、運転及び停止の選択状態と、運転モードとを含む。
図5の上段に、運転及び停止の選択状態を示す。運転及び停止の選択状態において、「1」は、運転状態を示し、「0」は停止状態を示す。
図5の中段に、運転モードを示す。運転モードにおいて、「1」は冷房運転を示し、「2」は暖房運転を示し、「5」は、除湿運転を示す。本実施形態では、除湿運転は、冷房運転の一部とする。
図5の下段に、時間Tを示す横軸を示す。時間Tは、
図5の左から右に向かう。時間T11から時間T16までの期間が、第1期間P1に対応する。第1期間P1は、例えば、3時間である。
【0068】
図5に示すように、時間T11から時間T12の間において、運転及び停止の選択状態は、運転状態を示す「1」であり、運転モードは、除湿運転を示す「5」である。時間T12において、運転モードは、除湿運転を示す「5」から冷房運転を示す「1」に変化する。
時間T12から時間T13の間において、運転及び停止の選択状態は、運転状態を示す「1」であり、運転モードは、冷房運転を示す「1」である。時間T13において、運転及び停止の選択状態は、運転状態を示す「1」から停止状態を示す「0」に変化する。
時間T13から時間T14の間において、運転及び停止の選択状態は、停止状態を示す「0」であり、運転モードは、冷房運転を示す「1」である。時間T14において、運転及び停止の選択状態は、停止状態を示す「0」から運転状態を示す「1」に変化する。
時間T14から時間T15の間において、運転及び停止の選択状態は、運転状態を示す「1」であり、運転モードは、冷房運転を示す「1」である。時間T15において、運転モードは、冷房運転を示す「1」から暖房運転を示す「2」に変化する。
時間T15から時間T16の間において、運転及び停止の選択状態は、運転状態を示す「1」であり、運転モードは、暖房運転を示す「2」である。
【0069】
図5に示すように、運転及び停止の選択状態、及び運転モードが変化する場合には、時間T13から時間T14の間では、室内機40Aが停止状態であるため、室内機データDI1として、有効なデータが取得できない。よって、データ処理部212は、時間T13から時間T14の期間PD1の室内機データDI1を削除する。
また、時間T11から時間T13の間、及び時間T14から時間T15の間は、冷房運転が実行される。冷房運転が実行される時間は、例えば、第2時間H2以上である。第2時間H2は、例えば、2時間である。また、時間T15から時間T16の間は、暖房運転が実行される。暖房運転が実行される時間は、第3時間H3以下である。第3時間H3は、例えば、1時間である。
すなわち、
図5に示す第1期間P1において、冷房運転を実行した時間が第2時間H2以上であり、且つ、暖房運転を実行した時間が、第3時間H3以下である。したがって、データ処理部212は、暖房運転を実行した時間T15から時間T16の期間PD2に対応する室内機データDI1を削除する。
【0070】
[6.第1実施形態]
次に、
図6-
図9を参照して、第1実施形態に係る第1空調管理システム1Aについて説明する。第1実施形態に係る第1空調管理システム1Aは、空調システム3として、第1空調システム3Aを含む。
図6は,第1実施形態に係る第1空調システム3Aの構成の一例を示す図である。
図6に示すように、第1空調システム3Aは、3台の室内機40と、1台の室外機50Aとで構成される。3台の室内機40は、室内機40A、室内機40B、及び室内機40Cで構成れる。
室内機40A、室内機40B、及び室内機40Cの各々は、室外機50Aと、
図2を参照して説明したように、冷媒配管で冷媒が流動可能に構成される。換言すれば、室内機40A、室内機40B、及び室内機40Cと、室外機50Aとは、1つの冷媒回路RCを構成する。
【0071】
次に、
図7を参照して、室内機データDI、及び室外機データDOについて説明する。
図7は、第1空調システム3Aから取得する運転データDAの一例を示す図である。
図7に示すように運転データDAは、室内機データDI1、室内機データDI2、室内機データDI3、及び室外機データDOで構成される。室内機データDI1、室内機データDI2、室内機データDI3、及び室外機データDOは、取得部211によって、第1空調システム3Aの制御装置30から取得される。室内機データDI1は、室内機40Aの運転データである。室内機データDI2は、室内機40Bの運転データである。室内機データDI3は、室内機40Cの運転データである。室外機データDOは、室外機50Aの運転データである。
【0072】
室内機データDI1、室内機データDI2、及び室内機データDI3の各々は、互いに同一の構成を有する。室内機データDI1、室内機データDI2、及び室内機データDI3の各々には、
図7の上下方向に検出日時の値が、例えば、検出日時T1、検出日時T2、検出日時T3と記載されている。また、
図7には、室内機データDI1、室内機データDI2、及び室内機データDI3の各々の検出項目が記載される。検出項目は、室内機40A、室内機40B、及び室内機40Cの各々の運転状態を示す項目と、室内機40A、室内機40B、及び室内機40Cに配置されたセンサSの検出値とを含む。
【0073】
室内機40A、室内機40B、及び室内機40Cの各々の運転状態を示す項目としては、運転及び停止の状態と、運転状態モードとを含む。運転状態モードは、冷房運転、暖房運転、除湿運転等を含む。運転及び停止の状態の値は、例えば、「0」が停止を示し、「1」が運転を示す。運転状態モードの値は、例えば、「1」が冷房運転を示し、「2」が暖房運転を示す。
【0074】
室内機40A、室内機40B、及び室内機40Cに配置されたセンサSの検出値は、
図2に示す温度センサE1の検出値と、温度センサE2の検出値とを含む。温度センサE1は、室内熱交換器41に配置され冷房運転時の冷媒の蒸発飽和温度LPを検出する。温度センサE2は、冷房運転時の室内熱交換器41の上流に配置される。
【0075】
室外機データDOには、
図7の上下方向に検出日時の値が、例えば、検出日時T1、検出日時T2、検出日時T3と記載される。また、室外機データDOには、
図7の左右方向には、検出項目が記載される。検出項目は、室外機50Aに配置されたセンサSの検出値で構成される。
【0076】
室外機50Aに配置されたセンサSの検出値は、冷媒温度SCTと、凝縮飽和温度HPと、を含む。冷媒温度SCTは、
図2に示す温度センサTSによって検出される。温度センサTSは、圧縮機51の上流側に配置される。また、凝縮飽和温度HPは、例えば、
図2に示す温度センサC1によって検出される。温度センサC1は、室外熱交換器53の吐出側に配置される。
【0077】
次に、
図8を参照して、データ処理部212による統合室内機データDIVの生成処理について説明する。
図8は、第1空調システムにおける統合処理の一例を示す図である。
図8の左部には、室内機データDI1、室内機データDI2、及び室内機データDI3の一例を示す。
図8に示す室内機データDI1、室内機データDI2、及び室内機データDI3は、
図7に示す室内機データDI1、室内機データDI2、及び室内機データDI3と同一である。
【0078】
データ処理部212は、室内機データDI1、室内機データDI2、及び室内機データDI3を統合して、仮想的な1台の室内機の運転データである統合室内機データDIVを生成する。
室内機データDI1、室内機データDI2、及び室内機データDI3の各々には、
図8の左右方向には、検出項目が記載される。検出項目は、室内機40A、室内機40B、及び室内機40Cの各々の運転状態を示す項目と、室内機40A、室内機40B、及び室内機40Cに配置されたセンサSの検出値とを含む。
【0079】
室内機40A、室内機40B、及び室内機40Cの各々の運転状態を示す項目としては、運転及び停止の状態と、運転状態モードとを含む。運転状態モードは、冷房運転、暖房運転、除湿運転等を含む。運転及び停止の状態の値は、例えば、「0」が停止を示し、「1」が運転を示す。運転状態モードの値は、例えば、「1」が冷房運転を示し、「2」が暖房運転を示す。
図8に示すように、室内機データDI1、室内機データDI2、及び室内機データDI3の各々では、運転及び停止の状態の値は、「1」であり、室内機40A、室内機40B、及び室内機40Cの各々が運転状態にあることを示す。また、室内機データDI1、室内機データDI2、及び室内機データDI3の各々では、運転状態モードの値は、「1」であり、室内機40A、室内機40B、及び室内機40Cの各々の運転モードが冷房運転にあることを示す。
そこで、統合室内機データDIVでは、運転及び停止の状態の値は、「1」であり、運転状態モードの値は、「1」である。
【0080】
また、室内機40A、室内機40B、及び室内機40Cに配置されたセンサSの検出値は、
図2に示す温度センサE1の検出値と、温度センサE2の検出値とを含む。データ処理部212は、室内機データDI1、室内機データDI2、及び室内機データDI3の各々に含まれる同一の検出日時のセンサSの検出値を平均化することによって統合室内機データDIVを生成する。
【0081】
すなわち、データ処理部212は、室内機データDI1、室内機データDI2、及び室内機データDI3の各々に含まれる同一の検出日時の温度センサE1の検出値を平均化することによって、統合室内機データDIVに含まれる温度センサE1の検出値を算出する。
例えば、データ処理部212は、室内機データDI1、室内機データDI2、及び室内機データDI3の各々に含まれる検出日時T1の温度センサE1の検出値を平均化することによって、統合室内機データDIVに含まれる検出日時T1の温度センサE1の検出値を算出する。また、例えば、データ処理部212は、室内機データDI1、室内機データDI2、及び室内機データDI3の各々に含まれる検出日時T2の温度センサE1の検出値を平均化することによって、統合室内機データDIVに含まれる検出日時T2の温度センサE1の検出値を算出する。また、例えば、データ処理部212は、室内機データDI1、室内機データDI2、及び室内機データDI3の各々に含まれる検出日時T3の温度センサE1の検出値を平均化することによって、統合室内機データDIVに含まれる検出日時T3の温度センサE1の検出値を算出する。
【0082】
また、データ処理部212は、室内機データDI1、室内機データDI2、及び室内機データDI3の各々に含まれる同一の検出日時の温度センサE2の検出値を平均化することによって、統合室内機データDIVに含まれる温度センサE2の検出値を算出する。
例えば、データ処理部212は、室内機データDI1、室内機データDI2、及び室内機データDI3の各々に含まれる検出日時T1の温度センサE2の検出値を平均化することによって、統合室内機データDIVに含まれる検出日時T1の温度センサE2の検出値を算出する。また、例えば、データ処理部212は、室内機データDI1、室内機データDI2、及び室内機データDI3の各々に含まれる検出日時T2の温度センサE2の検出値を平均化することによって、統合室内機データDIVに含まれる検出日時T2の温度センサE2の検出値を算出する。また、例えば、データ処理部212は、室内機データDI1、室内機データDI2、及び室内機データDI3の各々に含まれる検出日時T3の温度センサE2の検出値を平均化することによって、統合室内機データDIVに含まれる検出日時T3の温度センサE2の検出値を算出する。
このようにして、データ処理部212は、
図8の右部に示す統合室内機データDIVを生成する。
【0083】
次に、
図9を参照して、データ処理部212による結合データDNの生成処理について説明する。
図9は、第1空調システム3Aにおける結合データDNの一例を示す図である。
データ処理部212は、
図8に示す統合室内機データDIVと、
図7に示す室外機データDOとを結合することによって、結合データDNを生成する。
統合室内機データDIVと、室外機データDOとは、検出日時の値が対応している。そこで、データ処理部212は、検出日時の値に対応付けて、室外機データDOに含まれる検出項目の値と、統合室内機データDIVを構成する運転状態を示す項目の値、及び検出項目の値と、を結合することによって、結合データDNを生成する。
【0084】
結合データDNは、
図9の上下方向に検出日時の値が、例えば、検出日時T1、検出日時T2、検出日時T3と記載される。また、結合データDNは、
図9の左右方向には、検出項目が記載される。検出項目は、室外機データDOに含まれる検出項目と、統合室内機データDIVに含まれる運転状態を示す項目、及び、検出項目と、で構成される。室外機データDOに含まれる検出項目は、冷媒温度SCTと、凝縮飽和温度HPと、を含む。統合室内機データDIVに含まれる運転状態を示す項目は、運転及び停止の状態と、運転状態モードとを含む。統合室内機データDIVに含まれる検出項目は、温度センサE1の検出値と、温度センサE2の検出値とを含む。
このようにして、データ処理部212は、
図9示す結合データDNを生成する。結合データDNは、推定部213に供給される運転データDBの一例に対応する。
【0085】
[7.第2実施形態]
次に、
図10-
図12を参照して、第2実施形態に係る第2空調管理システム1Bについて説明する。第2空調管理システム1Bは、空調システム3として、第2空調システム3Bを含む。
図10は,第2実施形態に係る第2空調システム3Bの構成の一例を示す図である。
図10に示すように、第2空調システム3Bは、3台の室内機40と、2台の室外機50とで構成される。3台の室内機40は、室内機40A、室内機40B、及び室内機40Cで構成れる。2台の室外機50は、室外機50A、及び室外機50Bで構成される。
室内機40A、室内機40B、及び室内機40Cの各々は、室外機50A、及び室外機50Bの各々と、
図2を参照して説明したように、冷媒配管で冷媒が流動可能に構成される。換言すれば、室内機40A、室内機40B、及び室内機40Cと、室外機50A、及び室外機50Bとは、1つの冷媒回路RCを構成する。
【0086】
次に、
図11を参照して、室内機データDI、及び室外機データDOについて説明する。
図11は、第2空調システム3Bから取得する運転データDAの一例を示す図である。
図11に示すように運転データDBは、室内機データDI1、室内機データDI2、室内機データDI3、室外機データDO1、及び室外機データDO2で構成される。室内機データDI1、室内機データDI2、室内機データDI3、室外機データDO1、及び室外機データDO2は、取得部211によって、第2空調システム3Bの制御装置30から取得される。室内機データDI1は、室内機40Aの運転データである。室内機データDI2は、室内機40Bの運転データである。室内機データDI3は、室内機40Cの運転データである。室外機データDO1は、室外機50Aの運転データである。室外機データDO2は、室外機50Bの運転データである。
【0087】
室内機データDI1、室内機データDI2、及び室内機データDI3の各々は、互いに同一の構成を有する。室内機データDI1、室内機データDI2、及び室内機データDI3の各々は、
図7に示す室内機データDI1、室内機データDI2、及び室内機データDI3の各々と同一であるため、その説明を省略する。
【0088】
室外機データDO1は,
図11の上下方向に検出日時の値が、例えば、検出日時T1、検出日時T2、検出日時T3と記載される。また、室外機データDOには、
図11の左右方向には、検出項目が記載される。検出項目は、室外機50Aに配置されたセンサSの検出値で構成される。室外機50Aに配置されたセンサSの検出値は、
図7を参照して説明した室外機50Aに配置されたセンサSの検出値と同一である。
【0089】
データ処理部212は、
図11に示す室内機データDI1、室内機データDI2、及び室内機データDI3を統合して、仮想的な1台の室内機の運転データである統合室内機データDIVを生成する。統合室内機データDIVの生成方法は、
図8を参照して説明した統合室内機データDIVの生成方法と同一であるため、ここでは、その説明を省略する。
【0090】
次に、
図12を参照して、データ処理部212による結合データDNの生成処理について説明する。
図12は、第2空調システム3Bにおける結合データDNの一例を示す図である。
データ処理部212は、統合室内機データDIVと、
図11に示す室外機データDO1を結合することによって、結合データDN1とを生成する。また、データ処理部212は、統合室内機データDIVと、
図11に示す室外機データDO2とを結合することによって、結合データDN1を生成する。
統合室内機データDIVと、室外機データDO1、及び室外機データDO2の各々とは、検出日時の値が対応している。そこで、データ処理部212は、検出日時の値に対応付けて、室外機データDO1に含まれる検出項目の値と、統合室内機データDIVを構成する運転状態を示す項目の値、及び検出項目の値と、を結合することによって、結合データDN1を生成する。また、データ処理部212は、検出日時の値に対応付けて、室外機データDO2に含まれる検出項目の値と、統合室内機データDIVを構成する運転状態を示す項目の値、及び検出項目の値と、を結合することによって、結合データDN2を生成する。
【0091】
結合データDN1は、
図12の上下方向に検出日時の値が、例えば、検出日時T1、検出日時T2、検出日時T3と記載される。また、結合データDNは、
図12の左右方向には、検出項目が記載される。検出項目は、室外機データDO1に含まれる検出項目と、統合室内機データDIVに含まれる運転状態を示す項目、及び、検出項目と、で構成される。室外機データDO1に含まれる検出項目は、冷媒温度SCTと、凝縮飽和温度HPと、を含む。統合室内機データDIVに含まれる運転状態を示す項目は、運転及び停止の状態と、運転状態モードとを含む。統合室内機データDIVに含まれる検出項目は、温度センサE1の検出値と、温度センサE2の検出値とを含む。
【0092】
結合データDN1は、
図12の上下方向に検出日時の値が、例えば、検出日時T1、検出日時T2、検出日時T3と記載される。また、結合データDNは、
図12の左右方向には、検出項目が記載される。検出項目は、室外機データDO1に含まれる検出項目と、統合室内機データDIVに含まれる運転状態を示す項目、及び、検出項目と、で構成される。
結合データDN2は、
図12の上下方向に検出日時の値が、例えば、検出日時T1、検出日時T2、検出日時T3と記載される。また、結合データDN2は、
図12の左右方向には、検出項目が記載される。検出項目は、室外機データDO2に含まれる検出項目と、統合室内機データDIVに含まれる運転状態を示す項目、及び、検出項目と、で構成される。
このようにして、データ処理部212は、
図12に示す結合データDNを生成する。結合データDNは、結合データDN1と、結合データDN2とで構成される。また、結合データDNは、推定部213に供給される運転データDBの一例に対応する。
【0093】
[8.効果等]
以上説明したように、複数台の室内機40と、室外機50と、複数台の室内機40と室外機50との間で冷媒を流動させる冷媒回路RCと、サーバ装置2と、を備える空調管理システム1であって、サーバ装置2は、複数台の室内機40の各々の室内機データDIを取得する取得部211と、複数台の室内機40の各々に対応する室内機データDIに対して、クレンジング処理を行うデータ処理部212と、データ処理部212によるクレンジング処理後の室内機データDIに基づいて、冷媒漏れの有無を推定する推定部213と、を備え、データ処理部212は、複数台の室内機40のうち、少なくとも1台の室内機40が冷房運転を実行し、且つ、他の少なくとも1台の室内機40が暖房運転を実行している時間帯における室内機データDIを削除する。
【0094】
空調管理システム1によれば、複数台の室内機40のうち、少なくとも1台の室内機40が冷房運転を実行し、且つ、他の少なくとも1台の室内機40が暖房運転を実行している時間帯における室内機データDIを削除する。
一方、少なくとも1台の室内機40が冷房運転を実行し、且つ、他の少なくとも1台の室内機40が暖房運転を実行している時間帯における室内機データDIを用いて冷媒漏れの有無が推定する場合には、適正な推定が行われない可能性がある。よって、少なくとも1台の室内機40が冷房運転を実行し、且つ、少なくとも1台の室内機40が暖房運転を実行している時間帯における室内機データDIを用いて冷媒漏れの有無が推定されることを抑制できる。したがって、複数台の室内機40の各々が異なる運転モードで運転している時間帯がある場合に、冷媒漏れの有無を適正に推定できる。
【0095】
また、空調管理システム1において、複数台は、3台以上であり、推定部213は、データ処理部212によるクレンジング処理後の室内機データDIが、3台以上の室内機40のうち、所定台数NA以下の室内機40の室内機データDIである時間帯において、冷媒漏れの有無の推定を実行しない。
【0096】
この構成によれば、複数台は、3台以上であり、クレンジング処理後の室内機データDIが、3台以上の室内機40のうち、所定台数NA以下の室内機40の室内機データDIである時間帯において、冷媒漏れの有無の推定を実行しない。
よって、所定台数NAを適正に設定することによって、適正ではない室内機データDIを用いて冷媒漏れの有無が推定されることを抑制できる。したがって、冷媒漏れの有無を適正に推定できる。
【0097】
また、空調管理システム1において、推定部213は、第1期間P1毎に、冷媒漏れの有無を推定し、データ処理部212は、複数台の室内機40のうち、第1期間P1において、冷房運転を実行した時間が第1時間H1以上であり、且つ、暖房運転を実行した時間が第1時間H1以上である室内機40に対応する室内機データDIを削除する。
【0098】
この構成によれば、第1期間P1毎に、冷媒漏れの有無を推定し、複数台の室内機40のうち、第1期間P1において、冷房運転を実行した時間が第1時間H1以上であり、且つ、暖房運転を実行した時間が第1時間H1以上である室内機40に対応する室内機データDIを削除する。
よって、第1時間H1を適正に設定することによって、適正ではない室内機データDIを用いて冷媒漏れの有無が推定されることを抑制できる。したがって、冷媒漏れの有無を適正に推定できる。
【0099】
また、空調管理システム1において、データ処理部212は、複数台の室内機40のうち、第1期間P1において、冷房運転を実行した時間が第2時間H2以上であり、且つ、暖房運転を実行した時間が、第2時間H2より短い第3時間H3以下である室内機40に対応する室内機データDIにおいて、暖房運転を実行した時間に対応する室内機データDIを削除し、複数台の室内機40のうち、第1期間P1において、暖房運転を実行した時間が第2時間H2以上であり、且つ、冷房運転を実行した時間が、第3時間H3以下である室内機40に対応する室内機データDIにおいて、冷房運転を実行した時間に対応する室内機データDIを削除する。
【0100】
この構成によれば、複数台の室内機40のうち、第1期間P1において、冷房運転を実行した時間が第2時間H2以上であり、且つ、暖房運転を実行した時間が、第2時間H2より短い第3時間H3以下である室内機40に対応する室内機データDIにおいて、暖房運転を実行した時間に対応する室内機データDIを削除し、複数台の室内機40のうち、第1期間P1において、暖房運転を実行した時間が第2時間H2以上であり、且つ、冷房運転を実行した時間が、第3時間H3以下である室内機40に対応する室内機データDIにおいて、冷房運転を実行した時間に対応する室内機データDIを削除する。
よって、第2時間H2、及び第3時間H3を適正に設定することによって、適正ではない室内機データDIを用いて冷媒漏れの有無が推定されることを抑制できる。したがって、冷媒漏れの有無を適正に推定できる。
【0101】
また、空調管理システム1において、推定部213は、第1期間P1毎に、冷媒漏れの有無を推定し、第1期間P1よりも長い第2期間P2において、推定部213が冷媒漏れの有無の推定を実行しない場合に、複数台の室内機40の各々に対して、冷房運転、又は、暖房運転を実行させる指示部214を、更に備える。
【0102】
この構成によれば、第1期間P1毎に、冷媒漏れの有無を推定し、第1期間P1よりも長い第2期間P2において、冷媒漏れの有無の推定を実行しない場合に、複数台の室内機40の各々に対して、冷房運転、又は、暖房運転を実行させる。
よって、第2期間P2を適正な期間に設定することによって、例えば、1日に少なくとも1回は、冷媒漏れの有無を確実に推定できる。したがって、ユーザの利便性を向上できる。
【0103】
また、空調管理システム1において、推定部213は、複数台の室内機40の各々が冷房運転を実行している場合には、第1推定モデルM1を用いて、冷媒漏れの有無を推定し、複数台の室内機40の各々が暖房運転を実行している場合には、第1推定モデルM1と異なる第2推定モデルM2を用いて、冷媒漏れの有無を推定する。
【0104】
この構成によれば、複数台の室内機40の各々が冷房運転を実行している場合には、第1推定モデルM1を用いて、冷媒漏れの有無を推定し、複数台の室内機40の各々が暖房運転を実行している場合には、第1推定モデルM1と異なる第2推定モデルM2を用いて、冷媒漏れの有無を推定する。
したがって、第1推定モデルM1、及び第2推定モデルM2を適正に構成することによって、冷媒漏れの有無を適正に推定できる。
【0105】
また、空調管理システム1において、第1推定モデルM1は、複数台の室内機40の各々が冷房運転を実行している期間における、統合室内機データDIVと室外機データDOとを用いて生成され、第2推定モデルM2は、複数台の室内機40の各々が暖房運転を実行している期間における、統合室内機データDIVと室外機データDOとを用いて生成される。
【0106】
この構成によれば、第1推定モデルM1は、複数台の室内機40の各々が冷房運転を実行している期間における、統合室内機データDIVと室外機データDOとを用いて生成され、第2推定モデルM2は、複数台の室内機40の各々が暖房運転を実行している期間における、統合室内機データDIVと室外機データDOとを用いて生成される。
したがって、第1推定モデルM1、及び第2推定モデルM2を適正に生成できる。
【0107】
また、空調管理システム1において、データ処理部212は、複数台の室内機40の各々に対応する室内機データDIを統合して、統合室内機データDIVを生成し、推定部213は、統合室内機データDIVに基づいて、冷媒漏れの有無を推定する。
【0108】
この構成によれば、複数台の室内機40の各々に対応する室内機データDIを統合して、統合室内機データDIVを生成し、統合室内機データDIVに基づいて、冷媒漏れの有無を推定する。
したがって、複数台の室内機40を有する場合であっても、統合室内機データDIVに基づいて、冷媒漏れの有無を適正に推定できる。
【0109】
空調管理システム1の冷媒漏れ推定方法は、複数台の室内機40が冷媒配管に接続された空調管理システム1の冷媒漏れ推定方法であって、複数台の室内機40の各々の室内機データDIを取得する取得ステップと、複数台の室内機40の各々に対応する室内機データDIに対して、クレンジング処理を行うデータ処理ステップと、クレンジング処理後の室内機データDIに基づいて、冷媒漏れの有無を推定する推定ステップと、を実行し、データ処理ステップにおいて、複数台の室内機40のうち、少なくとも1台の室内機40が冷房運転を実行し、且つ、少なくとも1台の室内機40が暖房運転を実行している時間帯における室内機データDIを削除する。
【0110】
空調管理システム1の冷媒漏れ推定方法によれば、空調管理システム1と同様の作用効果を奏する。
【0111】
[9.他の実施の形態]
以上のように、本出願において開示する例示として、上記実施の形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0112】
本実施形態では、室内機40が、3台の室内機40で構成される場合について説明するが、本開示はこれに限定されない。室内機40が、2台の室内機40で構成されてもよい。また、室内機40が、4台以上の室内機40で構成されてもよい。
本実施形態では、室外機50が1台又は2台である場合について説明するが、本開示はこれに限定されない。室外機50が、例えば、3台以上で構成されてもよい。
【0113】
本実施形態では、「管理装置」がサーバ装置2である場合について説明するが、本開示はこれに限定されない。「管理装置」が、例えば、制御装置30であってもよい。また、「管理装置」が、例えば、ビルに設けられる集中管理装置であっても良い。また、「管理装置」が、制御装置30と通信可能に接続されたパーソナルコンピューター、タブレット端末、スマートフォン、クラウド環境で提供されるコンピューティングサービス等でもよい。
【0114】
本実施形態では、サーバ装置2が、冷媒漏れの有無の推定結果を、スマートフォン6へ送信する場合について説明するが、本開示はこれに限定されない。サーバ装置2が、冷媒漏れの有無の推定結果を、例えば、パーソナルコンピューター、タブレット端末等に送信してもよい。
【0115】
本実施形態では、第1推定モデルM1、及び第2推定モデルM2の各々は、ロジスティック回帰分析を用いて生成される場合について説明するが、本開示はこれに限定されない。第1推定モデルM1、及び第2推定モデルM2の各々は、例えば、ディープラーニング等の機械学習によって、統合室内機データDIVと室外機データDOとを用いて生成されてもよい。
【0116】
なお、室内機40が、除湿運転を実行している場合にも、室内機40が、冷房運転を実行しているとして取り扱っても良い。除湿運転を実行している場合にも、室内熱交換器41を蒸発器として機能させるためである。
【0117】
また、複数の室内機40の内、運転状態が同じ室内機40を統合しても良い。例えば、室内機40A、室内機40B、室内機40Cを有し、室内機40Aと室内機40Bが冷房運転状態であり、室内機40Cが運転停止状態である場合には、室内機40Aの運転データと室内機40Bの運転データとを統合する。この場合には、同一運転状態である室内機40の台数が所定値以下の時間帯は、冷媒漏れ推定を行わない構成としても良い。例えば、5台の室内機40を有する空調システム3において、同一運転状態の室内機40が2台しか存在せず、他の室内機40が運転停止状態である場合には、空調システム3の全体を反映した運転データでない可能性があるため、冷媒漏れ推定を行わない。
【0118】
本発明は、冷媒漏れの有無を推定するだけでなく、冷媒充填率(例:80%)を推定することも可能である。
【0119】
また、例えば、
図4に示す動作のステップ単位は、制御部21の処理の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものであり、処理単位の分割の仕方や名称によって、本発明が限定されることはない。処理内容に応じて、さらに多くのステップ単位に分割してもよい。また、1つのステップ単位がさらに多くの処理を含むように分割してもよい。また、そのステップの順番は、本発明の趣旨に支障のない範囲で適宜に入れ替えてもよい。
【0120】
また、空調管理システム1は、制御部21が備えるプロセッサ21Aに、制御プログラム215を実行させることで実現できる。また、この制御プログラム215は、コンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体に記録しておくことも可能である。記録媒体としては、磁気的、光学的記録媒体又は半導体メモリデバイスを用いることができる。
具体的には、フレキシブルディスク、HDD、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD、Blu-ray(登録商標) Disc、光磁気ディスク、フラッシュメモリ、カード型記録媒体等の可搬型、或いは固定式の記録媒体が挙げられる。また、記録媒体は、制御部21が備える内部記憶装置であるRAM、ROM等の不揮発性記憶装置であってもよい。
また、制御プログラム215を他のサーバ装置等に記憶させておき、他のサーバ装置から制御部21に、制御プログラム215をダウンロードすることで空調管理システム1の冷媒漏れ推定方法を実現することもできる。
【0121】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【0122】
(付記)
(技術1)複数台の室内機と、室外機と、前記複数台の室内機と前記室外機との間で冷媒を流動させる冷媒系統と、管理装置と、を備える空調システムであって、前記管理装置は、前記複数台の室内機の各々の運転データを取得する取得部と、前記複数台の室内機の各々に対応する運転データに対して、クレンジング処理を行うデータ処理部と、前記データ処理部によるクレンジング処理後の運転データに基づいて、冷媒漏れの有無を推定する推定部と、を備え、前記データ処理部は、前記複数台の室内機のうち、少なくとも1台の室内機が冷房運転を実行し、且つ、少なくとも1台の室内機が暖房運転を実行している時間帯における運転データを削除する、空調システム。
この構成により、少なくとも1台の室内機が冷房運転を実行し、且つ、少なくとも1台の室内機が暖房運転を実行している時間帯における運転データを用いて冷媒漏れの有無が推定されることを抑制できる。したがって、複数台の室内機の各々が異なる運転モードで運転している時間帯がある場合に、冷媒漏れの有無を適正に推定できる。
【0123】
(技術2)前記複数台は、3台以上であり、前記推定部は、前記データ処理部によるクレンジング処理後の運転データが、前記3台以上の室内機のうち、所定台数以下の室内機の運転データである時間帯において、冷媒漏れの有無の推定を実行しない、技術1に記載の空調システム。
この構成により、所定台数を適正に設定することによって、適正ではない室内機の運転データを用いて冷媒漏れの有無が推定されることを抑制できる。したがって、冷媒漏れの有無を適正に推定できる。
【0124】
(技術3)前記推定部は、第1期間毎に、冷媒漏れの有無を推定し、前記データ処理部は、前記複数台の室内機のうち、前記第1期間において、冷房運転を実行した時間が第1時間以上であり、且つ、暖房運転を実行した時間が前記第1時間以上である室内機に対応する運転データを削除する、技術1又は技術2に記載の空調システム。
この構成により、第1時間を適正に設定することによって、適正ではない室内機の運転データを用いて冷媒漏れの有無が推定されることを抑制できる。したがって、冷媒漏れの有無を適正に推定できる。
【0125】
(技術4)前記データ処理部は、前記複数台の室内機のうち、前記第1期間において、冷房運転を実行した時間が第2時間以上であり、且つ、暖房運転を実行した時間が、前記第2時間より短い第3時間以下である室内機に対応する運転データにおいて、前記暖房運転を実行した時間に対応する運転データを削除し、前記複数台の室内機のうち、前記第1期間において、暖房運転を実行した時間が前記第2時間以上であり、且つ、冷房運転を実行した時間が、前記第3時間以下である室内機に対応する運転データにおいて、前記冷房運転を実行した時間に対応する運転データを削除する、技術3に記載の空調システム。
この構成により、第2時間、及び第3時間を適正に設定することによって、適正ではない室内機の運転データを用いて冷媒漏れの有無が推定されることを抑制できる。したがって、冷媒漏れの有無を適正に推定できる。
【0126】
(技術5)前記推定部は、第1期間毎に、冷媒漏れの有無を推定し、前記第1期間よりも長い第2期間において、前記推定部が冷媒漏れの有無の推定を実行しない場合に、前記複数台の室内機の各々に対して、冷房運転、又は、暖房運転を実行させる指示部を、更に備える、技術1から技術4のいずれか1つに記載の空調システム。
この構成により、第2期間を適正な期間に設定することによって、例えば、1日に少なくとも1回は、冷媒漏れの有無を確実に推定できる。したがって、ユーザの利便性を向上できる。
【0127】
(技術6)前記推定部は、前記複数台の室内機の各々が冷房運転を実行している場合には、第1推定モデルを用いて、冷媒漏れの有無を推定し、前記複数台の室内機の各々が暖房運転を実行している場合には、前記第1推定モデルと異なる第2推定モデルを用いて、冷媒漏れの有無を推定する、技術1から技術5のいずれか1つに記載の空調システム。
この構成により、第1推定モデル、及び第2推定モデルを適正に構成することによって、冷媒漏れの有無を適正に推定できる。
【0128】
(技術7)前記第1推定モデルは、前記複数台の室内機の各々が冷房運転を実行している期間における、前記第1運転データと前記第2運転データとを用いて生成され、前記第2推定モデルは、前記複数台の室内機の各々が暖房運転を実行している期間における、前記第1運転データと前記第2運転データとを用いて生成される、技術6に記載の空調システム。
この構成により、第1推定モデル、及び第2推定モデルを適正に生成できる。
【0129】
(技術8)前記データ処理部は、前記複数台の室内機の各々に対応する運転データを統合して、仮想的な1台の室内機の運転データである統合運転データを生成し、前記推定部は、前記統合運転データに基づいて、冷媒漏れの有無を推定する、技術1から技術7のいずれか1つに記載の空調システム。
この構成により、複数台の室内機を有する場合にも、統合運転データに基づいて、適正に冷媒漏れの有無を推定できる。
【0130】
(技術9)複数台の室内機が冷媒配管に接続された空調システムの冷媒漏れ推定方法であって、前記複数台の室内機の各々の運転データを取得する取得ステップと、前記取得ステップにおいて取得した運転データに対して、クレンジング処理を行うデータ処理ステップと、前記クレンジング処理後の運転データに基づいて、冷媒漏れの有無を推定する推定ステップと、を実行し、前記データ処理ステップにおいて、前記複数台の室内機のうち、少なくとも1台の室内機が冷房運転を実行し、且つ、少なくとも1台の室内機が暖房運転を実行している時間帯における運転データを削除する、空調システムの冷媒漏れ推定方法。
この構成により、技術1に記載の空調システムと同様の作用効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0131】
以上のように、本開示に係る空調システム、及び空調システムの冷媒漏れ推定方法は、複数台の室内機を有する空調システムにおいて、冷媒漏れの有無を推定する用途に利用可能である。
【符号の説明】
【0132】
1 空調管理システム(空調システム)
1A 第1空調管理システム
1B 第2空調管理システム
2 サーバ装置(管理装置)
3 空調システム
3A 第1空調システム
3B 第2空調システム
6 スマートフォン
21 制御部
21A プロセッサ
21B メモリデバイス
30 制御装置
40、40A、40B、40C 室内機
50、50A、50B 室外機
200 制御部
211 取得部
212 データ処理部
213 推定部
214 指示部
215 制御プログラム
216 データ記憶部
217 モデル記憶部
DI、DI1、DI2、DI3 室内機データ(室内機の運転データ)
DIV 統合室内機データ(統合運転データ)
DN、DN1、DN2 結合データ
DO、DO1、DO2 室外機データ(室外機の運転データ)
H1 第1時間
H2 第2時間
H3 第3時間
M1 第1推定モデル
M2 第2推定モデル
NA 所定台数
P1 第1期間
P2 第2期間
PA 所定期間
RC 冷媒回路(冷媒系統)