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特開2024-141239自律移動装置管理装置、自律移動装置管理プログラム及び自律移動装置管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141239
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】自律移動装置管理装置、自律移動装置管理プログラム及び自律移動装置管理方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20241003BHJP
【FI】
G05D1/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052770
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】金谷 正章
(72)【発明者】
【氏名】迫水 和仁
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301BB10
5H301CC03
5H301CC06
5H301DD05
5H301DD07
5H301DD17
5H301GG07
5H301GG08
5H301GG09
5H301KK02
5H301KK03
5H301KK08
5H301KK09
5H301KK18
5H301KK19
5H301LL03
5H301LL08
5H301LL12
(57)【要約】
【課題】 自律移動装置に実行させるアクションプランの変更を容易とする。
【解決手段】 本発明は、自律移動装置管理装置に関する。そして、本発明の自律移動装置管理装置は、自律移動装置ごとに対応するアクションを定義したアクションプランを管理する手段と、指定エリアを特定するための指定エリア特定情報と対応するアクションプランを含む指定エリア情報を管理する手段と、それぞれの自律移動装置を制御する制御手段とを備え、制御手段は、自律移動装置が指定エリア内に移動した場合、実行中のアクションを中断させて指定エリアに対応するアクションプランを実行させ、その後中断したアクションを再開させることを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の自律移動装置ごとに対応する1又は複数のアクションを定義したアクションプランを管理する装置別アクションプラン管理手段と、
指定エリアを特定するための指定エリア特定情報と前記指定エリアに対応するアクションプランを含む指定エリア情報を管理する指定エリア管理手段と、
それぞれの前記自律移動装置に対してアクションプランに基づくアクションを指示する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記自律移動装置に対して前記自律移動装置に対応するアクションプランに基づくアクションの実行をしている間に、前記自律移動装置が前記指定エリア内に移動した場合、前記自律移動装置に対応するアクションプランに基づくアクションを中断させ、前記自律移動装置に対して前記指定エリアに対応するアクションプランに基づくアクションを実行させ、前記指定エリアに対応するアクションプランの終了後に、中断したアクションプランに基づくアクションを再開させる
ことを特徴とする自律移動装置管理装置。
【請求項2】
前記指定エリア管理手段は、全ての前記自律移動装置で共通となる前記指定エリア情報である共通指定エリア情報と、それぞれの前記自律移動装置ごとに対応する前記指定エリア情報である装置別指定エリア情報を管理し、
前記制御手段は、それぞれの前記自律移動装置に対して、前記共通指定エリア情報と前記装置別指定エリア情報を適用する
ことを特徴とする請求項1に記載の自律移動装置管理装置。
【請求項3】
それぞれの前記指定エリア情報には、さらに対応するアクションプランの動作条件の情報が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の自律移動装置管理装置。
【請求項4】
前記動作条件には、対応するアクションプランを開始するための開始条件が含まれていることを特徴とする請求項3に記載の自律移動装置管理装置。
【請求項5】
前記開始条件には、前記自律移動装置が前記指定エリアに進入したこと、又は、前記自律移動装置が前記指定エリアから退出したことのいずれかを指定可能であることを特徴とする請求項4に記載の自律移動装置管理装置。
【請求項6】
前記動作条件には、さらに対応するアクションプランを中断する中断条件も含まれていることを特徴とする請求項4に記載の自律移動装置管理装置。
【請求項7】
前記動作条件には、他の自律移動装置の状態に関する条件を含めることができることを特徴とする請求項4に記載の自律移動装置管理装置。
【請求項8】
コンピュータを、
1又は複数の自律移動装置ごとに対応する1又は複数のアクションを定義したアクションプランを管理する装置別アクションプラン管理手段と、
指定エリアを特定するための指定エリア特定情報と前記指定エリアに対応するアクションプランを含む指定エリア情報を管理する指定エリア管理手段と、
それぞれの前記自律移動装置に対してアクションプランに基づくアクションを指示する制御手段として機能させ、
前記制御手段は、前記自律移動装置に対して前記自律移動装置に対応するアクションプランに基づくアクションの実行をしている間に、前記自律移動装置が前記指定エリア内に移動した場合、前記自律移動装置に対応するアクションプランに基づくアクションを中断させ、前記自律移動装置に対して前記指定エリアに対応するアクションプランに基づくアクションを実行させ、前記指定エリアに対応するアクションプランの終了後に、中断したアクションプランに基づくアクションを再開させる
ことを特徴とする自律移動装置管理プログラム。
【請求項9】
自律移動装置管理装置が行う自律移動装置管理方法において、
前記自律移動装置管理装置は、装置別アクションプラン管理手段、指定エリア管理手段及び制御手段を有し、
前記装置別アクションプラン管理手段は、1又は複数の自律移動装置ごとに対応する1又は複数のアクションを定義したアクションプランを管理し、
前記指定エリア管理手段は、指定エリアを特定するための指定エリア特定情報と前記指定エリアに対応するアクションプランを含む指定エリア情報を管理し、
前記制御手段は、それぞれの前記自律移動装置に対してアクションプランに基づくアクションを指示し、
前記制御手段は、前記自律移動装置に対して前記自律移動装置に対応するアクションプランに基づくアクションの実行をしている間に、前記自律移動装置が前記指定エリア内に移動した場合、前記自律移動装置に対応するアクションプランに基づくアクションを中断させ、前記自律移動装置に対して前記指定エリアに対応するアクションプランに基づくアクションを実行させ、前記指定エリアに対応するアクションプランの終了後に、中断したアクションプランに基づくアクションを再開させる
ことを特徴とする自律移動装置管理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自律移動装置管理装置、自律移動装置管理プログラム及び自律移動装置管理方法に関し、例えば、自律的に移動するロボット等の制御処理に適用し得る。
【背景技術】
【0002】
従来、自律移動可能なロボット等の自律的に移動可能な装置(以下、「自律移動装置」と呼ぶ)においては、「物を運ぶ」、「警備を行う」などの目的を実行するため、1つ以上の動作や実行条件を定義したアクションプランと呼ぶ動作シーケンスを作成し、このアクションプランを実行する処理を行うものが存在する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、従来の自律移動装置において、「地点Aに移動する」という動作が設定されたアクションプランを実行する場合、当該自律移動装置は、周辺の地図情報や自装置が備えるセンサから得られる情報や外部から通信により得られる情報等に基づいて、目的地となる地点Aへの移動経路や移動速度等を決定し、地点Aに向けて移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-025407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の自律移動装置において、あるアクションプランを実行する際に、当該アクションプランに他の処理を挿入するとした場合、当該アクションプラン全体について組み直す必要がある。
【0006】
例えば、従来の自律移動装置において、「地点Aに移動する」というアクションプランを実行する場合を想定する。さらに、当該自律移動装置が写真撮影機能(カメラ)を具備していて、追加で「地点Bで写真を撮影する」という動作を実施することになったものとする。この場合、当該自律移動装置では、「地点Aに移動する」というアクションプランを「地点Bに移動する」「写真を撮影する」「地点Aに移動する」といった動作からなるアクションプランへの変更することが必要となるが、そのようなプランの変更は容易ではない。
【0007】
例えば、地点Bが当該自律移動装置の現在地から、当該自律移動装置が決定した地点Aまでの経路の途中にあるとは限らない。もし、地点Bが当該自律移動装置の現在位置から地点Aまでの経路上にない場合に「地点Bで写真を撮影する」という動作を行わないときは、アクションプランの変更は不要となる。ただし、当該自律移動装置が決定する地点Aまでの移動経路は事前にわからない場合もあるため、移動経路決定後にその移動経路上に地点Bが含まれるかどうかを確認し、アクションプランを変更するかどうかを判断する必要ある。また、当該自律移動装置が移動経路決定後に経路上の障害物などの変化に応じて、移動経路を動的に変更する場合または当初の目的地である地点A自体がオペレータの指示などで動的に変更される場合は、そのたびに新たな移動経路上に地点Bが含まれるかどうかを確認し、アクションプランを変更するかどうかを判断する必要ある。
【0008】
以上のような問題に鑑みて、自律移動装置に実行させるアクションプランの変更を容易に行うことが可能となる自律移動装置管理装置、自律移動装置管理プログラム及び自律移動装置管理方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の本発明の自律移動装置管理装置は、1又は複数の自律移動装置ごとに対応する1又は複数のアクションを定義したアクションプランを管理する装置別アクションプラン管理手段と、指定エリアを特定するための指定エリア特定情報と前記指定エリアに対応するアクションプランを含む指定エリア情報を管理する指定エリア管理手段と、それぞれの前記自律移動装置に対してアクションプランに基づくアクションを指示する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記自律移動装置に対して前記自律移動装置に対応するアクションプランに基づくアクションの実行をしている間に、前記自律移動装置が前記指定エリア内に移動した場合、前記自律移動装置に対応するアクションプランに基づくアクションを中断させ、前記自律移動装置に対して前記指定エリアに対応するアクションプランに基づくアクションを実行させ、前記指定エリアに対応するアクションプランの終了後に、中断したアクションプランに基づくアクションを再開させることを特徴とする。
【0010】
第2の本発明の自律移動装置管理プログラムは、コンピュータを、1又は複数の自律移動装置ごとに対応する1又は複数のアクションを定義したアクションプランを管理する装置別アクションプラン管理手段と、指定エリアを特定するための指定エリア特定情報と前記指定エリアに対応するアクションプランを含む指定エリア情報を管理する指定エリア管理手段と、それぞれの前記自律移動装置に対してアクションプランに基づくアクションを指示する制御手段として機能させ、前記制御手段は、前記自律移動装置に対して前記自律移動装置に対応するアクションプランに基づくアクションの実行をしている間に、前記自律移動装置が前記指定エリア内に移動した場合、前記自律移動装置に対応するアクションプランに基づくアクションを中断させ、前記自律移動装置に対して前記指定エリアに対応するアクションプランに基づくアクションを実行させ、前記指定エリアに対応するアクションプランの終了後に、中断したアクションプランに基づくアクションを再開させることを特徴とする。
【0011】
第3の本発明は、自律移動装置管理装置が行う自律移動装置管理方法において、前記自律移動装置管理装置は、装置別アクションプラン管理手段、指定エリア管理手段及び制御手段を有し、前記装置別アクションプラン管理手段は、1又は複数の自律移動装置ごとに対応する1又は複数のアクションを定義したアクションプランを管理し、前記指定エリア管理手段は、指定エリアを特定するための指定エリア特定情報と前記指定エリアに対応するアクションプランを含む指定エリア情報を管理し、前記制御手段は、それぞれの前記自律移動装置に対してアクションプランに基づくアクションを指示し、前記制御手段は、前記自律移動装置に対して前記自律移動装置に対応するアクションプランに基づくアクションの実行をしている間に、前記自律移動装置が前記指定エリア内に移動した場合、前記自律移動装置に対応するアクションプランに基づくアクションを中断させ、前記自律移動装置に対して前記指定エリアに対応するアクションプランに基づくアクションを実行させ、前記指定エリアに対応するアクションプランの終了後に、中断したアクションプランに基づくアクションを再開させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、自律移動装置に実行させるアクションプランの変更を容易に行うことが可能となるという効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施形態に係るサーバ(自律移動装置管理装置)の機能的構成について示したブロック図である。
図2】第1の実施形態に係る各装置の接続関係について示したブロック図である。
図3】第1の実施形態に係る自律移動装置の機能的構成の例について示したブロック図である。
図4】第1の実施形態に係るアクションプラン保持部で保持されるアクションプランのデータ構成の例について示した図である。
図5】第1の実施形態に係る装置別アクションプラン保持部で保持される装置別アクションプランのデータ構成の例について示した図である。
図6】第1の実施形態に係る指定エリア情報保持部で保持される指定エリア情報のデータ構成の例について示した図である。
図7】第1の実施形態に係る共通指定エリア情報保持部で保持される共通指定エリア情報のデータ構成の例について示した図である。
図8】第1の実施形態に係る装置別指定エリア情報保持部で保持される装置別指定エリア情報のデータ構成の例について示した図である。
図9】第1の実施形態に係るサーバ(制御部)が自律移動装置を制御する処理の例について示したシーケンス図である。
図10】第1の実施形態に係る自律移動装置の配置状態の例について示した図である。
図11】第2の実施形態に係るサーバ(制御部)が自律移動装置を制御する処理の例について示したシーケンス図である。
図12】第2の実施形態に係る自律移動装置の配置状態の例について示した図である。
図13】第2の実施形態に係る自律移動装置の状態遷移の例について示した図(その1)である。
図14】第2の実施形態に係る自律移動装置の状態遷移の例について示した図(その2)である。
図15】第2の実施形態に係る自律移動装置の状態遷移の例について示した図(その3)である。
図16】第2の実施形態に係る自律移動装置の状態遷移の例について示した図(その4)である。
図17】第2の実施形態の変形実施例に係る自律移動装置の状態遷移の例について示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(A)第1の実施形態
以下、本発明による自律移動装置管理装置、自律移動装置管理プログラム及び自律移動装置管理方法の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。この実施形態では、本発明の自律移動装置管理装置、自律移動装置管理プログラム及び自律移動装置管理方法を、サーバに適用する例について説明する。
【0015】
(A-1)第1の実施形態の構成
図2は、第1の実施形態に係る各装置の接続関係について示したブロック図である。
【0016】
図2では、複数の自律移動装置300(300-1、300-2、・・・)と、各自律移動装置300の動作を管理するためのサーバ100が配置されている。そして、サーバ100と各自律移動装置300とは、ネットワーク200を介して接続されている。ネットワーク200としては、例えば、IP(Internet Protocol)網等の種々のネットワークを適用することができる。なお、各自律移動装置300は、ネットワーク200と無線通信(例えば、無線LANや移動通信網等)により接続されているものとする。
【0017】
自律移動装置300の用途については限定されないものであるが、この実施形態の例では、主として警備/監視に用いる例について説明する。
【0018】
ネットワーク200に接続されたサーバおよび各自律移動装置300は、それぞれネットワーク200上で識別される固有の識別子が付与されており、データ送信時の宛先やデータ受信時の送信元として利用される。各自律移動装置300の識別子としては、IPアドレス、URL(Uniform Resource Locator)、トピック(Topic)等の種々の識別子を適用することができる。URLは、例えばHTTP(Hypertext Transfer Protocol)等の通信で用いられる識別子である。トピックは、MQTT(Message Queuing Telemetry Transport)等の通信で用いられる識別子である。
【0019】
各自律移動装置300はネットワーク200を介してサーバ100に、自装置の状態に関する情報(例えば、位置、バッテリー残量、自律移動装置300が具備するセンサで取得したデータなどの情報)や、コマンドに対する応答(サーバ100から受信したコマンドに対する応答)等をサーバ100に送信する。サーバ100は、ネットワーク200を介して各自律移動装置300に対して自律移動装置300の動作を制御するコマンド等を送信する。なお、ネットワーク200上の識別子とは別にデータ上に個々の自律移動装置300を識別する識別子を持ち、サーバ100での自律移動装置300の識別のこの識別子を用いてもよい。
【0020】
この実施形態では、自律移動装置300-1、300-2、・・・の識別子(以下、「自律移動装置識別子」と呼ぶ)について、それぞれM1、M2、M3・・・と表すものとする。例えば、自律移動装置300-1の自律移動装置識別子はM1となる。
【0021】
図1は、サーバ100の機能的構成について示したブロック図である。
【0022】
サーバ100は、制御部110、ユーザインタフェース部120、アクションプラン管理部130、位置情報管理部140、地図情報管理部150及び通信部160を備えている。
【0023】
通信部160は、ネットワーク200に接続するネットワークインタフェースである。
【0024】
地図情報管理部150は、各自律移動装置300の位置情報を自律移動装置300と共有するための地図情報を保存・管理する機能を担っている。
【0025】
位置情報管理部140は、自律移動装置300ごとの位置(地図情報管理部150で管理される地図上の位置)を管理する機能を担っている。
【0026】
アクションプラン管理部130は、1又は複数のアクション(アクションの内容を定義したデータ)を含むアクションプラン(アクションプランを定義したデータ)を管理する機能を担っている。アクションプラン管理部130は、アクションプラン保持部131、装置別アクションプラン保持部132、指定エリア情報保持部133、共通指定エリア情報保持部134及び装置別指定エリア情報保持部135を有している。
【0027】
サーバ100は、例えば、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータ(プログラムの実行構成)に、プログラム(実施形態に係る自律移動装置管理プログラムを含む)をインストールすることにより実現するようにしてもよい。
【0028】
アクションプラン保持部131は、1又は複数のアクションプラン(アクションプランのデータ)を保持する。装置別アクションプラン保持部132は、自律移動装置300ごとのアクションプラン(以下、「装置別アクションプラン」と呼ぶ)を保持する。指定エリア情報保持部133は、特定のエリア(以下、「指定エリア」と呼ぶ)ごとに対応するアクションプラン等のデータ(以下、「指定エリア情報」と呼ぶ)を保持する。共通指定エリア情報保持部134は、全ての自律移動装置300で共通して適用される指定エリア情報等を含む情報(以下、「共通指定エリア情報」と呼ぶ)を保持する。装置別指定エリア情報保持部135は、自律移動装置300ごとに対応する指定エリア情報等を含む情報(以下、「装置別アクションプラン情報」と呼ぶ)を保持する。
【0029】
ユーザインタフェース部120は、オペレータ(人間)への情報提示や操作入力の受付等を行うインタフェース(ユーザインタフェース)の機能を担っている。ユーザインタフェース部120は、例えば、図示しない表示デバイス(例えば、ディスプレイ、タッチパネルディスプレイ等)や、図示しない入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等)の入出力デバイスを用いた構成としてもよい。ユーザインタフェース部120は、例えば、図示しないディスプレイ等の出力デバイスに図示しない操作画面(GUI画面)を表示することによりオペレータへの情報提示(例えば、アクションプラン管理部130、位置情報管理部140、地図情報管理部150等が保持する情報の提示等)を行い、図示しないデバイスマウスやキーボード等の入力デバイスを介して図示しない操作画面の操作入力(例えば、アクションプランに関する設定入力)を受け付けるようにしてもよい。
【0030】
制御部110は、サーバ100内の各部の制御を行う機能を担っている。制御部110は、装置別アクションプラン保持部132で管理されるアクションプラン等に基づいて各自律移動装置300を制御(例えば、自律移動装置300へのコマンド送信及び通知の受信等)する制御手段の機能を担っている。
【0031】
次に、図3を用いて、自律移動装置300の内部構成の例について説明する。
【0032】
図3では、自律移動装置300の機能的構成の例について示したブロック図である。
【0033】
図3に示すように、自律移動装置300は、制御部301、通信部302、移動部303、カメラ部304、センサ部305及びマイク306を有している。なお、図3に示す自律移動装置300は、センサ類としてカメラ部304、センサ部305及びマイク306等を備えているが、自律移動装置300によって備えるセンサ類の構成は異なる場合がある。例えば、カメラ部304やマイク306を備えない自律移動装置300が存在する場合もあり得るし、上記以外のセンサ類を備える自律移動装置300が存在する場合もあり得る。
【0034】
制御部301は、自律移動装置300の全体を制御する機能や種々のデータ処理の機能を担っている。制御部301は、例えば、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータ(プログラムの実行構成)に、制御プログラムを含むプログラムをインストールすることにより実現することができる。
【0035】
通信部302は、ネットワーク200に接続するための通信インタフェースである。この実施形態では、通信部302は、ネットワーク200(ネットワーク200に接続可能な無線基地局やアクセスポイント等)に無線接続可能であるものとする。
【0036】
移動部303は、制御部301の制御に応じて、自装置(自律移動装置300)を任意の方向に移動させるための移動機構(移動手段)である。移動部303が対応する移動方式は限定されないものである。移動部303は、例えば、車輪、キャタピラ、ホバークラフト、二足歩行、四足歩行等の種々の移動機構を適用することができる。また、移動部303は二次元的な移動だけでなく三次元的な移動が可能な移動機構(例えば、回転翼により空中を移動可能としてもよいし、スクリューにより水上又は水中を移動可能とするようにしてもよい)。
【0037】
カメラ部304は、制御部301の制御に応じて1又は複数のカメラ(撮像装置)により自律移動装置300の周辺を撮像することが可能な撮像手段である。カメラ部304は、例えば、パノラマカメラ(360度カメラ)や複数のカメラにより全周囲の視野を確保した構成とするようにしてもよい。
【0038】
センサ部305は、1又は複数の種類のセンサ(検知装置)により自律移動装置300の周辺について種々のセンシング処理を行ってセンサ情報(検知結果)を取得ことが可能な検知手段である。そして、センサ部305が備えるセンサの種類は限定されないものである。例えば、センサ部305は、温度計、湿度計、照度計、気圧計、周囲の物体の配置状況を検知するためのLidar(Laser Imaging Detection and Ranging)センサ、熱画像計測装置(サーモグラフィカメラ)等から1又は複数種類を備えるようにしてもよい。
【0039】
マイク306は、自律移動装置300の周辺の音響(例えば、周囲の人の音声)を捕捉する音響捕捉手段である。
【0040】
次に、アクションプラン保持部131で保持されるアクションプランのデータ構成について図4を用いて説明する。
【0041】
図4は、アクションプラン保持部131で保持されるアクションプランのデータ構成の例について示した図である。
【0042】
アクションプラン保持部131には、1又は複数のアクションプラン(アクションプランのデータ)が保持されている。図4では、アクションプラン保持部131に、アクションプランAP1、AP2、AP3、・・・が保持されている。
【0043】
図4に示すように、各アクションプランAPには、少なくとも当該アクションプランAPの識別子を示すアクションプラン識別子と、当該アクションプランAPの内容を定義したアクションプラン定義データが含まれている。
【0044】
ここでは、アクションプランAP1、AP2、AP3、・・・に対して、それぞれアクションプラン識別子としてAP1、AP2、AP3、・・・が付与されているものとする。例えば、図4に示す通り、アクションプランAP1のアクションプラン識別子にはAP1が設定されている。
【0045】
アクションプラン定義データは、自律移動装置300に実行させるアクション(動作)を記述したものである。アクションプラン定義データでは、アクションごとに実行条件が対応付けられている。つまり、アクションプラン定義データでは、アクションと実行条件の組が0以上登録されている。実行条件は組となるアクションを実行するための条件でその条件を満たす場合にアクションが実行される。実行条件には無条件(無条件にアクションを実行する)も含まれる。
【0046】
図4に示すアクションプラン定義データでは、アクションA1、A2、・・・、AN(N個のアクション)が記述されている。また、図4では、アクションA1、A2、・・・、ANにそれぞれ組となる実行条件B1、B2、・・・、BNが記述されている。例えば、実行条件B1にはアクションA1が組として対応付けられる。
【0047】
なお、図4では、アクションA1、A2、・・・、ANのそれぞれの具体的なアクションの内容については図示を省略しているが、実際には具体的なアクションの内容を示すデータ(例えば、アクションの内容(コマンドの内容)を所定の言語体系で記述されたテキストデータ又はそのデータへのリンク先等)が設定される。例えば、アクションA1が「A地点まで移動する」という内容であった場合、アクションA1には、自律移動装置300がA地点まで移動するために必要なコマンド(命令)が記述されたデータが設定されることになる。
【0048】
また、図4において、実行条件B1、E2、・・・、ENについても同様に、それぞれの具体的な実行条件の内容については図示を省略しており、実際には具体的な実行条件の内容を示すデータ(例えば、実行条件の内容(コマンドの内容)を所定の言語体系で記述されたテキストデータまたはそのデータへのリンク先等)が設定される。実行条件は対応付けられたアクションを実行するための条件であり、例えば、所定のタイミング経過(例えば、所定の時刻、所定の曜日、所定の日付等)や、自律移動装置300の現在位置(例えば、建物内のフロア階数等)を適用することができる。また、実行条件については、「無条件」(例えば、特に待機することなく対応するアクションを実行すること)を設定するようにしてもよい。例えば、実行条件B1が「10時30分まで待機する」という内容であった場合、実行条件B1には、自律移動装置300に次に10時30分となるタイミングを検知するためのタイマを設定させるために必要なコマンド(命令)等が記述されたデータが設定されることになる。
【0049】
次に、装置別アクションプラン保持部132で保持・管理される装置別アクションプランのデータ構成について図5を用いて説明する。
【0050】
図5は、装置別アクションプラン保持部132で保持される装置別アクションプランのデータ構成の例について示した図である。
【0051】
装置別アクションプラン保持部132には、自律移動装置300ごとの装置別アクションプラン(装置別アクションプランのデータ)が保持されている。
【0052】
図5では、装置別アクションプラン保持部132に、装置別アクションプラン情報MA1、MA2、MA3、・・・が保持されている。
【0053】
図5に示すように、各装置別アクションプランには、当該装置別アクションプランに対応する自律移動装置300の識別子(自律移動装置識別子)と、アクションプラン設定データが含まれている。
【0054】
アクションプラン設定データでは、アクションプラン識別子と実行条件の組が0以上登録されている。実行条件は、組となるアクションプラン識別子に対応するアクションプランの実行を開始するためのトリガとなる条件である。実行条件としては、例えば、所定のタイミング経過(例えば、所定の時刻、所定の曜日、所定の日付等)や、自律移動装置300の現在位置(例えば、建物内のフロア階数等)等を適用することができる。また、実行条件には無条件(無条件にアクションプランを実行する)を設定可能としてもよい。
【0055】
図5に示す装置別アクションプラン情報MA1のアクションプラン設定データでは、実行条件B1~BNに対してそれぞれアクションプラン識別子AP1~APNが組として対応付けられている例について示しているが、アクションプラン設定データで定義する組の数は限定されないものである。なお、図5において、実行条件B1、B2、・・・BNについては、それぞれの具体的な実行条件の内容については図示を省略しており、実際には実行条件の場合と同様に具体的な実行条件の内容を示すデータ(例えば、実行条件の内容(コマンドの内容)を所定の言語体系で記述されたテキストデータ等)が設定される。
【0056】
ここでは、装置別アクションプラン情報MA1、MA2、MA3、・・・は、それぞれ自律移動装置300-1、300-2、300-3、・・・に対応するものとする。例えば、図5に示すように、装置別アクションプラン情報MA1の自律移動装置識別子は、自律移動装置300-1に対応するM1となっている。
【0057】
次に、指定エリア情報保持部133で保持・管理される指定エリア情報のデータ構成について図6を用いて説明する。
【0058】
図6は、指定エリア情報保持部133で保持される指定エリア情報のデータ構成の例について示した図である。
【0059】
指定エリア情報保持部133には、アクションプラン管理部130で管理対象となるエリア(指定エリア)ごとの指定エリア情報が保持されている。指定エリア情報保持部133には、0以上の指定エリア情報が保持される。
【0060】
図6では、指定エリア情報保持部133に、指定エリア情報TA1、TA2、・・・が保持されている。ここでは、指定エリア情報TA1、TA2、・・・に対して、それぞれ識別子(指定エリア情報識別子)としてTA1、TA2、・・・が付与されているものとする。
【0061】
指定エリア情報は、地図上の特定の領域に対して自律移動装置300が進入または退出または範囲内に存在するときに、当該自律移動装置300に対して特定のアクションプランを実行させるための情報を記述したものである。
【0062】
図6に示すように指定エリア情報には、指定エリア情報識別子と、指定エリアを特定するための情報を示す「指定エリア特定情報」と、当該指定エリアにおけるアクションプランの「動作条件」と、当該指定エリアに対応するアクションプランのアクションプラン識別子が含まれている。
【0063】
指定エリア特定情報には、指定エリアを指定する方法(指定エリアの記述形式)を示す「指定方法」と、指定方法に従った記述形式で指定エリアを特定する情報が記述された「エリア情報」とが含まれている。
【0064】
指定方法としては、例えば、「4点で囲まれた矩形領域」、「4点で囲まれた矩形領域」、「3点で囲まれた三角形の領域」、「直方体」(三次元的な形状)、「1点の座標を中心として半径10m」等が挙げられる。また、指定方法には、エリア情報により特定される領域の内部又は外部のいずれを指すかの情報を付加するようにしてもよい。例えば、4点で囲まれた矩形領域の内部を指定エリアとして特定する場合には、「エリア情報」に「4点で囲まれた矩形領域(内部)」のように情報を付加可能とするようにしてもよい。また、4点で囲まれた矩形領域の外部を指定エリアとして特定する場合には、「エリア情報」に「4点で囲まれた矩形領域(外部)」のように情報を付加可能とするようにしてもよい。指定方法については、複数の選択肢からいずれかを選択可能する構成としてもよい。
【0065】
上記の通り「エリア情報」の項目は、指定方法に応じた記述形式で記述されることになる。例えば、図6に示す指定エリア情報TA1に示すように指定方法が「4点で囲まれた矩形領域(内部)」である場合、エリア情報には、指定エリアを形成する矩形の各頂点の座標(つまり4つの頂点の座標)により構成されることになる。図6に示す指定エリアTA1では、エリア情報として4つの座標C1、C2、C3、C4(地図上の位置を特定するための座標)が記述された例について示されている。なお、図6では、図示を簡易とするために座標C1、C2、C3、C4と図示しているが、実際には座標C1、C2、C3、C4に対応する座標の値が設定されることになる。
【0066】
「動作条件」の項目には、アクションプラン(アクションプラン識別子で設定されたアクションプラン)を実行するトリガが設定される。動作条件の項目には、例えば、自律移動装置300が指定エリアに進入したときにトリガが発生することを示す「指定エリア進入時」や、自律移動装置300が指定エリアから退出したときにトリガが発生することを示す「指定エリア退出時」などが設定される。動作条件の項目については、複数の選択肢からいずれかを選択可能とする構成としてもよい。
【0067】
次に、共通指定エリア情報保持部134で保持・管理される共通指定エリア情報のデータ構成について図7を用いて説明する。
【0068】
図7は、共通指定エリア情報保持部134で保持される共通指定エリア情報のデータ構成の例について示した図である。
【0069】
図7では、共通指定エリア情報CAについて図示している。
【0070】
図7に示すように、共通指定エリア情報CAには、指定エリア情報とその適用条件について定義した「指定エリア設定データ」が含まれている。共通指定エリア情報CAでは、全ての自律移動装置300で共通的に指定エリア設定データを適用することを示している。
【0071】
指定エリア設定データでは、指定エリア情報識別子と適用条件の組が0以上登録されている。適用条件は、組となる指定エリア情報識別子に対応する指定エリア情報(指定エリアにおけるアクションプランの実行処理)の適用を有効とするための条件である。適用条件としては、例えば、所定のタイミング経過(例えば、所定の時刻、所定の曜日、所定の日付等)や、自律移動装置300の現在位置(例えば、建物内のフロア階数等)を適用することができる。また、適用条件には無条件(無条件に指定エリア情報を有効とする)を設定可能としてもよい。
【0072】
図7の指定エリア設定データでは、適用条件D1~DNに対してそれぞれ指定エリア情報識別子TA1~TANが組として対応付けられている例について示しているが、指定エリア設定データで定義する組の数は限定されないものである。なお、図7において、適用条件D1~DNについては、それぞれの具体的な適用条件の内容については図示を省略しており、実際には実行条件の場合と同様に具体的な実行条件の内容を示すデータ(例えば、適用条件の内容(コマンドの内容)を所定の言語体系で記述されたテキストデータ等)が設定される。
【0073】
次に、装置別指定エリア情報保持部135で保持・管理される共通指定エリア情報のデータ構成について図7を用いて説明する。
【0074】
図8は、装置別指定エリア情報保持部135で保持される装置別指定エリア情報構成の例について示した図である。
【0075】
図8では、装置別指定エリア情報保持部135に、装置別指定エリア情報IA1、IA2、IA3、・・・が保持されている。ここでは、指定エリア情報IA1、IA2、IA3、・・・に対して、それぞれ識別子(装置別指定エリア情報識別子)としてIA1、IA2、IA3、・・・が付与されているものとする。
【0076】
例えば、図5に示すように、装置別アクションプラン情報MA1の自律移動装置識別子は、自律移動装置300-1に対応するM1となっている。
【0077】
図8に示すように、各装置別指定エリア情報には、対応する自律移動装置300の識別子(自律移動装置識別子)と、指定エリア設定データが含まれている。指定エリア設定データの形式は、図6に示す指定エリア設定データと同様の形式であるため詳しい説明を省略する。
【0078】
(A-2)第1の実施形態の動作
次に、サーバ100(制御部110)の動作(実施形態に係る自律移動装置管理方法)について説明する。
【0079】
図9は、サーバ100(制御部110)が自律移動装置300-1(自律移動装置識別識別子:M1)を制御する処理の例について示したシーケンス図である。
【0080】
ここでは、初期状態として、アクションプラン保持部131には、少なくともアクションプランAPA(アクションプラン識別子をAPAとするアクションプラン)とアクションプランAPX(アクションプラン識別子をAPXとするアクションプラン)が登録されているものとする。また、ここでは、アクションプランAPAのアクションプラン定義データには、少なくとも2つのアクションAA1、AA2が実行条件とともに登録されているものとする。さらに、ここでは、アクションプランAPXのアクションプラン定義データには、アクションAXだけ(つまり1つのアクションだけ)が実行条件と共に登録が登録されているものとする。
【0081】
また、ここでは、初期状態として、共通指定エリア情報保持部134にはいずれの指定エリア情報も登録されていないものとする。さらに、ここでは、初期状態として、装置別アクションプラン保持部132では、自律移動装置300-1(自律移動装置識別識別子:M1)に対する装置別アクションプラン情報MA1のアクションプラン設定データにアクションプランは登録されていないものとする。さらにまた、ここでは、初期状態として、装置別指定エリア情報保持部135では、自律移動装置300-1(自律移動装置識別識別子:M1)に対する装置別指定エリア情報IA1の指定エリア設定データに指定エリア情報識別子は登録されていないものとする。
【0082】
ここで、オペレータにより、ユーザインタフェース部120を介して、アクションプラン管理部130(指定エリア情報保持部133)に、地図上のエリアZ1に対する指定エリア情報TAXが登録されたものとする(S101)。この場合、指定エリア情報TAXでは、指定方法に「4点で囲まれた矩形領域(内部)」が設定され、「エリア情報」にはエリアZ1に対応する4点の座標が設定され、動作条件に「指定エリア進入時」が設定され、「アクションプラン識別子」には「APX」が設定されているものとする。
【0083】
次に、オペレータにより、ユーザインタフェース部120を介して、アクションプラン管理部130(共通指定エリア情報保持部134)の共通指定エリア情報を構成する指定エリア設定データに、指定エリア情報TAXの指定エリア情報識別子(TAX)を有するデータ(任意の適用条件と指定エリア情報識別子TAXの組)が登録されたものとする(S102)。なお、ステップS101、102のタイミングは、後述するアクションプランAPA実行中を含む任意のタイミングでもよい(ただし、ステップS101、S102の順に実行される必要がある)。
【0084】
その後、自律移動装置300-1(M1)とサーバ100の接続が開始されると、自律移動装置300-1(M1)の位置を把握するための地図情報を共有する(S103)。なお、自律移動装置300-1(M1)が初期状態において地図情報を保持している場合は、その地図情報をサーバ100に送信し、サーバ100が地図情報を保持している場合は、その地図情報を自律移動装置300-1(M1)に送信することになる。
【0085】
地図情報の共有が行われると、自律移動装置300-1(M1)からサーバ100へ、自装置の位置情報の送信が開始される(S104)。なお、この時点で、自律移動装置300-1(M1)の位置は、エリアZ1で示された領域外であるものとする。その後、自律移動装置300-1(M1)からサーバ100へ、最新の位置情報の送信(更新)が所定間隔で継続して行われることになる。これにより、サーバ100では、自律移動装置300-1(M1)の位置をリアルタイムに把握することができる。図9では、その様子をステップS108、S109、S116、S121等により表現しているが、以後ではこれらの位置情報更新に関するステップの説明は省略する。
【0086】
また、このときサーバ100(制御部110)では、装置別アクションプラン保持部132の装置別アクションプラン情報MA1で、アクションプラン設定データに登録されたアクションプランがあるかどうかを確認し、実行条件を満たすアクションプランがあればそれを実行すると判断する。しかしながら、この時点では、装置別アクションプラン保持部132で、装置別アクションプラン情報MA1のアクションプラン設定データにアクションプランは登録されていないので、アクションプラン管理部130では、自律移動装置300-1(M1)に対するアクションプランの実行は判断しない。
【0087】
その後、オペレータにより、ユーザインタフェース部120を介して、自律移動装置300-1(M1)に対するアクションプランAPAについて即時実行する旨の入力操作されたものとする(S105)。これにより、サーバ100のアクションプラン管理部130は、自律移動装置300-1(M1)の装置別アクションプラン情報MA1(アクションプラン定義データ)に即時実行する実行条件と共にアクションプランAPAのアクションプラン識別子(APA)が登録されることになる。
【0088】
その後、サーバ100(制御部110)は、アクションプランAPAの内容を参照し、アクションプランAPAに示されたアクションごとの実行条件を順に評価し、条件を満たす場合はアクションを実行するためのコマンドを自律移動装置300-1(M1)に対して送信することになる。
【0089】
ここでは、アクションプラン管理部130は、自律移動装置300-1(M1)については、最初にアクションAA1の実行条件を満たし、アクションAA1の実行指示(自律移動装置300-1(M1)へのコマンド送信)を行ったものとする(S105、S106)。
【0090】
これにより自律移動装置300-1(M1)はアクションAA1の実行を開始する(S107)。ここでアクションAA1は移動の指示など自律移動装置300-1(M1)の位置が変化するアクションであるものとする。
【0091】
そして、その後サーバ100(制御部110)は、自律移動装置300-1(M1)からサーバ100に送信される位置情報により、自律移動装置300-1(M1)が、エリアZ1の範囲内に入ったことを認識したものとすると、指定エリア情報TAXの動作条件を確認する。ここでは、指定エリア情報TAXの動作条件が、「指定エリア進入時」(自律移動装置300の最新の位置情報がエリアZ1の範囲内でその前の位置情報がエリアZ1の範囲外である等の条件から進入と判断)であり、自律移動装置300-1(M1)の現在の状態(エリアZ1に進入した状態)と一致したものとする。そのため、ここでは、サーバ100(制御部110)は、自律移動装置300-1(M1)について、アクションプランAPXを実行させると判断することになる(S110)。
【0092】
このとき、サーバ100(制御部110)では自律移動装置300-1(M1)からアクションAA1の実行完了通知を受けていないため、自律移動装置300-1(M1)はアクションAA1実行中と判断し、自律移動装置300-1(M1)に対しアクションAA1の実行中断指示を送信する(S111)。なお、ここで、サーバ100(制御部110)において、自律移動装置300-1(M1)が他のアクションの実行指示により実行中のアクションが中断または上書きされる場合は、実行中断指示は省略することができる。
【0093】
自律移動装置300-1(M1)は、サーバ100(制御部110)からのアクションAA1の中断指示を受けると、実行中のアクションAA1の実行を中断し(S112)、当該中断完了の通知をサーバ100(制御部110)に通知する(S113)。
【0094】
そして、サーバ100(制御部110)は、自律移動装置300-1(M1)に対して、アクションプランAPXの実行フェーズに移行することになる。サーバ100(制御部110)は、アクションプランAPXの実行フェーズに移行すると、自律移動装置300-1(M1)は、アクションプランAPXのアクションプラン定義データから実行条件を順次確認し、実行条件を満たす場合には対応するアクションを実行する処理を行うことになる。ここでは、上記の通り、アクションプランAPXには、アクションAXとその実行条件の組だけが登録されている。そして、ここでは、当該実行条件を満たし、サーバ100(制御部110)は、自律移動装置300-1(M1)にアクションAXの実行を指示したものとする(S114)。
【0095】
そして、自律移動装置300-1(M1)は、サーバ100(制御部110)からの指示を受けてアクションAXの実行を開始する(S115)。
【0096】
その後、自律移動装置300-1(M1)でアクションAXの実行が完了すると、サーバ100へアクションAXの実行完了通知を行う(S117、S118)。
【0097】
サーバ100(制御部110)でアクションAXの実行完了通知を受けるとアクションプランAPXにおける次のアクションの実行条件を確認する。上記の通り、アクションプランAPXでアクションAXの次のアクションがなく、アクションAXの実行完了を持ってアクションプランAPXの実行が完了する。
【0098】
自律移動装置300-1(M1)がアクションプランAPAを実行中であり、アクションAA1の実行が未完了でかつアクションAA1の継続実行条件を満たす場合、サーバ100(制御部110)は自律移動装置300-1(M1)にアクションAA1の再開指示を送信する(S119)。
【0099】
そして、自律移動装置300-1(M1)はアクションAA1の実行を再開する(S120)。
【0100】
その後、自律移動装置300-1(M1)は、アクションAA1について完了すると、サーバ100に完了通知を行う(S122、S123)。
【0101】
完了通知を受け取ったサーバ100(制御部110)は、アクションプランAPAの次のアクションの実行条件を評価し、実行条件を満たしたアクションとしてアクションAA2を検出したものとする。そして、サーバ100(制御部110)は、アクションAA2の実行を、自律移動装置300-1(M1)に通知することになる(S124)。
【0102】
そして、自律移動装置300-1(M1)は、アクションAA2の実行を開始する(S125)。
【0103】
その後も、サーバ100(制御部110)は、アクションプランAPAにおいて実行条件を満たすアクション(未実行のアクション)が無くなるまで同様の処理が継続され、アクションプランAPAが完了することになる。
【0104】
以上のように、サーバ100(制御部110)では、装置別アクションプランとは別に、共通指定エリア情報及び又は装置別指定エリア情報を管理することにより、移動に伴って指定エリアに存在するようになった自律移動装置300に対するアクションプランの組み直しを容易とすることができる。
【0105】
次に、サーバ100(制御部110)が、図10のような状況で上記の図9に示すようなシーケンスの処理を実行する場合を想定する。
【0106】
図10は、ある領域の地図上に自律移動装置300-1(M1)が配置された状態について示した図である。
【0107】
図10に示す地図では、各自律移動装置300が移動可能な領域(以下、「移動可能領域」と呼ぶ)を白色(ハッチ無し)で示し、自律移動装置300が移動できない領域(以下、「移動不可領域」と呼ぶ)に斜線パターンのハッチを付しており、移動可能領域のうち指定エリアとなっている領域には格子パターンのハッチを付している。
【0108】
ここでは、自律移動装置300-1(M1)の初期位置を地点PAとして、自律移動装置300-1(M1)が地点PAから地点PBへの移動し、その後、地点PBから地点PAへ移動するアクションプランAPAを実施するものとする。また、ここでは、アクションプランAPAにおいて、地点PAから地点PBへの移動をアクションAA1、地点PBから地点PAへの移動をアクションAA2とする。また、図10の例においても図9と同様に、共通指定エリア情報(指定エリア設定データ)でエリアZ1に対応する指定エリア情報TAX(エリアZ1に進入した場合にアクションプランAPXを実行することが設定)が設定されており、アクションプランAPXにはアクションAX(例えば、カメラ部304による画像を撮影するアクション等)が設定されている。
【0109】
次に、自律移動装置300-1(M1)を地点PAから地点PBまで移動させる場合のルート及び地点PBから地点PAまで移動させる場合のルートについて説明する。
【0110】
図10では、地点PAと地点PBとの間に移動不可領域が配置されているので、この移動不可領域を迂回するルートをどちらか(時計回り又は反時計回りのどちらか)に決定する必要がある。図10では、地点PAから地点PBまで反時計回りで移動するルートをR1とし、地点PBから地点PAまで反時計回りで移動するルートをR2とし、地点PAから地点PBまで時計回りで移動するルートをR3とし、地点PBから地点PAまで時計回りで移動するルートをR4としている。
【0111】
つまり、図10の例では、ここで、アクションプランAPAのルート選択として、アクションAA1にルートR1、アクションAA2にルートR2を選択した場合を(ルートR1、ルートR2)と表現すると、アクションプランAPAの実施に自律移動装置300-1(M1)がとりうるルート選択としては、(ルートR1、ルートR2)、(ルートR3、ルートR4)、(ルートR1、ルートR4)、(ルートR3、ルートR2)がある。
【0112】
ここで、仮に、アクションプランAPA実行中に、エリアZに進入時にのみアクションAXを実施させることをアクションプランAPA自体の変更で実現することを検討する。その場合、例えば、アクションプランAPAにおいて、第1にエリアZ1を通過するルートR1またはルートR4に対して地点PC(エリアZ1内の地点)を追加する編集を行い、第2にルートR1の移動についてアクションAA1を「地点PAから地点Cへの移動」/「地点CでのアクションAXの実施」/「地点Cから地点PBへの移動」と3つのアクションに置換する編集を行い、第3にルートR4についてアクションAA2を「地点PBから地点Cへの移動」/「地点CでのアクションAXの実施」/「地点Cから地点PAへの移動」と3つのアクションに置換する編集等が必要になる。
【0113】
さらに、アクションプランAPAの変更は自律移動装置300-1(M1)がルートR1またはルートR4を選択した場合のみ適用されるため、サーバ100では自律移動装置300-1(M1)の位置情報から自律移動装置300-1(M1)の選択ルートを判定し、当該ルートを選択した場合にアクションプランの変更を行う処理が必要となり編集処理の判断が煩雑になる。
【0114】
しかし、アクションプランAPA以外に指定エリア情報(共通指定エリア情報又は装置別指定エリア情報)を用いると、アクションプランAPAを変更することなく、容易にアクションAXの組み換えを実現できる。
【0115】
また、この場合、エリアZ1におけるアクションAXを含むアクションプランとした指定エリア情報を任意のタイミングでサーバ100(制御部110)に登録することができるため、アクションプランAPA実行中に、急遽アクションAXの実施が必要になった場合も、自律移動装置300-1(M1)の状態に関係なく適用可能である。
【0116】
(A-3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0117】
第1の実施形態のサーバ100(制御部110)では、装置別アクションプラン保持部132以外に、共通指定エリア情報保持部134及び又は装置別指定エリア情報保持部135を備えるため、装置別のアクションプランの間に「指定エリアにおける他のアクション」の実行が必要となった場合でも、指定エリア情報を共通指定エリア情報保持部134又は装置別指定エリア情報保持部135に紐づけるだけで、容易に「指定エリアにおける他のアクション」の実行が可能である。
【0118】
第1の実施形態のサーバ100(制御部110)では、装置別指定エリア情報保持部135以外に共通指定エリア情報保持部134を備えるため、指定エリア情報及び共通指定エリア情報の登録をもって、複数の自律移動装置300に対して共通的に指定エリア情報を適用できるため、個々の自律移動装置300の状態に合わせてアクションプランを個別に変更することが不要となる。
【0119】
(B)第2の実施形態
以下、本発明による自律移動装置管理装置、自律移動装置管理プログラム及び自律移動装置管理方法の第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。この実施形態では、本発明の自律移動装置管理装置、自律移動装置管理プログラム及び自律移動装置管理方法を、サーバに適用する例について説明する。
【0120】
(B-1)第2の実施形態の構成及び動作
第2の実施形態のサーバ100の機能的構成についても第1の実施形態と同様に図1を用いて示すことができる。
【0121】
第2の実施形態のサーバ100は、適用される事例及びアクションプラン管理部130に設定される内容が異なっている。
【0122】
第2の実施形態では、サーバ100(制御部110)が、2台の自律移動装置300-2、300-3を制御する処理の例について示した図である。
【0123】
図11は、サーバ100(制御部110)が自律移動装置300-2(M2)、300-3(M3)を制御する処理の例について示したシーケンス図である。
【0124】
ここでは、アクションプラン保持部131には予め、アクションプラン識別子を「APB」とするアクションプランAPBと、アクションプラン識別子を「APC」とするアクションプランAPCと、アクションプラン識別子を「APY」とするアクションプランAPYが登録されているものとする。そして、ここでは、アクションプランAPB(アクションプラン定義データ)にはアクションAB1、アクションプランAPCにはアクションAC1、アクションプランAPYにはアクションAY1がそれぞれ実行条件と共に登録されているものとする。
【0125】
ここでは、初期状態として、装置別アクションプラン保持部132で、自律移動装置300-2(M2)、300-3(M3)に対する装置別アクションプラン情報MA2、MA3のアクションプラン定義データにはいずれもアクションは登録されていないものとする。また、ここでは、初期状態として、装置別指定エリア情報保持部135では、自律移動装置300-2(M2)、300-3(M3)に対する装置別指定エリア情報IA2、IA3の指定エリア設定データには、いずれの指定エリア情報も登録されていないものとする。さらに、ここでは初期状態として、共通指定エリア情報保持部134には、いずれの指定エリア情報も登録されていないものとする。
【0126】
ここでは、まず、オペレータにより、ユーザインタフェース部120を介して、アクションプラン管理部130(指定エリア情報保持部133)に、地図上のエリアZ2に対する指定エリア情報TAYが登録されたものとする(S201)。この場合、指定エリア情報TAYでは、指定方法に「4点で囲まれた矩形領域(内部)」が設定され、「エリア情報」にはエリアZ2に対応する4点の座標が設定され、動作条件には、「指定エリア進入時に他の自律移動装置が当該指定エリア内に存在する場合」が設定され、「アクションプラン識別子」にはAPYが設定されているものとする。なお、指定エリア情報TAYの動作条件では、アクションプランの動作を開始した後、上記の動作条件を満たさなくなった場合(つまり、他の自律移動装置が指定エリアからいなくなった場合)にはアクションプランAPYの動作を中断するように記述してもよい。つまり、動作条件の項目には、アクションプランの動作を開始する条件(動作開始条件)と、実行開始したアクションプランの動作を中断する条件(動作中断条件)を設定可能とするようにしてもよい。また、上記の通り、動作条件の項目には、他の自律移動装置300の状態(例えば、自装置と同じ指定エリアに存在する否か等)に関する条件設定を可能とするようにしてもよい。
【0127】
次に、オペレータにより、ユーザインタフェース部120を介して、アクションプラン管理部130(共通指定エリア情報保持部134)の共通指定エリア情報を構成する指定エリア設定データに、指定エリア情報TAYの指定エリア情報識別子(TAY)を有するデータ(所定の適用条件と指定エリア情報識別子TAYの組)が登録されたものとする(S202)。このとき、指定エリア情報識別子TAYに対応する適用条件は「無条件」であるものとする。
【0128】
その後、上記の図9の場合と同様に、自律移動装置300-1(M1)、自律移動装置300-2はサーバ100の接続後、地図情報の共有と位置情報の送信が開始され、位置情報更新のための位置情報の送信は継続して行われる(S203~S206)。なお、この時点で、自律移動装置300-1(M1)および自律移動装置300-2の位置は、エリアZ2で示された領域外であるものとする。
【0129】
以後、自律移動装置300-2、300-3は、所定の間隔ごとにサーバ100へ位置情報を送信し、サーバ100では自律移動装置300-2、300-3の位置情報が更新されることになる。図11では、その様子をステップS210、S214、S215、S224、S226、S232等により表現しているが、以後ではこれらの位置情報更新に関するステップの説明は省略する。
【0130】
その後、オペレータにより、ユーザインタフェース部120を介して、自律移動装置300-2(M2)にアクションプランAPBを即時実行させる旨の入力操作があったものとする(S207)。これにより、サーバ100のアクションプラン管理部130は、自律移動装置300-2(M2)の装置別アクションプラン情報MA2(アクションプラン定義データ)に即時実行する実行条件と共にアクションプランAPBのアクションプラン識別子(APB)を登録する。その後、サーバ100(制御部110)は、アクションプランAPBの内容を参照し、アクションプランAPBに示された実行条件を順に評価し、条件を満たす場合はアクションを実行するためのコマンドを自律移動装置300-2(M2)に対して送信することになる。
【0131】
ここでは、アクションプラン管理部130は、自律移動装置300-2(M2)については、最初にアクションAB1の実行条件を満たし、アクションAB1の実行指示(自律移動装置300-2(M2)へのコマンド送信)を行ったものとする(S208)。
【0132】
これにより、自律移動装置300-2(M2)では、アクションAB1の実行が開始されることになる(S209)。
【0133】
その後、オペレータにより、ユーザインタフェース部120を介して、自律移動装置300-3(M3)にアクションプランAPCを即時実行させる旨の入力操作があったものとする(S211)。これにより、サーバ100のアクションプラン管理部130は、自律移動装置300-3(M3)の装置別アクションプラン情報MA3(アクションプラン定義データ)に即時実行する実行条件と共にアクションプランAPCのアクションプラン識別子(APC)を登録する。その後、サーバ100(制御部110)は、アクションプランAPCの内容を参照し、アクションプランAPCに示された実行条件を順に評価し、条件を満たす場合はアクションを実行するためのコマンドを自律移動装置300-3(M3)に対して送信することになる。
【0134】
ここでは、アクションプラン管理部130は、自律移動装置300-3(M3)については、最初にアクションAC1の実行条件を満たし、アクションAC1の実行指示(自律移動装置300-3(M3)へのコマンド送信)を行ったものとする(S212)。
【0135】
これにより、自律移動装置300-3(M3)では、アクションAC1の実行が開始されることになる(S213)。
【0136】
ここでアクションAB1およびアクションAC1は移動の指示など自律移動装置300-2(M2)および自律移動装置300-3(M3)の位置が変化するアクションであるものとする。
【0137】
その後、自律移動装置300-2(M2)と自律移動装置300-3(M3)がそれぞれのアクションを実施しながら、自律移動装置300-3(M3)が先にエリアZ2に進入し、サーバ100(制御部110)で認識されたものとする(S216)。指定エリア情報TAYにおいて、アクションプランAPYの動作条件(動作開始の条件)は他の自律移動装置が指定エリア(エリアZ2)内に存在するかどうかで、この時、自律移動装置300-3(M3)以外の自律移動装置は指定エリア(エリアZ2)には存在しないため、アクションプランAPYは実行されず、自律移動装置300-3(M3)はアクションAC1を継続することになる。
【0138】
その後、自律移動装置300-2(M2)がエリアZ2に進入し、サーバ100(制御部110)で認識されたものとする(S218)。この時、エリアZ2内には自律移動装置300-2(M2)以外に自律移動装置300-3(M3)が存在するため、サーバ100(制御部110)は、共通指定エリア情報(指定エリア情報TAY)に基づき、自律移動装置300-2(M2)に対して、実行中のアクションAB1を中断させ(S219~S221)、アクションプランAPYのアクションAY1を実行するよう指示する(S222、S223)。なお、ここでは、アクションAY1は短時間では完了しないアクションとする。
【0139】
その後、自律移動装置300-2(M2)がアクションAY1実行中に自律移動装置300-3(M3)がエリアZ2を退出し、サーバ100(制御部110)でそれを認識すると、エリアZ2内には自律移動装置300-2(M2)以外存在しない状態となる(S225)。そのため、サーバ100(制御部110)から、アクションプランAPYのうち実行中のアクションAY1の中断を自律移動装置300-2(M2)に指示することになる(S227)。
【0140】
その後、自律移動装置300-2(M2)により、アクションAY1が中断され(S228)、中断完了の通知がサーバ100(制御部110)に送信される(S229)。
【0141】
アクションAY1の中断完了通知を受信すると、サーバ100(制御部110)は、自律移動装置300-2(M2)に対して、中断していたアクションプランAPBのアクションAB1に対する再開の指示を送信する(S230)。
【0142】
その後、自律移動装置300-2(M2)により、アクションAB1が再開される(S231)。
【0143】
その後、自律移動装置300-3(M3)で、アクションAC1が完了し、完了通知が、サーバ100に通知されたものとする(S233、S234)。
【0144】
なお、図11の例では、アクションAY1を短時間で完了しないアクションとしたが、アクションプランAPYの終了条件または中断されているアクションプランAPBの継続条件としてエリアZ2内で他の自律移動装置が存在しないことを条件とすることで、自律移動装置300-3(M3)がエリアZ2を退出する前にアクションAY1が完了しても同じ動作となる。
【0145】
次に、サーバ100(制御部110)が、図12のような状況で上記の図11に示すようなシーケンスの処理を実行する場合を想定する。
【0146】
図12は、ある領域の地図上に自律移動装置300-2(M2)、300-3(M3)が配置された状態について示した図である。図13図16は、図12の状態以後における自律移動装置300-2(M2)、300-3(M3)の動作の遷移について時系列ごとに示した図である。
【0147】
図12図16に示す地図では、図10と同様の形式で移動可能領域と移動不可領域と指定エリアを区分けして図示している。図12図16では、各自律移動装置300のシンボル(三角形のシンボル)に移動する方向(進行方向)を示す矢印を付記している。
【0148】
図12では、狭い通路(隘路)上のエリアZ2において、一方(左側)から自律移動装置300-2(M2)が進入し、他方(右側)から自律移動装置300-3(M3)が進入した場合の例について示している。
【0149】
ここで、図12に示すように、自律移動装置300-2(M2)の初期位置を地点PD、自律移動装置300-3(M3)の初期位置を地点PEとする。また、ここでは、アクションプランAPBのアクションAB1として地点PDから地点PEへの移動とし、アクションプランAPCのアクションAC1として地点PEから地点PDへの移動とする。さらに、エリアZ2の中の通路(隘路)では、自律移動装置が同時に1台だけ通過可能であるものとする。
【0150】
自律移動装置300-2(M2)でアクションプランAPB、自律移動装置300-3(M3)でアクションプランAPCがそれぞれ開始されると、図13に示すように自律移動装置300-3(M3)がエリアZ2に到達するが、図13で示したように自律移動装置300-3(M3)は地点PDへの移動を継続する。
【0151】
その後、図14に示すように自律移動装置300-2(M2)がエリアZ2に到達したことをサーバ100(制御部110)が検知すると自律移動装置300-2(M2)の地点PDから地点PEへの移動が中断される。
【0152】
次に、サーバ100(制御部110)は、アクションAY1として何もしないことを自律移動装置300-2(M2)に指示し、自律移動装置300-2(M2)はその場にとどまることになる。
【0153】
この間、自律移動装置300-3(M3)は図15に示すように自律移動装置300-2(M2)を避けながら地点PDに向けて移動する。
【0154】
その後、図16に示すように自律移動装置300-3(M3)がエリアZ2を退出したことをサーバ100(制御部110)が検知すると、自律移動装置300-2(M2)はサーバ100(制御部110)からの指示で地点PDから地点PEへの移動を再開する。
【0155】
(B-2)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、第1の実施形態に加えて以下のような効果を奏することができる。
【0156】
第2の実施形態のサーバ100では、指定エリア情報の動作条件に、他の自律移動装置300の状態(例えば、自装置と同じ指定エリアに存在する否か等)に関する条件設定を可能とすることで、複数の自律移動装置に対して個々のアクションプランを制御することなく相対的な動作を制御することが可能となる。
【0157】
(C)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0158】
(C-1)第1の実施形態のアクションプランAPXで想定されるアクションとしては自律移動装置300-1(M1)の移動速度変更処理、通信路の切り替え処理(例えば、無線アクセスポイントの切り替えやWi-FiからLTEの切り替えなど)、静止画又は動画の撮影処理(カメラを備える自律移動装置のみ)、撮影した静止画又は動画像をサーバ100に送信する処理、サーバ100へのアラート送信(例えば、オペレータへの確認喚起等;撮影した静止画又は動画像をアラートに添付するようにしてもよい)が挙げられる。サーバ100(ユーザインタフェース部120)において、自律移動装置300からのアラートをオペレータに出力(例えば、表示出力や表音出力等)可能な構成としてもよい。これにより、オペレータは、アラート送信元の自律移動装置300を把握し、当該自律移動装置300に対して必要に応じた命令(例えば、別の位置や方向の撮影処理等)を送信(ユーザインタフェース部120を介して送信)することが可能となる。
【0159】
また、例えば、サーバ100の制御部110において、自律移動装置300からのアラート(添付された静止画や動画像等のデータを含む)に応じた自動処理を行うAI(人工知能)を搭載するようにしてもよい。例えば、制御部110に搭載されたAIが、自律移動装置300からのアラートの内容を分析して、異常の有無を判断(判断方法については、例えば、種々の監視カメラ映像処理と同様の処理を適用することができる)し、判断結果に応じた処理(例えば、異常があればオペレータに通報する処理等)を行うようにしてもよい。
【0160】
さらに、サーバ100(制御部110)は、アラートの送信元の自律移動装置300に対して、所定期間(例えば、オペレータに自律移動装置の動作を判断させる場合は動作が決定するまでの間)、動作を停止して待機するアクションを行うように通知してもよい。
【0161】
(C-2)第1の実施形態において、自律移動装置300が、サーバ100と共有している地図範囲を超えて移動可能な場合(例えば、昇降装置、運搬装置などの「他の移動装置」で運ばれる場合も含む)、サーバ100(制御部110)は、地図範囲の境界や運ばれた到着点(地図範囲を超えた地点)の位置情報や地図情報を、外部装置(例えば、自律移動装置300の到着点における地図情報を保持する他のサーバ100等)と連携して取得し、外部装置から取得した情報に基づいて、自律移動装置300の位置を管理するようにしてもよい。例えば、サーバ100(制御部110)は、他の移動装置により自律移動装置300が運ばれた場合、当該自律移動装置300が到着点に運ばれたことを契機に、自律移動装置300との間で地図情報(例えば、到着点で他のサーバ100と自律移動装置300が通信して得た地図情報)の更新を行うようにしてもよい。
【0162】
(C-3)第2の実施形態では、アクションプランAPYのアクションAY1を何もしないこと(待機)としたが、図17のように、自律移動装置300-2(M2)の位置を自律移動装置300-3(M3)の通行を妨げない位置に移動するようにしてもよい。また、アクションAY1は短時間では完了しないアクションとしていたが、所定時間Tの期間(例えば、自律移動装置300-3(M3)がエリアZ2を通過するのに必要十分な時間)待機するアクションとしてもよい。このとき、サーバ100(制御部110)は、自律移動装置300-2(M2)によるアクションAY1(所定時間Tの期間待機する処理)が完了した後も、自律移動装置300-3(M3)がエリアZ2内に存在している場合、自律移動装置300-2(M2)の移動について、別のルート(エリアZ2を迂回する他のルート)を選択したり、オペレータ(又はAI)に通知して、自律移動装置300-3(M3)の異常の有無を確認させたり、エリアZ2を通行禁止エリアとして地図情報を更新させるようにしてもよい。サーバ100(制御部110)は、エリアZ2を通行禁止エリアとした場合、他の自律移動装置300の移動ルートについても再設定するようにアクションプランを変更するようにしてもよい。
【0163】
(C-4)第1の実施形態の処理(図9の処理)において、共通指定エリア情報に設定された指定エリア情報TAXのアクションプランAPXについては、「いずれかの自律移動装置300で実行中」又は「いずれかの自律移動装置300で実行された後一定期間未経過」に該当する場合、実行を無効とするようにしてもよい。これにより、例えば、自律移動装置300-1(M1)がエリアZ1進入後アクションプランAPX実行中に他の自律移動装置300がエリアZ1に進入した場合や、自律移動装置300-1(M1)がエリアZ1進入してアクションプランAPX実行完了後に退出して再進入した場合等に、一定時間アクションプランAPX実行を抑制することができる。例えば、アクションプランAPXのアクションがカメラによる静止画撮影であった場合、短時間に複数回撮影しても無駄になる場合がありえるが、上記のような処理を行うことにより、エリアZ1内でのアクションプランAPXの実行頻度を所定期間以上として効率化できる。
【0164】
(C-5)サーバ100(制御部110)は、第1の実施形態の自律移動装置300-1(M1)および第2の実施形態の自律移動装置300-2(M2)に対して、指定エリア進入時に実行中のアクション中断と別アクションプランの実施を指示していたが、指定エリア進入をサーバ100からオペレータ(またはAI)に知らせて、オペレータ(またはAI)から別のアクションプランまたはアクションの指示を受け付けるようにしてもよい。また、この際、サーバ100(制御部110)では、オペレータ(またはAI)が指示したアクションプランまたはアクション完了後に中断していたアクションプランアクションを再開させるかどうかをオペレータ(またはAI)に選択させるようにしてもよい。また、図4に示したアクションプランで、各アクションプランや各アクションに優先度を持たせることで、サーバ100(制御部110)は、エリア進入前に実行中のアクションプランまたはアクションの優先度と指定エリア情報に設定されたアクションプランまたはアクションの優先度を比較し、より優先度の高いアクションプランまたはアクションを実行するようにしてもよい。また、サーバ100(制御部110)は、同じ優先度のアクションが複数ある場合、オペレータ(またはAI)に通知し、その選択をオペレータ(またはAI)にさせるようにしてもよい。
【0165】
(C-6)第1の実施形態では指定エリア情報TAXを有効にするため共通指定エリア情報(図7)に指定エリア情報TAXの適用条件と指定エリア情報TAXの識別子を設定していたが、代わりに自律移動装置300-1(M1)の装置別指定エリア情報(図8)に同様の内容を設定しても同じ動作・効果となる。
【0166】
(C-7)第2の実施形態では指定エリア情報TAYを有効にするため共通指定エリア情報(図7)に指定エリア情報TAYの適用条件と指定エリア情報TAYの識別子を設定していたが、代わりに自律移動装置300-1(M1)および自律移動装置300-2(M2)の装置別指定エリア情報(図8)に同様の内容を設定しても同じ動作・効果となる。
【0167】
(C-8)第1の実施形態および第2の実施形態では、指定エリア情報で指定されるエリアは2次元(平面上)のエリアとしたが、地図情報として3次元(空間上)の情報を持つなら、エリアの指定として3次元(空間上)も可能である。また、指定エリア情報に時刻情報を付与し、特定の時間または期間だけ有効とするようにしても良い。さらに、指定エリア情報の動作条件に自律移動装置の種別や全幅、全長、全高、重量等の物理的条件を含めるようにしても良い。
【0168】
(C-9)第1の実施形態および第2の実施形態では、サーバ100(制御部110)で、各自律移動装置300の現在位置を、過去の位置情報の履歴から推定して取得するようにしてもよい。例えば、サーバ100(制御部110)は、各自律移動装置300について、送信された位置情報に付与される時刻情報などから推測される通信遅延や、逐次送信される位置情報の変化に基づく移動速度等に応じて、現在位置を推定するようにしてもよい。
【0169】
(C-10)第1の実施形態および第2の実施形態では、指定エリア情報で指定されるエリアに進入した自律移動装置300に指定エリア情報で指定されるアクションプランを実施させていたが、指定エリアに進入した自律移動装置300以外の装置にアクションプランを実施させるようにしても良い。この場合、指定エリア情報で指定されるアクションプランを実行させる装置はネットワーク200を介してサーバ100と接続されている装置でサーバ100が制御可能であればよく、特定の位置に固定されていてもよい。指定エリア情報で指定されるエリアの入り口を撮影できる固定のカメラ装置を設置し、自律移動装置300がこの指定エリア進入したことをサーバ100が検知すると、固定カメラ装置に画像を撮影するアクションプラン、あるいは画像または動画を撮影し当該移動体を管理または注目しているオペレータに配信するアクションプランを実施させるようにしても良い。これにより指定エリアに進入した自律移動装置300の画像を撮影することが可能である。また、このとき撮影した自律移動装置300に、撮影画像(他の自律移動装置300が写っている画像)をサーバ100に送信させ、サーバ100で指定エリアに進入した自律移動装置300と紐づけて撮影画像を管理するようにしてもよい。このとき、特定の自律移動装置300が指定エリア退出時に撮影した画像をサーバ100で削除するようにしても良い。また、サーバ100が制御可能な装置としてはスマートフォンを含むウェアラブル端末としてもよく、それを身に着けた人の行動を間接的に制御(指示や注意喚起)するようにしても良い。
【0170】
(C-11)上記の各実施形態において、本発明の自律移動装置管理装置は、1台の装置(サーバ100)で構成されているが、物理的に複数の装置(コンピュータ)に各構成要素(制御部、ユーザインタフェース部、アクションプラン管理部、位置情報管理部、地図情報管理部等)を分けて配置するようにしてもよい。その場合、自律移動装置管理装置を構成する各装置(コンピュータ)は、各自律移動装置300、及び自律移動装置管理装置を構成する他の装置(コンピュータ)と通信する通信機能(通信部)を備える必要がある。自律移動装置管理装置が複数の装置(コンピュータ)で構成される場合、各装置(コンピュータ)間の通信については、ネットワーク200と異なる別ネットワーク(例えば、独自ネットワーク)としてもよい。
【符号の説明】
【0171】
100…サーバ(自律移動装置管理装置),110…制御部,120…ユーザインタフェース部,130…アクションプラン管理部,131…アクションプラン保持部,132…装置別アクションプラン保持部,133…指定エリア情報保持部,134…共通指定エリア情報保持部,135…装置別指定エリア情報保持部,140…位置情報管理部,150…地図情報管理部,160…通信部,200…ネットワーク,300、300-1、300-2、300-3…自律移動装置,301…制御部,302…通信部,303…移動部,304…カメラ部,305…センサ部,306…マイク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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図17