IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 村田機械株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-基板受け台 図1
  • 特開-基板受け台 図2
  • 特開-基板受け台 図3
  • 特開-基板受け台 図4
  • 特開-基板受け台 図5
  • 特開-基板受け台 図6
  • 特開-基板受け台 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141241
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】基板受け台
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20241003BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H05K13/02 V
H05K3/34 507L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052772
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 正行
【テーマコード(参考)】
5E319
5E353
【Fターム(参考)】
5E319AC01
5E319BB05
5E319CC36
5E319CD37
5E319GG01
5E319GG15
5E319GG20
5E353GG01
5E353GG22
5E353GG23
5E353MM04
5E353MM08
5E353QQ11
(57)【要約】
【課題】電子部品の実装密度が高いプリント基板であっても、捨て板部分を設けることなく、自動実装機に搬入することを可能にする基板受け台を提供する。
【解決手段】本発明は、電子部品の自動実装機に搬入するプリント基板(10)を支持するための基板受け台(1)であって、自動実装機によって支持される被支持部(2a)、及び複数のピン挿入孔(2c)が設けられ、上方にプリント基板を支持する基板支持部(2b)を備えた基板受け台本体(2)と、この基板受け台本体のピン挿入孔に挿入可能な受け台挿入部(4a)を備えた支持ピン(4)と、を有し、支持ピンは基板挿入部(4b)を備え、この基板挿入部は、プリント基板に設けられた支持穴に挿入可能であると共に、プリント基板の厚さ以下の長さを有することを特徴としている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品の自動実装機に搬入するプリント基板を支持するための基板受け台であって、
上記自動実装機によって支持される被支持部、及び複数のピン挿入孔が設けられ、上方にプリント基板を支持する基板支持部を備えた基板受け台本体と、
この基板受け台本体の上記ピン挿入孔に挿入可能な受け台挿入部を備えた支持ピンと、を有し、
上記支持ピンは基板挿入部を備え、この基板挿入部は、プリント基板に設けられた支持穴に挿入可能であると共に、プリント基板の厚さ以下の長さを有することを特徴とする基板受け台。
【請求項2】
上記支持ピンは、支持すべきプリント基板の厚さに応じて選択できるように、上記基板挿入部の長さが異なる複数の種類が準備されている請求項1記載の基板受け台。
【請求項3】
上記支持ピンの上記受け台挿入部は、上記基板受け台本体の上記ピン挿入孔に挿入されたとき弾性変形されるように構成されている請求項1又は2に記載の基板受け台。
【請求項4】
さらに、プリント基板の端部を支持する端部受け具を有し、この端部受け具は、プリント基板の端部と係合する係合部と、上記基板受け台本体の上記ピン挿入孔に挿入可能な受け台挿入部と、を有する請求項1又は2に記載の基板受け台。
【請求項5】
上記端部受け具の上記係合部は、プリント基板の端部に係合するように摺動可能に構成されている請求項4記載の基板受け台。
【請求項6】
さらに、プリント基板の下面を支持する下面受けピンを有し、この下面受けピンは、上記基板受け台本体の上記ピン挿入孔に挿入可能な受け台挿入部と、プリント基板の下面に当接する支持当接部と、を備えている請求項1又は2に記載の基板受け台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板受け台に関し、特に、電子部品の自動実装機に搬入するプリント基板を支持するための基板受け台に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2007-27611号公報(特許文献1)には、ブリント配線基板及び当該プリント配線基板を用いた電子回路基板が記載されている。ここに記載されているような電子回路基板を製造する場合には、一般に、プリント配線基板を、自動実装機のホルダに把持させ、把持されたプリント配線基板上に、自動実装機により電子部品を実装する。次いで、電子部品を実装したプリント配線基板をリフロー炉に搬入して半田付けを実行する。
【0003】
また、近年、電子回路基板は、高集積化、小型化が進み、プリント配線基板に、自動実装機のホルダに把持させるための十分な空きスペース(電子部品が実装されていない部分)がない場合が多い。このような場合には、部品を実装しない捨て板部分をプリント配線基板の両側部に設けておき、この部分をホルダに把持させる。そして、電子部品の半田付けが完了した後、捨て板部分を切り取って電子回路基板を完成させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-27611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、プリント基板(プリント配線基板)に捨て板部分を設けた場合、捨て板部分を切り離す際に電子回路基板に応力がかかり、部品にストレスがかかるという問題がある。このように、電子回路基板に応力がかかると、最悪の場合、基板上の半田にクラックが入ったり、電子部品が損傷される虞がある。
【0006】
従って、本発明は、電子部品の実装密度が高いプリント基板であっても、捨て板部分を設けることなく、自動実装機に搬入することを可能にする基板受け台を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、電子部品の自動実装機に搬入するプリント基板を支持するための基板受け台であって、自動実装機によって支持される被支持部、及び複数のピン挿入孔が設けられ、上方にプリント基板を支持する基板支持部を備えた基板受け台本体と、この基板受け台本体のピン挿入孔に挿入可能な受け台挿入部を備えた支持ピンと、を有し、支持ピンは基板挿入部を備え、この基板挿入部は、プリント基板に設けられた支持穴に挿入可能であると共に、プリント基板の厚さ以下の長さを有することを特徴としている。
【0008】
このように構成された本発明においては、基板受け台本体の基板支持部に設けられたピン挿入孔に、支持ピンの受け台挿入部が挿入され、基板受け台本体に支持ピンが取り付けられる。次いで、基板受け台本体に取り付けられた各支持ピンの基板挿入部が、プリント基板に設けられた各支持穴に夫々挿入されるように、プリント基板が配置される。これにより、基板受け台本体の基板支持部の上方に、支持ピンを介してプリント基板が支持される。この状態で、基板受け台本体の被支持部を自動実装機によって支持させることにより、プリント基板を基板受け台と共に自動実装機に搬入することができる。
【0009】
このように構成された本発明によれば、プリント基板が支持ピンにより基板受け台に支持され、基板受け台本体の被支持部が自動実装機によって支持されるので、捨て板部分を設けていないプリント基板であっても、電子部品の自動実装機に搬入することができる。さらに、このように構成された本発明によれば、プリント基板の支持穴に挿入される支持ピンの基板挿入部が、プリント基板の厚さ以下の長さにされているので、自動クリーム半田機によりプリント基板の表面にクリーム半田を塗布する場合でも、基板挿入部が邪魔になることはなく、自動クリーム半田にも対応することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、支持ピンは、支持すべきプリント基板の厚さに応じて選択できるように、基板挿入部の長さが異なる複数の種類が準備されている。
【0011】
このように構成された本発明によれば、基板挿入部の長さが異なる複数種類の支持ピンが準備されているので、支持すべきプリント基板の厚さに応じて支持ピンを選択することにより、支持ピンの基板挿入部がプリント基板の表面から突出することなくプリント基板を支持することができる。また、プリント基板の厚さ以下の範囲で、より長い基板挿入部を備えた支持ピンを選択することにより、支持ピンとプリント基板の掛かり代を大きくすることができ、より確実にプリント基板を支持することができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、支持ピンの受け台挿入部は、基板受け台本体のピン挿入孔に挿入されたとき弾性変形されるように構成されている。
【0013】
このように構成された本発明によれば、支持ピンの受け台挿入部が基板受け台本体のピン挿入孔に挿入されたとき弾性変形されるので、支持ピンを基板受け台本体のピン挿入孔と確実に嵌合させることができ、ガタつきなく、プリント基板を支持することができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、さらに、プリント基板の端部を支持する端部受け具を有し、この端部受け具は、プリント基板の端部と係合する係合部と、基板受け台本体のピン挿入孔に挿入可能な受け台挿入部と、を有する。
【0015】
このように構成された本発明によれば、プリント基板の端部を支持する端部受け具を有するので、支持ピンに加えて、端部からも端部受け具によってプリント基板を支持することができ、プリント基板を基板受け台によって確実に支持することができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、端部受け具の係合部は、プリント基板の端部に係合するように摺動可能に構成されている。
【0017】
このように構成された本発明によれば、端部受け具の係合部が摺動可能に構成されているので、様々な寸法、形状のプリント基板の端部に、端部受け具の係合部を係合させることができ、プリント基板を基板受け台によって確実に支持することができる。
【0018】
本発明において、好ましくは、さらに、プリント基板の下面を支持する下面受けピンを有し、この下面受けピンは、基板受け台本体のピン挿入孔に挿入可能な受け台挿入部と、プリント基板の下面に当接する支持当接部と、を備えている。
【0019】
このように構成された本発明によれば、プリント基板の下面に当接する支持当接部を備えた下面受けピンを有するので、プリント基板の支持穴が設けられていない部分についても、下面受けピンによりプリント基板を下方から支持することができる。これにより、プリント基板は、基板受け台の上方に、より強固に支持され、電子部品の自動実装機において部品を実装する際に、プリント基板が撓むのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の基板受け台によれば、電子部品の実装密度が高いプリント基板であっても、捨て板部分を設けることなく、自動実装機に搬入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態の基板受け台によりプリント基板を支持した状態を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態による基板受け台に備えられている基板受け台本体の斜視図である。
図3】本発明の実施形態による基板受け台に備えられている支持ピンの斜視図である。
図4】本発明の実施形態による基板受け台に備えられている下面受けピンの斜視図である。
図5】本発明の実施形態による基板受け台に備えられている端部受け具の斜視図である。
図6】本発明の実施形態による基板受け台に備えられている支持ピンの変形例を示す斜視図である。
図7】本発明の実施形態による基板受け台に備えられている端部受け具の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態による基板受け台を説明する。
図1は、本発明の実施形態の基板受け台によりプリント基板を支持した状態を示す斜視図である。図2は、本発明の実施形態による基板受け台に備えられている基板受け台本体の斜視図である。図3は、本発明の実施形態による基板受け台に備えられている支持ピンの斜視図である。図4は、本発明の実施形態による基板受け台に備えられている下面受けピンの斜視図である。図5は、本発明の実施形態による基板受け台に備えられている端部受け具の斜視図である。
【0023】
図1に示すように、本発明の実施形態による基板受け台1は、基板受け台本体2と、この基板受け台本体2に取り付けて使用される支持ピン4、下面受けピン6、及び端部受け具8と、を有する。本実施形態の基板受け台1により、プリント基板10は、基板受け台本体2の上方に支持される。また、基板受け台本体2の両側部は、電子部品の自動実装機(図示せず)に備えられている自動搬送レール12によって把持されることにより支持され、基板受け台1がプリント基板10と共に自動実装機に搬入される。
【0024】
このように、本発明の実施形態の基板受け台1においては、基板受け台本体2の両側部が自動搬送レール12によって把持され、プリント基板10は支持ピン4等により下方から支持される。このため、プリント基板10の両側部に把持することができる空きスペースがない場合でも、プリント基板10の両側部に捨て板部分を設けることなく、プリント基板10を自動実装機に搬入することが可能になる。なお、本実施形態において、下面受けピン6及び/又は端部受け具8は省略することもできる。
【0025】
図2に示すように、基板受け台本体2はプレート状の部材であり、その両側の側部には自動実装機(図示せず)によって支持される被支持部2aが夫々設けられ、これらの被支持部2aの間には、上方にプリント基板10を支持する基板支持部2bが設けられている。基板受け台本体2両側の被支持部2aは、図1に示すように、自動実装機(図示せず)の自動搬送レール12の溝12aに受け入れられ、把持される。また、溝12aの内部には、搬送用ベルト12bが設けられており、この搬送用ベルト12bが溝12aの中で送られることにより、基板受け台本体2が自動搬送レール12に沿って搬送される。
【0026】
一方、基板支持部2bには、支持ピン4等を挿入するための複数の円形のピン挿入孔2cが、縦横等間隔に格子状に配列されている。即ち、本実施形態においては、基板受け台本体2両側部のピン挿入孔2cが設けられていない領域が被支持部2aを構成し、ピン挿入孔2cが配列されている領域が基板支持部2bを構成している。また、本実施形態において、各ピン挿入孔2cは、縦方向、横方向とも10mm間隔で配列されているが、支持すべきプリント基板10の規格等に応じて、ピン挿入孔2cの間隔を適宜変更することもできる。
【0027】
図3に示すように、支持ピン4は、全体として段付きの円柱状の部材であり、基板受け台本体2のピン挿入孔2cに挿入可能な受け台挿入部4aと、プリント基板10に設けられた支持穴10a(図1)に挿入可能な基板挿入部4bと、受け台挿入部4aと基板挿入部4bの間に設けられた大径部4cと、を有する。
【0028】
受け台挿入部4aは、円柱部と、その下側に形成された円錐部から構成されており、先端が細くなるように構成されている。また、受け台挿入部4aの円柱部は、基板受け台本体2のピン挿入孔2cに、ガタなく挿入可能な直径に構成されている。
【0029】
大径部4cは、受け台挿入部4a及び基板挿入部4bよりも直径が大きい円柱形状に構成されており、その長さはL1に設定されている。支持ピン4の受け台挿入部4aを基板受け台本体2のピン挿入孔2cに挿入すると、支持ピン4の大径部4cの下端が基板受け台本体2に当接する。一方、基板受け台本体2に取り付けられた支持ピン4の上にプリント基板10を配置すると、大径部4cの上端にプリント基板10が当接する。これにより、プリント基板10は、基板受け台本体2上面の上方から高さL1の位置に支持ピン4を介して支持される。
【0030】
基板挿入部4bは、円柱形状に構成されており、プリント基板10に設けられた支持穴10aに挿入できるように構成されている。また、基板挿入部4bも、プリント基板10の支持穴10aにガタなく挿入可能な直径に構成されている。なお、本実施形態においては、プリント基板10に設けられた直径4mmの支持穴10aに対し、基板挿入部4bの直径は3.8mmに構成されている。
【0031】
また、本実施形態において、基板挿入部4bの長さL2は、プリント基板10の厚さと同じ長さに構成されている。好ましくは、基板挿入部4bの長さL2は、1mmよりも大きく、プリント基板10の厚さ以下の長さに構成する。より好ましくは、基板挿入部4bの長さL2は、プリント基板10の厚さと同じ長さにする。これにより、プリント基板10の支持穴10aに挿入された基板挿入部4bの先端が、プリント基板10の表面から突出するのを回避することができる。また、基板挿入部4bの長さL2を、プリント基板10の厚さと同じ長さにすることにより、プリント基板10と基板挿入部4bの掛かり代を最大にすることができ、支持ピン4からプリント基板10が抜けにくくなるため、安定してプリント基板10を支持ピン4により支持することができる。
【0032】
さらに、好ましくは、支持ピン4は、支持すべきプリント基板10の厚さに応じて選択できるように、基板挿入部4bの長さが異なる複数の種類を準備しておく。例えば、厚さ2mmのプリント基板10に対し、基板挿入部4bの長さL2=2mmの支持ピン4を準備し、厚さ1.6mmのプリント基板10に対し、基板挿入部4bの長さL2=1.6mmの支持ピン4を準備しておく。なお、この場合においても、大径部4cの長さL1は同一にするのが良い。
【0033】
次に、図4に示すように、下面受けピン6は、基板受け台本体2のピン挿入孔2cに挿入可能な受け台挿入部6aと、プリント基板10の下面に当接する支持当接部6bと、受け台挿入部6aと支持当接部6bの間に形成された大径部6cと、を有する。
【0034】
受け台挿入部6aは、円柱部と、その下側に形成された円錐部から構成されており、先端が細くなるように構成されている。また、受け台挿入部6aの円柱部は、基板受け台本体2のピン挿入孔2cに、ガタなく挿入可能な直径に構成されている。
大径部6cは、受け台挿入部6a及び支持当接部6bよりも直径が大きい円柱形状に構成されている。なお、変形例として、支持当接部6bは、大径部6cと同じ直径であっても良いし、大径部6cよりも直径が大きくても良い。
【0035】
支持当接部6bは、大径部6cの上端に取り付けられた円柱形の部材であり、可撓性のある材料で構成される。本実施形態において、支持当接部6bは、ゴム製である。なお、支持当接部6bは、リフロー炉における加熱に耐えられるよう、シリコンゴムやフッ素ゴム等、耐熱性のあるゴムで構成するのが良い。また、支持当接部6bは、大径部6cの下端から、支持当接部6bの上端までの長さが、凡そL1になるように構成されている。これにより、支持ピン4によって基板受け台本体2の上方、高さL1の位置に支持されているプリント基板10の下面が、支持当接部6bの上端面に当接して、プリント基板10を支持することができる。
【0036】
なお、大径部6cの下端から、支持当接部6bの上端までの長さをL1よりも僅かに長く構成しておき、支持当接部6bの上端がプリント基板10の下面に当接したとき、支持当接部6bが弾性変形されるように構成することもできる。これにより、プリント基板10の下面は、支持当接部6bの上端と確実に当接し、支持当接部6bをプリント基板10に密着させることができる。また、本実施形態において、支持当接部6bは、大径部6cよりも直径の小さい円柱形に形成されているが、支持すべきプリント基板10に応じて、任意の寸法形状に支持当接部6bを構成することができる。
【0037】
次に、図5に示すように、端部受け具8は、基板受け台本体2のピン挿入孔2cに挿入可能な受け台挿入部8aと、本体部8bと、受け台挿入部8aと本体部8bを連結する大径部8cと、を有する。
受け台挿入部8aは、円柱部と、その下側に形成された円錐部から構成されており、先端が細くなるように構成されている。また、受け台挿入部8aの円柱部は、基板受け台本体2のピン挿入孔2cに、ガタなく挿入可能な直径に構成されている。
【0038】
大径部8cは、受け台挿入部8aの円柱部よりも直径が大きく構成された円柱形状の部分であり、受け台挿入部8aの上端と本体部8bの下面を連結するように設けられている。なお、本実施形態においては、受け台挿入部8aと大径部8cからなる円柱状の部材が、本体部8bの下面に2つ設けられており、これらの円柱状の部材の間隔は、基板受け台本体2に設けられたピン挿入孔2cの間隔と同一にされている。このため、基板受け台本体2上の任意の位置に端部受け具8を配置することができる。
【0039】
本体部8bは、段付きの板状に構成された部材であり、板厚が薄い部分と、板厚が厚い部分の間に、直角に立ち上がった係合部である段部8dが形成されている。ここで、大径部8cの下端から、本体部8bの板厚が薄い部分の上面までの高さは、L1に設定されている。また、本体部8bの板厚が薄い部分から直角に立ち上がる段部8dの高さは、L2に設定されている。
【0040】
これにより、支持ピン4によって基板受け台本体2の上方、高さL1の位置に支持されているプリント基板10の下面と、本体部8bの板厚が薄い部分の上面の高さは等しくなり、プリント基板10の下面は本体部8bによって支持される。また、本体部8bの板厚が薄い部分から立ち上がっている段部8dは、基板受け台本体2の上方に支持されているプリント基板10の端部と当接し、係合する(図1)。なお、本体部8b及び/又は段部8dの、プリント基板10と当接する部分に、耐熱性のあるゴムを取り付けても良い。また、本実施形態において、プリント基板10の端部と端部受け具8は、本体部8bの板厚が薄い部分の上面及び段部8dにおいて当接しているが、本明細書における「係合」には、このような状態も含まれる。
【0041】
なお、本実施形態において、段部8dの高さL2は、プリント基板10の厚さと同一に構成されている。好ましくは、段部8dの高さL2は、1mmよりも大きく、プリント基板10の厚さ以下の高さに構成する。より好ましくは、段部8dの高さL2はプリント基板10の厚さと同一にする。これにより、プリント基板10の端部と係合している本体部8bの上端が、プリント基板10の上面よりも高く突出するのを回避することができる。
【0042】
さらに、好ましくは、端部受け具8は、支持すべきプリント基板10の厚さに応じて選択できるように、段部8dの高さが異なる複数の種類を準備しておく。例えば、厚さ2mmのプリント基板10に対し、段部8dの高さL2=2mmの端部受け具8を準備し、厚さ1.6mmのプリント基板10に対し、段部8dの高さL2=1.6mmの端部受け具8を準備しておく。なお、この場合においても、大径部8cの下端から、本体部8bの板厚が薄い部分の上面までの高さL1は同一にするのが良い。
【0043】
次に、図1を参照して、本発明の実施形態による基板受け台1の使用方法を説明する。
まず、本実施形態の基板受け台1により支持すべきプリント基板10には、設計時において、支持ピン4の基板挿入部4bを挿入するための支持穴10aを設けておく。なお、電子部品を実装して完成したプリント基板10は、一般に、最終製品に組み込む際に、ビスや、基板スペーサを使用して製品の筐体に固定される。このように、プリント基板10には、プリント基板10を固定するために複数の穴が形成されるため、これらの穴を支持穴10aとして流用することにより、通常は、プリント基板10に特別な支持穴10aを設ける必要はない。
【0044】
次に、基板受け台本体2に設けられた多数のピン挿入孔2c(図2)のうちの、プリント基板10に設けられた支持穴10aに対応するピン挿入孔2cに、支持ピン4を立てる。即ち、プリント基板10の支持穴10aに対応する位置に設けられたピン挿入孔2cに、支持ピン4の基板挿入部4bを挿入して、基板受け台本体2に支持ピン4を立てる。図1に示す例では、プリント基板10の三つの隅、及び一辺の中点付近に支持ピン4が立てられている。
【0045】
なお、プリント基板10に支持穴10aを設ける位置を規格化しておくことにより、支持穴10aに対応する位置に支持ピン4を立てることが可能になる。また、本実施形態においては、支持ピン4の基板挿入部4b(図3)の長さL2が、プリント基板10の厚さと同一に構成されている。このため、基板挿入部4bがプリント基板10の支持穴10aに挿入された状態において、基板挿入部4bの上端と、プリント基板10の上面は面一になる。
【0046】
さらに、基板受け台本体2に設けられた多数のピン挿入孔2c(図2)のうちの、適切な箇所に下面受けピン6を立てる。即ち、支持ピン4及び下面受けピン6が、プリント基板10全体にバランス良く分布するように、基板受け台本体2に設けられたピン挿入孔2cのうちの、適切なピン挿入孔2cに下面受けピン6を立てる。
【0047】
図1に示す例では、プリント基板10の左上の部分には、支持穴10aが設けられておらず、支持ピン4が配置されていない。そこで、プリント基板10の左上付近に下面受けピン6を配置することにより、プリント基板10をバランス良く支持して、支持されたプリント基板10を安定させる。また、下面側に既に電子部品(図示せず)が実装されているプリント基板10を、基板受け台1によって支持する場合には、実装された電子部品と干渉しない位置に下面受けピン6を配置する。
【0048】
次に、基板受け台本体2の適所に、端部受け具8を配置する。即ち、図1に示すように、支持されるプリント基板10の端縁が、端部受け具8の段部8d(図5)と係合するように、基板受け台本体2上に端部受け具8を取り付ける。なお、プリント基板10の端縁から支持穴10aまでの距離を規格化しておくことにより、プリント基板10の端縁を、端部受け具8の段部8dと係合させることが可能になる。
【0049】
このようにして、基板受け台本体2の基板支持部2b上の適所に、支持ピン4、下面受けピン6、及び端部受け具8を取り付けた状態で、プリント基板10の各支持穴10aに、各支持ピン4の基板挿入部4bが挿入されるように、プリント基板10を配置する。これにより、プリント基板10は、基板支持部2bの上方、高さL1の位置に、基板支持部2bと平行に支持される。この状態では、支持ピン4の基板挿入部4bがプリント基板10の支持穴10aに挿入され、プリント基板10の端縁が端部受け具8の段部8dと係合しているため、プリント基板10に一定程度水平方向の力が作用しても、プリント基板10の位置がずれることはない。また、プリント基板10は、支持ピン4、下面受けピン6、及び端部受け具8によって下方からバランス良く支持されているため、プリント基板10に一定程度鉛直方向の力が作用しても、プリント基板10が傾いたり、撓んだりすることはない。
【0050】
また、基板受け台1上に支持されたプリント基板10に、自動クリーム半田機(図示せず)によってクリーム半田を塗布する場合には、プリント基板10上にメタルマスク(図示せず)が配置された後、その上にクリーム半田が供給される。このクリーム半田をスキージーによってシゴクことにより、メタルマスクの開口部を通してプリント基板10上にクリーム半田が塗布される。本実施形態においては、上記のように、プリント基板10の支持穴10aに挿入された支持ピン4の基板挿入部4bが、プリント基板10の上面に突出することがないため、メタルマスクをプリント基板10の表面に密着させることができ、自動クリーム半田機により、適正にクリーム半田を塗布することができる。
【0051】
次いで、クリーム半田が塗布されたプリント基板10は、これを支持している基板受け台本体2の被支持部2aが、自動搬送レール12によって把持された状態で、基板受け台1と共に電子部品の自動実装機(図示せず)に搬入される。そして、自動実装機(図示せず)によりプリント基板10上の所定の位置に電子部品が配置される。次いで、電子部品が配置されたプリント基板10は、リフロー炉に搬入され、クリーム半田を溶融させることにより、電子部品が半田付けされる。
【0052】
本発明の実施形態の基板受け台1によれば、プリント基板10が支持ピン4により基板受け台1に支持され、基板受け台本体2の被支持部2aが自動実装機によって支持されるので、捨て板部分を設けていないプリント基板10であっても、電子部品の自動実装機に搬入することができる。さらに、本実施形態によれば、プリント基板10の支持穴10aに挿入される支持ピン4の基板挿入部4bが、プリント基板10の厚さ以下の長さにされているので、自動クリーム半田機によりプリント基板10の表面にクリーム半田を塗布する場合でも、基板挿入部4bが邪魔になることはなく、自動クリーム半田にも対応することができる。
【0053】
また、本実施形態の基板受け台1によれば、基板挿入部4bの長さが異なる複数種類の支持ピン4が準備されているので、支持すべきプリント基板10の厚さに応じて支持ピン4を選択することにより、支持ピン4の基板挿入部4bがプリント基板10の表面から突出することなく、支持ピン4により確実にプリント基板10を支持することができる。
【0054】
さらに、本実施形態の基板受け台1によれば、プリント基板10の端部を支持する端部受け具8を有するので、支持ピン4に加えて、端部からも端部受け具8によってプリント基板10を支持することができ、プリント基板10を基板受け台によって確実に支持することができる。
【0055】
また、本実施形態の基板受け台1によれば、プリント基板10の下面に当接する支持当接部6bを備えた下面受けピン6を有するので、プリント基板10の支持穴10aが設けられていない部分についても、下面受けピン6によりプリント基板10を下方から支持することができる。これにより、プリント基板10は、基板受け台1の上方に、より強固に支持され、電子部品の自動実装機において部品を実装する際に、プリント基板10が撓むのを抑制することができる。
【0056】
また、上述した本発明の実施形態において、支持ピン4の受け台挿入部4aは、基板受け台本体2のピン挿入孔2cにガタなく嵌まるように構成されていたが、変形例として、図6に示すように支持ピンを構成することもできる。図6に示す変形例による支持ピン14は、受け台挿入部14aと、基板挿入部14bと、大径部14cと、を有する。ここで、基板挿入部14b、及び大径部14cの構成は、上述した実施形態と同様である。本変形例において、受け台挿入部14aは、基板受け台本体2のピン挿入孔2cに挿入されたとき弾性変形されるように構成されている。
【0057】
即ち、本変形例において、受け台挿入部14aは、所謂バナナプラグのように、湾曲した複数の金属薄板から構成されており、ピン挿入孔2cに挿入されると、各金属薄板が弾性変形し、外径が細くなる。これにより、支持ピン14の受け台挿入部14aは、ピン挿入孔2cにガタなく嵌合する。本変形例によれば、支持ピン14の受け台挿入部14aが基板受け台本体2のピン挿入孔2cに挿入されたとき弾性変形されるので、支持ピン14を基板受け台本体2のピン挿入孔2cと確実に嵌合させることができ、ガタつきなく、プリント基板10を支持することができる。なお、上述した実施形態における下面受けピン6の受け台挿入部6aを、本変形例における受け台挿入部14aと同様に、弾性変形可能に構成することもできる。
【0058】
本変形例の支持ピン14を使用することにより、支持ピン14の受け台挿入部14aが基板受け台本体2のピン挿入孔2cに挿入されたとき弾性変形されるので、支持ピン14を基板受け台本体2のピン挿入孔2cと確実に嵌合させることができ、ガタつきなく、プリント基板10を支持することができる。
【0059】
また、上述した本発明の実施形態において、端部受け具8の係合部である段部8dの位置は、受け台挿入部8aに対して固定されていた。これに対して、変形例として、図7に示すように、係合部を摺動可能に構成することもできる。即ち、本変形例の端部受け具18は、基板受け台本体2のピン挿入孔2cに挿入可能な受け台挿入部18aと、本体部18bと、受け台挿入部18aと本体部18bを連結する大径部18cと、本体部18bに摺動可能に取り付けられた係合部である摺動部18dと、を有する。
【0060】
ここで、受け台挿入部18a及び大径部18cの構成は、上述した実施形態における受け台挿入部8a及び大径部8cの構成と同一である。
本体部18bは、板状に構成された部材であり、受け台挿入部18a及び大径部18cから構成された部材が2つ、下面に取り付けられている。
【0061】
摺動部18dは、本体部18bの上面に摺動可能に取り付けられたブロック状の部材である。即ち、摺動部18dにはスリット状の2本の溝18eが形成されており、これらの溝18eを通して、2本のビス18fにより摺動部18dが本体部18bに固定されている。なお、これらのビス18fの頭は溝18eの中に落とし込まれており、ビス18fを締めた状態で、その頭が摺動部18dの上面から突出することはない。
【0062】
また、端部受け具18を使用する場合には、2本のビス18fを緩めた状態で、基板受け台本体2上にプリント基板10を支持させ、支持されているプリント基板10の端部に当接する位置まで摺動部18dをスライドさせる。そして、この状態で各ビス18fを締め、本体部18bに摺動部18dを固定する。
【0063】
ここで、大径部18cの下端から、本体部18bの上面までの高さは、L1に設定されている。また、本体部18bの上面に取り付けられた摺動部18dの高さは、L2に設定されている。これにより、支持ピン4によって基板受け台本体2の上方、高さL1の位置に支持されているプリント基板10の下面と、本体部18bの上面の高さは等しくなり、プリント基板10の下面は本体部18bによって支持される。また、本体部18bに摺動可能に取り付けられている摺動部18dは、基板受け台本体2の上方に支持されているプリント基板10の端部と当接し、係合する。
【0064】
なお、本変形例においても、摺動部18dの高さL2は、プリント基板10の厚さと同一に構成されている。好ましくは、摺動部18dの高さL2は、1mmよりも大きく、プリント基板10の厚さ以下の高さに構成する。これにより、プリント基板10の端部と係合している摺動部18dの上端が、プリント基板10の上面よりも高く突出するのを回避することができる。
【0065】
本変形例の端部受け具18を使用すると、端部受け具18の係合部である摺動部18dが摺動可能に構成されているので、様々な寸法、形状のプリント基板10の端部に、端部受け具18の摺動部18dを係合させることができ、プリント基板10を基板受け台1によって確実に支持することができる。また、本変形例においては、摺動部18dがビス18fにより位置調整可能に構成されているが、他の変形例として、摺動部18dがバネ(図示せず)により付勢されるように構成することもできる。これにより、摺動部18dはバネの付勢力により摺動され、摺動部18dを様々な寸法、形状のプリント基板10の端部に当接させることができる。
【0066】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した本発明の実施形態の基板受け台1に備えられていた支持ピン4、下面受けピン6、及び端部受け具8と、変形例による支持ピン14、及び端部受け具18は、適宜選択して、又は併用して本発明を構成することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 基板受け台
2 基板受け台本体
2a 被支持部
2b 基板支持部
2c ピン挿入孔
4 支持ピン
4a 受け台挿入部
4b 基板挿入部
4c 大径部
6 下面受けピン
6a 受け台挿入部
6b 支持当接部
6c 大径部
8 端部受け具
8a 受け台挿入部
8b 本体部
8c 大径部
8d 段部(係合部)
10 プリント基板
10a 支持穴
12 自動搬送レール
12a 溝
12b 搬送用ベルト
14 支持ピン
14a 受け台挿入部
14b 基板挿入部
14c 大径部
18 端部受け具
18a 受け台挿入部
18b 本体部
18c 大径部
18d 摺動部(係合部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7