(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141246
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】搬送車および荷役プログラム
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20241003BHJP
B66F 9/14 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B66F9/24 P
B66F9/14 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052777
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 徹郎
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AE02
3F333BA21
3F333FA05
3F333FA11
3F333FA21
3F333FD11
3F333FD15
3F333FE04
3F333FE05
3F333FE09
(57)【要約】
【課題】荷積載部に対する荷の位置関係を参照しながら荷積載部をサイドシフトすることができる搬送車を提供する。
【解決手段】搬送車1は、フォーク16と、フォーク16をサイドシフトさせるサイドシフト部19と、フォーク16に積載されている荷に水平にレーザを照射して点群を取得する点群取得部22と、取得された点群に基づいて、荷のエッジの位置を特定するエッジ特定部と、荷位置特定部と、サイドシフト部19のサイドシフト量を制御するサイドシフト制御部と、を備えている。荷位置特定部は、フォーク16がサイドシフトしているとき、特定された荷のエッジの位置に基づいて、フォーク16に対する荷の位置関係が変化するか否かを検出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷積載部と、
前記荷積載部をサイドシフトさせるサイドシフト部と、
前記荷積載部に積載されている荷に水平にレーザを照射して点群を取得する点群取得部と、
取得された前記点群に基づいて、前記荷のエッジの位置を特定するエッジ特定部と、
荷位置特定部と、
前記サイドシフト部のサイドシフト量を制御するサイドシフト制御部と、を備え、
前記荷位置特定部は、前記荷積載部がサイドシフトしているとき、特定された前記荷の前記エッジの位置に基づいて、前記荷積載部に対する前記荷の位置関係が変化するか否かを検出する、搬送車。
【請求項2】
サイドシフト停止部をさらに備え、
前記サイドシフト停止部は、前記荷積載部がサイドシフトしているとき、前記荷積載部に対する前記荷の位置関係が変化していることが検出されると、前記サイドシフト部の稼働を停止させる、請求項1に記載の搬送車。
【請求項3】
前記サイドシフト制御部は、荷積載時において、前記荷積載部に対する前記荷の位置関係が変化していることが検出されるまで、前記サイドシフト部によって前記荷積載部をサイドシフトさせる、請求項1に記載の搬送車。
【請求項4】
距離算出部をさらに備え、
前記点群取得部は、荷積載位置に隣接している物体にもレーザを照射可能な位置に配置されており、
前記エッジ特定部は、取得された前記点群に基づいて、前記物体の前記エッジをさらに特定し、
前記距離算出部は、特定された前記荷および前記物体の前記エッジの位置に基づいて、前記荷と前記物体との左右方向の距離を算出し、
前記サイドシフト制御部は、算出された前記荷と前記物体との左右方向の距離に基づいて、前記サイドシフト量を決定する、請求項1に記載の搬送車。
【請求項5】
前記エッジ特定部は、取得された前記点群を左右方向の距離を軸とする度数分布を用いて解析し、実質的に度数のない領域に隣接する度数のある区間を前記荷の左右方向における前記エッジの位置として特定する、請求項4に記載の搬送車。
【請求項6】
前記エッジ特定部は、取得された前記点群を前後方向の距離を軸とする度数分布を用いて解析し、上側の領域におけるピーク値の区間を前記物体の前記エッジとして特定するとともに下側の領域におけるピーク値の区間を前記荷の前記エッジの位置として特定する、請求項5に記載の搬送車。
【請求項7】
前記サイドシフト制御部は、前記荷と前記物体との左右方向の距離がない場合、前記物体から前記荷積載位置の方向へ前記荷積載部をサイドシフトさせる、請求項4に記載の搬送車。
【請求項8】
前記点群取得部は、前記荷積載部に積載された前記荷と、荷積載位置とにレーザを照射することができる位置に配置されている、請求項1に記載の搬送車。
【請求項9】
前記搬送車は、フォークリフトであって、バックレストを備え、
前記点群取得部は、前記バックレストに設けられている、請求項1に記載の搬送車。
【請求項10】
コンピュータを請求項1の前記エッジ特定部、前記荷位置特定部および前記サイドシフト制御部として動作させる、荷役プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷を搬送する搬送車および荷役プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、自律して走行し荷役を行う無人搬送車がある。特許文献1に開示の無人搬送車は、フォークと、フォークを昇降させる昇降装置と、自機位置を検出するレーザスキャナと、を備えている。無人搬送車は、自機位置を検出しながら予め定められた荷役位置まで移動し、フォークを昇降させて荷役作業を行うよう構成されている。また、特許文献2に開示の無人搬送車は、サイドシフト部を備え、このサイドシフト部によってバックレストと、フォークを左右方向に移動させる。
【0003】
ところで、荷を積載するとき、狭い空間に荷を積載しなければいけないときがある。このとき、荷を積載する前に、サイドシフト部によるサイドシフトによって荷の着地点を調整することができる。ただし、有人搬送車であれば、荷が周囲の物体に接触したことを目視で認識できるが、無人搬送車の場合、検知できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-030642号公報
【特許文献2】特開2021-143039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、荷積載部に対する荷の位置関係を参照しながら荷積載部をサイドシフトすることができる搬送車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る搬送車は、
荷積載部と、
荷積載部をサイドシフトさせるサイドシフト部と、
荷積載部に積載されている荷に水平にレーザを照射して点群を取得する点群取得部と、取得された点群に基づいて、荷のエッジの位置を特定するエッジ特定部と、
荷位置特定部と、サイドシフト部のサイドシフト量を制御するサイドシフト制御部と、を備え、
荷位置特定部は、荷積載部がサイドシフトしているとき、特定された荷のエッジの位置に基づいて、荷積載部に対する荷の位置関係が変化するか否かを検出する。
【0007】
上記搬送車は、好ましくは、
サイドシフト停止部をさらに備え、
サイドシフト停止部は、荷積載部がサイドシフトしているとき、荷積載部に対する荷の位置関係が変化していることが検出されると、サイドシフト部の稼働を停止させる。
【0008】
上記搬送車は、好ましくは、
サイドシフト制御部が、荷積載時において、荷積載部に対する荷の位置関係が変化していることが検出されるまで、サイドシフト部によって荷積載部をサイドシフトさせる。
【0009】
上記搬送車は、好ましくは、
距離算出部をさらに備え、
点群取得部は、荷積載位置に隣接している物体にもレーザを照射可能な位置に配置されており、
エッジ特定部は、取得された点群に基づいて、物体のエッジをさらに特定し、
距離算出部は、特定された荷および物体のエッジの位置に基づいて、荷と物体との左右方向の距離を算出し、
サイドシフト制御部は、算出された荷と物体との左右方向の距離に基づいて、サイドシフト量を決定する。
【0010】
上記搬送車は、好ましくは、
エッジ特定部が、取得された点群を左右方向の距離を軸とする度数分布を用いて解析し、実質的に度数のない領域に隣接する度数のある区間を荷の左右方向におけるエッジの位置として特定する。なお、本発明における「実質的に度数のない」とは、ノイズ等により何もない領域に度数があった場合を除くということである。エッジ特定部は、公知の技術により、ノイズ等による度数を削除、または少ない度数を無視して解析してもよい。
【0011】
上記搬送車は、好ましくは、
エッジ特定部が、取得された点群を前後方向の距離を軸とする度数分布を用いて解析し、上側の領域におけるピーク値の区間を物体のエッジとして特定するとともに下側の領域におけるピーク値の区間を荷のエッジの位置として特定する。
【0012】
上記搬送車は、好ましくは、
サイドシフト制御部が、荷と物体との左右方向の距離がない場合、物体から荷積載位置の方向へ荷積載部をサイドシフトさせる。
【0013】
上記搬送車は、好ましくは、
点群取得部が、荷積載部に積載された荷と、荷積載位置とにレーザを照射することができる位置に配置されている。
【0014】
上記搬送車は、例えば、フォークリフトであって、バックレストを備え、
点群取得部は、バックレストに設けられている。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明に係る荷役プログラムは、
コンピュータを上記エッジ特定部、上記荷位置特定部および上記サイドシフト制御部として動作させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る搬送車は、荷積載部に対する荷の位置関係を参照しながら荷積載部をサイドシフトすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る荷役車の側面図である。
【
図3】連結部を示し、Aは正面上から見た斜視図であり、Bは平面図であり、Cは正面図である。
【
図4】2次元LiDARセンサのレーザの照射を示す平面図である。
【
図5】2次元LiDARセンサのレーザの照射を示す斜視図である。
【
図6】Aは左側の2次元LiDARセンサによって取得された点群を示す図であり、BはAの点群を左右方向のヒストグラムで表示させた図であり、CはAの点群を前後方向のヒストグラムで表示させた図である。
【
図7】Aは左側の2次元LiDARセンサによって取得された別の点群を示した図であり、BはAの点群を左右方向のヒストグラムで表示させた図であり、CはAの点群を前後方向のヒストグラムで表示させた図である。
【
図8】Aは左側の2次元LiDARセンサによって取得されたさらに別の点群を示した図であり、BはAの点群を左右方向のヒストグラムで表示させた図である。
【
図9】Aは左側の2次元LiDARセンサによって取得されたさらに別の点群を示した図であり、BはAの点群を前後方向のヒストグラムで表示させた図であり、CはAの点群を前後方向のヒストグラムで表示させた図である。
【
図10】Aは左側の2次元LiDARセンサによって取得されたさらに別の点群を示した図であり、BはAの点群を前後左右方向のヒストグラムで表示させた図であり、CはAの点群を前後方向のヒストグラムで表示させた図である。
【
図11】A、BおよびCは、搬送車の一連の動作をそれぞれ示す図である。
【
図12】A、BおよびCは、搬送車の一連の動作をさらにそれぞれ示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図を参照しつつ、本発明の搬送車および荷役プログラムの一実施形態について説明する。図中における両矢印Xは左右方向を示し、両矢印Yは前後方向を示し、両矢印Zは上下方向を示している。
【0019】
図1は本実施形態に係る搬送車1の側面図であり、
図2は、制御部30の機能ブロック図である。本実施形態に係る搬送車1は、自律して走行および荷役を行う無人搬送車であるが、単なる一例であって、本発明に係る搬送車1は、これに限定されるものではない。例えば、搬送車1は、有人無人兼用の搬送車1でもよい。
【0020】
図1および
図2に示すように、搬送車1は、複数の車輪10と、車体11と、駆動部12と、レーザスキャナ13と、左右のマスト14と、リフトブラケット15と、左右のフォーク16と、昇降部17と、バックレスト18と、サイドシフト部19と、左右のキャリッジ20と、左右のリーチレグ21と、左右の2次元LiDARセンサ22と、左右の連結部23と、制御部30と、を備えている。搬送車1は、リーチ式フォークリフトであるが、これも単なる一例であって、本発明に係る搬送車1は、カウンター式フォークリフトであってもよい。
【0021】
車体11は、車輪10の上に配置され、駆動部12は、車体11の内部に配置されている。駆動部12は、車輪10を回転させたり、停止させたりするよう構成されている。
【0022】
レーザスキャナ13は、車体11の上方に配置されており、水平に回転してレーザを照射する。そして、レーザスキャナ13は、レーザの反射光をスキャンすることにより、施設内に配置されたリフレクタの位置を特定することで搬送車1の現在位置を特定する。
【0023】
左右のマスト14は、上下に延びるとともに車体11の前に配置されている。リフトブラケット15は、左右のフォーク16を固定させるフィンガーバーを有し、昇降部17によって左右のマスト14に沿って昇降させられるよう構成されている。左右のフォーク16が本発明の「荷積載部」に相当する。なお、本実施形態では、フォーク16の数は、4本で構成されているが、2本でも6本でもよく特に限定されない。搬送車1は、4本のフォーク16を備えていることにより、2つのパレット(荷)を同時にすくい上げることができる。
【0024】
バックレスト18は、枠状で形成されており、上下左右に延びるとともに積載された荷W1を受けるよう構成されている。なお、
図3および
図5に示すバックレスト18は、外枠のみが図示されており、この外枠はフォーク16よりも左右方向外側に配置されている。
【0025】
サイドシフト部19は、アクチュエータを有し、アクチュエータによってバックレスト18をフォーク16とともに左右方向に移動させるよう構成されている。これにより、サイドシフト部19は、パレットのフォーク差し込み孔に対するフォーク16の左右方向の位置を調整したり、荷W1を積載する位置を調整することができる。アクチュエータは、油圧アクチュエータでも電動アクチュエータでもよく、特に限定されない。
【0026】
左右のキャリッジ20は、左右のマスト14の外側にそれぞれ設けられており、左右のリーチレグ21は、車体11から前方に延びている。左右のリーチレグ21の内側には、キャリッジ20を案内するガイドが設けられており、マスト14は、不図示のリーチシリンダによってキャリッジ20とともに前進位置または後退位置に移動させられる。
【0027】
左右の2次元LiDARセンサ22は、レーザスキャナによって構成されており水平方向に回転しながらレーザを照射するとともに、レーザの反射光をスキャンして2次元LiDARセンサ22の周囲の物との距離を点群PGで取得することができるよう構成されている。2次元LiDARセンサ22が、本発明の「点群取得部」に相当する。点群取得部は、例えば、2次元LiDARセンサ22の代わりに3次元LiDARセンサ、3次元ToF(Time of Flight)カメラでもよく、2次元LiDARセンサに限定されない。
【0028】
図1および
図3に示すように、左右の連結部23は、第1端部23aと、中間部23bと、第2端部23cと、を有する。
【0029】
第1端部23aは、バックレスト18の左右端に固定されており、中間部23bは、平面視、第1端部23aからバックレスト18の斜め後ろに延びている。第2端部23cは、中間部23bから連続する水平面を有し、水平面によって2次元LiDARセンサ22を支持している。
【0030】
中間部23bの長さは、第2端部23cに支持された2次元LiDARセンサ22がフォーク16に積載される荷の側面よりも外側に位置するよう構成されている。すなわち、バックレスト18の横幅が狭く荷がバックレスト18よりも大きく左右にはみ出すのであれば、中間部23bの長さはそれにともなって長く構成されることなる。
【0031】
図4は、2次元LiDARセンサ22のレーザの照射範囲LEを示す平面図であり、
図5は、2次元LiDARセンサ22のレーザの照射範囲LEを示す斜視図である。また、
図4および
図5は、フォーク16に積載された荷W1と、その前方の荷積載位置Pに隣接して積載されている荷W2を示している。荷積載位置Pは、例えば、荷役予定に含まれる移動棚の所定の積載位置、トラックTの荷台の所定の積載位置などである。
【0032】
2次元LiDARセンサ22は、
図4および
図5に示すように、フォーク16に積載された荷W1と、荷積載位置Pとにレーザを水平に照射可能な位置に配置されている。そして、2次元LiDARセンサ22は、水平に回転しながらレーザを照射して反射光を受信することで、照射角度ごとの物体までの距離を取得する。この距離データは、点群PGとして取得される。
【0033】
図6Aは、左側の2次元LiDARセンサ22によって取得された点群PGを示す図である。
図6A、
図6BのX軸は、左右方向の距離を示し、
図6A、
図6CのY軸は、前後方向の距離を示し、また、X軸とY軸の交点(原点)は、2次元LiDARセンサ22の位置を示している。また、添付図における点群PGは、取得される点群PGの一例を示すためのイメージ図であって、実際に取得された点群PGではない。
図6Aに示すとおり、フォーク16に積載された荷W1および荷積載位置Pに隣接して積載されている荷W2の端面に沿って点群PGが取得されている。
【0034】
図1に示すように、制御部30は、車体11の内部に配置されている。制御部30は、記憶装置と、演算部と、メモリと、を有するコンピュータによって構成されている。記憶装置には、コンピュータに、次に説明するエッジ特定部35、荷位置特定部37およびサイドシフト制御部40として動作させる荷役プログラムが記憶されている。
【0035】
図2に示すように、制御部30は、記憶部32と、走行制御部34と、エッジ特定部35と、距離算出部36と、荷位置特定部37と、昇降制御部38と、サイドシフト制御部40と、サイドシフト停止部41と、を有する。
【0036】
記憶部32には、荷役予定が記憶されており、荷役予定には、荷積載位置Pが含まれている。また、記憶部32には、左右の2次元LiDARセンサ22の位置と、マスト14の後退位置から前進位置までの距離も含まれている。
【0037】
走行制御部34は、駆動部12を制御するよう構成されており、記憶部32に記憶されている荷積載位置Pと、レーザスキャナ13によって取得された現在位置とを参照して搬送車1を荷積載位置Pまで走行させる。
【0038】
エッジ特定部35は、後で説明するように、取得された点群PGを前後および左右方向の距離をそれぞれX軸、Y軸とする度数分布を用いて解析し、実質的に度数のない領域に隣接する度数のある区間を荷W1または周囲の物体(例えば荷W2)の左右、前後方向におけるエッジの位置として特定する。なお、上述したとおり、本発明における「実質的に度数のない」とは、ノイズ等により何もない領域に度数があった場合を除くということである。エッジ特定部35は、公知の技術により、ノイズ等による度数を削除、または少ない度数を無視して解析してもよい。以下では、「実質的に度数のない」の記載を「度数のない」との記載に省略する。
【0039】
距離算出部36は、後で説明するように、エッジ特定部35によって特定された荷W1および物体(例えば、荷W2)の左右、前後方向におけるエッジの位置に基づいて、荷W1と物体との左右、前後方向の距離を算出する。
【0040】
走行制御部34は、距離算出部36によって算出された荷W1と荷W2との間の前後方向の距離D2と、マスト14の後退位置から前進位置までの距離とに基づいて、荷下ろしに必要な前進距離を算出し、算出された距離に基づいて搬送車1を前進させてもよい。
【0041】
荷位置特定部37は、エッジ特定部35によって特定された荷W1(W3)の左右、前後方向におけるエッジの位置を、荷W1(W3)の左右いずれかの側面位置、正面位置として特定する。
【0042】
また、荷位置特定部37は、特定した荷W1(W3)の左右の側面位置に基づいて、荷W1(W3)の左右方向中央の位置を算出する。
【0043】
さらに、荷位置特定部37は、サイドシフト部19によってフォーク16がサイドシフトしているとき、特定された荷W1のエッジの位置に基づいて、2次元LiDARセンサ22と荷W1との位置関係の変化を検出する。また、荷位置特定部37は、フォーク16が荷荷W1(W3)から引き抜かれるとき、2次元LiDARセンサ22と荷W1(W3)との位置関係の変化を検出する。2次元LiDARセンサ22と、フォーク16との位置関係は固定なので、結局、荷位置特定部37は、フォーク16(荷積載部)に対する荷W1の位置関係が変化するか否かを検出していることになる。
【0044】
昇降制御部38は、昇降部17を制御するよう構成されており、記憶部32に記憶されている荷積載位置Pに基づいて、昇降部17によってフォーク16を昇降させる。
【0045】
サイドシフト制御部40は、サイドシフト部19のサイドシフト量を制御するよう構成されている。そして、サイドシフト制御部40は、距離算出部36によって特定された荷W1と、荷積載位置Pに隣接している物との間の左右方向の距離D1に基づいて、サイドシフト部19のサイドシフト量を決定する。
【0046】
これにより、サイドシフト制御部40は、荷W1を荷積載位置Pに隣接している物に寄せたり、離したりする。その結果、サイドシフト制御部40は、荷W1と荷W2との間をつめて荷W1を積載したり、荷W1がオーバーラッピングする状態を回避させたりすることができる。
【0047】
なお、サイドシフト制御部40は、後で説明するように、荷積載時において荷W1を物体に押し付けたいのであれば、荷位置特定部37によって2次元LiDARセンサ22と荷W1の位置関係の変化が検出されるまでサイドシフト部19によって荷積載部をサイドシフトさせてもよい。
【0048】
サイドシフト停止部41は、フォーク16がサイドシフトしているとき、荷位置特定部37によって2次元LiDARセンサ22と荷W1の位置関係の変化が検出されると、サイドシフト部19の稼働を停止させる。これにより、搬送車1は、荷W1が荷積載位置Pに隣接する物(例えば荷W2)に接触すると、サイドシフト部19によるフォーク16の左右方向の移動が停止するので、例えば、トラックTのフロントパネルなどを破損させることを防止することができる。
【0049】
<エッジ位置特定方法および距離算出方法>
次に、エッジ特定部35が荷W1や物のエッジの位置を特定し、距離算出部36が荷W1と荷W2との間の左右方向の距離D1を算出する方法について、
図6を参照しつつあらためて説明する。
図6Bおよび
図6Cは、
図6Aの点群PGを左右方向および上下方向のヒストグラムで示したものである。なお、この説明では、左側の2次元LiDARセンサ22によって取得された点群PGに基づいて説明している。したがって、右側の2次元LiDARセンサ22によって取得された点群PGに基づいて、本発明に係るエッジ位置特定方法および距離算出方法を実施する場合は、左右が逆になる。
【0050】
図6Bに示すように、X軸における度数分布によれば、中央に度数のない領域がある。この領域は、2次元LiDARセンサ22によるレーザの反射が他の領域よりも極端に低いかまたはなかった領域を示している。
【0051】
エッジ特定部35は、度数のない領域に隣接する右側の度数のある区間S1を荷W1の左側のエッジの位置(左右方向の座標)として特定する。また、エッジ特定部35は、度数のない領域に隣接する左側の度数のある区間S2を荷W2の右側のエッジの位置(左右方向の座標)として特定する。
【0052】
また、
図6Cに示すように、Y軸における度数分布によれば、原点から一番近い方の度数のない領域と、原点から2番目に近い方の度数のない領域がある。これら領域も、2次元LiDARセンサ22によるレーザの反射が他の領域よりも極端に低いかまたはなかった領域を示している。
【0053】
エッジ特定部35は、原点から一番近い方の度数のない領域の上側に隣接する度数のある区間S3を搬送車1から見た荷W1の正面側のエッジの位置(上下方向の座標)として特定する。また、エッジ特定部35は、原点から2番目に近い方の度数のない領域に隣接する上側の度数のある区間S4を荷W2の正面側エッジの位置(上下方向の座標)として特定する。
【0054】
なお、区間S1、S2、S3およびS4にはそれぞれ数値の幅があるので、各区間の数値の平均値を各エッジの位置としてもよいし、区間S1における最小値、または最大値を各エッジの位置としてもよい。
【0055】
距離算出部36は、左右方向における特定された荷W1のエッジの位置と荷W2のエッジの位置との間隙の距離D1、すなわち、左右方向における各エッジの座標間の距離D1を算出する。次いで、距離算出部36は、上下方向における特定された荷W1のエッジの位置と荷W2のエッジの位置との間隙の距離D2、すなわち、上下方向における各エッジの座標間の距離D2を算出する。
【0056】
ところで、
図6Cに示すように、Y軸における度数分布によれば、2番目の度数のない領域を挟む上側の区間群と下側の区間群とでそれぞれピーク値が存在する。したがって、エッジ特定部35は、この2つのピーク値の区間のうち、下側の区間を搬送車1から見た荷W1の正面側のエッジの位置(上下方向の座標)として特定してもよい。また、エッジ特定部35は、この2つのピーク値の区間のうち、上側の区間を荷W2の正面側エッジの位置(上下方向の座標)として特定してもよい。
【0057】
このように、搬送車1は、2次元LiDARセンサ22によって取得された点群PGを度数分布を用いて解析することにより、荷W1と、荷積載位置Pに隣接している物の各エッジの位置を特定することができ、さらに、荷W1と、荷積載位置Pに隣接している物との間の左右方向の距離D1および前後方向の距離D2を算出することができる。
【0058】
これにより、搬送車1は、移動棚やトラックTなどが所定の位置からずれていても、後から荷積載位置Pを補正することができるので、適切な位置に荷W1を積載することができる。なお、
図6Bおよび
図6Cのヒストグラムは、本明細書における度数分布説明のためのものであって、エッジ特定部35がヒストグラムを作成する必要は特にない。
【0059】
図7~
図10は、搬送車1による度数分布解析によって取得することができる情報の例を示している。
【0060】
図7Aは、荷積載位置Pがフレーム状のラックであった場合の、2次元LiDARセンサ22によって取得された点群PGを示している。
図7Aの左側は、2本のフレームにレーザが照射されて取得された2つの点群PGを示している。また、
図7Bおよび
図7Cは、取得された点群PGを左右方向および上下方向のヒストグラムで示している。
【0061】
エッジ特定部35は、上述と同様の手法により、度数のない領域に隣接する右側の度数のある区間S1を荷W1の左側のエッジの位置(左右方向の座標)として特定する。また、エッジ特定部35は、度数のない領域に隣接する左側の度数のある区間S2をフレームの右側のエッジの位置(左右方向の座標)として特定する。
【0062】
さらに、エッジ特定部35は、原点から一番近い方の度数のない領域に隣接する上側の度数のある区間S3を搬送車1から見た荷W1の正面側のエッジの位置(上下方向の座標)として特定する。また、エッジ特定部35は、原点から2番目に近い方の度数のない領域に隣接する上側の度数のある区間S4をフレームの正面側エッジの位置(上下方向の座標)として特定する。
【0063】
次いで、距離算出部36は、上述と同様の手法により、左右方向における特定された荷W1のエッジの位置と荷W2のエッジの位置との間隙の距離D1を算出する。また、距離算出部36は、上下方向における特定されたフレームのエッジの位置と荷W2のエッジの位置との間隙の距離D2を算出する。
【0064】
また、
図8Aは、2次元LiDARセンサ22の位置をバックレスト18の高さの中央に配置した場合の、2次元LiDARセンサ22によって取得された点群PGを示している。
図8Aの右側には、バックレスト18の端部へのレーザの反射によって取得された点群PGが示されている。
【0065】
この場合、エッジ特定部35は、上側の区間群と下側の区間群のそれぞれのピーク値の区間のうち、下側の区間S5を搬送車1から見た荷W1の正面側のエッジの位置として特定し、上側の区間S6を荷W2の正面側エッジの位置(上下方向の座標)として特定する。なお、エッジ特定部35は、左右方向における荷W1、荷W2のエッジの位置は、同様の方法で特定する。
【0066】
次いで、距離算出部36は、同様の手法により、間隙の距離D1およびD2を算出する。
【0067】
また、
図9Aは、荷崩れが起こっているなどといった積み込み先空間で異常があった場合の、2次元LiDARセンサ22によって取得された点群PGを示している。
図9Aの上側には、異常発生箇所へのレーザの反射によって取得された点群PGが示されている。
【0068】
この場合、
図9Bに示すように、左右方向の中央に度数のない領域がない。したがって、エッジ特定部35は、荷W1および荷W2のエッジを特定することができない。言い変えると、エッジ特定部35は、荷W1と荷W2との間に間隙が無いことを特定することができる。これにより、積み込み先空間で異常があった場合など、荷物同士の干渉なく荷役を行えないことを認識することができる。このとき、制御部30は、搬送車1の荷役動作を中止させてもよい。
【0069】
なお、積み込み先空間で異常がない場合もある。そこで、サイドシフト制御部40は、荷W1と物体(荷W2)との左右方向の距離がない場合、物体から荷積載位置Pの方向へ荷積載部をサイドシフトさせるよう構成されてもよい。荷W1と物体(荷W2)との左右方向の距離がない場合とは、例えば、荷W1と荷W2が左右方向で重なっている場合のことである。
【0070】
図10Aは、2次元LiDARセンサ22によって荷W1のみにレーザが照射され取得された点群PGを示している。
【0071】
図10Bおよび
図10Cに示すように、エッジ特定部35は、原点から近い方の度数のある区間S7、S8を荷W1の左右方向、上下方向のエッジの位置として特定する。
【0072】
次いで、距離算出部36は、2次元LiDARセンサ22(原点)から特定された荷W1の左側および正面側のエッジの位置までの距離D3、D4を算出する。これにより、荷W1と2次元LiDARセンサ22との位置関係を取得することができる。
【0073】
背景技術の段落で簡単に説明したように、従来、LiDARセンサを用いた解析では、予め特定しておいた物体の形状・特徴と、取得された点群PGとの比較、マッチングを行うことにより、周囲の物体とLiDARセンサとの距離を特定している。この手法では、荷下ろし先がフレーム状の細い構造物であるとき、バックレスト18を含む周囲構造物がLiDARセンサによって検出されたとき、または積み込み先空間で異常があったときに周囲の物体との距離を安定して取得することが難しい。
【0074】
また、従来のLiDARセンサを用いた解析では、予め特定しておいた物体の形状・特徴を認識する手法であるので、荷W1に対してレーザを照射してレーザが遮られないよう、LiDARセンサの位置が調整されている。そのため、従来の手法では、搬送車1と、荷W1と、荷積載位置Pに隣接している物との互いの位置関係をLiDARセンサのみで取得することはできない。したがって、従来の手法では、別途他の距離測定、干渉確認などを行う必要があり、そのために別途他のセンサなどを配置する必要があった。
【0075】
一方、本発明に係る方法によれば、左右の2次元LiDARセンサ22のみを用いるだけで、搬送車1と、積載している荷W1と、荷積載位置Pに隣接している物もしくは荷W2と、の互いの位置関係を取得することができる。しかも、本発明に係る方法によれば、荷下ろし先がフレーム状の細い構造物であるとき、またはバックレスト18を含む周囲構造物が2次元LiDARセンサ22によって検出されたときにも、常に安定して荷W1と荷W2との距離を取得することができる。さらに、本発明に係る方法によれば、積み込み先空間で異常があったときには、速やかに荷役作業を中止することもできる。
【0076】
次に、
図11および
図12を参照して、本発明に係る搬送車1の一連の動作の例について説明する。なお、本説明において、
図11および
図12における搬送車1は、カウンター式フォークリフトとしている。したがって、マスト14の前後方向の位置は、移動することがないとして説明している。
【0077】
(1)(1-1)
図11Aに示すように、搬送車1は、荷W3をすくい上げる前に、左右の2次元LiDARセンサ22によってレーザを荷W3に照射する。
(1-2)次に、搬送車1は、取得した点群PGをエッジ特定部35によって度数分布を用いて解析することによりこの荷W3の左右端のエッジ位置を特定する。
(1-3)次に、搬送車1は、荷位置特定部37によって荷W3の左右方向中央の位置を算出するとともに、距離算出部36によって荷W3の左右方向の中央の位置とバックレスト18の左右方向中央の位置との距離D5を算出する。
(1-4)さらに、搬送車1は、算出された距離D5に基づいて、サイドシフト部19によってフォーク16を左右方向に移動させ、それによってフォーク16と荷W3とのセンターずれを修正する。
【0078】
なお、例えば、搬送車1がサイドフォーク車である場合、搬送車1は、特定した距離D5に基づいて、走行制御部34によって車体11を移動させることにより、フォーク16と荷W3とのセンターずれを修正することができる。
【0079】
(2)(2-1)次いで、搬送車1は、荷W3(W1)をすくい上げてトラックTまで搬送するとともに、
図11Bに示すように、トラックT側の2次元LiDARセンサ22によってレーザをトラックTの荷台に向けて照射しながら、トラックTの荷台に並行して走行する。
(2-2)次に、搬送車1は、取得した点群PGをエッジ特定部35によって度数分布を用いて解析することにより、荷台上の荷積載位置Pに隣接している物体(荷W2)のエッジの位置を特定するとともに、距離算出部36によって、特定したエッジの位置と、2次元LiDARセンサ22の位置と、荷W1の位置との互いの距離(位置関係)を算出する。
(2-3)次に、搬送車1は、この物体のエッジの位置を特定すると、走行制御部34によって、特定したエッジの位置と、2次元LiDARセンサ22の位置と、荷W1との位置関係に基いて、トラックT側に方向転換する。
【0080】
(3)(3-1)次いで、搬送車1は、
図11Cに示すように、荷積載位置Pに向かって前進する前に、2次元LiDARセンサ22によって水平方向にレーザを照射する。
(3-2)次に、搬送車1は、取得した点群PGをエッジ特定部35によって度数分布を用いて解析することにより、荷W1、荷W2のエッジの位置を特定する。
(3-3)次に、搬送車1は、距離算出部36によって、荷W1と荷W2と間の距離D1を算出することにより、荷W1が荷W2に干渉することがないか否かを判定する。このとき、上述したように、搬送車1は、異常が発生していることを特定した場合、荷役を中止してもよい。
【0081】
(4)(4-1)次いで、搬送車1は、距離算出部36によって算出した荷W1と荷W2との前後方向の距離D2に基づいて走行制御部34によって荷積載位置Pまで前進する。
(4-2)次に、搬送車1は、
図12Aに示すように、荷W1を下ろす前に、2次元LiDARセンサ22によって水平方向にレーザを照射する。
(4-3)次に、搬送車1は、取得した点群PGをエッジ特定部35によって度数分布を用いて解析することにより、荷W1と荷W2のエッジを特定する。
(4-4)次に、搬送車1は、距離算出部36によって荷W1と荷W2と間の距離D1を算出する。
(4-5)次に、搬送車1は、算出した距離D1に基づいて、サイドシフト制御部40によって適切なサイドシフト量を決定する。
【0082】
これにより、搬送車1は、サイドシフト部19によって荷W1を荷W2に適切に寄せることができる。
【0083】
(5)(5-1)次いで、搬送車1は、
図12Bに示すように、サイドシフト部19によってフォーク16を左に移動する際に、2次元LiDARセンサ22によってレーザを照射する。
(5-2)次に、搬送車1は、エッジ特定部35によって荷W1のエッジを特定し、かつ荷位置特定部37によって2次元LiDARセンサ22と荷W1との位置関係を特定しながら、サイドシフト部19によってフォーク16を移動させる。
(5-3)このとき、搬送車1は、荷位置特定部37によって2次元LiDARセンサ22と荷W1との位置関係の変化を検出すると、サイドシフト停止部41によってサイドシフト部19の稼働を停止させる。
【0084】
これにより、搬送車1は、荷W1がフォーク16上で滑り始めることを検出することができる。したがって、例えば、搬送車1は、荷W1をトラックTのフロントパネルまたはリアパネルといった物に押し当てたことを検出し、この検出後、フォーク16の移動を停止させることでフロントパネルやリアパネルを破損させることを防止することができる。
【0085】
一方、搬送車1は、荷W1を荷W2に押し付けたいのであれば、サイドシフト制御部40によって、荷W1がフォーク16上で滑り始めることを検出されるまでサイドシフト部19によって荷積載部をサイドシフトさせてもよい。
【0086】
(6)(6-1)次いで、搬送車1は、
図12Cに示すように、フォーク16を荷W3から引き抜く際に、2次元LiDARセンサ22によってレーザを照射する。
(6-2)次に、搬送車1は、取得した点群PGをエッジ特定部35によって度数分布を用いて解析し荷W3のエッジを特定し、荷位置特定部37によって2次元LiDARセンサ22と荷W3の位置関係とを特定しながらフォーク16を引き抜く。
(6-3)このとき、搬送車1は、荷位置特定部37によって2次元LiDARセンサ22と荷W3との位置関係の変化がないことが検出されると、走行制御部34によって搬送車1の移動を停止させる。
【0087】
これにより、搬送車1は、フォーク16によって荷W3を引きずることを防止する。
【0088】
以上、説明してきたように、2次元LiDARセンサ22は、荷W1と、荷積載位置Pとにレーザを照射することができる位置に配置されていることにより、荷W1と、荷積載位置Pに隣接している物(例えば、荷W2)とにレーザを照射して、荷W1と、荷積載位置Pに隣接している物からの反射光を検出し点群PGを取得することができる。これにより、搬送車1は、エッジ特定部35によって、荷W1と荷W2のエッジの位置を特定し、距離算出部36によって距離D1、D2を算出することができるので、移動棚やトラックTなどが所定の位置からずれていても、後から荷積載位置Pを補正し、適切に荷役作業を行うことができる。
【0089】
しかも、搬送車1は、荷位置特定部37によってフォーク16に対する荷W1の位置関係が変化するか否かを検出するので、荷W1が周囲の物体に接触したことを検出することができる。
【0090】
加えて、搬送車1は、度数分布を用いて点群PGを解析することにより、荷W1と、荷W2と、2次元LiDARセンサ22(搬送車1)との3つの相対的な位置関係を特定することができるので、上記(1)~(6)の一連の動作を行うことができる。
【0091】
以上、本発明に係る搬送車および荷役プログラムの一実施形態について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明に係る搬送車は、以下の変形例によって実施されてもよい。
【0092】
<変形例>
・連結部23の第2端部23cは、バックレスト18の上方に位置していなくてもよい。この場合、2次元LiDARセンサ22によって取得された点群PGは、
図8Aに示された点群PGとなるが、エッジ特定部35が荷W1、W2のエッジの位置を特定できること、および距離算出部36が荷W1と荷W2と間の距離を算出することができることは、すでに説明したとおりである。また、連結部23の第1端部23aは、バックレスト18の上端に設けられていてもよい。
【0093】
・2次元LiDARセンサ22は、例えば、荷積載部16に積載された荷W1と、荷積載位置Pに隣接している物とにレーザを照射可能な位置に配置されているのであれば、例えば、車体11、フィンガーバーに固定されていてもよいし、または連結部23の第1端部23aがフォーク16の上下方向に延びる垂設部16aの側面(
図1参照)に固定されていてもよい。もしくは、2次元LiDARセンサ22は、連結部を介して、車体11、フォーク16の垂設部16a、フィンガーバーに固定されていてもよい。
【0094】
・荷積載部は、例えば、フォーク16の代わりにプラテンによって構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0095】
W1 荷積載部に積載された荷
W2 荷積載位置に隣接して積載されている荷
W3 荷積載位置に積載されている荷
D1 左右方向の距離
D2 前後方向の距離
P 荷積載位置
LE レーザ照射範囲
PG 点群
T トラック
1 搬送車
10 車輪
11 車体
12 駆動部
13 レーザスキャナ
14 マスト
15 リフトブラケット
16 フォーク(荷積載部)
16a 垂設部
17 昇降部
18 バックレスト
19 サイドシフト部
20 キャリッジ
21 リーチレグ
22 2次元LiDARセンサ(点群取得部)
23 連結部
23a 第1端部
23b 中間部
23c 第2端部
30 制御部
32 記憶部
34 走行制御部
35 エッジ特定部
36 距離算出部
37 荷位置特定部
38 昇降制御部
40 サイドシフト制御部
41 サイドシフト停止部