IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気株式会社の特許一覧

特開2024-141261処理装置、処理方法、及びプログラム
<>
  • 特開-処理装置、処理方法、及びプログラム 図1
  • 特開-処理装置、処理方法、及びプログラム 図2
  • 特開-処理装置、処理方法、及びプログラム 図3
  • 特開-処理装置、処理方法、及びプログラム 図4
  • 特開-処理装置、処理方法、及びプログラム 図5
  • 特開-処理装置、処理方法、及びプログラム 図6
  • 特開-処理装置、処理方法、及びプログラム 図7
  • 特開-処理装置、処理方法、及びプログラム 図8
  • 特開-処理装置、処理方法、及びプログラム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141261
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】処理装置、処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20240101AFI20241003BHJP
   G08G 1/01 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G06Q50/16
G08G1/01 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052802
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】吉田 登
(72)【発明者】
【氏名】本田 篤史
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 拓海
(72)【発明者】
【氏名】トウ テイテイ
(72)【発明者】
【氏名】劉 健全
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA21
5H181BB20
5H181CC04
5H181DD01
5H181EE07
5L049CC27
5L050CC27
(57)【要約】
【課題】多種多様な移動体の交通量に基づき不動産物件を評価し、評価の信頼度を向上させる。
【解決手段】本発明は、道路上の複数の観測地点各々における画像を解析することで、複数の観測地点各々における複数種類の移動体各々の交通量を示す種類別交通量情報を取得する取得部11と、種類別交通量情報に基づき、処理対象の不動産物件を評価し、評価結果を出力する評価部12と、を有する処理装置10を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路上の複数の観測地点各々における画像を解析することで、複数の前記観測地点各々における複数種類の移動体各々の交通量を示す種類別交通量情報を取得する取得手段と、
前記種類別交通量情報に基づき、処理対象の不動産物件を評価し、評価結果を出力する評価手段と、
を有する処理装置。
【請求項2】
前記評価手段は、前記種類別交通量情報に基づき、前記処理対象の不動産物件の推奨用途を決定し、前記評価結果として出力する請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記評価手段は、
前記処理対象の不動産物件と所定の位置関係の前記観測地点、又はユーザが指定した前記観測地点を対象観測地点として抽出し、
前記処理対象の不動産物件の推奨用途として、前記対象観測地点における交通量が閾値以上である第1の種類の移動体をターゲットとした用途を決定する請求項2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記評価手段は、
前記処理対象の不動産物件と所定の位置関係の前記観測地点、又はユーザが指定した前記観測地点を対象観測地点として抽出し、
前記処理対象の不動産物件の推奨用途として、前記対象観測地点における交通量が閾値未満である第2の種類の移動体をターゲットとした用途を決定する請求項2に記載の処理装置。
【請求項5】
前記評価手段は、前記種類別交通量情報に基づき、前記処理対象の不動産物件の価値を算出し、前記評価結果として出力する請求項1に記載の処理装置。
【請求項6】
前記評価手段は、
前記処理対象の不動産物件の用途を指定するユーザ入力を受付け、
前記ユーザ入力で指定された用途で利用する場合の前記処理対象の不動産物件の価値を算出する請求項3に記載の処理装置。
【請求項7】
前記評価手段は、
時系列な前記種類別交通量情報に基づき、将来における複数の前記観測地点各々における複数種類の前記移動体各々の交通量の予測値を算出し、前記予測値に基づき前記処理対象の不動産物件を評価する請求項1に記載の処理装置。
【請求項8】
前記評価手段は、
将来の環境変化の内容を示す環境変化情報に基づき、将来における複数の前記観測地点各々における複数種類の前記移動体各々の交通量の予測値を算出し、前記予測値に基づき前記処理対象の不動産物件を評価する請求項1に記載の処理装置。
【請求項9】
1つ以上のコンピュータが、
道路上の複数の観測地点各々における画像を解析することで、複数の前記観測地点各々における複数種類の移動体各々の交通量を示す種類別交通量情報を取得し、
前記種類別交通量情報に基づき、処理対象の不動産物件を評価し、評価結果を出力する処理方法。
【請求項10】
コンピュータを、
道路上の複数の観測地点各々における画像を解析することで、複数の前記観測地点各々における複数種類の移動体各々の交通量を示す種類別交通量情報を取得する取得手段、
前記種類別交通量情報に基づき、処理対象の不動産物件を評価し、評価結果を出力する評価手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置、処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連する技術が、特許文献1及び2に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示の技術は、道路が所定の単位、例えば50mで区切られた道路区間毎の車両の交通量を計測する。そして、当該技術は、対象の不動産から所定範囲に含まれる道路区間の劣化度と車両の走行台数に基づき、所定の指標値でその不動産を評価する。車両の交通量の計測は、デジタルタコグラフを利用して実現される。
【0004】
特許文献2に開示の技術は、参照用地域特性情報に基づき、対象の不動産への入居を推薦する業種や取引価格を決定する。参照用地域特性情報は、住所、最寄り駅、周辺施設の情報、車両や人の通行量等が含まれる。参照用地域特性情報は予めシステムに設定される前提であり、その具体的な生成手法は開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-211829号公報
【特許文献2】特開2022-067049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2に開示の技術のように、道路の交通量に基づき不動産物件を評価することで、より信頼度の高い評価を行うことが可能となる。しかし、特許文献1及び2に記載の技術の場合、以下の理由から、評価の信頼度に改善の余地がある。
【0007】
道路は、多種多様な移動体が通行する。多種多様な移動体各々の交通量に基づき不動産物件を評価することで、より信頼度の高い評価を行うことが可能となる。しかし、デジタルタコグラフを利用する特許文献1に記載の技術の場合、交通量を計測できる移動体の種類は限られる。このため、特許文献1に記載の技術は、多種多様な移動体各々の交通量に基づき不動産物件を評価することができない。特許文献2は、具体的な交通量の計測方法を開示していない。
【0008】
本発明の目的の一例は、上述した問題を鑑み、多種多様な移動体の交通量に基づき不動産物件を評価し、評価の信頼度を向上させる処理装置、処理方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、
道路上の複数の観測地点各々における画像を解析することで、複数の前記観測地点各々における複数種類の移動体各々の交通量を示す種類別交通量情報を取得する取得手段と、
前記種類別交通量情報に基づき、処理対象の不動産物件を評価し、評価結果を出力する評価手段と、
を有する処理装置が提供される。
【0010】
本発明の一態様によれば、
1つ以上のコンピュータが、
道路上の複数の観測地点各々における画像を解析することで、複数の前記観測地点各々における複数種類の移動体各々の交通量を示す種類別交通量情報を取得し、
前記種類別交通量情報に基づき、処理対象の不動産物件を評価し、評価結果を出力する処理方法が提供される。
【0011】
本発明の一態様によれば、
コンピュータを、
道路上の複数の観測地点各々における画像を解析することで、複数の前記観測地点各々における複数種類の移動体各々の交通量を示す種類別交通量情報を取得する取得手段、
前記種類別交通量情報に基づき、処理対象の不動産物件を評価し、評価結果を出力する評価手段、
として機能させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、多種多様な移動体の交通量に基づき不動産物件を評価し、評価の信頼度を向上させる処理装置、処理方法、及びプログラムが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
上述した目的及びその他の目的、特徴及び利点は、以下に述べる好適な実施の形態、及びそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0014】
図1】処理装置の機能ブロック図の一例を示す図である。
図2】処理装置のハードウエア構成の一例を示す図である。
図3】観測地点におけるカメラの設置例を示す図である。
図4】観測地点におけるカメラの他の設置例を示す図である。
図5】処理装置が処理する情報の一例を模式的に示す図である。
図6】処理装置が処理する情報の他の一例を模式的に示す図である。
図7】対象観測地点を抽出する処理の一例を説明するための図である。
図8】処理装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9】処理装置の処理の流れの他の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、全ての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0016】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る処理装置10の概要を示す機能ブロック図である。処理装置10は、取得部11と、評価部12とを有する。
【0017】
取得部11は、道路上の複数の観測地点各々における画像を解析することで、複数の観測地点各々における複数種類の移動体各々の交通量を示す種類別交通量情報を取得する。例えば、取得部11は、各種移動体の外観特徴に基づき、画像に写る各種移動体を検出する。そして、取得部11は、その検出結果に基づき各観測地点における各種移動体の交通量を計測する。
【0018】
評価部12は、種類別交通量情報に基づき、処理対象の不動産物件を評価する。すなわち、評価部12は、複数の観測地点各々における複数種類の移動体各々の交通量に基づき、処理対象の不動産物件を評価する。そして、評価部12は、評価結果を出力する。
【0019】
このような処理装置10によれば、多種多様な移動体の交通量に基づき不動産物件を評価し、評価の信頼度を向上させることができる。
【0020】
<第2の実施形態>
「概要」
第2の実施形態の処理装置10は、第1の実施形態の処理装置10を具体化したものである。すなわち、処理装置10は、画像解析で複数の観測地点各々における複数種類の移動体各々の交通量を計測する。そして、処理装置10は、複数の観測地点各々における複数種類の移動体各々の交通量に基づき、処理対象の不動産物件を評価する。以下、処理装置10の構成を詳細に説明する。
【0021】
「ハードウエア構成」
処理装置10のハードウエア構成の一例を説明する。処理装置10の各機能部は、ハードウエアとソフトウエアの任意の組み合わせによって実現される。その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。ソフトウエアは、予め装置を出荷する段階から格納されているプログラムや、CD(Compact Disc)等の記録媒体やインターネット上のサーバ等からダウンロードされたプログラム等を含む。
【0022】
図2は、処理装置10のハードウエア構成を例示するブロック図である。図2に示すように、処理装置10は、プロセッサ1A、メモリ2A、入出力インターフェイス3A、周辺回路4A、バス5Aを有する。周辺回路4Aには、様々なモジュールが含まれる。処理装置10は周辺回路4Aを有さなくてもよい。なお、処理装置10は物理的及び/又は論理的に分かれた複数の装置で構成されてもよい。この場合、複数の装置各々が上記ハードウエア構成を備えることができる。
【0023】
バス5Aは、プロセッサ1A、メモリ2A、周辺回路4A及び入出力インターフェイス3Aが相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。プロセッサ1Aは、例えばCPU、GPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置である。メモリ2Aは、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等のメモリである。入出力インターフェイス3Aは、入力装置、外部装置、外部サーバ、外部センサ、カメラ等から情報を取得するためのインターフェイスや、出力装置、外部装置、外部サーバ等に情報を出力するためのインターフェイス等を含む。また、入出力インターフェイス3Aはインターネット等の通信ネットワークに接続するためのインターフェイスを含む。入力装置は、例えばキーボード、マウス、マイク、物理ボタン、タッチパネル等である。出力装置は、例えばディスプレイ、スピーカ、プリンター、メーラ等である。プロセッサ1Aは、各モジュールに指令を出し、それらの演算結果をもとに演算を行うことができる。
【0024】
「機能構成」
次に、本実施形態の処理装置10の機能構成を詳細に説明する。図1に、本実施形態の処理装置10の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、本実施形態の処理装置10は、取得部11と、評価部12とを有する。
【0025】
取得部11は、種類別交通量情報を取得する。取得部11は、種類別交通量情報を生成することで、当該取得を実現する。
【0026】
「種類別交通量情報」は、道路上の複数の観測地点各々における複数種類の移動体各々の交通量を示す。
【0027】
「観測地点」は、道路上に設定された各種移動体の交通量を計測する地点である。観測地点を撮影する位置及び向きでカメラが設置される。図3に示すように1つの観測地点に対応して1つのカメラが設置されてもよい。図3では観測地点Mに対応してカメラCが設置され、観測地点Mに対応してカメラCが設置され、観測地点Mに対応してカメラCが設置されている。他の例として、図4に示すように、複数の観測地点に対応して1つのカメラが設置されてもよい。図4では、3つの観測地点M乃至Mに対応して、1つのカメラCが設置されている。この例の場合、1つのカメラが複数の観測地点を同時に撮影する位置及び向きで設置される。複数の観測地点に対応して1つのカメラを設置すると、カメラの設置台数を減らすことができて好ましい。特に、図4に示すように、分岐箇所に1つのカメラを設置すると、その1つのカメラの画像に基づき、複数の道各々の交通量を個別に計測できて好ましい。
【0028】
「移動体」は、道路上を移動する物体であり、複数種類に分類される。分類の手法は様々であるが、外観で互いを識別可能な範囲で、より詳細には画像解析で互いを識別可能な範囲で分類される。
【0029】
例えば、移動体は、歩行者、自転車、バイク、自動車、バス、タクシー等に分類されてもよい。また、これらはさらに細分化されてもよい。例えば、歩行者は、年齢、性別、所持物、一人、集団、家族連れ、服装、体格等で細分化することができる。具体的には、「70歳以上の歩行者」、「20歳以上の女性の歩行者」、「18歳以下の歩行者の集団」等の分類が例示されるが、これらに限定されない。また、自転車、バイク、自動車は、車種、メーカー、色等で細分化することができる。バス、タクシーは、運行会社、車種、メーカー、色等で細分化することができる。
【0030】
図5に、種類別交通量情報の一例を示す。図示する種類別交通量情報は、観測地点ID(identifier)と、位置情報と、各種移動体の交通量とが示されている。
【0031】
「観測地点ID」は、複数の観測地点を互いに識別する情報である。
【0032】
「位置情報」は、複数の観測地点各々の位置を示す。位置情報は、例えば緯度経度情報であるが、これに限定されない。
【0033】
「交通量」は、所定の観測期間内に各観測地点を通行した数の計測結果を、各種移動体毎に示す。図では、観測期間は1年となっているが、これに限定されない。観測期間は、1週間、1か月、3か月等の他の期間であってもよい。なお、図示しないが、種類別交通量情報は、月毎、曜日毎、時間帯毎、天気毎等のような条件毎に、各観測地点における各種移動体の交通量を示してもよい。
【0034】
取得部11は、道路上の複数の観測地点各々における画像を解析することで、種類別交通量情報を生成する。
【0035】
任意の手段で、観測地点に設置されたカメラにより生成された画像が処理装置10に入力される。画像は動画像を含む概念である。例えば、カメラと処理装置10とは通信可能に接続されていてもよい。そして、カメラは生成した画像を処理装置10に送信してもよい。その他、カメラにより生成され、所定の記憶装置に記憶されていた画像が、ユーザによる任意のマニュアル操作で処理装置10に入力されてもよい。
【0036】
取得部11は、所定の観測期間分の画像を解析し、画像の中から各種移動体を検出する。取得部11は、各種移動体の外観特徴に基づき、画像の中から各種移動体を検出することができる。当該検出は、あらゆる技術を利用して実現することができる。
【0037】
そして、取得部11は、カメラ毎に(観測地点毎に)、各種移動体を検出した数をカウントすることで、交通量を計測する。なお、図4に示すように、複数の観測地点に対応して1つのカメラが設置されている場合、予め、画像内における複数の観測地点各々のエリアを示す情報が処理装置10に登録される。そして、取得部11は、各観測地点に対応する画像内のエリア内で各種移動体を検出し、観測地点毎にカウントすることで、観測地点毎の交通量の計測を実現する。動画像内で同一対象を追跡する追跡技術等を利用することで、連続的にそこに存在する同一対象を重ねてカウントする不都合を抑制することができる。
【0038】
画像には日時情報が付与されていてもよい。そして、取得部11は、月毎、曜日毎、及び/又は時間帯毎に各種移動体を検出した数をカウントすることで、条件毎の交通量を計測してもよい。その他、取得部11は、各画像の撮影タイミングの天気を特定し、天気毎に各種移動体を検出した数をカウントすることで、条件毎の交通量を計測してもよい。取得部11は、各画像を解析することで、各画像の撮影タイミングの天気を特定してもよい。その他、取得部11は、天気情報を提供するサーバから各画像の撮影位置における撮影タイミングの天気を示す情報を取得してもよい。
【0039】
また、複数のフレーム画像に跨って写っている同一の移動体を特定した場合、取得部11は、複数のフレーム画像の中の所定のフレーム画像に基づき、その移動体の各種属性(年齢、性別、所持物、車種、メーカー、色等)を特定することが好ましい。取得部11は、この特定した属性に基づき、その移動体が属する分類を特定する(その移動体の種類を特定する)。所定のフレーム画像の一例は、その移動体と他の人や物との重なりが少ないフレーム画像や、その移動体が一番大きく写っているフレーム画像である。重なりや大きさは、例えば物体検出技術で特定された矩形の物体エリアの重なり具合や大きさに基づき判断することができる。
【0040】
図1に戻り、評価部12は、取得部11が取得した種類別交通量情報に基づき、処理対象の不動産物件を評価する。そして、評価部12は、評価結果を出力する。評価結果の出力は、ディスプレイや投影装置を介した画像での評価結果の表示や、スピーカを介した音声での評価結果の出力や、外部装置への評価結果を示すデータの送信等が例示されるが、これらに限定されない。
【0041】
「評価」は、処理対象の不動産物件の推奨用途の決定である。すなわち、評価部12は、種類別交通量情報に基づき、処理対象の不動産物件の推奨用途を決定し、評価結果として出力する。なお、以下の実施形態で、「評価」は、処理対象の不動産物件の価値の算出である例を説明する。
【0042】
「不動産物件」は、土地及び建物を含む。
【0043】
「処理対象の不動産物件」は、ユーザが指定した評価の対象とする不動産物件である。例えば、不動産業者やオーナー等の売り手側ユーザは、販売中又はこれから販売する不動産物件を、処理対象の不動産物件として指定する。その他、不動産業者やオーナー等の貸し手側ユーザは、貸出中又はこれから貸し出す不動産物件を、処理対象の不動産物件として指定する。その他、買い手側ユーザは、購入を検討している不動産物件を、処理対象の不動産物件として指定する。その他、借り手側ユーザは、借りることを検討している不動産物件を、処理対象の不動産物件として指定する。その他、再開発事業者やオーナー等の不動産物件を利用した新たな事業を行おうとしているユーザは、新たな事業に利用する不動産物件を、処理対象の不動産物件として指定する。
【0044】
「処理対象の不動産物件の指定」は、任意の手段で実現される。例えば、評価部12は、地図を画面表示してもよい。そして、評価部12は、その地図上で処理対象の不動産物件を指定する入力を受付けてもよい。その他、評価部12は、住所の入力や、緯度経度情報の入力等の他の手段で、処理対象の不動産物件を指定する入力を受付けてもよい。
【0045】
次に、処理対象の不動産物件の推奨用途を決定する処理を説明する。
【0046】
評価部12は、処理対象の不動産物件と所定の位置関係の観測地点、又はユーザが指定した観測地点を対象観測地点として抽出する。
【0047】
そして、評価部12は、処理対象の不動産物件の推奨用途として、対象観測地点における交通量が閾値以上である第1の種類の移動体をターゲットとした用途を決定する。このようにすることで、処理対象の不動産物件の推奨用途として、対象観測地点における交通量が比較的多い移動体向けの用途を決定することができる。結果、処理対象の不動産物件での多くの集客が期待される。
【0048】
その他、評価部12は、対象観測地点における所定条件時の交通量が閾値以上である第1の種類の移動体をターゲットとした用途を決定してもよい。所定条件は、時間帯で定義されてもよいし(11時~13時)、天気で定義されてもよいし、月や曜日で定義されてもよいし、これらの組み合わせで定義されてもよい。このようにすることで、処理対象の不動産物件の推奨用途として、対象観測地点における所定条件時の交通量が比較的多い移動体向けの用途を決定することができる。結果、処理対象の不動産物件での多くの集客が期待される。
【0049】
その他、評価部12は、処理対象の不動産物件の推奨用途として、対象観測地点における交通量が閾値未満である第2の種類の移動体をターゲットとした用途を決定してもよい。このようにした場合、処理対象の不動産物件により、第2の種類の移動体をその場所に呼び込むことが期待される。すなわち、移動体の流れを所望の状態にコントロールすることができる。
【0050】
その他、評価部12は、処理対象の不動産物件の推奨用途として、対象観測地点における所定条件時の交通量が閾値未満である第2の種類の移動体をターゲットとした用途を決定してもよい。所定条件は、時間帯で定義されてもよいし(11時~13時)、天気で定義されてもよいし、月や曜日で定義されてもよいし、これらの組み合わせで定義されてもよい。このようにした場合、処理対象の不動産物件により、所定条件時に第2の種類の移動体をその場所に呼び込むことが期待される。すなわち、移動体の流れを所望の状態にコントロールすることができる。
【0051】
例えば、予め図6に示すように、不動産物件の各種用途と、各種用途のターゲットとなる各種移動体とを対応付けた対応情報が処理装置10に登録される。そして、評価部12は、このような対応情報に基づき、各種移動体向けの用途を決定することができる。なお、1つの移動体に複数の用途が対応付けられていてもよい。この場合、評価部12は、その移動体向けの用途として、その対応付けられている複数の用途を決定することができる。
【0052】
また、対象観測地点における交通量が閾値以上である第1の種類の移動体が複数ある場合がある。この場合、評価部12は、上記対応情報において、その複数の移動体の中の少なくとも1つに対応付けられた用途を、推奨用途として決定してもよい。その他、この場合、評価部12は、上記対応情報において、その複数の移動体の中の所定割合以上(又は、所定数以上)に対応付けられた用途を、推奨用途として決定してもよい。その他、この場合、評価部12は、上記対応情報において、その複数の移動体の中の全てに対応付けられた用途を、推奨用途として決定してもよい。対象観測地点における交通量が閾値未満である第2の種類の移動体が複数ある場合も、評価部12は、同様の処理で推奨用途を決定することができる。
【0053】
ここで、対象観測地点を抽出する処理を説明する。上述の通り、評価部12は、処理対象の不動産物件と所定の位置関係の観測地点、又はユーザが指定した観測地点を対象観測地点として抽出する。
【0054】
まず、処理対象の不動産物件と所定の位置関係の観測地点を対象観測地点として抽出する処理を説明する。
【0055】
「処理対象の不動産物件と所定の位置関係を満たす観測地点」は、以下の観測地点の中のいずれかである。
・処理対象の不動産物件との直線距離(処理対象の不動産物件と観測地点を結ぶ直線の距離)が最短である観測地点。
・処理対象の不動産物件までの移動距離(道路に沿った移動)が最短である観測地点。
・処理対象の不動産物件が面している道路上に設定され、処理対象の不動産物件との間に他の道路への分岐が存在せず、上記移動距離が最短である観測地点。
・処理対象の不動産物件が面している道路上に設定され、処理対象の不動産物件との間にその道路よりも幅の広い道路への分岐が存在せず、上記移動距離が最短である観測地点。
【0056】
評価部12は、各道路の幅や、ある道路から他の道路への分岐等が示されている地図データに基づき、上述のような条件を満たす観測地点を対象観測地点として抽出することができる。
【0057】
次に、ユーザが指定した観測地点を対象観測地点として抽出する処理を説明する。
【0058】
評価部12は、例えば図7に示すように、処理対象の不動産物件Pと、その周辺の観測地点M乃至Mとを示した地図をユーザに向けて表示する。そして、評価部12は、その地図上で表示されている観測地点M乃至Mの中の1つを、対象観測地点として指定するユーザ入力を受付ける。ユーザは、処理対象の不動産物件の評価に最も影響を与えると考えられる観測地点を、対象観測地点として指定することができる。
【0059】
次に、図8のフローチャートを用いて、処理装置10の処理の流れの一例を説明する。
【0060】
S10では、処理装置10は、道路上の複数の観測地点各々における画像を解析することで、複数の観測地点各々における複数種類の移動体各々の交通量を示す種類別交通量情報を取得する。
【0061】
S20では、処理装置10は、種類別交通量情報に基づき、処理対象の不動産物件を評価し、評価結果を出力する。
【0062】
次に、図9のフローチャートを用いて、処理装置10のS20の処理の流れの一例を説明する。
【0063】
まず、処理装置10は、処理対象の不動産物件を指定する入力を受付ける(S21)。
【0064】
次いで、処理装置10は、複数の観測地点の中から対象観測地点を抽出する(S22)。処理装置10は、処理対象の不動産物件と所定の位置関係の観測地点、又はユーザが指定した観測地点を対象観測地点として抽出する。
【0065】
次いで、処理装置10は、S22で抽出した対象観測地点における複数種類の移動体各々の交通量に基づき、処理対象の不動産物件を評価する(S23)。例えば、処理装置10は、S20で取得した種類別交通量情報に基づき、処理対象の不動産物件の推奨用途を決定する。
【0066】
次いで、処理装置10は、S23の評価結果を出力する(S24)。例えば、処理装置10は、処理対象の不動産物件の推奨用途を示す画像を、ディスプレイや投影装置を介して表示してもよい。その他、処理装置10は、スピーカを介して、処理対象の不動産物件の推奨用途を音声で出力してもよい。その他、処理装置10は、処理対象の不動産物件の推奨用途を示すデータを外部装置に送信してもよい。例えば、処理装置10がクライアント-サーバシステムのサーバである場合に、処理対象の不動産物件の推奨用途を示すデータをクライアントに送信する例等が考えられる。
【0067】
「作用効果」
本実施形態の処理装置10によれば、第1の実施形態の処理装置10と同様の作用効果が実現される。
【0068】
また、本実施形態の処理装置10は、多種多様な移動体の交通量に基づき、処理対象の不動産物件の推奨用途を決定し、出力することができる。例えば、処理装置10は、処理対象の不動産物件の推奨用途として、対象観測地点における交通量が閾値以上である第1の種類の移動体をターゲットとした用途を決定する。このようにすることで、処理対象の不動産物件の推奨用途として、対象観測地点における交通量が比較的多い移動体向けの用途を決定することができる。結果、処理対象の不動産物件での多くの集客が期待される。
【0069】
その他、処理装置10は、処理対象の不動産物件の推奨用途として、対象観測地点における交通量が閾値未満である第2の種類の移動体をターゲットとした用途を決定することができる。このようにした場合、処理対象の不動産物件により、第2の種類の移動体をその場所に呼び込むことが期待される。すなわち、移動体の流れを所望の状態にコントロールすることができる。
【0070】
多種多様な移動体の交通量を利用することで、各観測地点における様々な特性を特定することができる。そして、その特定した特性に基づき、高精度に推奨用途を決定することができる。例えば、多種多様な移動体の交通量を利用することで、「子供の通行が多い」、「家族連れの通行が多い」等の特性を特定することができる。そして、このような観測地点の近くの不動産物件の推奨用途として、例えば住宅や家族向けのサービス等を提案することができる。
【0071】
また、時間帯、天気、月や曜日等の条件毎の多種多様な移動体の交通量を利用することで、各観測地点におけるより細かな特性を特定することができる。そして、その特定した特性に基づき、より高精度に推奨用途を決定することができる。例えば、第1の移動体の交通量が多い(閾値以上)と判断された観測地点であっても、昼間における第1の移動体の交通量は少なく、夜における第1の移動体の交通量が極めて多いという状況があり得る。このような観測地点において、条件毎の交通量を利用しなかった場合、第1の移動体の交通量が多い(閾値以上)という結果に基づき、推奨用途としてランチ用レストラン等を決定してしまう恐れがある。条件毎の交通量を利用し、「夜間は歩行者が多いが、昼間は歩行者が少ない」という特性を特定することで、当該不都合を抑制し、適切な用途を推奨できる。その他、条件毎の交通量を利用した場合、「夜間は車や人の交通量が少ない(静か)」という特性も特定できる。その結果、例えば推奨用途として住宅等を決定することもできる。
【0072】
このような本実施形態の処理装置10は、不動産物件の売り手、貸し手、買い手、借り手や、不動産物件を利用した新たな事業を行おうとしているユーザ等、様々なユーザに有益な情報を提示することができる。
【0073】
<第3の実施形態>
本実施形態の処理装置10は、複数の観測地点各々における複数種類の移動体各々の交通量を示す種類別交通量情報に基づき、処理対象の不動産物件の価値を算出する。以下、詳細に説明する。
【0074】
評価部12は、種類別交通量情報に基づき、処理対象の不動産物件の価値を算出し、評価結果として出力する。評価部12は、第2の実施形態で説明した処理対象の不動産物件の推奨用途の決定に代えて又は加えて、当該処理対象の不動産物件の価値の算出を行うことができる。
【0075】
「価値」は、販売価格や賃貸価格等の取引価格である。例えば、不動産業者やオーナー等の売り手側ユーザ又は貸し手側ユーザは、評価部12が出力した評価結果を参考にして、妥当な取引価格を決定したり、現在検討中の取引価格の妥当性を判断したりすることができる。その他、買い手側ユーザや借り手側ユーザは、評価部12が出力した評価結果に基づき、検討中の不動産物件で提示されている取引価格の妥当性を判断したりすることができる。
【0076】
ここで、価値を算出する処理の一例について説明する。
【0077】
評価部12は、「(1)基準不動産物件の価格」を、「(2)基準不動産物件に対応する観測地点における各種移動体各々の交通量」及び「(3)処理対象の不動産物件に対応する観測地点における各種移動体各々の交通量」に基づき補正して、価値を算出する。
【0078】
「基準不動産物件」は、処理対象の不動産物件の価値の算出の基準とする不動産物件である。評価部12は、基準不動産物件の価格を、(2)及び(3)の比較結果に基づき補正して、処理対象の不動産物件の価値を算出する。
【0079】
ユーザが、任意の不動産物件を、基準不動産物件として指定することができる。例えば、ユーザは、評価部12が出力した地図上で、所定の不動産物件を基準不動産物件として指定する。ユーザは、価格を取得可能であり、かつ処理対象の不動産物件と同等の条件である不動産物件を、基準不動産物件として指定することができる。ここでの条件は、広さ、間取り、建物の大きさ、所在する市区町村等、各種移動体の交通量以外の条件である。
【0080】
また、ユーザが、基準不動産物件の価格を処理装置10に入力することができる。基準不動産物件の価格としては、取引価格、実勢価格、路線価、公示価格等を利用することができる。なお、評価部12は、予め登録されている複数の不動産各々の価格を示すデータベースから、基準不動産物件の価格を取得してもよい。
【0081】
「処理対象の不動産物件に対応する観測地点」は、処理対象の不動産物件と所定の位置関係の観測地点、又はユーザが指定した観測地点である。当該観測地点は、第2の実施形態で説明した対象観測地点の抽出方法と同様の手法で、複数の観測地点の中から抽出される。
【0082】
「基準不動産物件に対応する観測地点」は、基準不動産物件と所定の位置関係の観測地点、又はユーザが指定した観測地点である。当該観測地点は、第2の実施形態で説明した対象観測地点の抽出方法と同様の手法で、複数の観測地点の中から抽出される。
【0083】
評価部12は、例えば予め処理装置10に登録されている補正関数を用いて、処理対象の不動産物件の価値を算出することができる。補正関数は、上記(1)乃至(3)を変数として含むことができる。なお、補正関数は、上記(2)に代えて又は加えて、基準不動産物件に対応する観測地点における所定条件時の各種移動体の交通量を変数として含んでもよい。また、補正関数は、上記(3)に代えて又は加えて、処理対象の不動産物件に対応する観測地点における所定条件時の各種移動体の交通量を変数として含んでもよい。所定条件は、時間帯で定義されてもよいし(11時~13時)、天気で定義されてもよいし、月や曜日で定義されてもよいし、これらの組み合わせで定義されてもよい。
【0084】
ところで、各種移動体の交通量に応じた補正の仕方は、処理対象の不動産物件の用途に応じて異なり得る。例えば、用途が若者向けの店舗である場合、10代や20代の歩行者の交通量が多いほど、処理対象の不動産物件の価値が高くなるように補正することが好ましい。一方で、他の用途である場合、10代や20代の歩行者の交通量が多いほど、処理対象の不動産物件の価値が低くなるように補正することが好ましい場合がある。
【0085】
そこで、予め、用途毎に補正関数が生成され、処理装置10に記憶されていてもよい。この場合、評価部12は、処理対象の不動産物件の価値の算出において、ユーザから処理対象の不動産物件の用途を指定する入力を受付ける。そして、評価部12は、指定された用途に対応する補正関数を用いて、指定された用途で利用する場合の処理対象の不動産物件の価値を算出する。このように、評価部12は、用途に応じた処理対象の不動産物件の価値を算出してもよい。
【0086】
本実施形態の処理装置10のその他の構成は、第1及び第2の実施形態の処理装置10の構成と同様である。
【0087】
本実施形態の処理装置10によれば、第1及び第2の実施形態の処理装置10と同様の作用効果が実現される。また、本実施形態の処理装置10によれば、多種多様な移動体の交通量に基づき、処理対象の不動産物件の価値を算出することができる。また、本実施形態の処理装置10によれば、用途毎に、処理対象の不動産物件の価値を算出することができる。
【0088】
例えば、不動産業者やオーナー等の売り手側ユーザ又は貸し手側ユーザは、処理装置10が出力した評価結果を参考にして、妥当な取引価格を決定したり、現在検討中の取引価格の妥当性を判断したりすることができる。その他、買い手側ユーザや借り手側ユーザは、処理装置10が出力した評価結果に基づき、検討中の不動産物件で提示されている取引価格の妥当性を判断したりすることができる。
【0089】
<第4の実施形態>
本実施形態の処理装置10は、時系列な種類別交通量情報に基づき、将来における複数の観測地点各々における複数種類の移動体各々の交通量の予測値を算出し、当該予測値に基づき処理対象の不動産物件を評価する。以下、詳細に説明する。
【0090】
取得部11は、時系列な種類別交通量情報を取得する。時系列な種類別交通量情報は、所定の期間毎(例:1週間毎、1か月毎、3か月毎、1年毎等)の各観測地点の各種移動体の交通量を示す。
【0091】
評価部12は、時系列な種類別交通量情報に基づき、将来における複数の観測地点各々における複数種類の移動体各々の交通量の予測値を算出する。評価部12は、広く知られている時系列予測の技術を用いて、時系列なデータの将来の値を予測することができる。例えば、ユーザが、将来のある時点を指定する入力を行う。評価部12は、「現在から6か月後」、「現在から1年後」のように現在基準で指定を受付けてもよいし、「2025年1月1日」のように年月日で指定を受付けてもよい。なお、図5に示すように、種類別交通量情報は所定の観測期間における交通量を示す。そこで、評価部12は、ユーザが指定した日付を含む観測期間における交通量を予測する。
【0092】
そして、評価部12は、将来における複数の観測地点各々における複数種類の移動体各々の交通量の予測値に基づき、処理対象の不動産物件を評価する。
【0093】
例えば、評価部12は、第2の実施形態で説明した評価手法において、将来における複数の観測地点各々における複数種類の移動体各々の交通量の予測値を利用する。このようにすることで、評価部12は、処理対象の不動産物件の将来における推奨用途を決定することができる。
【0094】
また、例えば、評価部12は、第3の実施形態で説明した評価手法において、将来における複数の観測地点各々における複数種類の移動体各々の交通量の予測値を利用する。このようにすることで、評価部12は、処理対象の不動産物件の将来における価値を算出することができる。
【0095】
本実施形態の処理装置10のその他の構成は、第1乃至第3の実施形態の処理装置10の構成と同様である。
【0096】
本実施形態の処理装置10によれば、第1乃至第3の実施形態の処理装置10と同様の作用効果が実現される。また、本実施形態の処理装置10によれば、将来における複数の観測地点各々における複数種類の移動体各々の交通量の予測値を算出し、当該予測値に基づき処理対象の不動産物件を評価することができる。このように、処理装置10は、将来における処理対象の不動産物件の推奨用途や価値を評価し、ユーザに提示することができる。
【0097】
<第5の実施形態>
本実施形態の処理装置10は、将来の環境変化の内容を示す環境変化情報に基づき、将来における複数の観測地点各々における複数種類の移動体各々の交通量の予測値を算出し、当該予測値に基づき処理対象の不動産物件を評価する。以下、詳細に説明する。
【0098】
評価部12は、環境変化情報を取得する。
【0099】
「環境変化情報」は、将来の環境変化の内容を示す。環境変化情報は、位置情報と、その位置で起きる環境の変化の内容を示す情報と、その変化が起きるタイミングを示す情報とを含む。
【0100】
「位置情報」は、住所であってもよいし、緯度経度情報であってもよいし、その他であってもよい。
【0101】
「環境の変化の内容」は、例えば所定の施設の建設や、所定の施設の廃業等である。所定の施設は、駅、大型店舗等であるが、これらに限定されない。
【0102】
「変化が起きるタイミング」は、「現在から6か月後」、「現在から1年後」のように現在基準で示されてもよいし、「2025年1月1日」のように年月日で示されてもよい。
【0103】
ユーザが、上述のような環境変化情報を処理装置10に入力する。そして、評価部12は、入力された環境変化情報を取得する。
【0104】
そして、評価部12は、取得した環境変化情報に基づき、将来における複数の観測地点各々における複数種類の移動体各々の交通量の予測値を算出する。
【0105】
ここで、予測値の算出手法の一例を説明するが、これに限定されない。当該例では、予め、過去のデータに基づき、環境変化による観測地点の各種移動体の交通量の変化を学習した学習モデルが生成される。当該学習モデルは、過去に起きた環境変化の内容と、その環境変化によりもたらされた周辺の観測地点における各種移動体の交通量の変化量とを対応付けた学習データに基づく学習で生成される。
【0106】
評価部12は、例えばこのような学習モデルと取得した環境変化情報に基づき、環境変化によりもたらされる周辺の観測地点各々における各種移動体の交通量の変化量を算出する。そして、評価部12は、環境変化が起きる時点又はその直前における観測地点の交通量を、算出した変化量分だけ補正(変化量分増やす、又は変化量分減らす)することで、将来における複数の観測地点各々における複数種類の移動体各々の交通量の予測値を算出する。
【0107】
「環境変化が起きる時点又はその直前における観測地点の交通量」は、例えば第4の実施形態で説明した手法で算出することができる。
【0108】
なお、周辺の観測地点は、環境変化が起きた位置(上記所定の施設の位置)からの距離に応じて複数のグループに分類されてもよい。そして、グループ毎に上記学習モデルが生成されてもよい。この場合、評価部12は、観測地点毎に、環境変化情報で示される環境の変化が起きる位置との距離を算出し、算出した距離に対応した学習モデルを用いて上記変化量を算出する。
【0109】
また、環境変化が起きた時点からの経過時間毎に(例:1週間後、1か月後、3か月後、1年後)、上記学習モデルが生成されてもよい。この場合、評価部12は、環境変化が起きた時点からの経過時間を指定するユーザ入力を受付ける。そして、評価部12は、指定された経過時間に対応した上記学習モデルを用いて上記変化量を算出する。
【0110】
そして、評価部12は、将来における複数の観測地点各々における複数種類の移動体各々の交通量の予測値に基づき、処理対象の不動産物件を評価する。
【0111】
例えば、評価部12は、第2の実施形態で説明した評価手法において、将来における複数の観測地点各々における複数種類の移動体各々の交通量の予測値を利用する。このようにすることで、評価部12は、処理対象の不動産物件の将来における推奨用途を決定することができる。
【0112】
また、例えば、評価部12は、第3の実施形態で説明した評価手法において、将来における複数の観測地点各々における複数種類の移動体各々の交通量の予測値を利用する。このようにすることで、評価部12は、処理対象の不動産物件の将来における価値を算出することができる。
【0113】
本実施形態の処理装置10のその他の構成は、第1乃至第4の実施形態の処理装置10の構成と同様である。
【0114】
本実施形態の処理装置10によれば、第1乃至第4の実施形態の処理装置10と同様の作用効果が実現される。また、本実施形態の処理装置10によれば、将来の環境変化が起きた後の複数の観測地点各々における複数種類の移動体各々の交通量の予測値を算出し、当該予測値に基づき処理対象の不動産物件を評価することができる。このように、処理装置10は、将来における処理対象の不動産物件の推奨用途や価値を評価し、ユーザに提示することができる。
【0115】
<変形例>
ここで、全ての実施形態に適用可能な変形例を説明する。上記実施形態では、取得部11は、画像を解析して、種類別交通量情報を生成した。
【0116】
変形例として、他の装置が画像を解析して、種類別交通量情報を生成してもよい。そして、他の装置で生成された種類別交通量情報が処理装置10に入力されてもよい。取得部11は、このように入力された種類別交通量情報を取得することができる。他の装置の一例は、例えば観測地点に設置されたカメラであるが、これに限定されない。
【0117】
その他、人が任意の手段で生成した種類別交通量情報が処理装置10に入力されてもよい。そして、取得部11は、このように入力された種類別交通量情報を取得することができる。人は、例えば各観測地点で各種移動体の交通量を計測してもよいし、各観測地点の画像を観察して各種移動体の交通量を計測してもよい。
【0118】
当該変形例においても、上記実施形態と同様の作用効果が実現される。また、当該変形例の場合、個人を特定可能な情報(路上に設置されたカメラが生成した画像)が処理装置10に入力されることを回避できる。
【0119】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。上述した実施形態の構成は、互いに組み合わせたり、一部の構成を他の構成に入れ替えたりしてもよい。また、上述した実施形態の構成は、趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもよい。また、上述した各実施形態や変形例に開示される構成や処理を互いに組み合わせてもよい。
【0120】
また、上述の説明で用いた複数のフローチャートでは、複数の工程(処理)が順番に記載されている。しかし、各実施の形態で実行される工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。各実施の形態では、図示される工程の順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。また、上述の各実施の形態は、内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。
【0121】
1. 道路上の複数の観測地点各々における画像を解析することで、複数の前記観測地点各々における複数種類の移動体各々の交通量を示す種類別交通量情報を取得する取得手段と、
前記種類別交通量情報に基づき、処理対象の不動産物件を評価し、評価結果を出力する評価手段と、
を有する処理装置。
2. 前記評価手段は、前記種類別交通量情報に基づき、前記処理対象の不動産物件の推奨用途を決定し、前記評価結果として出力する1に記載の処理装置。
3. 前記評価手段は、
前記処理対象の不動産物件と所定の位置関係の前記観測地点、又はユーザが指定した前記観測地点を対象観測地点として抽出し、
前記処理対象の不動産物件の推奨用途として、前記対象観測地点における交通量が閾値以上である第1の種類の移動体をターゲットとした用途を決定する2に記載の処理装置。
4. 前記評価手段は、
前記処理対象の不動産物件と所定の位置関係の前記観測地点、又はユーザが指定した前記観測地点を対象観測地点として抽出し、
前記処理対象の不動産物件の推奨用途として、前記対象観測地点における交通量が閾値未満である第2の種類の移動体をターゲットとした用途を決定する2に記載の処理装置。
5. 前記評価手段は、前記種類別交通量情報に基づき、前記処理対象の不動産物件の価値を算出し、前記評価結果として出力する1に記載の処理装置。
6. 前記評価手段は、
前記処理対象の不動産物件の用途を指定するユーザ入力を受付け、
前記ユーザ入力で指定された用途で利用する場合の前記処理対象の不動産物件の価値を算出する3に記載の処理装置。
7. 前記評価手段は、
時系列な前記種類別交通量情報に基づき、将来における複数の前記観測地点各々における複数種類の前記移動体各々の交通量の予測値を算出し、前記予測値に基づき前記処理対象の不動産物件を評価する1に記載の処理装置。
8. 前記評価手段は、
将来の環境変化の内容を示す環境変化情報に基づき、将来における複数の前記観測地点各々における複数種類の前記移動体各々の交通量の予測値を算出し、前記予測値に基づき前記処理対象の不動産物件を評価する1に記載の処理装置。
9. 1つ以上のコンピュータが、
道路上の複数の観測地点各々における画像を解析することで、複数の前記観測地点各々における複数種類の移動体各々の交通量を示す種類別交通量情報を取得し、
前記種類別交通量情報に基づき、処理対象の不動産物件を評価し、評価結果を出力する処理方法。
10. コンピュータを、
道路上の複数の観測地点各々における画像を解析することで、複数の前記観測地点各々における複数種類の移動体各々の交通量を示す種類別交通量情報を取得する取得手段、
前記種類別交通量情報に基づき、処理対象の不動産物件を評価し、評価結果を出力する評価手段、
として機能させるプログラム。
【符号の説明】
【0122】
10 処理装置
11 取得部
12 評価部
1A プロセッサ
2A メモリ
3A 入出力I/F
4A 周辺回路
5A バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9