(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141263
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】火災受信機
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
G08B17/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052806
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】後▲藤▼ 大佑
(72)【発明者】
【氏名】永田 智一
(72)【発明者】
【氏名】松橋 寛丸
【テーマコード(参考)】
5G405
【Fターム(参考)】
5G405AA06
5G405CA60
5G405FA01
(57)【要約】
【課題】フック部に加わる力によるカバーの破損を抑制することが可能な火災受信機を得る。
【解決手段】火災受信機1は、筐体4の前面3aに配置された操作パネル5と、操作パネル5を開閉するカバー6とを有し、カバー6は、カバー6の下縁部67を回動軸部として上下に回動可能であり、カバー6の下縁部67には、電話機の送受話器7を係止するためのフック部69が、カバー6を下方に回動させて開いた状態にあるときに上部に位置して露出するように設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の前面に配置された操作パネルと、前記操作パネルを開閉するカバーとを有する火災受信機において、
前記カバーは、前記カバーの下縁部を回動軸部として上下に回動可能であり、前記カバーの前記下縁部には、電話機の送受話器を係止するためのフック部が、前記カバーを下方に回動させて開いた状態にあるときに上部に位置して露出するように設けられている火災受信機。
【請求項2】
前記カバーは、前記カバーの表面が前記筐体の前面に対向する全開状態となるまで下方に回動自在である請求項1記載の火災受信機。
【請求項3】
前記カバーは、前記操作パネルに対向する矩形状の前壁と、前記前壁の下縁に設けられた下壁とを有し、
前記フック部は、前記下壁の外面から突出して設けられた凸部である請求項1又は請求項2記載の火災受信機。
【請求項4】
筐体の前面に配置された操作パネルと、前記操作パネルを開閉するカバーとを有する火災受信機において、
前記カバーは、前記カバーの下縁部を回動軸部として上下に回動可能であって、前記カバーの表面が前記筐体の前面に対向する全開状態となるまで下方に回動自在であり、
前記カバーは、前記操作パネルに対向する矩形状の前壁と、前記前壁の上縁に設けられた上壁とを有し、
電話機の送受話器を係止するためのフック部が、前記上壁の内面に設けられている火災受信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災報知設備における火災受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の火災受信機は、筐体前面の操作パネルに電話ジャックを有し、電話ジャックに、電話機の送受話器の電話プラグを接続することで、例えば火災時や保守点検時に端末機器側の保守員と通話できるようになっている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の火災受信機は、操作パネルを開閉するカバーを有し、カバーの内面には、送受話器を係止するためのフック部が設けられている。フック部は、通話の中断時等に送受話器を係止するために用いられる。カバーは、カバーの下縁部を回動軸部として上下に回動可能であり、下方に回動して開いた状態で下部側が前方に突出して傾斜し、フック部は、開状態で傾斜したカバーの下部側に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の火災受信機では、カバーは、カバーを開いた状態で下部側が前方に突出して傾斜している。特許文献1の火災受信機では、フック部が、このように傾斜した状態のカバーの下部側に設けられているため、送受話器をフック部に係止する際や係止を解除する際にフック部に力が加わると、カバーの回動軸部にモーメントによる応力が作用してカバーが破損する可能性があった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、フック部に加わる力によるカバーの破損を抑制することが可能な火災受信機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る火災受信機は、筐体の前面に配置された操作パネルと、操作パネルを開閉するカバーとを有する火災受信機において、カバーは、カバーの下縁部を回動軸部として上下に回動可能であり、カバーの下縁部には、電話機の送受話器を係止するためのフック部が、カバーを下方に回動させて開いた状態にあるときに上部に位置して露出するように設けられているものである。
【0007】
本発明に係る火災受信機は、筐体の前面に配置された操作パネルと、操作パネルを開閉するカバーとを有する火災受信機において、カバーは、カバーの下縁部を回動軸部として上下に回動可能であって、カバーの表面が筐体の前面に対向する全開状態となるまで下方に回動自在であり、カバーは、操作パネルに対向する矩形状の前壁と、前壁の上縁に設けられた上壁とを有し、電話機の送受話器を係止するためのフック部が、上壁の内面に設けられているものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の火災受信機によれば、送受話器のフック部への係止時及び係止解除時にフック部に加わる力のモーメントによって回動支点部分に作用する応力を小さくでき、カバーの破損を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態に係る火災受信機を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る火災受信機においてカバーを開いた状態の拡大図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る火災受信機のカバーの斜視図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る火災受信機のフック部に係止される電話機の送受話器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る火災受信機の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付して、その説明を適宜省略又は簡略化する。また、各図に記載の構成について、その形状、大きさ及び配置等は、本発明の範囲内で適宜変更することができる。
【0011】
実施の形態.
図1は、本発明の実施の形態に係る火災受信機1を示す斜視図である。
図2は、本発明の実施の形態に係る火災受信機1においてカバー6を開いた状態の拡大図である。
図3は、本発明の実施の形態に係る火災受信機1のカバー6の斜視図である。
図4は、本発明の実施の形態に係る火災受信機1のフック部69に係止される電話機の送受話器7の斜視図である。なお、以下の説明で用いる、前、後、右、左、上、下といった用語は、火災受信機1を前面側から見た場合の方向を意味している。これら方向に係る用語は、説明のためのものであって、本発明を限定するものではない。
【0012】
火災受信機1は、監視区域に設置された1以上の端末機器から信号を受信するためのものである。火災受信機1は、前面が開口された箱状の本体2と、本体2の前面開口を開閉する扉3とを備える。そして、本体2と扉3とで火災受信機1の筐体4が構成されている。筐体4内には電気回路部や外部からの信号線(回線)が接続される端子などが実装された回路基板など(図示せず)が収納されている。
【0013】
扉3の前面3aには、火災受信機1の操作を行うための操作パネル5と、操作パネル5の一部を開閉するカバー6とが配置されている。操作パネル5には、電話ジャック51が設けられており、電話ジャック51に送受話器7の電話プラグを接続することで、例えば火災時や保守点検時に、火災受信機1側の保守員と端末機器側の保守員との間で通話することが可能となっている。
【0014】
図3に示すように、カバー6は、操作パネル5の一部に対向する矩形状の前壁61と、前壁61の外周縁から後方に延びる周壁62とが一体に形成されたものである。周壁62は、右壁63と、左壁64と、上壁65と、下壁66とを有する。カバー6は、カバー6の下縁部67を回動軸部として、上下に回動自在に支持部68に支持されている。下縁部67は、前壁61、右壁63及び左壁64のそれぞれの下部と、下壁66とを含んで構成される。
【0015】
支持部68は、操作パネル5から突出して設けられた軸部(図示せず)を有し、軸部(図示せず)がカバー6の右壁63及び左壁64に形成された軸穴68aに軸支されてカバー6を上下方向に回動自在に支持している。なお、支持部68は、カバー6の右壁63及び左壁64に設けた軸部を有し、軸部が操作パネル5に形成された軸穴に軸支されてカバー6を上下方向に回動自在に支持する構成としてもよい。
【0016】
カバー6は、閉じた状態を0°として下方に180°回動自在である。カバー6は、180°回動した全開状態において、
図2に示すようにカバー6の表面6aが扉3の前面3aに対向する状態となる。なお、カバー6は、全開状態にあるとき、扉3の前面3aに当接してもよいし、扉3の前面3aから前方に僅かに離間してもよい。
【0017】
カバー6の下縁部67には、電話機の送受話器7を係止するためのフック部69(
図2において実線で示すフック部69)が設けられている。フック部69は、
図2に示すようにカバー6を下方に回動させて開いた状態にあるときに上部に位置して露出し、送受話器7を係止可能な状態となる。フック部69は、具体的には、
図3に示すように下壁66の外面66aから突出する凸部で構成されている。なお、
図3では、下壁66の外面66aに上方に凹む凹部が設けられ、その凹部の底面から凸部が突出して設けられた例を示しているが、凹部は設けなくてもよい。
【0018】
上記構成の火災受信機1において、通話の中断時等に電話機の送受話器7をフック部69に係止する場合には、
図1及び
図2に示すようにカバー6を下方に回動させて開く。これにより、フック部69がカバー6の上部に位置して露出する。そして、フック部69に送受話器7の凹部71を引っ掛けることにより、送受話器7をフック部69に係止する。
【0019】
ここで、フック部69は、カバー6の下縁部67に設けられており、言い換えればカバー6を回動自在に支持する回動軸部に設けられている。このため、上記構成の火災受信機1は、従来のように回動軸部から離れた部分にフック部を設けた構成よりも、フック部69に加わる力のモーメントによって支持部68に作用する応力を小さくでき、カバー6の破損を抑制できる。
【0020】
また、カバー6は、全開状態にあるとき、カバー6の表面6aが扉3の前面3aに対向する。このため、送受話器7のフック部69への係止時及び係止解除時にフック部69を後方に押圧する力が作用しても、カバー6が扉3に当接してそれ以上の後方への移動が阻止される。このため、支持部68に過度な応力がかかることを抑制でき、カバー6の破損を抑制できる。
【0021】
なお、本発明は、カバー6が全開状態にあるとき、カバー6が閉じた状態から180°回動してカバー6の表面6aが扉3の前面3aに対向する構成に限られたものでない。本発明は、カバー6の全開状態の開き角度が180°よりも小さい角度とされ、全開状態においてカバー6が扉3に対して前方に突出して傾斜する構成でもよい。このようにカバー6が全開状態で傾斜しても、フック部69がカバー6の回動軸部となる下縁部67に設けられていることで、カバー6の破損を抑制する効果が得られる。
【0022】
上記構成では、フック部69が下縁部67に設けられ、カバー6を下方に回動させて開いた状態にあるときに上部に位置して露出するとしたが、フック部69は次の位置に設けられても良い。
【0023】
フック部69は、カバー6が全開状態で筐体4の前面3aに対向する構成においては、
図2において点線で示すように、カバー6の上壁65の内面65aに設けてもよい。点線で示すフック部69は、カバー6の上壁65の内面65aから突出する凸部で構成されている。
【0024】
上記構成により、送受話器7のフック部69への係止時及び係止解除時に、フック部69を後方に押圧する力が作用しても、カバー6が扉3に当接してそれ以上の後方への移動を阻止できる。よって、フック部69に加わる力のモーメントによって支持部68に作用する応力を小さくでき、カバー6の破損を抑制できる。フック部69をカバー6の上壁65の内面65aに設けた構成は、いわばフック部69を回動軸部から離れた部分に設けた構成に相当する。しかし、フック部69を回動軸部から離れた部分に設けた構成としても、カバー6の表面が筐体4の前面3aに対向する全開状態となるまでカバー6が下方に回動自在となる構成と組み合わせられることで、フック部69を回動軸部に設けた場合と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0025】
1 火災受信機、2 本体、3 扉、3a 前面、4 筐体、5 操作パネル、6 カバー、6a 表面、7 送受話器、51 電話ジャック、61 前壁、61a 下部、62 周壁、63 右壁、64 左壁、65 上壁、65a 内面、66 下壁、66a 外面、67 下縁部、68 支持部、68a 軸穴、69 フック部、71 凹部。