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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141288
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20241003BHJP
   H01M 50/129 20210101ALI20241003BHJP
   H01M 50/178 20210101ALI20241003BHJP
   H01M 50/557 20210101ALI20241003BHJP
   H01M 50/50 20210101ALI20241003BHJP
   H01M 50/224 20210101ALI20241003BHJP
   H01M 50/121 20210101ALI20241003BHJP
   H01M 50/562 20210101ALI20241003BHJP
   H01M 50/528 20210101ALI20241003BHJP
   H01M 50/103 20210101ALN20241003BHJP
   H01M 50/209 20210101ALN20241003BHJP
【FI】
H01M50/204 101
H01M50/129
H01M50/178
H01M50/557
H01M50/50 201Z
H01M50/224
H01M50/121
H01M50/562
H01M50/528
H01M50/103
H01M50/209
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052842
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 陽三
【テーマコード(参考)】
5H011
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H011CC02
5H011FF04
5H040AA03
5H040AT02
5H040AT04
5H040AY08
5H040LL01
5H043AA19
5H043CA08
5H043FA02
5H043FA22
5H043FA23
5H043HA17F
5H043KA08D
5H043KA09D
(57)【要約】
【課題】複数の電池を収容した安価な電池モジュールを提供する。
【解決手段】電池モジュール1は、電極体11、非水電解液15、金属箔を含まず液絡防止樹脂フィルムからなり、電極体11及び非水電解液15を収容し、気密に封止して非水電解液15の透過を阻止する電池ケース16、及び、電池ケース16の内部から電池ケース16の周縁部16CP,16DP同士の間を通じて電池ケース16の外部に気密に引き出された、少なくとも1つの正極端子板17A,17B及び少なくとも1つの負極端子板18A,18Bを含む複数の電極端子板17A,17B,18A,18Bを有する複数の電池10であって、一方の電池10の電極端子板17A,18Aを、他方の電池10の電極端子板17B,18Bに導通して、相互に電気的に接続した複数の電池10と、金属からなり、複数の電池10を収容し気密に封止する金属モジュール容器2と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極体、
非水電解液、
金属箔を含まず液絡防止樹脂フィルムからなり、前記電極体及び前記非水電解液を収容し気密に封止して、前記非水電解液の透過を阻止する電池ケース、及び、
前記電池ケースの内部から前記電池ケースの周縁部を通じて前記電池ケースの外部に気密に引き出された、少なくとも1つの正極端子板及び少なくとも1つの負極端子板を含む複数の電極端子板を有する
複数の電池であって、
一方の前記電池の前記電極端子板を、他方の前記電池の前記電極端子板に導通して、相互に電気的に接続した
複数の前記電池と、
金属からなり、前記複数の電池を収容し気密に封止する金属モジュール容器と、を備える
電池モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の電池モジュールであって、
前記電池の前記電極端子板同士を、直接溶接してなる
電池モジュール。
【請求項3】
請求項2に記載の電池モジュールであって、
前記正極端子板はアルミニウム板からなり、
前記負極端子板は銅板からなり、
前記一方の電池の前記正極端子板と前記他方の電池の前記負極端子板とが直接、超音波溶接されてなる
電池モジュール。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の電池モジュールであって、
複数の前記電池は、それぞれ、
一対の第1正極端子板及び第1負極端子板と、
一対の第2正極端子板及び第2負極端子板の4つの前記電極端子板を有しており、
前記一方の電池の前記第1正極端子板を、前記他方の電池の前記第2正極端子板に接続すると共に、前記一方の電池の前記第1負極端子板を、前記他方の電池の前記第2負極端子板に接続して、複数の前記電池をカスケード状に並列接続してなる
電池モジュール。
【請求項5】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の電池モジュールであって、
前記一方の電池の前記少なくとも1つの正極端子板を、前記他方の電池の前記少なくとも1つの負極端子板に接続して、複数の前記電池を直列接続してなる
電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電池を収容した電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、互いに重ねた複数のラミネート型電池を外装ケース内に収容したラミネート型電池モジュールが開示されている(例えば、図4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-169135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このラミネート型電池モジュールでは、個々のラミネート型電池の外装に、電解液をなす有機溶媒等の透過のほか、ラミネート型電池内への水分の透過侵入を防止するため、アルミウム箔などの金属箔と樹脂層を重ねた高価なラミネートフィルムを用いている。しかも、複数のラミネート型電池が外装ケースである金属ケース内に気密に収容されている。このため、水分の侵入防止に関して過剰品質であり、コスト高であった。
【0005】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、複数の電池を収容した安価な電池モジュールを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記課題を解決するための本発明の一態様は、電極体、非水電解液、金属箔を含まず液絡防止樹脂フィルムからなり、前記電極体及び前記非水電解液を収容し気密に封止して、前記非水電解液の透過を阻止する電池ケース、及び、前記電池ケースの内部から前記電池ケースの周縁部を通じて前記電池ケースの外部に気密に引き出された、少なくとも1つの正極端子板及び少なくとも1つの負極端子板を含む複数の電極端子板を有する複数の電池であって、一方の前記電池の前記電極端子板を、他方の前記電池の前記電極端子板に導通して、相互に電気的に接続した複数の前記電池と、金属からなり、前記複数の電池を収容し気密に封止する金属モジュール容器と、を備える電池モジュールである。
【0007】
この電池モジュールの各々の電池は、電極体及び非水電解液が液絡防止樹脂フィルムからなる電池ケースに収容され気密に封止されている。このため、電解液が漏れ出したり電池ケースを透過して滲み出し、電池同士が非水電解液を介して短絡する液絡(イオン的短絡)は防止することができる。但し、いわゆるラミネートフィルムとは異なり、電池ケースをなす液絡防止樹脂フィルムは、安価であるが、水蒸気など透過を防止する金属箔を含んでいないので、電池外部から電池内部への水蒸気の透過侵入を十分には防止できない。しかしながら、この電池モジュールでは、金属モジュール容器が複数の電池を収容し気密に封止しているため、そもそも金属モジュール容器内への、即ち、電池周囲への水や水蒸気の侵入が防止されている。かくして、各電池の外装として、ラミネートフィルムでは無く、安価な液絡防止樹脂フィルムからなる電池ケースを用いながらも、金属モジュール容器によって、電池内への水蒸気の侵入を防止できる、安価な電池モジュールにすることができる。
【0008】
なお、電池としては、リチウムイオン二次電池、ナトリウムイオン二次電池等の二次電池が挙げられる。
また、非水電解液としては、有機溶媒に電解質塩を溶解させることによって得られる非水電解液を用いることができる。有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート及びエチレンカーボネートなどの環状炭酸エステル類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネートなどの鎖状カーボネート類が挙げられる。
【0009】
電池ケースに用いる液絡防止樹脂フィルムは、樹脂からなり電解液の透過を防止するフィルムであり、例えば、PT,PET,PP,PE,オレフィン系樹脂などの樹脂フィルムのほか、PP/PETなど複数の樹脂層を重ねた複層フィルムを用いることもできる。
【0010】
複数の電極端子板を有する電池としては、正極端子板と負極端子板を一対設けた電池のほか、対をなす正極端子板と負極端子板とを二対など複数対設けた電池等が挙げられる。
【0011】
また、電池モジュールの形態としては、平板状の電池を平面方向に直線状に並べて互いに接続し、金属モジュール容器内に収容した形態のほか、平板状の電池を平面方向縦横格子状に並べて相互に接続し、金属モジュール容器内に収容した形態や、平板状の電池を複数積み重ねて互いに接続し、金属モジュール容器内に収容した形態などが挙げられる。複数の電池を、互いに並列に接続するほか、互いに直列に接続したり、互いに直並列に接続することもできる。
【0012】
(2)上述の(1)に記載の電池モジュールであって、前記電池の前記電極端子板同士を、直接溶接してなる電池モジュールとすると良い。
【0013】
この電池モジュールでは、電池の電極端子板同士の接続に、別途用意したバスバ等を用いず、直接接続するので、部品点数が少なく、構成が簡単でより安価な電池モジュールにできる。
【0014】
電極端子板同士を直接溶接する溶接手法としては、抵抗溶接やレーザ溶接、超音波溶接などを適宜採用できる。
【0015】
(3)上述の(2)に記載の電池モジュールであって、前記正極端子板はアルミニウム板からなり、前記負極端子板は銅板からなり、前記一方の電池の前記正極端子板と前記他方の電池の前記負極端子板とが直接、超音波溶接されてなる電池モジュールとすると良い。
【0016】
異種金属であるアルミニウム板と銅板とを、スポット溶接など母材を溶融させて接続した場合には、溶融部分に脆い金属間化合物が生成されて溶接部分から破断が生じる場合がある。
これに対し、上述のように、アルミニウム板と銅板とを超音波溶接によって接続すると、アルミニウム板と銅板とが固相接合され、両者間に金属間化合物が生成されにくく、安定した接続を得ることができる。
【0017】
(4)さらに上述の(1)~(3)のいずれか1項に記載の電池モジュールであって、複数の前記電池は、それぞれ、一対の第1正極端子板及び第1負極端子板と、一対の第2正極端子板及び第2負極端子板の4つの前記電極端子板を有しており、前記一方の電池の前記第1正極端子板を、前記他方の電池の前記第2正極端子板に接続すると共に、前記一方の電池の前記第1負極端子板を、前記他方の電池の前記第2負極端子板に接続して、複数の前記電池をカスケード状に並列接続してなる電池モジュールとすると良い。
【0018】
この電池モジュールでは、一方の電池の第1正極端子板を他方の電池の第2正極端子板に接続し、一方の電池の第1負極端子板を他方の電池の第2負極端子板に接続して、電池同士をカケスケード状に接続する。これにより、内蔵する複数の電池同士を容易に接続して、互いに並列接続した電池モジュールを得ることができる。
【0019】
(5)或いは前述の(1)~(3)のいずれか1項に記載の電池モジュールであって、前記一方の電池の前記少なくとも1つの正極端子板を、前記他方の電池の前記少なくとも1つの負極端子板に接続して、複数の前記電池を直列接続してなる電池モジュールとすると良い。
【0020】
この電池モジュールでは、一方の電池の正極端子板を、他方の電池の負極端子板に接続して、内蔵する複数の電池を直列接続しており、構成が簡易で安価な電池モジュールとすることができる。
なお、一方の電池の複数の正極端子板を、他方の電池の複数の負極端子板にそれぞれ接続する場合には、電池同士をより低抵抗で相互に直列接続することができる。
【0021】
また、電極体及び非水電解液を前記非水電解液の通過を阻止する液絡防止樹脂フィルムからなる電池ケースで包囲して封止してなり、前記電池ケースの内部から前記電池ケースの周縁部を通じて前記電池ケースの外部に引き出された、一対の第1正極端子板及び第1負極端子板、並びに、一対の第2正極端子及び第2負極端子を有する電池も好ましい。
【0022】
この電池は、二対の正極端子板及び負極端子板を有している。このため、複数の電池を接続するに当たり、一方の電池の第1正極端子板を他方の電池の第2正極端子板に接続し、一方の電池の第1負極端子板を他方の電池の第2負極端子板に接続して、電池同士を容易にカケスケード状に接続することができ、これにより複数の電池を互いに並列接続した電池モジュールを容易に得ることができる。しかも、電池ケースが、ラミネートフィルムに比して安価な液絡防止樹脂フィルムからなるので、電池自身を安価にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態1に係る電池モジュールの内部構造を示す説明図である。
図2】実施形態1に係る4端子電池を示す平面図である。
図3】実施形態1に係る4端子電池の端子部分の構造を示す部分拡大断面図である。
図4】実施形態1及び変形形態1に係る4端子電池に用いる正極板の展開図である。
図5】実施形態1及び変形形態1に係る4端子電池に用いる負極板の展開図である。
図6】実施形態1に係る電池モジュールの製造手順を示すフローチャートである。
図7】実施形態1に係り、4端子電池を相互接続して電池群とした状態を示す平面図である。
図8】実施形態1に係る電池モジュールの端子付き壁部材を示す斜視図である。
図9】実施形態1に係る電池モジュールの底側板部材を示す斜視図である。
図10】実施形態1に係り、容器本体部材を示す斜視図である。
図11】実施形態1に係り、容器本体部材内に相互接続した複数の4端子電池を収容した状態示す平面図である。
図12】実施形態1に係る電池モジュールの平面図である。
図13】変形形態1に係る4端子電池を示す平面図である。
図14】変形形態1に係る電池モジュールの内部構造を示す説明図である。
図15】変形形態2に係る電池モジュールの内部構造を示す説明図である。
図16】変形形態3に係る電池モジュールの内部構造を示す説明図である。
図17】実施形態2に係る電池モジュールの内部構造を示す説明図である。
図18】実施形態2に係る2端子電池を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1に係る4端子電池10(以下、単に電池ともいう)、及び、複数(本実施形態1では4つ)の電池10を相互に接続した電池群5を収容した電池モジュール1を、図1図12を参照しつつ説明する。電池10は、概ね直方体形状で密閉型のリチウムイオン二次電池であり、電池モジュール1は、ハイブリッドカーやプラグインハイブリッドカー、電気自動車等の車両やドローンなど各種の機器に搭載される。
【0025】
本実施形態1の電池モジュール1(図1図12参照)は、電池群5と、この電池群5を内部に収容し気密に封止するモジュール容器2と、モジュール容器2に絶縁部材8を介して固設された二対(合計4個)の正極端子部材6及び負極端子部材7とを備える。なお、絶縁部材8は、正極端子部材6或いは負極端子部材7とモジュール容器2との間を絶縁している。本実施形態1の電池モジュール1は、内蔵する4つの電池10が互いに並列接続されている。なお、本明細書では、電池モジュール1及び電池10等における長さ方向AH、幅方向BH、及び厚さ方向CHを、図1図2等の各図に示す方向に定めて説明する。
【0026】
モジュール容器2は、金属(本実施形態ではアルミニウム)からなり、長さ方向AHに長い直方体箱状である。モジュール容器2は、長さ方向AHに長い矩形状の開口3Kを有する有底矩形筒状の容器本体3(図10参照)と、長さ方向AHに長い矩形平板状で容器本体3の開口3Kを塞ぐ蓋体4(図12参照)とからなる。容器本体3のうち、長さ方向AHの一方側AH1及び他方側AH2に位置する一対の壁部材3Wには、それぞれ、前述の正極端子部材6及び負極端子部材7が、壁部材3Wを貫通しつつ、絶縁部材8を介して固設されている。
【0027】
電池群5をなす本実施形態1の4端子電池10(図2図3参照)は、概ね直方体形状であり、長さ方向AHの一方側AH1(図2において右側)に突出する、一対の第1正極端子板17A及び第1負極端子板18Aを有している。また、他方側AH2(図2において左側)に突出する、一対の第2正極端子板17B及び第2負極端子板18Bを有している。さらに詳細には、電池10では、第1正極端子板17A及び第2正極端子板17B(以下、これらを併せて正極端子板17A,17Bともいう)を、それぞれ幅方向BHの一方側BH1(図2において上側)に配置している。一方、第1負極端子板18A及び第2負極端子板18B(以下、これらを併せて負極端子板18A,18Bともいう)を、それぞれ幅方向BHの他方側BH2(図2において下側)に配置している。
【0028】
この電池10は、液絡防止樹脂フィルムを成形した電池ケース16内に電極体11及び電解液15を収容してなる。加えて、電池10は、電池ケース16の内部から電池ケース16の周縁部16Pを通じて、具体的には、電池ケース部材16C,16Dの周縁部16CP,16DP同士の間を通じて、長さ方向AHに突出する形態で、電池ケース16の外部に気密に引き出された、二対(合計4つ)の正極端子板17A,17B及び負極端子板18A,18Bを有している。また、電池ケース16内に収容された電解液15の一部は、電極体11内に含浸され、他の一部は電池ケース16内で電極体11外の空間に溜まっている。
【0029】
電池ケース16内に収容された電極体11は、いわゆる扁平捲回型の電極体であり、図4に示す長手方向LHに長い帯状の正極板12と、図5に示す長手方向LHに長い帯状の負極板13とを、一対の帯状のセパレータ14を介して積層し、軸線11AXの周りに捲回し、図1において紙面に直交する方向に押圧して扁平にしてなる。この電極体11は、軸線11AXが電池10の長さ方向AHに一致する姿勢として、電池ケース16内に収容されている(図2参照)。なお、本明細書では、正極板12及び負極板13等における長手方向LH、幅方向WH、及び厚さ方向THを、図4及び図5に示す方向に定めて説明する。また、本実施形態1等では、電極体11を扁平捲回型としたが、積層型の電極体を用いても良い。
【0030】
電極体11のうち、帯状の正極板12は、アルミニウム箔からなる帯状の正極集電箔12Fと、正極集電箔12Fの両表面に積層された帯状の正極活物質層12Aとを備える(図4参照)。正極活物質層12Aは、図示しない正極活物質粒子と導電粒子と結着剤とからなる。本実施形態1では、正極活物質粒子として、リチウム遷移金属複合酸化物粒子、具体的には、例えば、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子を用いている。導電粒子としては、例えば、アセチレンブラック(AB)を用いている。また、結着剤には、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いている。
【0031】
帯状の正極板12の正極集電箔12Fのうち、正極活物質層12Aよりも幅方向WHの一方側WH1及び他方側WH2(図4において上側及び下側)には、幅方向WHの一方側WH1及び他方側WH2に突出する一方側正極タブ部12T1及び他方側正極タブ部12T2が、それぞれ長手方向LHに間隔を空けて設けてある。この一方側正極タブ部12T1及び他方側正極タブ部12T2には正極活物質層12Aが存在していない。そして、電極体11は、複数の一方側正極タブ部12T1が互いに重なって配置されるように、正極板12及び負極板13を捲回し扁平にしてあるので、互いに重なる複数の一方側正極タブ部12T1を集積して、後述するようにアルミニウムからなる第1正極端子板17Aの内部接続部17AIに接続する(図2図3参照)。同様に、電極体11の状態で、複数の他方側正極タブ部12T2も互いに重なって配置されるので、複数の他方側正極タブ部12T2を集積して第2正極端子板17Bの内部接続部17BIに接続する。
【0032】
一方、帯状の負極板13は、銅箔からなる帯状の負極集電箔13Fと、負極集電箔13Fの両表面に積層された帯状の負極活物質層13Aとを備える(図5参照)。負極活物質層13Aは、図示しない負極活物質粒子と結着剤とからなる。本実施形態1では、負極活物質粒子として黒鉛粒子を用いている。また、結着剤には、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)を用いている。
【0033】
帯状の負極板13の負極集電箔13Fのうち、負極活物質層13Aよりも幅方向WHの一方側WH1及び他方側WH2(図5において上側及び下側)には、幅方向WHの一方側WH1及び他方側WH2に突出する一方側負極タブ部13T1及び他方側負極タブ部13T2が、間隔を空けて設けてある。この一方側負極タブ部13T1及び他方側負極タブ部13T2には負極活物質層13Aが存在していない。そして、電極体11は、複数の一方側負極タブ部13T1も互いに重なって配置されるように、正極板12及び負極板13を捲回し扁平にしてあるので、互いに重なる複数の一方側負極タブ部13T1を集積して、後述するように銅からなる第1負極端子板18Aの内部接続部18AIに接続する(図2図3参照)。同様に、電極体11の状態で、複数の他方側負極タブ部13T2も互いに重なって配置されるので、複数の他方側負極タブ部13T2を集積して第2負極端子板18Bの内部接続部18BIに接続する。
【0034】
一対の帯状のセパレータ14は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂からなる樹脂製の多孔性シートを使用することができる。本実施形態では、PE/PP/PEの三層構造としたセパレータを用いた。なお、セパレータ14の表面上に、無機フィラーを含む耐熱層を設けたセパレータを用いてもよい。無機フィラーとしては、例えば、アルミナ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、チタニア等を使用し得る。
【0035】
正極端子板17A,17Bは、アルミニウムからなり、細長板形状をなしている。正極端子板17A,17Bの一方端部をなす内部接続部17AI,17BIは、電極体11を構成する正極板12のうち集積された一方側正極タブ部12T1或いは他方側正極タブ部12T2にそれぞれに接続されている。一方、正極端子板17A,17Bの他方端部をなす外部端子部17AO,17BOは、電池ケース16外に引き出されている。
【0036】
一方、負極端子板18A,18Bは、銅からなり、正極端子板17A,17Bと同様、細長板形状をなしている。負極端子板18A,18Bの一方端部をなす内部接続部18AI,18BIは、電極体11を構成する負極板13のうち集積された一方側負極タブ部13T1或いは他方側負極タブ部13T2にそれぞれに接続されている。一方、負極端子板18A,18Bの他方端部をなす外部端子部18AO,18BOは、電池ケース16外に引き出されている。
【0037】
電解液15は、非水系溶媒に支持塩を溶解させた非水電解液である。この非水系溶媒の一例として、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等のカーボネート系溶媒が挙げられる。本実施形態等では、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートとを、重量比3:3:4で混合した有機溶媒を用いている。また、支持塩として、LiPF6を用いている。
【0038】
電池ケース16は、図2に示すように、収容する電極体11よりも一回り大きい平面視矩形状で、予め成形された液絡防止樹脂フィルムからなる一対の電池ケース部材16C,16Dを重ね合わせてなる。本実施形態1では、液絡防止樹脂フィルムとしてPP/PETの2層フィルムをPP側を内側として用いている。この電池ケース部材16C,16Dは、それぞれ、電極体11を内部に収容する凹状の収容部16CR,16DRと、この収容部16CR,16DRの周囲に一周に亘り形成された平板矩形環状の周縁部16CP,16DPを有している(図3参照)。
【0039】
電池ケース16は、一対の電池ケース部材16C,16Dの収容部16CR,16DRとの間に電極体11を収容し、正極端子板17A,17Bの外部端子部17AO,17BO及び負極端子板18A,18Bの外部端子部18AO,18BOを、電池ケース16外に引き出した配置として、周縁部16CP,16DP同士を重ね合わせて気密に熱融着して、平板矩形環状の周縁部16Pを形成してなる。
【0040】
なお、正極端子板17A,17B及び負極端子板18A,18Bについては、内部接続部17AI,17BI,18AI,18BIと外部端子部17AO,17BO,18AO,18BOとの間の中間部17AM,17BM,18AM,18BMが、それぞれ電池ケース16の周縁部16CP,16DP同士の間に挟まれて気密に熱融着されている。中間部17AM,17BM,18AM,18BMと周縁部16CP,16DPとの密着性を高めるため、中間部17M,18Mの表面を粗化したり、中間部17AM,17BM,18AM,18BMと周縁部16CP,16DPとの間に、中間部17AM等との接着性が良王な金属接着性PPからなる樹脂層を介在させるようにしても良い。
【0041】
このように本実施形態1の電池10は、電極体11及び電解液15が液絡防止樹脂フィルムからなる電池ケース16に収容され気密に封止されている。このため、電解液15が漏れ出したり電池ケース16を透過して滲み出し、電池10同士が電解液15を介して短絡する液絡(イオン的短絡)を防止することができる。しかも、電池ケース16が、アルミニウム箔などの金属箔を含むラミネートフィルムに比して安価な液絡防止樹脂フィルムからなるので、電池10を安価にすることができ、ひいては、この電池10を用いた電池モジュール1をも安価にすることができる。
【0042】
但し、液絡防止樹脂フィルムは安価であるが、ラミネートフィルムとは異なり、水蒸気などの気体の透過を防止するアルミニウム箔などの金属箔を含んでいないので、電池ケース16を介した電池外部から電池内部への水蒸気の透過侵入を十分には防止できない。
【0043】
しかし、本実施形態1の電池モジュール1では、アルミニウムなどの金属からなるモジュール容器2が、電池群5をなす複数の電池10を内部に収容し気密に封止している。このため、そもそもモジュール容器2内への水や水蒸気などの侵入が防止されている。即ち、電池10周囲への水や水蒸気などの侵入が防止されている。かくして、各電池10の外装として、安価な液絡防止樹脂フィルムからなる電池ケース16を用いながらも、電池内への水蒸気の侵入を防止でき、電池モジュールをも安価にすることができる。
【0044】
なお、本実施形態1では、上述した4端子電池10同士を、相互に接続して電池群5を構成している(図1参照)。具体的には例えば、図1において左端の電池10の第1正極端子板17Aを、図1において左から2番目の電池10の第2正極端子板17Bにレーザ溶接により直接溶接する。これと共に、左端の電池10の第1負極端子板18Aを、左から2番目の電池10の第2負極端子板18Bにレーザ溶接により直接溶接する。このようにして、複数(本実施形態2では4つ)の電池10同士をカスケード状に並列接続してなる。さらに、電池群5の両端をなす電池10のうち、両端に位置し、他の電池10と接続していない端子板は、モジュール容器2に設けた正極端子部材6或いは負極端子部材7にレーザ溶接により直接溶接している。即ち、図1において左端の電池10のうち、第2正極端子板17Bは、モジュール容器2のうち長さ方向AHの一方側AH1の正極端子部材6に直接溶接し、第2負極端子板18Bは負極端子部材7に直接溶接している。また、図1において右端の電池10のうち、第1正極端子板17Aは、モジュール容器2のうち長さ方向AHの他方側AH2の正極端子部材6に直接溶接し、第1負極端子板18Aは負極端子部材7に直接溶接している。
【0045】
このように、本実施形態1の4端子電池10は、4端子電池10同士を容易にカケスケード状に接続できる。これにより、内蔵する複数の4端子電池10同士を容易に接続して、互いに並列接続した電池モジュール1を得ることができる。
しかも、本実施形態1では、バスバ等の内部接続のための部材を用いること無く、4端子電池10の端子板同士を直接接続するので、さらに部品点数を少なくでき、構成が簡単でより安価な電池モジュール1にできる。
【0046】
次いで本実施形態1の電池10及び電池モジュール1の製造について、図6のフローチャート等を用いて説明する。まず、未注液電池形成工程S1において、正極板12,負極板13,セパレータ14を捲回し扁平として電極体11を形成する。具体的には、この電極体11を電池ケース部材16D内に収容すると共に、正極端子板17A,17B及び負極端子板18A,18Bと接続し、電池ケース部材16Cを被せ、周縁部16CP,16DP同士を熱溶着して、電解液15が未注液の電池10を製造する。なお、未注液の電池10は、電池ケース16のうち周縁部16Pの一部(例えば、第1正極端子板17Aと第1負極端子板18Aとの間の部位、及び、第2正極端子板17Bと第2負極端子板18Bとの間の部位)を未封着としておき、次述する注液工程S2で、周縁部16Pの未封着部分(図示しない)を通じて電池ケース16内に電解液15を注液可能としておく。
【0047】
注液工程S2では、上述したように、電池ケース16の周縁部16Pの未封着部分を通じて電池ケース16内に電解液15を注液する。これにより、電極体11内に電解液15が含浸される。
【0048】
その後、初充電工程S3において、常温下で0.5C-CCCV充電(SOC90%)の条件で電池10に初充電を行う。その後、封止工程S4で、前述した電池ケース16の周縁部16Pの未封止部分を封止して、電池10を気密に封止する。
【0049】
さらに高温エージング工程S5では、60℃の環境下に20時間に亘り電池10を放置する。その後、検査工程S6で、短絡の有無などの検査を行い、電池10を完成する。
【0050】
電池群化工程S7では、完成した複数(本実施形態1では4個)の電池10を用い、一方の電池10の第1正極端子板17Aを、他方の電池10の第2正極端子板17Bにレーザ溶接により直接接続すると共に、一方の電池10の第1負極端子板18Aを、他方の電池10の第2負極端子板18Bにレーザ溶接により直接接続して、複数の電池10をカスケード状に並列接続する。かくして、図7に示す電池群5を形成する。
【0051】
一方、電池10および電池群5の製造に並行して、容器本体形成工程S8では、容器本体3を形成する(図10参照)。具体的には、図8に示すように、アルミニウム板(図示しない)から壁部材3Wを打ち抜き、安全弁部3WSを形成すると共に、正極端子部材6や負極端子部材7を挿通する貫通孔(図示しない)を形成する。次いで、別途形成しておいた正極端子部材6及び負極端子部材7を、上述の貫通孔内に挿通配置した状態で、射出成形により絶縁性樹脂(例えばPPS、ポリアミドなど)からなる絶縁部材8を形成する。かくして、絶縁部材8によって、正極端子部材6及び負極端子部材7と壁部材3Wとを絶縁しつつ、正極端子部材6及び負極端子部材7を壁部材3Wに固設した端子付き壁部材3TWを形成しておく。
【0052】
また別途、図9に示すように、アルミニウム板(図示しない)を屈曲して、長さ方向AHに長い矩形状の底部3Bと、この底部3Bの幅方向BHの両側からそれぞれ厚さ方向CHに立ち上がり長さ方向AHに長い矩形状の長側部3S1,3S2とを有する底側板部材3BSを形成しておく。
【0053】
そして、図10に示すように、底側板部材3BSのうち長さ方向AHの両端部分に、それぞれ端子付き壁部材3TWを溶接して、有底四角筒状の容器本体3を形成する。容器本体3は、長さ方向AHに長い矩形状の開口3Kを有している。
【0054】
また、蓋体形成工程S9では、容器本体3との製造と並行して、長さ方向AHに長い矩形平板状の蓋体4を形成しておく(図12参照)。
【0055】
そして、収容工程S10では、容器本体3内に電池群5を配置して収容する。次いで、端子接続工程S11で、電池群5のうち、長さ方向AHの両端に位置し、他の電池10と接続していない正極端子板17A,17B及び負極端子板18A,18Bを、容器本体3のうち長さ方向AHの両端に設けた正極端子部材6或いは負極端子部材7にレーザ溶接により直接溶接する。即ち、図11において左端の電池10のうち、第2正極端子板17Bを容器本体3のうち長さ方向AHの他方側AH2の正極端子部材6に直接溶接し、第2負極端子板18Bを負極端子部材7に直接溶接する。また、図11において右端の電池10のうち、第1正極端子板17Aを容器本体3のうち長さ方向AHの一方側AH1の正極端子部材6に直接溶接し、第1負極端子板18Aを負極端子部材7に直接溶接する。
【0056】
さらに、容器封止工程S12では、容器本体3の開口3Kを塞ぐように蓋体4を被せ、蓋体4の周縁部分を容器本体3に全周に亘りレーザ溶接して、気密に封止されたモジュール容器2を形成し、電池モジュール1を完成する。
【0057】
上述のように、本実施形態1では、初充電や封止を行った電池10を、予め互いに接続して電池群5を形成した後に、収容工程S10において容器本体3内に収容配置する製造手順で電池モジュール1を製造した。
【0058】
しかし、他の製造手順を採用することもできる。例えば、容器本体3内に未注液の電池10を複数配置し、相互に接続すると共に、容器本体3の正極端子部材6及び負極端子部材7とも接続する。その後に容器本体3内で各電池10に注液し、正極端子部材6及び負極端子部材7を通じて初充電を行い、その後、各電池10を封止する。さらに高温エージングを行った後に、容器本体3に蓋体4を被せ全周に亘り溶接し、モジュール容器2を封止して電池モジュール1を完成する。このような手順をも採用することができる。
【0059】
(変形形態1)
実施形態1では、4端子電池10およびこの電池10を4つ用いた電池モジュール1を示した(図1図2参照)。この4端子電池10は、正極端子板17A,17Bのいずれも幅方向BHの一方側BH1(図2において上側)に設け、負極端子板18A,18Bのいずれも幅方向BHの他方側BH2(図2において上側)に設けた形態を有する。
【0060】
これに対し、本変形形態1の電池110は、二対の正極端子板117A,117B及び負極端子板118A,118Bを有する点では、電池10と同様である。また、電池110は、電池10と同じ電池ケース16を用いる。但し、図13を参照すれば容易に理解できるように、電池110のうち、長さ方向AHの一方側AH1(図13において右側)に設ける第1正極端子板117Aは、幅方向BHの一方側BH1(図13において上側)に配置する。しかし、長さ方向AHの他方側AH2(図13において左側)に設ける第2正極端子板117Bは、電池10とは逆の幅方向BHの他方側BH2(図13において下側)に配置している。同様に、第1負極端子板18Aは、幅方向BHの他方側BH2(図13において下側)に配置しているが、第2負極端子板18Bは、幅方向BHの一方側BH1(図13において上側)に配置している。即ち、電池10とは、第2正極端子板117B及び第2負極端子板118Bの配置が逆転している。
【0061】
なお、上述のように正極端子板117A,117B及び負極端子板118A,118Bを配置可能とするべく、図4において破線で示すように、正極板112の正極集電箔112Fのうち、一方側正極タブ部112T1に対する他方側正極タブ部112T2の配置を、実施形態1の正極板12とは異ならせてある。同様に、図5において破線で示すように、負極板113の負極集電箔113Fのうち、一方側負極タブ部113T1に対する他方側負極タブ部113T2の配置を、実施形態1の負極板13とは異ならせてある。これにより、正極板112、負極板113、セパレータ14を捲回し扁平にした電極体111は、第1正極端子板117Aと対向する位置に一方側正極タブ部112T1が配置され、第2正極端子板117Bと対向する位置に他方側正極タブ部112T2が配置され、また、第1負極端子板118Aと対向する位置に一方側負極タブ部113T1が配置され、第2負極端子板118Bと対向する位置に他方側負極タブ部113T2が配置される形態となっている。
【0062】
そして本変形形態1の電池モジュール101でも、図14に示すように、4つの電池110をカスケード状に相互接続した電池群105を、実施形態1と同様のモジュール容器2内に収容し気密に封止してなる。
【0063】
本変形形態1の電池110(図13参照)でも、電極体111及び電解液15が、液絡防止樹脂フィルムからなる電池ケース16に収容され気密に封止されている。このため、電解液15が漏れ出したり電池ケース16を透過して滲み出し、電池10同士が電解液15を介して短絡する液絡(イオン的短絡)を防止することができる。しかも、電池ケース16が、ラミネートフィルムに比して安価な液絡防止樹脂フィルムからなるので、電池110を安価にすることができ、ひいては、この電池10を用いた電池モジュール101をも安価にすることができる。
【0064】
また、本変形形態1の電池モジュール101でも、アルミニウムからなるモジュール容器2が、電池群105をなす複数の電池110を内部に収容し気密に封止している。このため、モジュール容器2内への、従って、電池110周囲への水や水蒸気などの侵入が防止されている。かくして、各電池110の外装として、安価な液絡防止樹脂フィルムからなる電池ケース16を用いながらも、電池110内への水蒸気の侵入を防止でき、電池モジュール101をも安価にすることができる。
【0065】
(変形形態2)
実施形態1および変形形態1の電池モジュール1,101では、4端子電池10,110を用いると共に、モジュール容器2のうち、長さ方向AHの両側の壁部材3Wに、それぞれ一対の正極端子部材6及び負極端子部材7を設けた。
【0066】
これに対し、図15に示すように、本変形形態2の電池モジュール201では、4端子電池10を接続した電池群5を用いる点では、実施形態1の電池モジュール1と同様である。しかし、モジュール容器202のうち、長さ方向AHの一方側AH1(図15において右側)の壁部材203Wには負極端子部材7のみを、他方側AH2(図15において左側)の壁部材203Wには正極端子部材6のみを設けた点で、電池モジュール1とは異なる。
【0067】
但し、本変形形態2の電池モジュール201でも、正極端子部材6と負極端子部材7との間に、4つの電池10が電気的に並列に接続されている点は、実施形態1の電池モジュール1と同様である。正極端子部材6と負極端子部材7を一対のみ設けた電池モジュール201も、同様に電池モジュールとして用いることができる。
【0068】
本変形形態2の電池モジュール201でも、アルミニウムからなるモジュール容器202により、モジュール容器202内への、従って、電池10周囲への水や水蒸気などの侵入が防止されている。かくして、各電池10の外装として、安価な液絡防止樹脂フィルムからなる電池ケース16を用いながらも、電池10内への水蒸気の侵入を防止でき、電池モジュールをも安価にすることができる。
【0069】
なお、変形形態2では、正極端子部材6と負極端子部材7とを、長さ方向AHに大きく離間させて配置した。しかし、モジュール容器202のうち、長さ方向AHの一方側AH1の壁部材203Wにのみ、一対の正極端子部材6及び負極端子部材7を設けても良い。或いは逆に、長さ方向AHの他方側AH2の壁部材203Wにのみ、一対の正極端子部材6及び負極端子部材7を設けても良い。
また、電池群5をなす4つの電池10のうち、左端の電池10を第2負極端子板18Bを設けない3端子の電池に代え、また、右端の電池10を第1正極端子板17Aを設けない3端子の電池に代えても良い。
【0070】
(変形形態3)
実施形態1および変形形態1,2の電池モジュール1,101,201では、長さ方向AHに長い直方体状のモジュール容器2,202内に、複数の電池10,110を長さ方向AHに列置した電池群5,105を収容した。複数の電池の配置を他の形態とすることもできる。
【0071】
本変形形態3の電池モジュール301では、図16に示すように、複数(本変形形態3では3個)の電池10(図2参照)を、厚さ方向CHに積み重ね、各電池10の正極端子板17A,17B及び負極端子板18A,18Bを90度屈曲させてV字状とし相互に超音波溶接で接続して、電池群305を構成している。実施形態1の電池モジュール1で用いたモジュール容器2(図1参照)に比して、本変形形態3で用いるモジュール容器302は、長さ方向AHの寸法は短く、また厚さ方向CHの寸法は大きくされており、3個の電池10を積み重ねた電池群305を収容可能な長さ方向AHおよび厚さ方向CHの寸法とされている。実施形態1のモジュール容器2と同様、本変形形態3のモジュール容器302も、有底で矩形筒状の容器本体303と、容器本体303の矩形状の開口303Kを塞ぐ蓋体304とからなる。
【0072】
また、容器本体303は、長さ方向AHの両側にそれぞれ壁部材303Wを有している。実施形態1の容器本体3の壁部材3Wと同じく、壁部材303Wには、絶縁部材8を介して壁部材303Wと絶縁された一対の正極端子部材6及び負極端子部材7が形成されている。但し、長さ方向AHの一方側(図16において右側)の壁部材303Wでは、一対の正極端子部材6及び負極端子部材7は、厚さ方向CHの他方側CH2(図16において下側)に偏った位置に形成されている。一方、長さ方向AHの一方側(図16において左側)の壁部材303Wでは、一対の正極端子部材6及び負極端子部材7は、厚さ方向CHの一方側CH1(図16において上側)に偏った位置に形成されている。電池10との接続のためである。
【0073】
本変形形態3の電池モジュール301でも、正極端子部材6と負極端子部材7との間に、複数(本変形形態3では3つ)の電池10が電気的に並列に接続されている点は、実施形態1の電池モジュール1と同様である。
【0074】
加えて、本変形形態3の電池モジュール301でも、アルミニウムからなるモジュール容器302により、モジュール容器302内への、従って、電池10周囲への水や水蒸気などの侵入が防止されている。かくして、各電池10の外装として、安価な液絡防止樹脂フィルムからなる電池ケース16を用いながらも、電池10内への水蒸気の侵入を防止でき、電池モジュールをも安価にすることができる。
【0075】
なお、変形形態3では、実施形態1と同じ電池10(図2参照)を用いたが、電池10に代えて、変形形態1と同じ4端子電池110を用いるようにしても良い。
【0076】
(実施形態2)
実施形態1および変形形態1~3では、4端子電池10,110を電気的に並列に相互接続した電池群5,105,305をモジュール容器2,202,302に収容した電池モジュール1,101,201,301を示した。
【0077】
これに対し、本実施形態2の電池モジュール401(図17参照)は、正極端子部材6と負極端子部材7を一対(合計2個)のみ設けた2端子電池410(図18参照)を用い、複数(本実施形態2では4つ)の電池410を電気的に直列に接続した電池群405を用いる点で異なる。これに伴い、実施形態1のモジュール容器2と異なり、実施形態2のモジュール容器402では、長さ方向AHの一方側AH1に位置する壁部材403Wには、絶縁部材8を介して負極端子部材7のみを設けるほか、他方側AH2に位置する壁部材403Wには、絶縁部材8を介して正極端子部材6のみを設けてある。
【0078】
図18に示す本実施形態2の電池410は、実施形態1の電池10に用いたのと同じ電池ケース16を用いる。但し、電池410のうち、長さ方向AHの一方側AH1(図18において右側)には銅板からなる負極端子板418のみが設けられ、長さ方向AHの他方側AH2(図18において左側)にはアルミニウム板からなる正極端子板417のみが設けられている。
【0079】
詳細は説明しないが、上述のように正極端子板417及び負極端子板418を配置可能とするべく、電池410のうち電極体411を構成する正極板412には正極タブ部412Tのみ形成してある。同様に、負極板413には負極タブ部413Tのみ形成してある。これにより、正極板412、負極板413、セパレータ14を捲回し扁平にした電極体411のうち、長さ方向AHの一方側AH1(図18において右側)には、複数の負極タブ部413Tが集積されており、負極端子板418に溶接されている。また、長さ方向AHの他方側AH2(図18において左側)には複数の正極タブ部412Tが集積されており、正極端子板417に溶接されている。
【0080】
そして本実施形態2では、4つの電池410について、一方の電池410の正極端子板417と他方の電池410の負極端子板418とを直接に超音波溶接により接続して、電気的に直列に接続した電池群405を構成している。
異種金属であるアルミニウム板と銅板とを、スポット溶接など母材を溶融させて接続した場合には、溶融部分に脆い金属間化合物が生成されて溶接部分から破断が生じる場合がある。しかし本実施形態2では、上述のように、正極端子板417と負極端子板418とを、即ち、アルミニウム板と銅板とを超音波溶接によって接続しているので、アルミニウム板と銅板とが固相接合され、両者間に金属間化合物が生成されにくく、安定した接続を得ることができる。
【0081】
本実施形態2の電池410(図18参照)でも、電極体411及び電解液15が、液絡防止樹脂フィルムからなる電池ケース16に収容され気密に封止されている。このため、電池410同士の液絡を防止することができる。しかも、電池ケース16が、安価な液絡防止樹脂フィルムからなるので、電池410を安価にすることができ、ひいては、この電池410を用いた電池モジュール401をも安価にすることができる。
【0082】
また、本実施形態2の電池モジュール401でも、アルミニウムからなるモジュール容器402が、電池群405をなす複数の電池410を内部に収容し気密に封止している。このため、モジュール容器402内への、従って、電池410周囲への水や水蒸気などの侵入が防止されている。かくして、各電池410の外装として、安価な液絡防止樹脂フィルムからなる電池ケース16を用いながらも、電池410内への水蒸気の侵入を防止でき、電池モジュール401をも安価にすることができる。
しかも、この電池モジュール401では、一方の電池410の正極端子板417を、他方の電池410の負極端子板418に接続して、内蔵する4つの電池410を直列接続しており、構成が簡易で安価な電池モジュール401とすることができる。
【0083】
なお本実施形態2では、電池410のうち、長さ方向AHの一方側AH1に1つの負極端子板418を、長さ方向AHの他方側AH2に1つの正極端子板417を設けた電池を例示した。しかし、長さ方向AHの一方側AH1に2つ以上の負極端子板418を、長さ方向AHの他方側AH2に2つ以上の正極端子板417を設け、各電池を直列接続するようにしても良い。この場合には、各電池間をさらに低抵抗で接続することができる。
【0084】
以上において、本発明を実施形態1,2及び変形形態1~3に即して説明したが、本発明は実施形態等に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0085】
1,101,201,301,401 電池モジュール
2,202,302,402 モジュール容器(金属モジュール容器)
3,303,403 容器本体
3W,203W,303W,403W 壁部材
5,105,305,405 電池群
6 正極端子部材
7 負極端子部材
10,110 4端子電池(電池)
410 2端子電池(電池)
11,111,411 電極体
15 電解液(非水電解液)
16 電池ケース
16P 周縁部
17A 第1正極端子板(正極端子板,電極端子板)
17B 第2正極端子板(正極端子板,電極端子板)
417 正極端子板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18