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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141301
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/14 20060101AFI20241003BHJP
   D06F 21/06 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
D06F39/14
D06F21/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052870
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 敬彦
【テーマコード(参考)】
3B165
【Fターム(参考)】
3B165AA11
3B165AE01
3B165AE02
3B165BA48
3B165BA49
3B165BA50
3B165BA83
3B165CA01
3B165CA11
(57)【要約】
【課題】部材の継ぎ目を目立たなくして意匠性を向上させた上蓋を有する洗濯機を提供する。
【解決手段】洗濯機1は、少なくとも上側部材211および下側部材212を含む複数部材で構成された上蓋20を有する。上蓋20は、上蓋20の上面において開口して設けられ、開口の前方縁部の少なくとも一部に庇部分が形成された取っ手23を有する。平面視における上蓋20の外周縁の全体および取っ手23の開口縁の全体で、上側部材211が下側部材212を覆っている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも上側部材および下側部材を含む複数部材で構成された上蓋を有する洗濯機であって、
前記上蓋は、当該上蓋の上面において開口して設けられ、前記開口の前方縁部の少なくとも一部に庇部分が形成された取っ手を有し、
平面視における前記上蓋の外周縁の全体および前記取っ手の開口縁の全体で、前記上側部材が前記下側部材を覆っていることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯機であって、
前記庇部分で前記上側部材の下方に配置された補強部材を有し、
前記補強部材は、平面視で前記庇部分に合わせた形状とされ、
前記取っ手の前方縁部においては、前記上側部材が前記補強部材の側端面を覆っていることを特徴とする洗濯機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の洗濯機であって、
前記取っ手の開口内部は、前方から後方に向かって上がるような傾斜面を有しており、
前記傾斜面にラベルが貼られており、
前記ラベルの上端縁部が前記上側部材によって覆われていることを特徴とする洗濯機。
【請求項4】
請求項3に記載の洗濯機であって、
前記ラベルの左右方向の寸法は、前記取っ手の開口の左右方向の寸法よりも大きいことを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯機の上蓋において、意匠性を向上させる構造が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-181092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される上蓋においても、把手部の意匠性をより向上させるなどの改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、部材の継ぎ目を目立たなくして意匠性を向上させた上蓋を有する洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の洗濯は、少なくとも上側部材および下側部材を含む複数部材で構成された上蓋を有する洗濯機であって、前記上蓋は、当該上蓋の上面において開口して設けられ、前記開口の前方縁部の少なくとも一部に庇部分が形成された取っ手を有し、平面視における前記上蓋の外周縁の全体および前記取っ手の開口縁の全体で、前記上側部材が前記下側部材を覆っていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の洗濯機は、上蓋の意匠性を向上させている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の洗濯機の外観例を示す斜視図である。
図2】洗濯機の平面図である。
図3】蓋前部の分解斜視図である。
図4】蓋前部における取っ手を含む箇所の断面図である。
図5】蓋前部における取っ手を含む箇所の断面図である。
図6】蓋前部におけるラベルと取っ手開口との寸法関係を示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本開示の洗濯機1の外観例を示す斜視図である。洗濯機1は、衣類を含む物品(被洗濯物)の汚れを除去する機器全般をいうものとする。尚、本開示において、「衣類」とは、身に付けるものの総称であるものとする。
【0010】
図1に示すように、洗濯機1の外観は、主に筐体10と上蓋20とによって構成されている。上蓋20は、蓋前部21と蓋後部22とをヒンジ接続した折れ蓋方式の上蓋を例示している。蓋前部21には、ユーザが上蓋20を開くときに手指を掛けるための取っ手23が設けられている。取っ手23は、蓋前部21の上面において開口して設けられており、この開口の前方縁部に手指を掛けて上蓋20を持ち上げられるようになっている。
【0011】
本開示の洗濯機1は、特に、蓋前部21の構造において特徴を有する。以下、蓋前部21の構成について説明する。図2は、洗濯機1の平面図である。図3は、蓋前部21の分解斜視図である。図4は、蓋前部21における取っ手23を含む箇所の断面図(図2のA-A断面図)である。尚、特許請求の範囲に記載の「上蓋」とは、上蓋20の全体を指すものとは限らず、上蓋20の一部のパーツ(ユニット)を指す場合もある。本実施形態では、蓋前部21が特許請求の範囲に記載の「上蓋」に相当する。
【0012】
図3に示すように、蓋前部21は、上側部材211、下側部材212および補強部材213によって構成されている。上側部材211および下側部材212は、平面視において蓋前部21とほぼ同じ形状であり、上蓋20の厚み方向において積層される。上側部材211が上蓋20の上面側に配置され、下側部材212が上蓋20の下面側に配置される。補強部材213は、上側部材211と下側部材212との間に配置される。
【0013】
図2および図4に示すように、蓋前部21では、平面視における蓋前部21の外周縁の全体で上側部材211が下側部材212を覆っている。さらに、取っ手23の開口縁の全体でも上側部材211が下側部材212を覆っている。これにより、外部から視認しやすい蓋前部21の上面(蓋前部21の外周縁と取っ手23の開口縁との間の面)において、上側部材211と下側部材212との継ぎ目が無くなる。言い換えれば、蓋前部21における上面が、上側部材211のみによって形成される。その結果、上側部材211と下側部材212との継ぎ目を視認しにくくなり、上蓋20の意匠性が向上する。また、上側部材211と下側部材212との継ぎ目は、蓋前部21の上面以外(例えば下面)に形成されることとになり、この継ぎ目に埃や洗剤等が侵入しにくくなる。また仮に継ぎ目に埃や洗剤等が侵入しても上面からは視認されないため、上蓋20の見栄えを損ねることがない。
【0014】
また、上側部材211は、蓋前部21の外周縁のうち、少なくとも上蓋20の外周縁となる部分(蓋後部22と隣接する辺を除く部分)については、下側部材212の側端面をも完全に覆うことが好ましい。これにより、上側部材211と下側部材212との継ぎ目は、蓋前部21の側端面においても視認されなくなり、上蓋20の意匠性がさらに向上する。無論、上側部材211は、蓋前部21の外周縁のうち、蓋後部22と隣接する辺となる部分についても、下側部材212の側端面の全体もしくは大部分を覆っていてもよい。
【0015】
取っ手23は、基本的には、下側部材212における第1凹部231と、上側部材211における開口211aとによって形成される。第1凹部231は、下側部材212の上面において設けられ、取っ手23の内部空間を形成する。開口211aは、第1凹部231に手指を差し入れるための開口である。取っ手23の前方縁部の少なくとも一部では、第1凹部231の縁部よりも開口211aの縁部が後方に位置する。すなわち、取っ手23の前方縁部では、上側部材211の少なくとも一部が第1凹部231に対して庇となるように配置される。
【0016】
図3に示すように、本開示の洗濯機1では、第1凹部231の前方縁部には、前方側に窪んだ第2凹部232(図3参照)が形成されている。一方、開口211aの前方縁部は、ほぼ直線状に形成されている。これにより、取っ手23においては、第2凹部232の上方でのみ、上側部材211を庇とすることができる(上側部材211の一部を取っ手23の庇部分とすることができる)。ユーザが上蓋20を開ける場合には、第2凹部232内に手指を挿入し、取っ手23の庇部分に手指を掛けて蓋前部21を持ち上げることができる。
【0017】
ユーザが庇部分に手指を掛けて上蓋20を開ける場合、庇部分には上蓋20の荷重が掛かる。このとき、庇部分が上側部材211のみで形成されていると、上蓋20の荷重によって上側部材211に撓みが生じる虞がある。上側部材211に撓みが生じると、ユーザは上蓋20における堅牢感を感じることができない。尚、庇部分に堅牢感を与えるために上側部材211を肉厚に形成すると、樹脂部材である上側部材211において表面ヒケが生じやすくなる。また、上側部材211の裏面側に補強用リブを形成すると、蓋前部21を持ち上げるときにユーザの手指が補強用リブに触れてしまい、操作感が悪くなる。
【0018】
このため、本開示の洗濯機1は、庇部分を補強するための補強部材213を備えている。補強部材213は、庇部分において上側部材211の下方に配置される。すなわち、取っ手23の庇部分では、上側部材211に補強部材213を重ねて配置することで、上蓋20の堅牢感が得られる。尚、庇部分に補強部材213を配置する場合、取っ手23の前方縁部においては、上側部材211が補強部材213の側端面を覆うことが好ましい。これにより、上側部材211と補強部材213との継ぎ目が庇部分の裏面側となり、ユーザから視認しにくくなる。
【0019】
補強部材213は、平面視で取っ手23の庇部分にほぼ合わせた形状とされる。すなわち、補強部材213は、第2凹部232の上方のみをほぼ覆うように配置される。これにより、補強部材213は、最小限の部材とすることができ、かつ、形状も簡素化できるため、補強部材213のコスト低減を図ることができる。
【0020】
取っ手23の庇部分は、ユーザが蓋前部21を持ち上げるときに、4本の手指を差し入れることが可能な幅寸法(洗濯機1の左右方向寸法)を有していることが好ましい。また、庇部分を取っ手23の前方縁部の一部に設ける場合は、上蓋20の左右方向における中央箇所に設けることが好ましい。これにより、ユーザが上蓋20を開くときに、手指が上蓋20の中央箇所に自ずと導かれ、手指に掛かる重量のバランスが取れて上蓋20が開きやすくなる。
【0021】
家電製品では任意の面にデコレーションラベルを貼り付けることがあり、洗濯機では上蓋にデコレーションラベルを貼り付けることがある。デコレーションラベルとは、製品の意匠性を高める目的で貼られるラベルを指す。
【0022】
本開示の洗濯機1では、図5に示すように、取っ手23の内部(第1凹部231の底面)にデコレーションラベルとなるラベル24を貼り付けてもよい。ラベル24は、通常、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPC(ポリカーボネート)等の樹脂シートの裏面に両面テープ等による粘着層を設けることで形成される。
【0023】
第1凹部231の底面では、ラベル24を貼り付け箇所となる領域が、前方から後方に向かって上がるような傾斜面231aとされている。ラベル24は、傾斜面231aに貼り付けられることで、正面側のユーザから開口211aを介して視認しやすくなる。
【0024】
尚、傾斜面231aにおけるラベル24の貼付領域は、ラベル24の厚み程度分、周囲の領域よりも低くなるように、ラベル24の厚み程度分の段差を設けて形成されている。これにより、ラベル24の周囲は段差に囲まれ、ラベル24の端面に手指が掛かることなどによって端面が剥がれたり、端面に埃等が付着したりすることが抑制される。また、傾斜面231aにおけるラベル24の貼付領域(すなわち、段差の内側領域)のサイズは、実際のラベル24と同サイズにするのではなく、ラベル24のサイズよりも幾分大きくされることが好ましい。これにより、ラベル24の貼付時にずれにより、ラベル24の端部が段差に乗り上げることを抑制でき、ラベル24の貼付作業が容易となる。
【0025】
一方、ラベル24の貼付領域のサイズをラベル24のサイズよりも大きくすると、ラベル24の端部と段差との間に隙間が生じ、この隙間が視認されると上蓋20の見栄えが悪くなる。
【0026】
これに対し、本開示の取っ手23では、傾斜面231aに貼り付けられるラベル24の上端縁部が上側部材211によって覆われる。尚、このような構成は、下側部材212にラベル24を貼り付けた後、上側部材211がラベル24の上端縁部を覆うように蓋前部21を組み立てることで実現できる。
【0027】
これにより、特に視認されやすいラベル24の上端縁部において、ラベル24の端面に埃等が付着しにくくなる。また、仮に埃等が付着しても、上側部材211によって覆われているため、視認されない。さらに、ラベル24の上端縁部側では、ラベル24の端部が上側部材211によって覆われて視認されないため、段差との隙間が大きくなっても問題ない。このため、ラベル24の貼付作業を行うときには、下端縁部を基準として、すなわち、下端縁部におけるラベル24の端部と段差との隙間が極力小さくなるようにラベル24を下方に詰めて貼ることができる。これにより、下側の隙間を極力小さくすることで、見栄えの低下を抑制できる。
【0028】
取っ手23の後方縁部では、上側部材211が傾斜面231aの上に乗り上げて土手部を形成し、この土手部が取っ手23の意匠性を向上させる。さらに、取っ手23の意匠性を向上させるため、ラベル24は、例えば、後上側から前下側に向かって色が濃くなるようなグラデーションを有していてもよい。
【0029】
また、図6に示すように、ラベル24の左右方向の寸法L1は、開口211aの左右方向の寸法L2よりも大きい(L2>L1)ことが好ましい。これにより、ユーザが洗濯機1の正面側から取っ手23を見るとき、ラベル24の左右両側の端部も上側部材211によって隠されるため、左右両側におけるラベル24の端部と段差との隙間も目立たなくなり、埃等も付着しにくくなる。
【0030】
このとき、第1凹部231の左右方向の寸法が開口211aの左右方向の寸法よりも大きくなることから、取っ手23の左右両側の側方縁部では、上側部材211が軒を形成する(第1凹部231の上部に上側部材211が存在する)。
【0031】
さらに、ラベル24の表面が反射性を有するような場合、第1凹部231の前方縁部では、第2凹部232の側面が上方から視て緩やかな曲線に形成され、第2凹部232以外の側面となだらかに繋がる形状であることが好ましい。この場合、第2凹部232の領域と第2凹部232以外の領域との境界部分にエッジが形成されず、ラベル24にエッジが写り込むことを回避できる。
【0032】
上記説明の洗濯機1では、上蓋20として折れ蓋方式の上蓋を例示している。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、上記説明と同様の構成の取っ手23を有するものであれば、1枚物の上蓋であっても本発明は適用可能である。
【0033】
今回開示した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて定められる。
【符号の説明】
【0034】
1 洗濯機
20 上蓋
21 蓋前部
211 上側部材
211a 開口
212 下側部材
213 補強部材
23 取っ手
231 第1凹部
232 第2凹部
24 ラベル
図1
図2
図3
図4
図5
図6