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特開2024-141312通信システム、処理方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141312
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】通信システム、処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/04 20060101AFI20241003BHJP
   H03F 1/32 20060101ALI20241003BHJP
   H03F 3/24 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H04B1/04 R
H03F1/32 141
H03F3/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052891
(22)【出願日】2023-03-29
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/ポスト5G情報通信システムの開発/クロスホール向け大容量固定無線伝送システムの開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 治
【テーマコード(参考)】
5J500
5K060
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA41
5J500AC21
5J500AF17
5J500AK34
5J500AK41
5J500AM11
5J500NG03
5J500NG05
5J500NG06
5J500NH16
5K060BB07
5K060CC04
5K060CC12
5K060FF06
5K060HH06
5K060HH11
5K060KK06
5K060LL24
(57)【要約】
【課題】非線形歪みを補償するための係数の生成に入力される変調信号を直接使用せずに、送信信号である変調信号に含まれる非線形歪みを補償することのできる通信システムを提供する。
【解決手段】通信システムは、硬判定を行う判定手段の出力信号に基づいて生成した理想信号と、前記判定手段の入力信号とに基づいて、誤差信号を生成する第1生成手段と、前記誤差信号に基づいて、送信信号である変調信号に含まれる非線形歪みを補償するための補償係数を生成する第2生成手段と、前記補償係数に基づいて、前記非線形歪みを補償する補償手段と、を備える。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬判定を行う判定手段の出力信号に基づいて生成した理想信号と、前記判定手段の入力信号とに基づいて、誤差信号を生成する第1生成手段と、
前記誤差信号に基づいて、送信信号である変調信号に含まれる非線形歪みを補償するための補償係数を生成する第2生成手段と、
前記補償係数に基づいて、前記非線形歪みを補償する補償手段と、
を備える通信システム。
【請求項2】
第1装置、
を備え、
前記第1生成手段、前記第2生成手段、および前記補償手段は、
前記第1装置に備えられる、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記第1装置は、
前記送信信号を送信する自局装置または前記送信信号を受信する対向局装置である、
請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
第1装置と、
第2装置と、
を備え、
前記補償手段は、
前記第1装置に備えられ、
前記第1生成手段、および前記第2生成手段は、
前記第2装置に備えられる、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項5】
前記第1装置は、
前記送信信号を送信する自局装置であり、
前記第2装置は、
前記送信信号を受信する対向局装置である、
請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
前記出力信号に基づいて前記理想信号を生成する第3生成手段、
を備える請求項1に記載の通信システム。
【請求項7】
前記理想信号の整数乗を算出する算出手段、
を備える請求項1から請求項6の何れか一項に記載の通信システム。
【請求項8】
前記理想信号の周波数帯域を制限するフィルタリング手段、
を備える請求項1に記載の通信システム。
【請求項9】
硬判定を行う判定手段の出力信号に基づいて生成した理想信号と、前記判定手段の入力信号とに基づいて、誤差信号を生成し、
前記誤差信号に基づいて、送信信号である変調信号に含まれる非線形歪みを補償するための補償係数を生成し、
前記補償係数に基づいて、前記非線形歪みを補償する、
処理方法。
【請求項10】
硬判定を行う判定手段の出力信号に基づいて生成した理想信号と、前記判定手段の入力信号とに基づいて、誤差信号を生成することと、
前記誤差信号に基づいて、送信信号である変調信号に含まれる非線形歪みを補償するための補償係数を生成することと、
前記補償係数に基づいて、前記非線形歪みを補償することと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信システム、処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
さまざまな分野で通信技術が利用されている。特許文献1には、関連する技術として、送信信号の歪みを補償することのできる装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-160043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、通信システムでは、アンプが有する非線形性の特性などに起因して非線形歪みが発生する場合がある。送信信号である変調信号に含まれる非線形歪みを補償する場合、例えば、プリディストーション補償技術が用いられる。一般的なプリディストーション補償技術では、入力される変調信号を理想信号とし、その変調信号とフィードバックされた信号との差に基づいて、非線形歪みを補償するための係数が生成される。この場合、入力される変調信号とフィードバックされた信号とのタイミングの調整が必要となる。また、送信レートと受信レートとが異なる場合には、レート変換を行う必要もある。そのため、非線形歪みを補償するための係数の生成に入力される変調信号を直接使用せずに、送信信号である変調信号に含まれる非線形歪みを補償することのできる技術が求められている。
【0005】
本開示の各態様は、上記の課題を解決することのできる通信システム、処理方法、およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の一態様によれば、通信システムは、硬判定を行う判定手段の出力信号に基づいて生成した理想信号と、前記判定手段の入力信号とに基づいて、誤差信号を生成する第1生成手段と、前記誤差信号に基づいて、送信信号である変調信号に含まれる非線形歪みを補償するための補償係数を生成する第2生成手段と、前記補償係数に基づいて、前記非線形歪みを補償する補償手段と、を備える。
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の別の態様によれば、処理方法は、硬判定を行う判定手段の出力信号に基づいて生成した理想信号と、前記判定手段の入力信号とに基づいて、誤差信号を生成し、前記誤差信号に基づいて、送信信号である変調信号に含まれる非線形歪みを補償するための補償係数を生成し、前記補償係数に基づいて、前記非線形歪みを補償する。
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の別の態様によれば、プログラムは、硬判定を行う判定手段の出力信号に基づいて生成した理想信号と、前記判定手段の入力信号とに基づいて、誤差信号を生成することと、前記誤差信号に基づいて、送信信号である変調信号に含まれる非線形歪みを補償するための補償係数を生成することと、前記補償係数に基づいて、前記非線形歪みを補償することと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の各態様によれば、非線形歪みを補償するための係数の生成に入力される変調信号を直接使用せずに、送信信号である変調信号に含まれる非線形歪みを補償することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の第1実施形態による通信システムの構成の一例を示す図である。
図2】本開示の第1実施形態によるデジタルプリディストーション補償部の構成の一例を示す図である。
図3】本開示の第1実施形態における複素平面の一例を示す図である。
図4】本開示の第1実施形態による通信システムにおける主な信号の周波数帯域の一例を示す図である。
図5】本開示の第1実施形態による通信システムの処理フローの一例を示す図である。
図6】本開示の第2実施形態による通信システムの構成の一例を示す図である。
図7】本開示の第2実施形態による対向局装置の構成の一例を示す図である。
図8】本開示の第2実施形態の変形例による通信システムの構成の一例を示す図である。
図9】本開示の第2実施形態の変形例による対向局装置の構成の一例を示す図である。
図10】本開示の第3実施形態による通信システムの構成の一例を示す図である。
図11】本開示の第1~第3実施形態(変形例を含む)の変形例による係数更新部の構成の一例を示す図である。
図12】本開示の第1~第3実施形態(変形例を含む)の変形例による係数更新部の処理を説明するための図である。
図13】本開示の実施形態による通信システムの最小構成を示す図である。
図14】本開示の実施形態による最小構成の通信システムの処理フローの一例を示す図である。
図15】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
<第1実施形態>
(通信システムの構成)
本開示の第1実施形態による通信システム1について図面を参照して説明する。硬判定誤差に基づいて、後述する自局装置1aにおいて発生する非線形歪みを補償するシステムである。
【0012】
図1は、本開示の第1実施形態による通信システム1の構成の一例を示す図である。通信システム1は、図1に示すように、自局装置1aを備える。自局装置1aは、図1に示すように、送信変調器10a、送信アナログ部20a、フィードバック受信アナログ部30a、受信復調器40a、および係数更新部50aを備える。
【0013】
送信変調器10aは、自局装置1aにおいて主に後述するアンプ203に起因して発生する非線形歪みを補償する。送信変調器10aは、図1に示すように、デジタルプリディストーション補償部(以下、「DPD(Digital Pre-Distortion)補償部」と記載)101を備える。DPD補償部101は、送信信号に対して非線形歪みを打ち消す特性(以下、「逆特性」と記載)を与えるプリディストーション技術を用いて非線形歪みを補償する。例えば、DPD補償部101は、送信変調器10a内で生成したデジタル信号である変調信号を受ける。DPD補償部101は、係数更新部50aから受ける補償係数pに基づいて、自局装置1aにおいて発生する非線形歪みを打ち消すための逆特性を変調信号に与える。なお、変調信号は複素数で表現される信号である。
【0014】
図2は、本開示の第1実施形態によるDPD補償部101の構成の一例を示す図である。DPD補償部101は、図2に示すように、高調波算出部101a、乗算部101b、および合成部101cを備える。図2は、送信信号の3次高調波および5次高調波を補償する場合のDPD補償部101の構成を示している。
【0015】
高調波算出部101aは、図2に示すように、第1算出部101a1、および第2算出部101a2を備える。
【0016】
第1算出部101a1は、変調信号を受ける。第1算出部101a1は、受けた変調信号の3乗を算出することにより、変調信号の3次高調波を算出する。第1算出部101a1は、算出した3次高調波を乗算部101bに出力する。
【0017】
第2算出部101a2は、変調信号を受ける。第2算出部101a2は、受けた変調信号の5乗を算出することにより、変調信号の5次高調波を算出する。第2算出部101a2は、算出した5次高調波を乗算部101bに出力する。
【0018】
乗算部101bは、図2に示すように、第1乗算部101b1、第2乗算部101b2、および第3乗算部101b3を備える。
【0019】
第1乗算部101b1は、送信変調器10a内で生成した変調信号を受ける。また、第1乗算部101b1は、係数更新部50aから補償係数pの1つである変調信号を補償するための係数p1を受ける。係数p1の詳細については後述する。そして、第1乗算部101b1は、送信信号と係数p1とを乗算する。第1乗算部101b1は、乗算結果を合成部101cに出力する。
【0020】
第2乗算部101b2は、第1算出部101a1から3次高調波を受ける。また、第2乗算部101b2は、係数更新部50aから補償係数pの1つである3次高調波用の係数p3を受ける。係数p3の詳細については後述する。そして、第2乗算部101b2は、3次高調波と係数p3とを乗算する。第2乗算部101b2は、乗算結果を合成部101cに出力する。
【0021】
第3乗算部101b3は、第2算出部101a2から5次高調波を受ける。また、第3乗算部101b3は、係数更新部50aから補償係数pの1つである5次高調波用の係数p5を受ける。係数p5の詳細については後述する。そして、第3乗算部101b3は、5次高調波と係数p5とを乗算する。第3乗算部101b3は、乗算結果を合成部101cに出力する。
【0022】
合成部101cは、第1乗算部101b1、第2乗算部101b2、および第3乗算部101b3のそれぞれから乗算結果を受ける。合成部101cは、受けた3つの乗算結果を合成する。合成部101cによるこの合成の合成結果が逆特性を与えた変調信号である。合成部101cは、合成結果を送信アナログ部20aに出力する。
【0023】
送信アナログ部20aは、図1に示すように、D/A(Digital to Analog)コンバータ201、アップコンバータ202、およびアンプ203を備える。
【0024】
D/Aコンバータ201は、送信変調器10aから変調信号を受ける。D/Aコンバータ201は、受けた変調信号を、アナログ信号である変調信号に変換する。D/Aコンバータ201は、変換後の変調信号をアップコンバータ202に出力する。
【0025】
アップコンバータ202は、D/Aコンバータ201から変調信号を受ける。アップコンバータ202が受けた変調信号は、BB(Base Band)の周波数帯の信号である。アップコンバータ202は、変調信号の周波数帯をBBからRF(Radio Frequency)に変換する。アップコンバータ202は、変換後の変調信号をアンプ203に出力する。
【0026】
アンプ203は、アップコンバータ202から変調信号を受ける。アンプ203は、受けた変調信号を増幅する。アンプ203は、増幅後の変調信号とその非線形歪み成分を含む送信信号を、外部およびフィードバック受信アナログ部30aへ出力する。アンプ203は、例えば、パワーアンプである。
【0027】
フィードバック受信アナログ部30aは、図1に示すように、アンプ301、ダウンコンバータ302、およびA/D(Analog to Digital)コンバータ303を備える。
【0028】
アンプ301は、送信アナログ部20aが出力する送信信号を、受信信号として受ける。アンプ301は、受信信号を増幅する。アンプ301は、増幅後の受信信号をダウンコンバータ302に出力する。
【0029】
ダウンコンバータ302は、アンプ301から受信信号を受ける。ダウンコンバータ302が受けた受信信号は、RFの周波数帯の信号である。ダウンコンバータ302は、受信信号の周波数帯をRFからBBに変換する。ダウンコンバータ302は、変換後の受信信号をA/Dコンバータ303に出力する。
【0030】
A/Dコンバータ303は、ダウンコンバータ302から受信信号を受ける。A/Dコンバータ303が受ける受信信号は、アナログ信号である。A/Dコンバータ303は、受けた受信信号を、アナログ信号からデジタル信号に変換する。A/Dコンバータ303が、受信信号を、アナログ信号からデジタル信号に変換する際のサンプリング周波数は、シンボルレートのm倍の周波数である。なお、mは2以上の値である。A/Dコンバータ303は、変換後の受信信号を受信復調器40aに出力する。
【0031】
受信復調器40aは、図1に示すように、クロック再生/等化器401、および硬判定部402を備える。
【0032】
クロック再生/等化器401は、フィードバック受信アナログ部30aから受信信号を受ける。クロック再生/等化器401は、受けた受信信号の周波数特性を補正し、その受信信号である変調信号をクロック信号に同期させる。クロック再生/等化器401が、受信信号の周波数特性を補正し、その受信信号をシンボルクロックに同期させる処理を行うことにより、A/Dコンバータ303でオーバーサンプリングされた受信信号は、シンボルレートの受信信号に変換される。クロック再生/等化器401は、受信信号の周波数特性を補正し、その受信信号である変調信号をクロック信号に同期させる処理を行った後の受信信号を硬判定部402および係数更新部50aに出力する。
【0033】
硬判定部402は、クロック再生/等化器401から受信信号を受ける。硬判定部402は、受けた受信信号がどのような信号であるかを判定する。図3は、本開示の第1実施形態における複素平面の一例を示す図である。例えば、QPSK(Quadrature Phase-Shift Keying)変調方式が用いられ、図3に示すように、複素平面における第1象限に10、第2象限に00、第3象限に01、第4象限に11のビットがそれぞれ割り当てられているものとする。この場合、硬判定部402は、クロック再生/等化器401から受けた受信信号である変調信号を、デジタルのビットに変換する。この変換により、硬判定部402が出力する硬判定出力信号が00、01、10、11のいずれかのデジタルのビットとなる。そして、硬判定部402は、クロック再生/等化器401から受けた受信信号である変調信号が第1象限であれば、ビット10と判定する。また、硬判定部402は、クロック再生/等化器401から受けた受信信号である変調信号が第2象限であれば、ビット00と判定する。また、硬判定部402は、クロック再生/等化器401から受けた受信信号である変調信号が第3象限であれば、ビット01と判定する。また、硬判定部402は、クロック再生/等化器401から受けた受信信号である変調信号が第4象限であれば、ビット11と判定する。硬判定部402は、判定結果を係数更新部50aに出力する。
【0034】
係数更新部50aは、自局装置1aにおいて主にアンプ203に起因して発生する非線形歪みを補償する際に送信変調器10aが用いる補償係数pを生成する。係数更新部50aは、図1に示すように、誤差算出部501、マッピング部502、高調波算出部503、および補償係数更新部504を備える。係数更新部50aは、シンボルレートで動作する。
【0035】
誤差算出部501は、クロック再生/等化器401から受信信号を受ける。また、誤差算出部501は、マッピング部502から後述する理想信号dを受ける。そして、誤差算出部501は、理想信号dから受信信号を減算する。誤差算出部501は、減算結果を誤差信号eとして補償係数更新部504に出力する。なお、誤差信号eは、複素数である。
【0036】
マッピング部502は、受信復調器40aから、硬判定部402による判定結果を受ける。マッピング部502は、受けた判定結果を、変調方式に応じた信号点に置き替える。例えば、変調方式としてQPSK変調方式が用いられる場合、マッピング部502は、第1象限を示すビット10を示す判定結果を受けた場合、その判定結果を第1象限に対応する信号点(例えば、図3に示す信号点Pt1)に置き替える。また、マッピング部502は、第2象限を示すビット00を示す判定結果を受けた場合、その判定結果を第2象限に対応する信号点(例えば、図3に示す信号点Pt2)に置き替える。また、マッピング部502は、第3象限を示すビット01を示す判定結果を受けた場合、その判定結果を第3象限に対応する信号点(例えば、図3に示す信号点Pt3)に置き替える。また、マッピング部502は、第4象限を示すビット11を示す判定結果を受けた場合、その判定結果を第4象限に対応する信号点(例えば、図3に示す信号点Pt4)に置き替える。第1象限~第4象限それぞれに対応する信号点は、理想的な変調信号(すなわち、本当に送信しようとしていた振幅と位相を有する変調信号である、以下、「理想信号d」と記載)に相当する。そのため、マッピング部502は、判定結果を、複素平面上の第1象限~第4象限のいずれかに対応する信号点に置き替える処理を行うことにより、受けた受信信号を理想信号dに変換したことになる。なお、この理想信号dは、複素数である。そして、マッピング部502は、理想信号dを誤差算出部501、高調波算出部503、および補償係数更新部504に出力する。
【0037】
高調波算出部503は、第1算出部503a、および第2算出部503bを備える。高調波算出部503は、理想信号dをマッピング部502から受ける。高調波算出部503は、受けた理想信号dに基づいて、理想信号dの高調波を算出する。例えば、第1算出部503aは、理想信号dの3乗を算出することにより、理想信号dの3次高調波を算出したことになる。また、例えば、第2算出部503bは、理想信号dの5乗を算出することにより、理想信号dの5次高調波を算出したことになる。第1算出部503a、および第2算出部503bのそれぞれは、算出した理想信号dの高調波を補償係数更新部504に出力する。
【0038】
補償係数更新部504は、補償係数更新部504は、マッピング部502から理想信号dを受ける。また、補償係数更新部504は、高調波算出部503から理想信号dの高調波を受ける。また、補償係数更新部504は、誤差算出部501から誤差信号eを受ける。補償係数更新部504は、受けた理想信号dと、受けた理想信号dの高調波と、受けた誤差信号eとに基づいて、適応アルゴリズムを用いて、自局装置1aにおいて主にアンプ203に起因して発生する非線形歪みを補償する際に送信変調器10aが用いる補償係数pを生成する。
【0039】
例えば、適応アルゴリズムとしてLMS(Least Mean Square)が用いられ、1シンボルごとに補償係数pが更新される場合、補償係数更新部504は、係数p1を式(1)のように算出することにより生成する。また、補償係数更新部504は、係数p3を式(2)のように算出することにより算出する。また、補償係数更新部504は、係数p5を式(3)のように算出することにより生成する。
【0040】
【数1】
【0041】
【数2】
【0042】
【数3】
【0043】
ここで、kは0以上の整数である。μは下付き文字の係数に対応したステップサイズである。e*は誤差信号eの共役複素数である。
【0044】
また、例えば、適応アルゴリズムとしてブロックLMSが用いられ、Lシンボルごとに補償係数pが更新される場合、補償係数更新部504は、係数p1を式(4)のように算出することにより生成する。また、補償係数更新部504は、係数p3を式(5)のように算出することにより算出する。また、補償係数更新部504は、係数p5を式(6)のように算出することにより生成する。
【0045】
【数4】
【0046】
【数5】
【0047】
【数6】
【0048】
ここで、Lはブロック長を表す2以上の整数である。lはkからk+L-1までの整数である。
【0049】
そして、補償係数更新部504は、生成した係数p1、p3、p5を補償係数pとして、送信変調器10aに出力する。例えば、補償係数更新部504は、デジタルプリディストーションの技術を用いて処理を行う。
【0050】
図4は、本開示の第1実施形態による通信システム1における主な信号の周波数帯域の一例を示す図である。図4の(a)の部分は、送信アナログ部20aの出力信号の周波数帯域のイメージを示している。図4の(a)の部分に示すように、送信アナログ部20aの出力信号は、変調信号(図4では「元の変調波」と記載)と、その変調信号よりも周波数帯域の広い非線形歪み成分とを含む。
【0051】
図4の(b)の部分は、クロック再生/等化器401の出力信号の周波数帯域のイメージを示している。図4の(b)の部分に示すように、クロック再生/等化器401の出力信号は、変調信号と、変調信号と同程度の周波数帯域の広さの非線形歪み成分とを含む。図4の(c)の部分は、マッピング部502の出力信号(すなわち、理想信号d)の周波数帯域のイメージを示している。図4の(c)の部分に示すように、マッピング部502の出力信号は、変調信号(すなわち、理想信号d)を含む。
【0052】
図4の(d)の部分は、誤差算出部501の出力信号(すなわち、誤差信号e)の周波数帯域のイメージを示している。図4の(d)の部分に示すように、誤差算出部501の出力信号は、変調信号(すなわち、理想信号d)と同程度の周波数帯域の広さの非線形歪み成分(すなわち、誤差信号e)を含む。図4の(e)の部分は、第1算出部503aの出力信号の周波数帯域のイメージを示している。図4の(e)の部分に示すように、第1算出部503aの出力信号は、変調信号(すなわち、理想信号d)と同程度の周波数帯域の広さの非線形歪み成分(すなわち、誤差信号e)の3倍の周波数帯域の非線形歪み成分を含む。
【0053】
次に、本開示の第1実施形態による通信システム1が行う処理について説明する。図5は、本開示の第1実施形態による通信システム1の処理フローの一例を示す図である。ここでは、図5を参照して、通信システム1が行う、補償係数pを用いて送信アナログ部20aの出力信号に含まれる非線形歪み成分を補償する処理について説明する。
【0054】
アンプ203は、増幅後の変調信号とその非線形歪み成分を含む送信信号を、外部およびフィードバック受信アナログ部30aへ出力する。アンプ301は、送信アナログ部20aが出力する送信信号を、受信信号として受ける。アンプ301は、受信信号を増幅する。アンプ301は、増幅後の受信信号をダウンコンバータ302に出力する。
【0055】
ダウンコンバータ302は、アンプ301から受信信号を受ける。ダウンコンバータ302は、受信信号の周波数帯をRFからBBに変換する。ダウンコンバータ302は、変換後の受信信号をA/Dコンバータ303に出力する。
【0056】
A/Dコンバータ303は、ダウンコンバータ302から受信信号を受ける。A/Dコンバータ303は、受けた受信信号を、アナログ信号からデジタル信号に変換する。A/Dコンバータ303は、変換後の受信信号を受信復調器40aに出力する。
【0057】
クロック再生/等化器401は、フィードバック受信アナログ部30aから受信信号を受ける。クロック再生/等化器401は、受けた受信信号の周波数特性を補正し、その受信信号である変調信号をクロック信号に同期させる。クロック再生/等化器401は、受信信号の周波数特性を補正し、その受信信号である変調信号をクロック信号に同期させる処理を行った後の受信信号を硬判定部402および係数更新部50aに出力する。
【0058】
硬判定部402は、クロック再生/等化器401から受信信号を受ける。硬判定部402は、受けた受信信号がどのような信号であるかを判定する。例えば、QPSK(Quadrature Phase-Shift Keying)変調方式が用いられ、図3に示すように、複素平面における第1象限に10、第2象限に00、第3象限に01、第4象限に11のビットがそれぞれ割り当てられているものとする。この場合、硬判定部402は、クロック再生/等化器401から受けた受信信号である変調信号を、デジタルのビットに変換する。この変換により、硬判定部402が出力する硬判定出力信号が00、01、10、11のいずれかのデジタルのビットとなる。そして、硬判定部402は、クロック再生/等化器401から受けた受信信号である変調信号が第1象限であれば、ビット10と判定する。また、硬判定部402は、クロック再生/等化器401から受けた受信信号である変調信号が第2象限であれば、ビット00と判定する。また、硬判定部402は、クロック再生/等化器401から受けた受信信号である変調信号が第3象限であれば、ビット01と判定する。また、硬判定部402は、クロック再生/等化器401から受けた受信信号である変調信号が第4象限であれば、ビット11と判定する。硬判定部402は、判定結果を係数更新部50aに出力する。
【0059】
マッピング部502は、受信復調器40aから、硬判定部402による判定結果を受ける。マッピング部502は、受けた判定結果を、変調方式に応じた信号点に置き替える。すなわち、マッピング部502は、受けた受信信号を理想信号dに変換する(ステップS1)。そして、マッピング部502は、理想信号dを、誤差算出部501、高調波算出部503、および補償係数更新部504に出力する。
【0060】
誤差算出部501は、クロック再生/等化器401から受信信号を受ける。また、誤差算出部501は、マッピング部502から理想信号dを受ける。そして、誤差算出部501は、理想信号dから受信信号を減算することにより、誤差信号eを算出する(ステップS2)。誤差算出部501は、減算結果である誤差信号eを補償係数更新部504に出力する。
【0061】
高調波算出部503は、理想信号dをマッピング部502から受ける。高調波算出部503は、受けた理想信号dに基づいて、理想信号dの高調波を算出する(ステップS3)。例えば、第1算出部503aは、理想信号dの3乗を算出することにより、理想信号dの3次高調波を算出したことになる。また、例えば、第2算出部503bは、理想信号dの5乗を算出することにより、理想信号dの5次高調波を算出したことになる。第1算出部503a、および第2算出部503bのそれぞれは、算出した理想信号dの高調波を補償係数更新部504に出力する。
【0062】
補償係数更新部504は、マッピング部502から理想信号dを受ける。また、補償係数更新部504は、高調波算出部503から理想信号dの高調波を受ける。また、補償係数更新部504は、誤差算出部501から誤差信号eを受ける。補償係数更新部504は、受けた理想信号dと、受けた理想信号dの高調波と、受けた誤差信号eとに基づいて、適応アルゴリズムを用いて、自局装置1aにおいて主にアンプ203に起因して発生する非線形歪みを補償する際に送信変調器10aが用いる補償係数pを生成する(ステップS4)。そして、補償係数更新部504は、生成した係数p1、p3、p5を補償係数pとして、送信変調器10aに出力する。
【0063】
DPD補償部101は、送信信号に対して非線形歪みを打ち消す特性である逆特性を与えるプリディストーション技術を用いて非線形歪みを補償する。例えば、DPD補償部101は、送信変調器10a内で生成したデジタル信号である変調信号を受ける。DPD補償部101は、係数更新部50aから受ける補償係数pに基づいて、自局装置1aにおいて発生する非線形歪みを打ち消すための逆特性を変調信号に与える(ステップS5)。
【0064】
(利点)
以上、本開示の第1実施形態による通信システム1について説明した。通信システム1において、誤差算出部501(第1生成手段の一例)は、硬判定を行う硬判定部402(判定手段の一例)の出力信号に基づいて生成した理想信号dと、前記硬判定部402の入力信号とに基づいて、誤差信号eを生成する。補償係数更新部504(第2生成手段の一例)は、前記誤差信号eに基づいて、送信信号である変調信号に含まれる非線形歪みを補償するための補償係数pを生成する。DPD補償部101(補償手段の一例)は、前記補償係数pに基づいて、前記非線形歪みを補償する。
【0065】
この通信システム1により、非線形歪みを補償するための係数の生成に入力される変調信号を直接使用せずに、送信信号である変調信号に含まれる非線形歪みを補償することができる。
【0066】
<第2実施形態>
(通信システムの構成)
次に、本開示の第2実施形態による通信システム1について説明する。図6は、本開示の第2実施形態による通信システム1の構成の一例を示す図である。通信システム1は、図6に示すように、自局装置1a、および対向局装置1bを備える。自局装置1aは、図6に示すように、送信変調器10a、送信アナログ部20a、および受信機60aを備える。
【0067】
送信変調器10aは、本開示の第1実施形態による送信変調器10aと同様の構成である。送信アナログ部20aは、本開示の第1実施形態による送信アナログ部20aと同様の構成である。ただし、送信変調器10aは、受信機60aから補償係数pを受ける。また、送信アナログ部20aのアンプ203は、増幅後の変調信号とその非線形歪み成分を含む送信信号を、対向局装置1bへ送信する。
【0068】
受信機60aは、対向局装置1bから補償係数pを含む1フレームのデータを受信する。受信機60aは、受信した1フレームのデータにおいて補償係数pを特定する。受信機60aは、特定した補償係数pを送信変調器10aに出力する。
【0069】
図7は、本開示の第2実施形態による対向局装置1bの構成の一例を示す図である。対向局装置1bは、図7に示すように、受信アナログ部30b、受信復調器40b、係数更新部50b、および送信機60bを備える。
【0070】
受信アナログ部30bは、図7に示すように、本開示の第1実施形態によるフィードバック受信アナログ部30aと同様に、アンプ301、ダウンコンバータ302、およびA/Dコンバータ303を備える。
【0071】
アンプ301は、自局装置1aが送信する送信信号(すなわち、変調信号とその変調信号の非線形歪み成分を含む信号)を、受信信号として受ける。アンプ301は、受信信号を増幅する。アンプ301は、増幅後の受信信号をダウンコンバータ302に出力する。
【0072】
ダウンコンバータ302は、アンプ301から受信信号を受ける。ダウンコンバータ302が受けた受信信号は、RFの周波数帯の信号である。ダウンコンバータ302は、受信信号の周波数帯をRFからBBに変換する。ダウンコンバータ302は、変換後の受信信号をA/Dコンバータ303に出力する。
【0073】
A/Dコンバータ303は、ダウンコンバータ302から受信信号を受ける。A/Dコンバータ303が受ける受信信号は、アナログ信号である。A/Dコンバータ303は、受けた受信信号を、アナログ信号からデジタル信号に変換する。A/Dコンバータ303が、受信信号を、アナログ信号からデジタル信号に変換する際のサンプリング周波数は、シンボルレートのm倍の周波数である。なお、mは2以上の値である。A/Dコンバータ303は、変換後の受信信号を受信復調器40bに出力する。
【0074】
受信復調器40bは、図7に示すように、本開示の第1実施形態による受信復調器40aと同様に、クロック再生/等化器401、および硬判定部402を備える。
【0075】
クロック再生/等化器401は、受信アナログ部30bから受信信号を受ける。クロック再生/等化器401は、受けた受信信号の周波数特性を補正し、その受信信号である変調信号をクロック信号に同期させる。クロック再生/等化器401が、受信信号の周波数特性を補正し、その受信信号をシンボルクロックに同期させる処理を行うことにより、A/Dコンバータ303でオーバーサンプリングされた受信信号は、シンボルレートの受信信号に変換される。クロック再生/等化器401は、受信信号の周波数特性を補正し、その受信信号である変調信号をクロック信号に同期させる処理を行った後の受信信号を硬判定部402および係数更新部50bに出力する。
【0076】
硬判定部402は、クロック再生/等化器401から受信信号を受ける。硬判定部402は、受けた受信信号がどのような信号であるかを判定する。例えば、QPSK変調方式が用いられ、図3に示すように、複素平面における第1象限に10、第2象限に00、第3象限に01、第4象限に11のビットがそれぞれ割り当てられているものとする。この場合、硬判定部402は、クロック再生/等化器401から受けた受信信号である変調信号を、デジタルのビットに変換する。この変換により、硬判定部402が出力する硬判定出力信号が00、01、10、11のいずれかのデジタルのビットとなる。そして、硬判定部402は、クロック再生/等化器401から受けた受信信号である変調信号が第1象限であれば、ビット10と判定する。また、硬判定部402は、クロック再生/等化器401から受けた受信信号である変調信号が第2象限であれば、ビット00と判定する。また、硬判定部402は、クロック再生/等化器401から受けた受信信号である変調信号が第3象限であれば、ビット01と判定する。また、硬判定部402は、クロック再生/等化器401から受けた受信信号である変調信号が第4象限であれば、ビット11と判定する。硬判定部402は、判定結果を係数更新部50bに出力する。
【0077】
係数更新部50bは、自局装置1aにおいて主にアンプ203に起因して発生する非線形歪みを補償する際に送信変調器10aが用いる補償係数pを生成する。係数更新部50bは、図7に示すように、本開示の第1実施形態による係数更新部50aと同様に、誤差算出部501、マッピング部502、高調波算出部503、および補償係数更新部504を備える。係数更新部50bは、シンボルレートで動作する。
【0078】
誤差算出部501は、クロック再生/等化器401から受信信号を受ける。また、誤差算出部501は、マッピング部502から理想信号dを受ける。そして、誤差算出部501は、理想信号dから受信信号を減算する。誤差算出部501は、減算結果を誤差信号eとして補償係数更新部504に出力する。なお、誤差信号eは、複素数である。
【0079】
マッピング部502は、受信復調器40bから、硬判定部402による判定結果を受ける。マッピング部502は、受けた判定結果を、変調方式に応じた信号点に置き替える。例えば、変調方式としてQPSK変調方式が用いられる場合、マッピング部502は、第1象限を示すビット10を示す判定結果を受けた場合、その判定結果を第1象限に対応する信号点(例えば、図3に示す信号点Pt1)に置き替える。また、マッピング部502は、第2象限を示すビット00を示す判定結果を受けた場合、その判定結果を第2象限に対応する信号点(例えば、図3に示す信号点Pt2)に置き替える。また、マッピング部502は、第3象限を示すビット01を示す判定結果を受けた場合、その判定結果を第3象限に対応する信号点(例えば、図3に示す信号点Pt3)に置き替える。また、マッピング部502は、第4象限を示すビット11を示す判定結果を受けた場合、その判定結果を第4象限に対応する信号点(例えば、図3に示す信号点Pt4)に置き替える。第1象限~第4象限それぞれに対応する信号点は、理想的な変調信号(すなわち、本当に送信しようとしていた振幅と位相を有する変調信号である理想信号d)に相当する。そのため、マッピング部502は、判定結果を、複素平面上の第1象限~第4象限のいずれかに対応する信号点に置き替える処理を行うことにより、受けた受信信号を理想信号dに変換したことになる。なお、この理想信号dは、複素数である。そして、マッピング部502は、理想信号dを、誤差算出部501、高調波算出部503、および補償係数更新部504に出力する。
【0080】
高調波算出部503は、第1算出部503a、および第2算出部503bを備える。高調波算出部503は、理想信号dをマッピング部502から受ける。高調波算出部503は、受けた理想信号dに基づいて、理想信号dの高調波を算出する。例えば、第1算出部503aは、理想信号dの3乗を算出することにより、理想信号dの3次高調波を算出したことになる。また、例えば、第2算出部503bは、理想信号dの5乗を算出することにより、理想信号dの5次高調波を算出したことになる。第1算出部503a、および第2算出部503bのそれぞれは、算出した理想信号dの高調波を補償係数更新部504に出力する。
【0081】
補償係数更新部504は、マッピング部502から理想信号dを受ける。また、補償係数更新部504は、高調波算出部503から理想信号dの高調波を受ける。また、補償係数更新部504は、誤差算出部501から誤差信号eを受ける。補償係数更新部504は、受けた理想信号dと、受けた理想信号dの高調波と、受けた誤差信号eとに基づいて、適応アルゴリズムを用いて、自局装置1aにおいて主にアンプ203に起因して発生する非線形歪みを補償する際に送信変調器10aが用いる補償係数pを生成する。
【0082】
例えば、適応アルゴリズムとしてLMSが用いられ、1シンボルごとに補償係数pが更新される場合、補償係数更新部504は、係数p1を式(1)のように算出することにより生成する。また、補償係数更新部504は、係数p3を式(2)のように算出することにより算出する。また、補償係数更新部504は、係数p5を式(3)のように算出することにより生成する。
【0083】
また、例えば、適応アルゴリズムとしてブロックLMSが用いられ、Lシンボルごとに補償係数pが更新される場合、補償係数更新部504は、係数p1を式(4)のように算出することにより生成する。また、補償係数更新部504は、係数p3を式(5)のように算出することにより算出する。また、補償係数更新部504は、係数p5を式(6)のように算出することにより生成する。
【0084】
そして、補償係数更新部504は、生成した係数p1、p3、p5を補償係数pとして、送信機60bに出力する。例えば、補償係数更新部504は、デジタルプリディストーションの技術を用いて処理を行う。
【0085】
送信機60bは、係数更新部50bから補償係数pを受ける。送信機60bは、受けた補償係数pを含む1フレームのデータを生成する。送信機60bは、生成した1フレームのデータを自局装置1aに送信する。
【0086】
次に、本開示の第2実施形態による通信システム1が行う処理について説明する。ここでは、通信システム1が行う、補償係数pを用いて送信アナログ部20aの送信信号に含まれる非線形歪み成分を補償する処理について説明する。
【0087】
送信アナログ部20aのアンプ203は、増幅後の変調信号とその非線形歪み成分を含む送信信号を、対向局装置1bへ送信する。受信アナログ部30bのアンプ301は、自局装置1aが送信した送信信号を、受信信号として受ける。受信アナログ部30bのアンプ301は、受信信号を増幅する。受信アナログ部30bのアンプ301は、増幅後の受信信号を受信アナログ部30bのダウンコンバータ302に出力する。
【0088】
受信アナログ部30bのダウンコンバータ302は、受信アナログ部30bのアンプ301から受信信号を受ける。受信アナログ部30bのダウンコンバータ302は、受信信号の周波数帯をRFからBBに変換する。受信アナログ部30bのダウンコンバータ302は、変換後の受信信号を、受信アナログ部30bのA/Dコンバータ303に出力する。
【0089】
受信アナログ部30bのA/Dコンバータ303は、受信アナログ部30bのダウンコンバータ302から受信信号を受ける。受信アナログ部30bのA/Dコンバータ303は、受けた受信信号を、アナログ信号からデジタル信号に変換する。受信アナログ部30bのA/Dコンバータ303は、変換後の受信信号を受信復調器40bに出力する。
【0090】
受信復調器40bのクロック再生/等化器401は、受信アナログ部30bから受信信号を受ける。受信復調器40bのクロック再生/等化器401は、受けた受信信号の周波数特性を補正し、その受信信号である変調信号をクロック信号に同期させる。受信復調器40bのクロック再生/等化器401は、受信信号の周波数特性を補正し、その受信信号である変調信号をクロック信号に同期させる処理を行った後の受信信号を、受信復調器40bの硬判定部402および係数更新部50bに出力する。
【0091】
受信復調器40bの硬判定部402は、受信復調器40bのクロック再生/等化器401から受信信号を受ける。受信復調器40bの硬判定部402は、受けた受信信号がどのような信号であるかを判定する。例えば、QPSK変調方式が用いられ、図3に示すように、複素平面における第1象限に10、第2象限に00、第3象限に01、第4象限に11のビットがそれぞれ割り当てられているものとする。この場合、受信復調器40bの硬判定部402は、受信復調器40bのクロック再生/等化器401から受けた受信信号である変調信号を、デジタルのビットに変換する。この変換により、受信復調器40bの硬判定部402が出力する硬判定出力信号が00、01、10、11のいずれかのデジタルのビットとなる。そして、受信復調器40bの硬判定部402は、受信復調器40bのクロック再生/等化器401から受けた受信信号である変調信号が第1象限であれば、ビット10と判定する。また、受信復調器40bの硬判定部402は、受信復調器40bのクロック再生/等化器401から受けた受信信号である変調信号が第2象限であれば、ビット00と判定する。また、受信復調器40bの硬判定部402は、受信復調器40bのクロック再生/等化器401から受けた受信信号である変調信号が第3象限であれば、ビット01と判定する。また、受信復調器40bの硬判定部402は、受信復調器40bのクロック再生/等化器401から受けた受信信号である変調信号が第4象限であれば、ビット11と判定する。受信復調器40bの硬判定部402は、判定結果を係数更新部50bに出力する。
【0092】
そして、係数更新部50bでは、誤差算出部501、マッピング部502、高調波算出部503、および補償係数更新部504が、本開示の第1実施形態による誤差算出部501、マッピング部502、高調波算出部503、および補償係数更新部504と同様に、ステップS1~ステップS4の処理を行う。そして、係数更新部50bの補償係数更新部504は、生成した係数p1、p3、p5を補償係数pとして、送信機60bに出力する。
【0093】
送信機60bは、係数更新部50bから補償係数pを受ける。送信機60bは、受けた補償係数pを含む1フレームのデータを生成する。送信機60bは、生成した1フレームのデータを自局装置1aに送信する。
【0094】
受信機60aは、対向局装置1bから補償係数pを含む1フレームのデータを受信する。受信機60aは、受信した1フレームのデータにおいて補償係数pを特定する。受信機60aは、特定した補償係数pを自局装置1aに出力する。
【0095】
送信変調器10aのDPD補償部101は、送信信号に対して非線形歪みを打ち消す特性である逆特性を与えるプリディストーション技術を用いて非線形歪みを補償する。例えば、送信変調器10aのDPD補償部101は、送信変調器10a内で生成したデジタル信号である変調信号を受ける。送信変調器10aのDPD補償部101は、対向局装置1bから受ける補償係数pに基づいて、自局装置1aにおいて発生する非線形歪みを打ち消すための逆特性を変調信号に与える。
【0096】
(利点)
以上、本開示の第2実施形態による通信システム1について説明した。通信システム1の対向局装置1bにおいて、誤差算出部501(第1生成手段の一例)は、硬判定を行う硬判定部402(判定手段の一例)の出力信号に基づいて生成した理想信号dと、前記硬判定部402の入力信号とに基づいて、誤差信号eを生成する。補償係数更新部504(第2生成手段の一例)は、前記誤差信号eに基づいて、送信信号である変調信号に含まれる非線形歪みを補償するための補償係数pを生成する。自局装置1aのDPD補償部101(補償手段の一例)は、前記補償係数pに基づいて、前記非線形歪みを補償する。
【0097】
この通信システム1により、対向局装置1bで生成した補償係数pを自局装置1aにおいて使用することにより、非線形歪みを補償するための係数の生成に入力される変調信号を直接使用せずに、送信信号である変調信号に含まれる非線形歪みを補償することができる。
【0098】
<第2実施形態の変形例>
(通信システムの構成)
次に、本開示の第2実施形態の変形例による通信システム1について説明する。図8は、本開示の第2実施形態の変形例による通信システム1の構成の一例を示す図である。通信システム1は、図8に示すように、自局装置1a、および対向局装置1bを備える。自局装置1aは、図8に示すように、送信変調器10a、送信アナログ部20a、受信機60a、およびDPD補償係数更新部70aを備える。
【0099】
送信変調器10aは、本開示の第2実施形態による送信変調器10aと同様の構成である。送信アナログ部20aは、本開示の第2実施形態による送信アナログ部20aと同様の構成である。受信機60aは、本開示の第2実施形態による受信機60aと同様の構成である。ただし、送信変調器10aは、DPD補償係数更新部70aから補償係数pを受ける。また、受信機60aは、対向局装置1bから補償係数更新量Δpを含む1フレームのデータを受信する。また、受信機60aは、受信した1フレームのデータにおいて補償係数更新量Δpを特定する。また、受信機60aは、特定した補償係数更新量ΔpをDPD補償係数更新部70aに出力する。
【0100】
DPD補償係数更新部70aは、受信機60aから補償係数更新量Δpを含む1フレームのデータを受信する。DPD補償係数更新部70aは、受信した1フレームのデータにおいて補償係数更新量Δpを特定する。DPD補償係数更新部70aは、特定した補償係数更新量Δpに基づいて、補償係数pを生成する。
【0101】
例えば、適応アルゴリズムとしてブロックLMSが用いられ、Lシンボルごとに補償係数更新量Δpが更新される場合、DPD補償係数更新部70aは、特定した補償係数更新量ΔpのうちのΔp1を用いて、式(7)に示す演算を行うことにより、係数p1を生成する。また、DPD補償係数更新部70aは、特定した補償係数更新量ΔpのうちのΔp3を用いて、式(8)に示す演算を行うことにより、係数p3を生成する。また、DPD補償係数更新部70aは、特定した補償係数更新量ΔpのうちのΔp5を用いて、式(9)に示す演算を行うことにより、係数p5を生成する。
【0102】
【数7】
【0103】
【数8】
【0104】
【数9】
【0105】
そして、DPD補償係数更新部70aは、生成した係数p1、p3、p5を補償係数pとして、送信変調器10aに出力する。
【0106】
図9は、本開示の第2実施形態の変形例による対向局装置1bの構成の一例を示す図である。対向局装置1bは、図9に示すように、受信アナログ部30b、受信復調器40b、係数更新部50b、および送信機60bを備える。対向局装置1bは、本開示の第2実施形態による対向局装置1bと、係数更新部50bおよび送信機60bが異なる。
【0107】
係数更新部50bは、自局装置1aにおいて主にアンプ203に起因して発生する非線形歪みを補償する際に送信変調器10aが用いる補償係数更新量Δpを生成する。係数更新部50は、図9に示すように、本開示の第2実施形態による係数更新部50bと同様に、誤差算出部501、マッピング部502、高調波算出部503、および補償係数更新部504を備える。係数更新部50bは、シンボルレートで動作する。
【0108】
誤差算出部501、マッピング部502、および高調波算出部503のそれぞれは、本開示の第2実施形態による誤差算出部501、マッピング部502、および高調波算出部503のそれぞれと同様の処理を行う。
【0109】
補償係数更新部504は、高調波算出部503から理想信号dの高調波を受ける。また、補償係数更新部504は、誤差算出部501から誤差信号eを受ける。補償係数更新部504は、受けた理想信号dの高調波と、受けた誤差信号eとに基づいて、適応アルゴリズムを用いて、自局装置1aにおいて主にアンプ203に起因して発生する非線形歪みを補償する際に送信変調器10aが用いる補償係数更新量Δpを生成する。
【0110】
例えば、適応アルゴリズムとしてブロックLMSが用いられ、Lシンボルごとに補償係数更新量Δpが更新される場合、補償係数更新部504は、式(10)に示す演算を行うことにより、係数Δp1を生成する。また、補償係数更新部504は、式(11)に示す演算を行うことにより、係数Δp3を生成する。また、補償係数更新部504は、式(12)に示す演算を行うことにより、係数Δp5を生成する。そして、補償係数更新部504は、生成した係数Δp1、Δp3、Δp5を補償係数更新量Δpとして、送信機60bに出力する。例えば、補償係数更新部504は、デジタルプリディストーションの技術を用いて処理を行う。
【0111】
【数10】
【0112】
【数11】
【0113】
【数12】
【0114】
送信機60bは、係数更新部50bから補償係数更新量Δpを受ける。送信機60bは、受けた補償係数更新量Δpを含む1フレームのデータを生成する。送信機60bは、生成した1フレームのデータを自局装置1aに送信する。
【0115】
次に、本開示の第2実施形態の変形例による通信システム1が行う処理について説明する。ここでは、通信システム1が行う、補償係数更新量Δpを用いて送信アナログ部20aの送信信号に含まれる非線形歪み成分を補償する処理について説明する。
【0116】
送信アナログ部20aのアンプ203は、増幅後の変調信号とその非線形歪み成分を含む送信信号を、対向局装置1bへ送信する。受信アナログ部30bのアンプ301は、自局装置1aが送信した送信信号を、受信信号として受ける。受信アナログ部30bのアンプ301は、受信信号を増幅する。受信アナログ部30bのアンプ301は、増幅後の受信信号を受信アナログ部30bのダウンコンバータ302に出力する。
【0117】
受信アナログ部30bのダウンコンバータ302は、受信アナログ部30bのアンプ301から受信信号を受ける。受信アナログ部30bのダウンコンバータ302は、受信信号の周波数帯をRFからBBに変換する。受信アナログ部30bのダウンコンバータ302は、変換後の受信信号を、受信アナログ部30bのA/Dコンバータ303に出力する。
【0118】
受信アナログ部30bのA/Dコンバータ303は、受信アナログ部30bのダウンコンバータ302から受信信号を受ける。受信アナログ部30bのA/Dコンバータ303は、受けた受信信号を、アナログ信号からデジタル信号に変換する。受信アナログ部30bのA/Dコンバータ303は、変換後の受信信号を受信復調器40bに出力する。
【0119】
受信復調器40bのクロック再生/等化器401は、受信アナログ部30bから受信信号を受ける。受信復調器40bのクロック再生/等化器401は、受けた受信信号の周波数特性を補正し、その受信信号である変調信号をクロック信号に同期させる。受信復調器40bのクロック再生/等化器401は、受信信号の周波数特性を補正し、その受信信号である変調信号をクロック信号に同期させる処理を行った後の受信信号を、受信復調器40bの硬判定部402および係数更新部50bに出力する。
【0120】
受信復調器40bの硬判定部402は、受信復調器40bのクロック再生/等化器401から受信信号を受ける。受信復調器40bの硬判定部402は、受けた受信信号がどのような信号であるかを判定する。例えば、QPSK変調方式が用いられ、図3に示すように、複素平面における第1象限に10、第2象限に00、第3象限に01、第4象限に11のビットがそれぞれ割り当てられているものとする。この場合、受信復調器40bの硬判定部402は、受信復調器40bのクロック再生/等化器401から受けた受信信号である変調信号を、デジタルのビットに変換する。この変換により、受信復調器40bの硬判定部402が出力する硬判定出力信号が00、01、10、11のいずれかのデジタルのビットとなる。そして、受信復調器40bの硬判定部402は、受信復調器40bのクロック再生/等化器401から受けた受信信号である変調信号が第1象限であれば、ビット10と判定する。また、受信復調器40bの硬判定部402は、受信復調器40bのクロック再生/等化器401から受けた受信信号である変調信号が第2象限であれば、ビット00と判定する。また、受信復調器40bの硬判定部402は、受信復調器40bのクロック再生/等化器401から受けた受信信号である変調信号が第3象限であれば、ビット01と判定する。また、受信復調器40bの硬判定部402は、受信復調器40bのクロック再生/等化器401から受けた受信信号である変調信号が第4象限であれば、ビット11と判定する。受信復調器40bの硬判定部402は、判定結果を係数更新部50bに出力する。
【0121】
そして、係数更新部50bでは、誤差算出部501、マッピング部502、高調波算出部503、および補償係数更新部504が、本開示の第1実施形態による誤差算出部501、マッピング部502、高調波算出部503、および補償係数更新部504と同様に、ステップS1~ステップS3の処理を行う。
【0122】
補償係数更新部504は、高調波算出部503から理想信号dの高調波を受ける。また、補償係数更新部504は、誤差算出部501から誤差信号eを受ける。補償係数更新部504は、受けた理想信号dの高調波と、受けた誤差信号eとに基づいて、適応アルゴリズムを用いて、自局装置1aにおいて主にアンプ203に起因して発生する非線形歪みを補償する際に送信変調器10aが用いる補償係数更新量Δpを生成する。
【0123】
例えば、適応アルゴリズムとしてブロックLMSが用いられ、Lシンボルごとに補償係数更新量Δpが更新される場合、補償係数更新部504は、式(10)に示す演算を行うことにより、係数Δp1を生成する。また、補償係数更新部504は、式(11)に示す演算を行うことにより、係数Δp3を生成する。また、補償係数更新部504は、式(12)に示す演算を行うことにより、係数Δp5を生成する。そして、補償係数更新部504は、生成した係数Δp1、Δp3、Δp5を補償係数更新量Δpとして、送信機60bに出力する。
【0124】
送信機60bは、係数更新部50bから補償係数更新量Δpを受ける。送信機60bは、受けた補償係数更新量Δpを含む1フレームのデータを生成する。送信機60bは、生成した1フレームのデータを自局装置1aに送信する。
【0125】
受信機60aは、対向局装置1bから補償係数更新量Δpを含む1フレームのデータを受信する。また、受信機60aは、受信した1フレームのデータにおいて補償係数更新量Δpを特定する。また、受信機60aは、特定した補償係数更新量ΔpをDPD補償係数更新部70aに出力する。
【0126】
DPD補償係数更新部70aは、受信機60aから補償係数更新量Δpを含む1フレームのデータを受信する。DPD補償係数更新部70aは、受信した1フレームのデータにおいて補償係数更新量Δpを特定する。DPD補償係数更新部70aは、特定した補償係数更新量Δpに基づいて、補償係数pを生成する。
【0127】
例えば、適応アルゴリズムとしてブロックLMSが用いられ、Lシンボルごとに補償係数更新量Δpが更新される場合、DPD補償係数更新部70aは、特定した補償係数更新量ΔpのうちのΔp1を用いて、式(7)に示す演算を行うことにより、係数p1を生成する。また、DPD補償係数更新部70aは、特定した補償係数更新量ΔpのうちのΔp3を用いて、式(8)に示す演算を行うことにより、係数p3を生成する。また、DPD補償係数更新部70aは、特定した補償係数更新量ΔpのうちのΔp5を用いて、式(9)に示す演算を行うことにより、係数p5を生成する。
【0128】
そして、DPD補償係数更新部70aは、生成した係数p1、p3、p5を補償係数pとして、送信変調器10aに出力する。
【0129】
DPD補償部101は、送信信号に対して非線形歪みを打ち消す特性である逆特性を与えるプリディストーション技術を用いて非線形歪みを補償する。例えば、DPD補償部101は、送信変調器10a内で生成したデジタル信号である変調信号を受ける。DPD補償部101は、DPD補償係数更新部70aから受ける補償係数pに基づいて、自局装置1aにおいて発生する非線形歪みを打ち消すための逆特性を変調信号に与える。
【0130】
(利点)
以上、本開示の第2実施形態の変形例による通信システム1について説明した。通信システム1の対向局装置1bにおいて、誤差算出部501(第1生成手段の一例)は、硬判定を行う硬判定部402(判定手段の一例)の出力信号に基づいて生成した理想信号dと、前記硬判定部402の入力信号とに基づいて、誤差信号eを生成する。補償係数更新部504(第2生成手段の一例)は、前記誤差信号eに基づいて、送信信号である変調信号に含まれる非線形歪みを補償するための補償係数更新量Δpを生成する。自局装置1aのDPD補償係数更新部70a(第3生成手段の一例)は、前記補償係数更新量Δpに基づいて、前記補償係数pを生成する。DPD補償部101(補償手段の一例)は、前記補償係数pに基づいて、前記非線形歪みを補償する。
【0131】
本開示の第2実施形態の通信システム1において、自局装置1aと対向局装置1bとの通信が停止した場合、補償係数pそのものが存在しなくなるため、補償係数pの変化が大きい。それに比べて、この通信システム1では、前回の補償係数pはそのまま存在し、Δpの変化が反映されなくなるだけである。そのため、この通信システム1により、本開示の第2実施形態の通信システム1に比べて、補償係数pの急激な変化を抑制することができる。
【0132】
<第3実施形態>
(通信システムの構成)
次に、本開示の第3実施形態による通信システム1について説明する。図10は、本開示の第3実施形態による通信システム1の構成の一例を示す図である。通信システム1は、図10に示すように、対向局装置1bを備える。対向局装置1bは、図10に示すように、受信アナログ部30b、係数更新部50b、および受信復調器70bを備える。
【0133】
受信アナログ部30bは、本開示の第2実施形態による受信アナログ部30bと同様の構成である。係数更新部50bは、本開示の第2実施形態による係数更新部50bと同様の構成である。ただし、受信アナログ部30bのA/Dコンバータ303は、変換後の受信信号を受信復調器70bに出力する。また、係数更新部50bの誤差算出部501は、受信復調器70bのクロック再生/等化器401から受信信号を受ける。また、係数更新部50bのマッピング部502は、受信復調器70bから、硬判定部402による判定結果を受ける。また、係数更新部50bの補償係数更新部504は、生成した係数p1、p3、p5を補償係数pとして、受信復調器70bに出力する。なお、補償係数更新部504は、第1実施形態および第2実施形態(変形例を含む)による補償係数更新部504と異なり、非線形歪みの主な原因であるアンプの後段でその非線形歪みを補償するポストディストーションの技術を用いて処理を行う。
【0134】
受信復調器70bは、図10に示すように、クロック再生/等化器401、硬判定部402、および非線形歪み補償部403を備える。
【0135】
クロック再生/等化器401は、非線形歪み補償部403により受信信号を受ける。クロック再生/等化器401は、受けた受信信号の周波数特性を補正し、その受信信号である変調信号をクロック信号に同期させる。クロック再生/等化器401が、受信信号の周波数特性を補正し、その受信信号をシンボルクロックに同期させる処理を行うことにより、A/Dコンバータ303でオーバーサンプリングされた受信信号は、シンボルレートの受信信号に変換される。クロック再生/等化器401は、受信信号の周波数特性を補正し、その受信信号である変調信号をクロック信号に同期させる処理を行った後の受信信号を硬判定部402および係数更新部50bに出力する。硬判定部402は、本開示の第2実施形態による硬判定部402と同様の処理を行う。
【0136】
非線形歪み補償部403は、係数更新部50bから補償係数pを受ける。非線形歪み補償部403は、受けた補償係数pに基づいて、受信信号における非線形歪みを補償する。非線形歪み補償部403は、補償後の受信信号をクロック再生/等化器401に出力する。
【0137】
次に、本開示の第3実施形態による通信システム1が行う処理について説明する。ここでは、通信システム1が行う、補償係数pを用いて対向局装置1bの受信信号に含まれる非線形歪み成分を補償する処理について説明する。
【0138】
受信アナログ部30bのアンプ301は、外部から受信信号として受ける。アンプ301は、受信信号を増幅する。アンプ301は、増幅後の受信信号を受信アナログ部30bのダウンコンバータ302に出力する。
【0139】
ダウンコンバータ302は、アンプ301から受信信号を受ける。ダウンコンバータ302は、受信信号の周波数帯をRFからBBに変換する。ダウンコンバータ302は、変換後の受信信号を、受信アナログ部30bのA/Dコンバータ303に出力する。
【0140】
A/Dコンバータ303は、ダウンコンバータ302から受信信号を受ける。A/Dコンバータ303は、受けた受信信号を、アナログ信号からデジタル信号に変換する。A/Dコンバータ303は、変換後の受信信号を受信復調器40bに出力する。
【0141】
受信復調器40bの非線形歪み補償部403は、受信アナログ部30bから受信信号を受ける。また、非線形歪み補償部403は、係数更新部50bから補償係数pを受ける。非線形歪み補償部403は、受けた補償係数pに基づいて、受信信号における非線形歪みを補償する。非線形歪み補償部403は、補償後の受信信号をクロック再生/等化器401に出力する。
【0142】
受信復調器40bのクロック再生/等化器401は、非線形歪み補償部403から受信信号を受ける。クロック再生/等化器401は、受けた受信信号の周波数特性を補正し、その受信信号である変調信号をクロック信号に同期させる。受信復調器40bのクロック再生/等化器401は、受信信号の周波数特性を補正し、その受信信号である変調信号をクロック信号に同期させる処理を行った後の受信信号を、受信復調器40bの硬判定部402および係数更新部50bに出力する。
【0143】
受信復調器70bの硬判定部402は、受信復調器70bのクロック再生/等化器401から受信信号を受ける。受信復調器70bの硬判定部402は、受けた受信信号がどのような信号であるかを判定する。例えば、QPSK変調方式が用いられ、図3に示すように、複素平面における第1象限に10、第2象限に00、第3象限に01、第4象限に11のビットがそれぞれ割り当てられているものとする。この場合、受信復調器70bの硬判定部402は、受信復調器70bのクロック再生/等化器401から受けた受信信号である変調信号を、デジタルのビットに変換する。この変換により、受信復調器70bの硬判定部402が出力する硬判定出力信号が00、01、10、11のいずれかのデジタルのビットとなる。そして、受信復調器70bの硬判定部402は、受信復調器70bのクロック再生/等化器401から受けた受信信号である変調信号が第1象限であれば、ビット10と判定する。また、受信復調器70bの硬判定部402は、受信復調器70bのクロック再生/等化器401から受けた受信信号である変調信号が第2象限であれば、ビット00と判定する。また、受信復調器70bの硬判定部402は、受信復調器70bのクロック再生/等化器401から受けた受信信号である変調信号が第3象限であれば、ビット01と判定する。また、受信復調器70bの硬判定部402は、受信復調器70bのクロック再生/等化器401から受けた受信信号である変調信号が第4象限であれば、ビット11と判定する。受信復調器70bの硬判定部402は、判定結果を係数更新部50bに出力する。
【0144】
そして、係数更新部50bでは、誤差算出部501、マッピング部502、高調波算出部503、および補償係数更新部504が、本開示の第1実施形態による誤差算出部501、マッピング部502、高調波算出部503、および補償係数更新部504と同様に、ステップS1~ステップS4の処理を行う。そして、係数更新部50bの補償係数更新部504は、生成した係数p1、p3、p5を補償係数pとして、非線形歪み補償部403に出力する。
【0145】
(利点)
以上、本開示の第3実施形態による通信システム1について説明した。通信システム1において、非線形歪み補償部403は、係数更新部50bが生成した補償係数pに基づいて、受信信号における非線形歪みを補償する。この通信システム1により、対向局装置1bにおける受信信号の非線形歪みを補償することができる。
【0146】
<本開示の第1~第3実施形態(変形例を含む)の変形例>
本開示の第1~第3実施形態(変形例を含む)による係数更新部50a、50bでは、第1算出部503aが出力する信号の周波数帯域は、シンボルレートの理想信号dの周波数帯域の3倍の周波数帯域となる。また、第2算出部503bが出力する信号の周波数帯域は、シンボルレートの理想信号dの周波数帯域の5倍の周波数帯域となる。そのため、高調波算出部503が出力する周波数帯域がシンボルレートの周波数帯域に収まらず(例えば、図4の(e)の部分に示す周波数帯域が、シンボルレートの周波数帯域に収まらない可能性がある。
【0147】
図11は、本開示の第1~第3実施形態(変形例を含む)の変形例による係数更新部50a、50bの構成の一例を示す図である。本開示の第1~第3実施形態(変形例を含む)の変形例による係数更新部50a、50bのそれぞれは、図11に示すように、誤差算出部501、マッピング部502、高調波算出部503、および補償係数更新部504を備える。また、本開示の第1~第3実施形態(変形例を含む)の変形例による係数更新部50a、50bのそれぞれは、図11に示すように、更に、第1フィルタ部505、第2フィルタ部506、および第3フィルタ部507を備える。
【0148】
図11に示す係数更新部50a、50bは、図1に示す係数更新部50aのマッピング部502と高調波算出部503との間に第1フィルタ部505を備える。また、図11に示す係数更新部50a、50bは、図1に示す係数更新部50aの高調波算出部503と補償係数更新部504との間に第2フィルタ部506を備える。また、図11に示す係数更新部50a、50bは、図1に示す係数更新部50aの誤差算出部501と補償係数更新部504との間に第3フィルタ部507を備える。
【0149】
第1フィルタ部505は、BPF(Band Pass Filter)505a、505bを備える。BPF505a、505bのそれぞれは、例えば、高調波算出部503が処理の対象とする高調波の中で最高次の数(ここで示す例では、最高次の数5)でシンボルレートの帯域の周波数を除算した周波数帯域の信号を通過させるように設定される。BPF505aは、第1算出部503aに対応するフィルタである。BPF505bは、第2算出部503bに対応するフィルタである。
【0150】
第2フィルタ部506は、BPF506a、506bを備える。BPF506a、506bのそれぞれは、例えば、シンボルレートの周波数帯域外の信号を通過させないように設定される。BPF506a、506bのそれぞれは、例えば、BPF505a、505bが通過させる周波数帯域からシンボルレートの周波数帯域までの間のいずれかの周波数帯域の信号を通過させるように設定される。BPF506aは、第1算出部503aに対応するフィルタである。BPF506bは、第2算出部503bに対応するフィルタである。
【0151】
第3フィルタ部507は、BPFである。第3フィルタ部507は、例えば、BPF506a、506bと同一の周波数帯域の信号を通過させるように設定される。第3フィルタ部507は、誤差算出部501に対応するフィルタである。
【0152】
図12は、本開示の第1~第3実施形態(変形例を含む)の変形例による係数更新部50a、50bの処理を説明するための図である。図12において横向きの矢印は、シンボルレートの周波数帯域を表している。
【0153】
図12の(a)の部分は、図4の(b)の部分に対応し、クロック再生/等化器401の出力信号の周波数帯域のイメージを示している。図12の(a)の部分に示す信号の周波数帯域は、シンボルレートの周波数帯域と同等である。
【0154】
図12の(b)の部分は、図4の(c)の部分に対応し、マッピング部502の出力信号(すなわち、理想信号d)の周波数帯域のイメージを示している。図12の(b)の部分に示す信号の周波数帯域は、シンボルレートの周波数帯域と同等である。
【0155】
図12の(c)の部分は、図4の(d)の部分に対応し、誤差算出部501の出力信号(すなわち、誤差信号e)の周波数帯域のイメージを示している。図12の(c)の部分に示す信号の周波数帯域は、シンボルレートの周波数帯域と同等である。
【0156】
図12の(d)の部分は、第1フィルタ部505のBPF505aの出力信号の周波数帯域のイメージを示している。図12の(d)の部分に示す信号の周波数帯域は、シンボルレートの周波数帯域の5分の1程度である。
【0157】
図12の(e)の部分は、図4の(e)の部分に対応し、第1算出部503aの出力信号の周波数帯域のイメージを示している。図12の(e)の部分に示すように、第1算出部503aの出力信号は、シンボルレートの周波数帯域内に収まる。
【0158】
図12の(f)の部分は、第2フィルタ部506のBPF506aの出力信号の周波数帯域のイメージを示している。図12の(f)の部分に示す信号の周波数帯域は、図12の(e)の部分に示す第1算出部503aの出力信号の周波数帯域よりも更に狭い範囲で、シンボルレートの周波数帯域内に収まる。
【0159】
図12の(g)の部分は、BPFである第3フィルタ部507の出力信号の周波数帯域のイメージを示している。図12の(g)の部分に示す信号の周波数帯域は、図12の(b)の部分に示すクロック再生/等化器401の出力信号の周波数帯域よりも更に狭い範囲で、図12の(f)の部分に示す周波数帯域と同等である。
【0160】
本開示の第1~第3実施形態(変形例を含む)の変形例による係数更新部50a、50bは、第1フィルタ部505、第2フィルタ部506、および第3フィルタ部507を備えることにより、係数更新部50a、50bにおけるいずれの信号もシンボルレートの周波数帯域内に収めることができる。
【0161】
なお、上述の通信システム1では、高調波算出部503が処理の対象とする高調波が3次高調波と5次高調波であるものとして説明した。しかしながら、本開示の別の実施形態では、高調波算出部503が処理の対象とする高調波は、3次高調波と5次高調波に限定されない。例えば、高調波算出部503が処理の対象とする高調波は、n次高調波(nは2以上の整数)であってもよく、1つまたは複数の高調波であってもよい。
【0162】
図13は、本開示の実施形態による通信システム1の最小構成を示す図である。通信システム1は、図13に示すように、第1生成手段601、第2生成手段602、および補償手段603を備える。第1生成手段601は、硬判定を行う判定手段の出力信号に基づいて生成した理想信号と、前記判定手段の入力信号とに基づいて、誤差信号を生成する。第2生成手段602は、前記誤差信号に基づいて、送信信号である変調信号に含まれる非線形歪みを補償するための補償係数を生成する。補償手段603は、前記補償係数に基づいて、前記非線形歪みを補償する。第1生成手段601は、例えば、図1図7図9などに例示されている誤差算出部501が有する機能を用いて実現することができる。第2生成手段602は、例えば、図1図7図9などに例示されている補償係数更新部504が有する機能を用いて実現することができる。補償手段603は、例えば、図1に例示されているDPD補償部101、図10に例示されている非線形歪み補償部403などが有する機能を用いて実現することができる。
【0163】
図14は、本開示の実施形態による最小構成の通信システム1の処理フローの一例を示す図である。次に、本開示の実施形態による最小構成の通信システム1の処理について図14を参照して説明する。
【0164】
第1生成手段601は、硬判定を行う判定手段の出力信号に基づいて生成した理想信号と、前記判定手段の入力信号とに基づいて、誤差信号を生成する(ステップS101)。第2生成手段602は、前記誤差信号に基づいて、送信信号である変調信号に含まれる非線形歪みを補償するための補償係数を生成する(ステップS102)。補償手段603は、前記補償係数に基づいて、前記非線形歪みを補償する(ステップS103)。
【0165】
以上、本開示の実施形態による最小構成の通信システム1について説明した。この通信システム1により、非線形歪みを補償するための係数の生成に入力される変調信号を直接使用せずに、送信信号である変調信号に含まれる非線形歪みを補償することができる。
【0166】
なお、本開示の実施形態における処理は、適切な処理が行われる範囲において、処理の順番が入れ替わってもよい。
【0167】
本開示の実施形態について説明したが、上述の通信システム1、自局装置1a、対向局装置1b、その他の制御装置は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。コンピュータの具体例を以下に示す。
【0168】
図15は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。コンピュータ5は、図15に示すように、CPU(Central Processing Unit)6、メインメモリ7、ストレージ8、インターフェース9を備える。
【0169】
例えば、上述の通信システム1、自局装置1a、対向局装置1b、その他の制御装置のそれぞれは、コンピュータ5に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ8に記憶されている。CPU6は、プログラムをストレージ8から読み出してメインメモリ7に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU6は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ7に確保する。
【0170】
ストレージ8の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ8は、コンピュータ5のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース9または通信回線を介してコンピュータ5に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ5に配信される場合、配信を受けたコンピュータ5が当該プログラムをメインメモリ7に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ8は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0171】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるファイル、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0172】
本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例であり、開示の範囲を限定しない。これらの実施形態は、開示の要旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、省略、置き換え、変更を行ってよい。
【0173】
なお、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0174】
(付記1)
硬判定を行う判定手段の出力信号に基づいて生成した理想信号と、前記判定手段の入力信号とに基づいて、誤差信号を生成する第1生成手段と、
前記誤差信号に基づいて、送信信号である変調信号に含まれる非線形歪みを補償するための補償係数を生成する第2生成手段と、
前記補償係数に基づいて、前記非線形歪みを補償する補償手段と、
を備える通信システム。
【0175】
(付記2)
第1装置、
を備え、
前記第1生成手段、前記第2生成手段、および前記補償手段は、
前記第1装置に備えられる、
付記1に記載の通信システム。
【0176】
(付記3)
前記第1装置は、
前記送信信号を送信する自局装置または前記送信信号を受信する対向局装置である、
付記2に記載の通信システム。
【0177】
(付記4)
第1装置と、
第2装置と、
を備え、
前記補償手段は、
前記第1装置に備えられ、
前記第1生成手段、および前記第2生成手段は、
前記第2装置に備えられる、
付記1に記載の通信システム。
【0178】
(付記5)
前記第1装置は、
前記送信信号を送信する自局装置であり、
前記第2装置は、
前記送信信号を受信する対向局装置である、
付記4に記載の通信システム。
【0179】
(付記6)
前記出力信号に基づいて前記理想信号を生成する第3生成手段、
を備える付記1から付記5の何れか一項に記載の通信システム。
【0180】
(付記7)
前記理想信号の整数乗を算出する算出手段、
を備える付記1から付記6の何れか一項に記載の通信システム。
【0181】
(付記8)
前記理想信号の周波数帯域を制限するフィルタリング手段、
を備える付記1から付記7の何れか一項に記載の通信システム。
【0182】
(付記9)
硬判定を行う判定手段の出力信号に基づいて生成した理想信号と、前記判定手段の入力信号とに基づいて、誤差信号を生成し、
前記誤差信号に基づいて、送信信号である変調信号に含まれる非線形歪みを補償するための補償係数を生成し、
前記補償係数に基づいて、前記非線形歪みを補償する、
処理方法。
【0183】
(付記10)
硬判定を行う判定手段の出力信号に基づいて生成した理想信号と、前記判定手段の入力信号とに基づいて、誤差信号を生成することと、
前記誤差信号に基づいて、送信信号である変調信号に含まれる非線形歪みを補償するための補償係数を生成することと、
前記補償係数に基づいて、前記非線形歪みを補償することと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0184】
1・・・通信システム
1a・・・自局装置
1b・・・対向局装置
5・・・コンピュータ
6・・・CPU
7・・・メインメモリ
8・・・ストレージ
9・・・インターフェース
10a・・・送信変調器
20a・・・送信アナログ部
30a・・・フィードバック受信アナログ部
30b・・・受信アナログ部
40a、40b・・・受信復調器
50a、50b・・・係数更新部
60a・・・受信機
60b・・・送信機
101・・・DPD補償部
101a、503・・・高調波算出部
101a1、503a・・・第1算出部
101a2、503b・・・第2算出部
101b・・・乗算部
101b1・・・第1乗算部
101b2・・・第2乗算部
101b3・・・第3乗算部
101c・・・合成部
201・・・コンバータ
202・・・アップコンバータ
203、301・・・アンプ
302・・・ダウンコンバータ
303・・・A/Dコンバータ
401・・・クロック再生/等化器
402・・・硬判定部
501・・・誤差算出部
502・・・マッピング部
504・・・補償係数更新部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15