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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141330
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20241003BHJP
   B41J 29/13 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B41J29/38 350
B41J29/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052913
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】平林 健一
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AP10
2C061AQ05
2C061AS06
2C061BB02
2C061BB10
2C061BB12
2C061BB35
2C061CD01
2C061CF06
2C061CQ04
2C061CQ24
(57)【要約】
【課題】各種エラーを解消する際における作業効率を向上させることが可能な印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷装置1は、媒体が収納される媒体収納部50と、媒体に画像を形成する印刷ヘッドを有する印刷部10と、媒体を印刷ヘッドに向けて搬送する媒体搬送部20と、インクが収納されるインク収納部40と、媒体収納部50、印刷部10、媒体搬送部20、及びインク収納部40を内部に収容する筐体2と、媒体への画像の形成を指示可能な操作パネル3と、を備え、筐体2は、媒体収納部50に媒体を収納する際に開閉される開閉部7と、インク収納部40にインクを収納する際に開閉される開閉部6と、印刷ヘッドへアクセスする際に開閉される開閉部5と、を有し、開閉部5,6,7を開閉する際に手を掛ける手掛け部5a,6a,7a、及び操作パネル3は、筐体2の同じ面に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体が収納される媒体収納部と、
前記印刷媒体に画像を形成する画像形成部を有する印刷部と、
前記媒体収納部に収納された前記印刷媒体を、前記画像形成部に向けて搬送する媒体搬送部と、
前記画像を形成する際に前記画像形成部によって前記印刷媒体に付与される画像形成部材が収納される画像形成部材収納部と、
前記媒体収納部、前記印刷部、前記媒体搬送部、及び前記画像形成部材収納部を内部に収容する筐体と、
表示部を有し、前記筐体に対して一体又は別体として設けられ、前記印刷媒体への前記画像の形成を指示可能な操作部と、
を備え、
前記筐体は、
前記媒体収納部に前記印刷媒体を収納する際に開閉される第1開閉部と、
前記画像形成部材収納部に前記画像形成部材を収納する際に開閉される第2開閉部と、
前記筐体の外側から前記画像形成部へアクセスする際に開閉される第3開閉部と、
を有し、
前記第1開閉部を開閉する際に手を掛ける第1手掛け部、前記第2開閉部を開閉する際に手を掛ける第2手掛け部、前記第3開閉部を開閉する際に手を掛ける第3手掛け部、及び前記操作部は、前記筐体の同じ面に配置されていることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記第3開閉部を開くことで前記媒体搬送部にアクセス可能であることを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の印刷装置であって、
前記筐体の内部の空間を複数の領域に区分けするフレームを備え、
前記画像形成部は、交換可能に前記印刷部に備えられ、
前記画像形成部を交換する際にアクセスが必要な複数の部材が、同じ区分けである第1領域に配置されていることを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項3に記載の印刷装置であって、
前記画像形成部材のうち、前記画像の形成に用いられなかった廃材が収納される廃材収納部を備え、
前記画像形成部材収納部と前記廃材収納部とは、同じ区分けであって、且つ前記第1領域とは異なる区分けである第2領域に配置されており、
前記第2開閉部を開くことで、前記廃材収納部にアクセス可能であることを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項4に記載の印刷装置であって、
前記画像形成部材は、インクであり、前記画像形成部は、前記インクを吐出するインクジェットヘッドであり、前記廃材は、前記画像の形成に用いられなかった廃インクであり、前記第2領域は、前記第1領域の下方に位置することを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項3に記載の印刷装置であって、
前記画像形成部のメンテナンスを行うメンテナンス部を備え、
前記印刷部は、前記画像形成部を前記媒体搬送部と前記メンテナンス部との間で移動させる移動部を有し、
前記印刷部、前記媒体搬送部、及び前記メンテナンス部は、ユニット化されて前記第1領域に配置されることを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体に画像を形成する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、筐体内に配置されたロール紙に対して印刷ヘッドによって印刷を行い、印刷後のロール紙を排紙口から筐体の外部に排出するプリンターが記載されている。このプリンターの筐体は、略直方体形状であり、筐体の前面には、排紙口に並んで、操作パネルが配置されている。操作パネルには、ユーザーによって操作される操作ボタン、及びユーザーに情報を提供するディスプレイが含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-60555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のプリンターでは、ロール紙は、筐体の後方に配置されており、ロール紙の交換を行う際には、前面とは異なる側面に設けられた開閉蓋を開閉しなければならい。つまり、操作パネルのディスプレイに表示される情報によってロール紙を交換すべきであることを認識したユーザーは、ロール紙を交換するために、筐体の前面と対面する位置から、別の側面と対面する位置に移動しなければならなかった。このため、ロール紙を交換する際等における作業効率の向上が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
印刷装置は、印刷媒体が収納される媒体収納部と、前記印刷媒体に画像を形成する画像形成部を有する印刷部と、前記媒体収納部に収納された前記印刷媒体を、前記画像形成部に向けて搬送する媒体搬送部と、前記画像を形成する際に前記画像形成部によって前記印刷媒体に付与される画像形成部材が収納される画像形成部材収納部と、前記媒体収納部、前記印刷部、前記媒体搬送部、及び前記画像形成部材収納部を内部に収容する筐体と、表示部を有し、前記筐体に対して一体又は別体として設けられ、前記印刷媒体への前記画像の形成を指示可能な操作部と、を備え、前記筐体は、前記媒体収納部に前記印刷媒体を収納する際に開閉される第1開閉部と、前記画像形成部材収納部に前記画像形成部材を収納する際に開閉される第2開閉部と、前記筐体の外側から前記画像形成部へアクセスする際に開閉される第3開閉部と、を有し、前記第1開閉部を開閉する際に手を掛ける第1手掛け部、前記第2開閉部を開閉する際に手を掛ける第2手掛け部、前記第3開閉部を開閉する際に手を掛ける第3手掛け部、及び前記操作部は、前記筐体の同じ面に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】印刷装置を示す斜視図。
図2】開閉部が開いた状態の印刷装置を示す斜視図。
図3】印刷装置の概略構成を示す構成図。
図4】筐体の内部に配置されるフレームを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本実施形態の印刷装置1について、図面を参照して説明する。本実施形態の印刷装置1は、例えば、印刷対象である媒体Mに対して、液体の一例であるインクを吐出することにより、媒体Mに文字や写真等の画像を形成するインクジェット式のプリンターである。媒体Mの種類は、特に限定されないが、本実施形態では、ロール状に巻回された媒体Mが用いられる。なお、媒体Mは、印刷媒体に相当する。また、画像を形成する際に媒体Mに付与されるインクは、画像形成部材に相当する。
【0008】
各図には、互いに交差するX軸、Y軸及びZ軸が示されている。典型的には、X軸、Y軸及びZ軸は、互いに直交する。X軸は、印刷装置1の設置面に対して平行であり、印刷装置1の幅方向に対応する。Y軸は、印刷装置1の設置面に対して平行であり、印刷装置1の奥行き方向に対応する。Z軸は、印刷装置1の設置面に対して垂直であり、印刷装置1の高さ方向に対応する。
【0009】
以降、X軸に平行な+X方向は、印刷装置1の正面に向かって左に向かう方向であり、X軸に平行な-X方向は、+X方向の反対の方向である。Y軸に平行な+Y方向は、印刷装置1の背面から正面に向かう方向であり、Y軸に平行な-Y方向は、+Y方向の反対の方向である。Z軸に平行な+Z方向は、上方に向かう方向であり、Z軸に平行な-Z方向は、+Z方向の反対の方向である。
【0010】
図1は、本実施形態の印刷装置1を示す斜視図である。
図1に示すように、印刷装置1は、装置本体を収容する略直方体形状の筐体2を備えている。また、印刷装置1は、筐体2の内部に、印刷部10と、媒体搬送部20と、メンテナンス部30と、インク収納部40と、媒体収納部50と、制御部60とを備えている。つまり、筐体2は、印刷装置1の外装を構成し、その内部に、印刷部10と、媒体搬送部20と、メンテナンス部30と、インク収納部40と、媒体収納部50と、制御部60とを収容する。
【0011】
筐体2の各面のうち、+Y方向を向く前面2fには、操作パネル3が配置されている。本実施形態において、操作パネル3は、筐体2に対して一体的に設けられている。操作パネル3は、ユーザーによる操作を受け付ける複数の操作ボタン3aと、各種情報が表示される表示部3bとを有する。ユーザーは、操作パネル3を用いることで、例えば、制御部60に対して媒体Mへの画像の形成を指示したり、各種設定を行ったりすることができる。操作パネル3は、操作部に相当する。また、筐体2の各面のうち、+X方向を向く側面2sには、画像が形成された後の媒体Mが排出される排紙口4が設けられている。
【0012】
筐体2は、複数の開閉部5,6,7,8を備えている。これらのうち、開閉部5は、操作パネル3の上方、即ち+Z方向に配置され、開閉部6は、操作パネル3の下方、即ち-Z方向に配置されている。また、開閉部7は、前面2fに向かって開閉部6の右側、即ち-X方向に配置され、開閉部8は、開閉部7の上方に配置されている。開閉部5及び開閉部8は、筐体2の各面のうち、+Z方向を向く上面2tを構成し、開閉部6及び開閉部7は、筐体2の前面2fを構成する。
【0013】
開閉部5,6,7,8は、いずれも扉状に開閉可能となっており、開閉部5,6,7,8を開くことによって、筐体2の内部にアクセスすることが可能となる。開閉部5,6,7,8には、開閉する際に手を掛ける手掛け部5a,6a,7a,8aがそれぞれ形成されている。手掛け部5a,6a,7a,8aは、開閉部5,6,7,8の一部を凹状に切り欠くことによって形成されており、ユーザーの手先が入るようになっている。本実施形態において、手掛け部5a,6a,7a,8aは、操作パネル3と同じく、筐体2の前面2fに設けられている。言い換えれば、手掛け部5a,6a,7a,8a及び操作パネル3は、筐体2の同じ面に配置されている。
【0014】
図2は、開閉部5,6,7,8が開いた状態の印刷装置1を示す斜視図である。
図2に示すように、開閉部5は、手掛け部5aを上方に持ち上げた後に後方へ移動させることによって開放可能である。開閉部5が開くと、媒体Mを排紙口4に向けて搬送する媒体搬送部20が露出する。このため、開閉部5を開くことで、媒体搬送部20へのアクセスが可能となる。また、開閉部5を開くことで、後述する印刷ヘッド11にアクセスすることも可能となる。つまり、開閉部5は、筐体2の外側から、媒体搬送部20又は印刷ヘッド11にアクセスする際に開閉される。開閉部5は、第3開閉部に相当し、開閉部5の手掛け部5aは、第3手掛け部に相当する。
【0015】
開閉部6は、手掛け部6aを前方に引き出した後に下方へ移動させることによって開放可能である。開閉部6が開くと、インク収納部40と、廃液タンク42とが露出する。インク収納部40には、インクが収容されたインクカートリッジ41が収納され、廃液タンク42には、後述する廃インクが収納される。このため、開閉部6を開くことによって、インク収納部40及び廃液タンク42へのアクセスが可能となる。例えば、開閉部6は、インク収納部40のインクカートリッジ41を交換する際に開閉される。言い換えれば、開閉部6は、インク収納部40にインクを収納する際に開閉される。また、開閉部6は、廃液タンク42を交換する際、即ち廃液タンク42に収納された廃インクを除去する際に開閉される。インク収納部40は、画像形成部材収納部に相当し、廃液タンク42は、廃材収納部に相当する。また、開閉部6は、第2開閉部に相当し、開閉部6の手掛け部6aは、第2手掛け部に相当する。
【0016】
開閉部7は、手掛け部7aを、前方に引き出した後に右方向へ移動させることによって開放可能である。開閉部7が開くと、媒体Mを装着可能な媒体収納部50が露出する。媒体収納部50には、ロール状に巻回された媒体Mであるロール体51が収納される。具体的には、媒体収納部50には、筐体2に対して回転可能な回転軸52が配置されており、ロール体51は、回転軸52に装着される。つまり、開閉部7は、媒体収納部50にロール体51、即ち媒体Mを収納する際に開閉される。開閉部7は、第1開閉部に相当し、開閉部7の手掛け部7aは、第1手掛け部に相当する。
【0017】
開閉部8は、手掛け部8aを、上方に持ち上げた後に後方へ移動させることによって開放可能である。開閉部8が開くと、ロール体51から引き出された媒体Mが搬送される搬送路が露出する。開閉部8は、例えば、ロール体51から引き出された媒体Mを媒体搬送部20に差し入れる際に開閉される。
【0018】
図3は、印刷装置1の概略構成を示す構成図であり、筐体2の内部を前方から見た図である。
図3に示すように、印刷部10は、印刷ヘッド11と、キャリッジ12と、キャリッジ駆動部13とを有する。印刷ヘッド11は、キャリッジ12に対して交換可能に取り付けられている。印刷ヘッド11は、インクを吐出することによって媒体Mに画像を形成するインクジェットヘッドである。具体的には、印刷ヘッド11は、ピエゾアクチュエーターを有し、制御部60の制御に基づくピエゾアクチュエーターの駆動により、下面に形成されたノズルからインクを下方に吐出する。本実施形態の印刷ヘッド11は、媒体Mの幅方向、即ち±Y方向の全域に亘って多数のノズルが形成されたラインヘッドである。印刷ヘッド11は、画像形成部に相当する。
【0019】
印刷ヘッド11には、制御部60からの制御信号が図示しないFFC(Flexible Flat Cable)等を介して供給される。また、印刷ヘッド11には、インクカートリッジ41に収容されているインクが、可撓性を有する図示しないインクチューブ等を介して供給される。
【0020】
キャリッジ12は、印刷ヘッド11を支持するとともに、前後方向、即ち±Y方向に移動可能である。具体的には、キャリッジ12の左右両側、即ち±X方向の両側には、±Y方向に延在する一対のガイド軸14が設けられており、キャリッジ12は、ガイド軸14にガイドされて、±Y方向に移動する。ガイド軸14は、筐体2に対して固定されている。
【0021】
キャリッジ12は、キャリッジ駆動部13に連結され、キャリッジ駆動部13の駆動によって±Y方向に移動する。キャリッジ駆動部13は、図示しない一対のタイミングプーリー、図示しない環状のタイミングベルト、及び制御部60の制御に基づいて動作するキャリッジ駆動モーター15を備える。一対のタイミングプーリーは、-X側のガイド軸14の±Y方向の両端の近傍に配置されている。タイミングベルトは、これら一対のタイミングプーリーに掛け渡され、一部がキャリッジ12に連結される。一方のタイミングプーリーには、変速装置を介してキャリッジ駆動モーター15の出力軸からのトルクが伝達される。制御部60がキャリッジ駆動モーター15を駆動させることにより、一方のタイミングプーリーが回転し、タイミングベルトが循環駆動される。これにより、タイミングベルトに連結されるキャリッジ12は、ガイド軸14に沿って±Y方向に移動する。
【0022】
このように、キャリッジ12が±Y方向に移動可能であることから、キャリッジ12は、筐体2の内部において、-Y側のホームポジションに位置する状態と、+Y側の印刷ポジションに位置する状態とを切り替え可能である。キャリッジ12が印刷ポジションにあるとき、印刷ヘッド11は、±Z方向から見た平面視において、媒体搬送部20に重なる。媒体Mに対する印刷は、キャリッジ12が印刷ポジションにあるときに行われる。なお、上述したように、本実施形態の印刷ヘッド11は、多数のノズルが媒体Mの幅方向の全域に亘って形成されたラインヘッドであるため、印刷中に印刷ヘッド11を±Y方向に移動させる必要はない。
【0023】
一方、キャリッジ12がホームポジションにあるとき、印刷ヘッド11は、平面視におおいて、媒体搬送部20に重ならず、メンテナンス部30に重なる。メンテナンス部30は、印刷ヘッド11のノズルを覆うキャップ等を備え、制御部60の制御に基づいて、印刷ヘッド11の保護やメンテナンスを行う。例えば、制御部60は、印刷とは無関係に印刷ヘッド11から強制的にインクを吐出させるフラッシングを実行し、ノズル内の異物や気泡、或いは変質したインク等を除去させる。この場合、メンテナンス部30は、印刷ヘッド11から吐出されたインクを受けて、廃インクとして廃液タンク42に排出する。なお、廃インクは、インクカートリッジ41に収容されていたインクのうち、画像の形成に用いられなかったインクであり、廃材に相当する。また、キャリッジ駆動部13は、キャリッジ12とともに印刷ヘッド11を媒体搬送部20とメンテナンス部30との間で移動させることから、移動部に相当する。
【0024】
媒体Mが巻回されたロール体51は、媒体収納部50に収納される。媒体収納部50は、印刷ポジションにあるときのキャリッジ12よりも-X側に位置している。媒体Mは、ロール体51から引き出されて、+X方向に位置する媒体搬送部20に受け渡される。
【0025】
媒体搬送部20は、搬送ローラー対21と、搬送モーター22と、媒体支持部23とを有する。媒体搬送部20は、媒体収納部50に収納されたロール体51から引き出された媒体Mを印刷ヘッド11に向けて搬送する。搬送ローラー対21は、-Z側に位置する駆動ローラー21aと、+Z側に位置する従動ローラー21bとを含む。搬送モーター22は、制御部60の制御に基づいて、駆動ローラー21aを回転させる。従動ローラー21bは、駆動ローラー21aに向けて付勢されており、媒体Mは、駆動ローラー21a及び従動ローラー21bに挟まれて、搬送モーター22の駆動によって+X方向に送り出される。
【0026】
媒体支持部23は、搬送ローラー対21によって+X方向に搬送された媒体Mを支持する。キャリッジ12が印刷ポジションにあるときに、媒体支持部23は、媒体Mを挟んで印刷ヘッド11に対向する。媒体Mは、媒体支持部23によって支持されるとともに、搬送ローラー対21によって搬送方向である+X方向に搬送されながら、印刷ヘッド11からインクの吐出を受ける。インクの吐出によって画像が形成された媒体Mは、排紙口4から筐体2の外部に排出される。
【0027】
媒体搬送部20の下方には、複数のインクカートリッジ41が収納されるインク収納部40と、廃液タンク42とが配置されている。本実施形態のインクカートリッジ41には、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックの4色のインクが収容された4つのインクカートリッジ41が含まれる。また、廃液タンク42には、メンテナンス部30から排出された廃インクが貯留される。
【0028】
図4は、筐体2の内部に配置されるフレーム70を示す斜視図である。
印刷装置1は、装置本体を支持するフレーム70を筐体2の内部に備えている。図4に示すように、フレーム70は、複数の金属製の板状部材によって形成される。フレーム70は、印刷部10、媒体搬送部20、メンテナンス部30、インク収納部40、媒体収納部50、制御部60等、上述した各構成要素が配置される領域を区分けするとともに、配置された各構成要素を支持する。具体的には、フレーム70は、筐体2の内部の空間を、第1領域A1、第2領域A2、第3領域A3、及び第4領域A4を含む複数の領域に区分けする。
【0029】
第1領域A1は、筐体2内の+X側で且つ+Z側に位置する領域であり、±Y方向に延在する。第1領域A1には、印刷部10と、媒体搬送部20と、メンテナンス部30とが収納される。印刷部10、媒体搬送部20、及びメンテナンス部30は、予めユニット化されており、1つのユニットとして第1領域A1に配置される。つまり、印刷部10、媒体搬送部20、及びメンテナンス部30は、互いに適切な位置関係となるように予め組み立てられた状態でフレーム70に取り付けられる。このため、それぞれを個別にフレーム70に取り付ける構成に比べて、印刷精度が向上するとともに、印刷装置1の剛性が向上する。
【0030】
第2領域A2は、筐体2内の+X側で且つ-Z側に位置する領域であり、±Y方向に延在する。つまり、第2領域A2は、第1領域A1の下方に位置する。第2領域A2には、インク収納部40と、廃液タンク42とが配置される。つまり、インク収納部40と、廃液タンク42とは、同じ区分けで合って、第1領域A1とは異なる第2領域A2に配置される。また、インク収納部40及び廃液タンク42が、筐体2内の下部に配置されるため、インク収納部40や廃液タンク42からインクの漏洩が生じた場合であっても、漏洩したインクによって他の構成要素や媒体Mがダメージを受けることが抑制される。
【0031】
第3領域A3は、筐体2内の-X側で且つ+Y側に位置する領域である。つまり、第3領域A3は、第1領域A1及び第2領域A2の-X側に位置する。第3領域A3には、ロール体51が収納される。つまり、第3領域A3は、媒体収納部50を構成する。
【0032】
第4領域A4は、筐体2内の-X側で且つ-Y側に位置する領域である。つまり、第4領域A4は、第1領域A1及び第2領域A2の-X側であって、且つ第3領域A3の後方、即ち-Y方向に位置する。第4領域A4には、制御部60や、図示しない電源ユニット等が配置される。
【0033】
上記のように構成された印刷装置1において、媒体Mやインク等の消耗品の残量不足等のエラーが生じた場合に、ユーザーは、操作パネル3の表示部3bに表示される情報に基づいて、エラーの発生を認識する。そして、エラーが発生した場合、ユーザーは、開閉部5,6,7,8のいずれかを開いて、筐体2の内部にアクセスし、エラーを解消する。
【0034】
例えば、いずれかのインクの残量が不足となった場合には、ユーザーは、開閉部6を開いて、該当するインクカートリッジ41を新品に交換する。同様に、廃液タンク42内に収納されている廃インクの量が上限値に達した場合には、ユーザーは、開閉部6を開いて、廃液タンク42を交換する。
【0035】
また、媒体収納部50に収納されている媒体Mがなくなった場合には、ユーザーは、開閉部7を開いて、新しいロール体51を媒体収納部50に収納する。さらに、ユーザーは、開閉部8を開いて、ロール体51から引き出した媒体Mを媒体搬送部20に差し入れる。
【0036】
また、媒体搬送部20内で媒体Mの詰まり、即ち媒体Mのジャムが発生した場合には、ユーザーは、開閉部5を開いて、詰まった媒体Mを除去する。また、ユーザーは、必要に応じて開閉部8を開いて、媒体Mを媒体搬送部20に差し入れ直す。
【0037】
また、印刷ヘッド11のノズル内に異物や変質したインク等が詰まり、メンテナンス部30を用いたフラッシングでは詰まりが解消しない場合等には、印刷ヘッド11の交換が必要となる。この場合、ユーザーは、開閉部5を開き、キャリッジ12を印刷ポジション、即ち媒体搬送部20の上方に移動させることによって、印刷ヘッド11を交換することができる。このように、本実施形態では、開閉部5を介して印刷ヘッド11にアクセスできるため、印刷ヘッド11を交換する際に、筐体2やフレーム70を分解する必要がなく、効率的に作業を行うことができる。
【0038】
また、印刷ヘッド11を交換する際には、FFCやインクチューブ等を古い印刷ヘッド11から取り外して、新しい印刷ヘッド11に付け直す必要がある。本実施形態では、印刷ヘッド11、FFC、及びインクチューブ等、印刷ヘッド11を交換する際にアクセスが必要な複数の部材は、同じ区分けである第1領域A1に配置されている。このため、それぞれが異なる領域に配置される場合に比べて、印刷ヘッド11の交換を一層効率的に行うことができる。なお、印刷ヘッド11を交換する際には、制御部60の制御によりキャリッジ12を印刷ポジションに移動させた後で、開閉部5を開くようにしてもよい。
【0039】
上記のようなエラーの解消作業を終えると、ユーザーは、操作パネル3の操作ボタン3aを操作して、印刷を再開する。
上述したように、開閉部5,6,7,8の手掛け部5a,6a,7a,8aは、操作パネル3と同じく、筐体2の前面2fに配置されている。このため、ユーザーは、表示部3bによるエラーの認識から、エラーの解消作業、そして印刷の再開までのほとんどの動作を、すべて筐体2の前面2f側で実行することができる。このため、筐体2の他の側面側に移動する必要がなく、一連の作業を効率的に実施することができる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態の印刷装置1によれば、以下の効果を得ることができる。
【0041】
本実施形態によれば、印刷装置1は、媒体M、即ちロール体51を収納する際に開閉される開閉部7と、インクカートリッジ41を収納する際に開閉される開閉部6と、印刷部10にアクセスする際に開閉される開閉部5とを備えている。そして、各開閉部5,6,7の手掛け部5a,6a,7aは、操作パネル3と同じ面に設けられている。このため、操作パネル3を操作するユーザーは、操作パネル3が備わる面の前にいながら各開閉部5,6,7を開閉したり、内部にアクセスしたりすることが可能となるため、ユーザーの作業効率が向上する。
【0042】
本実施形態によれば、開閉部5を開くことで媒体搬送部20にアクセス可能であるため、媒体搬送部20において、媒体Mのジャム等の不具合が発生した場合でも、容易に不具合を解消することが可能となる。
【0043】
本実施形態によれば、印刷ヘッド11、FFC、及びインクチューブ等、印刷ヘッド11を交換する際にアクセスが必要となる複数の部材が、いずれも第1領域A1に配置されている。このため、それぞれが異なる領域に配置される場合に比べて、印刷ヘッド11の交換を効率的に行うことが可能となる。
【0044】
本実施形態によれば、インク収納部40と、廃液タンク42とが同じ第2領域A2に配置され、ともに開閉部6を開くことでアクセス可能であるため、インクカートリッジ41や廃液タンク42の交換等の作業を容易に行うことが可能となる。
【0045】
本実施形態によれば、インクが収納されるインク収納部40と、廃インクが収納される廃液タンク42とが、ともに印刷部10や媒体搬送部20が配置される第1領域A1の下方に配置される。このため、第2領域A2からインクが漏洩した場合でも、印刷ヘッド11や媒体Mに対するダメージを抑制することができる。
【0046】
本実施形態によれば、印刷部10と、媒体搬送部20と、メンテナンス部30とがユニット化されて第1領域A1内に配置されている。このため、それぞれを個別に配置する場合に比べて、印刷精度や、印刷装置1の剛性を向上することができる。
【0047】
上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0048】
上記実施形態において、印刷ヘッド11が吐出する液体はインクに限定されない。例えば、印刷ヘッド11は、各種ディスプレイの製造に用いられる電極材又は色材等の材料が、分散又は溶解した状態で含有されている液状体を吐出してもよい。
【0049】
上記実施形態では、インクが収容されたインクカートリッジ41を印刷装置1に収納する態様を示したが、印刷装置1に備わるタンク内にインクを注ぎ足していく態様であってもよい。この場合、インクが収容されるタンクが画像形成部材収納部に相当する。
【0050】
上記実施形態では、印刷ヘッド11がラインヘッドによって構成されているが、この構成に限定されない。例えば、印刷ヘッド11をシリアルヘッドとし、キャリッジ12を±Y方向に移動させながらインクを吐出させる構成であってもよい。
【0051】
上記実施形態において、印刷装置1は、インクジェット式に限定されない。例えば、インクリボンに塗布されたインクをサーマルヘッドによって媒体Mに転写させるサーマル式であってもよい。この場合、インクリボンに塗布されたインクが画像形成部材に相当し、サーマルヘッドが画像形成部に相当する。また、筐体2内においてインクリボンが収納される部位が画像形成部材収納部に相当する。また、印刷装置1は、カートリッジ等に収容されたトナーを感光体を用いて媒体Mに転写させるレーザー式であってもよい。この場合、トナーが画像形成部材に相当し、感光体が画像形成部に相当する。また、筐体2内において、トナーを収容するカートリッジが収納される部位が画像形成部材収納部に相当する。
【0052】
上記実施形態において、操作パネル3は、筐体2から分離可能な構成であってもよい。つまり、操作パネル3は、筐体2とは別体として設けられ、筐体2の所定の位置に装着された状態と、所定の位置から離脱した状態とを適宜選択できる構成であってもよい。この場合、筐体2の各面のうち、操作パネル3が装着される所定の位置を有する面が、操作パネル3が配置される面に相当する。
【0053】
上記実施形態では、操作パネル3が操作ボタン3aと表示部3bとを有する構成を示したが、この構成に限定されない。例えば、操作パネル3は、表示部3b上に透明なタッチセンサーが重ねて配置されたタッチパネルによって構成されてもよい。また、表示部3bは、液晶表示装置や有機EL(Electro-Luminescence)表示装置等、画像を表示可能な構成であってもよいし、発光ダイオード等の発光体の点灯や点滅によってエラーの発生等を報知する構成であってもよい。
【0054】
上記実施形態において、手掛け部5a,6a,7a,8aは、凹状に形成された構成に限定されない。例えば、取っ手のように凸状に形成された構成であってもよい。
【0055】
上記実施形態では、媒体Mをロール体51として印刷装置1に供給する態様を示したが、媒体Mの供給態様は上記に限定されない。例えば、シート状の媒体Mが積載されたカセットを印刷装置1に供給する態様や、シート状の媒体Mを手差しで供給する態様であってもよい。また、媒体Mの材質についても特に限定されず、紙、布や織物等のテキスタイル、塩化ビニル樹脂等、種々の材質が採用され得る。
【符号の説明】
【0056】
1…印刷装置、2…筐体、2f…前面、2s…側面、2t…上面、3…操作パネル、3a…操作ボタン、3b…表示部、4…排紙口、5,6,7,8…開閉部、5a,6a,7a,8a…手掛け部、10…印刷部、11…印刷ヘッド、12…キャリッジ、13…キャリッジ駆動部、14…ガイド軸、15…キャリッジ駆動モーター、20…媒体搬送部、21…搬送ローラー対、21a…駆動ローラー、21b…従動ローラー、22…搬送モーター、23…媒体支持部、30…メンテナンス部、40…インク収納部、41…インクカートリッジ、42…廃液タンク、50…媒体収納部、51…ロール体、52…回転軸、60…制御部、70…フレーム、A1…第1領域、A2…第2領域、A3…第3領域、A4…第4領域、M…媒体。
図1
図2
図3
図4