(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141334
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】緩衝材および緩衝材の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 81/107 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B65D81/107 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052917
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】野中 崇
(72)【発明者】
【氏名】神垣 真哉
【テーマコード(参考)】
3E066
【Fターム(参考)】
3E066AA12
3E066BA06
3E066CA04
3E066DA04
3E066GA01
3E066KA05
3E066MA01
(57)【要約】
【課題】製造工程において余分の緩衝材が生じることを抑制することができる緩衝材を提供する。
【解決手段】第1ライナー5と、第2ライナー7と、第1ライナー5および第2ライナー7の間に設けられた中芯9と、を有する段ボール材3、を備え、段ボール材3は、蛇腹状に折り畳まれている。段ボール材3は、複数の板部15と、複数の板部15の相互間を連結し、複数の板部15が相互に重なるように折り曲げられた折曲げ部17と、を有し、折曲げ部17において、第1ライナー5および第2ライナー7のうち外側となるライナーが、折曲げ部17に沿って切断されていることが好ましい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ライナーと、第2ライナーと、前記第1ライナーおよび前記第2ライナーの間に設けられた中芯と、を有する段ボール材、を備え、
前記段ボール材は、蛇腹状に折り畳まれていることを特徴とする緩衝材。
【請求項2】
前記段ボール材は、複数の板部と、複数の前記板部の相互間を連結し、複数の前記板部が相互に重なるように折り曲げられた折曲げ部と、を有し、
前記折曲げ部において、前記第1ライナーおよび前記第2ライナーのうち外側となるライナーが、前記折曲げ部に沿って切断されていることを特徴とする請求項1に記載の緩衝材。
【請求項3】
前記段ボール材は、複数の板部と、複数の前記板部の相互間を連結し、複数の前記板部が相互に重なるように折り曲げられた折曲げ部と、を有し、
複数の前記板部は、相互に接着されていることを特徴とする請求項1または2に記載の緩衝材。
【請求項4】
前記段ボール材は、複数の板部と、複数の前記板部の相互間を連結し、複数の前記板部が相互に重なるように折り曲げられた折曲げ部と、を有し、
複数の前記板部が重なった重なり方向において、前記段ボール材の両端部と係合し、前記段ボール材を折り畳まれた状態に保持する保持部材、を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の緩衝材。
【請求項5】
第1ライナーと、第2ライナーと、前記第1ライナーおよび前記第2ライナーの間に設けられた中芯と、を有し、板状に形成された段ボール材を、蛇腹状に折り畳むステップ、
を備えたことを特徴とする緩衝材の製造方法。
【請求項6】
前記段ボール材を蛇腹状に折り畳む前に、前記第1ライナーおよび前記第2ライナーの少なくとも一方に切れ目を形成するステップ、を備え、
前記段ボール材を蛇腹状に折り畳むステップでは、前記切れ目が外側となるように前記切れ目に沿って前記段ボール材を折り曲げることで、前記段ボール材を蛇腹状に折り畳むことを特徴とする請求項5に記載の緩衝材の製造方法。
【請求項7】
第1ライナーと、第2ライナーと、前記第1ライナーおよび前記第2ライナーの間に設けられた中芯と、を有し、板状に形成された段ボール材の第1面に、接着剤を設けるステップと、
前記段ボール材を、前記段ボール材の端部から巻くように折り畳むステップと、
を備えたことを特徴とする緩衝材の製造方法。
【請求項8】
折り畳まれた前記段ボール材は、相互に重なり接着された複数の板部と、複数の前記板部を相互に連結した連結部と、を含み、
折り畳まれた前記段ボール材から、前記連結部を切り落とすステップ、を備えたことを特徴とする請求項7に記載の緩衝材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝材および緩衝材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1が開示するように、複数枚の段ボールが積層され相互に接着された積層ブロックが知られている。この積層ブロックは、緩衝材として、製品と梱包箱との間に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
積層ブロックを製造する方法としては、まず、複数枚の大きな段ボールシートを積層して相互に接着した積層シートを製造した後、積層シートを所望の大きさに切断して複数の積層ブロックを製造する方法が一般的である。しかしながら、このような方法では、積層ブロックの必要数よりも多数の積層ブロックが切り出されてしまうことがあり、余った積層ブロックが無駄になってしまうおそれがある。また、大きな積層シートを切断する工程で、大型のカッターを用いるため、カッターの取扱いに注意を要する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の緩衝材は、第1ライナーと、第2ライナーと、第1ライナーおよび第2ライナーの間に設けられた中芯と、を有する段ボール材、を備え、段ボール材は、蛇腹状に折り畳まれている。
【0006】
本発明の緩衝材の製造方法は、第1ライナーと、第2ライナーと、第1ライナーおよび第2ライナーの間に設けられた中芯と、を有し、板状に形成された段ボール材を、蛇腹状に折り畳むステップ、を備えた。
【0007】
本発明の他の緩衝材の製造方法は、第1ライナーと、第2ライナーと、第1ライナーおよび第2ライナーの間に設けられた中芯と、を有し、板状に形成された段ボール材の第1面に、接着剤を設けるステップと、段ボール材を、段ボール材の端部から巻くように折り畳むステップと、を備えた。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】梱包箱と製品との間に設けられた緩衝材を示す図である。
【
図2】緩衝材を構成する段ボール材の斜視図である。
【
図4】第1実施形態の緩衝材の変形例を示す図である。
【
図5】第1実施形態の緩衝材の製造方法を示すフローチャートである。
【
図6】段ボールシートから段ボール材を切り出す工程を示す図である。
【
図7】段ボール材に切り目を形成する工程を示す図である。
【
図8】段ボール材に接着剤を塗布する工程を示す図である。
【
図9】段ボール材を蛇腹状に折り畳む工程を示す図である。
【
図10】
図9に続き、段ボール材を蛇腹状に折り畳む工程を示す図である。
【
図12】第1実施形態の緩衝材の変形例を示す図である。
【
図13】第1実施形態の緩衝材の変形例の斜視図である。
【
図15】第2実施形態の緩衝材の製造方法を示すフローチャートである。
【
図16】段ボール材に接着剤を塗布する工程を示す図である。
【
図17】段ボール材を巻くように折り畳む工程を示す図である。
【
図18】
図17に続き、段ボール材を巻くように折り畳む工程を示す図である。
【
図19】
図18に続き、段ボール材を巻くように折り畳む工程を示す図である。
【
図20】
図19に続き、段ボール材を巻くように折り畳む工程を示す図である。
【
図21】折り畳まれた段ボール材から連結部を切り落とす工程を示す図である。
【
図22】第2実施形態の緩衝材の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照して、緩衝材および緩衝材の製造方法の一実施形態について説明する。なお、各部の個数やサイズを示す数値は、例示にすぎず、本実施形態がその数値に限定されるものではない。
【0010】
[第1実施形態]
図1ないし
図3に基づいて、緩衝材の第1実施形態である緩衝材1Aについて説明する。
図1に示すように、緩衝材1Aは、梱包箱101と、梱包箱101に収容された製品201との間に設けられる。なお、緩衝材1Aは、製品201に対して、例えば、上方、下方、左方、右方、前方および後方など、いずれの方向に設けられてもよい。また、梱包箱101の中に入れられる緩衝材1Aの個数も、特に限定されるものではない。梱包箱101に収容される製品201は、特に限定されず、例えば、プリンター、プロジェクターなどの電子機器である。
【0011】
緩衝材1Aは、段ボール材3から構成されている。段ボール材3は、大きな段ボールシート301から切り出されたものである(
図6参照)。なお、段ボールシート301は、長方形の板状に形成されており、その大きさは、長辺および短辺共に1m以上である。一方、段ボール材3は、短冊形の板状に形成されており、その大きさは、短辺が10cmから30cm程度、長辺が数十cmから1m程度である。
【0012】
図2に示すように、段ボール材3は、第1ライナー5と、第2ライナー7と、中芯9とを備えている。中芯9は、波形状に形成されており、第1ライナー5と第2ライナー7との間に設けられている。なお、段ボール材3の表裏両面のうち、一方の面、すなわち第1ライナー5の表面を、第1面11といい、他方の面、すなわち第2ライナー7の表面を、第2面13という。また、段ボール材3において、中芯9に形成された複数の波が連続する方向を、流れ方向D1といい、流れ方向D1に垂直な方向を、幅方向D2という。
【0013】
図3に示すように、緩衝材1Aは、段ボール材3が蛇腹状に折り畳まれたものである。緩衝材1Aは、略直方体状に形成されており、4つの板部15と、3つの折曲げ部17とを備えている。なお、以下の説明では、4つの板部15を、
図3の下から順に、第1板部15a、第2板部15b、第3板部15cおよび第4板部15dとよぶ。第1板部15a、第2板部15b、第3板部15cおよび第4板部15dを特に区別する必要がない場合には、単に板部15という。なお、板部15の個数は、特に限定されず、2つ以上であればよい。折曲げ部17の個数についても、特に限定されず、板部15の個数に応じて変わる。例えば、板部15が2つの場合、折曲げ部17は1つとなる。
【0014】
4つの板部15は、相互に同形同大の略長方形の板状に形成されている。
図3等では、図示の関係上、4つの板部15の相互間に隙間が生じているが、実際には、4つの板部15は、相互に重なり、接着剤19を介して接着されている。すなわち、第1板部15aと第2板部15bとが相互に重なり接着され、第2板部15bと第3板部15cとが相互に重なり接着され、第3板部15cと第4板部15dとが相互に重なり接着されている。接着剤19としては、特に限定されないが、例えば、デンプンのりが用いられる。なお、4つの板部15が重なった方向を、重なり方向D3という。
【0015】
3つの折曲げ部17は、4つの板部15を相互に連結している。3つの折曲げ部17は、4つの板部15が相互に重なるように折り曲げられている。折曲げ部17は、幅方向D2に延在している。なお、折曲げ部17は、幅方向D2に延在した構成に限定されず、幅方向D2に垂直な方向すなわち流れ方向D1に延在した構成でもよく、幅方向D2に対して斜めに交差する方向に延在した構成でもよい。
【0016】
折曲げ部17では、第1ライナー5および第2ライナー7のうち、外側となるライナーが、折曲げ部17に沿って切断されている。換言すれば、折曲げ部17は、第1ライナー5および第2ライナー7のうち、内側となるライナーにより構成されている。例えば、第1板部15aと第2板部15bとを連結する折曲げ部17では、第1ライナー5が外側となるため、第1ライナー5が折曲げ部17に沿って切断され、第2ライナー7により折曲げ部17が構成されている。なお、折曲げ部17では、外側となるライナーと共に中芯9が切断された構成でもよく、外側となるライナーのみが切断され中芯9は切断されていない構成でもよい。
【0017】
ここで、緩衝材1Aとは異なり、
図4に示す緩衝材1Bでは、折曲げ部17において外側となるライナーが切断されておらず、折曲げ部17における流れ方向D1が、板部15における流れ方向D1とは異なっている。すなわち、板部15では、流れ方向D1が重なり方向D3に対して垂直となるが、折曲げ部17では、流れ方向D1が重なり方向D3に対して平行となる。段ボール材3が衝撃により潰れる態様は、段ボール材3の流れ方向D1に依存する。このため、緩衝材1Bのように、流れ方向D1が板部15における流れ方向D1とは異なる部分が存在すると、当該部分は、板部15とは異なる態様で衝撃により潰れることになるため、緩衝材1Bが理論通りに緩衝機能を発揮できない要因となる。これに対し、緩衝材1Aでは、折曲げ部17において外側となるライナーが切断されていることから、板部15とは異なる態様で衝撃により潰れる部分が削減される。このため、緩衝材1Aに理論値に近い緩衝機能を発揮させることができる。
【0018】
図6ないし
図10を参照しつつ、
図5に基づいて、緩衝材製造装置(図示省略)による緩衝材1Aの製造方法について説明する。ステップS01において、緩衝材製造装置は、段ボールシート301から段ボール材3を切り出す(
図6参照)。段ボール材3を切り出す方法は、特に限定されないが、緩衝材製造装置は、例えば、トムソン型を用いて段ボールシート301を打ち抜くことで、段ボール材3を切り出す。
【0019】
ステップS02において、緩衝材製造装置は、段ボール材3に対して、折曲げ部17となる箇所に、第1ライナー5および第2ライナー7の一方に切れ目21を形成する(
図7参照)。切れ目21は、段ボール材3の幅方向D2に沿って形成される。なお、緩衝材製造装置は、切れ目21を幅方向D2に沿って形成する構成に限定されず、切れ目21を幅方向D2に垂直な方向すなわち流れ方向D1に沿って形成してもよく、切れ目21を幅方向D2に対して斜めに交差する方向に沿って形成してもよい。
【0020】
段ボール材3に形成された3本の切れ目21により、段ボール材3が4つの板部15に区画される。第1板部15aと第2板部15bとを区画する切れ目21は、第1ライナー5に形成される。第2板部15bと第3板部15cとを区画する切れ目21は、第2ライナー7に形成される。第3板部15cと第4板部15dとを区画する切れ目21は、第1ライナー5に形成される。
【0021】
段ボール材3に切れ目21を形成する方法は、特に限定されないが、緩衝材製造装置は、例えば、トムソン型を用いて段ボール材3に切れ目21を形成する。なお、段ボールシート301から段ボール材3を切り出すためのトムソン刃と、段ボール材3に切れ目21を形成するためのトムソン刃とを、同じ基材に設けることにより、ステップS01とステップS02とを、同時に行ってもよい。
【0022】
ステップS03において、緩衝材製造装置は、各板部15の第1面11および第2面13のうち、ステップS04において折り畳まれたときに相互に重なり合う面に、接着剤19を塗布する(
図8参照)。すなわち、第1板部15aの第2面13と第2板部15bの第2面13とが重なり合い、第2板部15bの第1面11と第3板部15cの第1面11とが重なり合い、第3板部15cの第2面13と第4板部15dの第2面13とが重なり合うため、これらの面に対して接着剤19が塗布される。なお、緩衝材製造装置は、相互に重なり合う面のいずれか一方のみに接着剤19を塗布してもよい。また、緩衝材製造装置は、接着剤19として両面テープを、相互に重なり合う面の少なくとも一方に設けてもよい。
【0023】
ステップS04において、緩衝材製造装置は、段ボール材3を蛇腹状に折り畳む(
図9および
図10参照)。このとき、緩衝材製造装置は、段ボール材3に形成された切れ目21が外側となるように、切れ目21に沿って折り曲げる。緩衝材製造装置は、段ボール材3を切れ目21に沿って折り曲げることで、段ボール材3を容易に折り曲げることができる。
【0024】
折り畳まれた段ボール材3のうち、相互に重なり接着された部分が、板部15となり、切れ目21に沿って折り曲げられた部分が、折曲げ部17となる。ここでは、緩衝材製造装置は、4つの板部15を備えた緩衝材1Aを製造するため、段ボール材3を、3回折り畳む。以上のようにして、緩衝材製造装置は、緩衝材1Aを製造する。
【0025】
なお、ステップS01ないしステップS04の一部の工程あるいは全工程を、緩衝材製造装置に代えて、人が行ってもよい。
【0026】
[変形例]
上記の第1実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採用可能であることは言うまでもない。例えば、第1実施形態は、上述したほか、以下のような形態に変更することができる。なお、1つの実施形態や変形例に記載された内容は、相互に矛盾しない限り、他の実施形態や変形例にも同様に適用される。
【0027】
段ボール材3としては、
図2に示したシングルフルートのものに限定されず、3つ以上のライナーと、2つ以上の中芯とを備えた構成でもよい。例えば、段ボール材3は、
図11に示したように、ダブルフルートの段ボール材3Wでもよい。段ボール材3Wは、は、第1ライナー5と、第2ライナー7と、第3ライナー22と、第1中芯9aと、第2中芯9bとを備えている。第3ライナー22は、第1ライナー5と第2ライナー7との間に設けられている。第1中芯9aは、第1ライナー5と第3ライナー22との間に設けられている。第2中芯9bは、第2ライナー7と第3ライナー22との間に設けられている。なお、段ボール材3Wを備えた緩衝材1Aでは、折曲げ部17において、第1ライナー5および第2ライナー7のうち外側となるライナーに加えて、第3ライナー22も切断されていることが好ましい。
【0028】
図12および
図13に示すように、第1実施形態の変形例である緩衝材1Cは、複数の板部15が相互に接着される代わりに、保持部材23を備えている。
【0029】
保持部材23は、例えば、段ボールや厚紙などの剛性の高い紙を折り曲げることで作成される。保持部材23は、ベース部25と、第1接続部27と、第2接続部29と、第1保持部31と、第2保持部33とを備えている。第1保持部31、第1接続部27、ベース部25、第2接続部29および第2保持部33は、略長方形の板状に形成されており、この順に連なっている。保持部材23は、第1接続部27と第2接続部29とが相互に対向するように折り曲げられ、さらに、第1保持部31と第2保持部33とが、第1接続部27と第2接続部29との間で相互に対向するように折曲げられている。
【0030】
第1保持部31には、略長方形の第1保持開口35が形成され、第2保持部33には、略長方形の第2保持開口37が形成されている。そして、第1保持開口35に、重なり方向D3における段ボール材3の一端が挿入され、第2保持開口37に、重なり方向D3における段ボール材3の他端が挿入される。これにより、保持部材23は、重なり方向D3における段ボール材3の両端部と係合し、段ボール材3を折り畳まれた状態に保持する。なお、重なり方向D3における段ボール材3の両端部とは、重なり方向D3において最も外側に設けられた板部15を意味し、本実施形態では、第1板部15aおよび第4板部15dがこれに相当する。
【0031】
[第2実施形態]
図14に基づいて、緩衝材の第2実施形態である緩衝材1Dについて説明する。緩衝材1Dは、複数の板部15を備え、複数の板部15が相互に重なり接着されている点で、第1実施形態の緩衝材1Aと共通しているが、複数の板部15を相互に連結する折曲げ部17を備えていない点で、第1実施形態の緩衝材1Aと相違する。
【0032】
図16ないし
図21を参照しつつ、
図15に基づいて、緩衝材1Dの製造方法について説明する。緩衝材1Aが段ボール材3を蛇腹状に折り畳むことで製造されるのに対し、緩衝材1Dは、段ボール材3を流れ方向D1に巻くように折り畳むことで製造される。なお、緩衝材1Dは、段ボール材3を流れ方向D1に巻くように折り畳む構成に限定されず、流れ方向D1に垂直な方向すなわち幅方向D2に折り畳む構成でもよく、流れ方向に斜めに交差する方向に折り畳む構成でもよい。
【0033】
ステップS11において、緩衝材製造装置は、ステップS01と同様に、段ボールシート301から段ボール材3を切り出す(
図6参照)。
【0034】
ステップS12において、緩衝材製造装置は、段ボール材3の第1面11および第2面13の一方に、接着剤19を塗布する(
図16参照)。ここでは、第1面11に接着剤19が塗布されたものとする。なお、接着剤19を塗布する前に、後述するステップS13において段ボール材3を折り畳みやすくするために、段ボール材3に折り罫線を形成してもよい。
【0035】
ステップS13において、緩衝材製造装置は、段ボール材3を、流れ方向D1の一方の端部から、流れ方向D1に巻くように折り畳む(
図17ないし
図20参照)。折り畳まれた段ボール材3のうち、相互に重なり接着された部分が、板部15となり、板部15を相互に連結した部分が、連結部39となる。ここでは、5つの板部15を備えた緩衝材1Dを製造するため、段ボール材3は、4回巻かれる。なお、段ボール材3は、4回巻かれる構成に限定されず、4回より少ない数または4回より多い数巻かれる構成でもよい。
【0036】
段ボール材3には、連結部39として、第1板部15aと第5板部15eとを連結する連結部39と、第5板部15eと第2板部15bとを連結する連結部39と、第2板部15bと第4板部15dとを連結する連結部39と、第4板部15dと第3板部15cとを連結する連結部39とが含まれる。これら4つの連結部39のうち、第1板部15aと第5板部15eとを連結する連結部39と、第2板部15bと第4板部15dとを連結する連結部39とは、折り畳まれた段ボール材3の一方の端部に形成される。また、第5板部15eと第2板部15bとを連結する連結部39と、第4板部15dと第3板部15cとを連結する連結部39とは、折り畳まれた段ボール材3の他方の端部に形成される。
【0037】
ステップS14において、緩衝材製造装置は、折り畳まれた段ボール材3から4つの連結部39を切り落とす(
図21参照)。すなわち、緩衝材製造装置は、段ボール材3のうち、連結部39が2つずつ設けられた両端部を切り落とす。以上のようにして、緩衝材製造装置は、緩衝材1Dを製造する。
【0038】
ここで、緩衝材1Dとは異なり、
図22に示す緩衝材1Eでは、折り畳まれた段ボール材3から連結部39が切り落とされておらず、連結部39における流れ方向D1が、板部15における流れ方向D1とは異なっている。すなわち、板部15では、流れ方向D1が重なり方向D3に対して垂直となるが、連結部39では、流れ方向D1が重なり方向D3に対して平行となる。段ボール材3が衝撃により潰れる態様は、段ボール材3の流れ方向D1に依存する。このため、緩衝材1Eように、流れ方向D1が板部15における流れ方向D1とは異なる部分が存在すると、当該部分は、板部15とは異なる態様で衝撃により潰れることになるため、緩衝材1Eが理論通りに緩衝機能を発揮できない要因となる。これに対し、緩衝材1Dでは、折り畳まれた段ボール材3から連結部39が切り落とされていることから、板部15とは異なる態様で衝撃により潰れる部分が削減される。このため、緩衝材1Dに理論値に近い緩衝機能を発揮させることができる。
【0039】
[付記]
以下、緩衝材および緩衝材の製造方法について付記する。
緩衝材は、第1ライナーと、第2ライナーと、第1ライナーおよび第2ライナーの間に設けられた中芯と、を有する段ボール材、を備え、段ボール材は、蛇腹状に折り畳まれている。
【0040】
この構成によれば、段ボール材を蛇腹状に折り畳むことで、緩衝材を製造することができる。このため、余分の緩衝材が生じることを抑制することができる。また、製造工程において、大型のカッターを用いることを回避することができる。
【0041】
この場合、段ボール材は、複数の板部と、複数の板部の相互間を連結し、複数の板部が相互に重なるように折り曲げられた折曲げ部と、を有し、折曲げ部において、第1ライナーおよび第2ライナーのうち外側となるライナーが、折曲げ部に沿って切断されていることが好ましい。
【0042】
この構成によれば、緩衝材において、流れ方向が板部における流れ方向とは異なる部分が存在することを抑制することができる。このため、緩衝材に理論値に近い緩衝機能を発揮させることができる。
【0043】
この場合、段ボール材は、複数の板部と、複数の板部の相互間を連結し、複数の板部が相互に重なるように折り曲げられた折曲げ部と、を有し、複数の板部は、相互に接着されていることが好ましい。
【0044】
この構成によれば、複数の板部が相互に接着されていることで、段ボール材を蛇腹状に折り畳まれた状態に維持することができる。
【0045】
この場合、段ボール材は、複数の板部と、複数の板部の相互間を連結し、複数の板部が相互に重なるように折り曲げられた折曲げ部と、を有し、複数の板部が重なった重なり方向において、段ボール材の両端部と係合し、段ボール材を折り畳まれた状態に保持する保持部材、を備えたことが好ましい。
【0046】
この構成によれば、保持部材により段ボール材を保持することで、段ボール材を蛇腹状に折り畳まれた状態に維持することができる。
【0047】
緩衝材の製造方法は、第1ライナーと、第2ライナーと、第1ライナーおよび第2ライナーの間に設けられた中芯と、を有し、板状に形成された段ボール材を、蛇腹状に折り畳むステップ、を備えた。
【0048】
この構成によれば、段ボール材を蛇腹状に折り畳むことで、緩衝材を製造することができる。このため、余分の緩衝材が生じることを抑制することができる。また、製造工程において、大型のカッターを用いることを回避することができる。
【0049】
この場合、段ボール材を蛇腹状に折り畳む前に、第1ライナーおよび第2ライナーの少なくとも一方に切れ目を形成するステップ、を備え、段ボール材を蛇腹状に折り畳むステップでは、切れ目が外側となるように切れ目に沿って段ボール材を折り曲げることで、段ボール材を蛇腹状に折り畳むことが好ましい。
【0050】
この構成によれば、緩衝材において、流れ方向が板部における流れ方向とは異なる部分が存在することを抑制することができる。このため、緩衝材に理論値に近い緩衝機能を発揮させることができる。
【0051】
緩衝材の製造方法は、第1ライナーと、第2ライナーと、第1ライナーおよび第2ライナーの間に設けられた中芯と、を有し、板状に形成された段ボール材の第1面に、接着剤を設けるステップと、段ボール材を、段ボール材の端部から巻くように折り畳むステップと、を備えた。
【0052】
この構成によれば、段ボール材を流れ方向に巻くように折り畳むことで、緩衝材を製造することができる。このため、余分の緩衝材が生じることを抑制することができる。また、製造工程において、大型のカッターを用いることを回避することができる。
【0053】
この場合、折り畳まれた段ボール材は、相互に重なり接着された複数の板部と、複数の板部を相互に連結した連結部と、を含み、折り畳まれた段ボール材から、連結部を切り落とすステップ、を備えたことが好ましい。
【0054】
この構成によれば、緩衝材において、流れ方向が板部における流れ方向とは異なる部分が存在することを抑制することができる。このため、緩衝材に理論値に近い緩衝機能を発揮させることができる。
【符号の説明】
【0055】
1A:緩衝材、1B:緩衝材、1C:緩衝材、1D:緩衝材、1E:緩衝材、3:段ボール材、3W:段ボール材、5:第1ライナー、7:第2ライナー、9:中芯、9a:第1中芯、9b:第2中芯、11:第1面、13:第2面、15:板部、15a:第1板部、15b:第2板部、15c:第3板部、15d:第4板部、15e:第5板部、17:折曲げ部、19:接着剤、21:切れ目、23:保持部材、39:連結部、D1:流れ方向、D3:重なり方向。