(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141339
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】積層体、包装袋、及び積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 7/12 20060101AFI20241003BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B32B7/12
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052929
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(72)【発明者】
【氏名】福永 悟大
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AA23
3E086AB01
3E086AC07
3E086AD01
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3E086BB02
3E086BB05
3E086BB51
3E086BB71
3E086CA01
3E086CA35
4F100AA01A
4F100AA01D
4F100AK07A
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4F100JJ03
4F100JL11
(57)【要約】
【課題】フィルム同士が無溶剤型の接着剤で貼り合わされた、強度物性に優れる積層体を提供すること。
【解決手段】片面に印刷層22が形成された第一延伸フィルム2の印刷層22とは反対側に、第一接着剤51を介して第二延伸フィルム3を配置する延伸フィルムラミネート工程と、第一延伸フィルム2の印刷層22側に、第二接着剤61を介して無延伸フィルム4を配置する無延伸フィルムラミネート工程と、を備える、積層体の製造方法。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
片面に印刷層が形成された第一延伸フィルムと、
前記第一延伸フィルムの前記印刷層とは反対側に配置された第一接着剤層と、
前記第一延伸フィルムの前記印刷層側に配置された第二接着剤層と、
前記第一延伸フィルムの前記印刷層とは反対側に、前記第一接着剤層を介して配置された第二延伸フィルムと、
前記第一延伸フィルムの前記印刷層側に、前記第二接着剤層を介して配置された無延伸フィルムと、を備える、
積層体。
【請求項2】
前記第一接着剤層及び前記第二接着剤層は、無溶剤型の接着剤の硬化物である、
請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記第一接着剤層及び前記第二接着剤層は、無溶剤型の2液硬化型ポリウレタン系接着剤の硬化物である、
請求項1に記載の積層体。
【請求項4】
前記第一延伸フィルム及び前記第二延伸フィルムの少なくとも一方は、ガスバリア性を有する、
請求項1に記載の積層体。
【請求項5】
前記第一延伸フィルム及び前記第二延伸フィルムの少なくとも一方は、無機蒸着層を有する、
請求項1に記載の積層体。
【請求項6】
前記第一延伸フィルム及び前記第二延伸フィルムの少なくとも一方は、ナイロン、ポリプロピレン、及びポリエチレンテレフタレートの少なくとも一つを含む、
請求項1に記載の積層体。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載の積層体を含む包装フィルムを製袋してなる、包装袋。
【請求項8】
ボイル・レトルト用である、請求項7に記載の包装袋。
【請求項9】
片面に印刷層が形成された第一延伸フィルムの前記印刷層とは反対側に、第一接着剤を介して第二延伸フィルムを配置する延伸フィルムラミネート工程と、
前記第一延伸フィルムの前記印刷層側に、第二接着剤を介して無延伸フィルムを配置する無延伸フィルムラミネート工程と、を備える、
積層体の製造方法。
【請求項10】
前記延伸フィルムラミネート工程は、前記無延伸フィルムラミネート工程の後に行う、
請求項9に記載の積層体の製造方法。
【請求項11】
前記第一接着剤及び前記第二接着剤として、無溶剤型の接着剤を用いる、
請求項9に記載の積層体の製造方法。
【請求項12】
前記第一延伸フィルム及び前記第二延伸フィルムの少なくとも一方は、ガスバリア性を有する、
請求項9に記載の積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層体、包装袋、及び積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環境対応の一環として、ビン、缶からの置き換えのために、プラスチックフィルムを用いた包装袋(例えば軟包袋)が普及している。軟包袋は多くの場合、その性能、例えば強度、耐水性、耐透湿性、酸素を始めとしたガスバリア性及び耐熱性等、を向上させるために2枚以上のフィルムを接着剤で貼り合わせた積層体からなっている。
【0003】
包装袋が印刷層を含む場合、印刷層は、通常、摩耗によるインキの削れ防止、複数の包装袋を重ねた際のインキ転写防止等の観点から、該包装袋を構成する積層体の内面に設けられ、外層/印刷層/接着剤層/中間層/接着剤層/内層とした積層体が一般的に知られている(例えば特許文献1等参照)。
【0004】
軟包袋の利用範囲の拡大に伴い、フィルムを貼り合わせる接着剤の性能向上が図られており、例えば特許文献2ではボイル可能な積層体を形成し得る無溶剤型の接着剤組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004―238050
【特許文献2】特許第7030271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常、印刷層を形成する際には絵柄を表現するために複数の色のインキを重ねて印刷するが、この場合、インキの重なりが多い部分とインキの重なりが少ない部分との間に段差が生じる。接着剤の塗工面となるフィルム表面に上記のような段差が存在する場合は、一般的なラミネーションで使用する接着剤の塗工量では上記段差を埋め切れず接着剤を均一に塗工し難くなる。このため、接着不良や段差部への気泡の噛み込み、ゆず肌といった外観不良が発生しやすい。
【0007】
特に無溶剤型の接着剤は一般に粘度が高いため、積層体の製造工程において接着剤内に含まれる気泡が系外に逃げ切れず、接着後(硬化反応後)の接着剤、すなわち接着剤層内に残存しやすい。このような気泡は見た目の外観が悪くなるだけでなく、ラミネート強度、衝撃強度等の強度物性の低下の原因となる。
【0008】
本開示は、かかる課題を解決するためになされたものであって、外観及び強度物性に優れる積層体を提供することを目的とする。また、その積層体を含む包装袋を提供することを目的とする。また、その積層体を製造する積層体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らが上記課題について鋭意研究を行った結果、接着剤内に含まれる気泡は、フィルム間に挟み込まれた後も接着剤が流動することで気泡サイズが大きくなりやすく、その結果、気泡がフィルムから抜けにくくなることを見出した。また、特に延伸フィルム同士の貼り合わせにおいて特に顕著に接着剤が流動しやすいことを見出した。このような知見から、フィルム表面上に印刷層による段差があっても、延伸フィルムと無延伸フィルムとを貼り合わせることで、接着剤の流動を抑えることができ、その結果、気泡サイズの大径化を抑制して、気泡がフィルムから抜けやすくできることを見出した。本開示は、当該知見に基づきなされたものである。すなわち、本開示は、以下の[1]~[13]を提供する。
【0010】
[1] 片面に印刷層が形成された第一延伸フィルムと、第一延伸フィルムの印刷層とは反対側に配置された第一接着剤層と、第一延伸フィルムの印刷層側に配置された第二接着剤層と、第一延伸フィルムの印刷層とは反対側に、第一接着剤層を介して配置された第二延伸フィルムと、第一延伸フィルムの印刷層側に、第二接着剤層を介して配置された無延伸フィルムと、を備える、積層体。
【0011】
この積層体では、印刷層が形成された第一延伸フィルムの両側に第二延伸フィルム及び無延伸フィルムが配置されているため、印刷層の削れ、印刷層の転写等の発生を抑制できる。ここで、第一延伸フィルムの印刷層側では、印刷層による段差が形成されている。しかしながら、第一延伸フィルムの印刷層側に、第二接着剤層を介して無延伸フィルムが配置されているため、積層体の製造において第一延伸フィルムと無延伸フィルムとを貼り合わせる際に、第二接着剤層となる第二接着剤の流動が抑制されて、接着剤内に含まれる気泡が印刷層の段差から排出されやすくなるとともに、印刷層の段差が接着剤で埋まりやすくなる。このため、強度物性及び外観に優れたものとすることができる。
【0012】
[2] 第一接着剤層及び第二接着剤層は、無溶剤型の接着剤の硬化物である、[1]に記載の積層体。
【0013】
[3] 第一接着剤層及び第二接着剤層は、無溶剤型の2液硬化型ポリウレタン系接着剤の硬化物である、[1]に記載の積層体。
【0014】
2液硬化型ポリウレタン系接着剤等の無溶剤型の接着剤は、溶剤型の接着剤に比べて粘度が高い。しかしながら、第一接着剤層及び第二接着剤層が2液硬化型ポリウレタン系接着剤等の無溶剤型の接着剤の硬化物であっても、第一延伸フィルムの印刷層側に、第二接着剤層を介して無延伸フィルムが配置されていることで、積層体の製造において第二接着剤層となる接着剤の流動が抑制されて、接着剤内に含まれる気泡が印刷層の段差から排出されやすくなるとともに、印刷層の段差が接着剤で埋まりやすくなる。これにより、強度物性及び外観に優れたものとすることができる。
【0015】
[4] 第一延伸フィルム及び第二延伸フィルムの少なくとも一方は、ガスバリア性を有する、[1]~[3]の何れか一つに記載の積層体。
【0016】
[5] 第一延伸フィルム及び第二延伸フィルムの少なくとも一方は、無機蒸着層を有する、[1]~[4]の何れか一つに記載の積層体。
【0017】
フィルムがガスバリア性又は無機蒸着層を有すると、気泡はフィルムを透過し難い。しかしながら、第一延伸フィルム及び第二延伸フィルムの少なくとも一方がガスバリア性又は無機蒸着層を有しても、第一延伸フィルムの印刷層側に、第二接着剤層を介して無延伸フィルムが貼り合わされているため、積層体の製造において第二接着剤層となる接着剤の流動が抑制されて、接着剤内に含まれる気泡が印刷層の段差から排出されやすくなるとともに、印刷層の段差が接着剤で埋まりやすくなる。このため、強度物性及び外観に優れたものとすることができる。
【0018】
[6] 第一延伸フィルム及び第二延伸フィルムの少なくとも一方は、ナイロン、ポリプロピレン、及びポリエチレンテレフタレートの少なくとも一つを含む、[1]~[5]の何れか一つに記載の積層体。
【0019】
[7] [1]~[6]の何れか一つに記載の積層体を含む包装フィルムを製袋してなる、包装袋。
【0020】
[8] ボイル・レトルト用である、[7]に記載の包装袋。
【0021】
[9] 片面に印刷層が形成された第一延伸フィルムの印刷層とは反対側に、第一接着剤を介して第二延伸フィルムを配置する延伸フィルムラミネート工程と、第一延伸フィルムの印刷層側に、第二接着剤を介して無延伸フィルムを配置する無延伸フィルムラミネート工程と、を備える、積層体の製造方法。
【0022】
この積層体の製造方法では、印刷層が形成された第一延伸フィルムの両側に第二延伸フィルム及び無延伸フィルムを配置するため、印刷層の削れ、印刷層の転写等の発生を抑制できる。ここで、第一延伸フィルムの印刷層側では、印刷層による段差が形成されている。しかしながら、第一延伸フィルムの印刷層側に、第二接着剤を介して無延伸フィルムを配置するため、第二接着剤の流動が抑制されて、接着剤内に含まれる気泡が印刷層の段差から排出されやすくなるとともに、印刷層の段差が接着剤で埋まりやすくなる。このため、強度物性及び外観に優れる積層体を得ることができる。
【0023】
[10] 延伸フィルムラミネート工程は、無延伸フィルムラミネート工程の後に行う、[9]に記載の積層体の製造方法。この製造方法では、無延伸フィルムラミネート工程の後に延伸フィルムラミネート工程を行うことで、より外観に優れる積層体を得ることができる。
【0024】
[11] 第一接着剤及び第二接着剤として、無溶剤型の接着剤を用いる、[9]又は[10]に記載の積層体の製造方法。無溶剤型の接着剤は、溶剤型の接着剤に比べて粘度が高い。しかしながら、第一接着剤及び第二接着剤として無溶剤型の接着剤を用いても、第一延伸フィルムの印刷層側に、第二接着剤を介して無延伸フィルムを配置することで、第二接着剤の流動が抑制されて、接着剤内に含まれる気泡が印刷層の段差から排出されやすくなるとともに、印刷層の段差が接着剤で埋まりやすくなる。このため、強度物性及び外観に優れる積層体を得ることができる。
【0025】
[12] 第一延伸フィルム及び第二延伸フィルムの少なくとも一方は、ガスバリア性を有する、[9]~[11]の何れか一つに記載の積層体の製造方法。ガスバリア性を有するフィルムは、気泡を透過させない。しかしながら、第一延伸フィルム及び第二延伸フィルムの少なくとも一方がガスバリア性を有しても、第一延伸フィルムの印刷層側に、第二接着剤を介して無延伸フィルムを配置することで、第二接着剤の流動が抑制されて、接着剤内に含まれる気泡が印刷層の段差から排出されやすくなるとともに、印刷層の段差が接着剤で埋まりやすくなる。このため、強度物性及び外観に優れる積層体を得ることができる。
【発明の効果】
【0026】
本開示によれば、外観及び強度物性に優れる積層体を提供することができる。また、本開示によれば、その積層体を含む包装袋を提供することができる。また、本開示によれば、その積層体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本開示の積層体の一実施形態を示す模式断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す積層体における第一延伸フィルムを拡大して示す模式断面図である。
【
図3】
図3は、積層体の製造方法を示す模式断面図である。
【
図4】
図4は、積層体の製造方法を示す模式断面図である。
【
図5】
図5は、積層体の製造方法を示す模式断面図である。
【
図6】
図6は、実施例1~5の積層体を示す模式断面図である。
【
図7】
図7は、比較例1~4の積層体を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書中、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。また、具体的に明示する場合を除き、「~」の前後に記載される数値の単位は同じである。本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。また、個別に記載した上限値及び下限値は任意に組み合わせ可能である。
【0029】
以下、場合により図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。ただし、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0030】
<積層体>
図1は、本開示の積層体の一実施形態を示す模式断面図である。
図1に示す積層体1は、第一延伸フィルム2と、第二延伸フィルム3と、無延伸フィルム4と、が積層されてなる積層体である。積層体1は、第一延伸フィルム2と第二延伸フィルム3とを接着する第一接着剤層5と、第一延伸フィルム2と無延伸フィルム4とを接着する第二接着剤層6と、を備える。積層体1では、無延伸フィルム4、第二接着剤層6、第一延伸フィルム2、第一接着剤層5、及び第二延伸フィルム3が、この順で積層されている。積層体1の厚さは、例えば、30~100μmである。
【0031】
(第一延伸フィルム)
図2は、
図1に示す積層体における第一延伸フィルムを拡大して示す模式断面図である。
図1及び
図2に示されるように、第一延伸フィルム2は、延伸フィルムである基材フィルム21と、該基材フィルム21上に形成された印刷層22と、を有する。すなわち、第一延伸フィルム2は、印刷層22付きフィルムということができる。基材フィルム21上には、印刷層22が形成されない領域が存在していてもよい。すなわち、印刷層22は、基材フィルム21上の少なくとも一部に設けられていてもよい。
【0032】
基材フィルム21は、その上に印刷層22を形成可能なフィルムであればよく、例えば、二軸延伸樹脂フィルム等の樹脂フィルムである。樹脂フィルムは、通常、印刷層22による絵柄を表示可能なように透明性を有している。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレ-ト、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、エチレン-ビニルアルコール共重合体などの少なくとも一つを二軸延伸したフィルム、これらの2以上のフィルムを積層した複合フィルム等を用いることができる。基材フィルム21は、アルミ箔、金属蒸着層、無機酸化物の透明蒸着層(無機酸化物の蒸着層)等のバリア層を含んでいてもよい。すなわち、第一延伸フィルム2は、印刷層22を含むバリアフィルムであってもよい。また、用途に応じて、基材フィルム21は、隠蔽層などの他の機能層を含んでいてもよい。
【0033】
基材フィルム21の厚さは、例えば、10~60μmである。
【0034】
印刷層22は、1色又は2色以上の色インキで形成された層である。なお、印刷に使用される材料としての色インキと、印刷後の層に含まれる色インキとは、乾燥、硬化等の層形成プロセスの影響により組成が異なる場合があるが、本明細書では、便宜的にこれらを総称して色インキと呼ぶ。
【0035】
色インキは、例えば、顔料とバインダー樹脂とを含む。色インキとしては、一般的なグラビアインキやフレキソインキ、オフセットインキ、デジタル印刷用インキ、を用いることができる。色インキが油性グラビアインキである場合、バインダー樹脂としては、ウレタン樹脂と塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂の混合体等が挙げられる。色インキは、顔料及びバインダー樹脂以外の各種添加剤、並びに、溶媒(例えば、揮発性有機溶媒)を含んでいてもよい。色インキとしては、例えば、植物油インキ、バイオマスインキ等を用いることもできる。
【0036】
(第二延伸フィルム)
第二延伸フィルム3は、第一延伸フィルム2の印刷層22とは反対側に、第一接着剤層5を介して配置されている。つまり、第二延伸フィルム3は、第一接着剤層5により、第一延伸フィルム2の印刷層22とは反対側の面に貼り付けられている。
【0037】
第二延伸フィルム3は、包装袋に使用される公知の耐衝撃フィルムが挙げられる。耐衝撃フィルムとしては、例えば、二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。
【0038】
第二延伸フィルム3の厚さは、例えば、15~30μmである。
【0039】
(無延伸フィルム)
無延伸フィルム4は、第一延伸フィルム2の印刷層22側に、第二接着剤層6を介して配置されている。つまり、無延伸フィルム4は、第二接着剤層6により、第一延伸フィルム2の印刷層22側の面に貼り付けられている。無延伸フィルム4としては、例えば、無延伸ポリプロピレンフィルム、無延伸ポリエチレンフィルム等が挙げられる。
【0040】
無延伸フィルム4の厚さは、例えば、15~60μmである。
(第一接着剤層及び第二接着剤層)
【0041】
第一接着剤層5及び第二接着剤層6は、無機溶剤型等の接着剤により得られる塗膜の硬化物である。第一接着剤層5は、例えば、第二延伸フィルム3の少なくとも一方の面に接着剤を塗工して、第二延伸フィルム3と第一延伸フィルム2の印刷層22とは反対側の面とを貼り合せ、その後に接着剤を硬化させることで、形成することができる。第二接着剤層6は、例えば、無延伸フィルム4の少なくとも一方の面に接着剤を塗工して、無延伸フィルム4と第一延伸フィルム2の印刷層22側の面とを貼り合せ、その後に接着剤を硬化させることで、形成することができる。
【0042】
無溶剤型の接着剤としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール等の主剤に、硬化剤として2官能基以上の芳香族系又は脂肪族系イソシアネート化合物を作用させる、2液硬化型ポリウレタン系接着剤が挙げられる。このような接着剤では、加熱等により各成分が反応して(例えば、主剤の水酸基と硬化剤のイソシアネート基とが反応して)硬化することで、接着剤層が形成される。すなわち、接着剤層は、無溶剤型接着剤である2液硬化型ポリウレタン系接着剤の(反応)硬化物である。接着剤層が溶剤型接着剤ではなく無溶剤型接着剤を用いて形成されたことは、例えばフーリエ変換赤外分光法により分析することができる。
【0043】
第一接着剤層5の厚さは、例えば、0.3~5.0μmである。第二接着剤層6の厚さは、例えば、0.3~5.0μmである。第一延伸フィルム2において、基材フィルム21上に印刷層22が形成されない領域が存在する場合、第二接着剤層6の厚さは、基材フィルム21から無延伸フィルム4に至る厚さである。第一延伸フィルム2において、基材フィルム21上に印刷層22が形成されない領域が存在しない場合、第二接着剤層6の厚さは、印刷層22の最も低い位置から無延伸フィルム4に至る厚さである。何れの場合も、第一接着剤層5の厚さと第二接着剤層6の厚さとは、同程度とすることができる。
【0044】
無溶剤型接着剤は、溶剤型接着剤と比較して、溶剤を使用しないことによる製造プロセスの環境負荷を低減でき、また薄く塗工することができるが、濡れ性が悪く、複数のフィルムを貼り合わせる際、特に接着剤の塗工面となるフィルム表面上に段差が存在する場合はフィルム間に気泡が残存しやすい特徴がある。
【0045】
特に第一延伸フィルム2及び/又は第二延伸フィルム3に、バリア性の向上を目的として無機蒸着層が設けられている場合、気泡内の空気やガスが無機蒸着層を透過し難いため、フィルムを通過して気泡を脱離させることがより難しくなる。
【0046】
本発明者らは、接着剤内に含まれる気泡は、フィルム間に挟み込まれた後も接着剤が流動することで気泡サイズが大きくなりやすく、その結果、気泡がフィルムから抜けにくくなることを見出した。また、特に延伸フィルム同士の貼り合わせにおいて特に顕著に接着剤が流動しやすいことを見出した。このような知見から、フィルム表面上に印刷層による段差があっても、延伸フィルムと無延伸フィルムとを貼り合わせることで、接着剤の流動を抑えることができ、その結果、気泡サイズの大径化を抑制して、気泡がフィルムから抜けやすくできることを見出した。本開示は、当該知見に基づきなされたものである。
【0047】
なお、従来の積層体の製造方法や構成では、無溶剤型接着剤を用いて接着剤層を形成した場合、フィルムの表面の段差に起因して外観不良や接着不良が生じることがあったが、本実施形態では、無溶剤型接着剤を用いて接着剤層を形成した場合でも、良好な外観及び優れた接着強度を得ることができる。
【0048】
以上説明した積層体1は、例えば、内容物を包装するための包装袋(例えば軟包袋)を形成するために好適に用いることができる。具体的には、無延伸フィルム同士を貼り合わせて製袋加工することで包装袋を製造することができる。内容物としては、液体調味料、トイレタリー用品、スープ、液体洗剤等の液状物、煮物等の固形物、カレー等の液状物と固形物との固液混合物などが挙げられる。
【0049】
<積層体の製造方法>
本開示の積層体の製造方法は、片面に印刷層が形成された第一延伸フィルムの印刷層とは反対側に、第一接着剤を介して第二延伸フィルムを配置する延伸フィルムラミネート工程と、第一延伸フィルムの印刷層側に、第二接着剤を介して無延伸フィルムを配置する無延伸フィルムラミネート工程と、を備える。無延伸フィルムラミネート工程は、例えば、延伸フィルムラミネート工程の前に行う。
【0050】
以下、
図3~
図5を参照しながら積層体の製造方法の一例について説明する。
【0051】
図3~
図5は、積層体の製造方法を示す模式断面図である。
図3~
図5に示す積層体の製造方法は、基材フィルム21上に色インキ層を含む印刷層22を形成して第一延伸フィルム2を得る工程(i)と、第一延伸フィルム2の印刷層22側に、第二接着剤61を介して無延伸フィルム4を配置する工程(ii)と、第一延伸フィルム2の印刷層22とは反対側に、第一接着剤51を介して第二延伸フィルム3を配置する工程(iii)と、を備える。
【0052】
(工程(i))
工程(i)では、まず、基材フィルム21上に色インキ層を含む印刷層22を形成して、第一延伸フィルム2を作製する(
図3参照)。色インキの使用量及び色の種類は、表現する絵柄の種類に応じて設定してよい。色インキの乾燥条件も特に限定されず、色インキに含まれる溶媒の量に応じて設定してよい。
【0053】
(工程(ii))
工程(ii)では、第一延伸フィルム2の印刷層22上に無溶剤型の第二接着剤61を介して無延伸ポリエチレンまたは無延伸ポリプロピレンフィルムである無延伸フィルム4を配置する。具体的には、まず、無延伸フィルム4上に第二接着剤61を配置(塗工)する(
図3参照)。次いで、第二接着剤61上に第一延伸フィルム2の印刷層22側の面を配置する(
図3及び
図4参照)。
【0054】
(工程(iii))
工程(iii)では、第一延伸フィルム2の印刷層22とは反対側の面に第一接着剤51を介して第二延伸フィルム3を配置する。具体的には、まず、第二延伸フィルム3上に第一接着剤51を配置(塗工)する(
図4参照)。次いで、第一接着剤51上に第一延伸フィルム2の印刷層22とは反対側の面を配置する。(
図4及び
図5参照)。
【0055】
<包装袋>
本開示の一実施形態に係る包装袋(不図示)は、上記実施形態の積層体1を含む包装フィルム(不図示)を製袋してなる包装袋(例えば軟包袋)である。包装袋としては、例えば、平パウチ形状の包装袋や、自立性包装袋(スタンディングパウチ)などが挙げられる。このような包袋袋は、ボイル・レトルト用であってもよい。
【0056】
平パウチ形状の包装袋は、例えば、1枚の包装フィルムを、無延伸フィルム4が対向するように二つ折りにした後、3方をヒートシールすることによって袋形状にしたものであってよく、2枚の包装フィルムを、無延伸フィルム4が対向するように重ねた後、4方をヒートシールすることによって袋形状としたものであってもよい。
【0057】
このように、本実施形態に係る積層体1では、印刷層22が形成された第一延伸フィルム2の両側に第二延伸フィルム3及び無延伸フィルム4が配置されているため、印刷層22の削れ、印刷層22の転写等の発生を抑制できる。ここで、第一延伸フィルム2の印刷層22側では、印刷層22による段差が形成されている。しかしながら、第一延伸フィルム2の印刷層22側に、第二接着剤層6を介して無延伸フィルム4が配置されているため、積層体1の製造において第一延伸フィルム2と無延伸フィルム4とを貼り合わせる際に、第二接着剤層6となる第二接着剤61の流動が抑制されて、接着剤内に含まれる気泡が印刷層22の段差から排出されやすくなるとともに、印刷層22の段差が接着剤で埋まりやすくなる。このため、強度物性及び外観に優れたものとすることができる。
【0058】
また、2液硬化型ポリウレタン系接着剤等の無溶剤型の接着剤は、溶剤型の接着剤に比べて粘度が高い。しかしながら、第一接着剤層5及び第二接着剤層6が2液硬化型ポリウレタン系接着剤等の無溶剤型の接着剤の硬化物であっても、第一延伸フィルム2の印刷層22側に、第二接着剤層6を介して無延伸フィルム4が配置されていることで、積層体1の製造において第二接着剤層6となる第二接着剤61の流動が抑制されて、接着剤内に含まれる気泡が印刷層22の段差から排出されやすくなるとともに、印刷層22の段差が接着剤で埋まりやすくなる。これにより、強度物性及び外観に優れたものとすることができる。
【0059】
また、フィルムがガスバリア性又は無機蒸着層を有すると、気泡はフィルムを透過し難い。しかしながら、第一延伸フィルム2及び第二延伸フィルム3の少なくとも一方がガスバリア性又は無機蒸着層を有しても、第一延伸フィルム2の印刷層22側に、第二接着剤層6を介して無延伸フィルム4が貼り合わされているため、積層体1の製造において第二接着剤層6となる第二接着剤61の流動が抑制されて、接着剤内に含まれる気泡が印刷層22の段差から排出されやすくなるとともに、印刷層22の段差が接着剤で埋まりやすくなる。このため、強度物性及び外観に優れたものとすることができる。
【0060】
本実施形態に係る積層体の製造方法では、印刷層22が形成された第一延伸フィルム2の両側に第二延伸フィルム3及び無延伸フィルム4を配置するため、印刷層22の削れ、印刷層22の転写等の発生を抑制できる。ここで、第一延伸フィルム2の印刷層22側では、印刷層22による段差が形成されている。しかしながら、第一延伸フィルム2の印刷層22側に、第二接着剤61を介して無延伸フィルム4を配置するため、第二接着剤61の流動が抑制されて、接着剤内に含まれる気泡が印刷層22の段差から排出されやすくなるとともに、印刷層22の段差が接着剤で埋まりやすくなる。このため、強度物性及び外観に優れる積層体1を得ることができる。
【0061】
また、この積層体の製造方法では、無延伸フィルムラミネート工程を延伸フィルムラミネート工程の前に行うことで、より外観に優れる積層体を得ることができる。
【0062】
また、無溶剤型の接着剤は、溶剤型の接着剤に比べて粘度が高い。しかしながら、第一接着剤51及び第二接着剤61として無溶剤型の接着剤を用いても、第一延伸フィルム2の印刷層22側に、第二接着剤61を介して無延伸フィルム4を配置することで、第二接着剤61の流動が抑制されて、接着剤内に含まれる気泡が印刷層22の段差から排出されやすくなるとともに、印刷層22の段差が接着剤で埋まりやすくなる。このため、強度物性及び外観に優れる積層体1を得ることができる。
【0063】
また、ガスバリア性を有するフィルムは、気泡を透過させない。しかしながら、第一延伸フィルム2及び第二延伸フィルム3の少なくとも一方がガスバリア性を有しても、第一延伸フィルム2の印刷層22側に、第二接着剤61を介して無延伸フィルム4を配置することで、第二接着剤61の流動が抑制されて、接着剤内に含まれる気泡が印刷層22の段差から排出されやすくなるとともに、印刷層22の段差が接着剤で埋まりやすくなる。このため、強度物性及び外観に優れる積層体1を得ることができる。
【0064】
以上、本開示の積層体、包装袋、及び積層体の製造方法の一実施形態について説明したが、本開示の積層体、包装袋、及び積層体の製造方法は上記実施形態に限定されない。
【0065】
例えば、上記実施形態では、積層体の製造方法の一例を示したが、無延伸フィルムラミネート工程は、延伸フィルムラミネート工程の後に行ってもよい。また、無延伸フィルムラミネート工程では、第一延伸フィルムの印刷層側の面と第二接着剤とが対向するように第一延伸フィルム上に第二接着剤を配置してから、第二接着剤上に無延伸フィルムを配置してもよい。また、延伸フィルムラミネート工程では、第二延伸フィルム上に第一接着剤を配置してから、第一接着剤と第一延伸フィルムの印刷層とは反対側の面とが対向するように第一接着剤上に第一延伸フィルムを配置してもよい。
【実施例0066】
本開示を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本開示はこれらの例に限定されるものではない。
【0067】
<実施例1~5>
図6は、実施例1~5の積層体を示す模式断面図である。
図6に示すように、実施例1~5では、延伸フィルムであるONYフィルム「ONMB-RT」(ユニチカ株式会社製)上に印刷層を形成した印刷済みONYフィルムと、無延伸フィルムである無延伸ポリプロピレンフィルム「ZK207」(東レフィルム加工株式会社製)と、延伸フィルムである透明蒸着バリアフィルム「GL-ARH」(凸版印刷株式会社製)と、を用いて、表1に示す順序で実施例1~5の積層体を製造した。
図6及び表1では、ONYフィルムを「ONY」、印刷層を「ink」、無延伸ポリプロピレンフィルムを「CPP」、接着剤を「adh」、接着剤の硬化物である接着剤層を「ADH」、透明蒸着バリアフィルムを「PET」として示した。
【0068】
【0069】
(実施例1)
表1に示すように、実施例1では、第一工程として、ONYフィルム(ONY)上に印刷層(ink)を形成して、印刷済みONYフィルム(ONY/ink)を得た。印刷層(ink)は、ONYフィルム(ONY)上に、色インキをグラビア印刷することにより形成した。色インキとしては、東洋インキ株式会社製の「リオアルファ白」、「リオアルファ黄」及び「リオアルファ藍」を使用した。
【0070】
実施例1では、第一工程に続く第二工程として、印刷済みONYフィルム(ONY/ink)の印刷層(ink)側の面に無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)をラミネート加工した。このラミネート加工では、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)上に無溶剤型接着剤「TSN-4864A / TSN-4864B3」(東洋モートン株式会社製)(adh)を塗工し、その後、無溶剤型接着剤(adh)と印刷済みONYフィルム(ONY/ink)の印刷層(ink)側の面とを対向させて、印刷済みONYフィルム(ONY/ink)の印刷層(ink)側の面に無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)を貼り合わせた。無溶剤型接着剤(adh)は、塗工量が2g/m2となるようにロールコーターを用いて塗工した。
【0071】
実施例1では、第二工程に続く第三工程として、印刷済みONYフィルム(ONY/ink)の印刷層(ink)とは反対側の面に透明蒸着バリアフィルム(PET)をラミネート加工した。このラミネート加工では、印刷済みONYフィルム(ONY/ink)の印刷層(ink)とは反対側の面に無溶剤型接着剤「TSN-4864A / TSN-4864B3」(東洋モートン株式会社製)(adh)を塗工し、その後、透明蒸着バリアフィルム(PET)に印刷済みONYフィルム(ONY/ink)の印刷層(ink)とは反対側の面を貼り合わせた。無溶剤型接着剤(adh)は、塗工量が2g/m2となるようにロールコーターを用いて塗工した。
【0072】
その後、無溶剤型接着剤(adh)を硬化させることで、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)と、無溶剤型接着剤(adh)が硬化してなる接着剤層(ADH)と、印刷済みONYフィルム(ONY/ink)と、無溶剤型接着剤(adh)が硬化してなる接着剤層(ADH)と、透明蒸着バリアフィルム(PET)と、がこの順で積層されてなる実施例1の積層体を得た。
【0073】
(実施例2)
実施例2では、第一工程として、実施例1と同様の方法で、印刷済みONYフィルム(ONY/ink)を得た。
【0074】
実施例2では、第一工程に続く第二工程として、実施例1と同様の方法で、印刷済みONYフィルム(ONY/ink)の印刷層(ink)側の面に無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)をラミネート加工した。
【0075】
実施例2では、第二工程に続く第三工程として、印刷済みONYフィルム(ONY/ink)の印刷層(ink)とは反対側の面に透明蒸着バリアフィルム(PET)をラミネート加工した。このラミネート加工では、透明蒸着バリアフィルム(PET)に無溶剤型接着剤「TSN-4864A / TSN-4864B3」(東洋モートン株式会社製)(adh)を塗工し、その後、印刷済みONYフィルム(ONY/ink)の印刷層(ink)とは反対側の面に透明蒸着バリアフィルム(PET)を貼り合わせた。無溶剤型接着剤(adh)は、塗工量が2g/m2となるようにロールコーターを用いて塗工した。
【0076】
その後、無溶剤型接着剤(adh)を硬化させることで、実施例1と同様の積層体を得た。
【0077】
(実施例3)
実施例3では、第一工程として、実施例1と同様の方法で、印刷済みONYフィルム(ONY/ink)を得た。
【0078】
実施例3では、第一工程に続く第二工程として、印刷済みONYフィルム(ONY/ink)の印刷層(ink)側の面に無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)をラミネート加工した。このラミネート加工では、印刷済みONYフィルム(ONY/ink)の印刷層(ink)側の面に無溶剤型接着剤「TSN-4864A / TSN-4864B3」(東洋モートン株式会社製)(adh)を塗工し、その後、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)に印刷済みONYフィルム(ONY/ink)の印刷層(ink)側の面を貼り合わせた。無溶剤型接着剤(adh)は、塗工量が2g/m2となるようにロールコーターを用いて塗工した。
【0079】
実施例3では、第二工程に続く第三工程として、印刷済みONYフィルム(ONY/ink)の印刷層(ink)とは反対側の面に透明蒸着バリアフィルム(PET)をラミネート加工した。このラミネート加工では、印刷済みONYフィルム(ONY/ink)の印刷層(ink)とは反対側の面に無溶剤型接着剤「TSN-4864A / TSN-4864B3」(東洋モートン株式会社製)(adh)を塗工し、その後、透明蒸着バリアフィルム(PET)に印刷済みONYフィルム(ONY/ink)の印刷層(ink)とは反対側の面を貼り合わせた。無溶剤型接着剤(adh)は、塗工量が2g/m2となるようにロールコーターを用いて塗工した。その後、無溶剤型接着剤(adh)を硬化させることで、実施例1と同様の積層体を得た。
【0080】
(実施例4)
実施例4では、第一工程として、実施例1と同様の方法で、印刷済みONYフィルム(ONY/ink)を得た。
【0081】
実施例4では、第一工程に続く第二工程として、印刷済みONYフィルム(ONY/ink)の印刷層(ink)とは反対側の面に透明蒸着バリアフィルム(PET)をラミネート加工した。このラミネート加工では、透明蒸着バリアフィルム(PET)上に無溶剤型接着剤「TSN-4864A / TSN-4864B3」(東洋モートン株式会社製)(adh)を塗工し、その後、印刷済みONYフィルム(ONY/ink)の印刷層(ink)とは反対側の面に透明蒸着バリアフィルム(PET)を貼り合わせた。無溶剤型接着剤(adh)は、塗工量が2g/m2となるようにロールコーターを用いて塗工した。
【0082】
実施例4では、第二工程に続く第三工程として、印刷済みONYフィルム(ONY/ink)の印刷層(ink)側の面に無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)をラミネート加工した。このラミネート加工では、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)上に無溶剤型接着剤「TSN-4864A / TSN-4864B3」(東洋モートン株式会社製)(adh)を塗工し、その後、無溶剤型接着剤(adh)と印刷済みONYフィルム(ONY/ink)の印刷層(ink)側の面とを対向させて、印刷済みONYフィルム(ONY/ink)の印刷層(ink)側の面に無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)を貼り合わせた。無溶剤型接着剤(adh)は、塗工量が2g/m2となるようにロールコーターを用いて塗工した。
【0083】
その後、無溶剤型接着剤(adh)を硬化させることで、実施例1と同様の積層体を得た。
【0084】
(実施例5)
実施例5では、第一工程として、実施例1と同様の方法で、印刷済みONYフィルム(ONY/ink)を得た。実施例5では、第一工程に続く第二工程として、実施例4と同様の方法で、印刷済みONYフィルム(ONY/ink)の印刷層(ink)とは反対側の面に透明蒸着バリアフィルム(PET)をラミネート加工した。
【0085】
実施例5では、第二工程に続く第三工程として、印刷済みONYフィルム(ONY/ink)の印刷層(ink)側の面に無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)をラミネート加工した。このラミネート加工では、無溶剤型接着剤(adh)と印刷済みONYフィルム(ONY/ink)の印刷層(ink)側の面に無溶剤型接着剤「TSN-4864A / TSN-4864B3」(東洋モートン株式会社製)(adh)を塗工し、その後、無溶剤型接着剤(adh)と印刷済みONYフィルム(ONY/ink)の印刷層(ink)側の面とを対向させて、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)に印刷済みONYフィルム(ONY/ink)の印刷層(ink)側の面を貼り合わせた。無溶剤型接着剤(adh)は、塗工量が2g/m2となるようにロールコーターを用いて塗工した。
【0086】
その後、無溶剤型接着剤(adh)を硬化させることで、実施例1と同様の積層体を得た。
【0087】
<比較例1~4>
図7は、比較例1~4の積層体を示す模式断面図である。
図7に示すように、比較例1~4では、延伸フィルムである透明蒸着バリアフィルム「GL-ARH」(凸版印刷株式会社製)上に印刷層を形成した印刷済み透明蒸着バリアフィルムと、無延伸フィルムである無延伸ポリプロピレンフィルム「ZK207」(東レフィルム加工株式会社製)と、延伸フィルムであるONYフィルム「ONMB-RT」(ユニチカ株式会社製)と、を用いて、表2に示す順序で比較例~4の積層体を製造した。
図7及び表2では、ONYフィルムを「ONY」、印刷層を「ink」、無延伸ポリプロピレンフィルムを「CPP」、接着剤を「adh」、接着剤の硬化物である接着剤層を「ADH」、透明蒸着バリアフィルムを「PET」として示した。
【0088】
【0089】
(比較例1)
表2に示すように、比較例1では、第一工程として、透明蒸着バリアフィルム(PET)上に印刷層(adh)を形成して、印刷済み透明蒸着バリアフィルムを(PET/ink)を得た。印刷層(ink)は、透明蒸着バリアフィルム(PET)上に、色インキをグラビア印刷することにより形成した。色インキとしては、東洋インキ株式会社製の「リオアルファ白」、「リオアルファ黄」及び「リオアルファ藍」を使用した。
【0090】
比較例1では、第一工程に続く第二工程として、印刷済み透明蒸着バリアフィルム(PET/ink)の印刷層(ink)側の面にONYフィルム(ONY)をラミネート加工した。このラミネート加工では、印刷済み透明蒸着バリアフィルム(PET/ink)の印刷層(ink)側の面に無溶剤型接着剤「TSN-4864A / TSN-4864B3」(東洋モートン株式会社製)(adh)を塗工し、その後、無溶剤型接着剤(adh)とONYフィルム(ONY)とを対向させて、ONYフィルム(ONY)に印刷済み透明蒸着バリアフィルム(PET/ink)の印刷層(ink)側の面を貼り合わせた。無溶剤型接着剤(adh)は、塗工量が2g/m2となるようにロールコーターを用いて塗工した。
【0091】
比較例1では、第二工程に続く第三工程として、印刷済み透明蒸着バリアフィルム(PET/ink)の印刷層(ink)とは反対側の面に無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)をラミネート加工した。このラミネート加工では、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)上に無溶剤型接着剤「TSN-4864A / TSN-4864B3」(東洋モートン株式会社製)(adh)を塗工し、その後、印刷済み透明蒸着バリアフィルム(PET/ink)の印刷層(ink)とは反対側の面に無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)を貼り合わせた。無溶剤型接着剤(adh)は、塗工量が2g/m2となるようにロールコーターを用いて塗工した。
【0092】
その後、無溶剤型接着剤(adh)を硬化させることで、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)と、無溶剤型接着剤(adh)が硬化してなる接着剤層(ADH)と、ONYフィルム(ONY)と、無溶剤型接着剤(adh)が硬化してなる接着剤層(ADH)と、印刷済み透明蒸着バリアフィルム(PET/ink)と、がこの順で積層されてなる比較例1の積層体を得た。
【0093】
(比較例2)
比較例2では、第一工程として、比較例1と同様の方法で、印刷済み透明蒸着バリアフィルムを(PET/ink)を得た。
【0094】
比較例2では、第一工程に続く第二工程として、印刷済み透明蒸着バリアフィルム(PET/ink)の印刷層(ink)側の面にONYフィルム(ONY)をラミネート加工した。このラミネート加工では、ONYフィルム(ONY)上に無溶剤型接着剤「TSN-4864A / TSN-4864B3」(東洋モートン株式会社製)(adh)を塗工し、その後、無溶剤型接着剤(adh)とONYフィルム(ONY)とを対向させて、印刷済み透明蒸着バリアフィルム(PET/ink)の印刷層(ink)側の面にONYフィルム(ONY)を貼り合わせた。無溶剤型接着剤(adh)は、塗工量が2g/m2となるようにロールコーターを用いて塗工した。
【0095】
比較例3では、第二工程に続く第三工程として、比較例2と同様の方法で、印刷済み透明蒸着バリアフィルム(PET/ink)の印刷層(ink)とは反対側の面に無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)をラミネート加工した。
【0096】
その後、無溶剤型接着剤(adh)を硬化させることで、比較例1と同じ積層体を得た。
【0097】
(比較例3)
比較例3では、第一工程として、比較例1と同様の方法で、印刷済み透明蒸着バリアフィルムを(PET/ink)を得た。
【0098】
比較例3では、第一工程に続く第二工程として、ONYフィルム(ONY)に無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)をラミネート加工した。このラミネート加工では、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)上に無溶剤型接着剤「TSN-4864A / TSN-4864B3」(東洋モートン株式会社製)(adh)を塗工し、その後、ONYフィルム(ONY)に無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)を貼り付けた。無溶剤型接着剤(adh)は、塗工量が2g/m2となるようにロールコーターを用いて塗工した。
【0099】
比較例3では、第二工程に続く第三工程として、印刷済み透明蒸着バリアフィルム(PET/ink)の印刷層(ink)側の面にONYフィルム(ONY)をラミネート加工した。このラミネート加工では、印刷済み透明蒸着バリアフィルム(PET/ink)の印刷層(ink)側の面に無溶剤型接着剤「TSN-4864A / TSN-4864B3」(東洋モートン株式会社製)(adh)を塗工し、その後、無溶剤型接着剤(adh)とONYフィルム(ONY)とを対向させて、ONYフィルム(ONY)に印刷済み透明蒸着バリアフィルム(PET/ink)の印刷層(ink)側の面を貼り合わせた。無溶剤型接着剤(adh)は、塗工量が2g/m2となるようにロールコーターを用いて塗工した。
【0100】
その後、無溶剤型接着剤(adh)を硬化させることで、比較例1と同じ積層体を得た。
【0101】
(比較例4)
比較例4では、第一工程として、比較例1と同様の方法で、印刷済み透明蒸着バリアフィルムを(PET/ink)を得た。
【0102】
比較例4では、第一工程に続く第二工程として、比較例3と同様の方法で、ONYフィルム(ONY)に無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)をラミネート加工した。
【0103】
比較例4では、第二工程に続く第三工程として、印刷済み透明蒸着バリアフィルム(PET/ink)の印刷層(ink)側の面にONYフィルム(ONY)をラミネート加工した。このラミネート加工では、ONYフィルム(ONY)上に無溶剤型接着剤「TSN-4864A / TSN-4864B3」(東洋モートン株式会社製)(adh)を塗工し、その後、無溶剤型接着剤(adh)と印刷済み透明蒸着バリアフィルム(PET/ink)の印刷層(ink)側の面とを対向させて、印刷済み透明蒸着バリアフィルム(PET/ink)の印刷層(ink)側の面にONYフィルム(ONY)を貼り合わせた。無溶剤型接着剤(adh)は、塗工量が2g/m2となるようにロールコーターを用いて塗工した。
【0104】
その後、無溶剤型接着剤(adh)を硬化させることで、比較例1と同じ積層体を得た。
【0105】
<評価>
実施例1~5及び比較例1~4で作製した上記積層体を、40℃の環境下でエージングした後、下記の評価項目で評価した。結果を表3に示す。
【0106】
(外観)
流れ方向1mの観察を行い、下記の指標で評価した。
A:直径0.5mm以上の気泡が存在しない
B:直径0.5mm以上、1mm未満の気泡が存在する
C:直径1mm以上の気泡が存在する
【0107】
(ラミネート強度(接着強度))
幅方向15mm、流れ方向50mmの短冊状にサンプルを切り出し、得られたサンプルのラミネート強度(接着強度)を、剥離速度300mm/分、剥離角度90度の条件で計測し、下記の指標で評価した。実施例1~5では、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)とONYフィルム(ONY)との間のラミネート強度を評価し、比較例1~4では、透明蒸着バリアフィルム(PET)とONYフィルム(ONY)との間のラミネート強度を評価した。結果を表3に示す。
A:2N/15mm以上
B:1N/15mm以上、2N/15mm未満
C:1N/15mm未満
【0108】
また、積層体を無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)側が内側となるように二つ折りにし、二辺をヒートシールして袋状に製袋した。袋のサイズは297mm×420mmとした。袋の内部に純水800gを入れた後、空気が入らないようにしながら、残る一辺を同様にヒートシールしてサンプルを作製した。サンプルを、貯湯式高温高圧調理殺菌装置を用いて圧力0.25MPa、135℃で40分間レトルト処理した後に取り出して冷却し、内容物を排出した後に、幅方向15mm、流れ方向50mmの短冊状にサンプルを切り出し、得られたサンプルのラミネート強度(接着強度)を、剥離速度300mm/分、剥離角度90度の条件で計測し、下記の指標で評価した。実施例1~5では、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)とONYフィルム(ONY)との間のラミネート強度を評価し、比較例1~4では、透明蒸着バリアフィルム(PET)とONYフィルム(ONY)との間のラミネート強度を評価した。結果を表3に示す。
A:2N/15mm以上
B:1N/15mm以上、2N/15mm未満
C:1N/15mm未満
【0109】
【0110】
表3に示すように、実施例1~5の積層体は、外観及びラミネート強度のいずれの評価項目においても評価が「C」となる領域がなく、良好な外観及び優れた接着強度を有する積層体であることが確認された。
【0111】
また、実施例1~3の積層体は、実施例4及び5の積層体は、外観の評価が「B」となる領域があったが、実施例1~3の積層体は、外観の評価が「B」となる領域がなく、良好な外観を有する積層体であることが確認された。
1…積層体、2…第一延伸フィルム、3…第二延伸フィルム、4…無延伸フィルム、5…第一接着剤層、6…第二接着剤層、21…基材フィルム、22…印刷層、51…第一接着剤、61…第二接着剤。