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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141347
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】電源制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
H02M3/155 P
H02M3/155 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052939
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 勘人
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA02
5H730AS04
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB14
5H730BB57
5H730BB81
5H730DD04
5H730DD16
5H730EE59
5H730FD01
5H730FG05
(57)【要約】
【課題】ノイズレベルの低減を効果的な構成により実現できる電源制御装置を提供する。
【解決手段】電源制御装置(101)は、第1チャンネルと第2チャンネルそれぞれのオン時間の大小関係を判定し、長いほうの前記オン時間に対応するチャンネルのスイッチ電圧を、短いほうの前記オン時間に対応するチャンネルの前記スイッチ電圧に対して遅延させる制御を行うように構成される遅延制御部(6)を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1チャンネルの第1DC/DCコンバータおよび第2チャンネルの第2DC/DCコンバータを制御するように構成される電源制御装置であって、
前記第1DC/DCコンバータと前記第2DC/DCコンバータは、それぞれ降圧コンバータと昇圧コンバータの一方で構成され、
前記降圧コンバータは、直列に接続されたハイサイドトランジスタとローサイドトランジスタを含む第1スイッチ出力段を有し、
前記昇圧コンバータは、インダクタに接続されるスイッチング素子を含む第2スイッチ出力段を有し、
前記ハイサイドトランジスタとローサイドトランジスタとが接続されるノード、または前記インダクタと前記スイッチング素子とが接続されるノードに生じる電圧をスイッチ電圧とし、
前記ハイサイドトランジスタをオン状態とする時間、または前記スイッチング素子をオン状態とする時間をオン時間とし、
前記第1DC/DCコンバータにおける前記第1スイッチ出力段または前記第2スイッチ出力段をPWM制御するように構成される第1PWM制御部と、
前記第2DC/DCコンバータにおける前記第1スイッチ出力段または前記第2スイッチ出力段をPWM制御するように構成される第2PWM制御部と、
前記第1チャンネルと前記第2チャンネルそれぞれの前記オン時間の大小関係を判定し、長いほうの前記オン時間に対応するチャンネルの前記スイッチ電圧を、短いほうの前記オン時間に対応するチャンネルの前記スイッチ電圧に対して遅延させる制御を行うように構成される遅延制御部と、
を備える、電源制御装置。
【請求項2】
前記遅延制御部は、前記オン時間を規定するパラメータに基づいて前記オン時間の大小関係を判定する、請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項3】
前記パラメータは、前記第1DC/DCコンバータおよび前記第2DC/DCコンバータのそれぞれの出力電圧値である、請求項2に記載の電源制御装置。
【請求項4】
前記遅延制御部は、前記第1PWM制御部および前記第2PWM制御部にそれぞれ入力されて前記出力電圧値を規定する基準電圧に関する信号に基づいて、前記オン時間の大小関係を判定する、請求項3に記載の電源制御装置。
【請求項5】
前記基準電圧に関する信号は、前記基準電圧を出力するDAコンバータの入力信号である、請求項4に記載の電源制御装置。
【請求項6】
前記遅延制御部は、前記パラメータとして、前記第1DC/DCコンバータおよび前記第2DC/DCコンバータのそれぞれの出力電圧値と、前記第1DC/DCコンバータおよび前記第2DC/DCコンバータのそれぞれの入力電圧値と、前記第1DC/DCコンバータおよび前記第2DC/DCコンバータのそれぞれのスイッチング周期あるいはスイッチング周波数と、のうち少なくともいずれかに基づいて前記オン時間を算出し、算出された前記オン時間に基づいて前記大小関係を判定する、請求項2に記載の電源制御装置。
【請求項7】
前記遅延制御部は、算出された前記オン時間のうち短いほうの前記オン時間の第1所定割合として遅延時間を設定する、請求項6に記載の電源制御装置。
【請求項8】
前記遅延制御部は、算出された前記オン時間のうち長いほうの前記オン時間に対応するオフ時間の第2所定割合として遅延時間を設定する、請求項6に記載の電源制御装置。
【請求項9】
第1入力クロックを遅延させて第1クロックを前記第1PWM制御部へ出力するように構成される第1遅延回路と、
第2入力クロックを遅延させて第2クロックを前記第2PWM制御部へ出力するように構成される第2遅延回路と、
をさらに備え、
前記第1遅延回路および前記第2遅延回路は、前記遅延制御部により制御される、請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の電源制御装置と、前記第1DC/DCコンバータと、前記第2DC/DCコンバータと、を備える、電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数チャンネルのDC/DCコンバータを制御するPMIC(パワーマネジメントIC)が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-141223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなPMICにおいては、ノイズレベルを低減することが要望されている。
【0005】
上記状況に鑑み、本開示は、ノイズレベルの低減を効果的な構成により実現できる電源制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例えば、本開示に係る電源制御装置は、第1チャンネルの第1DC/DCコンバータおよび第2チャンネルの第2DC/DCコンバータを制御するように構成される電源制御装置であって、
前記第1DC/DCコンバータと前記第2DC/DCコンバータは、それぞれ降圧コンバータと昇圧コンバータの一方で構成され、
前記降圧コンバータは、直列に接続されたハイサイドトランジスタとローサイドトランジスタを含む第1スイッチ出力段を有し、
前記昇圧コンバータは、インダクタに接続されるスイッチング素子を含む第2スイッチ出力段を有し、
前記ハイサイドトランジスタとローサイドトランジスタとが接続されるノード、または前記インダクタと前記スイッチング素子とが接続されるノードに生じる電圧をスイッチ電圧とし、
前記ハイサイドトランジスタをオン状態とする時間、または前記スイッチング素子をオン状態とする時間をオン時間とし、
前記第1DC/DCコンバータにおける前記第1スイッチ出力段または前記第2スイッチ出力段をPWM制御するように構成される第1PWM制御部と、
前記第2DC/DCコンバータにおける前記第1スイッチ出力段または前記第2スイッチ出力段をPWM制御するように構成される第2PWM制御部と、
前記第1チャンネルと前記第2チャンネルそれぞれの前記オン時間の大小関係を判定し、長いほうの前記オン時間に対応するチャンネルの前記スイッチ電圧を、短いほうの前記オン時間に対応するチャンネルの前記スイッチ電圧に対して遅延させる制御を行うように構成される遅延制御部と、
を備える構成としている。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る電源制御装置によれば、ノイズレベルの低減を効果的な構成により実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、比較例に係る電源制御装置の構成を示す図である。
図2図2は、PWM制御部の内部構成を示す図である。
図3図3は、第1実施形態に係る電源制御装置の構成を示す図である。
図4図4は、第1実施形態に係るスイッチ電圧の波形例を示す図である。
図5図5は、第1実施形態に係るスイッチ電圧の波形例を示す図である。
図6図6は、第2実施形態に係る電源制御装置の構成を示す図である。
図7図7は、第3実施形態に係る電源制御装置の構成を示す図である。
図8図8は、第4実施形態に係る電源制御装置の構成を示す図である。
図9図9は、第4実施形態に係るスイッチ電圧の波形例を示す図である。
図10図10は、第4実施形態に係るスイッチ電圧の波形例を示す図である。
図11図11は、第5実施形態に係る電源制御装置の構成を示す図である。
図12図12は、第5実施形態に係るスイッチ電圧の波形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
<1.比較例>
ここでは、本開示の実施形態について説明する前に、比較例について説明する。これにより、課題がより明らかとなる。
【0011】
図1は、比較例に係る電源制御装置10の構成を示す図である。電源制御装置10は、チャンネル1のDC/DCコンバータCH1と、チャンネル2のDC/DCコンバータCH2と、を制御するように構成されるPMIC(半導体装置)である。
【0012】
DC/DCコンバータCH1は、入力電圧Vin1を降圧して出力電圧Vout1を生成する降圧コンバータであり、スイッチ出力段41と、インダクタL1と、コンデンサC1と、分圧抵抗R11,R12と、を備える。
【0013】
スイッチ出力段41は、ハイサイドトランジスタ41Aと、ローサイドトランジスタ41Bと、を有する。入力電圧Vin1の印加端と接地端(グランド電位の印加端)との間にハイサイドトランジスタ41Aとローサイドトランジスタ41Bは、直列に接続される。ハイサイドトランジスタ41Aは、一例としてPMOSトランジスタ(PチャネルMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor))により構成され、ローサイドトランジスタ41Bは、一例としてNMOSトランジスタ(NチャネルMOSFET)により構成される。
【0014】
ハイサイドトランジスタ41Aとローサイドトランジスタ41Bは、電源制御装置10に内蔵される。ただし、ハイサイドトランジスタ41Aとローサイドトランジスタ41Bは、電源制御装置10に対して外部接続されてもよい。
【0015】
ハイサイドトランジスタ41Aとローサイドトランジスタ41Bとが接続されるノードは、スイッチ端子SW1に接続される。スイッチ端子SW1および帰還端子FB1は、電源制御装置10に設けられる外部端子である。インダクタL1、コンデンサC1、および分圧抵抗R11,R12は、電源制御装置10の外部に設けられる。スイッチ端子SW1は、インダクタL1の第1端に接続される。インダクタL1の第2端は、コンデンサC1の第1端に接続される。コンデンサC1の第2端は、接地端に接続される。
【0016】
出力電圧Vout1は、コンデンサC1の第1端に生成される。分圧抵抗R11,R12は、出力電圧Vout1を分圧して帰還電圧Vfb1を生成する。
【0017】
PWM制御部31は、DC/DCコンバータCH1をPWM(パルス幅変調)制御する。PWM制御部31、ロジック部11、およびDAC(DAコンバータ)21は、電源制御装置10に内蔵され、チャンネル1に対応する構成である。ロジック部11から出力された基準電圧信号REF1は、DAC21によりDA(デジタル・アナログ)変換されて基準電圧Vref1となる。基準電圧Vref1は、出力電圧Vout1の目標値を規定する。
【0018】
オシレータ5は、電源制御装置10に内蔵される。PWM制御部31は、基準電圧Vref1、オシレータ5から出力されるクロックCLK1、および帰還端子FB1を通して入力される帰還電圧Vfb1に基づいてPWM制御によりスイッチ出力段41をスイッチングする。
【0019】
図2は、PWM制御部31の内部構成を示す図である。PWM制御部31は、エラーアンプ31A、スロープ生成部31B、コンパレータ31C、およびドライバ31Dを有する。エラーアンプ31Aの第1入力端には、基準電圧Vref1が入力される。エラーアンプ31Aの第2入力端には、帰還電圧Vfb1が入力される。エラーアンプ31Aは、基準電圧Vref1と帰還電圧Vfb1との誤差を増幅して誤差信号Errを出力する。スロープ生成部31Bは、クロックCLK1に基づいてスロープ信号(三角波信号)Slpを生成する。コンパレータ31Cの第1入力端には、スロープ信号Slpが入力される。コンパレータ31Cの第2入力端には、誤差信号Errが入力される。ドライバ31Dは、クロックCLK1とコンパレータ31Cの出力に基づいてパルス状であるゲート信号GH1,GL1を生成する。ゲート信号GH1は、ハイサイドトランジスタ41Aのゲートに入力される。ゲート信号GL1は、ローサイドトランジスタ41Bのゲートに入力される。
【0020】
ゲート信号GH1,GL1によりハイサイドトランジスタ41Aとローサイドトランジスタ41Bは相補的に駆動される。クロックCLK1の立ち上がりタイミングでハイサイドトランジスタ41Aのターンオン(オフ状態からオン状態への切替え)が行われる。スロープ信号Slpが誤差信号Errを上回ったタイミングでハイサイドトランジスタ41Aのターンオフ(オン状態からオフ状態への切替え)が行われる。クロックCLK1の周期がスイッチング周期となる。帰還電圧Vfb1が基準電圧Vref1と一致するようにオンデューティ(=ハイサイドトランジスタ41Aのオン時間のスイッチング周期に対する割合)が調整され、出力電圧Vout1が所望の目標値に制御される。
【0021】
ハイサイドトランジスタ41Aがオン状態、ローサイドトランジスタ41Bがオフ状態の場合、スイッチ端子SWに生じるスイッチ電圧Vsw1は、ハイレベルとなる。ハイサイドトランジスタ41Aがオフ状態、ローサイドトランジスタ41Bがオン状態の場合、スイッチ電圧Vsw1はローレベルとなる。ハイサイドトランジスタ41Aとローサイドトランジスタ41Bの相補的なスイッチングにより、スイッチ電圧Vsw1はパルス状となる。
【0022】
チャンネル2の構成については、上述したチャンネル1と同様であるため、ここでは簡略化して説明する。DC/DCコンバータCH2は、入力電圧Vin2を降圧して出力電圧Vout2を生成する降圧コンバータであり、スイッチ出力段42と、インダクタL2と、コンデンサC2と、分圧抵抗R21,R22と、を備える。チャンネル2の構成として、電源制御装置10は、ロジック部12、DAC22、およびPWM制御部32を内蔵する。ロジック部12から出力された基準電圧信号REF2は、DAC22によりDA変換されて基準電圧Vref2となる。PWM制御部32は、出力電圧Vout2を分圧抵抗R21,R22により分圧して得られる帰還電圧Vfb2、基準電圧Vref2、およびオシレータ5から出力されるクロックCLK2に基づいてPWM制御によりスイッチ出力段42を駆動する。PWM制御部32により生成されたゲート信号GH2,GL2は、それぞれスイッチ出力段42におけるハイサイドトランジスタ42Aのゲート、ローサイドトランジスタ42Bのゲートに入力される。ハイサイドトランジスタ42Aとローサイドトランジスタ42Bが接続されるノードに接続されるスイッチ端子SW2には、パルス状のスイッチ電圧Vsw2が生じる。なお、帰還電圧Vfb2は、帰還端子FB2を介してPWM制御部32に入力される。
【0023】
このようにチャンネル1のスイッチ電圧Vsw1およびチャンネル2のスイッチ電圧Vsw2が生成されるが、スイッチ電圧Vsw1,Vsw2のスイッチングエッジ(立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジ)が重なると、スイッチ電圧Vsw1,Vsw2にジッタが発生し、出力電圧Vout1,Vout2のリップルが大きくなり、ノイズレベルが増加する。
【0024】
そこで、比較例に係る電源制御装置10においては、クロックCLK1,CLK2の位相をずらすことでスイッチ電圧Vsw1,Vsw2のスイッチングエッジが重ならないようにし、ノイズレベルを低減する位相シフト機能が搭載される。位相シフトのパターンは、実際の波形を確認したうえで適切な設定が手動で行われる。
【0025】
しかしながら、入力電圧Vin1,Vin2および出力電圧Vout1,Vout2が固定である場合は、上記比較例は有効であるが、同一機種(同一の電源制御装置10)において、入力電圧Vin1,Vin2および出力電圧Vout1,Vout2の少なくとも一方が想定値から変化されて設定される場合は、PWM制御のオンデューティが変化して、搭載された位相シフトのパターンによってはスイッチ電圧Vsw1,Vsw2のスイッチングエッジが重なってしまう可能性がある。
【0026】
また、位相シフトのパターンはオシレータ5においてロジック回路により生成されるため、パターンを増やすと回路面積が増大する。また、パターン作成が設計時間に影響を与える課題も生じる。
【0027】
<2.第1実施形態>
図3は、本開示の第1実施形態に係る電源制御装置101の構成を示す図である。図3に示す構成の上記比較例(図1)との構成の相違点は、電源制御装置101において、遅延制御部6および遅延回路71,72を追加していることである。なお、電源制御装置101と、チャンネル1のDC/DCコンバータCH1と、チャンネル2のDC/DCコンバータCH2と、から電源装置PWが構成される。なお、スイッチ出力段41,42は、電源制御装置101の外部に設けてもよい。
【0028】
遅延制御部6は、ロジック部11から出力される基準電圧信号REF1およびロジック部12から出力される基準電圧信号REF2が入力され、入力された基準電圧信号REF1,REF2に基づいて出力電圧Vout1,Vout2の大小関係を判定する。遅延制御部6は、判定された大小関係に基づいて、遅延回路71,72のうち一方をオン状態、他方をオフ状態とする。具体的には、出力電圧Vout1,Vout2のうち大きいほうのチャンネルの遅延回路をオン状態とする。
【0029】
遅延回路71は、チャンネル1に対応して設けられ、オシレータ5から出力される入力クロックCLKを遅延させてクロックCLK1をPWM制御部31へ出力する。遅延回路72は、チャンネル2に対応して設けられ、オシレータ5から出力される入力クロックCLKを遅延させてクロックCLK2をPWM制御部32へ出力する。遅延回路71,72は、オフ状態の場合は、遅延機能が無効とされ、入力クロックCLKを遅延させずにクロックCLK1,CLK2を出力する。遅延回路71,72は、オン状態の場合は、遅延機能が有効となる。なお、遅延回路71,72は、例えば多段のインバータから構成される。
【0030】
図4は、図3に示す構成におけるスイッチ電圧Vsw1,Vsw2の波形例を示す図である。なお、図4において、上段がスイッチ電圧Vsw1、中段が遅延を仮に行わない場合のスイッチ電圧Vsw2、下段が遅延を行ったスイッチ電圧Vsw2を示す。
【0031】
ここで、DC/DCコンバータCH1,CH2は、降圧コンバータであるため、それぞれのオンデューティDuty1,Duty2は、下記式のようになる。
Duty1=Vout1/Vin1
Duty2=Vout2/Vin2
【0032】
図4に示すように、スイッチ電圧Vsw1のオン時間Ton1(ハイサイドトランジスタ41Aがオン状態となることによりスイッチ電圧Vsw1がハイレベルとなる期間)、スイッチ電圧Vsw2のオン時間Ton2(ハイサイドトランジスタ42Aがオン状態となることによりスイッチ電圧Vsw2がハイレベルとなる期間)は、それぞれ下記式のようになる。ただし、Tswは、スイッチング周期(=入力クロックCLKの周期)である。
Ton1=Tsw×Duty1=Tsw×(Vout1/Vin1)
Ton2=Tsw×Duty2=Tsw×(Vout2/Vin2)
【0033】
なお、図4に示すように、スイッチ電圧Vsw1のオフ時間Toff1は、ローサイドトランジスタ41Bがオン状態となることによりスイッチ電圧Vsw1がローレベルとなる期間であり、スイッチ電圧Vsw2のオフ時間Toff2は、ローサイドトランジスタ42Bがオン状態となることによりスイッチ電圧Vsw2がローレベルとなる期間であり、下記式のようになる。
Toff1=Tsw-Ton1
Toff2=Tsw-Ton2
【0034】
Vin1=Vin2の場合、Vout1,Vout2のうち大きいほうに対応するオン時間Ton1,Ton2が大きくなる。すなわち、例えばVout1>Vout2の場合、Ton1>Ton2となる。遅延制御部6は、基準電圧信号REF1,REF2に基づいて出力電圧Vout1,Vout2の大小関係を判定することで、大きいほうの出力電圧のチャンネルの遅延回路71,72をオン状態とする。図4の例であれば、Vout2>Vout1によりTon2>Ton1となり、チャンネル2の遅延回路72をオン状態(遅延回路71はオフ状態)とする。これにより、入力クロックCLKが遅延されてクロックCLK2が生成され、スイッチ電圧Vsw2がスイッチ電圧Vsw1に対して遅延される。遅延時間DL1は、遅延回路72により設定される固定値である。
【0035】
これにより、長いほうのオン時間Ton2のスイッチ電圧Vsw2の立ち下がりエッジFe2が他方のスイッチ電圧Vsw1の立ち下がりエッジFe1に対して離されるため、立ち下がりエッジFe1,Fe2が重なることが抑制される。このとき、スイッチ電圧Vsw2の立ち上がりエッジRe2は、遅延によりスイッチ電圧Vsw1の立ち下がりエッジFe1と重ならない必要があるため、遅延時間DL1は、オン時間Ton1より短い必要がある。
【0036】
なお、図5は、図3に示す構成におけるスイッチ電圧Vsw1,Vsw2の別の波形例を示す図である。図5に示す例では、長いほうのオン時間Ton2のスイッチ電圧Vdw2のオフ時間Toff2<Ton1となっている。この場合、図5に示すように、スイッチ電圧Vsw2を遅延させる遅延時間DL1は、Toff2よりも短い必要がある。これにより、スイッチ電圧Vsw2の立ち下がりエッジFe2がスイッチ電圧Vsw1の立ち上がりエッジRe1と重ならないようにすることができる。
【0037】
なお、オン時間が短い方のスイッチ電圧のデューティが所定デューティ以下(例えば20%以下)である場合は、当該スイッチ電圧に対して所定の遅延時間(例えば80nsec)の遅延を常につけるような形式で実施される。
【0038】
<3.第2実施形態>
図6は、本開示の第2実施形態に係る電源制御装置102の構成を示す図である。図6に示す構成の第1実施形態(図3)との構成の相違点は、電源制御装置102において、遅延制御部6は、基準電圧信号REF1,REF2に加えて入力電圧Vin1,Vin2が入力されることである。
【0039】
基準電圧信号REF1,REF2により出力電圧Vout1,Vout2が特定され、出力電圧Vout1,Vout2と入力電圧Vin1,Vin2により、上述の式のようにオン時間Ton1,Ton2が算出可能である。本実施形態では、遅延制御部6は、基準電圧信号REF1,REF2および入力電圧Vin1,Vin2に基づき、オン時間Ton1,Ton2を算出する。そして、遅延制御部6は、算出されたオン時間Ton1,Ton2のうち長いほうのチャンネルの遅延回路71,72の遅延機能を有効とする。このとき、遅延制御部6は、遅延時間を、算出されたオン時間Ton1,Ton2のうち短いほうの所定割合(例えば50%)の時間に設定する。
【0040】
従って、遅延回路71,72における遅延時間は可変となるように構成される。例えば、遅延制御部6の制御に応じてインバータの段数を可変とすることで遅延時間を可変とする。
【0041】
例えば、先述した図4の波形例であれば、算出されたTon1,Ton2がTon2>Ton1であるため、オン時間が長いほうのチャンネル2に対応する遅延回路72の遅延機能が有効となる。このとき、図4の例では、遅延時間DL1は、Ton1の50%に設定される。
【0042】
また、例えば、先述した図5に示すように、算出されたTon1,Ton2がTon2>Ton1であるが、Toff2<Ton1である場合、図5の例では、遅延時間DL1は、Toff2の50%に設定される。すなわち、遅延制御部6は、算出されたTon1,Ton2のうち長いほうに対応するオフ時間Toff1,Toff2を先述した式により算出し、算出されたオフ時間の所定割合を遅延時間に設定することができる。
【0043】
また、本実施形態では、出力電圧Vout1,Vout2と入力電圧Vin1,Vin2の両方が可変に設定される場合のみでなく、出力電圧Vout1,Vout2と入力電圧Vin1,Vin2の一方のみが可変に設定される場合でも適用可能である。
【0044】
<4.第3実施形態>
図7は、第3実施形態に係る電源制御装置103の構成を示す図である。図7に示す構成の第2実施形態(図6)との構成の相違点は、電源制御装置103において、遅延制御部6は、基準電圧信号REF1,REF2と入力電圧Vin1,Vin2に加えて、オシレータ5からチャンネル1のスイッチング周期情報Tsw1およびチャンネル2のスイッチング周期情報Tsw2が入力されることである。スイッチング周期情報Tsw1,Tsw2は、入力クロックCLK11,12の周期を表す。オシレータ5は、異なる入力クロックCLK11,12を各遅延回路71,72に出力することが可能である。
【0045】
これにより、遅延制御部6は、スイッチング周期情報Tsw1,Tsw2と、基準電圧信号REF1,REF2および入力電圧Vin1,Vin2に基づいて、先述した式により各チャンネルのオン時間およびオフ時間を算出可能となる。従って、スイッチング周期が可変設定される場合でも、第2実施形態と同様な遅延制御を行うことができる。なお、スイッチング周期=1/スイッチング周波数であるため、スイッチング周期情報Tsw1,Tsw2の代わりに各チャンネルのスイッチング周波数情報F1,F2に基づいて遅延制御部6が算出を行ってもよい。
【0046】
<5.第4実施形態>
図8は、第4実施形態に係る電源制御装置104の構成を示す図である。図8に示す構成の第1実施形態(図3)との構成の相違点は、電源制御装置103において、チャンネル1のDC/DCコンバータCH1とチャンネル2のDC/DCコンバータCH2をそれぞれ昇圧コンバータとして構成したことである。
【0047】
DC/DCコンバータCH1は、入力電圧Vin1を昇圧して出力電圧Vout1を生成する昇圧コンバータであり、スイッチ出力段81と、ダイオードD1と、コンデンサC1と、分圧抵抗R11,R12と、を備える。
【0048】
スイッチ出力段81は、電源制御装置104に内蔵され、インダクタ81Aと、スイッチング素子81Bと、を有する。なお、スイッチ出力段81は、少なくとも一部(例えばインダクタ81A)が電源制御装置104の外部に設けてもよい。インダクタ81Aの第1端は、入力電圧Vin1の印加端に接続される。インダクタ81Aの第2端は、スイッチング素子81Bのドレインに接続される。スイッチング素子81Bは、NMOSトランジスタにより構成される。スイッチング素子81Bのソースは、接地端に接続される。インダクタ81Aとスイッチング素子81Bとが接続されるノードは、スイッチ端子SW1に接続される。
【0049】
ダイオードD1、コンデンサC1、および分圧抵抗R11,R12は、電源制御装置104の外部に設けられる。スイッチ端子SW1は、ダイオードD1のアノードに接続される。ダイオードD1のカソードは、コンデンサC1の第1端に接続される。コンデンサC1の第1端に出力電圧Vout1が生成される。
【0050】
PWM制御部31は、クロックCLK1、帰還電圧Vfb1、および基準電圧Vref1に基づいてPWM制御によりスイッチング素子81Bをスイッチングする。これにより、帰還電圧Vfb1が基準電圧Vref1に一致するようにスイッチングのオンデューティが調整され、出力電圧Vout1が所望の目標値に制御される。
【0051】
スイッチング素子81Bがオン状態の場合、スイッチ端子SW1に生じるスイッチ電圧Vsw1はローレベルとなり、スイッチング素子81Bがオフ状態の場合、スイッチ電圧Vsw1はハイレベルとなる。
【0052】
なお、チャンネル2についての構成は、先述したチャンネル1についての構成と同様であり、簡略化して説明する。DC/DCコンバータCH2は、入力電圧Vin2を昇圧して出力電圧Vout2を生成する昇圧コンバータであり、スイッチ出力段82と、ダイオードD2と、コンデンサC2と、分圧抵抗R21,R22と、を備える。スイッチ出力段
82は、インダクタ82Aと、スイッチング素子82Bと、を有する。PWM制御部32によるPWM制御によりスイッチング素子82Bがスイッチングされ、出力電圧Vout2が制御される。このとき、スイッチ端子SW2に生じるスイッチ電圧Vsw2は、スイッチ電圧Vsw1と同様にパルス状となる。
【0053】
図9は、図8に示す構成におけるスイッチ電圧Vsw1,Vsw2の波形例を示す図である。
【0054】
ここで、DC/DCコンバータCH1,CH2は、昇圧コンバータであるため、それぞれのオンデューティDuty1,Duty2は、下記式のようになる。
Duty1=(Vout1-Vin1)/Vout1
Duty2=(Vout2-Vin2)/Vout2
【0055】
図9に示すように、スイッチ電圧Vsw1のオン時間Ton1(スイッチング素子81Bがオン状態となることによりスイッチ電圧Vsw1がローレベルとなる期間)、スイッチ電圧Vsw2のオン時間Ton2(スイッチング素子82Bがオン状態となることによりスイッチ電圧Vsw2がローレベルとなる期間)は、それぞれ下記式のようになる。
Ton1=Tsw×Duty1=Tsw×((Vout1-Vin1)/Vout1)
Ton2=Tsw×Duty2=Tsw×((Vout2-Vin2)/Vout2)
【0056】
なお、図9に示すように、スイッチ電圧Vsw1のオフ時間Toff1は、スイッチング素子81Bがオフ状態となることによりスイッチ電圧Vsw1がハイレベルとなる期間であり、スイッチ電圧Vsw2のオフ時間Toff2は、スイッチング素子82Bがオフ状態となることによりスイッチ電圧Vsw2がハイレベルとなる期間であり、下記式のようになる。
Toff1=Tsw-Ton1
Toff2=Tsw-Ton2
【0057】
入力電圧Vin1,Vin2が固定であれば、出力電圧Vout1,Vout2によりオン時間Ton1,Ton2の大小関係は特定される。遅延制御部6は、基準電圧信号REF1,REF2に基づいてオン時間Ton1,Ton2の大小関係を判定し、長いほうのオン時間のチャンネルに対応する遅延回路71,72をオン状態とする(他方はオフ状態)。
【0058】
図9の例であれば、Ton1>Ton2であるため、チャンネル1に対応する遅延回路71がオン状態となり、スイッチ電圧Vsw1がVsw2に対して遅延時間DL2で遅延される。これにより、スイッチ電圧Vsw1の立ち上がりエッジRe1がスイッチ電圧Vsw2の立ち上がりエッジRe2から離れるため、立ち上がりエッジRe1,Re2が重なることが抑制される。
【0059】
なお、遅延時間DL2は固定値であるが、図9に示すように、長いほうのオン時間Ton1に対応するオフ時間Toff1よりも遅延時間DL2を短く設定する必要がある。これにより、スイッチ電圧Vsw1の立ち上がりエッジRe1がスイッチ電圧Vsw2の立ち下がりエッジFe2と重ならないようにすることができる。
【0060】
なお、図10に示す波形例のように、短いほうのオン時間Ton2<Toff1となるような場合は、遅延時間DL2をTon2よりも短くする必要がある。これにより、スイッチ電圧Vsw1の立ち下がりエッジFe1がスイッチ電圧Vsw2の立ち上がりエッジRe2と重ならないようにすることができる。
【0061】
また、本実施形態の変形例として、第2実施形態のように、遅延制御部6は、基準電圧信号REF1,REF2と入力電圧Vin1,Vin2の少なくとも一方に基づいてオン時間Ton1,Ton2を算出し、算出結果よりオン時間Ton1,Ton2の大小関係を判定してもよい。この場合、図9に示す例であれば、オフ時間Toff1を算出し、遅延時間DL2をオフ時間Toff1の所定割合(例えば50%)に設定すればよい。また、図10に示すような例のように、Ton2<Toff1の場合は、遅延時間DL2を算出されたオン時間Ton2の所定割合(例えば50%)に設定すればよい。
【0062】
また、本実施形態のさらなる変形例として、第3実施形態のように、遅延制御部6は、基準電圧信号REF1,REF2と入力電圧Vin1,Vin2に加えてスイッチング周期情報Tsw1,Tsw2(あるいはスイッチング周波数情報F1,F2)に基づいて、オン時間およびオフ時間を算出してもよい。
【0063】
<6.第5実施形態>
図11は、第5実施形態に係る電源制御装置105の構成を示す図である。図11に示す構成の第1実施形態(図3)との構成の相違点は、電源制御装置105において、チャンネル2のDC/DCコンバータCH2を昇圧コンバータとして構成したことである。すなわち、電源制御装置105は、チャンネル1の降圧コンバータとチャンネル2の昇圧コンバータを制御する。
【0064】
これにより、図11に示すように、チャンネル1ではスイッチ出力段41を構成する一方、チャンネル2ではスイッチ出力段82を構成する。
【0065】
図12は、本実施形態に係る波形例を示す図である。図12に示すように、スイッチ電圧Vsw1のオン時間Ton1がスイッチ電圧Vsw2のオン時間Ton2よりも長いため、長いほうのチャンネルに対応する遅延回路71をオン状態とすることにより、スイッチ電圧Vsw1を遅延時間DL3で遅延させている。これにより、スイッチ電圧Vsw1の立ち下がりエッジFe1をスイッチ電圧Vsw2の立ち上がりエッジRe2から離れるようにし、立ち下がりエッジFe1と立ち上がりエッジRe2が重なることが抑制される。
【0066】
なお、本実施形態においても、第2、第3実施形態のようにオン時間およびオフ時間を算出し、遅延時間DL3を設定してもよい。
【0067】
<6.その他>
なお、本開示に係る種々の技術的特徴は、上記実施形態の他、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0068】
例えば、クロックCLK1,CLK2の間で遅延を設ける場合、遅延回路71,72のそれぞれはオン状態とし、それぞれの遅延時間に差を設けてもよい。
【0069】
例えば、本開示の電源制御装置は、2つのチャンネルに限らず、3つ以上のチャンネルを有してもよい。
【0070】
<7.付記>
以上の通り、例えば、本開示の一態様は、
第1チャンネルの第1DC/DCコンバータ(CH1)および第2チャンネルの第2DC/DCコンバータ(CH2)を制御するように構成される電源制御装置(101)であって、
前記第1DC/DCコンバータと前記第2DC/DCコンバータは、それぞれ降圧コンバータと昇圧コンバータの一方で構成され、
前記降圧コンバータは、直列に接続されたハイサイドトランジスタ(41A)とローサイドトランジスタ(41B)を含む第1スイッチ出力段(41)を有し、
前記昇圧コンバータは、インダクタ(81A)に接続されるスイッチング素子(81B)を含む第2スイッチ出力段(81)を有し、
前記ハイサイドトランジスタとローサイドトランジスタとが接続されるノード、または前記インダクタと前記スイッチング素子とが接続されるノードに生じる電圧をスイッチ電圧(Vsw1,Vsw2)とし、
前記ハイサイドトランジスタをオン状態とする時間、または前記スイッチング素子をオン状態とする時間をオン時間(Ton1,Ton2)とし、
前記第1DC/DCコンバータにおける前記第1スイッチ出力段または前記第2スイッチ出力段をPWM制御するように構成される第1PWM制御部(31)と、
前記第2DC/DCコンバータにおける前記第1スイッチ出力段または前記第2スイッチ出力段をPWM制御するように構成される第2PWM制御部(32)と、
前記第1チャンネルと前記第2チャンネルそれぞれの前記オン時間の大小関係を判定し、長いほうの前記オン時間に対応するチャンネルの前記スイッチ電圧を、短いほうの前記オン時間に対応するチャンネルの前記スイッチ電圧に対して遅延させる制御を行うように構成される遅延制御部(6)と、
を備える(第1の構成)。
【0071】
また、上記第1の構成において、前記遅延制御部(6)は、前記オン時間を規定するパラメータに基づいて前記オン時間の大小関係を判定する構成としてもよい(第2の構成)。
【0072】
また、上記第2の構成において、前記パラメータは、前記第1DC/DCコンバータおよび前記第2DC/DCコンバータのそれぞれの出力電圧(Vout1,Vout2)である構成としてもよい(第3の構成)。
【0073】
また、上記第3の構成において、前記遅延制御部(6)は、前記第1PWM制御部および前記第2PWM制御部にそれぞれ入力されて前記出力電圧を規定する基準電圧に関する信号に基づいて、前記オン時間の大小関係を判定する構成としてもよい(第4の構成)。
【0074】
また、上記第4の構成において、前記基準電圧に関する信号は、前記基準電圧を出力するDAコンバータ(21,22)の入力信号である構成としてもよい(第5の構成)。
【0075】
また、上記第2から第5のいずれかの構成において、前記遅延制御部(6)は、前記第1DC/DCコンバータおよび前記第2DC/DCコンバータのそれぞれの出力電圧と、前記第1DC/DCコンバータおよび前記第2DC/DCコンバータのそれぞれの入力電圧と、前記第1DC/DCコンバータおよび前記第2DC/DCコンバータのそれぞれのスイッチング周期あるいはスイッチング周波数と、のうち少なくともいずれかに基づいて前記オン時間を算出し、算出された前記オン時間に基づいて前記大小関係を判定する構成としてもよい(第6の構成)。
【0076】
また、上記第6の構成において、前記遅延制御部(6)は、算出された前記オン時間のうち短いほうの前記オン時間の第1所定割合として遅延時間を設定する構成としてもよい(第7の構成)。
【0077】
また、上記第6の構成において、前記遅延制御部(6)は、算出された前記オン時間のうち長いほうの前記オン時間に対応するオフ時間の第2所定割合として遅延時間を設定する構成としてもよい(第8の構成)。
【0078】
また、上記第1から第8のいずれかの構成において、第1入力クロックを遅延させて第1クロックを前記第1PWM制御部へ出力するように構成される第1遅延回路(71)と、
第2入力クロックを遅延させて第2クロックを前記第2PWM制御部へ出力するように構成される第2遅延回路(72)と、
をさらに備え、
前記第1遅延回路および前記第2遅延回路は、前記遅延制御部により制御される構成としてもよい(第9の構成)。
【0079】
また、本開示の一態様に係る電源装置(PW)は、上記第1から第9のいずれかの構成の電源制御装置(101)と、前記第1DC/DCコンバータ(CH1)と、前記第2DC/DCコンバータ(CH2)と、を備える(第10の構成)。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本開示は、例えば、各種用途の電源装置に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0081】
5 オシレータ
6 遅延制御部
10 電源制御装置
11,12 ロジック部
31,32 PWM制御部
31A エラーアンプ
31B スロープ生成部
31C コンパレータ
31D ドライバ
41,42 スイッチ出力段
41A ハイサイドトランジスタ
41B ローサイドトランジスタ
42A ハイサイドトランジスタ
42B ローサイドトランジスタ
71,72 遅延回路
81,82 スイッチ出力段
81A インダクタ
81B スイッチング素子
82A インダクタ
82B スイッチング素子
101~105 電源制御装置
C1,C2 コンデンサ
CH1,CH2 DC/DCコンバータ
D1,D2 ダイオード
FB1,FB2 帰還端子
L1,L2 インダクタ
PW 電源装置
R11,R12 分圧抵抗
R21,R22 分圧抵抗
SW1,SW2 スイッチ端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12